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麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約

  平成4・8・28・条約  6号  
(公布時)
麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約をここに公布する。
この条約の締約国は、
麻薬及び向精神薬の不正な生産、需要及び取引が大量であり、かつ、増加の傾向にあることが、人類の健康及び福祉に対し重大な脅威となり並びに社会の経済的、文化的及び政治的基盤に悪影響を及ぼすことを深く憂慮し、
更に、麻薬及び向精神薬の不正取引の侵食が種々の社会集団において継続的に増大していること、特に、世界の多くの地域において児童が、不正な薬物の消費の市場として並びに麻薬及び向精神薬の不正な生産、分配及び取引のために、利用されている事実が計り知れないほど重大な危険を伴うものであることを深く憂慮し、
不正取引とその他の関連する組織的な犯罪活動との結び付きが、正当な経済活動を害し並びに国の安定、安全及び主権に脅威を与えることを認め、
更に、不正取引が国際的な犯罪活動であり、その防止のためには緊急の注意を払い及び最高の優先度を与える必要があることを認め、
不正取引が生み出す大きな経済的利益及び富により、国際的な犯罪組織が政府の組織、合法的な商取引又は金融取引の事業及び社会一般のあらゆる段階に侵透し、これらを汚染し及び堕落させることを可能としていることを認識し、
不正取引を行う者からその犯罪活動による収益を剥奪し、これにより不正取引を行う主要な動機を無くすことを決意し、
麻薬及び向精神薬の濫用の問題の根本的な原因(麻薬及び向精神薬の不正な需要並びに不正取引により生ずる極めて大きな利益を含む。)を除去することを希望し、
麻薬及び向精神薬の製造に使用されるある種の物質(前駆剤、化学物質及び溶剤を含む。)であって、その入手が容易であるために麻薬及び向精神薬の密造の増加をもたらすものを監視するための措置が必要であることを考慮し、
海上における不正取引の防止について国際協力を一層推進することを決意し、
不正取引を撲滅することがすべての国の共同の責務であること及びその撲滅のために国際協力の枠組みの下で協同して行動することが必要であることを認め、
麻薬及び向精神薬の統制の分野における国際連合の権限を認め、また、その統制に関係する国際機関が国際連合の枠内にあることを希望し、
麻薬及び向精神薬の分野の現行の条約の基本原則並びにこれらにより具体化されている統制制度を再確認し、
不正取引の大きな規模及び範囲並びにそのもたらす重大な結果に対処するため、1961年の麻薬に関する単一条約、1961年の麻薬に関する単一条約を改正する1972年の議定書により改正された同条約及び1971年の向精神薬に関する条約に定める措置を強化し及び補完することの必要性を認め、
更に、不正取引に係る国際的な犯罪活動の防止を目的とする刑事問題に関する国際協力のための効果的な法律上の手段を強化することが重要であることを認め、
特に不正取引の防止を目的としかつ不正取引の問題全般の種々の部面、特に麻薬及び向精神薬の分野における現行の条約に定められていない部面について考慮する包括的、効果的及び実効的な国際条約を締結することを希望して、
ここに、次のとおり協定する。
(定義)
第1条 この条約においては、別段の明示的な定めがある場合及び文脈により別に解釈される場合を除くほか、次の定義に従う。
(a) 「統制委員会」とは、1961年の麻薬に関する単一条約及び1961年の麻薬に関する単一条約を改正する1972年の議定書により改正された同条約により設置された国際麻薬統制委員会をいう。
(b) 「大麻植物」とは、カンナビス属の植物をいう。
(c) 「コカ樹」とは、エリスロキシロン属の植物をいう。
(d) 「商業運送業者」とは、報酬、給料その他の利益を得るために人、貨物又は郵便物の輸送に従事する人又は公的、私的その他の団体をいう。
(e) 「麻薬委員会」とは、国際連合の経済社会理事会の麻薬委員会をいう。
(f) 「没収」とは、裁判所その他の権限のある当局の命令による財産の永久的な剥奪をいう。
(g) 「監視付移転」とは、第3条1の規定に従って定められる犯罪を実行し又はその実行に関与した者を特定するため、一又は二以上の国の権限のある当局が、事情を知りながら、かつ、その監視の下に、麻薬、向精神薬、この条約に附属する付表I若しくは付表IIに掲げる物質又はこれらに代わる物質の不正な又はその疑いがある送り荷が当該一又は二以上の国の領域を出、これを通過し又はこれに入ることを認めることとする方法をいう。
(h) 「1961年の条約」とは、1961年の麻薬に関する単一条約をいう。
(i) 「改正された1961年の条約」とは、1961年の麻薬に関する単一条約を改正する1972年の議定書により改正された1961年の麻薬に関する単一条約をいう。
(j) 「1971年の条約」とは、1971年の向精神薬に関する条約をいう。
(k) 「理事会」とは、国際連合の経済社会理事会をいう。
(l) 「凍結」又は「押収」とは、裁判所その他の権限のある当局が出した命令に基づき財産の移転、転換、処分若しくは移動を一時的に禁止すること又は当該命令に基づき財産の一時的な保管若しくは管理を行うことをいう。
(m) 「不正取引」とは、第3条の1及び2に規定する犯罪をいう。
(n) 「麻薬」とは、1961年の麻薬に関する単一条約及び1961年の麻薬に関する単一条約を改正する1972年の議定書により改正された同条約の付表I及び付表IIに掲げる天然又は合成の物質をいう。
(o) 「けし」とは、パパヴェル・ソムニフェルム・L種の植物をいう。
(p) 「収益」とは、第3条1の規定に従って定められる犯罪の実行により生じ又は直接若しくは間接に得られた財産をいう。
(q) 「財産」とは、有体物であるか無体物であるか、動産であるか不動産であるか及び有形であるか無形であるかを問わず、あらゆる種類の財産及びこれらの財産に関する権原又は権利を証明する法律上の書類又は文書をいう。
(r) 「向精神薬」とは、1971年の向精神薬に関する条約の付表Iから付表IVまでに掲げる天然若しくは合成の物質又は自然の産物をいう。
(s) 「事務総長」とは、国際連合事務総長をいう。
(t) 「付表I」及び「付表II」とは、この条約に附属する物質の表でそれぞれ対応する番号を付したもの(第12条の規定に従って改正された場合には、改正後のもの)をいう。
(u) 「通過国」とは、不正な麻薬、向精神薬並びに付表I及び付表IIに掲げる物質がその領域を移動する国であって、これらの原産地でも最終仕向地でもないものをいう。
(条約の適用範囲)
第2条 
1 この条約の目的は、締約国が国際的な広がりをもつ麻薬及び向精神薬の不正取引の種々の部面について一層効果的に対処することができるよう締約国間の協力を促進することにある。締約国は、この条約に基づく義務を履行するに当たり、自国の立法に関する制度の基本的な規定に従い、必要な措置(立法上及び行政上の措置を含む。)をとる。
2 締約国は、国の主権平等及び領土保全の原則並びに国内問題への不干渉の原則に反しない方法で、この条約に基づく義務を履行する。
3 締約国は、他の締約国の領域において、当該他の締約国の当局がその国内法により専ら有する裁判権の行使及び任務の遂行については、これを行ってはならない。
(犯罪及び制裁)
第3条 
1 締約国は、自国の国内法により、故意に行われた次の行為を犯罪とするため、必要な措置をとる。
(a) 
(i) 1961年の条約、改正された1961年の条約又は1971年の条約の規定に違反して、麻薬又は向精神薬を生産し、製造し、抽出し、製剤し、提供し、販売のために提供し、分配し、販売し、交付(名目のいかんを問わない。)し、仲介し、発送し、通過発送し、輸送し、輸入し又は輸出すること。
(ii) 1961年の条約及び改正された1961年の条約の規定に違反して、麻薬を生産するためにけし、コカ樹又は大麻植物を栽培すること。
(iii) (i)に規定する行為のために麻薬又は向精神薬を所持し又は購入すること。
(iv) 麻薬又は向精神薬の不正な栽培、生産又は製造のために用いられることを知りながら、装置、原料又は付表I若しくは付表IIに掲げる物質を製造し、輸送し又は分配すること。
(v) (i)から(iv)までに規定する犯罪を組織し若しくは管理し又はこれらの犯罪に資金を提供すること。
(b) 
(i) (a)の規定に従って定められる犯罪又はこれらの犯罪への参加行為により生じた財産であることを知りながら、当該財産の不正な起源を隠匿し若しくは偽装する目的で又はこれらの犯罪を実行し若しくはその実行に関与した者がその行為による法律上の責任を免れることを援助する目的で、当該財産を転換し又は移転すること。
(ii) (a)の規定に従って定められる犯罪又はこれらの犯罪への参加行為により生じた財産であることを知りながら、当該財産の真の性質、出所、所在、処分若しくは移動又は当該財産に係る権利若しくは当該財産の所有権を隠匿し又は偽装すること。
(c) 自国の憲法上の原則及び法制の基本的な概念に従うことを条件として、
(i) (a)の規定に従って定められる犯罪又はこれらの犯罪への参加行為により生じた財産であることを当該財産を受け取った時において知りながら、当該財産を取得し、所持し又は使用すること。
(ii) 麻薬又は向精神薬の不正な裁培、生産又は製造のために用いられており又は用いられることを知りながら、装置、原料又は付表I若しくは付表IIに掲げる物質を所持すること。
(iii) この条の規定に従って定められる犯罪を実行し又は麻薬若しくは向精神薬を不正に使用することを方法のいかんを問わず公然とあおり又は唆すこと。
(iv) この条の規定に従って定められる犯罪に参加し、これを共謀し、これに係る未遂の罪を犯し、これをほう助し、教唆し若しくは援助し又はこれについて相談すること。
2 締約国は、自国の憲法上の原則及び法制の基本的な概念に従うことを条件として、自国の国内法により、1961年の条約、改正された1961年の条約又は1971年の条約の規定に違反して麻薬又は向精神薬を個人的な使用のために故意に所持し、購入し又は栽培することを犯罪とするため、必要な措置をとる。
3 lに規定する犯罪の要件として求められる認識、故意又は目的は、客観的な事実の状況により推認することができる。
4 
(a) 締約国は、1の規定に従って定められる犯罪の実行につき、これらの犯罪の重大性を考慮した拘禁刑その他の形態の自由を剥奪する刑、罰金刑、没収等の制裁を科する。
(b) 締約国は、1の規定に従って定められる犯罪につき、有罪判決又は処罰のほかに、犯罪者が治療、教育、後保護、更生、社会復帰等の措置を受けることとすることができる。
(c) (a)及び(b)の規定にかかわらず、締約国は、軽微な性質の事件について適当な場合には、有罪判決又は処罰に代わるものとして、教育、更生、社会復帰等の措置を講ずることができるものとし、また、犯罪者が薬物の濫用者であるときは、治療及び後保護の措置を講ずることができる。
(d) 締約国は、2の規定に従って定められる犯罪につき、有罪判決若しくは処罰に代わるものとして又は有罪判決若しくは処罰のほかに、犯罪者の治療、教育、後保護、更生又は社会復帰のための措置を講ずることができる。
5 締約国は、自国の裁判所その他の裁判権を有する権限のある当局が、1の規定に従って定められる犯罪の実行が特に重大であるとして次のような事実の状況を考慮することができるようにする。
(a) 犯罪者の属する組織的な犯罪集団が当該犯罪にかかわっていること。
(b) 当該犯罪以外の国際的かつ組織的な犯罪活動に犯罪者がかかわっていること。
(c) 当該犯罪の実行によって助長されるその他の違法行為に犯罪者がかかわっていること。
(d) 犯罪者による暴力の行使又は武器の使用
(e) 犯罪者が公職にあり、かつ、当該犯罪がその公職に関係しているという事実
(f) 未成年者の犠牲又は利用
(g) 当該犯罪が、刑務所、教育施設若しくは社会サービス施設若しくはこれらの近傍において又は学童及び学生が教育活動、スポーツ活動若しくは社会活動のために集まるその他の場所において行われたという事実
(h) 外国の判決であるか自国の判決であるかを問わず過去の有罪判決、特に当該犯罪と同様の犯罪についての過去の有罪判決(自国の国内法により認められる範囲内のものに限る。)
6 締約国は、この条の規定に従って定められる犯罪を行った者の訴追に関する国内法における法律上の裁量的な権限が、これらの犯罪に関する法の執行が最大の効果を上げるように、かつ、これらの犯罪の実行を抑止することの必要性について妥当な考慮を払って、行使されることを確保するよう努める。
7 締約国は、裁判所その他の権限のある当局が、1の犯罪について有罪とされた者の早期釈放又は仮釈放の可否を検討するに当たり、このような犯罪の重大性及び5の状況に留意することを確保する。
8 締約国は、適当な場合には、自国の国内法により、1の規定に従って定められる犯罪につき、公訴を提起することができる長期の出訴期間を定めるものとし、また、容疑者が裁判を逃れているときは、一層長期の期間を定める。
9 締約国は、自国の法制に適合する範囲内で、1の規定に従って定められる犯罪について訴追され又は有罪とされた者で自国の領域内において発見されたものが所要の刑事手続に出頭することを確保するための適当な措置をとる。
10 この条約に基づく締約国間の協力(特に、第5条から第7条まで及び第9条の規定に基づくものを含む。)においては、この条の規定に従って定められる犯罪は、財政に係る犯罪、政治犯罪又は政治的な動機による犯罪として取り扱ってはならない。もっとも、締約国の憲法上の制限及び基本的な国内法の規定の適用を妨げるものではない。
11 この条のいかなる規定も、締約国の国内法によりこの条に規定する犯罪及び当該犯罪に係る法律上の犯罪阻却事由を定義し並びにこれらの犯罪を訴追し及び処罰するという原則に影響を及ぼすものではない。
(裁判権)
第4条 
1 締約国は、
(a) 次の場合において前条1の規定に従って自国が定める犯罪についての自国の裁判権を設定するため、必要な措置をとる。
(i) 犯罪が自国の領域内で行われる場合
(ii) 犯罪が、その行われる時に自国の法律により登録され若しくは自国の旗を掲げることを認められていた船舶又は当該時に自国の法律により登録されていた航空機内で行われる場合
(b) 次の場合において前条1の規定に従って自国が定める犯罪についての自国の裁判権を設定するため、必要な措置をとることができる。
(i) 犯罪が自国の国民又は自国の領域内に常居所を有する者によって行われる場合
(ii) 犯罪が、自国が第17条の規定に従って適当な措置をとることについて許可を得た船舶で行われる場合。ただし、その裁判権の行使は、同条の4及び9の規定に基づく協定又は取極に従って行う。
(iii) 犯罪が前条1(c)(iv)の規定に従って定められる犯罪である場合において、当該犯罪を、同条1の規定に従って定められる犯罪を自国の領域内において行うために、自国の領域外において行うとき。
2 締約国は、更に、
(a) 容疑者が自国の領域内に所在し、かつ、自国が他の締約国に対して次のいずれかの事由により当該容疑者の引渡しを行わない場合においては、前条1の規定に従って自国が定める犯罪についての自国の裁判権を設定するため、必要を措置をとる。
(i) 犯罪が、自国の領域内で行われ、又はその行われた時に自国の法律により登録され若しくは自国の旗を掲げることを認められていた船舶若しくは当該時に自国の法律により登録されていた航空機内で行われたこと。
(ii) 犯罪が自国の国民によって行われたこと。
(b) 容疑者が自国の領域内に所在し、かつ、自国が他の締約国に対して当該容疑者の引渡しを行わない場合においては、前条1の規定に従って自国が定める犯罪についての自国の裁判権を設定するため、必要な措置をとることができる。
3 この条約は、締約国が自国の国内法に従って設定した刑事裁判権の行使を排除するものではない。
(没収)
第5条 
1 締約国は、次のものの没収を可能とするため、必要な措置をとる。
(a) 第3条1の規定に従って定められる犯罪により生じた収益又はその収益に相当する価値を有する財産
(b) 第3条1の規定に従って定められる犯罪において、方法のいかんを問わず、用い又は用いようとした麻薬、向精神薬、原料及び装置その他の道具
2 締約国は、また、自国の権限のある当局が1の収益、財産又は道具その他の物を最終的に没収するために特定し、追跡し及び凍結又は押収をすることができるようにするため、必要な措置をとる。
3 締約国は、この条に規定する措置を実施するため、自国の裁判所その他の権限のある当局に対し、銀行、財務又は商取引の記録の提出又は押収を命令する権限を与える。締約国は、銀行による秘密の保持を理由としては、この3の規定に基づく行動をとることを拒否することができない。
4 
(a) 締約国は、1の収益、財産及び道具その他の物が自国の領域内にある場合には、第3条1の規定に従って定められる犯罪についての裁判権を設定した他の締約国によるこの条の規定に基づく要請により、次のいずれかの措置をとる。
(i) 没収についての命令を得るため、当該要請を自国の権限のある当局に提出し、当該命令が出されたときは、これを執行すること。
(ii) 当該要請を行った締約国により出された1の規定に基づく没収についての命令が当該要請を受けた締約国の領域内にある1の収益、財産及び道具その他の物に関するものであるときは、当該命令を、要請される範囲内で執行するため、当該要請を受けた締約国の権限のある当局に提出すること。
(b) 締約国は、第3条1の規定に従って定められる犯罪についての裁判権を設定した他の締約国によるこの条の規定に基づく要請を受けた場合には、当該他の締約国又は(a)の規定に基づく要請に従い自国が没収についての命令を最終的に出すために1の収益、財産又は道具その他の物を特定し、追跡し及び凍結又は押収することができるようにするための措置をとる。
(c) (a)及び(b)に規定する処分又は行為は、要請を受けた締約国の国内法及び手続規則又は当該要請を受けた締約国を当該要請を行った締約国との関係において拘束する二国間若しくは多数国間の条約、協定若しくは取極に従って、かつ、これらを条件として行う。
(d) 第7条の6から19までの規定は、この条を適用する場合について準用する。この条の規定に基づく要請には、第7条10に規定する情報のほか、次の事項を含む。
(i) (a)(i)の規定に基づく要請にあっては、没収されるべき財産についての記載及び当該要請を行った締約国が基礎とする事実であって、当該要請を受けた締約国がその国内法に従い命令を得ることを可能とするに足りるものの記述
(ii) (a)(ii)の規定に基づく要請にあっては、当該要請を行った締約国が出した当該要請に係る没収についての命令の法律上認められる謄本、事実の記述及び命令の執行が要請される範囲に関する情報
(iii) (b)の規定に基づく要請にあっては、当該要請を行った締約国が基礎とする事実の記述及び要請する措置についての記載
(e) 締約国は、この4の規定を実施する自国の法令の条文及びその法令に変更があった場合にはその変更後の条文を、事務総長に提出する。
(f) 関連する条約の存在を(a)及び(b)の措置をとるための条件とする締約国は、この条約を必要かつ十分な根拠となる条約として取り扱う。
(g) 締約国は、この条に基づく国際協力の実効性を高めるため、二国間又は多数国間の条約、協定又は取極を締結するよう努める。
5 
(a) 締約国が1又は4の規定に基づいて没収した収益又は財産は、当該締約国の国内法及び行政手続に従って処分する。
(b) 締約国は、この条に基づく他の締約国の要請により行動する場合には、次のことについての協定を締結することに特に考慮を払うことができる。
(i) (a)の収益若しくは財産の価値、これらの収益若しくは財産の売却により生じた資金又はこれらの価値若しくは資金の相当な部分を、麻薬及び向精神薬の不正取引及び濫用の防止に専ら取り組んでいる政府間機関に寄附すること。
(ii) 定期的に又は個々の場合に応じて、(a)の収益若しくは財産又はこれらの売却により生じた資金を、自国の国内法若しくは行政手続又はこれらの配分のために締結する二国間若しくは多数国間の協定に従い他の締約国との間で配分すること。
6 
(a) 収益が他の財産に変形し又は転換した場合には、当該収益に代えて当該他の財産につきこの条に規定する措置をとることができる。
(b) 収益が合法的な出所から取得された財産と混同した場合には、押収又は凍結のいかなる権限も害されることなく、当該混同した収益の評価価値を限度として当該財産について没収することができる。
(c) 次のものから生じた収入その他の利益について、収益と同様の方法により及び同様の限度においてこの条に規定する措置をとることができる。
(i) 収益
(ii) 収益が変形し又は転換した財産
(iii) 収益が混同した財産
7 締約国は、没収の対象となる疑いがある収益その他の財産の合法的な出所につき、自国の国内法の原則及び司法その他の手続の性質に適合する範囲内で、挙証責任が転換されることを確保することを検討することができる。
8 この条の規定は、善意の第三者の権利を害するものと解してはならない。
9 この条のいかなる規定も、この条に規定する措置が締約国の国内法に従って、かつ、これを条件として定められ及び実施されるという原則に影響を及ぼすものではない。
(犯罪人引渡し)
第6条 
1 この条の規定は、締約国が第3条1の規定に従って定める犯罪について適用する。
2 この条の規定の適用を受ける犯罪は、締約国間の現行の犯罪人引渡条約における引渡犯罪とみなされる。締約国は、相互間で将来締結されるすべての犯罪人引渡条約にこの条の規定の適用を受ける犯罪を引渡犯罪として含めることを約束する。
3 条約の存在を犯罪人引渡しの条件とする締約国は、自国との間に犯罪人引渡条約を締結していない他の締約国から犯罪人引渡しの請求を受けた場合には、この条約をこの条の規定の適用を受ける犯罪に関する犯罪人引渡しのための法的根拠とみなすことができる。この条約を犯罪人引渡しの法的根拠とするために具体的な立法を必要とする締約国は、必要な立法を行うことを考慮する。
4 条約の存在を犯罪人引渡しの条件としない締約国は,相互間で、この条の規定の適用を受ける犯罪を引渡犯罪と認める。
5 犯罪人引渡しは、請求を受けた締約国の法令に定める条件又は適用可能な犯罪人引渡条約に定める条件に従う。これらの条件には、請求を受けた締約国が犯罪人引渡しを拒否することができる理由を含む。
6 この条の規定による請求を受けた締約国は、当該請求を考慮するに当たり、自国の司法当局その他の権限のある当局が、当該請求に応ずることにより、人種、宗教、国籍若しくは政治的意見を理由とする当該請求の対象となる者の訴追若しくは処罰を容易にし又はその者がこれらの理由による侵害を受けると信ずるに足りる実質的な根拠がある場合には、当該請求に応ずることを拒否することができる。
7 締約国は、この条の規定の適用を受ける犯罪につき、犯罪人引渡手続を迅速に行うよう努めるものとし、また、この手続についての証拠に関する要件を簡易にするよう努める。
8 請求を受けた締約国は、状況が正当かつ緊急であると認められる場合において当該請求を行った締約国の請求があるときは、自国の国内法及び犯罪人引渡条約に従うことを条件として、その引渡しが求められている自国の領域内に所在する者を抑留することその他犯罪人引渡手続へのその者の出頭を確保するための適当な措置をとることができる。
9 締約国は、容疑者が自国の領域内において発見された場合において、自国の国内法に従って設定した刑事裁判権の行使を妨げられることなく、
(a) 第3条1の規定に従って定められる犯罪につき第4条2(a)に規定する事由に基づいて当該容疑者の引渡しを行わない場合には、請求を行った締約国との間で別段の合意があるときを除くほか、訴追のため自国の権限のある当局に事件を付託する。
(b) 第3条1の規定に従って定められる犯罪につき当該容疑者の引渡しを行わず、かつ、当該犯罪について第4条2(b)に基づく裁判権を設定している場合には、請求を行った締約国からその正当な裁判権を保持するための請求を受けたときを除くほか、訴追のため自国の権限のある当局に事件を付託する。
10 請求を受けた締約国は、刑の執行を目的とする犯罪人引渡しをその引渡しの対象となる者が自国の国民であるという理由により拒否した場合において、当該請求を行った締約国からの申出があるときは、自国の法律が認め、かつ、その法律の要件に適合する限りにおいて、当該請求を行った締約国の法律に従って言い渡された刑又はその残余の執行について考慮する。
11 締約国は、犯罪人引渡しを行い又はその実効性を高めるための二国間又は多数国間の協定を締結するよう努める。
12 締約国は、この条の規定の適用を受ける犯罪につき拘禁刑その他の形態の自由を剥奪する刑を言い渡された者を、その者の国においてその刑の執行を可能とするため、当該国に移送することに関する二国間又は多数国間の協定(個別的なものであるか一般的なものであるかを問わない。)を締結することを考慮することができる。
(法律上の相互援助)
第7条 
1 締約国は、この条の規定に基づき、第3条1の規定に従って定められる犯罪に関する捜査、訴追及び司法手続において、最大限の法律上の援助を相互に与える。
2 この条の規定に従って与えられる法律上の相互援助については、次の事項のために要請することができる。
(a) 供述の取得
(b) 裁判上の文書の送達の実施
(c) 捜索及び押収の実施
(d) 物及び場所の見分
(e) 情報及び証拠物の提供
(f) 関連する文書及び記録(銀行、財務、法人又は業務の記録を含む。)の原本又は証明された謄本の提供
(g) 証拠のための収益、財産及び道具その他の物の特定又は追跡
3 締約国は、要請を受けた締約国の国内法によって認められるその他の形態の法律上の援助を相互に与えることができる。
4 締約国は、要請があるときは、自国の国内法及び慣行に適合する範囲内で、捜査に協力し若しくは司法手続に参加することに同意する者(抑留中の者を含む。)の出頭又は協力を促進し、又は奨励する。
5 締約国は、銀行による秘密の保持を理由としては、この条の規定に基づく法律上の相互援助を与えることを拒否することができない。
6 この条の規定は、刑事問題に関する法律上の相互援助を全面的又は部分的に定める現行の又は将来締結される二国間又は多数国間の他の条約に基づく義務に影響を及ぼすものではない。
7 8から19までの規定は、関係締約国が法律上の相互援助に関する条約によって拘束されていない場合には、この条の規定に従って行われる要請について適用する。当該関係締約国がそのような条約によって拘束されている場合には、そのような条約の対応する規定は、当該関係締約国がこれらの規定に代えて8から19までの規定を適用することに合意する場合を除くほか、適用する。
8 締約国は、法律上の相互援助の要請を実施し又はその要請をその実施のために権限のある当局に送付する責任及び権限を有する一の当局又は必要な場合には二以上の当局を指定するものとし、指定されたその一又は二以上の当局を事務総長に通知する。法律上の相互援助の要請の送付及びその要請に関連する通報は、締約国が指定した当局の間で行う。この規定は、このような要請及び通報が外交上の経路により、又は緊急の状況において関係締約国が合意しかつ可能な場合には国際刑事警察機構を通じて行われることを要求する締約国の権利を害するものではない。
9 要請は、当該要請を受けた締約国が受け入れることができる言語による書面によって行う。各締約国が受け入れることができる一又は二以上の言語は、事務総長に通知する。緊急の状況において関係締約国が合意する場合には、要請は、口頭によって行うことができるが、直ちに書面によって確認する。
10 法律上の相互援助の要請には、次の事項を含む。
(a) 要請を行う当局の特定
(b) 要請に係る捜査、訴追又は司法手続の対象及びその性質並びにこれらの捜査、訴追又は司法手続を行う当局の名称及び任務
(c) 関連する事実の概要(裁判上の文書の送達のための要請の場合を除く。)
(d) 要請する援助についての記載及び要請を行った締約国がとられることを希望する特別の手続の詳細
(e) 可能な場合には、関係者の特定、居所及び国籍
(f) 証拠、情報又は措置が求められる目的
11 要請を受けた締約国は、追加の情報が自国の国内法に従って当該要請を実施するために必要と認める場合又は追加の情報が当該要請の実施を容易にすることができる場合には、当該追加の情報を求めることができる。
12 要請は、当該要請を受けた締約国の国内法に従って実施するものとし、また、その国内法に違反しない範囲内で、及び可能な場合には当該要請において明示された手続に従って実施する。
13 要請を行った締約国は、当該要請を受けた締約国が提供した情報又は証拠を、当該要請を受けた締約国の事前の同意なしに、当該要請において明記された捜査、訴追又は司法手続以外のもののために送付し、又は利用してはならない。
14 要請を行った締約国は、当該要請を受けた締約国が当該要請の実施に必要な範囲を除くほか当該要請の事実及び内容を秘密のものとして取り扱うことを求めることができる。当該要請を受けた締約国が秘密のものとして取り扱うことができない場合には、当該要請を受けた締約国は、速やかにその旨を当該要請を行った締約国に通報する。
15 法律上の相互援助は、次の場合には拒否することができる。
(a) 要請がこの条の規定に従って行われていない場合
(b) 要請を受けた締約国が当該要請の実施により自国の主権、安全、公の秩序その他の重要な利益を害されるおそれがあると認める場合
(c) 要請を受けた締約国の当局が、当該要請に係る犯罪と同様の犯罪について捜査、訴追又は司法手続が当該当局の管轄内において行われているとした場合において、要請された措置をとることを自国の国内法により禁止されているとき。
(d) 要請を受け入れることが当該要請を受けた締約国の法律上の相互援助に関する法制に違反することとなる場合
16 法律上の相互援助を拒否する場合には、その理由を示さなければならない。
17 要請を受けた締約国は、進行中の捜査、訴追又は司法手続が法律上の相互援助により妨げられることを理由として、その相互援助を延期することができる。この場合において、当該要請を受けた締約国は、自国が必要と認める条件に従ってその相互援助を行うか行わないかについて決定するために当該要請を行った締約国と協議する。
18 要請を行った締約国の領域において、司法手続において証言を行い又は捜査、訴追若しくは司法手続に協力することに同意する証人、専門家その他の者は、当該要請を受けた締約国の領域を出発する前の行為、不作為又は有罪判決につき、当該要請を行った締約国の領域において訴追、拘禁若しくは処罰をされず、又は身体の自由についての他のいかなる制限も課せられない。このような保証措置は、当該証人、専門家その他の者が、当該要請を行った締約国の司法当局により出頭することを要求されなくなったことを公式に伝えられた日から引き続く15日の期間(当該両締約国が合意する期間がある場合には、その期間)内において当該要請を行った締約国の領域から離れる機会を有していたにもかかわらず当該領域内に任意に滞在していたときにあっては当該期間が満了した時に、又は当該領域から離れた後自己の自由意思で当該領域に戻ってきたときにあってはその時にそれぞれ終了する。
19 要請の実施に要する通常の費用は、関係締約国間において別段の合意がある場合を除くほか、当該要請を受けた締約国が負担する。要請を実施するために高額な経費又は特別の性質の経費が必要であり又は必要となる場合には、関係締約国は、当該要請を実施する条件及び費用の負担の方法を決定するために協議する。
20 締約国は、必要な場合には、この条の規定の目的に寄与し、この条の規定を実際に実施し又はこの条の規定の効果を高めるための二国間又は多数国間の協定又は取極の締結の可能性を考慮する。
(手続の移管)
第8条 締約国は、裁判の正当な運営の利益になると認める場合には、第3条1の規定に従って定められる犯罪の刑事訴追のための手続を相互に移管することの可能性について考慮する。
(その他の形態の協力及び訓練)
第9条 
1 締約国は、自国の法律上及び行政上の制度に従い、第3条1の規定に従って定められる犯罪の実行を防止するための法執行の活動の効果を上げるために、相互にかつ緊密に協力する。締約国は、特に、二国間又は多数国間の協定又は取極に基づき、次のことを行う。
(a) 第3条1の規定に従って定められる犯罪のすべての部面(自国が適当と認める場合には、他の犯罪活動との関連を含む。)に関する情報の確実かつ迅速な交換を促進するため、権限のある機関相互間の連絡の経路を設け、維持すること。
(b) 第3条1の規定に従って定められる犯罪であって国際的性格を有するものについて次の事項に関する照会を行うに当たり、相互に協力すること。
(i) 第3条1の規定に従って定められる犯罪にかかわっていると疑われる者の特定、所在及び活動
(ii) (i)の犯罪の実行により生じた収益又は財産の移動
(iii) (i)の犯罪の実行に用い又は用いようとした麻薬、向精神薬、付表I及び付表IIに掲げる物質並びに道具の移動
(c) 適当な場合において、国内法に違反しないときは、この1の規定を実施するため合同の班を設けること(これに当たり、班員及びその班の活動の安全を保護することの必要性を考慮する。)。その班に参加する締約国の公務員は、領域内においてその活動が行われる締約国の適当な当局の承認を受けて行動する。このような場合において、関係締約国は、領域内においてその活動が行われる締約国の主権が十分に尊重されることを確保する。
(d) 適当な場合には、分析又は捜査のために必要な量の物質を提供すること。
(e) 権限のある機関相互間の効果的な調整を促進し及び職員その他の専門家の交換(連絡員の配置を含む。)を推進すること。
2 締約国は、必要な範囲内で、第3条1の規定に従って定められる犯罪の防止の任務を課せられた自国の法執行に当たる職員その他の職員(税関職員を含む。)のための特別な訓練計画を開始し、発展させ、又は改善する。その訓練計画には、特に次の事項を含む。
(a) 第3条1の規定に従って定められる犯罪の探知及び防止に用いられる方法
(b) 第3条1の規定に従って定められる犯罪にかかわっていると疑われる者が特に通過国において用いる経路及び技術並びにこれらへの適当な対策
(c) 麻薬、向精神薬並びに付表I及び付表IIに掲げる物質の輸入及び輸出の監視
(d) 第3条1の規定に従って定められる犯罪により生じた収益及び財産並びにこれらの犯罪の実行に用い又は用いようとした麻薬、向精神薬、付表I及び付表IIに掲げる物質並びに道具の移動の探知及び監視
(e) (d)の収益、財産及び道具の移転、隠匿又は偽装に用いられる方法
(f) 証拠の収集
(g) 自由貿易地帯及び自由港における統制の技術
(h) 法執行の最新の技術
3 締約国は、2に規定する分野における専門知識を共有するための調査計画及び訓練計画を策定し及び実施するため相互に援助するものとし、そのため、適当な場合には、協力を推進する地域間の又は国際的な会議及びセミナーを利用し、並びに相互に関心のある問題(通過国にとっての特殊な問題及び必要な事項を含む。)についての討論を奨励する。
(通過国のための国際協力及び援助)
第10条 
1 締約国は、直接に又は権限のある国際的若しくは地域的機関を通じ、通過の阻止その他の関連する活動についての技術協力計画により、可能な範囲内で、通過国、特に援助及び支援を必要とする開発途上国を援助し及び支援するために協力する。
2 締約国は、直接に又は権限のある国際的若しくは地域的機関を通じ、1の通過国に対し、不正取引の効果的な規制及び防止に必要な基盤を向上させ及び強化するため、資金援助を提供することを約束することができる。
3 締約国は、この条の規定に基づく国際協力の実効性を高めるため二国間又は多数国間の協定又は取極を締結することができるものとし、また、その締結に当たっては財政上の取極を考慮することができる。
(監視付移転)
第11条 
1 締約国は、自国の国内法制の基本原則によって認められる場合には、第3条1の規定に従って定められる犯罪にかかわっている者を特定し、その者に対して法的措置をとるため、相互に合意する協定又は取決めにより、国際的な規模における監視付移転の適当な利用ができるように、可能な範囲内で必要な措置をとる。
2 監視付移転を利用することの決定は、個々にその事例に応じて行うものとし、また、必要な場合には、その決定に当たり、財政上の取極及び関係締約国の裁判権の行使に関する了解を考慮することができる。
3 監視付移転の利用が合意された不正な送り荷については、関係締約国の同意の下にこれを差し止め、及び麻薬若しくは向精神薬をそのままで又はその全部若しくは一部を抜き取って若しくは差し換えて送付の続行を認めることができる。
(麻薬又は向精神薬の不正な製造に頻繁に使用される物質)
第12条 
1 締約国は、付表I及び付表IIに掲げる物質が麻薬又は向精神薬の不正な製造に流用されることを防止するための適当と認める措置をとるものとし、このために相互に協力する。
2 締約国又は統制委員会は、自己の有する資料により一の物質を付表I又は付表IIに加えることが必要であると認める場合には、事務総長に対し、その旨を通告し、かつ、その通告の裏付けとなる資料を提出する。この2から7までに規定する手続は、締約国又は統制委員会が一の物質を付表I若しくは付表IIから削り又は一方の付表の物質を他方の付表に転記することを正当とする資料を有する場合についても、適用する。
3 事務総長は、2の通告及び関係があると認める資料を締約国、麻薬委員会及びその通告が締約国によって行われたときは統制委員会に送付する。締約国は、事務総長に対し、当該通告に関する意見を、統制委員会が評価を行い及び麻薬委員会が決定を行うに当たって役立つと考えられるすべての補足的資料とともに、通知する。
4 統制委員会は、2の物質の正当な使用の程度、重要性及び多様性を考慮し、かつ、正当な目的の場合にも麻薬又は向精神薬の不正な製造の場合にも代替物質を使用することができる可能性及び容易さを考慮した上で、次の(a)及び(b)の基準が満たされていると認める場合には、麻薬委員会に対し、当該物質についての評価(当該物質を付表I又は付表IIに加えることが正当な使用及び不正な製造に及ぼすと思われる効果を含む。)を、その評価に照らして適当と認める監視措置を勧告するときにあってはその勧告とともに、通知する。
(a) 当該物質が麻薬又は向精神薬の不正な製造に頻繁に使用されること。
(b) 麻薬又は向精神薬の不正に製造された量及び程度が国際的な行動を正当化するに足りる公衆の健康上又は社会上の深刻な問題を引き起こすこと。
5 麻薬委員会は、締約国が提出した意見並びに統制委員会の意見及び勧告を考慮する(ただし、科学的な事項に関する統制委員会の評価は、そのまま受け入れなければならない。)とともに、その他関連のあるすべての要因を十分考慮して、その構成国の3分の二以上の多数による議決で、一の物質を付表I又は付表IIに加えることを決定することができる。
6 麻薬委員会がこの条の規定に基づいて行ういずれの決定も、事務総長により、すべての国その他の者(この条約の締約国であるか締約国となることができるものであるかを問わない。)及び統制委員会に通知される。当該決定は、その通知の日の後180日を経過した後、各締約国について完全に効力を生ずる。
7 
(a) この条の規定に基づいて行われた麻薬委員会の決定は、いずれかの締約国がその決定の通知の日の後180日以内に要請する場合には、理事会の審査を受ける。審査の要請は、その基礎となっているすべての関係資料とともに、事務総長に送付する。
(b) 事務総長は、審査の要請及び関係資料の写しを麻薬委員会、統制委員会及びすべての締約国に送付し、90日以内にその意見を提出するよう要請する。事務総長が受領したすべての意見は、審議のため理事会に提出される。
(c) 理事会は、麻薬委員会の決定を確認し又は取り消すことができる。理事会の決定の通知は、すべての国その他の者(この条約の締約国であるか締約国になることができるものであるかを問わない。)、麻薬委員会及び統制委員会に送付される。
8 
(a) 1の原則的規定並びに1961年の条約、改正された1961年の条約及び1971年の条約の原則的規定の適用を妨げることなく、締約国は、自国の領域において行われる付表I及び付表IIに掲げる物質の製造及び分配を監視するために適当と認める措置をとる。
(b) このため、締約国は、次のことを行うことができる。
(i) 当該物質の製造及び分配に従事する人及び企業を監督すること。
(ii) (i)の製造又は分配を行う施設及びその建造物を免許制度によって監督すること。
(iii) 免許を取得した者が(i)に規定する業務を行うための許可を受けることを義務付けること。
(iv) 製造業者及び分配業者の手元にその業務の正常な遂行及び市場の一般的状況に必要な数量を超えて当該物質が蓄積されることを防止すること。
9 締約国は、付表I及び付表IIに掲げる物質について次の措置をとる。
(a) 疑わしい取引の特定を促進するため、付表I及び付表IIに掲げる物質の国際取引を監視する制度を設置し、維持する。その監視制度は、製造業者、輸入者、輸出者、卸売業者及び小売業者との緊密な協力により行うものとし、これらの者は、疑わしい注文及び取引について権限のある当局に通報する。
(b) 麻薬又は向精神薬の不正な製造のために使用されているとの十分な証拠があるときは、付表I又は付表IIに掲げる物質を押収することを定める。
(c) 付表I又は付表IIに掲げる物質の輸入、輸出又は通過が麻薬又は向精神薬の不正な製造に使用されるためのものであると信ずるに足りる理由がある場合には、特に、支払方法その他そのように信ずるに至った主要な理由についての情報を含め、これを関係締約国の権限のある当局及び機関に対して可及的速やかに通報する。
(d) 輸入品及び輸出品に適正な表示がされ並びにこれらについて書類が適切に備えられることを義務付ける。商取引の書類、例えば、送り状、積荷の目録、税関の書類、輸送についての書類、その他の積荷についての書類等には、輸入又は輸出される物質の付表I又は付表IIに掲げる名称、輸入又は輸出される数量並びに輸出者、輸入者及び可能な場合には荷受人の氏名及び住所が含まれなければならない。
(e) (d)の書類が2年以上の期間保存され及び権限のある当局の検査に供されることができるようにする。
10 
(a) 9の規定に加えて、自国の領域から付表Iに掲げる物質が輸出される締約国は、関係締約国が事務総長に要請する場合には、その輸出に先立ち、自国の権限のある当局が次の情報を輸入国の権限のある当局に提供することを確保する。
(i) 輸出者、輸入者及び可能な場合には荷受人の氏名及び住所
(ii) 付表Iに掲げる物質の名称
(iii) 輸出される物質の数量
(iv) 入国予定の地点及び発送予定の日付
(v) その他の情報で関係締約国間で合意されるもの
(b) 締約国は、必要であり又は望ましいと認める場合には、この10に規定する措置よりも精細な又は厳しい統制措置をとることができる。
11 いずれかの締約国が他の締約国に対し9又は10の規定に従って情報を提供する場合には、その情報を提供する締約国は、その情報を受ける締約国に対し、すべての取引上、業務上、商取引上若しくは職業上の秘密又は取引の過程を秘密のものとして取り扱うことを求めることができる。
12 締約国は、毎年、統制委員会に対し、同委員会の定める様式及び方法により、同委員会の提供する用紙を用いて、次の資料を提出する。
(a) 付表I及び付表IIに掲げる物質で押収されたものの数量及び判明するときはその出所
(b) 付表I又は付表IIに掲げられていない物質であって、麻薬又は向精神薬の不正な製造に使用されたことが明らかになり、かつ、締約国がこれにつき統制委員会の注意を喚起する十分な意義があると認めるもの
(c) 流用及び不正な製造の方法
13 統制委員会は、毎年、麻薬委員会に対し、この条の規定の実施状況を報告するものとし、麻薬委員会は、定期的に、付表I及び付表IIが適切かつ妥当であるかを検討する。
14 この条の規定は、付表I又は付表IIに掲げる物質を含有する医薬品の製剤その他の製剤であって当該物質を簡単には用いることができず又は当該物質を容易に用い得る手段では回収することができないように調合されているものについては、適用しない。
(原料及び装置)
第13条 締約国は、麻薬及び向精神薬の不正な生産又は製造のための原料及び装置の取引及び流用を防止するために適当と認める措置をとるものとし、このために協力する。
(麻薬植物の不正な栽培を撲滅し並びに麻薬及び向精神薬の不正な需要を無くすための措置)
第14条 
1 締約国がこの条約によりとる措置は、1961年の条約、改正された1961年の条約及び1971年の条約の規定であって、麻薬及び向精神薬を含有する植物の不正な栽培を撲滅するため並びにこれらの麻薬及び向精神薬の不正な需要を無くすために適用されるものよりも緩やかなものであってはならない。
2 締約国は、麻薬又は向精神薬を含有するけし、コカ樹、大麻等の植物であって自国の領域内において不正に栽培されたものにつき、その不正な栽培を防止し及びこれらの植物を撲滅するための適当な措置をとる。その措置をとるに当たっては、基本的人権を尊重するものとし、また、歴史的にみてその証拠がある場合には伝統的かつ正当な使用について妥当な考慮を払うとともに、環境の保護についても妥当な考慮を払う。
3 
(a) 締約国は、撲減のための努力の実効性を高めるために協力することができる。その協力には、特に、適当な場合には、不正な栽培に代えて経済的に成り立つ事業ができるようにする総合的な農村開発のための支援を含めることができる。このような農村開発のための計画を実施するに先立ち、市場への進出の機会、資源利用の可能性、社会経済の一般的状況等の要素を考慮するものとする。締約国は、その他の適当な協力についての措置に関し合意することができる。
(b) 締約国は、また、撲滅に関し科学的及び技術的情報を交換し並びに調査を行うことを促進する。
(c) 共通の国境を有する締約国は、その国境に沿ったそれぞれの地域における撲滅計画について協力するよう努める。
4 締約国は、人類の苦しみを軽減させ及び不正取引に対する金銭上の誘因を無くすため、麻薬及び向精神薬の不正な需要を無くし又は減少させるための適当な措置をとる。その措置は、特に、国際連合、世界保健機関等の国際連合の専門機関その他権限のある国際機関の勧告並びに1987年に開催された薬物の濫用及び不正取引に関する国際会議において採択された総合対策要綱のうち、防止、治療及び更生の分野における政府機関、非政府機関及び民間の努力に関するものを基礎とすることができる。締約国は、麻薬及び向精神薬の不正な需要を無くし又は減少させるため、二国間又は多数国間の協定又は取極を締結することができる。
5 締約国は、また、押収し又は没収した麻薬、向精神薬並びに付表I及び付表IIに掲げる物質を早期に廃棄し又は合法的に処分するため並びに正当に証明された必要量のこれらの物質を証拠として用いることができるようにするための必要な措置をとることができる。
(商業運送業者)
第15条 
1 締約国は、商業運送業者が用いる輸送手段が第3条1の規定に従って定められる犯罪の実行に利用されることのないよう適当な措置をとる。その措置には、商業運送業者との間の特別の取決めを含めることができる。
2 締約国は、商業運送業者に対し、その輸送手段が第3条1の規定に従って定められる犯罪の実行に利用されることを防止するために適当な注意を払うことを義務付ける。その注意には、次のことを含めることができる。
(a) 商業運送業者が当該締約国の領域内に主たる営業所を有する場合には、
(i) 疑わしい送り荷又は人を判別するため職員を訓練すること。
(ii) 職員の誠実性を高めること。
(b) 商業運送業者が当該締約国の領域内において営業を行っている場合には、
(i) 可能なときは事前に積荷の目録を提出すること。
(ii) 容易に開封することができない封印であって開封されたかされなかったかを個別に確認することができるものを送り荷の容器に使用すること。
(iii) 第3条1の規定に従って定められる犯罪の実行に関係があると思われるすべての疑わしい状況をできる限り早い機会に適当な当局に報告すること。
3 締約国は、許可を得ていない者の輸送手段及び貨物への接近を防止し並びに適当な防護措置を実施するため、商業運送業者と適当な当局とが出入国地点その他の税関の統制区域において協力することを確保するよう努める。
(商取引の書類及び輸出品の表示)
第16条 
1 締約国は、麻薬及び向精神薬の合法的な輸出について書類が適切に備えられることを義務付ける。1961年の条約第31条、改正された1961年の条約第31条及び1971年の条約第12条の規定に従って必要とされる書類のほかに、商取引の書類、例えば、送り状、積荷の目録、税関の書類、輸送についての書類、その他の積荷についての書類等には、輸出する麻薬及び向精神薬につき、1961年の条約、改正された1961年の条約及び1971年の条約のそれぞれの付表に掲げる名称、輸出される数量並びに輸出者、輸入者及び可能な場合には荷受人の氏名及び住所が含まれなければならない。
2 締約国は、輸出する麻薬及び向精神薬の送り荷に不適正な表示がないようにすることを義務付ける。
(海上における不正取引)
第17条 
1 締約国は、海洋に関する国際法により、海上における不正取引を防止するため、可能な最大限度の協力を行う。
2 締約国は、自国の旗を掲げる船舶又は旗を掲げておらずかつ登録標識を表示していない船舶が不正取引に関与していると疑うに足りる合理的な理由を有するときは、不正取引のためにこれらの船舶が用いられることを防止するに当たり、他の締約国の援助を要請することができる。要請を受けた締約国は、その用いることのできる手段の範囲内で援助を行う。
3 締約国は、国際法に基づく航行の自由を行使する船舶であって他の締約国の旗を掲げ又は登録標識を表示するものが不正取引に関与していると疑うに足りる合理的な理由を有する場合には、その旨を旗国に通報し及び登録の確認を要請することができるものとし、これが確認されたときは、当該船舶について適当な措置をとることの許可を旗国に要請することができる。
4 旗国は、3の要請を行った締約国に対し、3の規定、これらの締約国の間において効力を有する条約又は当該締約国間の別段の合意がされた協定若しくは取極に従い、特に、次のことについて許可を与えることができる。
(a) 当該船舶に乗船すること。
(b) 当該船舶を捜索すること。
(c) 不正取引にかかわっていることの証拠が発見された場合には、当該船舶並びにその乗船者及び積荷について適当な措置をとること。
5 関係締約国は、この条の規定に従って措置をとる場合には、海上における人命、船舶及び積荷の安全を危うくし又は旗国その他の関係国の商取引上及び法律上の利益を害することのないよう妥当な考慮を払う。
6 旗国は、1に規定する義務の範囲内で、4の許可に自国と要請を行った締約国との間において合意される条件(責任に関する条件を含む。)を付することができる。
7 3及び4の規定の適用上、締約国は、自国の旗を掲げる船舶が自国の旗を掲げることが許されているかいないかを確定するための他の締約国からの要請及び3の規定に従って与えられる許可についての要請に対し、速やかに回答する。締約国は、この条約の締結の際に、これらの要請を受け及びこれらの要請に回答する一の当局又は必要な場合には二以上の当局を指定する。その指定については、その指定の後一箇月以内に事務総長を通じて他のすべての締約国に通報する。
8 この条の規定に基づく措置をとる締約国は、その措置の結果を速やかに関係旗国に通報する。
9 締約国は、この条の規定を実施し又はその実効性を高めるため、二国間又は地域間の協定又は取極を締結することを考慮する。
10 4の規定に基づく措置は、軍艦、軍用航空機その他政府の公務に使用されていることが明らかに表示されておりかつ識別されることのできる船舶又は航空機でそのための権限を与えられているものによってのみとることができる。
11 この条の規定に基づいてとられる措置については、海洋に関する国際法に基づく沿岸国の権利及び義務並びに裁判権の行使を妨げ又はこれらに影響を及ぼすことのないよう妥当な考慮を払う。
(自由貿易地帯及び自由港)
第18条 
1 締約国は、自由貿易地帯及び自由港において、麻薬、向精神薬並びに付表I及び付表IIに掲げる物質の不正取引を防止するため、自国の領域の他の部分において適用されている措置よりも緩やかな措置をとってはならない。
2 締約国は、次のことに努める。
(a) 自由貿易地帯及び自由港における貨物及び人の移動を監視すること。そのために、権限のある当局に対し、貨物、入港し又は出港する船舶(遊覧船及び漁船を含む。)、航空機及び車両を捜索し並びに、適当な場合には、乗組員、乗務員及び乗客並びにこれらの者の荷物を捜索する権限を与える。
(b) 自由貿易地帯及び自由港を出入りする送り荷であって、麻薬、向精神薬並びに付表I及び付表IIに掲げる物質を含んでいると疑われるものを探知するための制度を設け、維持すること。
(c) 港、ドック区域及び空港並びに自由貿易地帯及び自由港内の境界管理地点における監視制度を設け、維持すること。
(郵便の利用)
第19条 
1 締約国は、万国郵便連合の諸条約に定める義務に従い、自国の国内法制の基本原則に基づき、不正取引に郵便を利用することを防止するための措置をとるものとし、そのために相互に協力する。
2 1の措置には、特に次のことを含む。
(a) 不正取引に郵便を利用することを防止し及び抑制するために協同して行動すること。
(b) 権限のある法執行の職員が、郵便物に含まれる麻薬、向精神薬又は付表I若しくは付表IIに掲げる物質の不正な送り荷を探知するための捜査及び取締りの技術を導入し、維持すること。
(c) 司法手続に必要な証拠を確保するための適当な方法を用いることを可能とするために立法上の措置をとること。
(締約国が提出する資料)
第20条 
1 締約国は、自国の領域におけるこの条約の運用に関する資料、特に次の資料を事務総長を通じて麻薬委員会に提出する。
(a) この条約を実施するために公布される法令の条文
(b) 自国の裁判管轄内における不正取引であって、その顕在化した新たな傾向、これに係る数量、物質の入手源又は不正取引を行った者が用いた方法からみて自国が重要と認めるものの詳細
2 締約国は、麻薬委員会が要請する方法及び期限に従って1の資料を提出する。
(麻薬委員会の任務)
第21条 麻薬委員会は、この条約の目的に関するすべての事項を審議する権限を有する。麻薬委員会は、また、特に、
(a) 前条の規定に従って締約国が提出した資料に基づいて、この条約の実施について検討する。
(b) 締約国から受け取った資料の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。
(c) 統制委員会の任務に関係のある事項について統制委員会の注意を喚起することができる。
(d) 次条1(b)の規定により統制委員会が注意を喚起する事項について、適当と認める措置をとる。
(e) 第12条に定める手続に従い、付表I及び付表IIを改正することができる。
(f) この条約に基づいて自己の採択する決定及び勧告について、これに沿った措置をとることを考慮するように、非締約国の注意を喚起することができる。
(統制委員会の任務)
第22条 
1 前条の規定に基づく麻薬委員会の任務並びに1961年の条約、改正された1961年の条約及び1971年の条約に基づく統制委員会及び麻薬委員会の任務を妨げることなく、
(a) 統制委員会は、同委員会、事務総長若しくは麻薬委員会が入手することのできる資料又は国際連合の機関により通知された資料を検討した結果、統制委員会の権限に関係する事項につきこの条約の目的が履行されていないと信ずるに足りる理由を有する場合には、締約国に対し関連する資料を提出するよう促すことができる。
(b) 第12条、第13条及び第16条の規定につき、
(i) 統制委員会は、(a)の規定に基づく措置をとった後、必要と認めるときは、関係締約国に対し、これらの規定を実施するために状況に応じ必要と思われる是正措置をとることを求めることができる。
(ii) 統制委員会は、(iii)の規定に基づく措置をとるまでは、(a)及び(b)(i)の規定に基づく関係締約国との間の通報を秘密のものとして取り扱う。
(iii) 統制委員会は、関係締約国がこの(b)の規定に従ってとることを求められた是正措置をとらなかったと認める場合には、このような問題につき締約国、理事会及び麻薬委員会の注意を喚起することができる。この(b)の規定に従って統制委員会が公表する報告には、関係締約国が要請する場合には、その意見も含む。
2 いずれの締約国も、自国に直接関係のある問題がこの条の規定に基づいて審議される統制委員会の会合に代表者を出席させるよう招請される。
3 この条の規定に基づいて採択される統制委員会の決定が全会一致によるものでない場合には、少数意見についても、言及する。
4 この条の規定に基づく統制委員会の決定は、委員の全員の3分の二以上の多数による議決で行う。
5 統制委員会は、1(a)の規定に従ってその任務を遂行するに当たり、入手することができる資料の秘密を確保する。
6 この条の規定に基づく統制委員会の責務は、この条約により締約国の間において締結される条約又は協定の実施については、適用しない。
7 この条の規定は、第32条の規定の適用を受ける締約国間の紛争については、適用しない。
(統制委員会の報告)
第23条 
1 統制委員会は、その業務に関する年次報告を作成する。年次報告には、同委員会が利用することのできる資料の分析並びに、適当な場合には、締約国が行い又は要請されて行った説明の記述並びに同委員会が付することを希望する意見及び勧告を含む。統制委員会は、必要と認める追加の報告を作成することができる。これらの報告は、麻薬委員会を通じて理事会に提出するものとし、麻薬委員会は、適切と認める意見を付することができる。
2 統制委員会の報告は、事務総長が締約国に通知し、その後公表する。締約国は、その無制限の配布を認める。
(この条約が要求する措置よりも厳しい措置の適用)
第24条 締約国は、不正取引の防止のために必要であり又は望ましいと認める場合には、この条約の定める措置よりも精細な又は厳しい措置をとることができる。
(従前の条約の権利及び義務の保全)
第25条 この条約の規定は、1961年の条約、改正された1961年の条約及び1971年の条約によりこの条約の締約国が有する権利を害し又はこの条約の締約国が負う義務を免れさせるものではない。
(署名)
第26条 この条約は、1988年12月20日から1989年2月28日まではウィーンにある国際連合事務所において、その後は、1989年12月20日までニュー・ヨークにある国際連合本部において、次のものによる署名のために開放しておく。
(a) すべての国
(b) 国際連合ナミビア理事会によって代表されるナミビア
(c) この条約の対象となっている事項に関する国際協定の交渉、締結及び適用を行う権限を有する地域的な経済統合のための機関(この条約の下における締約国、国又は国内組織について定める規定は、これらの機関の権限の範囲内でこれらの機関について適用する。)
(批准、受諾、承認又は正式の確認行為)
第27条 
1 この条約は、国及び国際連合ナミビア理事会により代表されるナミビアによって批准され、受諾され又は承認されなければならず、また、前条(c)の地域的な経済統合のための機関によって正式の確認行為がされなければならない。批准書、受諾書又は承認書及び正式の確認行為の関係文書は、事務総長に寄託する。
2 地域的な経済統合のための機関は、その正式の確認の文書において、この条約が規律する事項に関する自己の権限の範囲を宣言する。これらの機関は、また、この条約が規律する事項に関する自己の権限の範囲についての変更を事務総長に通報する。
(加入)
第28条 
1 この条約は、すべての国、国際連合ナミビア理事会により代表されるナミビア及び第26条(c)の地域的な経済統合のための機関による加入のために開放しておく。加入は、事務総長に加入書を寄託することによって行う。
2 地域的な経済統合のための機関は、その加入書において、この条約が規律する事項に関する自己の権限の範囲を宣言する。これらの機関は、また、この条約が規律する事項に関する自己の権限の範囲についての変更を事務総長に通報する。
(効力発生)
第29条 
1 この条約は、国又は国際連合ナミビア理事会により代表されるナミビアによって20番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が事務総長に寄託された日の後90日目の日に効力を生ずる。
2 20番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された後にこの条約を批准し、受諾し、承認し又はこれに加入する国又は国際連合ナミビア理事会により代表されるナミビアについては、この条約は、その批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後90日目の日に効力を生ずる。
3 正式の確認行為の関係文書又は加入書を寄託する第26条(c)の地域的な経済統合のための機関については、この条約は、その寄託の後90日目の日又はこの条約が1の規定により効力を生ずる日のいずれか遅い日に効力を生ずる。
(廃棄)
第30条 
1 締約国は、事務総長に対して書面による通告を行うことにより、いつでも、この条約を廃棄することができる。
2 廃棄は、事務総長が通告を受領した日の後1年で当該締約国について効力を生ずる。
(改正)
第31条 
1 いずれの締約国も、この条約の改正を提案することができる。改正案及びその理由は、当該締約国が事務総長に通告するものとし、事務総長は、これを他の締約国に通知するとともに、改正案を受諾するかしないかを照会する。このようにして配布した改正案についてその配布の後二十四箇月以内にいずれの締約国も反対しなかった場合には、その改正案は、受諾されたものとし、当該締約国がその改正に拘束されることに同意を表明する文書を事務総長に寄託した後90日を経過した後に効力を生ずる。
2 改正案についていずれかの締約国が反対した場合には、事務総長は、すべての締約国と協議するものとし、また、その過半数が要請するときは、締約国の意見とともにこのような問題を理事会に提出する。理事会は、国際連合憲章第62条4の規定に従って会議を招集することを決定することができる。その会議から生ずるいかなる改正も、改正議定書において定める。その議定書に拘束されることについての同意は、別に事務総長に表明することを要する。
(紛争の解決)
第32条 
1 この条約の解釈又は適用に関して締約国間に紛争が生じた場合には、当該締約国は、交渉、調査、仲介、調停、仲裁、地域的機関への依頼、司法上の手続その他の当該締約国が選択する平和的手段により紛争を解決するため、協議する。
2 1に定めるところによって解決することができない紛争は、いずれかの紛争当事国の要請により、決定のため国際司法裁判所に付託する。
3 第26条(c)の地域的な経済統合のための機関が1に定めるところによって解決することができない紛争の当事者である場合には、当該機関は、国際連合の加盟国を通じて、理事会に対し、国際司法裁判所規程第65条の規定に従って国際司法裁判所の勧告的意見を求めることを要請することができる。その勧告的意見は、最終的なものとする。
4 各国はこの条約の署名、批准、受諾若しくは承認又はこの条約への加入の際に、各地域的な経済統合のための機関は署名、正式の確認行為の文書の寄託又は加入の際に、2及び3の規定に拘束されない旨を宣言することができる。他の締約国は、そのような宣言を行った締約国との関係において2及び3の規定に拘束されない。
5 4の宣言を行った締約国は、事務総長に通告することにより、いつでも、その宣言を撤回することができる。
(正文)
第33条 この条約のアラビア文、中国文、英文、フランス文、ロシア文及びスペイン文は、ひとしく正文とする。
(寄託者)
第34条 事務総長は、この条約の寄託者とする。

以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。
1988年12月20日にウィーンで本書一通を作成した。
附属書

付表I
エフェドリン
エルゴメトリン
エルゴタミン
リゼルギン酸
1-フェニル-2-プロパノン
プソイドエフェドリン
この付表Iに掲げる物質の塩類が存在するときはその塩類

付表II
無水酢酸
アセトン
アントラニル酸
エチルエーテル
フェニル酢酸
ピペリジン
この付表IIに掲げる物質の塩類が存在するときはその塩類