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1979年の海上における捜索及び救助に関する国際条約

  昭和60・6・20・条約  5号==
発効昭和60・6・22・外務省告示186号  
改正平成11・12・20・外務省告示508号−−(施行=平12年1月1日)
改正平成22・9・14・外務省告示415号(未)(施行=平18年7月1日)


1979年の海上における捜索及び救助に関する国際条約をここに公布する。
この条約の締約国は、
海上における遭難者に援助を与えること並びにすべての沿岸国による沿岸の監視のための及び捜索救助業務のための適切かつ効果的な制度の確立が、諸条約において極めて重要であるとされていることに留意し、
海上及びその上空における安全に関する活動について幾つかの政府間機関の間で調整することが望ましいことを認める1960年の海上における人命の安全のための国際会議において採択した勧告第40号を考慮し、
このような活動を、海上における遭難者の救助のための海上交通の要請に応じた国際的な海上捜索救助計画を確立することによつて発展させ及び促進することを希望し、
全世界の捜索救助組織の間及び海上における捜索救助活動に参加するこれらの組織の間の協力を促進することを希望して、
次のとおり協定した。
(この条約に基づく一般的義務)
第1条 締約国は、この条約及びこの条約の不可分の一部を成す附属書の完全な実施に必要なすべての立法その他の適当な措置をとることを約束する。別段の明文の規定がない限り、「この条約」というときは、同時に附属書を含めていうものとする。
(他の条約及び解釈)
第2条  
(1)この条約のいかなる規定も、国際連合総会決議第2750号(第25回会期)に基づいて招集される国際連合海洋法会議による海洋法の法典化及び発展を妨げるものではなく、また、海洋法に関する並びに沿岸国及び旗国の管轄権の性質及び範囲に関する現在又は将来におけるいずれの国の主張及び法的見解も害するものではない。
(2)この条約のいかなる規定も、他の国際文書の規定する船舶についての義務又は権利を害するものと解してはならない。
(改正)
第3条  
(1)この条約は、(2)又は(3)に定める手続に従つて改正することができる。
(2)政府間海事協議機関(以下「機関」という。)における審議の後の改正
(a)締約国が提案しかつ機関の事務局長(以下「事務局長」という。)に提出された改正案又は国際民間航空条約第12附属書の関連規定の改正の結果事務局長が必要と認める改正案は、機関の海上安全委員会における審議の少なくとも6箇月前に、機関のすべての加盟国及びすべての締約国に対し回章に付する。
(b)締約国は、機関の加盟国であるかないかを問わず、改正案の審議及び採択のため海上安全委員会の審議に参加する権利を有する。
(c)改正案は、海上安全委員会に出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択する。ただし、改正案の採択の際に締約国の少なくとも3分の1が出席していることを条件とする。
(d)(c)の規定に従つて採択された改正は、受諾のため、事務局長がすべての締約国に送付する。
(e)いずれかの条又は附属書2.1.4、2.1.5、2.1.7、2.1.10、3.1.2若しくは3.1.3の規定の改正は、事務局長が締約国の3分の2から受諾書を受領した日に受諾されたものとみなす。
(f)附属書2.1.4、2.1.5、2.1.7、2.1.10、3.1.2及び3.1.3の規定以外の附属書の規定の改正は、受諾のため締約国に送付された日から1年を経過した日に受諾されたものとみなす。ただし、その1年の期間内に3分の1を超える締約国により事務局長に対しその改正に反対する旨の通告が行われた場合には、その改正は、受諾されなかつたものとみなす。
(g)いずれかの条又は附属書2.1.4、2.1.5、2.1.7、2.1.10、3.1.2若しくは3.1.3の規定の改正は、次に定めるところにより効力を生ずる。
(i)当該改正を受諾した締約国については、当該改正が受諾されたとみなされる日の後6箇月で効力を生ずる。
(ii)(e)に定める条件が満たされた後であつて当該改正が効力を生ずる前に当該改正を受諾する締約国については、当該改正が効力を生ずる日に効力を生ずる。
(iii)当該改正が効力を生ずる日の後に当該改正を受諾する締約国については、その受諾書の寄託の後30日で効力を生ずる。
(h)附属書2.1.4、2.1.5、2.1.7、2.1.10、3.1.2及び3.1.3の規定以外の附属書の規定の改正は、(f)の規定によりその改正に反対しかつその反対を撤回しなかつた締約国を除くすべての締約国について、その改正が受諾されたとみなされる日の後6箇月で効力を生ずる。もつとも、その改正が効力を生ずべき日前においては、締約国は、その効力発生の日から1年以内の期間又はその改正の採択の際に海上安全委員会に出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数により決定する一層長い期間自国についてその改正の実施を延期する旨を事務局長に通告することができる。
(3)会議による改正
(a)機関は、いずれかの締約国が締約国の3分の1以上の同意を得て要請する場合には、この条約の改正案を審議するため、締約国会議を招集する。提案された改正案は、事務局長がその会議における審議の少なくとも6箇月前にすべての締約国に対し回章に付する。
(b)改正案は、締約国会議において出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択する。ただし、改正案の採択の際に締約国の少なくとも3分の1が出席していることを条件とする。採択された改正は、受諾のため、事務局長がすべての締約国に送付する。
(c)改正は、締約国会議において別段の決定が行われない限り、(2)(e)から(h)までに定める手続に従い、受諾されたものとみなされ、かつ、効力を生ずる。この場合においては、(2)(b)の規定により拡大された(2)(h)の「海上安全委員会」を「締約国会議」と読み替えるものとする。
(4)改正の受諾若しくは反対の宣言又は(2)(h)の規定に基づく通告は、事務局長に対し文書で行うものとし、事務局長は、その文書の提出があつたこと及びこれを受領した日をすべての締約国に通報する。
(5)事務局長は、効力を生ずる改正及びその効力発生の日を諸国に通報する。
(署名、批准、受諾、承認及び加入)
第4条  
(1)この条約は、機関の本部において、1979年11月1日から1980年10月31日までは署名のため、その後は加入のため、開放しておく。国は、次のいずれかの方法により締約国となることができる。
(a)批准、受諾又は承認を条件とすることなく署名すること。
(b)批准、受諾又は承認を条件として署名した後、批准し、受諾し、又は承認すること。
(c)加入すること。
(2)批准、受諾、承認又は加入は、これらのための文書を事務局長に寄託することによつて行う。
(3)事務局長は、署名並びに批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託及びその寄託の日を諸国に通報する。
(効力発生)
第5条  
(1)この条約は、15の国が前条に定めるところにより締約国となつた日の後12箇月で効力を生ずる。
(2)この条約は、(1)に定める条件が満たされた後でこの条約の効力発生前に前条の規定に従つて批准し、受諾し、承認し又は加入する国については、この条約の効力発生の日に効力を生ずる。
(3)この条約は、その効力発生の日の後に批准し、受諾し、承認し又は加入する国については、前条の規定に従つて文書を寄託した日の後30日で効力を生ずる。
(4)この条約の改正が第3条の規定により効力を生ずる日の後に寄託される批准書、受諾書、承認書又は加入書は、改正された条約に係るものとし、また、改正された条約は、これらの文書を寄託した国について、寄託の日の後30日で効力を生ずる。
(5)事務局長は、この条約の効力発生の日を諸国に通報する。
(廃棄)
第6条  
(1)締約国は、自国についてこの条約の効力が生じた日から5年を経過した後は、いつでもこの条約を廃棄することができる。
(2)廃棄は、事務局長に廃棄書を寄託することによつて行う。事務局長は、廃棄書の受領及びその受領の日並びに廃棄が効力を生ずる日を諸国に通報する。
(3)廃棄は、事務局長が廃棄書を受領した後1年で、又は廃棄書に明記された1年よりも長い期間の後に、効力を生ずる。
(寄託及び登録)
第7条  
(1)この条約は、事務局長に寄託する。事務局長は、この条約の認証謄本を諸国に送付する。
(2)この条約が効力を生じたときは、事務局長は、国際連合憲章第102条の規定により、この条約を登録及び公表のため速やかに国際連合事務総長に送付する。
(用語)
第8条 この条約は、ひとしく正文である中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語により本書一通を作成する。アラビア語、ドイツ語及びイタリア語による公定訳文は、作成の上、署名済みの原本とともに寄託する。


1979年4月27日にハンブルグで作成した。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。
附属書

第1章 用語及び定義
1.1 この附属書の規定において、「なければならない」又は「あつてはならない」が用いられている場合には、その規定が海上における人命の安全のためにすべての締約国による画一的な適用を要求する規定であることを示す。
1.2 この附属書の規定において、「ものとする」が用いられている場合には、その規定が海上における人命の安全のためにすべての締約国による画一的な適用を勧告する規定であることを示す。
1.3 この附属書において、次の用語は、それぞれ次に定める意味を有する。
.1 「捜索」とは、遭難者を発見するため、利用可能な要員及び実施主体を用いて行われる活動であつて、救助調整本部又は救助支部によつて通常調整されるものをいう。
.2 「救助」とは、遭難者を救出し、初期の医療処置その他の必要なものを提供し及び安全な場所へ遭難者を移送する活動をいう。
.3 「捜索救助業務」とは、公的及び私的手段(協力に加わる航空機、船舶その他の乗物及び施設を含む。)を利用することにより、遭難の監視、通信、調整及び捜索救助の任務(医療上の助言、初期の医療上の援助又は医療のための輸送の提供を含む。)を遂行することをいう。
.4 「捜索救助区域」とは、捜索救助業務が行われる一定の範囲の水域であつて、救助調整本部と関係を有するものをいう。
.5 「救助調整本部」とは、捜索救助区域内における捜索救助業務の効率的な組織化を促進する責任及び捜索救助区域内における捜索救助活動の実施を調整する責任を有する単位をいう。
.6 「救助支部」とは、責任のある当局による特別の規定に従つて、救助調整本部を補佐するために設置されたその救助調整本部の下部の単位をいう。
.7 「捜索救助実施主体」とは、捜索救助活動を実施するために用いられるあらゆる動的な手段(指定された捜索救助隊を含む。)をいう。
.8 「捜索救助隊」とは、訓練された要員で構成され、かつ、捜索救助活動の迅速な実施のために適した装備を有する単位をいう。
.9 「警報地点」とは、緊急事態を通報する者と救助調整本部又は救助支部との間の中継の業務を行うことを目的とする施設をいう。
.10 「緊急の段階」とは、場合に応じ、不確実の段階、警戒の段階又は遭難の段階を意味する包括的な用語である。
.11 「不確実な段階」とは、人、船舶又はその他の乗物の安全が不確実である状態をいう。
.12 「警戒の段階」とは、人、船舶又はその他の乗物の安全が憂慮される状態をいう。
.13 「遭難の段階」とは、人、船舶又はその他の乗物が、重大なかつ急迫した危険にさらされていること及び即時の援助を必要とすることについて合理的な確実性がある状態をいう。
.14 「現場調整者」とは、特定の水域における捜索救助活動を調整するために指定された者をいう。
.15 「事務局長」とは、国際海事機関の事務局長をいう。

第2章 組織及び調整
2.1 捜索救助業務の実施及び調整のための措置
2.1.1 締約国は、自国のみで又は他の国若しくは、適当な場合には、機関と協力して、海上におけるいかなる遭難者に対しても援助が与えられることを確保するための捜索救助業務の発展に参加しなければならない。締約国の責任のある当局は、海上において人が遭難しており又は遭難していると認められるとの情報を入手した場合には、必要な援助が与えられることを確保するために緊急措置をとらなければならない。
2.1.2 締約国は、自国のみで又は、適当な場合には、他の国と協力して、次の捜索救助業務の基本的な構成要素を確立しなければならない。
.1  法的枠組み
.2  責任のある当局の指定
.3  利用可能な手段の組織化
.4  通信施設
.5  調整及び運用の機能
.6  捜索救助業務を改善するための方法(計画の立案、国内の及び国際的な協力関係並びに訓練を含む。)
締約国は、実行可能な限り、機関が作成した関連する最低基準及び指針に従わなければならない。
2.1.3 締約国は、適当な海岸通信施設、効率的な遭難警報の伝達及び捜索救助業務を効果的に支援するための適当な活動の調整の実施を確保することに寄与するため、2.1.4及び2.1.5の規定に基づき、自国のみで又は他の国と協力してそれぞれの海域において十分な捜索救助区域を設定することを確保しなければならない。捜索救助区域は、接続しているものとし、実行可能な限り重ならないものとする。
2.1.4 捜索救助区域は、関係締約国間の合意により設定しなければならない。その合意は、事務局長に通告しなければならない。
2.1.5 捜索救助区域の正確な範囲について関係締約国間で合意に達しない場合には、これらの締約国は、その対象となつた水域において捜索救助業務の調整が同様に総合的に行われる適当な措置について合意に達するよう最善の努力を払わなければならない。その措置は、事務局長に通告しなければならない。
2.1.6 2.1.4及び2.1.5に規定する捜索救助区域に関する合意又は措置は、関係締約国により記録されなければならず、又は関係締約国によつて承認された書面による計画書に記録されなければならない。
2.1.7 捜索救助区域の画定は、国家間におけるいかなる境界の画定にも関係するものではなく、また、これに影響を及ぼすものであつてはならない。
2.1.8 締約国は、2.1.4の規定に基づく合意により又は2.1.5の規定に基づく適当な措置についての合意により海上の捜索救助区域を設定する場合において、必要なときは、船舶捜索救助業務と航空機捜索救助業務との間の調整を促進するよう努めるものとする。
2.1.9 特定の水域について捜索救助業務を行う責任を有することを受け入れた締約国は、海上において遭難しており又は遭難していると認められる者に対して援助を与えるため、捜索救助隊その他の利用可能な実施主体を用いなければならない。
2.1.10 締約国は、海上におけるいずれの遭難者にも援助を与えることを確保しなければならない。締約国は、遭難者の国籍若しくは地位又は遭難者の発見されるときの状況にかかわりなくこのことを行わなければならない。
2.1.11 締約国は、捜索救助業務に関する情報であつて次の事項を含むものを事務局長に送付しなければならない。
.1  船舶捜索救助業務について責任を有する自国の当局
.2  設置した救助調整本部の所在地並びに捜索救助区域のため及び捜索救助区域内の通信のために捜索救助の調整を行うその他の救助調整本部の所在地
.3  捜索救助区域の境界並びに海岸にある遭難及び安全のための通信施設が対象とする区域の境界
.4  利用可能な捜索救助隊の主な種類
締約国は、重要な変更に関して提供された情報を最新のものとすることを優先しなければならない。事務局長は、受領した情報をすべての締約国に送付しなければならない。
2.1.12 事務局長は、2.1.4の合意及び2.1.5の措置をすべての締約国に通報しなければならない。
2.2 国の捜索救助業務の発展
2.2.1 締約国は、捜索救助業務の総合的な発展、調整及び改善のための適当な国内手続を確立しなければならない。
2.2.2 効率的な捜索救助活動を支援するため、締約国は、次のことを行わなければならない。
.1  利用可能な実施主体の利用を調整することを確保すること。
.2  活動、計画の立案、研修、訓練、研究及び開発等の分野において捜索救助業務の改善に貢献することができる業務と組織との間の緊密な協力関係を確立すること。
2.3 救助調整本部及び救助支部の設置
2.3.1 2.2の要請に応ずるため、締約国は、自国のみで又は他の国と協力して、捜索救助業務のための救助調整本部及び適当と認める場合には救助支部を設置しなければならない。
2.3.2 2.3.1の規定により設置された救助調整本部及び救助支部は、その捜索救助区域内において発出された遭難警報を受信するための措置をとらなければならない。また、これらの救助調整本部及び救助支部は、遭難者、捜索救助実施主体並びに他の救助調整本部及び救助支部と通信するための措置をとらなければならない。
2.3.3 救助調整本部は、24時間いつでも活動することができる状態にしておかなければならず、また、英語で業務を行う能力を有する訓練された要員を常に配置しなければならない。
2.4 航空機捜索救助業務との調整
2.4.1 締約国は、自国の捜索救助区域及びその上空において最も効果的かつ効率的な捜索救助業務を実施するために、船舶捜索救助業務と航空機捜索救助業務との間で実行可能な限り最も緊密な調整が行われることを確保しなければならない。
2.4.2 締約国は、実行可能な場合には、船舶捜索救助業務及び航空機捜索救助業務の双方の業務を行うため、合同の救助調整本部及び救助支部を設置するものとする。
2.4.3 同一の水域について、船舶捜索救助業務のための及び航空機捜索救助業務のための救助調整本部又は救助支部が別個に設置されている場合には、関係締約国は、これらの本部又は支部の間において実行可能な限り最も緊密な調整が行われることを確保しなければならない。
2.4.4 締約国は、船舶捜索救助業務のために設けられた捜索救助隊及び航空機捜索救助業務のために設けられた捜索救助隊による共通の手続の使用を可能な限り確保しなければならない。
2.5 捜索救助実施主体の指定
締約国は、捜索救助活動に参加することのできるすべての実施主体を特定しなければならず、そのうち、適当な実施主体を捜索救助隊として指定することができる。
2.6 捜索救助隊の装備
2.6.1 捜索救助隊は、その任務に適した装備を備えなければならない。
2.6.2 生存者に投下するための救命用品を入れた容器又はこん包は、機関が採択する基準に従つた表示によつてその内容の概要を示すものとする。

第3章 国家間の協力
3.1 国家間の協力
3.1.1 締約国は、自国の捜索救助組織の調整を行わなければならない。また、締約国は、必要な場合には、隣接国との間で捜索救助活動の調整を行うものとする。
3.1.2 締約国は、他の締約国の救助隊が海難の位置の捜索及びその海難の生存者の救助の目的のみをもつて当該締約国の領海、領土又は領空へ直ちに立ち入ることを認めるものとする。ただし、当該他の締約国との間で別段の合意のある場合を除き、当該締約国の適用のある国内法令に従うことを条件とする。当該締約国がその立入りを認める場合においては、捜索救助活動は、実行可能な限り、当該締約国の適当な救助調整本部又は当該締約国が指定した他の当局によつて調整されなければならない。
3.1.3 締約国の当局は、海難の位置の捜索及びその海難の生存者の救助の目的のみをもつて他の締約国の領海、領土又は領空へ自国の救助隊を立ち入らせることを希望するときは、当該他の締約国との間で別段の合意のある場合を除き、予定する任務の詳細及び必要性を示して、当該他の締約国の救助調整本部又は当該他の締約国が指定した他の当局にその旨の要請を行わなければならない。
3.1.4 締約国の責任のある当局は、次のことを行わなければならない。
.1  3.1.3の規定による要請を受けたことを直ちに確認すること。
.2  立入りを認めた救助隊による予定の任務の遂行に当たつて条件を付する場合には、できる限り速やかにその条件を示すこと。
3.1.5 締約国は、隣接国との間で、自国の領海、領土又は領空へ当該隣接国の捜索救助隊が立ち入るための条件及び当該隣接国の領海、領土又は領空へ自国の捜索救助隊が立ち入るための条件を定めた合意をするものとする。また、この合意には、可能な限り簡易な手続により捜索救助隊の立入りを迅速に行うことについて規定するものとする。
3.1.6 締約国は、自国の救助調整本部が次のことを行うことを認めるものとする。
.1  必要に応じ、他の締約国の救助調整本部に援助(船舶、航空機、要員又は装備についての援助を含む。)を要請すること。
.2  .1 の船舶、航空機、要員又は装備の自国の領海、領土又は領空への立入りに対し、あらゆる必要な許可を与えること。
.3  .2 に規定する立入りを迅速に行わせるため、適当な税関、出入国管理、衛生その他の当局と共に必要な措置をとること。
3.1.7 締約国は、他の締約国の救助調整本部から要請される場合には、当該本部に対し自国の救助調整本部が援助(船舶、航空機、要員又は装備についての援助を含む。)を与えることを確保しなければならない。
3.1.8 締約国は、適当な場合には、他の国との間で、捜索救助に係る協力及び調整を強化するための合意をするものとする。締約国は、自国の責任のある当局が他の国の責任のある当局と捜索救助に係る協力及び調整を行うため、活動計画を作成し及び措置をとることを認めなければならない。

第4章 活動手続
4.1 準備措置
4.1.1 救助調整本部及び救助支部は、その水域における捜索救助活動に関連する利用可能な最新の情報(特に捜索救助実施主体及び利用可能な通信に関する情報)を有しなければならない。
4.1.2 救助調整本部及び救助支部は、その水域内にある船舶であつて海上において遭難している人、船舶又はその他の乗物に対し援助を与えることができるものの位置、針路及び速力に関する情報を直ちに入手するものとする。この情報は、救助調整本部が保有し又は必要なときは直ちに入手可能なものとする。
4.1.3 救助調整本部又は救助支部は、捜索救助活動を行うための詳細な活動計画を有しなければならない。適当な場合には、当該計画は、捜索救助業務を実施することを援助し又は捜索救助業務から便益を受け得る者の代表者と共同で策定しなければならない。
4.1.4 捜索救助隊は、その準備状況を救助調整本部又は救助支部に常時通報しなければならない。
4.2 緊急事態に関する情報
4.2.1 締約国は、自国のみで又は他の国と協力して、自国の捜索救助区域内において緊急事態のために用いられる設備から発出される遭難警報を24時間迅速かつ確実に受信することができることを確保しなければならない。遭難警報を受信する警報地点は、次のことを行わなければならない。
.1  適当な救助調整本部又は救助支部に遭難警報を直ちに中継し、適当な場合には、捜索救助のための通信を援助すること。
.2  実行可能な場合には、遭難警報を確認すること。
4.2.2 締約国は、適当な場合には、救助調整本部又は救助支部が関連する登録情報を速やかに利用することができるようにするため、通信設備を登録し及び緊急事態に対応するための効果的な措置がとられることを確保しなければならない。
4.2.3 捜索救助業務を行ういずれの当局又は構成要素も、人、船舶又はその他の乗物が緊急の状態にあると信ずるに足りる理由がある場合には、できる限り速やかに、関係する救助調整本部又は救助支部に対し、すべての利用可能な情報を提供しなければならない。
4.2.4 救助調整本部又は救助支部は、緊急の状態にある人、船舶又はその他の乗物に関する情報を受領したときは直ちに、その情報を評価し、4.4の規定により緊急の段階を決定し、及び必要な活動の範囲を決定しなければならない。
4.3 初期の行動
遭難の情報を受領したいずれの捜索救助隊も、援助することができる状態にある場合には、最初に緊急行動をとらなければならず、いかなる場合にも遅滞なく、遭難の発生した水域の救助調整本部又は救助支部に通報しなければならない。
4.4 緊急の段階
適当な活動手続を決定することを援助するため、関係する救助調整本部又は救助支部は、次に定めるところに従つて、緊急の段階を不確実、警戒又は遭難のいずれかの段階に区別しなければならない。
.1  次のいずれかの場合には、不確実の段階とする。
.1.1 人が行方不明になり又は船舶若しくはその他の乗物の到着が遅延している旨の報告があつた場合
.1.2 人、船舶又はその他の乗物が、位置又は安全に関して予定された報告を行わなかつた場合
.2  次のいずれかの場合には、警戒の段階とする。
.2.1 不確実の段階に引き続き、人、船舶又はその他の乗物と連絡を取ることを試みたが成功せず、かつ、他の適当な関係先に照会したが成果が得られなかつた場合
.2.2 遭難している可能性はないが、船舶又はその他の乗物の運航能力が阻害されていることを示す情報を受領した場合
.3  次のいずれかの場合には、遭難の段階とする。
.3.1 人、船舶又はその他の乗物が危険にさらされ、かつ、即時の援助を必要としているとの明確な情報を受領した場合
.3.2 警戒の段階に引き続き、人、船舶又はその他の乗物と連絡を取ることを更に試みたが成功せず、かつ、更に広範囲な関係先に照会したが成果が得られなかつたことにより、遭難した可能性が示された場合
.3.3 遭難している可能性がある程度にまで船舶又はその他の乗物の運航能力が阻害されていることを示す情報を受領した場合
4.5 緊急の段階において救助調整本部及び救助支部がとる手続
4.5.1 不確実の段階を宣言したときは、場合に応じて救助調整本部又は救助支部は、人、船舶若しくはその他の乗物の安全を確認するために照会を開始し又は警戒の段階を宣言しなければならない。
4.5.2 警戒の段階を宣言したときは、場合に応じて救助調整本部又は救助支部は、行方不明の人、船舶又はその他の乗物についての照会の範囲を拡大し、適当な捜索救助機関に警報を発し、及びその時の状況に照らして必要とされる行動を開始しなければならない。
4.5.3 遭難の段階を宣言したときは、場合に応じて救助調整本部又は救助支部は、4.1の規定によつて必要とされる活動計画に基づき手続をとらなければならない。
4.5.4 捜索対象の位置が不明である場合の捜索救助活動の開始
位置が不明である捜索対象に関して緊急の段階が宣言された場合には、次の規定を適用しなければならない。
.1  救助調整本部又は救助支部は、緊急の段階が存在する場合において、他の救助調整本部又は救助支部が行動をとつていることについて了知していないときは、適切な行動を開始する責任を負わなければならず、また、責任を負うべき救助調整本部又は救助支部を指定するために、他の救助調整本部又は救助支部と協議しなければならない。
.2  関係する救助調整本部又は救助支部の間の合意により別段の決定が行われない限り、指定される救助調整本部又は救助支部は、捜索対象の最後の位置の通報の際に当該捜索対象が存在した水域について責任を有する救助調整本部又は救助支部でなければならない。
.3  遭難の段階を宣言したときは、捜索救助活動の調整を行う救助調整本部又は救助支部は、場合に応じて、緊急の状態及びその後の事態の進展に関するすべての状態を他の救助調整本部又は救助支部に通報しなければならない。
4.5.5 緊急の段階が宣言された人、船舶又はその他の乗物への情報の伝達
捜索救助活動について責任を有する救助調整本部又は救助支部は、可能な場合には、開始した捜索救助活動に関する情報を緊急の段階が宣言された人、船舶又はその他の乗物に伝達しなければならない。
4.6 二以上の締約国に関係する場合の調整
二以上の締約国が捜索救助活動を行う場合において、その区域の救助調整本部によつて要請されたときは、これらの締約国は、4.1の活動計画に従つて適当な行動をとらなければならない。
4.7 捜索救助活動の現場における調整
4.7.1 捜索救助活動に従事している捜索救助隊その他の捜索救助実施主体の活動は、最も効果的な結果を確保するように現場で調整しなければならない。
4.7.2 複数の捜索救助実施主体が捜索救助活動に従事する場合において、救助調整本部又は救助支部が必要と認めるときは、最も能力の高い者を、実行可能な限り早期に、かつ、なるべく当該実施主体が特定の活動区域内に到着する前に、現場調整者として指定するものとする。その者の外部から認められる現場調整者としての能力及び捜索救助活動における要件を考慮して、当該現場調整者は、一定の責任を負わなければならない。
4.7.3 責任のある救助調整本部が存在しない場合又は何らかの理由によつて責任のある救助調整本部が捜索救助活動を調整することができない場合には、関係する捜索救助実施主体は、相互の合意により現場調整者を指定するものとする。
4.8 捜索救助活動の終了及び停止
4.8.1 捜索救助活動は、実行可能な場合には、生存者の救助について合理的な希望がなくなる時まで、継続しなければならない。
4.8.2 責任のある関係救助調整本部又は救助支部は、通常、いつ捜索救助活動を終了させるかを決定しなければならない。当該救助調整本部又は救助支部が活動の調整に参加していない場合には、現場調整者は、当該決定を行うことができる。
4.8.3 救助調整本部又は救助支部は、信頼できる情報に基づき捜索救助活動が成功し又は緊急事態がもはや存在しないと認める場合には、捜索救助活動を終了しなければならず、また、行動を要請し又は通報したいずれの当局、捜索救助実施主体又は公私の機関にもその旨を直ちに通報しなければならない。
4.8.4 現場における捜索救助活動を実施することができなくなつた場合において、救助調整本部又は救助支部が生存者がいる可能性があると判断したときは、当該救助調整本部又は救助支部は、状況が進展するまでの間、現場における活動を一時的に停止することができるものとし、行動を要請し又は通報したいずれの当局、捜索救助実施主体又は公私の機関にもその旨を直ちに通報しなければならない。救助調整本部又は救助支部は、その後に受領した情報を評価しなければならず、また、その情報により適当と認める場合には、捜索救助活動を再開しなければならない。

第5章 船位通報制度
5.1 総則
5.1.1 締約国は、捜索救助活動を容易にするため必要があると認める場合には、自国のみで又は他の国と協力して船位通報制度を確立することができる。
5.1.2 船位通報制度の確立を計画する締約国は、機関の関連する勧告を考慮するものとする。また、締約国は、既存の船位通報制度又は他の船舶の位置に関するデータの情報源が捜索救助区域について十分な情報を提供することができるか否かを検討するものとし、また、船舶による不必要な追加の通報及び捜索救助活動を援助する船舶の利用可能性を決定するため救助調整本部が複数の通報制度を確認する必要性を最小限にとどめるよう努力するものとする。
5.1.3 船位通報制度は、遭難の発生の際に次のことが行われることを目的として、船舶の動向に関する最新の情報を提供するものとする。
.1  遭難信号が受信されていない場合において、船舶との連絡が途絶してから捜索救助活動を開始するまでの時間を短縮すること。
.2  援助を要請することができる船舶の迅速な特定を可能にすること。
.3  遭難している人、船舶又はその他の乗物の位置が不明又は不確実である場合において、限定された範囲の捜索水域の画定を可能にすること。
.4  緊急の医療上の援助又は助言の提供を容易にすること。
5.2 運用上の要件
5.2.1 船位通報制度は、次の要件を満たすものとする。
.1  船位通報制度に加入している船舶の現在及び将来の位置を決定することを可能にする航海計画及び位置通報を含む情報の提供
.2  船位プロットの維持
.3  船位通報制度に加入している船舶からの適当な間隔を置いた通報の受領
.4  船位通報制度の仕組み及び運用の単純化
.5  船位通報制度のための国際的に合意された標準方式及び標準手続の使用
5.3 通報の種類
5.3.1 船位通報制度には、機関の勧告に従い、次の種類の船位通報を含めるものとする。
.1  航海計画
.2  位置通報
.3  最終通報
5.4 船位通報制度の利用
5.4.1 締約国は、すべての船舶に対し、捜索救助のために位置についての情報を収集するための制度が確立されている区域を航行するときは、位置の通報を行うよう奨励するものとする。
5.4.2 船舶の位置についての情報を記録している締約国は、捜索救助のために要請された場合には、実行可能な限り、その情報を他の国に提供するものとする。
《改正》平11告508

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