houko.com 

南極の海洋生物資源の保存に関する条約

【目次】
  昭和57・4・3・条約  3号  
発効昭和57・4・7・外務省告示117号  
南極の海洋生物資源の保存に関する条約をここに公布する。
締約国は、
南極大陸を囲む海洋の環境を保全すること及び当該海洋の生態系を本来のままの状態において保護することの重要性を認識し、
南極水域において海洋生物資源の集中が見られること及びこれらの資源を蛋白質源として利用する可能性に対する関心が増大していることに留意し、
南極の海洋生物資源の確実な保存の緊急性を意識し、
採捕についての決定が正しい科学的情報に基づいて行われるよう南極の海洋生態系及びその構成要素に関する知識を増すことが重要であることを考慮し、
南極の海洋生物資源の保存に当たつては、南極条約に妥当な考慮を払つて行われ、また、南極水域において調査活動又は採捕活動に従事しているすべての国が積極的に参加する国際協力が必要であることを信じ、
南極の環境の保全について南極条約協議国が負つている主要な責任、特に、南極地域における生物資源の保護及び保存に関する南極条約第9条1(f)の規定に基づく責任を認識し、
南極条約協議国により既にとられた措置、特に、南極の動物相及び植物相の保存のための合意された措置並びに南極のあざらしの保存に関する条約を想起し、
南極条約協議国が第9回南極条約協議国会議において表明した南極の海洋生物源資の保存に対する関心及びこの条約を作成する起因となつた勧告IX−2の重要性に留意し、
南極大陸を囲む水域を平和的目的のみに利用するよう維持すること及びこの水域が国際的不和の舞台又は対象となることを防止することが、全人類の利益であることを信じ、
このため、南極の海洋生物の保存を確保するために必要な措置及び科学的研究を勧告し、促進し、決定し及び調整するための適当な機構の設立が望ましいことを認識して、
次のとおり協定した。
第1条  
1 この条約は、南緯60度以南の地域における南極の海洋生物資源及び南緯60度と南極収束線との間の地域における南極の海洋生態系に属する南極の海洋生物資源について適用する。
2 南極の海洋生物資源とは、ひれを有する魚類、軟体動物、甲殻類その他の南極収束線以南に存在するすべての種類の生物(鳥類を含む。)である資源をいう。
3 南極の海洋生態系とは、南極の海洋生物資源の相互の関係及び南極の海洋生物資源とこれらの資源を含む自然環境との関係が複合しているものをいう。
4 1の南極収束線とみなす線は、緯度線及び子午線に沿つて次の点を結ぶ線とする。
 南緯50度経度零度、南緯50度東経30度、南緯45度東経30度、南緯45度東経80度、南緯55度東経80度、南緯55度東経150度、南緯60度東経150度、南緯60度西経50度、南緯50度西経50度及び南緯50度経度零度
第2条  
1 この条約の目的は、南極の海洋生物資源を保存することにある。
2 この条約の適用上、「保存」には、合理的な利用を含む。
3 この条約の適用される地域における採捕及びこれに関連する活動は、この条約及び保存に関する次の原則に従つて行う。
(a)採捕の対象となる資源について、その量が当該資源の安定した加入を確保する水準を下回ることとなることを防ぐこと。このため、資源の量は、最大の年間加入量を確保する水準に近い水準以下に減少させてはならない。
(b)南極の海洋生物資源のうちの採捕の対象となる資源、これに依存する資源及び採捕の対象となる資源と関係のある資源の間の生態学的関係を維持すること並びに枯渇した資源についてその量を(a)前段に規定する水準に回復させること。
(c)南極の海洋生物資源の持続的保存を可能にするため、採捕の直接的及び間接的な影響、外来種の導入の及ぼす影響、採捕に関連する活動の海洋生態系に及ぼす影響並びに環境の変化の及ぼす影響に関する利用可能な知識の確実性の度合を考慮に入れて、海洋生態系の復元が20年若しくは30年にわたり不可能となるおそれのある海洋生態系における変化が生ずることを防止すること又はこれらの変化が生ずる危険性を最小限にすること。
第3条 締約国は、南極条約の締約国であるかないかを問わず、南極条約地域において南極条約の原則及び目的に反する活動を行わないこと並びに相互の関係において南極条約第1条及び第5条に定めるところの義務に拘束されることに同意する。
第4条  
1 南極条約地域については、すべての締約国は、南極条約の締約国であるかないかを問わず、相互の関係において南極条約第4条及び第6条の規定に拘束されろ。
2 この条約のいかなる規定も、及びこの条約の有効期間中に行われるいかなる行為又は活動も、
(a)南極条約地域における領土についての請求権を主張し、支持し若しくは否認するための基礎を成し又は南極条約地域における主権を設定するものではない。
(b)この条約の適用される地域において国際法に基づく沿岸国の管轄権を行使する権利若しくは当該管轄権を行使することについての請求権若しくは請求権の基礎をいずれかの締約国に対し放棄させ若しくは縮小させ又はこれらの権利、請求権若しくは請求権の基礎を害するものと解してはならない。
(c)(b)に規定する権利、請求権又は請求権の基礎を承認し又は否認することについてのいずれかの締約国の地位を害するものと解してはならない。
(d)南極条約の有効期間中は南極地域における領土についての新たな請求権又は既存の請求権の拡大を主張してはならないことを定めている南極条約第4条2の規定に影響を及ぼすものではない。
第5条  
1 南極条約の締約国でないこの条約の締約国は、南極条約地域の環境の保全についての南極条約協議国の特別の義務及び責任を認める。
2 南極条約の締約国でないこの条約の締約国は、南極条約地域におけるその活動につき、適当と認めるときは南極の動物相及び植物相の保存のための合意された措置及び南極条約協議国が人間の及ぼすあらゆる形態の有害な影響から南極の環境を保全する責任を果たすに当たつて勧告した他の措置を遵守することを合意する。
3 この条約の適用上、「南極条約協議国」とは、その代表者が南極条約第9条に定める会合に参加する南極条約の締約国をいう。
第6条 この条約のいかなる規定も、この条約の締約国が国際捕鯨取締条約及び南極のあざらしの保存に関する条約に基づき有する権利を害し及びこれらの条約に基づき負う義務を免れさせるものではない。
第7条  
1 締約国は、この条約により南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置するものとし、これを維持することを合意する。
2 委員会の構成国は、次のとおりとする。
(a)この条約を採択した会合に参加した各締約国は、委員会の構成国となる。
(b)第29条の規定に基づいてこの条約に加入した各国は、当該加入国がこの条約の適用の対象となる海洋生物資源に関する調査活動又は採捕活動に従事している間、委員会の構成国となる資格を有する。
(c)第29条の規定に基づいてこの条約に加入した地域的な経済統合のための各機関は、機関の構成国が委員会の構成国となる資格を有する間、委員会の構成国となる資格を有する。
(d)(b)及び(c)の規定に基づき委員会の作業に参加することを求める締約国は、委員会の構成国となることを求める根拠及びその時において有効な保存措置を受諾する意思を寄託政府に通告する。寄託政府は、その通告及びこれに添付された情報を委員会の各構成国に通報する。委員会のいずれの構成国も、寄託政府からその通報を受けた後2箇月以内に、この問題を検討するための委員会の特別会合を開くよう要請することができる。その要請があつたときは、寄託政府は、特別会合を招集する。特別会合の招集の要請がなかつたときは、当該通告を行つた締約国は、委員会の構成国となるための要件を満たしたものとみなされる。
3 委員会の各構成国は、1人の代表により代表される。代表は、代表代理及び随員を同伴することができる。
第8条 委員会は、法人格を有するものとし、各締約国の領域において、その任務の遂行及びこの条約の目的の達成のために必要な法律上の能力を有する。締約国の領域における委員会及びその職員の特権及び免除は、委員会と当該締約国との間の合意によつて決定する。
第9条  
1 委員会は、第2条に定める目的及び原則を実施する任務を有する。委員会は、このため、次のことを行う。
(a)南極の海洋生物資源及び南極の海洋生態系に関する調査及び包括的な研究を促進すること。
(b)南極の海洋生物資源の量の状態及び変化に関する資料並びに採捕の対象となる種又はこれに依存し若しくは採捕の対象となる種と関係のある種若しくは個体群の分布、豊度及び生産性に影響を及ぼす要素に関する資料を取りまとめること。
(c)採捕の対象となる資源についての採捕量及び採捕努力量に関する統計の入手を確保すること。
(d)(b)及び(c)の規定に基づき得た情報並びに科学委員会の報告を分析し、普及させ及び刊行すること。
(e)保存の必要性を明らかにし及び保存措置の効果について分析すること。
(f)5の規定に従うことを条件として、利用可能な最良の科学的証拠に基づいた保存措置を作成し、採択し及び修正すること。
(g)第24条の規定に基づいて設けられた監視及び検査の制度を実施すること。
(h)この条約の目的を達成するために必要な他の活動を行うこと。
2 1(f)に規定する保存措置には、次のことを含む。
(a)この条約の適用される地域において採捕することのできる種別の量を指定すること。
(b)南極の海洋生物資源の分布に基づいて区域及び小区域を指定すること。
(c)区域及び小区域において採捕することのできる資源の量を指定すること。
(d)保護される種を指定すること。
(e)採捕することのできる種の大きさ、年齢及び、適当な場合には、性別を指定すること。
(f)採捕の解禁期及び禁止期を指定すること。
(g)採捕が科学的研究及び保存のために解禁され及び禁止される地域、区域及び小区域を指定すること(保護及び科学的研究のための特別区域を指定することを含む。)。
(h)いずれの区域又は小区域においても採捕の集中が過度になることを特に避けるため、採捕努力量及び採捕の方法(漁具を含む。)について規制すること。
(i)委員会がこの条約の目的を達成するために必要と認めるその他の保存措置(採捕及びこれに関連する活動が採捕の対象となる資源以外の海洋生態系の構成要素に与える影響に関する措置を含む。)をとること。
3 委員会は、すべての有効な保存措置についての記録を刊行し、常時整備する。
4 委員会は、1に定める任務を遂行するに当たり、科学委員会の勧告及び助言を十分に考慮する。
5 委員会は、南極条約第9条の規定に基づく南極条約協議国会議又はこの条約の適用される地域に入つてくる種について責任を有する漁業委員会が作成し又は勧告したすべての関連措置又は規則の下での締約国の権利及び義務と、委員会の採択する保存措置の下での締約国の権利及び義務とが抵触しないようにするため、これらの関連措置又は規則を十分に考慮する。
6 委員会の構成国は、この条約に従つて委員会が採択した保存措置を次の方法により実施する。
(a)委員会は、委員会のすべての構成国に対し保存措置について通告する。
(b)保存措置は、(c)及び(d)の場合を除くほか、(a)に規定する通告の後180日で委員会のすべての構成国について拘束力を生ずる。
(c)委員会のいずれかの構成国が(a)に規定する通告の後90日以内に保存措置の全体又は一部を受諾することができない旨を委員会に通告した場合には、当該構成国は、その通告により表明した範囲において保存措置に拘束されない。
(d)委員会のいずれかの構成国が(c)の規定による手続を援用した場合には、委員会は、委員会のいかなる構成国の要請によつても、当該保存措置について検討するために会合する。その会合の時に及びその会合の後30日以内に、委員会のいかなる構成国も、当該保存措置を受諾することができなくなつた旨を宣言する権利を有する。その宣言が行われた場合には、当該構成国は、当該保存措置に拘束されない。
第10条  
1 委員会は、この条約の締約国でない国の国民又は船舶による活動であつてこの条約の目的の達成に影響を及ぼすと委員会が認めるものについて、当該国の注意を喚起する。
2 委員会は、すべての締約国に対し、締約国による活動であつて当該締約国によるこの条約の目的の達成又はこの条約に基づく当該締約国の義務の履行に影響を及ぼすと委員会が認めるものについて注意を喚起する。
第11条 委員会は、この条約の適用される地域及び当該地域に近接する海域であつていずれかの締約国が管轄権を行使することのできるものの双方において発生する種又はこれと密接な関係のある種の系群の保存について当該締約国と協力するよう努めるものとし、これらの系群に関してとられた保存に係る措置の調和を図るものとする。
第12条  
1 実質事項に関する委員会の決定は、意見の一致によつて行う。ある事項が実質事項であるかないかの問題は、実質事項として取り扱う。
2 1の事項以外の事項に関する決定は、出席しかつ投票する委員会の構成国の単純多数による議決で行う。
3 委員会において決定を必要とする議題の検討が行われる場合には、地域的な経済統合のための機関が当該決定に参加するか参加しないか及び、参加するときは、当該機関のいずれの構成国が同時に参加するかが明らかにされなければならない。当該決定にこのようにして参加する締約国の数は、委員会の構成国である当該機関の構成国の数を超えてはならない。
4 この条の規定に従つて決定が行われる場合には、地域的な経済統合のための機関は、一の票のみを有する。
第13条  
1 委員会の本部は、オーストラリアのタスマニア州ホバートに置く。
2 委員会は、年次通常会合を開催する。その他の会合は、構成国の3分の一の要請により及びこの条約の他の規定に定めるところにより開催する。委員会は、その第1回会合を、この条約の適用される地域において採捕活動を行つている国のうち少なくとも二の国が締約国に含まれていることを条件として、この条約の効力発生の後3箇月以内に開催するものとし、また、いかなる場合にも、この条約の効力発生の後1年以内に開催する。寄託政府は、委員会の実効的な運営のためにできる限り多数の署名国が委員会に代表されることの必要性を考慮に入れ、委員会の第1回会合に関して署名国と協議を行う。
3 寄託政府は、委員会の本部において委員会の第1回会合を招集する。その後の委員会の会合も、委員会が別段の決定を行わない限り、委員会の本部において開催する。
4 委員会は、構成国の代表のうちから議長及び副議長を選出する。議長及び副議長は、それぞれ2年の任期で在任するものとし、更に一の任期につき再選される資格を有する。もつとも、最初の議長は、最初の任期を3年として選出される。議長及び副議長は、同じ締約国の代表であつてはならない。
5 委員会は、前条に規定する事項に関するものを除くほか、その会合の運営に関する手続規則を採択し及び必要に応じて改正する。
6 委員会は、その任務の遂行に必要な補助機関を設けることができる。
第14条  
1 締約国は、委員会の協議機関として、この条約により南極の海洋生物資源の保存のための科学委員会(以下「科学委員会」という。)を設置する。科学委員会は、別段の決定を行わない限り、通常、委員会の本部において会合する。
2 委員会の構成国は、科学委員会の構成国となるものとし、適当な科学上の資格を有する代表を任命する。代表は、他の専門家及び顧問を同伴することができる。
3 科学委員会は、必要に応じて特別に、他の科学者及び専門家の助言を求めることができる。
第15条  
1 科学委員会は、この条約の適用の対象となる海洋生物資源に係る情報の収集、研究及び交換に関する協議及び協力のための場を設け並びに南極の海洋生態系に属する海洋生物資源に関する知識を広めるための科学的調査の分野における協力を奨励し及び促進する。
2 科学委員会は、委員会がこの条約の目的を達成するために指示を与える活動を行うものとし、また、次のことを行う。
(a)第9条に規定する保存措置に関する決定のために用いられる基準及び方法を定めること。
(b)南極の海洋生物資源の量の状態及び傾向を定期的に評価すること。
(c)採捕が南極の海洋生物資源に対し及ぼす直接的及び間接的な影響に関する資料を分析すること。
(d)採捕の方法又は規模について提案された変更及び提案された保存措置の効果を評価すること。
(e)この条約の目的を達成するための措置及び調査に関し、要請に応じて又は自己の発意により、評価、分析、報告及び勧告を委員会に送付すること。
(f)南極の海洋生物資源についての国際的な又は一国による調査計画の実施のための提案を作成すること。
3 科学委員会は、その任務の遂行に当たり、他の適切な技術的及び科学的機関の作業並びに南極条約の枠組みにおいて行われる科学的活動を考慮する。
第16条  
1 科学委員会は、その第1回会合を委員会の第1回会合の後3箇月以内に開催するものとし、その後は、その任務の遂行上の必要に応じて会合する。
2 科学委員会は、その手続規則を採択し及び必要に応じて改正する。手続規則及びその改正は、委員会により承認されなければならない。手続規則には、少数派によつて作成された報告を提出するための手続を含む。
3 科学委員会は、委員会の承認を得て、その任務の遂行に必要な補助機関を設けることができる。
第17条  
1 委員会は、委員会の決定する手続及び条件に従い、委員会及び科学委員会の活動のために事務局長を任命する。事務局長の任期は、4年とし、また、事務局長は、再任されることができる。
2 委員会は、必要な事務局の組織を認めるものとし、事務局長は、委員会の決定する規則、手続及び条件に従い、事務局の職員を任命し、指揮し及び監督する。
3 事務局長及び事務局は、委員会の委託する任務を遂行する。
第18条 委員会及び科学委員会の公用語は、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語とする。
第19条  
1 各年次会合において、委員会は、意見の一致により、自己の予算及び科学委員会の予算を採択する。
2 事務局長は、委員会、科学委員会及び補助機関の予算案を作成し、委員会の年次会合の60日前までに委員会の構成国に送付する。
3 委員会の各構成国は、予算に係る分担金を支払う。この条約の効力発生の後5年を経過するまでは、委員会の各構成国の分担金の額は、均等なものとする。その後の分担金の額は、採捕量と委員会のすべての構成国間の均等負担の原則との二の基準に基づいて決定する。委員会は、意見の一致により、この二の基準をいかなる割合により適用するかを決定する。
4 委員会及び科学委員会の財政活動は、委員会の採択する財政規則に従つて行われるものとし、委員会の選任する独立の会計検査専門家による年次検査を受ける。
5 委員会の各構成国は、委員会及び科学委員会の会合への出席に係る自国の経費を負担する。
6 連続した2年の間分担金を支払わない委員会の構成国は、その債務を履行しない間委員会において決定に参加する権利を有しない。
第20条  
1 委員会の構成国は、委員会及び科学委員会がそれぞれの任務の遂行に当たつて必要とする統計上、生物学上その他の資料及び情報を最大限度可能な範囲で委員会及び科学委員会に毎年提供する。
2 委員会の構成国は、信頼し得る採捕量及び採捕努力量に関する統計を取りまとめることができるようにするため、自国の採捕活動に関する情報(採捕地域及び船舶に関する情報を含む。)につき、定められた方法及び間隔で提供する。
3 委員会の構成国は、委員会の採択した保存措置を実施するためにとつた措置に関する情報を定められた間隔で委員会に提供する。
4 委員会の構成国は、採捕の影響を評価するために必要な資料を自国の採捕活動を利用して収集することに同意する。
第21条  
1 各締約国は、この条約の規定及び委員会の採択した保存措置であつて第9条の定めるところにより自国が拘束されるものの遵守を確保するため、その権限の範囲内で適当な措置をとる。
2 各締約国は、1の規定に基づいてとつた措置(違反に対する制裁を含む。)に関する情報を委員会に送付する。
第22条  
1 各締約国は、いかなる者もこの条約の目的に反する活動を行わないようにするため、国際連合憲章に従つた適当な努力をすることを約束する。
2 各締約国は、自国の知つたこの条約の目的に反するいかなる活動についても、委員会に通告する。
第23条  
1 委員会及び科学委員会は、南極条約協議国の権限内にある事項について南極条約協議国と協力する。
2 委員会及び科学委員会は、適当な場合には、国際連合食糧農業機関その他の専門機関と協力する。
3 委員会及び科学委員会は、適当な場合には、その作業に貢献することのできる政府間の及び非政府の機関(南極研究科学委員会、海洋研究科学委員会及び国際捕鯨委員会を含む。)との作業上の協力関係を発展させるよう努める。
4 委員会は、この条に規定する機関及び、適当な場合には、他の機関と取決めを行うことができる。委員会及び科学委員会は、これらの機関に対し、委員会、科学委員会及びこれらの補助機関の会合にオブザーバーを派遺するよう招請することができる。
第24条  
1 この条約の目的を推進し、かつ、この条約が遵守されることを確保するため、締約国は、監視及び検査の制度を設けることを合意する。
2 委員会は、次の原則を基礎として監視及び検査の制度を組織する。
(a)締約国は、既存の国際慣行を考慮しつつ、監視及び検査の制度の効果的な実施を確保するために相互に協力する。この制度には、特に、委員会の構成国の指名する監視員及び検査員による乗船及び検査に関する手続並びに乗船及び検査の結果得られた証拠に基づいて旗国が行う訴追及び制裁に関する手続を含める。行つた訴追及び課した制裁についての報告は、第21条に規定する情報に含める。
(b)この条約の定めるところによりとられた措置の遵守を確認するため、監視及び検査は、委員会の構成国の指名する監視員及び検査員が、委員会の定める条件に従い、この条約の適用される地域における海洋生物資源の科学的調査又は採捕に従事する船舶に乗船することにより実施する。
(c)指名された監視員及び検査員は、自己が国籍を有する締約国の管轄の下に置かれる。監視員及び検査員は、自己を指名した委員会の構成国に対し報告を行い、当該構成国は、委員会に対し報告を行う。
3 委員会の構成国は、監視及び検査の制度が組織されるまでの間、監視員及び検査員を指名するための暫定的措置をとるよう努めるものとし、このようにして指名された監視員及び検査員は、2に定める原則に基づいて検査を実施する権限を与えられる。
第25条  
1 この条約の解釈又は適用に関して二以上の締約国間に紛争が生じたときは、これらの締約国は、交渉、審査、仲介、調停、仲裁、司法的解決又はこれらの締約国が選択するその他の平和的手段により紛争を解決するため、これらの締約国間で協議する。
2 1に規定する紛争で1の規定によつて解決されなかつたものは、それぞれの場合にすべての紛争当事国の同意を得て、解決のため国際司法裁判所又は仲裁に付託する。もつとも、紛争当事国は、国際司法裁判所又は仲裁に付託することについて合意に達することができなかつた場合においても、1に規定する各種の平和的手段のいずれかにより紛争を解決するため引き続き努力する責任を免れない。
3 紛争が仲裁に付託される場合には、仲裁裁判所は、この条約の附属書の定めるところにより構成する。
第26条  
1 この条約は、1980年8月1日から12月31日まで、キャンベラにおいて、同年5月7日から5月20日までキャンベラで開催された南極の海洋生物資源の保存に関する会議に参加した国による署名のために開放しておく。
2 1の規定により署名する国は、この条約の原署名国とする。
第27条  
1 この条約は、署名国によつて批准され、受諾され又は承認されなければならない。
2 批准書、受諾書又は承認書は、この条約において寄託政府として指定されるオーストラリア政府に寄託する。
第28条  
1 この条約は、第26条1に規定する国による8番目の批准書、受諾書又は承認書が寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。
2 この条約は、その効力発生の日の後に批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する国又は地域的な経済統合のための機関については、その批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の後30日目の日に効力を生ずる。
第29条  
1 この条約は、この条約の適用の対象となる海洋生物資源に関する調査活動又は採捕活動に関心を有する国による加入のために開放しておく。
2 この条約は、主権国家により構成される地域的な経済統合のための機関であつて、当該機関の一又は二以上の構成国が委員会の構成国であり、かつ、当該機関の構成国がこの条約の適用の対象となる事項に関する権限の全部又は一部を当該機関に移譲したものによる加入のために開放しておく。地域的な経済統合のための機関の加入については、委員会の構成国の間で協議されなければならない。
第30条  
1 この条約は、いつでも改正することができる。
2 寄託政府は、委員会の構成国の3分の1の要請がある場合には、改正案を討議するための会合を招集する。
3 改正は、寄託政府が委員会のすべての構成国から改正の批准書、受諾書又は承認書を受領した時に効力を生ずる。
4 その後は、改正は、他の締約国による改正の批准、受諾又は承認の通告を寄託政府が受領した時に当該他の締約国について効力を生ずる。3の規定による改正の効力発生の日から1年以内に他の締約国がいずれの通告も行わなかつた場合には、当該他の締約国は、この条約から脱退したものとみなされる。
第31条  
1 いずれの締約国も、いずれかの年の1月1日以前に寄託政府に書面による通告を行うことにより当該いずれかの年の6月30日にこの条約から脱退することができるものとし、寄託政府は、通告を受領したときは、直ちにその旨を他の締約国に通報する。
2 いずれの他の締約国も、寄託政府から1の規定による脱退の通告の写しを受領した時から60日以内に、寄託政府に書面による脱退の通告を行うことができるものとし、この場合において、この条約は、脱退の通告を行つた締約国について1の当該いずれかの年の6月30日に効力を失う。
3 委員会のいずれかの構成国によるこの条約からの脱退は、この条約に基づく当該構成国の資金的な義務に影響を及ぼすものではない。
第32条 寄託政府は、すべての締約国に対し、次の事項を通報する。
(a)この条約の署名及び批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託
(b)この条約の効力発生の日及びこの条約の改正の効力発生の日
第33条  
1 この条約は、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、オーストラリア政府に寄託する。同政府は、この条約の認証謄本をすべての署名国及び加入国に送付する。
2 この条約は、寄託政府が国際連合憲章第102条の規定により登録する。

1980年5月20日にキャンベラで作成した。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。
仲裁裁判所に関する附属書
1 第25条3にいう仲裁裁判所は、次のとおり任命される3人の仲裁人により構成する。
(a)訴訟手続を開始する紛争当事国は、他の紛争当事国に仲裁人の氏名を通報するものとし、他の紛争当事国は、その通報を受けた後40日以内に第二の仲裁人の氏名を通報する。紛争当事国は、第二の仲裁人が任命された後60日以内に、いずれの紛争当事国の国民でもなく、かつ、最初の2人の仲裁人の有している国籍のいずれをも有していない第三の仲裁人を任命する。第三の仲裁人が、仲裁裁判所を主宰する。
(b)第二の仲裁人が所定の期間内に任命されなかつた場合又は第三の仲裁人の任命について紛争当事国が所定の期間内に合意に達しなかつた場合には、当該第二又は第三の仲裁人は、いずれかの紛争当事国の要請により、この条約の締約国である国の国籍を有していない国際的に名声のある者のうちから常設仲裁裁判所事務総長が任命する。
2 仲裁裁判所は、その本部の場所を決定するものとし、また、その 手続規則を採択する。
3 仲裁裁判所の判断は、その構成員の多数決により行われるものとし、構成員は、投票に際し棄権することができない。
4 紛争当事国でないいずれの締約国も、仲裁裁判所の同意を得て訴訟手続に参加することができる。
5 仲裁裁判所の判断は、最終的なものとし、すべての紛争当事国及び訴訟手続に参加するいずれの国も拘束する。これらの国は、直ちにその判断に従うものとする。仲裁裁判所は、一の紛争当事国又は訴訟手続に参加するいずれかの国の要請により、判断について解釈を行う。
6 特別な事情のある訴訟であることを理由として仲裁裁判所が別段の決定を行う場合を除くほか、仲裁裁判所の経費(その構成員の報酬を含む。)は、紛争当事国が均等に負担する。