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1974年の海上における人命の安全のための国際条約に関する1978年の議定書

  昭和55・12・13・条約 38号  
発効昭和56・5・1・外務省告示434号  
改正平成4・9・21・外務省告示433号(未)(施行=平4年2月1日)
改正平成24・3・19・外務省告示 70号(未)(施行=平24年1月1日)


1974年の海上における人命の安全のための国際条約に関する1978年の議定書をここに公布する。
この議定書の締約国は、
1974年11月1日にロンドンで作成された1974年の海上における人命の安全のための国際条約の締約国であるので、同条約が海上における船舶及び財産の安全並びに船上における人命の安全の増進に重要な貢献をするものであることを認め、船舶、特にタンカーの安全を一層増進する必要があることを認め、1974年の海上における人命の安全のための国際条約に関する議定書の締結によりこの目的を最もよく達成することができることを考慮して、
次のとおり協定した。
(一般的義務)
第1条 この議定書の締約国は、この議定書及びこの議定書の不可分の一部をなす附属書を実施することを約束する。「この議定書」というときは、同時に附属書を含めていうものとする。
(適用)
第2条  
1 1974年の海上における人命の安全のための国際条約(以下「条約」という。)第2条、第3条((a)を除く。)、第4条、第6条(b)から(d)まで、第7条及び第8条の規定は、この議定書に織り込むものとし、これらの規定において「この条約」又は「締約政府」というときは、それぞれこの議定書又はこの議定書の締約国をいうものとする。
2 この議定書の適用を受ける船舶は、この議定書における条約の修正及び追加の規定に従うことを条件として、条約に適合するものとする。
3 この議定書の締約国は、条約及びこの議定書の双方の締約国である国以外の国の船舶に対し、一層有利な取扱いがそれらの船舶に与えられないことを確保するため、必要に応じて条約及びこの議定書の規定を、適用する。
(情報の伝達)
第3条 この議定書の締約国は、すべての締約国に対しその職員への情報として回章に付するため、指名された検査員及び認定された団体であつて海上における人命の安全のための措置を自国の政府に代わつてとる権限を与えられたものの名簿を、政府間海事協議機関(以下「機関」という。)の事務局長に送付しかつ寄託することを約束する。主管庁は、指名された検査員又は認定された団体に与える権限についてその責任の範囲及び条件を機関に通報する。
(署名、批准、受諾、承認及び加入)
第4条  
1 この議定書は、機関の本部において、1978年6月1日から1979年3月1日までは署名のため、その後は加入のため、開放しておく。国は、3の規定に従うことを条件として、次のいずれかの方法によりこの議定書の締約国となることができる。
(a)批准、受諾又は承認につき留保を付さないで署名すること。
(b)批准、受諾又は承認を条件として署名した後、批准し、受諾し又は承認すること。
(c)加入すること。
2 批准、受諾、承認又は加入は、そのための文書を機関の事務局長に寄託することによつて行う。
3 批准、受諾若しくは承認につき留保を付さないで条約に署名し又はこれを批准し、受諾し、承認し若しくはこれに加入した国のみが、批准、受諾若しくは承認につき留保を付さないでこの議定書に署名し又はこれを批准し、受諾し、承認し若しくはこれに加入することができる。
(効力発生)
第5条  
1 この議定書は、15以上の国であつてその商船船腹量の合計が総トン数で世界の商船船腹量の50パーセントに相当する商船船腹量以上となる国が前条の規定に従つて締約国となつた日の後6箇月で、効力を生ずる。もつとも、この議定書は、条約が効力を生ずる前に効力を生ずることはない。
2 この議定書の効力発生の月の後に寄託される批准書、受諾書、承認書又は加入書は、寄託の日の後3箇月で、効力を生ずる。
3 この議定書の改正が条約第8条の規定に従つて受諾されたとみなされる日の後に寄託される批准書、受諾書、承認書又は加入書は、改正された議定書に係るものとする。
(廃棄)
第6条  
1 締約国は、この議定書が自国について効力を生じた日から5年を経過した後は、いつでもこれを廃棄することができる。
2 廃棄は、機関の事務局長に廃棄書を寄託することによつて行う。
3 廃棄は、機関の事務局長による廃棄書の受領の後1年で、又は廃棄書に明記するこれよりも長い期間の後に、効力を生ずる。
4 いずれかの締約国が条約を廃棄した場合には、この議定書をも廃棄したものとみなす。
(寄託者)
第7条  
1 この議定書は、機関の事務局長(以下「寄託者」という。)に寄託する。
2 寄託者は、次のことを行う。
(a)この議定書に署名しており又は加入している国に対し、次の事項を通報すること。
(i)新たに行われた署名及び批准、受諾、承認又は加入の文書の寄託並びに署名又は寄託の日
(ii)この議定書の効力発生の日
(iii)この議定書の廃棄書の受領及びその受領の日並びに廃棄が効力を生ずる日
(b)この議定書に署名し又は加入したすべての国にこの議定書の認証謄本を送付すること。
3 この議定書が効力を生じたときは、寄託者は、国際連合憲章第102条の規定により、その認証謄本を登録及び公表のため速やかに国際連合事務局に送付する。
(用語)
第8条 この議定書は、ひとしく正文である中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語により本書一通を作成する。アラビア語、ドイツ語及びイタリア語による公定訳文は、作成の上、署名済みの原本とともに寄託する。


以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの議定書に署名した。
1978年2月17日にロンドンで作成した。
附属書 1974年の海上における人命の安全のための国際条約の修正及び追加

第1章 一般規定
A部 適用、定義等
第2規則 定義
(m)の次に次の(n)を加える。
(n)「船齢」とは、船舶登録書に記載する建造年から経過した期間をいう。

B部 検査及び証書
第6規則 検査
第6規則を次のように改める。
(a)船舶の検査は、この規則の実施及びその適用の免除に関する限り、主管庁の職員が行う。もつとも、主管庁は、検査をそのために指名する検査員又は主管庁の認定する団体に委託することができる。
(b)主管庁は、証書の有効期間内に不定期の検査を行うための措置をとる。この検査は、船舶及びその設備がその船舶の予定された用途にすべての点において適合することを確保するものでなければならない。この検査は、主管庁の検査機関、指名された検査員若しくは認定された団体又は主管庁から要請された他の締約国によつて行われる。主管庁がこの章の第8規則及び第10規則の規定により強制的検査を毎年行う場合には、この検査は、義務的ではない。
(c)(a)及び(b)の規定により検査を行う検査員を指名し又は団体を認定する主管庁は、指名された検査員又は認定された団体に対し少なくとも次のことを行う権限を与える。
(i)船舶の修繕を要求すること。
(ii)寄港国の当局からの要請に応じて検査を行うこと。
 主管庁は、指名された検査員又は認定された団体に与える権限についてその責任の範囲及び条件を機関に通報する。
(d)指名された検査員又は認定された団体は、船舶若しくはその設備の状態が実質的に証書の記載事項どおりでないと認める場合又は船舶若しくはその設備の状態が航行に際して船舶若しくは乗船者に危険を及ぼすと認める場合には、是正措置がとられることを速やかに確保するものとし、また、正式に主管庁に通報する。是正措置がとられない場合には、当該証書を回収すべきであり、また、速やかに主管庁に通報するものとし、更に、船舶が他の締約国の港にあるときは、寄港国の当局にも速やかに通報する。主管庁の職員、指名された検査員又は認定された団体が寄港国の当局に通報した場合には、寄港国の政府は、これらの職員、検査員又は団体に対し、この第6規則の規定に基づく義務の遂行に必要な援助を与える。寄港国の政府は、当該船舶が船舶又は乗船者に危険を及ぼすことなく航行することができるようになるまで又は当該船舶が修繕のため適当な場所へ向かう目的で出港することができるようになるまで、当該船舶を航行させてはならない。
(e)主管庁は、あらゆる場合において、検査の完全性及び実効性を十分に保証するものとし、この義務の履行のため必要な措置をとる。

第7規則 旅客船の検査
(b)(iii)を次のように改める。
(iii)この章の第11規則に規定する調査の結果に基づき修繕が行われた場合又は重大な修繕若しくは取替えが行われた場合には、状況に応じ、全般的又は部分的の検査を行う。この検査は、必要な修繕又は取替えが実効的に行われたことを確認するとともに、その修繕又は取替えの材料及び工作がすべての点において満足なものであること並びに船舶がすべての点において条約及びこの議定書並びに現行の海上における衝突の予防のための国際規則並びにこれらに基づいて主管庁が制定する法令に適合することを確保するものでなければならない。

第8規則 貨物船の救命設備その他の設備の検査
第8規則を次のように改める。
(a)条約及びこの議定書の第2−1章から第3章まで及び第5章の規定が適用される貨物船の救命設備(発動機付救命艇の無線電信設備並びに救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置を除く。)、音響測深装置、ジャイロ・コンパス、消火設備及び固定式イナート・ガス装置は、条約及びこの議定書の第1章第7規則において旅客船について定めるところに準じて最初の検査及びその後の検査を受けるものとし、この場合において、条約第1章第7規則(a)(ii)の「12箇月」は、「24箇月」とする。新船の火災制御図並びに新船及び現存船に備える水先人用はしご、水先人用昇降機、燈火、形象物及び音響信号の装置は、条約及びこの議定書並びに現行の海上における衝突の予防のための国際規則(適用がある場合)に適合することを確保するため、これらの検査の対象に含める。
(b)船齢10年以上のタンカーについては、貨物船安全設備証書の発給の後1年を経過する日の前後3箇月以内に、(a)に規定する設備がこの章の第11規則の規定により維持されること及び当該設備が良好な作動状態にあることを確保するため、中間検査を行う。この中間検査を行つた場合には、条約第1章第12規則(a)(iii)の規定に基づいて発給される貨物船安全設備証書に裏書する。

第10規則 貨物船の船体、機関及び設備の検査
第10規則を次のように改める。
(a)貨物船の船体、機関及び設備(貨物船安全設備証書、貨物船安全無線電信証書又は貨物船安全無線電話証書に含まれる事項を除く。)は、その状態がすべての点において満足なものであることを確保するために必要であると主管庁が認める方法により、完成の際に及びその後は次の間隔で、検査を受ける。
(i)主管庁の定める5年を超えない間隔(定期的検査)
(ii)船齢10年以上のタンカーについては、定期的検査のほかに、貨物船安全構造証書の有効期間内に少なくとも1回中間検査を行う。貨物船安全構造証書の有効期間内にこの中間検査を1回のみ行う場合には、当該有効期間の2分の1に相当する期間を経過する日の前後6箇月以内に行う。
(b)最初の検査及び定期的検査は、船体、ボイラーその他の圧力容器及びその附属品、主機関、補助機関(操舵装置及びその制御装置を含む。)、電気設備並びに他の設備の配置、材料及び寸法が船舶の予定された用途にとつてすべての点において満足なものであることを確保するものでなければならない。これらの検査は、タンカーについては、船底外板、ポンプ室、貨物油用及び燃料油用の配管系統、空気管、圧力逃がし弁並びに火炎しやへい物の検査を含む。
(c)船齢10年以上のタンカーの中間検査は、操舵装置及びその制御装置、ポンプ室、甲板上及びポンプ室の貨物油用及び燃料油用の配管系統、空気管、圧力逃がし弁、火炎しやへい物、危険場所の電気設備並びに船底外板の検査を含む。電気設備の目視検査のほかに、危険場所の電気設備の絶縁抵抗試験を行う。この中間検査の結果、配管の状態に疑いがある場合には、必要に応じて、圧力試験、厚さの計測等の補充的措置をとる。この中間検査を行つた場合には、条約第1章第12規則(a)(ii)の規定に基づいて発給される貨物船安全構造証書に裏書する。
(d)この章の第11規則に規定する調査の結果必要とされる場合又は重大な修繕若しくは取替えが行われた場合には、状況に応じ、全般的又は部分的の検査を行う。この検査は、必要な修繕又は取替えが実効的に行われたことを確認するとともに、その修繕又は取替えの材料及び工作がすべての点において満足なものであること並びに船舶が船舶又は乗船者に危険を及ぼすことなく航行し得ることを確保するものでなければならない。

第11規則 検査後における状態の維持
第11規則を次のように改める。
(a)船舶及びその設備の状態は、船舶が船舶又は乗船者に危険を及ぼすことなく航行し得ることを確保するため、すべての点において条約及びこの議定書に適合するように維持する。
(b)条約及びこの議定書の第1章第6規則から第10規則までの規定に基づく船舶の検査の完了後は、主管庁の許可を受けない限り、検査の対象となる構造配置、機関、設備等の変更を行つてはならない。
(c)船舶に事故が生じた場合又は船舶に欠陥が発見された場合において、船舶の安全性又は救命設備その他の設備の実効性若しくは完全性に影響するときは、当該船舶の船長又は所有者は、できる限り速やかに関係証書の発給について責任を有する主管庁、指名された検査員又は認定された団体に報告するものとし、報告を受けた者は、条約及びこの議定書の第1章第6規則から第10規則までの規定により要求される検査が必要であるかどうかを決定するための調査を開始する。当該船舶が他の締約国の港にある場合には、当該船舶の船長又は所有者は、当該他の締約国の当局にも速やかに報告するものとし、指名された検査員又は認定された団体は、この報告が行われたことを確認する。

第14規則 証書の有効期間及び効力
第14規則を次のように改める。
(a)証書は、貨物船安全構造証書、貨物船安全設備証書及び免除証書を除くほか、12箇月を超えない期間について発給する。貨物船安全構造証書は、5年を超えない期間について発給する。貨物船安全設備証書は、24箇月を超えない期間について発給する。免除証書は、関連する証書の有効期間を超える期間について効力を有することはない。
(b)貨物船安全構造証書については、その有効期間が5年を超えることとなる延長は、認められない。
(c)総トン数300トン以上500トン未満の貨物船について発給された貨物船安全無線電信証書又は貨物船安全無線電話証書は、その有効期間の満了前2箇月以内に検査が行われる場合には、回収し、その有効期間の満了後12箇月で有効期間が満了する新証書を発給することができる。
(d)(b)の場合を除くほか、証書の有効期間の満了の時に船舶がその登録された国又はその検査がされる予定の国の港にない場合には、主管庁は、証書の有効期間を延長することができる。ただし、延長は、船舶がその登録された国又はその検査がされる予定の国への航海を完了することができるようにするためにのみ、しかもそれが適当かつ合理的であると認められる場合に限り、許可される。
(e)(d)の規定に基づく証書の有効期間の延長は、5箇月を超えて行うことはできない。有効期間の延長を許可された証書を備える船舶は、その登録された国又はその検査がされる予定の港に到着したときは、新証書の発給を受けない限り、当該延長によつては、その国又は港を離れることができない。
(f)(b)の場合を除くほか、(d)及び(e)の規定による有効期間の延長がされていない証書については、主管庁は、記載された有効期間の満了の日から1箇月以内の猶予期間を認めることができる。
(g)証書は、次の場合には、効力を失う。
(i)条約及びこの議定書の第1章第7規則(a)、第8規則、第9規則及び第10規則(a)に規定する期間内又は(d)から(f)までの規定により延長された期間内に検査が行われない場合
(ii)船舶が、その移転により他の国を旗国とすることとなる場合。新しい証書は、これを発給する政府が当該船舶がこの章の第11規則(a)及び(b)の規定に適合していると認めた場合にのみ、発給される。締約国の間において船舶が移転された場合には、当該船舶の移転前の旗国の政府は、移転後3箇月以内に要請を受けたときは、できる限り速やかに、移転前に当該船舶が有していた証書の写し及び入手可能なときは関係検査報告書の写しを主管庁に送付する。

第19規則 監督
第19規則を次のように改める。
(a)船舶は、他の締約国の港において、条約第1章第12規則又は第13規則の規定に基づいて発給された証書が有効であることを確認するためのものである限り、当該他の締約国の政府から正当に権限を与えられた職員の行う監督に服する。
(b)証書は、有効なものである限り、認容される。ただし、船舶又はその設備の状態が実質的に証書の記載事項どおりでないと認める明確な根拠がある場合並びに船舶又はその設備がこの章の第11規則(a)及び(b)の規定に適合しないと認める明確な根拠がある場合は、この限りでない。
(c)(b)に規定する場合、証書の有効期間が満了した場合及び証書が効力を失つた場合には、監督を行う職員は、当該船舶が船舶若しくは乗船者に危険を及ぼすことなく航行することができるようになるまで又は当該船舶が修繕のため適当な場所へ向かう目的で出港することができるようになるまで、当該船舶を航行させないための措置をとる。
(d)何らかの干渉をすることとなる監督を行う場合には、監督を行う職員は、当該船舶の旗国の領事又は領事が駐在していないときは最寄りのその旗国の外交代表に対し、干渉を必要と認める事情を直ちに書面で通報する。更に、当該証書の発給について責任を有する指名された検査員又は認定された団体に対しても、同様に通報する。干渉に係る事実は、機関に報告する。
(e)船舶の寄港国の当局は、(c)及び(d)に規定する措置をとることができない場合又は当該船舶が次の寄港地へ航行することを認める場合には、(d)にいう旗国である締約国のほかに、次の寄港地の当局に対し、当該船舶についての関連情報を通報する。
(f)この第19規則の規定により監督を行う場合には、船舶を不当に抑留し又はその出航を不当に遅らすことのないように、可能なあらゆる努力を払う。船舶は不当に抑留され又はその出航を不当に遅らされた場合には、被つた損失及び損害の賠償を受ける権利を有する。

第2−1章 構造(区画及び復原性並びに機関及び電気設備)
A部 総則
第1規則 適用
(b)(ii)の次に次の(iii)から(v)までを加える。
(iii)「新タンカー」は、条約第2−1章第1規則(a)(iii)及び(b)(ii)の規定にかかわらず、この章の第29規則(d)の規定の適用上、次のタンカーをいう。
(1)1979年6月1日後に建造契約が結ばれるタンカー
(2)建造契約がない場合には、1980年1月1日後にキールが据え付けられるタンカー又はこれと同様の建造段階にあるタンカー
(3)1982年6月1日後に引き渡されるタンカー
(4)主要な変更又は改造が行われるタンカーであつて次の条件を満たすもの
(a)1979年6月1日後に契約が結ばれること。
(b)契約がない場合には、1980年1月1日後に工事が開始されること。
(c)1982年6月1日後に工事が完了すること。
(iv)「現存タンカー」とは、この章の第29規則(d)の規定の適用上、側面に定義する新タンカー以外のタンカーをいう。
(v)(b)(iii)の規定の適用上、載貨重量20,000トン以上の現存タンカーをこの議定書又は1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書に適合させるために改造することは、主要な変更又は改造とみなさない。

第2規則 定義
(j)の次に次の(k)から(n)までを加える。
(k)「遠隔操舵制御系統」とは、かじに要求される動きについての指示を、船橋から、操舵装置の動力装置を制御する装置に伝達する手段をいう。
(l)「主操舵装置」とは操舵機械、操舵装置の動力装置、補助設備及び通常の航行状態において操船の目的でかじを有効に動かすために必要なトルクをラダー・ストックに与える装置(例えば、チラー又はコードラント)をいう。
(m)「操舵装置の動力装置」とは、次の物をいう。
(i)電動操舵装置については、電動機及び関連電気設備
(ii)電動油圧操舵装置については、電動機並びに関連電気設備及び電動機に連結されたポンプ
(iii)電動油圧操舵装置以外の油圧操舵装置については、駆動機関及びこれに連結されたポンプ
(n)「補助操舵装置」とは、主操舵装置の故障の際に操船の目的でかじを有効に動かすために設ける装置をいう。

C部 機関及び電気設備
第29規則 操舵装置
(c)の次に次の(d)を加える。
(d)タンカー
(i)次の規定は、総トン数10,000トン以上の新タンカーについて適用するものとし、また、総トン数10,000トン以上の現存タンカーについては、この議定書の効力発生の日から2年以内に適用する。
(1)船橋からそれぞれ独立に操作される二の遠隔操舵制御系統を設ける。もつとも操舵輪又はかじレバーを二重に装備することは、要求されない。一方の遠隔操舵制御系統が作動中に故障した場合に他方の遠隔操舵制御系統を船橋から直ちに操作し得るように措置をとる。この二の遠隔操舵制御系統は、電気式のものである場合には、操舵機室内の操舵装置動力回路からそれぞれ別個の回路によつて給電する。遠隔操舵制御系統への給電が停止した場合に船橋に警報を発するように措置をとる。この警報を発する装置は、可視可聴式のものでなければならず、船橋の目につきやすい位置に取り付ける。
(2)主操舵装置の制御装置は、操舵機室にも設ける。
(3)遠隔操舵制御系統を操舵装置動力回路から切り離すための装置を操舵機室に設ける。
(4)船橋と操舵機室との間に連絡装置を取り付ける。
(5)船橋において正確な舵角位置が指示されるようにする。舵角指示器は、遠隔操舵制御系統から独立したものでなければならない。
(6)舵角位置は操舵機室において確認することができるものでなければならない。
(ii)総トン数10,000トン以上の新タンカーについては、(d)(i)及び条約第2−1章第29規則(a)の規定のほか、次の規定を適用する。
(1)主操舵装置は、同等の能力を有する二以上の動力装置を含むものでなければならず、一又は二以上の動力装置によつて作動中に(d)(ii)(2)の規定により要求されるかじの操作が可能なものでなければならない。主操舵装置については、合理的かつ実行可能である限り、主操舵装置の配管又は一の動力装置に単一故障が生じた場合に主操舵装置の当該故障箇所以外の部分の機能を損なわないように措置をとる。操舵装置の一部である機械的な継手及び遠隔操舵制御系統への機械的な接続部分は、主管庁の認める堅ろうでかつ信頼性のある構造のものでなければならない。
(2)主操舵装置は、船舶が、最大航海喫水において最大航海速力で前進中にかじを片舷35度から反対舷35度まで操作することができるものでなければならない。かじは、これと同一の条件の下で、いずれの舷からも片舷35度から反対舷30度まで28秒以内に操作することができるものでなければならない。
(3)主操舵装置は、(d)(ii)(2)の要件を満たすため、動力駆動のものでなければならない。
(4)主操舵装置の動力装置については、動力の供給が停止した後に復帰した場合に自動的に始動するように措置をとる。
(5)操舵装置の動力装置のいずれか一が故障した場合に船橋に警報を発するように措置をとる。操舵装置の動力装置は、自動的にも、また、船橋からの手動操作によつても作動を開始することができるものでなければならない。
(6)この(d)(ii)(6)に規定するかじの操作を可能にするため操舵装置の一の動力装置に供給するために十分な代替動力並びに当該一の動力装置に接続する遠隔操舵制御系統及び舵角指示器に供給するために十分な代替動力が、非常電源から又は操舵機室に設ける他の独立の動力源から、自動的に、かつ、45秒以内に供給されなければならない。この独立の動力源は、このためにのみ使用するものとし、30分間の連続作動に十分な容量のものでなければならない。操舵装置の動力装置は、代替動力を供給される場合には、船舶が最大航海喫水において最大前進航海速力の2分の1に相当する速力又は7ノットのいずれか速い方の速力で前進中にかじを少なくとも片舷15度から反対舷15度まで60秒以内に操作することができるものでなければならない。

第2−2章 構造(防火並びに火災探知及び消火)
A部 総則
第1規則 適用
(a)(iii)の次に次の(iv)から(vi)までを加える。
(iv)「新タンカー」とは、条約第2−2章第1規則(a)及び(iii)の規定にかかわらず、この章の第55規則(a)(ii)及び第60規則の規定の適用上、次のタンカーをいう。
(1)1979年6月1日後に建造契約が結ばれるタンカー
(2)建造契約がない場合には、1980年1月1日後にキールが据え付けられるタンカー又はこれと同様の建造段階にあるタンカー
(3)1982年6月1日後に引き渡されるタンカー
(4)主要な変更又は改造が行われるタンカーであつて次の条件を満たすもの
(a)1979年6月1日後に契約が結ばれること。
(b)契約がない場合には、1980年1月1日後に工事が開始されること。
(c)1982年6月1日後に工事が完了すること。
(v)「現存タンカー」とは、この章の第55規則(a)(ii)及び第60規則の規定の適用上、(a)(iv)に定義する新タンカー以外のタンカーをいう。
(vi)(a)(iv)の規定の適用上、載貨重量20,000トン以上の現存タンカーをこの議定書又は1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書に適合させるために改造することは、主要な変更又は改造とみなさない。

第3規則 定義
(v)を次のように改める。
(v)「軽荷重量」とは、貨物、燃料、潤滑油、バラスト水、タンク内の清水及び養かん水、消耗貯蔵品並びに旅客及び乗組員並びにその手回品を除く船舶の排水量をメートル・トンで表したものをいう。
(w)の次に次の(x)を加える。
(x)「原油」とは、運送に適するように処理してあるかどうかを問わず、地中から産する天然の油をいい、次のものを含む。
(i)若干量の分留物が除去された原油
(ii)若干量の分留物が添加された原油

E部 タンカーの火災安全措置
第55規則 適用
第55規則を次のように改める。
(a)別段の明文の規定がない限り、
(i)この部の規定は、承認された引火点測定器によつて引火点が摂氏60度(華氏140度)以下であると決定された(密閉容器試験による。)原油及び石油生成品であつてレイド蒸気圧が大気圧より低いもの並びにこれらと同様の火災の危険性を有する液体製品を運送する新タンカーに適用する。
(ii)この部の規定が適用される船舶は、条約第2−2章第52規則から第54規則までの規定に適合するものとする。もつとも、固定式ガス消火装置は、新タンカー及びこの章の第60規則の規定に適合する現存タンカーの貨物区域に使用してはならない。同規則の規定に適合することを要求されない現存タンカーについては、主管庁は、条約第2−2章第52規則(f)の規定の適用に当たり、貨物タンクの内外にあわを放出し得るあわ装置の使用を認めることができる。この装置の詳細は、主管庁の認めるものでなければならない。
(b)(a)(i)に規定する貨物に追加して当該貨物以外の貨物を運送することにより火災の危険性が増大する場合には、主管庁の認める追加の安全措置が要求される。
(c)兼用船は、いずれの貨物タンクにも油が積載されておらず、しかもガスが除去されている場合又は個々の船舶について主管庁の認める措置がとられている場合を除くほか、固体貨物を運送してはならない。

第60規則 貨物タンクの保護
第60規則を次のように改める。
(a)載貨重量20,000トン以上の新タンカーの貨物タンク頂部の甲板区域及び貨物タンクは、条約第2−2章第61規則及び第62規則の規定に適合する固定式甲板あわ装置及び固定式イナート・ガス装置によつて保護する。もつとも、他の固定式装置の組合せがこれらの装置と同等の保護を与えるものである場合には、主管庁は、船舶の配置及び設備を考慮した上で、条約第1章第5規則の規定によりその使用を認めることができる。
(b)甲板あわ装置を代わる装置は、同等と認められるためには、次のいずれの条件をも満たすものでなければならない。
(i)甲板上の油火災を消火する能力を有するとともに、漏油の発火を防止すること。
(ii)破損した貨物タンク内の火災を消火する能力を有すること。
(c)固定式イナート・ガス装置に代わる装置は、同等と認められるためには、次のいずれの条件をも満たすものでなければならない。
(i)バラスト航海中の通常業務及び必要なタンク内作業の間、貨物タンク内に爆発性混合物が危険な程度にたまることを防止する能力を有すること。
(ii)装置自体が発生させる静電気による発火の危険性を最小にするように設計されること。
(d)原油の運送に従事する載貨重量20,000トン以上の現存タンカーには、次の期間内に、(a)に規定する固定式イナート・ガス装置を設ける。
(i)載貨重量70,000トン以上のタンカーについては、この議定書の効力発生の日の後2年
(ii)貨重量70,000トン未満のタンカーについては、この議定書の効力発生の日の後4年。もつとも、載貨重量40,000トン未満の現存タンカーであつてその処理量が毎時60立力メートルを超えるタンク洗浄機を備えないものについては、その現存タンカーの設計上の特徴にかんがみ(d)の規定を適用することが不合理かつ実行不可能である場合には、主管庁は、その適用を免除することができる。
(e)原油以外の油の運送に従事する載貨重量40,000トン以上の現存タンカーに、及び原油以外の油の運送に従事する載貨重量20,000トン以上の現存タンカーであつてその処理量が毎時60立方メートルを超えるタンク洗浄機を備える現存タンカーには、次の期間内に、(a)に規定する固定式イナート・ガス装置を設ける。
(i)載貨重量70,000トン以上のタンカーについては、この議定書の効力発生の日の後2年
(ii)載貨重量70,000トン未満のタンカーについては、この議定書の効力発生の日の後4年
(f)原油洗浄による貨物タンク洗浄方式を用いるタンカーには、固定式タンク洗浄機及び条約第2−2章第62規則の規定に適合する固定式イナート・ガス装置を設ける。
(g)固定式イナート・ガス装置を設けるタンカーには、密閉式の液面計測設備を設ける。(h)(a)の規定が適用されない総トン数2,000トン以上の新タンカーには、貨物タンクの内外にあわを放出し得るあわ装置を備える。この装置の詳細は、主管庁の認めるものでなければならない。

第5章 航行の安全
第12規則 船舶に備える航行設備
(a)を次のように改める。
(a)総トン数1,600トン以上10,000トン未満の船舶には、少なくとも一のレーダーを設ける。総トン数10,000トン以上の船舶には、それぞれ独立に作動し得る少なくとも二のレーダーを設ける。この第12規則の規定により設けるレーダーは、主管庁の承認する型式のものでなければならず、また、機関が採択した作動規準を下回らないものでなければならない。レーダーの表示のプロッティングをするための設備を船橋に備える。

第19規則 自動操舵装置の使用
(c)の次に次の(d)を加える。
(d)手動操舵については、自動操舵装置を長時間使用した後に、及び航海に特別の警戒を必要とする海域に入る前に、試験をする。

第19規則の次に次の第19−1規則及び第19−2規則を加える。
第19−1規則 操舵装置の作動
 船舶は、二以上の操舵装置の動力装置が同時に作動し得るものである場合には、航海に特別の警戒を必要とする海域においては、これらの操舵装置の動力装置を作動させておく。
第19−2規則 操舵装置(試験及び訓練)
(a)船舶の操舵装置については、出港前12時間以内に、乗組員が点検及び試験をする。試験には、可能なときは、次のものの作動試験を含める。
(i)主操舵装置
(ii)補助操舵装置
(iii)遠隔操舵制御系統
(iv)船橋に設ける操舵場所
(v)非常動力源
(vi)実際のかじの位置を示す舵角指示器
(vii)遠隔操舵制御系統の動力源の故障警報装置
(viii)操舵装置の動力装置の故障警報装置
(b)点検及び試験には、次のものを含める。
(i)操舵装置について要求される能力に応じてかじが十分に作動するかどうかについての試験
(ii)操舵装置及びその連結装置の目視検査
(iii)船橋と操舵機室との間の連絡装置の作動試験
(c) 
(i)遠隔操舵制御系統及び操舵装置の動力装置についての切換手順を示す線図を付した簡単な操作説明書を、船橋及び操舵機室に恒久的に掲示しておく。
(ii)操舵装置の操作又は保守に関係する職員は、船舶に設ける操舵装置の操作及び操舵装置の一の系統から他の系統への切換手順に精通していなければならない。
(d)(a)及び(b)に規定する通常の点検及び試験のほか、非常の際の操舵装置の操作のため少なくとも3箇月ごとに非常操舵訓練を行う。この訓練の対象には、操舵機室からの直接の制御、船橋と操舵機室との連絡及び、可能なときは、代替動力源の操作を含める。
(e)主管庁は、短期間の航海に定期的に従事する船舶については、(a)及び(b)に規定する点検及び試験についての要件を緩和することができる。当該船舶については、(a)及び(b)に規定する点検及び試験を少なくとも毎週1回行う。
(f)(a)及び(b)に規定する点検及び試験が行われた日並びに(d)の規定により行われた非常操舵訓練の日及びその詳細は、主管庁の定める航海日誌に記録する。

付録 貨物船に対する安全構造証書の様式
次の様式を現行の様式に追加する。
(以下略)

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