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廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約

【目次】
  昭和55・10・25・条約 35号==
発効昭和55・11・14・外務省告示383号  
改正平成2・5・18・外務省告示160号−−
改正平成6・2・24・外務省告示 80号−−
改正平成6・2・24・外務省告示 81号−−
改正平成6・2・24・外務省告示 82号−−
この条約の締約国は、
 海洋環境及び海洋環境によつて維持される生物が人類にとつて極めて重要であること、並びにその質及び資源を害されないような海洋環境の管理の確保についてすべての人が関心を有していることを認め、
 廃棄物を同化しかつ無害にする海洋の受容力及び天然資源を再生産する海洋の能力が無限ではないことを認め、
 諸国が、国際連合憲章及び国際法の諸原則に基づき、自国の資源をその環境政策に従つて開発する主権的権利を有すること、及び自国の管轄又は管理の下における活動が他国の環境又は国の管轄の外の区域の環境を害しないことを確保することについて責任を有することを認め、
 国の管轄の外の海底を規律する諸原則に関する国際連合総会決議第2749号(第25回会期)を想起し、
 海洋汚染が投棄並びに大気、河川、河口、排水口及びパイプラインを通ずる排出等の多くの原因から生ずること、並びに諸国がそのような海洋汚染を防止するための実行可能な最善の手段を講ずるとともに、処分すべき有害な廃棄物の量を減少させる製品及び工程を開発することが重要であることに留意し、
 投棄による海洋汚染を規制する国際的行動は、遅滞なくとることができるものでありかつ遅滞なくとられなければならないが、その国際的行動が海洋汚染の他の原因をできる限り速やかに規制する措置についての討議を妨げてはならないものであることを確信し、
 特定の地理的区域において共通の利益を有する諸国に対しこの条約を補足する適当な取極を締結するよう奨励することにより海洋環境の保護について改善することを希望して、
 次のとおり協定した。
第1条 締約国は、海洋環境を汚染するすべての原因を効果的に規制することを単独で及び共同して促進するものとし、また、特に、人の健康に危険をもたらし、生物資源及び海洋生物に害を与え、海洋の快適性を損ない又は他の適法な海洋の利用を妨げるおそれがある廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染を防止するために実行可能なあらゆる措置をとることを誓約する。
第2条 締約国は、次条以下の諸条に定めるところに従い、自国の科学的、技術的及び経済的な能力に応じて単独で、並びに共同して、投棄によつて生ずる海洋汚染を防止するための効果的な措置をとるものとし、また、この点に関して締約国の政策を調和させる。
第3条 この条約の適用上、
a.「投棄」とは、次のことをいう
i.海洋において廃棄物その他の物を船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物から故意に処分すること。
ii.海洋において船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物を故意に処分すること。
b.「投棄」には、次のことを含まない
i.船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物及びこれらのものの設備の通常の運用に付随し又はこれに伴つて生ずる廃棄物その他の物を海洋において処分すること。ただし、廃棄物その他の物であつて、その処分に従事する船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物によつて又はこれらに向けて運搬されるもの及び当該船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物における当該廃棄物その他の物の処理に伴つて生ずるものを処分することを除く。
ii.物を単なる処分の目的以外の目的で配置すること。ただし、その配置がこの条約の目的に反しない場合に限る。
c.海底鉱物資源の探査及び開発並びにこれらに関連して行われる沖合における加工から直接又は間接に生ずる廃棄物その他の物の処分は、この条約の適用を受けない。
 「船舶及び航空機」とは、種類のいかんを問わず、水上、水中又は空中を移動する機器(自動推進式であるかどうかを問わず、エアクッション船及び浮遊機器を含む。)をいう。
 「海洋」とは、国の内水を除くすべての海域をいう。
 「廃棄物その他の物」とは、あらゆる種類、形状又は性状の物質をいう。
 「特別許可」とは、事前の申請に基づきかつ附属書II及び附属書IIIの規定により個別的に与えられる許可をいう。
 「一般許可」とは、附属書IIIの規定により事前に与えられる許可をいう。
 「機関」とは、第14条2の規定に基づいて締約国が指定する機関をいう。
第4条
 締約国は、この条約の定めるところにより、次の(a)から(c)までに別段の定めがある場合を除くほか、廃棄物その他の物の投棄(その形態及び状態のいかんを問わない。)を禁止する。
a.附属書Iに掲げる廃棄物その他の物の投棄は、禁止する。
b.附属書IIに掲げる廃棄物その他の物の投棄は、事前の特別許可を必要とする。
c.他のすべての廃棄物その他の物の投棄は、事前の一般許可を必要とする。
 いずれの許可も、附属書IIIに掲げるすべての事項について慎重な考慮(附属書IIIB及びCに掲げる投棄場所の特性についての事前調査を含む。)が払われた後でなければ与えてはならない。
 この条約のいかなる規定も、締約国が廃棄物その他の物であつて附属書Iに掲げられていないものの投棄を自国について禁止することを妨げるものと解してはならない。当該締約国は、そのための措置を機関に通知する。
第5条
 前条の規定は、荒天による不可抗力その他人命に対する危険又は船舶、航空機若しくはプラットフォームその他の人工海洋構築物に対する現実の脅威がある場合において人命又は船舶、航空機若しくはプラットフォームその他の人工海洋構築物の安全を確保することが必要であるときは、適用しない。ただし、投棄がその脅威を避けるための唯一の方法であると考えられること及び投棄の結果生ずる損害が投棄を行わなかつた場合に生ずる損害よりも少ないと十分に見込まれることを条件とする。投棄は、人命及び海洋生物に対する損害の可能性を最小限にするように行われなければならず、また、その投棄については、直ちに機関に報告されるものとする。
 締約国は、人の健康に対して容認し難い危険をもたらし、かつ、他のいかなる実行可能な解決策をも講ずることができない緊急の場合においては、前条1(a)の規定の例外として特別許可を与えることができる。当該締約国は、特別許可を与えるに先立ち、影響を受けるおそれがあるすべての国及び機関と協議するものとし、機関は、他の締約国及び適当な国際機関との協議の上、第14条の規定により、当該締約国に対し、とるべき最も適した手続を速やかに勧告する。当該締約国は、措置をとるべき最終時点を考慮し及び海洋環境に対する損害を防止する一般的義務に即して実行可能な最大限度まで当該勧告に従うものとし、また、自国がとる措置を機関に通報する。締約国は、そのような状況において相互に援助することを誓約する。
 締約国は、この条約の批准若しくは加入の時に又はその後に、2の規定に基づく自国の権利を放棄することができる。
第6条
 各締約国は、次のことを行う一又は二以上の適当な当局を指定する。
a.附属書IIに掲げる物の投棄及び前条2に規定する緊急の場合における投棄に必要な特別許可をその投棄に先立つて与えること。
b.他のすべての物の投棄に必要な一般許可をその投棄に先立つて与えること。
c.投棄を許可したすべての物の性質及び数量並びに投棄の場所、時期及び方法を記録すること。
d.この条約の適用上、単独で又は他の締約国及び権限のある国際機関と協力して海洋の状態を監視すること。
 締約国の適当な当局は、投棄が意図されている次の物につき、1の規定により事前の特別許可又は一般許可を与える。
a.当該締約国の領域において積み込まれる物
b.当該締約国の領域において登録された船舶若しくは航空機又は当該締約国を旗国とする船舶若しくは航空機にこの条約の締約国でない国の領域において積み込まれる物
 適当な当局は、1(a)及び(b)に規定する許可を与えるに当たつては、附属書IIIの規定並びに適切と認める追加の基準、措置及び要件に従う。
 各締約国は、直接に又は地域的取極に基づいて設立される事務局を通じて、機関及び適当な場合には他の締約国に対し、1(c)及び(d)の定めることに係る情報並びに3の規定により採用する基準、措置及び要件を報告する。報告の手続及び性質は、締約国が協議の上合意する。
第7条
 各締約国は、次のすべてのものにつき、この条約を突施するために必要な措置をとる。
a.当該締約国の領域において登録され又は当該締約国を旗国とする船舶及び航空機
b.投棄が意図されている物を当該締約国の領域において積み込む船舶及び航空機
c.当該締約国の管轄の下にある船舶、航空機及び固定され又は浮いているプラットフォームで投棄を行つていると認められるもの
 各締約国は、この条約の規定に違反する行為を防止し及び処罰するため、自国の領域において適当な措置をとる。
 締約国は、この条約を特に公海において効果的に適用するための手続(この条約の規定に違反して投棄を行つていることが発見された船舶及び航空機についての報告に関する手続を含む。)の作成に協力することに同意する。
 この条約は、他国の主権の及ばないことが国際法により認められている船舶及び航空機については、適用しない。もつとも、各締約国は、適当な措置をとることにより、自国が所有し又は運用する当該船舶及び航空機がこの条約の目的に沿つて運用されることを確保するものとし、また、その措置を機関に通報する。
 この条約のいかなる規定も、各締約国が海洋における投棄を防止するため国際法の諸原則に基づき他の措置をとる権利に影響を及ぼすものではない。
第8条 この条約の目的を推進するため、特定の地理的区域における海洋環境について擁護すべき共通の利益を有する締約国は、地域的特性を考慮した上で、特に投棄による汚染を防止するため、この条約に適合する地域的取極を締結するように努める。地域的取極については、機関がこの条約の締約国に通告するものとし、この条約の締約国は、当該地域的取極の目的及び規定に即して行動するように努める。締約国は、この条約の締約国及び地域的取極の締約国が従うことができるような調和のとれた手続を作成するため、地域的取極の締約国と協力するように努める。監視及び科学的調査の分野における協力については、特別の考慮を払う。
第9条 締約国は、次の事項に関して援助を要請する締約国に対し、機関その他の国際団体における協力を通じて援助を促進する。
a.科学及び技術の分野における要員の訓練
b.調査及び監視のために必要な設備及び施設の提供
c.廃棄物の処分及び処理並びに投棄により生ずる汚染を防止し又は軽減するための他の措置
これらの事項に関する援助は、関係国内において行われることがこの条約の目的を推進するために望ましい。
第10条 締約国は、あらゆる種類の廃棄物その他の物の投棄が他の国の環境又は他のすべての区域の環境に与える損害についての国家責任に関する国際法の諸原則に基づき、投棄についての責任の評価及び投棄に関する紛争の解決のための手続を作成することを約束する。
第11条 締約国は、第1回締約国協議会議において、この条約の解釈及び適用に関する紛争の解決のための手続について検討する。
第12条 締約国は、権限のある専門機関その他の国際団体において、次の物によつて生ずる汚染から海洋環境を保護するための措置を促進することを誓約する。
a.炭化水素(油を含む。)及びその廃棄物
b.その他の有害又は危険な物質であつて投棄の目的以外の目的で船舶によつて輸送されるもの
c.船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物の運用によつて生ずる廃棄物
d.すべての原因から生ずる放射性汚染物質(船舶から生ずるものを含む。)
e.化学兵器及び生物兵器を使用する戦争の用に供される物質
f.海底鉱物資源の探査及び開発並びにこれらに関連して行われる沖合における加工から直接又は間接に生ずる廃棄物その他の物
締約国は、また、適当な国際機関において、投棄を行つている船舶が使用する信号に関する規則の法典化を促進する。
第13条 この条約のいかなる規定も、国際連合総会決議第2750号C(第25回会期)に基づいて招集される国際連合海洋法会議による海洋法の法典化及び発展を妨げるものではなく、また、海洋法に関し並びに沿岸国及び旗国の管轄権の性質及び範囲に関する現在又は将来におけるいずれの国の主張及び法的見解をも害するものではない、締約国は、海洋法会議の後にかついかなる場合にも1976年以前に機関が招集する会議において、沿岸国が自国の海岸に接続する水域においてこの条約を適用する権利及び責任の性質及び範囲を定めるために協議することに同意する。
第14条
 グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府は、寄託政府として、組織に関する事項について決定を行うため、この条約の効力発生の後3箇月以内に締約国会議を招集する。
 締約国は、1の会議の時に存在する権限のある機関であつて、この条約に関して事務局としての任務について責任を負うものを指定する。この条約の締約国であつて当該機関の加盟国でないものは、当該機関がその任務を遂行するに当たつて要した費用につき適当な拠出を行う。
 機関の事務局の任務には、次のことが含まれる
a.少なくとも2年に1回締約国協議会議を招集し、及び締約国の3分の1の要請がある場合にはいつでも締約国特別会議を招集すること。
b.締約国及び適当な国際機関との協議の上、4(c)に規定する手続の作成及び実施について準備し及び援助すること。
c.締約国からの照会及び情報を検討し、締約国及び適当な国際機関と協議し、並びにこの条約に関連する問題であつてこの条約に特に規定されていないものに関して締約国に勧告を行うこと。
d.第4条3、第5条1及び2、第6条4、次条、第20条並びに第21条の規定に基づいて機関が受領したすべての通知を関係締約国に送付すること。
機関の指定が行われるまでの間、これらの任務は、必要に応じて寄託政府が行うものとし、このための寄託政府は、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府とする。
 締約国協議会議及び締約国特別会議は、この条約の実施について常に検討を行うものとし、特に次のことを行うことができる。
a.この条約及び附属書を検討し並びに次条の規定によりこの条約及び附属書の改正を採択すること。
b.科学の分野における適当な団体に対し、この条約(特に附属書の内容)に関連する科学的又は技術的側面につき締約国又は機関と協力し及び締約国又は機関に助言するよう要請すること。
c.第6条4の規定により行われた報告を受領し及び検討すること。
d.海洋汚染の防止に関心を有する地域的機関との協力及びこれらの地域的機関の間における協力を促進すること。
e.適当な国際機関との協議の上、第5条2の手続(例外的かつ緊急の場合を決定する基準を含む。)並びに助言のための協議の手続及び例外的かつ緊急の場合における物の安全な処分(適当な投棄区域の指定を含む。)のための手続を作成し又は採択し、並びにそれに従つて勧告を行うこと。
f.必要と認める追加の措置を検討すること。
 締約国は、第1回締約国協議会議において、必要な手続規則を定める。
第15条
a.この条約の改正は、前条の規定により招集される締約国会議において、出席する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択することができる。改正は、締約国の3分の2が改正の受諾書を機関に寄託した後60日目の日に、改正を受諾した締約国について効力を生ずる。その後は、改正は、他のいずれの締約国についても、当該他の締約国が改正の受諾書を寄託した後30日で効力を生ずる。
b.機関は、すべての締約国に対し、前条の規定による特別会議の要請、締約国会議において採択された改正及びその改正が各締約国について効力を生ずる日を通報する。
 附属書の改正は、科学的又は技術的検討に基づいて行う。前条の規定により招集される会議において出席する締約国の3分の2以上の多数による議決で承認される附属書の改正は、改正を受諾する各締約国についてはその受諾を機関に通告した後直ちに、また、他のすべての締約国については会議による承認の後100日で効力を生ずる。ただし、改正を直ちに受諾することができない旨をその100日の終わりまでに宣言する締約国については、この限りでない。締約国は、会議における改正の承認の後できる限り速やかに、改正の受諾を機関に通告するように努めなければならない。締約国は、いつでも、先に行つた異議の宣言に代えて受諾を行うことができるものとし、この場合において、先に異議の申し立てられた改正は、当該締約国について効力を生ずる。
 この条の規定に基づく受諾又は異議の宣言は、機関に文書を寄託することによつて行う。機関は、当該文書の受領をすべての締約国に通告する。
 この条において機関に課される事務局の任務は、機関の指定が行われるまでの間、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府がこの条約の寄託政府の一として暫定的に遂行する。
第16条 この条約は、1972年12月29日から1973年12月31日まで、ロンドン、メキシコ・シティ、モスクワ及びワシントンにおいて、すべての国による署名のために開放しておく。
第17条 この条約は、批准されなければならない。批准書は、メキシコ政府、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府及びアメリカ合衆国政府に寄託する。
第18条 この条約は、1973年12月31日後は、すべての国による加入のために開放しておく。加入書は、メキシコ政府、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府及びアメリカ合衆国政府に寄託する。
第19条
 この条約は、15番目の批准書又は加入書の寄託の日の後30日目の日に効力を生ずる。
 この条約は、15番目の批准書又は加入書の寄託の後に批准し又は加入する各締約国については、当該締約国による批准書又は加入書の寄託の後30日目の日に効力を生ずる。
第20条 寄託政府は、締約国に対して次の事項を通報する。
a.第16条から第18条まで及び次条の規定に基づいて行われたこの条約の署名、批准書又は加入書の寄託及び脱退
b.この条約が前条の規定により効力を生ずる日
第21条 締約国は、寄託政府に対し6箇月前に文書による予告を行うことにより、この条約から脱退することができるものとし、また、寄託政府は、すべての締約国に対し速やかに当該予告を通報する。
第22条 英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、メキシコ政府、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府及びアメリカ合衆国政府に寄託するものとし、これらの政府は、その認証謄本をすべての国に送付する。

以上の証拠として、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。
1972年12月29日にロンドン、メキシコ・シティ、モスクワ及びワシントンで本書四通を作成した。

附属書I

1.有機ハロゲン化合物
2.水銀及び水銀化合物
3.カドミウム及びカドミウム化合物
4.持続性プラスチックその他の持続性合成物質であつて、漁ろう、航行その他の適法な海洋の利用を著しく妨げるような状態で海上又は海中に浮遊するもの(例えば、網、綱)
5.投棄の目的で積み込まれる原油、重油、重ディーゼル油、潤滑油及び作動油並びにこれらの油のうちいずれかのものを含有する混合物
6.放射性廃棄物その他の放射性物質
7.形態(例えば、面体、液体、半液体、気体、生物)のいかんを問わず、生物兵器及び化学兵器を使用する戦争の用に生産される物質
8.1から7までの規定(6の規定を除く。)は、海洋において物理的、化学的又は生物学的作用によつて急速に無害化される物質については、適用しない。ただし、次の物質については、この限りでない。
i.食用海洋生物の味を損なう物質
ii.人及び家畜の健康を損なう物質
締約国は、物質の無害性について疑義がある場合には、条約第14条の規定に基づいて定められる協議手続に従う。
9.11に定義する産業廃棄物を除くほか、この附属書の規定は、1から5までに掲げる物を数量に含有する廃棄物その他の物(例えば、下水汚泥、しゆんせつ物)については、適用しない。6の規定は、国際原子力機関が定義しかつ締約国が採択するデ・ミニミス・レベル(免除レベル)の放射能を有する廃棄物その他の物(例えば、下水汚泥、しゆんせつ物)については、適用しない。この附属書の規定により別段の禁止がされない限り、当該廃棄物の投棄については、適宜、附属書II及び附属書IIIの規定に従う。
10.
a.11に定義する産業廃棄物及び下水汚泥の海洋における焼却は、禁止する。
b.他の廃棄物その他の物の海洋における焼却は、特別許可が与えられることを必要とする。
c.締約国は、海洋における焼却のための特別許可を与えるに当たつては、この条約に基づいて作成される規則を適用する。
d.この附属書の適用上、
i.「海洋焼却施設」とは、海洋における焼却を行う船舶又はプラットフォームその他の人工海洋構築物をいう。
ii.「海洋における焼却」とは、熱分解の目的で、海洋焼却施設において廃棄物その他の物を故意に燃焼させることをいう。ただし、船舶又はプラットフォームその他の人工海洋構築物の通常の運用に付随する行為を含まない。
11.1996年1月1日からの産業廃棄物
この附属書の適用上、「産業廃棄物」とは、製造作業又は加工作業によつて生ずる廃棄物をいい、次の物については、適用しない。
a.しゆんせつ物
b.下水汚泥
c.魚類残さ又は魚類の産業上の加工作業によつて生ずる有機物質
d.船舶及びプラットフォームその他の人工海洋構築物。ただし、浮遊する残がいを生じさせ又はその他の方法により海洋環境の汚染を増大させるおそれのある物が最大限度まで除去されていることを条件とする。
e.汚染されていない不活性な地質学的物質であつて、その化学的構成物質が海洋環境に放出されるおそれのないもの
f.天然に由来する汚染されていない有機物質
(a)から(f)までに掲げる廃棄物その他の物の投棄については、この附属書の他のすべての規定並びに附属書II及び附属書IIIの規定に従う。
この11の規定は、6に掲げる放射性廃棄物その他の放射性物質については、適用しない。
12.締約国は、6の規定の改正が効力を生ずる日から25年以内に、その後は25年ごとに、すべての放射性廃棄物その他の放射性物質(高レベルの放射性廃棄物その他の高レベルの放射性物質を除く。)に関する科学的検討(締約国が適当と認める他の要因を考慮した上で行う。)を完了するものとし、条約第15条に定める手続に従い、当該放射性廃棄物その他の放射性物質に関するこの附属書の規定について検討する。

廃棄物その他の物の海洋における焼却の規制に関する規則


第1部

第1規則 定義
この規則の適用上、
(1)「海洋焼却施設」とは、海洋における焼却を行う船舶又はプラットフォームその他の人工海洋構築物をいう。
(2)「海洋における焼却」とは、熱分解の目的で、海洋焼却施設において廃棄物その他の物を故意に燃焼させることをいう。ただし、船舶又はプラットフォームその他の人工海洋構築物の通常の運用に付随する行為を含まない。
第2規則 適用
(1)第2部の規定は、次の廃棄物その他の物に適用する。
a.附属書I1に掲げる物
b.駆除剤及びその副産物で附属書Iに含まれないもの
(2)締約国は、この規則により海洋における焼却のための許可を与える前にまず、海洋における焼却の代わりに陸地において行う処理、処分若しくは除去の方法の利用可能性又は廃棄物その他の物の有害性を減少させる処理の方法の利用可能性について検討する。海洋における焼却は、いかなる場合にも、環境保全上より良い解決(新技術の開発を含む。)に向けての進歩を妨げるものと解してはならない。
(3)附属書I10及び附属書IIEに掲げる廃棄物その他の物であつて(1)に掲げるもの以外のものの海洋における焼却は、特別許可を与える締約国が十分に規制する。
(4)(1)及び(3)に掲げられていない廃棄物その他の物の海洋における焼却は、一般許可を必要とする。
(5)(3)及び(4)に規定する許可を与えるに当たり、締約国は、この規則及び廃棄物その他の物の海洋における焼却の規制に関する技術上の指針の規定のうち、当該廃棄物について関連のあるすべての規定を十分に考慮する。

第2部

第3規則 焼却設備の承認及び検査
(1)すべての海洋焼却施設の焼却設備は、次の(a)から(c)までに定めるところにより検査に服する焼却の許可を与えようとする締約国は、条約第7条1の規定により、使用される海洋焼却施設の検査が完了しており、かつ、焼却設備がこの規則の規定に適合していることを確保する。最初の検査が締約国の監督の下に実施される場合には、当該締約国は、試験事項を明示した特別許可を与える。各検査の結果は、検査報告書に記録する。
a.最初の検査は、廃棄物その他の物の焼却中に燃焼効率及び分解効率が99.9パーセントを超えることを確保するため、実施する。
b.検査の実施を監督する国は、最初の検査の一部として次のことを行う。
i.温度測定装置の取付け位置、型式及び使用方法を承認すること。
ii.ガスの試料採取設備(採取位置、分析装置及び記録方法を含む。)を承認すること。
iii.定められた最低温度を下回つた場合には焼却炉への廃棄物の供給を自動的にしや断するため、承認された装置が設置されていることを確保すること。
iv.通常運転中の焼却炉による場合を除くほか、海洋焼却施設から廃棄物その他の物を処分する手段がないことを確保すること。
v.廃棄物の供給率及び燃料の供給率を制御しかつ記録する装置を承認すること。
vi.煙源を集中的に監視することによつて行う試験(焼却が予定されている廃棄物のうち代表的なものを用いてO2、CO、CO2、有機ハロゲン及び全炭化水素の濃度を測定することを含む。)により焼却設備の性能を確認すること。
c.焼却設備は、焼却炉がこの規則の規定に適合していることが確保されるように少なくとも2年ごとに検査を受ける。2年ごとの検査の範囲は、従前の2年間の運転データ及び保守記録の評価に基づいて定める。
(2)検査が完了した後、締約国は、焼却設備がこの規則の規定に適合していると認めるときは、証書を発給する。証書には、検査報告書の写しを添付する。締約国が発給する証書は、他の締約国により認められるっただし、焼却設備がこの規則の規定に適合していないと信ずるに足りる明白な理由がある場合は、この限りでない。証書及び検査報告書の写しは、機関に提出する。
(3)検査が完了した後は、証書を発給した締約国の承認なしには、焼却設備の性能に影響を及ぼす重大な変更を行つてはならない。
第4規則 特別な検討を必要とする廃棄物
(1)締約国は、焼却が予定されている廃棄物その他の物の熱分解性について疑義がある場合には、実験を行う。
(2)締約国は、燃焼効率について疑義のある廃棄物その他の物の焼却の許可を与える場合には、焼却設備の最初の検査と同様に焼却設備の煙源を集中的に監視するものとし、また、廃棄物が固型物を含有する場合を考慮して、粒子状物質の試料採取を行うことについて検討する。
(3)最低火炎温度は、第5規則に定める温度とする。ただし、海洋焼却施設についての試験の結果、必要な燃焼効率及び分解効率がより低い温度で達成されることが証明される場合は、この限りでない。
(4)(1)から(3)までに定める特別な検討の結果は、記録するものとし、検査報告書に添付する。その写しは、機関に送付する。
第5規則 運転上の要件
(1)焼却設備の運転は、第4規則に規定する場合を除くほか、廃棄物その他の物の焼却が摂氏1250度未満の火炎温度では行われないように、制御される。
(2)燃焼効率は、少なくとも99.95(正負0.05)パーセントとするものとし、次の式による。
CO2CO×100

CO2
CO2は、燃焼ガス中の二酸化炭素の濃度とする。
COは、燃焼ガス中の一酸化炭素の濃度とする。
(3)煙突の先端から黒煙又は火炎が現れてはならない。
(4)海洋焼却施設は、焼却中はいつでも、無線の呼出しに対して迅速に応答する。
第6規則 記録装置及び記録
(1)海洋焼却施設は、第3規則の規定により承認された記録装置又は記録方法を使用する。少なくとも次のデータは、焼却を行うごとに記録するものとし、許可を与えた締約国による検査のために保存する。
a.承認された温度測定装置により連続的に測定される温度
b.焼却が行われた日時及び焼却された廃棄物についての記録
c.適当な航海方法による船舶の位置
d.廃棄物の供給率及び燃料の供給率、液体状の廃棄物及び燃料については、供給率は、連続的に記録する(1979年1月1日以前から運用されている船舶については、適用しない。)。
e.燃焼ガス中のCO及びCO2の濃度
f.船舶の針路及び速力
(2)海洋焼却施設は、発給された証書、第3規則の規定により作成された検査報告書の写し及び当該海洋焼却施設において焼却される廃棄物その他の物について締約国が発給した焼却のための許可証の写しを備える。
第7規則 焼却される廃棄物の性質についての規制
廃棄物その他の物の海洋における焼却の許可の申請には、第9規則の規定による要件を十分に満たす情報であつて廃棄物の特性に関するものを添える。
第8規則 焼却場所
(1)焼却場所を選定する基準を設定するに当たつては、附属書IIIに掲げる事項に加えて、次の事項を考慮する。
a.汚染物質の沿岸地域への大気による移動の可能性に対し特別の注意を払いつつ、海洋焼却施設から放出される汚染物質の周辺の環境に影響を及ぼす可能性を把握するための大気拡散の特性(風速、風向、大気の安定度、大気の逆転及び霧の発生頻度、降水の型及び降水量並びに湿度を含む。)
b.煙流と海水面との相互作用による影響の可能性を評価するための海洋拡散の特性
c.航行援助施設の利用可能性
(2)恒久的に指定された焼却区域の経緯度は、広く周知させるものとし、これを機関に通報する。
第9規則 通知
締約国は、締約国が協議の上採択する通知のための手続に従う。

附属書II

条約第6条1(a)の規定の適用上、次のAからDまでに掲げる物については、特別の注意を必要とする。
A 次の物質を相当な量含有する廃棄物
ひ素及びこれらの化合物
亜鉛
有機けい素化合物
シアン化合物
ふつ化物
駆除剤及びその副産物で附属書Iに含まれないもの
ベリリウム及びこれらの化合物
クロム
ニッケル
バナジウム
B コンテナー、金属くずその他の巨大な廃棄物であつて、海底に沈み、漁ろう又は航行の重大な障害となるおそれがあるもの
C 放射性廃棄物その他の放射性物質であつて附属書Iに含まれないもの。締約国は、これらの物質の投棄を許可するに当たつては、この分野における権限のある国際団体(現在においては、国際原子力機関)の勧告を十分に考慮する。
D 毒性がないにもかかわらず投棄される量によつて有害となるおそれのある物又は快適性を著しく減少させるおそれのある物

附属書III

条約第4条2の規定の適用上、海洋における物の投棄を許可する基準を設定するに当たつては、次の事項を考慮する。
A 物の特性及び組成
1.投棄される物の総量及び平均的な組成(例えば、1年当たり)
2.形態(例えば、固体、泥状、液体又は気体)
3.特質。物理的特質(例えば、溶解度、密度)、化学的及び生化学的特質(例えば、酸素要求量、栄養度)並びに生物学的特質(例えば、ウイルス、細菌、酵母及び寄生虫の存在)
4.毒性
5.持続性。物理的、化学的及び生物学的持続性
6.生物又はたい積物中における蓄債及び生物学的変換
7.物理的、化学的及び生化学的変化の可能性並びに水中における他の溶存有機物質及び溶存無機物質との相互作用の可能性
8.資源(魚介類等)の商品価値を低下させることとなる汚染その他の変化を引き起こす可能性
9.締約国は、投棄を許可するに当たっては、投棄される物の特性及び組成に関し海洋生物及び人の健康に対する影響を評価するための十分な科学的根拠が存在するかどうかを検討する。
B 投棄場所の特性及び投棄の方法
1.位置(例えば、投棄区域の経緯度、水深、海岸からの距離)及び他の区域(例えば、保養区域、産卵場、成育場、漁場、開発可能資源が存在する区域)との関連における位置
2.一定期間当たりの処分量(例えば、1日、1週間又は1箇月当たりの量)
3.こん包し及び封入する場合には、その方法
4.当該投棄方法による初期希釈度
5.拡散性(例えば、海流、潮流及び風が水平移動及び垂直混合に及ぼす影響)
6.水質(例えば、温度、pH、塩分、成層、酸素による汚染指標(溶存酸素量(DO)、化学的酸素要求量(COD)、生物化学的酸素要求量(BOD))、有機及び無機の窒素化合物(アンモニアを含む。)、懸濁物質、他の栄養分、生産力)
7.海底の特性(例えば、地形、地球化学上及び地質学上の特性、生物学的生産力)
8.投棄区域において過去に行われた投棄の有無及びその影響(例えば、重金属の存在量、有機炭素の含有量)
9.締約国は、投棄を許可するに当たつては、季節的変化を考慮した上で、当該投棄による影響をこの附属書の規定に従つて評価するための十分な科学的根拠が存在するかどうかを検討する。
C 一般的な考慮及び条件
1.海洋の快適性に影響を及ぼす可能性(例えば、浮遊物又は漂着物の存在、濁り、悪臭、変色、あわ立ち)
2.海洋生物、魚介類の養殖、魚類、漁業並びに海草の採取及び養殖に影響を及ぼす可能性
3.海洋のその他の利用に対する影響の可能性(例えば、工業用水の水質の悪化、構築物の水中腐食、浮遊物による船舶の運航の妨害、廃棄物又は固形物の海底におけるたい積による漁ろう又は航行の妨害、科学的な又は環境保全上の見地から特に重要な区域の保護)
4.投棄の代わりに陸地において行う処理、処分若しくは除去の方法の利用可能性又は海洋における投棄について物の有害性を減少させる処理の方法の利用可能性