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南極のあざらしの保存に関する条約

  昭和55・9・5・条約 27号  
発効昭和55・9・27・外務省告示307号  
改正平成2・5・19・外務省告示172号(未)(施行=平2年3月27日)


南極のあざらしの保存に関する条約をここに公布する。
締約国は、
1959年12月1日にワシントンで署名された南極条約に基づいて採択された南極の動物相及び植物相の保存のための合意された措置を想起し、
南極のあざらしが商業的猟獲から害を受けやすいことについて広く憂慮されていること及びそのため効果的な保存措置が必要であることを認め、
南極のあざらし資源が海洋の環境における重要な生物資源であり、この生物資源の効果的な保存のため国際協定が必要とされていることを認め、
このあざらし資源を過度の猟獲によつて枯渇させるべきではなく、したがつて、いかなる猟獲もその最適の持続的生産の水準を超えないように規制すべきであることを認め、
科学的知識を改善し、もつて猟獲を合理的な基礎の上に置くため、南極のあざらし資源に関する生物学上の調査その他の調査を奨励するとともに、これらの調査及び将来の猟獲活動に係る統計に基づいて情報を得るようあらゆる努力を払うべきであり、その結果として適当な追加の規制措置について定めることができることを認め、
国際学術連合会議の南極研究科学委員会(SCAR)が、この条約において同委員会に要請される任務を遂行する意思を有することに留意し、
南極のあざらしの保護、科学的研究及び合理的な利用を図るとの目的を推進し及び達成すること並びに生態系の満足すべき均衡を維持することを希望して、
次のとおり協定した。
(適用範囲)
第1条  
(1)この条約は、南緯60度以南の海域に適用するものとし、締約国は、この海域について南極条約第4条の規定を確認する。
(2)この条約は、次の種類について適用することができる。
みなみぞうあざらし(ミロウンガ・レオニナ)
ひようあざらし(ヒュドルルガ・レプトニュクス)
ウェブデルあざらし(レブトニュコテス・ウェデルリ)
かにくいあざらし(ロボドン・カルキノファグス)
ロスあざらし(オンマトフォカ・ロスィ)
みなみおつとせい属(アルクトケファルス属)に属する種類
(3)この条約の附属書は、この条約の不可分の一部をなす。
(実施)
第2条  
(1)締約国は、自国民又は自国を旗国とする船舶が、この条約の他の規定に従う場合を除くほか、前条に掲げる種類のあざらしをこの条約の適用される区域内で殺さず又は捕獲しないことに同意する。
(2)締約国は、自国民及び自国を旗国とする船舶について、この条約を実施するために必要な法令その他の措置(適当な許可制度を含む。)をとる。
(附属書に定める措置)
第3条  
(1)この条約は、締約国が採択する措置について定めている附属書を含む。締約国は、将来、あざらし資源の保存、科学的研究及び合理的かつ人道的な利用に関する他の措置を随時採択することができるものとし、これらの措置は、特に次の事項について定める。
(a) 猟獲許容量
(b) 保護される種類及び保護されない種類
(c) 解禁期及び禁猟期
(d) 解禁区域及び禁猟区域の指定(保護区域の指定を含む。)
(e) あざらしの生活を乱すことが禁止されている特別区域の指定
(f) 種類ごとの性別、大きさ又は年齢に係る制限        、
(g) 猟獲の時間に係る制限並びに猟獲努力量及び猟獲方法についての制限
(h) 使用する猟具、装置及び器具の型式及び仕様
(i) 猟獲報告その他統計上及び生物学上の記録
(j) 科学的情報の検討及び評価を容易にするための手続
(k) その他の規制措置(効果的な検査制度を含む。)
(2)(1)の規定により採択される措置は、入手可能な最良の科学的及び技術上の証拠に基づいたものとする。
(3)附属書は、第9条に定める手続に従つて随時改正することができる。
(特別許可)
第4条  
(1)この条約の規定にかかわらず、いずれの締約国も、次のことを目的として、限られた数量のあざらしをこの条約の目的及び原則に従つて殺し又は捕獲するための許可証を発給することができる。
(a) 人又は犬に不可欠な食物を供給すること。
(b) 科学的調査に供すること。
(c) 標本を博物館、教育施設又は文化施設に提供すること。
(2)各締約国は、他の締約国及び南極研究科学委員会に対し、できる限り速やかに、(1)の規定に基づいて発給したすべての許可証の目的及び内容を通報するものとし、また、これらの許可証に基づいて殺され又は捕獲されたあざらしの頭数を通報する。
(情報の交換及び科学上の助言)
第5条  
(1)各締約国は、附属書に定める期限までに、附属書に規定する情報を他の締約国及び南極研究科学委員会に提供する。
(2)各締約国は、毎年10月31日前に、当該年の前年の7月1日から当該年の6月30日までの間に第2条の規定によりとつた措置に関する情報を他の締約国及び南極研究科学委員会に提供する。
(3)(1)又は(2)の規定により提供すべき情報を有しない締約国は、毎年10月31日前に、その旨を正式に通知する。
(4)南極研究科学委員会は、次のことを行うよう要請される。
(a) この条の規定により受領した情報を評価し、締約国間における科学的資料及び情報の交換を奨励し、科学的調査計画を勧告し、この条約の適用される区域内での猟獲活動を通じて統計上及び生物学上の資料を収集することを勧告し並びに附属書の改正を示唆すること。
(b) この条約の適用される区域におけるいずれかの種類のあざらしの猟獲が当該種類のあざらしの総資源量又は特定の区域の生態系に著しく有害な影響を与えている場合には、入手可能な統計上及び生物学上の証拠その他の証拠を基礎として報告を行うこと。
(5)南極研究科学委員会は、いずれの獲期においても、いずれかの種類のあざらしの猟獲許容量の限度を超えて猟獲が行われるおそれがあると予想する場合には、その旨を寄託政府に通知するとともに、猟獲許容量の限度に達すると予想される日を通知するよう要請される。寄託政府は、これらの通知を締約国に通報する。各締約国は、通報を受けた場合には、当該予想される日の後締約国が別段の決定を行うまでの間において自国民及び自国を旗国とする船舶が当該種類のあざらしを殺し又は捕獲することを防止するため、適当な措置をとる。
(6)南極研究科学委員会は、情報を評価するに当たつて必要な場合には、・国際連合食糧農業機関に対し技術上の援助を求めることができる。
(7)第1条(1)の規定にかかわらず、締約国は、国内法令に従い、同条(2)に掲げる南極のあざらしであつて南緯60度以北の浮氷海域において自国民及び自国を旗国とする船舶が殺し又は捕獲したものに関する統計を検討のため相互に及び南極研究科学委員会に通報する。
(締約国間の協議)
第6条  
(1)締約国は、商業的猟獲が開始された後はいつでも、次のことを目的とする締約国会議の招集を寄託政府を通じて提案することができる。
(a) 締約国の3分の2以上の多数(会議に出席するすべての署名国の賛成票を含む。)による議決で、この条約の実施のための効果的な取締制度(検査を含む。)を設けること。
(b) この条約に基づく任務で締約国が必要と認めるものを遂行するための委員会を設置すること。
(c) その他の事項を検討すること。これらの事項は、次のことを含む。
(i) 独自の科学上の助言を提供すること。
(ii) 商業的猟獲が相当の規模に達した場合には、3分の2以上の多数による議決で、この条約により南極研究科学委員会に要請される任務の一部又は全部を与えられる科学諮問委員会を設置すること。
(iii) 締約国の参加を得て科学的計画を実施すること。
(iv) 新たな規制措置(猟獲の一時的禁止を含む。)を定めること。
(2)締約国の3分の1が同意した場合には、寄託政府は、できる限り速やかに、(1)の締約国会議を招集する。
(3)この条約の適用される区域におけるいずれかの種類のあざらしの猟獲が当該種類のあさらしの総資源量又は特定の区域の生態系に著しく有害な影響を与えている旨の報告を南極研究科学委員会が行つた場合には、いずれかの締約国の要請により締約国会議を開催する。
(運用の検討)
第7条 締約国は、この条約の運用について検討するため、この条約の効力発生の後5年以内に会合するものとし、その後は少なくとも5年に1回会合する。
(この条約の改正)
第8条  
(1)この条約は、いつでも改正することができる。締約国が提案する改正案は、寄託政府に提出するものとし、寄託政府は、これをすべての締約国に送付する。
(2)寄託政府は、締約国の3分の1の要請がある場合には、改正案を討議するための会議を招集する。
(3)改正は、寄託政府がすべての締約国から改正の批准書又は受諾書を受領した時に効力を生ずる。
(附属書の改)
第9条  
(1)いずれの締約国も、附属書の改正を提案することができる。改正案は、寄託政府に提出するものとし、寄託政府は、これをすべての締約国に送付する。
(2)各改正案は、締約国に対する寄託政府からの通告書に明記されている日から120日以内に、異議の通告が受領されず、かつ、締約国の3分の2が寄託政府に対し書面により承認を通告した場合には、当該通告書の日付の日の後6箇月ですべての締約国につ いて効力を生ずる。
(3)通告書の日付の日から120日以内にいずれかの締約国による異議の通告が受領された場合には、締約国ば、次の締約国会議においてこの問題を検討する。その締約国会議においてこの問題に関する全会一致の合意が得られない場合には、締約国は、当初の改正案又はその締約国会議によつて提案された新たな改正案についての承認又は反対をその締約国会議の終了の日から120日以内に寄託政府に通告する。当該期間の終わりまでに締約国の3分の2が改正案を承認した場合には、改正は、その締約国会議の終了の日から6箇月で、その時までに承認を通告した締約国について効力を生ずる。
(4)改正案に対し異議を申し立てた締約国は、いつでもその異議を撤回することができるものとし、撤回した場合には、当該改正は、既に効力を生じているときは直ちに、その他のときはこの条の規定に基づいて効力を生ずる時に、当該締約国について効力を生ずる。
(5)寄託政府は、承認又は異議の通告を受領したとき、異議の撤回の通告を受領したとき及び改正が効力を生じたときは、直ちに、その旨を各締約国に通報する。
(6)附属書の改正が効力を生じた後にこの条約の締約国となる国は、改正後の附属書に拘束される。改正が効力を生ずるまでの間にこの条約の締約国となる国は、他の締約国について適用される期限までにその改正を承認し又はこれに対して異議を申し立てることができる。
(署名)
第10条 この条約は、1972年6月1日から12月31日まで、ロンドンにおいて、同年2月3日から2月11日までロンドンで開催された南極のあざらしの保存に関する会議に参加した国による署名のために開放しておく。
(批准)
第11条 この条約は、批准され又は受諾されなければならない。批准書又は受諾書は、ここに寄託政府として指定されるグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府に寄託する。
(加入)
第12条 この条約は、締約国の同意を得てこの条約に加入するよう招請される国による加入のために開放しておく。
(効力発生)
第13条  
(1)この条約は、7番目の批准書又は受諾書が寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。
(2)この条約は、その効力発生の後に批准し、受諾し又は加入する国については、その批准書、受諾書又は加入書が寄託された後30日目の日に効力を生ずる。
(脱退)
第14条 いずれの締約国も、いずれかの年の1月1日以前に寄託政府に通告を行うことにより当該いずれかの年の6月30日にこの条約から脱退することができるものとし、寄託政府は、その通告を受領したときは、直ちに、その旨を他の締約国に通報する。いずれの他の締約国も、寄託政府から脱退の通告の写しを受領した時から1箇月以内に、同様に脱退の通告を行うことができるものとし、この場合において、この条約は、脱退の通告を行つた締約国について当該いずれかの年の6月30日に効力を失う。
(寄託政府による通報)
第15条 寄託政府は、すべての署名国及び加入国に対し、次の事項を通報する。
(a) この条約の署名並びに批准書、受諾書又は加入書の寄託及び脱退の通告
(b) この条約の効力発生の日及びこの条約又は附属書の改正の効力発生の日
(認証謄本及び登録)
第16条  
(1)この条約は、ひとしく正文である英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語により作成し、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府に寄託する。同政府は、この条約の認証謄本をすべての署名国及び加入国に送付する。
(2)この条約は、寄託政府が国際連合憲章第102条の規定により登録する。

以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。
1972年6月1日にロンドンで作成した。
附属書

1 猟獲許容量
 締約国は、毎年7月1日から当該年の翌年の6月30日までの1年間に殺され又は捕獲されるあざらしの種類ごとの総頭数を次の頭数に制限する。これらの頭数は、科学的評価に照らして検討されなければならない。
(a) かにくいあざらし(ロボドン・カルキノファグス)については、175,000頭
(b) ひようあざらし(ヒュドルルガ・レブトニュクス)については、12,000頭
(c) ウェッデルあざらし(レプトニュコテス・ウェデルリ)については、5000頭
2 保護される種類
(a) ロスあざらし(オンマトフォカ・ロスィ)、みなみぞうあざらし(ミロウンガ・レオニナ)又はアルクトケファルス属に属するおつ、とせいを殺し又は捕獲することは、禁止する。
(b) 繁殖期にあるため著しく群棲しておりかつ害を受けやすい成獣群を保護する目的の下に、毎年9月1日から当該年の翌年の1月31日までの期間において1歳以上のウェッデルあざらし(レブトニュコデス・ウェデルリ)を殺し又は捕獲することば、禁止する。
3 禁猟期及び猟期
 毎年3月1日から8月31日までの期間を禁猟期とし、この期間においてあざらしを殺し又は捕獲することは、禁止する。毎年9月1日から当該年の翌年の2月末日までの期間は、猟期とする。
4 猟獲区域
 この4に掲げる各猟獲区域は、区域番号の順に毎年、1に掲げる種類のあざらしのあらゆる猟獲活動に対して9月1日から当該年の翌年の2月末日までの期間、閉鎖する。閉鎖は、この条約の効力発生の時に第5回南極条約協議国会議報告の附属書1付録B2の規定に基づいて閉鎖されている区域と同一の区域から行う。閉鎖された区域は、その閉鎖の期間が満了した時に、再び開放される。
第1区域 西経60度と西経120度との間
第2区域 経度零度と西経60度との間(ウェッデル海の西経60度以西の部分を含む。)
第3区域 経度零度と東経70度との間
第4区域 東経70度と東経130度との第5区域 東経130度と西経170度との間
第6区域 西経120度と西経170度との間
5 保護区域
 あざらしの繋殖区域又は長期的科学調査のための区域となつている次の保護区域においてあざらしを殺し又は捕獲することは、禁止する。
(a)南緯60度20分と南緯60度56分との間にあつて、西経44度5分と西経46度25分との間にあるサウス・オークニー諸島周辺の海域
(b)南緯76度以南東経170度以西の南西ロス海の海域
(c)南緯72度19分東経170度18分にあるハレット岬と南緯72度11分東経170度にあるヘルム・ポイントとを結んだ線の南西側にあるエディスト・インレットの海域
6 情報の交換
(a)締約国は、毎年10月31日前に、当該年の前年の7月1日から当該年の6月30日までの間にこの条約の適用される区域において自国民及び自国を旗国とする船舶が殺し又は捕獲したすべてのあざらしに関する統計上の情報の要約を他の締約国及び南極研究科学委員会に提供する。この情報は、次の事項についての猟獲区域別及び月別のものを含む。
(i)締約国を旗国とする船舶の総トン数及び純トン数、軸馬力、乗組員の数並びに操業日数
(ii)捕獲したあさらしの成獣及び乳幼獣の種類ごとの頭数
 特に要請される場合には、この情報は、各船舶について、各操業日におけるこれらの船舶の正午位置及びその日の猟獲量を含めて提供される。
(b)商業的猟獲が開始されたときは、南極研究科学委員会が要請する様式及び間隔(1週間よりも短くてはならない。)で、各猟獲区域において殺し又は捕獲したあざらしの種類ごとの頭数を同委員会に報告する。
(c)締約国は、特に次の事項についての生物学上の情報を南極研究科学委員会に提供する。
(i)性別
(ii)生殖状態
(iii)年齢
 南極研究科学委員会は、締約国の承認を得て追加の情報又は資料を要請することができる。
(d)締約国は、関係船舶が根拠地から出航する日の少なくとも30日前に、計画されたあざらしの猟獲活動に関する情報を他の締約国及び南極研究科学委員会に提供する。
7 猟獲方法
(a)南極研究科学委員会は、迅速に、かつ、苦痛を与えることなく、また、効率的にあざらしを殺し又は捕獲することを確保するため、猟獲方法に関する報告を行うとともに勧告を行うよう要請される。締約国は、南極研究科学委員会の見解に妥当な考慮を払つた上で、適当な場合には、あざらしを殺し又は捕獲することに従事する自国民及び自国を旗国とする船舶についての規則を定める。
(b)締約国は、入手可能な科学的及び技術上の資料に照らして、科学的調査に供するために限られた数量のあざらしをこの条約の目的及び原則に従つて殺し又は捕獲する場合を除くほか、自国民及び自国を旗国とする船舶が水中にいるあざらしを殺さず又は捕獲しないようにすることを確保するため、適当な措置をとることに同意する。当該科学的調査は、保存のために南極のあざらし資源を管理し及びその人道的かつ合理的な利用を図るとの観点から猟獲方法の有効性について研究することを含む。当該科学的調査の実施及びその結果は、南極研究科学委員会及び寄託政府に通報するものとし、寄託政府は、これを締約国に通知する。

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