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油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(1969年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足)

  昭和53・10・14・条約 18号  
発効昭和53・10・16・外務省告示283号  
廃棄平成10・5・15・外務省告示224号  


油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(1969年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足)をここに公布する。
この条約の締約国は、
1969年11月29日にブラッセルで採択された油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の締約国であり、
ばら積みの油の全世界にわたる海上輸送がもたらす汚染の危険を認め、
船舶からの油の流出又は排出による汚染によつて生ずる損害を被った者に対し適正な補償が行われることを確保することが必要であると確信し、
1969年11月29日の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約が、締約国における汚染損害及びそのような損害を防止し又は最小限にするための措置(とられた場所のいかんを問わない。)の費用に対する賠償制度を設けることによつて、この目的の達成に向かつて相当の進歩を示すものであることを考慮し、
しかしながら、その制度が、油による汚染損害の被害者に必ずしも十分な賠償を行うものではなく、他方において船舶の所有者に追加的な金銭上の負担を課するものであることを考慮し、
更に、船舶によりばら積みで海上を輸送される油の流出又は排出による汚染損害の経済的影響は、船舶の所有者のみが負担すべきではなく、その一部は輸送される油について利害関係を有する者が負担すべきであることを考慮し、
油による汚染損害の被害者に十分な補償が行われること及び、同時に、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約によつて船舶の所有者に課される追加的な金銭上の負担が軽減されることを確保するため、同条約の補足として補償及び補てんの制度を設けることが必要であると確信し、
海洋汚染損害に関する国際法律会議が1969年11月29日に採択した油による汚染損害についての国際補償基金の設立に関する決議に留意して、
次のとおり協定した。
一般規定
 
第1条 この条約の適用上、
1 「責任条約」とは、1969年11月29日にブラッセルで採択された油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約をいう。
2 「船舶」、「者」、「所有者」、「油」、「汚染損害」、「防止措置」、「事故」及び「機関」という語は、責任条約第1条において定義されるこれらの語の意味と同一の意味を有する。ただし、これらの語の定義の適用上、「油」は、持続性の炭化水素の鉱物油に限定する。
3 「拠出油」とは、(a)及び(b)に定義する原油及び重油をいう。
(a)「原油」とは、輸送に適するように処理されているかどうかを問わずを地中から産出する液状の炭化水素の混合物をいい、ある蒸留留分を除去した原油(「抜頭原油」、と称されることがある。)及びある蒸留留分を加えた原油(「スパイク原油」又は「混合原油」と称されることがある。)を含む。
(b)「重油」とは、原油から得られる重質留分若しくは残渣油又はそれらの混合物であつて、熱又は動力を発生させるための燃料としての使用に充てられ、かつ、「米国材料検査協会の第4号重油の規格(規格番号D396−69)」に相当する品質のもの又はそれよりも重質のものをいう。
4 「フラン」とは、責任条約第5条9に定める単位をいう。
5 「船舶のトン数」という語は、責任条約第5条10において定義されるこの語の意味と同一の意味を有する。
6 「トン」とは、油に関しては、メートル・トンをいう。
7 「保証提供者」とは、責任条約第7条1の規定に従つて所有者の責任を担保するための保険その他の金銭上の保証を提供する者をいう。
8 「受入施設」とは、ばら積みの油の貯蔵所であつて水上を輸送した油を受け入れることができるもの(沖合にありかつその貯蔵所と連接している設備を含む。)をいう。
9 事故は、一連の出来事から成る場合には、その最初の出来事の発生の日に生じたものとみなす。
 
第2条  
1 「油による汚染損害の補償のための国際基金」(以下「基金」という。)と称する汚染損害の補償のための国際基金をこの条約により設立する。基金は、次のことを目的とする。
(a)責任条約によつて与えられる保護が十分でない範囲において汚染損害の補償を行うこと。
(b)責任条約により船舶の所有者に課される追加的な金銭上の負担を軽減すること。ただし、海上における安全に関する条約その他の条約の遵守を確保するための要件が満たされることを条件とする。
(c)この条約に規定する関連した目的を達成すること。
2 基金は、各締約国において、当該締約国の法令に基づき権利及び義務を有することができ、かつ、当該締約国の裁判所における裁判上の手続の当事者となることができる法人と認められる。各締約国は、基金の事務局長(以下「事務局長」という。)を基金の法律上の代表者と認める。
 
第3条 この条約は、次のものについてのみ適用する。
1 次条の規定に基づく補償に関しては、締約国の領域(領海を含む。)において生ずる汚染損害及びそのような損害を防止し又は最小限にするためにとられる防止措置
2 第5条の規定に基づく船舶の所有者及びその保証提供者に対する補てんに関しては、締約国において登録され又は締約国の旗を掲げている船舶が責任条約の締約国の領域(領海を含む。)においてもたらす汚染損害及びそのような損害を防止し又は最小限にするためにとられる防止措置
補償及び補てん
 
第4条  
1 基金は、第2条1(a)に規定するその任務を遂行するため、汚染損害を被った者に対し、その者がその損害につき次の理由により責任条約の下で十分かつ適正な賠償を受けることができない場合に、補償を行う。
(a)当該損害につき責任条約の下で責任が生じないこと。
(b)責任条約に基づき当該損害について責任を有する所有者がその義務を完全に履行する資力を有せず、かつ、同条約第7条の規定に基づいて提供される金銭上の保証が当該損害をうめず又は当該損害の賠償に係る債権の弁済のために十分でないこと。損害を被つた者が、その者に認められている法的救済を得るためすべての相当の措置をとつた上でなお責任条約に基づいてその者に支払われるべき賠償の全額の支払を受けることができない場合には、所有者は、その義務を履行する資力を有しないものとみなされ、かつ、金銭上の保証は、十分でないとみなされる。
(c)当該損害が、責任条約第5条1の規定に従つて制限される同条約に基づく所有者の責任又はこの条約の作成の日に効力を有し若しくは署名、批准若しくは加入のために開放されている他の国際条約に基づく所有者の責任を超えること。
 所有者が汚染損害を防止し又は最小限にするために自発的に負担した相当の経費及び自発的に払った相当の犠牲は、この条の規定の適用上汚染損害とみなす。
2 基金は、次の場合には、1の規定に基づく義務を負わない。
(a)汚染損害が、戦争、敵対行為、内乱若しは暴動に,よつて生じ、又は軍艦若しくは国により所有され若しくは運航される他の船舶で事故の発生の時に政府の非商業的役務にのみ使用されていたものから流出し若しくは排出された油によつて生じたことを基金が証明した場合
(b)損害が一又は二以上の船舶の関係する事故によつて生じたことを債権者が証明することができない場合
3 基金は、汚染損害が、専ら又は部分的に、汚染損害を被つた者の作為若しくは不作為(損害をもたらすことを意図したものに限る。)又は過失によつて生じたことを証明した場合には、その者に対する補償の義務の全部又は一部を免れることができる。ただし、1の規定に基づいて補償される防止措置については、この限りでない。基金は、いかなる場合にも、船舶の所有者が責任条約第3条3の規定に基づいて責任を免れたときは、その範囲で義務を免れる。
4 
(a)(b)の規定が適用される場合を除くほか、基金がこの条の規定に基づいて支払う補償の総額は、一の事故について、その額と締約国の領域で生じた汚染損害につき責任条約に基づいて実際に支払われる賠償額(基金が次条1の規定に基づいて所有者に補てんをする義務を有する金額を含む。)との合計額が4億5000万フランを超えないように制限される。
(b)例外的、不可避的かつ不可抗力的な性質を有する一の自然現象によつて生じた汚染損害につき基金がこの条の規定に基づいて支払う補償の総額は、4億5000万フランを超えないものとする。
5 基金に対する確定された債権の額が4の規定に基づいて支払われる補償の総額を超える場合には、支払に充てられる金額は、確定された債権の額と債権者に対し責任条約及びこの条約に基づいて実際に支払われる金額との割合がすべての債権者について同一となるような方法で分配する。
6 基金の総会(以下「総会」という。)は、その時までの事故の経験、特にそれらの事故によつて生じた損害の額及び貨幣価値の変動を考慮した上で、4(a)及び(b)に規定する4億5000万フランの額の変更を決定することができる。ただし、その金額は、いかなる場合にも、9億フランを超えてはならず、また、4億5000万フランを下回つてはならない。変更された金額は、その変更の決定が行われた日の後に生ずる事故について適用する。
7 基金は、締約国の要請に応じ、事故(基金がこの条約に基づいて補償の支払を要求されることがあるもの)によつて生ずる汚染損害を防止し又は軽減する目的でその締約国が措置をとることを可能にするために必要な人員、資材及び役務をその締約国が速やかに確保することを援助するため、必要なあつせんを行う。
8 基金は、いずれかの事故につき基金がこの条約に基づいて補償の支払を要求されることがある場合にその事故によつて生ずる汚染損害の防止措置をとることを可能にするため、内部規則に定める条件で、信用供与を行うことができる。
 
第5条  
1 基金は、第2条1(b)に規定するその任務を遂行するため、所有者及びその保証提供者に対し、責任条約に基づく責任の総額のうち次の部分を補てんする。
(a)船舶のトン数につきトン当たり1500フランで計算した金額又は1億2500万フランのうち低い方の金額を超え、かつ、
(b)船舶のトン数につきトン当たり2000フランで計算した金額又は2億1000万フランのうち低い方の金額を超えない部分
 もつとも、汚染損害が所有者自身の悪意によつて生じた場合には、基金は、この1の規定に基づく義務を負わない。
2 総会は、基金が、第3条2に規定する船舶に関し、1に規定する責任の部分につき、内部規則に定める条件で、保証提供者の義務を引き受けることを決定することができる。もつとも、基金は、所有者の要請があり、かつ、所有者が、船舶のトン数につきトン当たり1500フランで計算した金額又は1億2500万フランのうち低い方の金額まで責任条約に基づく所有者の責任を担保する適切な保険その他の金銭上の保証を維持している場合にのみ、そのような義務を引き受ける。基金がそのような義務を引き受ける場合には、所有者は、各締約国において、自己の責任のうち1に規定する部分につき、責任条約第7条の規定を遵守しているものと認められる。
3 基金は、所有者自身の過失により、
(a)汚染損害をもたらした油が流れ出た船舶が、
(i)1962年に改正された1954年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約、
(ii)1960年の海上における人命の安全のための国際条約、
(iii)1966年の満載喫水線に関する国際条約、
(iv)1960年の海上における衝突の予防のための国際規則又は
(v)(i)から(iii)までの条約の改正で、(i)の条約の第16条(5)、(ii)の条約の第9条(e)若しくは(iii)の条約の第29条(3)(d)若しくは(4)(d)の規定に従い重要な性質のものであると決定されたもの(当該事故の発生の時まで少なくとも12箇月の間効力を有していた場合に限る。)
に定める要件を満たしておらず、かつ、
(b)事故又は損害の全部又は一部が、(a)にいう要件を満たしていないことから生じたこと を証明する場合には、所有者及びその保証提供者に対する1及び2の規定に基づく義務の全部又は一部を免れることができる。
 この3の規定は、当該船舶が登録された締約国又は当該船舶の旗国である締約国が当該文書の当事国であるかどうかを問わず、適用する。
4 3に掲げるいずれかの文書の全部又は一部に代わるための新たな条約が効力を生じたときは、総会は、その新たな条約が3の規定の適用上その文書又はその一部に代わることとなる日を、少なくともその日の6箇月前に、決定することができる。もつとも、この条約の締約国は、その日前に、その代替を受諾しないことを事務局長に対して宣言することができる。この場合には、総会の決定は、当該事故の発生の時にその締約国に登録されており又はその締約国の旗を掲げている船舶については、効力を有しない。その宣言は、その後いつでも撤回することができるものとし、いかなる場合にも、当該締約国がその新たな条約の締約国となつたときは、効力を失う。
5 3に掲げる文書の改正又は新たな条約に定める要件を満たす船舶は、その改正又は条約が当該文書の全部又は.一部に代わるためのものである場合には、3の規定の適用上その文書に定める要件を満たすものとみなす。
6 基金は、2の規定に基づき保証提供者として行動する場合において責任条約に従い汚染損害の賠償を行つたときは、基金が1の規定に基づく所有者に対する補てんの義務を3の規定に従つて免れたであろう範囲で、所有者に対し求償権を有する。
7 所有者が汚染損害を防止し又は最小限にするために自発的に負担した相当の経費及び自発的に払つた相当の犠牲は、この条の規定の適用上所有者の責任に含まれるものとみなす。
 
第6条  
1 第4条の規定に基づく補償又は前条の規定に基づく補てんを請求する権利は、損害が生じた日から3年以内にこれらの規定に基づいて訴えが提起されず、かつ、次条6の規定に基づいて通告が行われない場合には、消滅する。ただし、訴えは、いかなる場合にも、損害をもたらした事故の発生の日から6年を経過した後は、提起することができない。
2 1の規定にかかわらず、前条1の規定に基づき所有者又はその保証提供者が基金に対し補てんを請求する権利は、いかなる場合にも、所有者又はその保証提供者が責任条約に基づき自己に対して訴えが提起されたことを知つた日から6箇月の期間が満了する前に消滅することはない。
 
第7条  
1 2から6までの規定に従うことを条件として、第4条の規定に基づく補償又は第5条の規定に基づく補てんについての基金に対する訴えは、当該事故がもたらした汚染損害について責任を有し又は責任条約第3条2の規定がなかつたならば責任を有したであろう所有者に対する訴えに関し同条約第9条の規定に基づいて権限を有する裁判所にのみ提起する。
2 各締約国は、自国の裁判所が1に規定する基金に対する訴えについての管轄権を有するようにする。
3 汚染損害の賠償についての訴えが船舶の所有者又はその保証提供者に対し責任条約第9条の規定に基づいて権限を有する裁判所に提起されている場合には、その裁判所が、同一の損害に係る第4条の規定に基づく補償又は第5条の規定に基づく補てんについての基金に対する訴えについて、専属的管轄権を有する。ただし、責任条約に基づく汚染損害の賠償についての訴えが同条約の締約国であるがこの条約の締約国でない国の裁判所に提起されている場合には、第4条又は第5条1の規定に基づく基金に対する訴えは、債権者の選択により、基金の本部がある国の裁判所に、又はこの条約の締約国の裁判所で責任条約第9条の規定に基づいて権限を有するものに提起する。
4 各締約国は、基金が、船舶の所有者又はその保証提供者につき責任条約第9条の規定に従つて自国の権限のある裁判所において開始された裁判上の手続に、当事者として参加する権利を有するようにする。
5 6の規定が適用される場合を除くほか、基金は、基金が当事者でなかった裁判上の手続における判決若しくは決定により又は基金が当事者でない解決によつて拘束されることはない。
6 4の規定を害することなく、締約国は、所有者又はその保証提供者に対し汚染損害の賠償についての責任条約に基づく訴えが自国の権限のある裁判所に提起された場合に、その手続の各当事者が、自国の国内法令上、基金に対しその手続について通告することができるようにする。その通告が、当該裁判所の属する国の法令で定める手続に従つて、かつ、基金が実際にその手続に当事者として有効に参加することができるような時期に及びそのような方法で行われた場合には、その手続において裁判所が下した判決は、その判決のあつた国において終局的かつ執行可能なものとなつた後は、基金がその手続に実際に参加しなかつたときも、その判決に係る事実及び認定につき争うことができないという意味で基金を拘束する。
 
第8条 第4条5の分配に関する決定に従うことを条件として、前条1及び3の規定に従い管轄権を有する裁判所が基金に対して下した判決で、その判決のあつた国において執行することが可能であり、かつ、再び通常の方式で審理されることがないものは,各締約国において、責任条約第10条に定める条件と同一の条件で承認されかつ執行力を付与される。
 
第9条  
1 第5条の規定に従うことを条件として、基金は、第4条1の規定に従つて基金が支払つた汚染損害の補償の金額に関し、その補償の支払を受けた者が責任条約に基づき所有者又はその保証提供者に対して有したであろう権利を代位によつて取得する。
2 この条の規定は、基金が1に規定する者以外の者に対して有する求償又は代位の権利を害するものではない。基金がそれらの者に対して有する代位の権利は、いかなる場合にも、補償又は補てんの支払を受けた者の保険者が有する代位の権利よりも不利なものであつてはならない。
3 基金に対して有することがある他の代位又は求償の権利を害することなく、汚染損害の補償を国内法令に従つて支払つた締約国又はその機関は、その補償の支払を受けた者がこの条約に基づいて有したであろう権利を代位によつて取得する。
拠出金
 
第10条  
1 基金への拠出金は、各締約国に関し、
(a)当該締約国の領域内にある港又は受入施設において、それらの港又は受入施設に向けて海上を輸送された拠出油を、また、
(b)当該締約国の領域内にある施設において、海上を輸送されかつ非締約国の港又は受入施設において荷揚げされた拠出油(この(b)の規定の適用上、当該非締約国において荷揚げされた後最初に締約国において受け取られるものに限る。)を、
 当初拠出金については次条1に、年次拠出金については第12条2(a)又は(b)にそれぞれ規定する暦年中に、総量において15万トンを超えて受け取つた者が支払う。
2 
(a)1の規定の適用上、いずれかの者がいずれかの締約国の領城内で一暦年の間に受け取つた拠出油の量が、その者と特殊関係を有する一又は二以上の者が同一の締約国において同一の暦年に受け取つた拠出油の量と合計して15万トンを超える場合には、それらの者は、自己が実際に受け取つた量について拠出金を支払うものとし、その量が15万トンを超えるかどうかを問わない。
(b)「特殊関係を有する者」とは、従属し又は共通の支配の下にある主体をいう。いずれの者がこの定義に該当するかは、当該国の国内法令の定めるところによる。
 
第11条  
1 各締約国に関し、前条に規定するそれぞれの者が支払うべき当初拠出金の額は、この条約が当該締約国について効力を生じた年の前暦年中にその者が受け取つた拠出油につきトン当たり一定の額で計算した金額とする。
2 1にいう一定の額は総会が、この条約の効力発生の後2箇月以内に決定する。この場合において、総会は、可能な限り、その一定の額を、全世界において海上を輸送される拠出油の量の90パーセントについて拠出金が支払われるとした場合に当初拠出金の総額が7500万フランに相当する額になるように定める。
3 当初拠出金は、各締約国に関し、この条約が当該締約国について効力を生じた日の後3箇月以内に支払うものとする。
 
第12条  
1 総会は、必要な場合には第10条に規定するそれぞれの者が支払うべき年次拠出金の額を決定するため、及び、十分な流動資金を維持することの必要性を考慮して、各暦年につき、予算の形式で次のものについての見積りを行う。
(i)支出
(a)当該年における基金の管理の費用及び経費並びに前年までの運営の結果生じた不足分
(b)基金が、第4条又は第5条の規定に基づく基金に対する債権であつて一の事故についての総額が1500万フランを超えないものの弁済に充てるため、当該年において行う支払(そのような債権の弁済に充てるため基金が既に行つた借入れの返済を含む。)
(c)基金が、第4条又は第5条の規定に基づく基金に対する債権であつて一の事故についての総額が1500万フランを超えるものの弁済に充てるため、当該年において行う支払(そのような債権の弁済に充てるため基金が既に行つた借入れの返済を含む。)
(ii)収入
(a)前年までの運営の結果生じた剰余金(利子を含む。)
(b)当該年において支払われる当初拠出金
(c)予算の収支の均衡を保つために必要な場合には、年次拠出金
(d)その他の収入
2 年次拠出金の額は、第10条に規定するそれぞれの者につき総会が決定するものとし、その額は、各締約国に関し、
(a)1(i)(a)及び(b)の支払を行うための拠出金については、前暦年中にその者が当該締約国において受け取つた拠出油につきトン当たり一定の額で計算するものとし、また、
(b)1(i)(c)の支払を行うための拠出金については、当該事故が生じた暦年の前暦年中にその者が受け取つた拠出油につきトン当たり一定の額で計算する。ただし、当該締約国が当該事故の発生の日にこの条約の締約国であつたことを条件とする。
3 2にいう一定の額は、それぞれ、必要とされる拠出金の総額を、当該年にすべての締約国において受け取られた拠出油の総量で除することによつて算出する。
4 総会は、年次拠出金のうち直ちに現金で支払われるべき部分を決定し、かつ、その支払の日を決定する。各年次拠出金の残余の部分は、事務局長の通告に応じて支払う。
5 事務局長は、基金の内部規則で定める場合に、同規則で定める条件に従い、拠出者に対し、その者が支払うべき金額についての金銭上の保証を提供するよう要求することができる。
6 4の規定に基づいて行われる支払請求は、各拠出者に対し、同一の比率で行う。
 
第13条  
1 前条の規定に基づいて支払われるべき拠出金で支払が遅滞しているものには、総会が各暦年について決定する率で利子を付する。その率は、状況に応じて異なるものとすることができる。
2 各締約国は自国の領域内で受け取られた油につきこの条約に基づいて生ずる基金への拠出の義務が履行されることを確保するものとし、その義務の効果的な履行を図るため、自国の法令の下で適当な措置(必要と認める制裁を課することを含む。)をとる。もつとも、その措置は、基金への拠出の義務を有する者に対してのみとるものとする。
3 第10条及び第11条の規定に従い基金への拠出をしなければならない者がその拠出額の全部又は一部についてその義務を履行せず、その支払が3箇月を超えて遅滞している場合には、事務局長は、その支払われるべき額の取立てのため、基金の名においてその者に対しすべての適当な措置をとる。もつとも、義務を履行しない拠出者が明らかに支払不能である場合又は他の事情からそれが正当化される場合には、総会は、事務局長の勧告に基づき、その拠出者に対する措置をとらないこと又はその措置を継続しないことを決定することができる。
 
第14条  
1 各締約国は、批准書若しくは加入書の寄託の際に又はその後いつでも、自国の領域内で受け取られた油につき第10条1の規定に従い基金への拠出をしなければならない者に対しこの条約に基づいて課される義務を自ら引き受けることを宣言することができる。その宣言は、書面によつて行うものとし、また、引き受ける義務を明記する。
2 1の規定に基づく宣言は、第40条の規定に従つてこの条約が効力を生ずる前に行われる場合には、機関の事務局長に寄託する。機関の事務局長は、この条約が効力を生じた後に、その宣言を事務局長に通知する。
3 1の規定に基づく宣言は、この条約が効力を生じた後に行われる場合には、事務局長に寄託する。
4 この条に規定する宣言を行つた国は、事務局長に対し書面による通告を行うことにより、その宣言を撤回することができる。その通告は、事務局長が受領した後3箇月で効力を生ずる。
5 この条の規定に基づいて行つた宣言によつて拘束される国は、その宣言に明記する義務に関し権限のある裁判所に提起される裁判上の手続においては、主張することができたであろう裁判上の特権を放棄する。
 
第15条  
1 各締約国は、基金への拠出をしなければならない量の拠出油を自国の領域内で受け取る者が、2及び3の規定により事務局長が作成しかつ最新のものに保つ表に記載されることを確保する。
2 各締約国は、1の目的のため、内部規則に定める時期に、同規則に定める方法で、事務局長に対し、当該締約国に関し第10条の規定に従い基金への拠出をしなければならない者の氏名又は名称及び住所を通知し、並びにその者が前暦年中に受け取つた拠出油の量に関する資料を送付する。
3 1の表は、反証がない限り、任意の時点において第10条1の規定に基づいて基金への拠出をしなければならない者の確定及び、必要な場合には、その者の拠出額の決定に当たつて考慮すべき油の量の確定に関し、証明力を有する。
組織及び管理
 
第16条 基金に、総会、事務局長を長とする事務局及び、第21条の規定に従つて、理事会を置く。
総会
 
第17条 総会は、この条約のすべての締約国で構成する。
 
第18条 第26条の規定が適用される場合を除くほか、総会の任務は、次のとおりとする。
1 各通常会期において、次の通常会期まで在任する議長1人及び副議長2人を選出すること。
2 この条約の規定に従うことを条件として、その手続規則を定めること。
3 基金が任務を適正に遂行するために必要な内部規則を採択すること。
4 事務局長を任命し、他の必要な職員の任命に関する規則を定め、並びに事務局長及び他の職員の勤務条件を定めること.
5 年次予算を採択し、及び年次拠出金の額を決定すること。
6 会計検査専門家を任命し、及び基金の決算報告を承認すること。
7 基金に対する請求についての解決を承認し、第4条5の規定に従い補償の支払に充てられる金額の債権者間における分配についての決定を行い、及び汚染損害の被害者ができる限り速やかに補償を受けることを確保することを目的として債権に係る暫定的支払を行うための条件を定めること。
8 総会の構成員の中から、第21条から第23条までの規定に従つて、理事会を構成するものを選出すること。
9 必要と認める臨時補助機関又は常設補助機関を設けること。
10 総会、理事会及び補助機関の会合に投票権なしで参加することを許される非締約国、政府間機関及び国際的非政府機関を決定すること。
11 基金の管理に関し事務局長、理事会及び補助機関に指示を与えること。
12 理事会の報告及び活動を審査しかつ承認すること。
13 この条約及び総会の決定の適正な実施を監督すること。
14 この条約に基づき総会に与えられ又は基金の適正な運営のため必要とされるその他の任務を遂行すること。
 
第19条  
1 総会の通常会期は、事務局長の招集により毎暦年1回開催する。ただし、総会が前条5の任務を理事会に委任している場合には、総会の通常会期は、2年ごとに1回開催する。
2 総会の臨時会期は、理事会の要請又は総会の構成員の少なくとも3分の1の要請により事務局長が招集するものとし、また、事務局長自身の発議により総会の議長と協議の上招集することができる。事務局長は、それらの会期につき少なくとも30日前に総会の構成員に通告する。
 
第20条 総会の会合には、過半数の構成員が出席していなければならない。
理事会
 
第21条 理事会は、締約国の数が15に達した日の後の総会の最初の通常会期において設置する。
 
第22条  
1 理事会は、総会の構成員の3分の1で構成する。もつとも、理事会の構成員の数は、7未満であつてはならず、かつ、15を超えてはならない。総会の構成員の数が3で除することができないものである場合には、当該3分の1の数は、3で除することができる直近上位の数によつて計算する。
2 総会は、理事会の構成員を選出するに当たり、
(a)特に油による汚染の危険にさらされている締約国及びタンカーを大量に保有する締約国が十分に代表されることを基礎として、理事会における議席の衡平な地理的配分を確保するものとし、また、
(b)第10条の規定の下で考慮の対象とされる油が前暦年中に最も多量にその領域内で受け取られた締約国の中から、理事会の構成員の数の半数又は選出される構成員の総数が奇数である場合にはその総数から1を引いた数の半数の構成員を選出する。この場合において、この(b)の規定に基づいて被選出資格を有する国の数は、次の表に掲げる数に限定する。
理事会の構成員の総数(b)の規定に基づいて被選出資格を有する国の数(b)の規定に基づい選出される国の数
10
11
12
13
1411
1511

3 2(b)の規定に基づき被選出資格を有していたが選出されなかつた総会の構成員は、理事会の残余の議席について被選出資格を有しない。
 
第23条  
1 理事会の構成員は、総会の次の通常会期の終わりまで在任する。
2 総会の構成員は、前条の要件を満たすために必要な場合を除くほか、連続する2を超える任期について理事会に選出されることができない。
 
第24条 理事会は、少なくとも毎暦年1回、事務局長自身の発議又は理事会の議長若しくは理事会の構成員の少なくとも3分の1の要請に基づいて事務局長が招集したとき、30日の予告により会合する。理事会は、適当と認める場所で会合する。
 
第25条 理事会の会合には、少なくとも3分の2の構成員が出席していなければならない。
 
第26条  
1 理事会の任務は、次のとおりとする。
(a)理事会の議長を選出し、及び、この条約に別段の定めがある場合を除くほか、理事会の手続規則を採択すること。
(b)総会に代わつて次の任務を引き受け及び遂行すること。
(i)事務局長以外の必要な職員の任命に関する規則を定め、及びそれらの職員の勤務条件を定めること。
(ii)基金に対する請求についての解決を承認し、及びそれに関して第18条7に定める他のすべての措置をとること。
(iii)基金の管理に関し事務局長に指示を与え、並びにこの条約、総会の決定及び理事会自体の決定の事務局長による適正な実施を監督すること。
(c)総会が理事会に委任するその他の任務を遂行すること。
2 理事会は、毎年、前暦年における基金の活動についての報告を作成し、公表する。
 
第27条 総会の構成員であつて理事会の構成員でないものは、理事会の会合にオブザーバーとして出席する権利を有する。
事務局
 
第28条  
1 事務局は、事務局長及び基金の管理のために必要な職員から成る。
2 事務局長は、基金の法律上の代表者とする。
 
第29条  
1 事務局長は、基金の首席行政官とし、総会及び理事会の指示に従うことを条件として、この条約、内部規則、総会及び理事会によつて与えられる任務を遂行する。
2 事務局長は、特に、次のことを行う。
(a)基金の管理のために必要な職員を任命すること。
(b)基金の資産の適正な管理のためすべての適当な措置をとること。
(c)特に第13条3の規定を遵守しつつ、この条約に基づいて支払われるべき拠出金を徴収すること。
(d)基金に対する請求を処理し及び基金のその他の任務を遂行するために必要な範囲内で、法律、会計その他の分野の専門家の役務を用いること。
(e)内部規則に定める限度内で及び同規則に定める条件で、基金に対する請求を処理するためすべての適当な措置(同規則に定めがある場合に総会又は理事会の事前の承認を得ないで請求についての最終的解決を行うことを含む。)をとること。
(f)各暦年の会計報告及び予算見積りを作成し、総会又は、場合に応じ、理事会に提出すること。
(g)第26条2に規定する報告の作成につき理事会を援助すること。
(h)総会、理事会及び補助機関の作業に必要な書類、文書、議事日程、議事録及び情報を作成し、収集し及び配布すること。
 
第30条 事務局長並びに事務局長が任命する職員及び専門家は、その任務の遂行に当たり、いかなる政府からも又は基金以外のいかなる当局からも指示を求め、又は受けてはならない。それらの者は、その国際公務員としての地位に影響を及ぼすおそれがあるいかなる行動をも慎まなければならない。各締約国は、事務局長並びに事務局長が任命する職員及び専門家の責任の専ら国際的な性質を尊重すること並びにこれらの者が任務を遂行するに当たつてこれらの者に影響を及ぼそうとしないことを約束する。
会計
 
第31条  
1 各締約国は、総会への自国の代表団並びに理事会及び補助機関に対する自国の代表者の俸給、旅費その他の経費を負担する。
2 基金の運営に要するその他の経費は、基金が負担する。
投票
 
第32条 総会及び理事会における投票には、次の規定を適用する。
(a)各構成員は、1個の投票権を有する。
(b)次条に別段の定めがある場合を除くほか、総会及び理事会の決定は、出席しかつ投票する構成員の過半数による議決で行う。
(c)4分の3又は3分の2の多数決を必要とする決定は、出席する構成員のそれぞれ4分の3又は3分の2以上の多数による議決で行う。
(d)この条の規定の適用上、「出席する構成員」とは、「投票の時に会合に出席している構成員」をいい、「出席しかつ投票する構成員」とは、「出席し、かつ、賛成又は反対の票を投ずる構成員」をいう。投票を棄権する構成員は、投票を行わないものとみなす。
 
第33条  
1 総会の次の決定は、4分の3の多数決を必要とする。
(a)基金が支払う補償の最高額の第4条6の規定に基づく増額
(b)第5条4に規定する文書の代替に関する同条4の規定に基づく決定
(c)第18条5の任務の理事会への委任
2 総会の次の決定は、3分の2の多数決を必要とする。
(a)拠出者に対する措置をとらないこと又はその措置を継続しないことについての第13条3の規定に基づく決定
(b)第18条4の規定に基づく事務局長の任命
(c)第18条9の規定に基づく補助機関の設置
 
第34条  
1 基金及びその資産収入(拠出金を含む。)その他の財産は、すべての締約国において、すべての直接税を免除される。
2 基金が、その公の活動の遂行のために必要な動産若しくは不動産の重要な購入を行い、又はその公の活動の遂行のために必要な重要な作業を行わせる場合において、その費用に間接税又は売上税が含まれているときは、締約国政府は、可能な限り、税額の減免又は還付のため適当な措置をとる。
3 租税又は賦課金であつて単に公益事業に対する対価にすぎないものは、免除されない。
4 基金は、基金の公用のために基金により又は基金の名において輸入され又は輸出される物品につき、すべての関税、租税その他関連する賦課金を免除される。このようにして輸入された物品は、その物品が輸入された国の政府が同意する条件による場合を除くほか、その国の領域において有償であると無償であるとを問わず譲渡してはならない。
5 基金への拠出をする者並びに基金からの支払を受ける被害者及び船舶の所有者は、それらの者が課税される国の租税に関する法令に従うものとし、この点に関して特別の免除その他の特典を与えられない。
6 この条約の適用上提出される個々の拠出者に関する情報は、基金がその任務(裁判上の手続における原告又は被告としての任務を含む。)を遂行することを可能にするために絶対に必要である場合を除くほか、基金の外部に漏らしてはならない。
7 締約国は、通貨又は送金に関する現行の又は将来における規則にかかわりなく、基金への拠出金及び基金が行う補償の送金及び支払を何ら制限を設けることなく許可する。
経過規定
 
第35条  
1 基金は、この条約の効力発生の後120日の期間内に生ずる事故については、第4条又は第5条の規定に基づくいかなる義務をも負わない。
2 第4条の規定に基づく補償の請求及び第5条の規定に基づく補てんの請求で、この条約の効力発生の後120日を経過した日からその効力発生の後240日を経過する日までの間に生ずる事故に係るものは、その効力発生の後240日を経過する前に基金に対して行うことができない。
 
第36条 機関の事務局長は、総会の第1回会期を招集する。その会期は、この条約の効力発生の後できる限り速やかに、いかなる場合にもその効力発生の後30日以内に開催する。
最終規定
 
第37条  
1 この条約は、責任条約に署名した国又はそれに加入する国及び1971年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する会議に代表を出した国による署名のために開放する。ごの条約は、1972年12月31日まで署名のために開放しておく。
2 4の規定に従うことを条件として、この条約は、これに署名した国によつて批准され、受諾され又は承認されなければならない。
3 4の規定に従うことを条件として、この条約は、これに署名しなかつた国による加入のために開放しておく。
4 責任条約を批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入している国のみが、この条約を批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入することができる。
 
第38条  
1 批准、受諾、承認又は加入は、そのための正式の文書を機関の事務局長に寄託することによつて行う。
2 この条約の改正がすべての締約国について効力を生じた後又はその改正の効力発生に必要なすべての措置がすべての締約国についてとられた後に寄託される批准書、受諾書、承認書又は加入書は、改正された条約に係るものとみなす。
 
第39条 この条約の効力発生前は、いずれの国も、前条1に規定する文書を寄託する際に、及びその後毎年機関の事務局長が決定する日に、同事務局長に対し、当該国に関し第10条の規定に従い基金への拠出をしなければならないであろう者の氏名又は名称及び住所を通知し、並びにその者が前暦年中に当該国の領域内で受け取つた拠出油の量に関する資料を送付する。
 
第40条  
1 この条約は、次の(a)及び(b)の要件が満たされた日の後90日目の日に効力を生ずる。
(a)少なくとも8の国が批准書、受諾書、承認書又は加入書を機関の事務局長に寄託すること。
(b)機関の事務局長が、前条の規定に基づき、第10条の規定に従つて当該国において拠出をしなければならないであろう者が前暦年中に総量において少なくとも7億5000万トンの拠出油を受け取つた旨の情報を受領すること。
2 もつとも、この条約は、責任条約の効力発生前に効力を生ずることはない。
3 この条約は、その後にこれを批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入する各国については、その国が該当する文書を寄託した後90日目の日に効力を生ずる。
 
第41条  
1 締約国は、この条約が自国について効力を生じた日の後は、いつでもこれを廃棄することができる。
2 廃棄は、機関の事務局長に文書を寄託することによつて行う。
3 廃棄は、機関の事務局長への廃棄書の寄託の後1年で、又は廃棄書に明記するこれよりも長い期間の後に、効力を生ずる。
4 責任条約の廃棄は、この条約の廃棄とみなす。その廃棄は、責任条約の廃棄が同条約第16条3の規定に従つて効力を生ずる日に効力を生ずる。
5 いずれかの締約国がこの条の規定に基づいて廃棄を行つた場合においても、第12条2(b)にいう事故でその廃棄が効力を生ずる前に生じたものにつき第10条の規定に基づいて拠出をする義務に関するこの条約の規定は、引き続き適用する。
 
第42条  
1 締約国は、いずれかの締約国による廃棄書の寄託がその結果として残余の締約国に関する拠出金の水準を著しく引き上げることとなると認める場合には、その寄託の後90日以内に、事務局長に対し、総会の臨時会期を招集するよう要請することができる。事務局長は、その要請を受領した後60日以内に総会を招集する。
2 事務局長は、いずれかの締約国による廃棄書の寄託がその結果として残余の締約国に関する拠出金の水準を著しく引き上げることとなると認める場合には、自己の発議により、その寄託の後60日以内に総会の臨時会期を招集することができる。
3 1又は2の規定に従つて招集された臨時会期において、総会が、当該廃棄が残余の締約国に関する拠出金の水準を著しく引き上げるものであると決定した場合には、いずれの締約国も当該廃棄が効力を生ずる日の120日前までに、この条約を廃棄することができるものとし、その廃棄は、同じ日に効力を生ずる。
 
第43条  
1 この条約は、締約国の数が3未満になつた日に効力を失う。
2 この条約が効力を失う日の前日にこの条約によつて拘束されている締約国は、基金が次条の任務を遂行することができるようにするため必要な措置をとるものとし、その目的のためにのみ、引き続きこの条約によつて拘束される。
 
第44条  
1 基金は、この条約が効力を失う場合にも、
(a)この条約が効力を失う前に生じた事故に関する義務を負うものとし、また、
(b)(a)に規定する義務の履行(そのために必要な基金の管理の経費の支出を含む。)のために必要な範囲内で拠出金の徴収に関する権利を行使することができる。
2 総会は、基金の清算のため、すべての適当な措置(基金への拠出をした者の間における残余の資産の公平な方法による分配を含む。)をとる。
3 この条の規定の適用上、基金は、法人として存続する。
 
第45条  
1 機関は、この条約の改正のための会議を招集することができる。
2 機関は、締約国の3分の1以上からの要請がある場合には、この条約の改正のための締約国会議を招集する。
 
第46条  
1 この条約は、機関の事務局長に寄託する。
2 機関の事務局長は、次のことを行う。
(a)署名国又は加入国に対して次の事項を通知すること。
(i)新たに行われた署名又は文書の寄託及びその署名又は寄託の日
(ii)この条約の効力発生の日
(iii)この条約の廃棄及びそれが効力を生ずる日
(b)すべての署名国及びこの条約に加入するすべての国に対し、この条約の認証謄本を送付すること。
 
第47条 この条約が効力を生じたときは、機関の事務局長は、国際連合憲章第102条の規定に従いできる限り速やかにその認証謄本を登録及び公表のため国際連合事務局に送付する。
 
第48条 この条約は、ひとしく正文である英語及びフランス語により原本一通を作成する。ロシア語及びスペイン語による公定訳文は、機関の事務局が作成の上、署名済みの原本とともに寄託する。

以上の証拠として、下名の全権委員は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。
1971年12月18日にブラッセルで作成した。

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