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1972年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約

  昭和52・7・5・条約  2号  
発効昭和52・7・15・外務省告示152号  
改正昭和58・5・19・外務省告示162号(未)(施行=昭58年6月1日)
改正平成元・11・8・外務省告示580号(未)(施行=平元年11月19日)
改正平成3・9・20・外務省告示472号(未)(施行=平3年4月19日)
改正平成7・12・20・外務省告示671号(未)(施行=平7年11月4日)
改正平成21・12・7・外務省告示549号(未)(施行=平15年11月29日)
改正平成21・12・8・外務省告示555号(未)(施行=平21年12月1日)
改正平成28・5・25・外務省告示178号(未)(施行=平28年1月1日)


1972年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約をここに公布する。
この条約の締約国は、
海上における安全を高水準に維持することを希望し、
1960年の海上における人命の安全に関する国際会議の最終議定書に附属する海上における衝突の予防のための国際規則を改正して最新のものとすることの必要性を考慮し、
その国際規則が承認された後の諸事情に照らし、その国際規則を検討して、
次のとおり協定した。
(一般的義務)
第1条 この条約の締約国は、この条約に添付されている1972年の海上における衝突の予防のための国際規則(以下「国際規則」という。)を構成する規則及び附属書の規定を実施することを約束する。
(署名、批准、受諾、承認及び加入)
第2条  
1 この条約は、1973年6月1日までは署名のため、その後は加入のため、開放しておく。
2 国際連合、そのいずれかの専門機関若しくは国際原子力機関の加盟国又は国際司法裁判所規程の当事国は、次のいずれかの方法により、この条約の締約国となることができる。
(a)批准、受諾又は承認につき留保を付さないで署名すること。
(b)批准、受諾又は承認を条件として署名した後、批准し、受諾し又は承認すること。
(c)加入すること。
3 批准、受諾、承認又は加入は、そのための文書を政府間海事協議機関(以下「機関」という。)に寄託することによつて行うものとし、機関は、既にこの条約に署名し又は加入している国の政府に対し、当該文書の寄託及びその寄託の日を通報する。
(適用地域)
第3条  
1 いずれかの地域の施政権者としての国際連合又はいずれかの地域の国際関係について責任を有する締約国は、機関の事務局長(以下「事務局長」という。)にあてた通告書により、いつでも、この条約を当該地域について適用することができる。
2 この条約は、通告書の受領の日又は通告書に明記する他の日から、その通告書に示す地域について適用する。
3 1の規定に基づいて行われた通告は、その通告書に示すいずれの地域に関しても撤回することができるものとし、当該地域についてのこの条約の適用は、1年又は撤回の時に明示するこれよりも長い期間の後に、終止する。
4 事務局長は、すべての締約国に対し、この条の規定に従つて通知される適用の通告又はその適用の撤回を通報する。
(効力発生)
第4条  
1 
(a)この条約は、少なくとも15の国が締約国となり、かつ、総トン数100トン以上の船舶についてそれらの国の船舶の隻数の合計又はトン数の合計がそれぞれ世界全体の船舶の隻数又はトン数の65パーセント以上になつた日のうちいずれか早い方の日の後12箇月で、効力を生ずる。
(b)(a)の規定にかかわらず、この条約は、1976年1月1日前に効力を生ずることはない。
2 この条約は、1(a)に定める条件が満たされた後でこの条約の効力発生前に第2条の規定に従つて批准し、受諾し、承認し又は加入する国については、この条約の効力発生の日に効力を生ずる。
3 この条約は、その効力発生の日の後に批准し、受諾し、承認し又は加入する国については、第2条の規定に従つて文書を寄託した日に効力を生ずる。
4 この条約の改正が第6条4の規定に従つて効力を生ずる日の後に行われる批准、受諾、承認又は加入は、改正された条約に対して行われる。
5 国際規則は、この条約の効力発生の日に1960年の海上における衝突の予防のための国際規則に代わるものとし、同国際規則は、廃止される。
6 事務局長は、既にこの条約に署名し又は加入している国の政府に対し、この条約の効力発生の日を通報する。
(改正会議)
第5条  
1 機関は、この条約又は国際規則の改正のための会議を招集することができる。
2 機関は、締約国の3分の1以上からの要請がある場合には、この条約又は国際規則の改正のための締約国会議を招集する。
(国際規則の改正)
第6条  
1 機関は、いずれかの締約国の要請がある場合には、当該締約国が提案する国際規則の改正案を審議する。
2 改正案は、機関の海上安全委員会において出席しかつ投票する国の3分の2以上の多数によつて採択された場合には、機関の総会による審議の少なくとも6箇月前にすべての締約国及び機関のすべての加盟国に送付される。改正案が総会において審議されるときは、機関の加盟国でないいずれの締約国も、審議に参加する資格を有する。
3 事務局長は、総会において出席しかつ投票する国の3分の2以上の多数によつて改正案が採択された場合には、これを、受諾のため、すべての締約国に送付する。
4 改正は、その採択の際に総会が決定する日に効力を生ずる。ただし、その日よりも前であつて採択の際に総会が決定する日までに締約国の3分の1を超える国が改正に対する異議を機関に通告した場合は、この限りでない。総会によるこの4に規定する日の決定には、出席しかつ投票する国の3分の2以上の多数を必要とする。
5 改正は、これに対する異議を通告しなかつたすべての締約国について、改正の効力発生の時にその改正に係る従前の規定に代わるものとし、同規定は、効力を失う。
6 事務局長は、すべての締約国及び機関のすべての加盟国に対し、この条の規定に基づく要請及び送付並びに改正の効力発生の日を通報する。
(廃棄)
第7条  
1 締約国は、この条約が自国について効力を生じた日から5年を経過した後は、いつでもこれを廃棄することができる。
2 廃棄は、機関に文書を寄託することによつて行う。事務局長は、他のすべての締約国に対し、廃棄書の受領及びその寄託の日を通報する。
3 廃棄は、廃棄書の寄託の後1年で、又は廃棄書に明記するこれよりも長い期間の後に、効力を生ずる。
(寄託及び登録)
第8条  
1 この条約及び国際規則は、機関に寄託する。事務局長は、その認証謄本を既にこの条約に署名し又は加入しているすべての国の政府に送付する。
2 この条約が効力を生じたときは、事務局長は、国際連合憲章第102条の規定に従つてその本文を登録及び公表のため国際連合事務局に送付する。
(用語)
第9条 この条約及び国際規則は、ひとしく正文である英語及びフランス語により本書一通を作成する。ロシア語及びスペイン語による公定訳文は、作成の上、署名済みの原本とともに寄託する。

以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。
1972年10月20日にロンドンで作成した。
1972年の海上における衝突の予防のための国際規則

A部 総則
(適用)
第1条  
(a)この規則は、公海及びこれに通じかつ海上航行船舶が航行することができるすべての水域の水上にあるすべての船舶に適用する。
(b)この規則のいかなる規定も、停泊地、港湾、河川若しくは湖沼又は公海に通じかつ海上航行船舶が航行することができる内水路について、権限のある当局が定める特別規則の実施を妨げるものではない。特別規則は、できる限りこの規則に適合していなければならない。
(c)この規則のいかなる規定も、二隻以上の軍艦若しくは護送されている船舶のための追加の位置燈、信号燈若しくは汽笛信号又は集団で漁ろうに従事している漁船のための追加の位置燈若しくは信号燈に関して各国の政府が定める特別規則の実施を妨げるものではない。これらの位置燈、信号燈又は汽笛信号は、できる限り、この規則に定める燈火又は信号と誤認されないものでなければならない。
(d)機関は、この規則の適用上、分離通航方式を採択することができる。
(e)特殊な構造又は目的を有する船舶がこの規則の燈火若しくは形象物の数、位置、視認距離若しくは視認圏に関する規定又はこの規則の音響信号装置の配置若しくは特性に関する規定に従うならば当該船舶の特殊な機能が損なわれると関係政府が認める場合には、当該船舶は、燈火若しくは形象物の数、位置、視認距離若しくは視認圏又は音響信号装置の配置若しくは特性について、当該政府がこの規則の規定に最も近いと認める他の規則に従わなければならない。
(責任)
第2条  
(a)この規則のいかなる規定も、この規則を遵守することを怠ること又は船員の常務として必要とされる注意若しくはその時の特殊な状況により必要とされる注意を払うことを怠ることによつて生じた結果について、船舶、船舶所有者、船長又は海員の責任を免除するものではない。
(b)この規則の規定の解釈及び履行に当たつては、運航上の危険及び衝突の危険に対して十分な注意を払わなければならず、かつ、切迫した危険のある特殊な状況(船舶の性能に基づくものを含む。)に十分な注意を払わなければならない。この特殊な状況の場合においては、切迫した危険を避けるため、この規則の規定によらないことができる。
(一般的定義)
第3条 この規則の規定の適用上、文脈により別に解釈される場合を除くほか、
(a)「船舶」とは、水上輸送の用に供され又は供することができる船舟類(無排水量船及び水上航空機を含む。)をいう。
(b)「動力船」とは、推進機関を用いて推進する船舶をいう。
(c)「帆船」とは、帆を用いている船舶(推進機関を備え、かつ、これを用いているものを除く。)をいう。
(d)「漁ろうに従事している船舶」とは、操縦性能を制限する網、なわ、トロールその他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶をいい、操縦性能を制限しない引きなわその他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶を含まない。
(e)「水上航空機」とは、水上を移動することができる航空機をいう。
(f)「運転が自由でない状態にある船舶」とは、例外的な事情によりこの規則に従つて操縦することができず、このため他の船舶の進路を避けることができない船舶をいう。
(g)「操縦性能が制限されている船舶」とは、自船の作業の性質によりこの規則に従つて操縦することが制限されており、このため他の船舶の進路を避けることができない船舶をいう。
 次の船舶は、操縦性能が制限されている船舶とする。
(i)航路標識、海底電線又は海底パイプラインの敷設、保守又は引揚げに従事している船舶
(ii)しゆんせつ、測量又は水中作業に従事している船舶
(iii)航行中において補給、人の移乗又は食糧若しくは貨物の積替えに従事している船舶
(iv)航空機の発着の作業に従事している船舶
(v)掃海作業に従事している船舶
(vi)引いている船舶及び引かれている物件が進路から離れることを著しく制限するようなえい航作業に従事している船舶
(h)「喫水による制約を受けている船舶」とは、自船の喫水と利用可能な水深との関係により進路から離れることを著しく制限されている動力船をいう。
(i)「航行中」とは、船舶がびよう泊し、陸岸に係留し又は乗り揚げていない状態をいう。
(j)船舶の「長さ」及び「幅」とは、船舶の全長及び最大幅をいう。
(k)二隻の船舶は、互いに視覚によつて他の船舶を見ることができる場合に限り、互いに他の船舶の視野の内にあるものとする。
(l)「視界が制限されている状態」とは、霧、もや、降雪、暴風雨、砂あらしその他これらに類する原因によつて視界が制限されている状態をいう。
B部 操船規則及び航行規則

第1章 あらゆる視界の状態における船舶の航法
(適用)
第4条 この章の規定は、あらゆる視界の状態において適用する。
(見張り)
第5条 すべての船舶は、その置かれている状況及び衝突のおそれを十分に判断することができるように、視覚及び聴覚により、また、その時の状況に適したすべての利用可能な手段により、常に適切な見張りを行つていなければならない。
(安全な速力)
第6条 すべての船舶は、衝突を避けるために適切かつ有効な動作をとることができるように、また、その時の状況に適した距離で停止することができるように、常に安全な速力で進行しなければならない。
 安全な速力の決定に当たつては、特に次の事項を考慮しなければならない。
(a)すべての船舶が考慮すべき事項
(i)視界の状態
(ii)交通のふくそう状況(漁船その他の船舶の集中を含む。)
(iii)その時の状況における船舶の操縦性能、特に、停止距離及び旋回性能
(iv)夜間における陸岸の燈火、自船の燈火の反射等による燈光の存在
(v)風、海面及び海潮流の状態並びに航路障害物との近接状態
(vi)自船の喫水と利用可能な水深との関係
(b)レーダーを使用している船舶が更に考慮すべき事項
(i)レーダーの特性、性能及び限界
(ii)使用しているレーダーレンジによる制約
(iii)海象、気象その他の干渉原因によるレーダー探知上の影響
(iv)小型船舶、氷その他の浮遊物件は、適切なレンジにおいてもレーダーにより探知することができない場合があること。
(v)レーダーにより探知した船舶の数、位置及び動向
(vi)付近の船舶その他の物件との距離の測定にレーダーを使用することにより視界の状態を一層正確に把握することができる場合があること。
(衝突のおそれ)
第7条  
(a)すべての船舶は、衝突のおそれがあるかどうかを判断するため、その時の状況に適したすべての利用可能な手段を用いなければならない。衝突のおそれがあるかどうか疑わしい場合には、衝突のおそれがあるものとする。
(b)レーダーを装備しかつ使用しているときは、これを適切に利用しなければならない。その適切な利用とは、例えば、衝突のおそれを早期に知るための長距離レンジによる走査及び探知した物件についてレーダープロッティングその他これと同様の系統的な観察を行うことをいう。
(c)不十分な情報、特に、不十分なレーダー情報に基づいて憶測してはならない。
(d)衝突のおそれがあるかどうかを判断するに当たつては、特に次のことを考慮しなければならない。
(i)接近してくる船舶のコンパス方位に明確な変化が認められない場合には、衝突のおそれがあるものとすること。
(ii)コンパス方位に明確な変化が認められる場合においても、特に、大型船舶若しくはえい航している船舶に接近するとき又は近距離で船舶に接近するときは、衝突のおそれがあり得ること。
(衝突を避けるための動作)
第8条  
(a)衝突を避けるためのいかなる動作も、状況の許す限り、十分に余裕のある時期に、船舶の運用上の適切な慣行に従つてためらわずにとられなければならない。
(b)衝突を避けるための針路又は速力のいかなる変更も、状況の許す限り、視覚又はレーダーによつて見張りを行つている他の船舶が容易に認めることができるように十分に大きいものでなければならない。針路又は速力を小刻みに変更することは、避けなければならない。
(c)十分に広い水域がある場合には、針路のみの変更であつても、その変更が、適切な時期に行われ、大幅であり、かつ、著しく接近する状態を新たに引き起こさない限り、著しく接近する状態を避けるための最も有効な動作となり得る。
(d)他の船舶との衝突を避けるための動作は、安全な距離を保つて通航することとなるものでなければならない。その動作の効果は、他の船舶が完全に通過しかつ十分に遠ざかるまで注意深く確かめなければならない。
(e)船舶は、衝突を避けるために又は状況を判断するための時間的余裕を得るために必要な場合には、速力を減じ、又は推進機関を停止し若しくは後進にかけることによりゆきあしを完全に止めなければならない。
(狭い水道)
第9条  
(a)狭い水道又は航路筋をこれに沿つて進行する船舶は、安全かつ実行可能である限り、当該狭い水道又は航路筋の右側端に寄つて進行しなければならない。
(b)長さ20メートル未満の船舶又は帆船は、狭い水道又は航路筋の内側でなければ安全に航行することができない船舶の通航を妨げてはならない。
(c)漁ろうに従事している船舶は、狭い水道又は、航路筋の内側を航行している他の船舶の通航を妨げてはならない。
(d)船舶は、狭い水道又は航路筋の内側でなければ安全に航行することができない船舶の通航を妨げることとなる場合には、当該狭い水道又は航路筋を横切つてはならない。狭い水道又は航路筋の内側でなければ安全に航行することができない船舶は、横切つている船舶の意図に疑問がある場合には、第34条(d)に定める音響信号を行うことができる。
(e) 
(i)狭い水道又は航路筋において追い越される船舶が追い越そうとする船舶を安全に通航させるための動作をとらなければ追い越すことができない場合には、追い越そうとする船舶は、第34条(c)(i)に定める音響信号を行うことによりその意図を示さなければならない。追い越される船舶は、追い越されることに同意した場合には、同条(c)(ii)に定める音響信号を行い、かつ、安全に通航させるための動作をとらなければならず、また、疑問がある場合には、同条(d)に定める音響信号を行うことができる。
(ii)(i)の規定は、第13条に規定する追い越す船舶の義務を免除するものではない。
(f)狭い水道又は航路筋において、障害物のために他の船舶を見ることができないわん曲部その他の水域に接近する船舶は、特に細心の注意を払つて航行しなければならず、また、第34条(e)に定める音響信号を行わなければならない。
(g)船舶は、状況の許す限り、狭い水道においてびよう泊することを避けなければならない。
(分離通航方式)
第10条  
(a)この条の規定は、機関が採択した分離通航方式に適用する。
(b)分離通航帯を使用する船舶は、
(i)通航路を当該通航路の交通の流れの一般的な方向に進行しなければならない。
(ii)実行可能な限り、分離線又は分離帯から離れていなければならない。
(iii)通常、通航路の出入口から出入しなければならない。ただし、通航路の側方から出入する場合には、当該通航路の交通の流れの一般的な方向に対し実行可能な限り小さい角度で出入しなければならない。
(c)船舶は、実行可能な限り、通航路を横断することを避けなければならない。ただし、やむを得ず通航路を横断する場合には、当該通航路の交通の流れの一般的な方向に対し実行可能な限り直角に近い角度で横断しなければならない。
(d)沿岸通航帯に隣接した分離通航帯の通航路を安全に使用して通過することができる船舶は、通常、当該沿岸通航帯を使用してはならない。
(e)横断船以外の船舶は、通常、次の場合を除くほか、分離帯に入り又は分離線を横切つてはならない。
(i)緊急の場合において切迫した危険を避けるとき。
(ii)分離帯の中で漁ろうに従事する場合
(f)船舶は、分離通航帯の出入口の付近においては、特に注意を払つて航行しなければならない。
(g)船舶は、分離通航帯及びその出入口の付近においては、実行可能な限り、びよう泊することを避けなければならない。
(h)分離通航帯を使用しない船舶は、実行可能な限り当該分離通航帯から離れていなければならない。
(i)漁ろうに従事している船舶は、通航路をこれに沿つて航行している船舶の通航を妨げてはならない。
(j)長さ20メートル未満の船舶又は帆船は、通航路をこれに沿つて航行している動力船の安全な通航を妨げてはならない。
第2章 互いに他の船舶の視野の内にある船舶の航法
(適用)
第11条 この章の規定は、互いに他の船舶の視野の内にある船舶について適用する。
(帆船)
第12条  
(a)二隻の帆船が互いに接近する場合において衝突のおそれがあるときは、いずれか一の帆船は、次の(i)から(iii)までの規定に従い、他の帆船の進路を避けなければならない。
(i)二隻の船舶の風を受けているげんが異なる場合には、左げんに風を受けている船舶は、右げんに風を受けている船舶の進路を避けなければならない。
(ii)二隻の船舶の風を受けているげんが同じである場合には、風上の船舶は、風下の船舶の進路を避けなければならない。
(iii)左げんに風を受けている船舶は、風上に他の船舶を見る場合において、当該他の船舶が左げんに風を受けているか右げんに風を受けているかを判断することができないときは、当該他の船舶の進路を避けなければならない。
(b)この条の規定の適用上、風上は、メインスルの張つている側(横帆船の場合には、最大の縦帆の張つている側)の反対側とする。
(追越し)
第13条  
(a)追い越す船舶は、この章の他の条の規定にかかわらず、追い越される船舶の進路を避けなければならない。
(b)船舶は、他の船舶の正横後22.5度を超える後方の位置、すなわち、夜間において当該他の船舶のいずれのげん燈をも見ることはできないが船尾燈のみを見ることができる位置から当該他の船舶を追い抜く場合には、追い越しているものとする。
(c)船舶は、自船が他の船舶を追い越しているかどうか疑わしい場合には、追い越しているものとして動作をとらなければならない。
(d)追い越す船舶と追い越される船舶との間の方位のいかなる変更も、追い越す船舶をこの規則にいう横切りの状況にある船舶とするものではなく、追い越す船舶に対し、他の船舶を完全に追い越しかつ当該他の船舶から十分に遠ざかるまで当該他の船舶の進路を避ける義務を免除するものではない。
(行会いの状況)
第14条  
(a)二隻の動力船が真向かい又はほとんど真向かいに行き会う場合において衝突のおそれがあるときは、各船舶は、互いに他の船舶の左げん側を通航するようにそれぞれ針路を右に転じなければならない。
(b)船舶が他の船舶を船首方向又はほとんど船首方向に見る場合において、夜間においては当該他の船舶の2個のマスト燈を一直線上若しくはほとんど一直線上に見るとき若しくは両側のげん燈を見るとき又は昼間においては当該他の船舶をこれに相当する状態に見るときは、(a)に規定する状況が存在するものとする。
(c)船舶は、(a)に規定する状況にあるかどうか疑わしい場合には、その状況にあるものとして動作をとらなければならない。
(横切りの状況)
第15条 二隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突のおそれがあるときは、他の船舶を右げん側に見る船舶は、当該他の船舶の進路を避けなければならず、状況の許す限り、当該他の船舶の船首方向を横切ることを避けなければならない。
(避航船の動作)
第16条 他の船舶の進路を避けなければならない船舶は、当該他の船舶から十分に遠ざかるため、できる限り早期かつ大幅に動作をとらなければならない。
(保持船の動作)
第17条  
(a) 
(i)二隻の船舶のいずれか一の船舶が他の船舶の進路を避けなければならない場合には、当該他の船舶は、その針路及び速力を保持しなければならない。
(ii)(i)の規定にかかわらず、当該他の船舶の進路を避けなければならない船舶がこの規則に適合する適切な動作をとつていないことが当該他の船舶にとつて明らかになつたときは、当該他の船舶は、自船のみによつて衝突を避けるための動作を直ちにとることができる。
(b)針路及び速力を保持しなければならない船舶は、何らかの事由により避航船と間近に接近したためその避船舶の動作のみでは衝突を避けることができないと認める場合には、衝突を避けるための最善の協力動作をとらなければならない。
(c)動力船は、横切りの状況にある場合において他の動力船との衝突を避けるため(a)(ii)の規定に従つて動作をとるときは、状況の許す限り、左げん側にある当該他の動力船に対して針路を左に転じてはならない。
(d)この条の規定は、避航船に対し、他の船舶の進路を避ける義務を免除するものではない。
(各種船舶の責任)
第18条 第9条、第10条及び第13条に別段の定めがある場合を除くほか、
(a)航行中の動力船は、次の船舶の進路を避けなければならない。
(i)運転が自由でない状態にある船舶
(ii)操縦性能が制限されている船舶
(iii)漁ろうに従事している船舶
(iv)帆船
(b)航行中の帆船は、次の船舶の進路を避けなければならない。
(i)運転が自由でない状態にある船舶
(ii)操縦性能が制限されている船舶
(iii)漁ろうに従事している船舶
(c)航行中の漁ろうに従事している船舶は、できる限り、次の船舶の進路を避けなければならない。
(i)運転が自由でない状態にある船舶
(ii)操縦性能が制限されている船舶
(d) 
(i)運転が自由でない状態にある船舶及び操縦性能が制限されている船舶以外の船舶は、状況の許す限り、喫水による制約を受けている船舶であつて第28条に定める燈火又は形象物を表示しているものの安全な通航を妨げることを避けなければならない。
(ii)喫水による制約を受けている船舶は、その特殊な事情を十分に考慮しつつ、特に注意を払つて航行しなければならない。
(e)水上にある水上航空機は、原則として、すべての船舶から十分に遠ざからなければならず、また、これらの船舶の運航を妨げることを避けなければならないが、衝突のおそれがある場合には、この部の規定に従わなければならない。
第3章 視界が制限されている状態における船舶の航法
(視界が制限されている状態における船舶の航法)
第19条  
(a)この条の規定は、視界が制限されている状態にある水域又はその付近を航行している船舶であつて互いに他の船舶の視野の内にないものに適用する。
(b)すべての船舶は、その時の状況及び視界が制限されている状態に応じた安全な速力で進行しなければならない。動力船は、推進機関を直ちに操作することができるようにしておかなければならない。
(c)すべての船舶は、第1章の規定に従うに当たり、その時の状況及び視界が制限されている状態を十分に考慮しなければならない。
(d)他の船舶の存存をレーダーのみにより探知した船舶は、著しく接近する状態が生じつつあるかどうか又は衝突のおそれがあるかどうかを判断しなければならず、また、著しく接近する状態が生じつつある場合又は衝突のおそれがある場合には、十分に余裕のある時期にこれらの状況を避けるための動作をとらなければならない。ただし、その動作が針路の変更となるときは、次の動作をとることは、できる限り避けなければならない。
(i)追い越される船舶以外の船舶で正横より前方にあるものに対し、針路を左に転ずること。
(ii)正横又は正横より後方にある船舶の方向に針路を転ずること。
(e)衝突のおそれがないと判断した場合を除くほか、すべての船舶は、他の船舶の霧中信号を明らかに正横より前方に聞いた場合又は正横より前方にある他の船舶と著しく接近する状態を避けることができない場合には、針路を保持することができる最小限度までその速力を減じなければならない。当該船舶は、必要な場合にはゆきあしを完全に止めなければならず、また、いかなる場合においても衝突の危険がなくなるまで特段の注意を払つて航行しなければならない。
C部 燈火及び形象物
(適用)
第20条  
(a)この部の規定は、いかなる天候の下においても遵守しなければならない。
(b)燈火に関する規定は、日没から日出までの間において遵守しなければならず、この間は、この規則に定める燈火以外のいかなる燈火をも表示してはならない。ただし、この規則に定める燈火と誤認されることのない燈火、この規則に定める燈火の視認若しくはその特性の識別の妨げとならない燈火又は適切な見張りの妨げとならない燈火は、この限りでない。
(c)この規則に定める燈火は、これを備えている場合において、日出から日没までの間にあつても視界が制限されている状態にあるときは、表示しなければならず、また、必要と認める他のあらゆる状況において表示することができる。
(d)形象物に関する規定は、昼間において遵守しなければならない。
(e)この規則に定める燈火及び形象物は、附属書Iの規定に適合するものでなければならない。
(定義)
第21条  
(a)「マスト燈」とは、225度にわたる水平の弧を完全に照らす白燈であつて、その射光が正船首方向から各げん正横後22.5度までの間を照らすように船舶の縦中心線上に設置したものをいう。
(b)「げん燈」とは、112.5度にわたる水平の弧を完全に照らす右げん側の緑燈又は左げん側の紅燈であつて、それぞれその射光が正船首方向から右げん正横後22.5度までの間又は正船首方向から左げん正横後22.5度までの間を照らすように設置したものをいう。長さ20メートル未満の船舶は、これらのげん燈を結合して一の燈火とし、船舶の縦中心線上に設置することができる。
(c)「船尾燈」とは、135度にわたる水平の弧を完全に照らす白燈であつて、その射光が正船尾方向から各げん67.5度までの間を照らすように実行可能な限り船尾近くに設置したものをいう。
(d)「引き船燈」とは、(c)に定義する船尾燈と同じ特性を有する黄燈をいう。
(e)「全周燈」とは、360度にわたる水平の弧を完全に照らす燈火をいう。
(f)「せん光燈」とは、一定の間隔で毎分120回以上のせん光を発する燈火をいう。
(燈火の視認距離)
第22条 この規則に定める燈火は、少なくとも次の視認距離を有するように附属書I8に定める光度を有するものでなければならない。
(a)長さ50メートル以上の船舶の場合
マスト燈6海里
げん燈3海里
船尾燈3海里
引き船燈3海里
白色、紅色、緑色又は黄色の全周燈3海里

(b)長さ12メートル以上50メートル未満の船舶の場合
マスト燈5海里
(長さ20メートル未満の船舶にあつては、3海里)
げん燈2海里
船尾燈2海里
引き船燈2海里
白色、紅色、緑色又は黄色の全周燈2海里

(c)長さ12メートル未満の船舶の場合
マスト燈2海里
げん燈1海里
船尾燈2海里
引き船燈2海里
白色、紅色、緑色又は黄色の全周燈2海里
(航行中の動力船)
第23条  
(a)航行中の動力船は、次の燈火を表示しなければならない。
(i)前部にマスト燈1個
(ii)(i)に定めるマスト燈よりも後方かつ高い位置に第二のマスト燈1個。ただし、長さ50メートル未満の船舶は、第二のマスト燈を表示することを要しない。
(iii)げん燈一対
(iv)船尾燈1個
(b)無排水量状態のエアクッション船は、(a)に定める燈火のほか、黄色の全周燈であるせん光燈1個を表示しなければならない。
(c)長さ7メートル未満の動力船で最大速力が7ノットを超えないものは、(a)に定める燈火に代えて白色の全周燈1個を表示することができるものとし、この場合において実行可能なときは、げん燈一対を表示しなければならない。
(えい航及び押航)
第24条  
(a)えい航している動力船は、次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)前条(a)(i)に定める燈火に代えて前部に垂直線上にマスト燈2個。引いている船舶の船尾から引かれている物件の後端までの長さが200メートルを超える場合には、前部に垂直線上にマスト燈3個
(ii)げん燈一対
(iii)船尾燈1個
(iv)船尾燈の垂直線上の上方に引き船燈1個
(v)(i)に規定する長さが200メートルを超える場合には、最も見えやすい場所にひし形の形象物1個
(b)押している船舶と船首方向に押されている船舶とが結合して一体となつている場合には、当該二隻の船舶は、一隻の動力船とみなし、前条に定める燈火を表示しなければならない。
(c)物件を船首方向に押し又は接げんして引いている動力船は、結合して一体となつている場合を除くほか、次の燈火を表示しなければならない。
(i)前条(a)(i)に定める燈火に代えて前部に垂直線上にマスト燈2個
(ii)げん燈一対
(iii)船尾燈1個
(d)(a)及び(c)の規定が適用される動力船は、前条(a)(ii)の規定についても従わなければならない。
(e)引かれている船舶その他の物件は、次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)げん燈一対
(ii)船尾燈1個
(iii)(a)(i)に規定する長さが200メートルを超える場合には、最も見えやすい場所にひし形の形象物1個
(f)船舶は、
(i)船首方向に押されている場合において、押している船舶と結合して一体となつている状態にないときは、前端にげん燈一対を表示しなければならない。
(ii)接げんして引かれている場合には、船尾燈1個及び前端にげん燈一対を表示しなければならない。
 もつとも、二隻以上の船舶が一団となつて接げんして引かれ又は押されている場合には、これらの船舶は、一隻の船舶として燈火を表示しなければならない。
(g)引かれている船舶その他の物件がやむを得ない事由により(e)に定める燈火を表示することができない場合には、当該物件を照明するため又は少なくとも照明されていない当該物件の存在を示すため、すべての可能な措置をとらなければならない。
(航行中の帆船及びろかいを用いている船舶)
第25条  
(a)航行中の帆船は、次の燈火を表示しなければならない。
(i)げん燈一対
(ii)船尾燈1個
(b)長さ12メートル未満の帆船は、(a)に定める燈火を結合して一の燈火とし、マストの最上部又はその付近の最も見えやすい場所に設置することができる。
(c)航行中の帆船は、(a)に定める燈火のほか、マストの最上部又はその付近の最も見えやすい場所に、紅色の全周燈1個及びその下方に緑色の全周燈1個を垂直線上に表示することができる。ただし、これらの燈火は、(b)に定める燈火とともに表示してはならない。
(d) 
(i)長さ7メートル未満の帆船は、実行可能な場合には、(a)又は(b)に定める燈火を表示しなければならない。ただし、これらの燈火を表示しない場合には、白色の携帯電燈又は点火した白燈を、直ちに使用することができるように備えておかなければならず、また、衝突を防ぐために十分な時間、表示しなければならない。
(ii)ろかいを用いている船舶は、この条に定める帆船の燈火を表示することができる。ただし、当該燈火を表示しない場合には、白色の携帯電燈又は点火した白燈を、直ちに使用することができるように備えておかなければならず、また、衝突を防ぐために十分な時間、表示しなければならない。
(e)帆を用いて進行している船舶であつて同時に推進機関を用いて推進しているものは、その前部の最も見えやすい場所に、円すい形の形象物1個を頂点を下にして表示しなければならない。
(漁船)
第26条  
(a)漁ろうに従事している船舶は、航行中及びびよう泊中において、この条に定める燈火又は形象物のみを表示しなければならない。
(b)トロール(けた網その他の漁具を水中で引くことにより行う漁法をいう。)により漁ろうに従事している船舶は、次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)垂直線上に、緑色の全周燈1個及びその下方に白色の全周燈1個又は垂直線上に2個の円すい形の形象物をこれらの頂点で上下に結合した形象物1個。ただし、長さ20メートル未満の船舶は、この形象物に代えてかご1個を表示することができる。
(ii)(i)に定める緑色の全周燈よりも後方かつ高い位置にマスト燈1個。ただし、長さ50メートル未満の船舶は、この燈火を表示することを要しない。
(iii)対水速力を有する場合には、(i)及び(ii)に定める燈火のほか、げん燈一対及び船尾燈1個
(c)トロール以外の漁法により漁ろうに従事している船舶は、次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)垂直線上に、紅色の全周燈1個及びその下方に白色の全周燈1個又は垂直線上に2個の円すい形の形象物をこれらの頂点で上下に結合した形象物1個。ただし、長さ20メートル未満の船舶は、この形象物に代えてかご1個を表示することができる。
(ii)漁具を水平距離150メートルを超えて船外に出している場合には、漁具を出している方向に白色の全周燈1個又は頂点を上にした円すい形の形象物1個
(iii)対水速力を有する場合には、(i)及び(ii)に定める燈火のほか、げん燈一対及び船尾燈1個
(d)漁ろうに従事している船舶は、他の漁ろうに従事している船舶と著しく近接している場合には、附属書IIに定める追加の信号を表示することができる。
(e)漁船は、漁ろうに従事していない場合には、この条に定める燈火又は形象物を表示してはならず、当該漁船の長さと等しい長さの他の船舶について定められた燈火又は形象物を表示しなければならない。
(運転が自由でない状態にある船舶及び操縦性能が制限されている船舶)
第27条  
(a)運転が自由でない状態にある船舶は、次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)最も見えやすい場所に垂直線上に紅色の全周燈2個
(ii)最も見えやすい場所に垂直線上に、球形の形象物又はこれに類似した形象物2個
(iii)対水速力を有する場合には、(i)に定める燈火のほか、げん燈一対及び船尾燈1個
(b)掃海作業に従事している船舶以外の船舶で操縦性能が制限されているものは、次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)最も見えやすい場所に垂直線上に、白色の全周燈1個及びその上下にそれぞれ紅色の全周燈1個
(ii)最も見えやすい場所に垂直線上に、ひし形の形象物1個及びその上下にそれぞれ球形の形象物1個
(iii)対水速力を有する場合には、(i)に定める燈火のほか、マスト燈1個又は2個、げん燈一対及び船尾燈1個
(iv)びよう泊中においては、(i)又は(ii)に定める燈火又は形象物のほか、第30条に定める燈火又は形象物
(c)進路から離れることができなくなるようなえい航作業に従事している船舶は、(b)(i)又は(ii)に定める燈火又は形象物のほか、第24条(a)に定める燈火又は形象物を表示しなければならない。
(d)しゆんせつ又は水中作業に従事している操縦性能が制限されている船舶は、(b)に定める燈火又は形象物のほか、障害物がある場合には、次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)障害物がある側のげんを示すために、垂直線上に紅色の全周燈2個又は球形の形象物2個
(ii)他の船舶が通航することができる側のげんを示すために、垂直線上に緑色の全周燈2個又はひし形の形象物2個
(iii)対水速力を有する場合には、(i)及び(ii)に定める燈火のほか、マスト燈1個又は2個、げん燈一対及び船尾燈1個
(iv)びよう泊中においては、第30条に定める燈火又は形象物に代えて(i)及び(ii)に定める燈火又は形象物
(e)潜水作業に従事している船舶は、その船舶の大きさのため(d)に定める形象物を表示することができない場合には、国際信号書に規定する「A」旗を示す信号板を1メートル以上の高さに周囲から視認することができるように表示しなければならない。
(f)掃海作業に従事している船舶は、第23条に定める動力船の燈火のほか、緑色の全周燈3個又は球形の形象物3個を表示しなければならない。これらの燈火又は形象物のいずれか1個は、前部マストの最上部又はその付近に表示しなければならず、残りの燈火又は形象物は、当該前部マストのヤードの両端に表示しなければならない。これらの燈火又は形象物は、他の船舶が掃海作業に従事している船舶の後方1,000メートル又は両側方500メートルよりも近くに接近することが危険であることを示す。
(g)長さ7メートル未満の船舶は、この条に定める燈火を表示することを要しない。
(h)この条に定める信号は、船舶が遭難して救助を求めるための信号ではない。遭難信号は、附属書IVに定める。
(喫水による制約を受けている船舶)
第28条 喫水による制約を受けている船舶は、第23条に定める動力船の燈火のほか、最も見えやすい場所に、垂直線上に紅色の全周燈3個又は円筒形の形象物1個を表示することができる。
(水先船)
第29条  
(a)水先業務に従事している船舶は、次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)マストの最上部又はその付近に垂直線上に、白色の全周燈1個及びその下方に紅色の全周燈1個
(ii)航行中においては、(i)に定める燈火のほか、げん燈一対及び船尾燈1個
(iii)びよう泊中においては、(i)に定める燈火のほか、びよう泊燈1個若しくは2個又はびよう泊中であることを示す形象物1個
(b)水先船は、水先業務に従事していない場合には、当該水先船の長さと等しい長さの同種の船舶について定められた燈火又は形象物を表示しなければならない。
(びよう泊している船舶及び乗り揚げている船舶)
第30条  
(a)びよう泊している船舶は、最も見えやすい場所に次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)前部に、白色の全周燈1個又は球形の形象物1個
(ii)船尾又はその付近に、(i)に定める燈火よりも低い位置に白色の全周燈1個
(b)長さ50メートル未満の船舶は、(a)に定める燈火に代えて最も見えやすい場所に白色の全周燈を1個を表示することができる。
(c)びよう泊している船舶は、また、甲板を照明するため作業燈又はこれに類似した燈火を使用することができるものとし、当該船舶の長さが100メートル以上である場合には、甲板を照明するため作業燈又はこれに類似した燈火を使用しなければならない。
(d)乗り揚げている船舶は、(a)又は(b)に定める燈火を表示するものとし、更に、最も見えやすい場所に次の燈火又は形象物を表示しなければならない。
(i)垂直線上に紅色の全周燈2個
(ii)垂直線上に球形の形象物3個
(e)長さ7メートル未満の船舶は、狭い水道、航路筋若しくはびよう地若しくはそれらの付近又は他の船舶が通常航行する水域においてびよう泊し又は乗り揚げている場合を除くほか、(a)、(b)又は(d)に定める燈火又は形象物を表示することを要しない。
(水上航空機)
第31条 水上航空機は、この部に定める特性を有する燈火又は形象物をこの部に定める位置に表示することができない場合には、特性又は位置についてできる限りこの部の規定に準じて燈火又は形象物を表示しなければならない。
D部 音響信号及び発光信号
(定義)
第32条  
(a)「汽笛」とは、この規則に定める吹鳴を発することができる音響信号装置であつて、附属書IIIに定める基準に適合するものをいう。
(b)「短音」とは、約1秒間継続する吹鳴をいう。
(c)「長音」とは、4秒以上6秒以下の時間継続する吹鳴をいう。
(音響信号設備)
第33条  
(a)長さ12メートル以上の船舶は、汽笛及び号鐘を備えなければならない。長さ100メートル以上の船舶は、汽笛及び号鐘のほか、この号鐘と混同されることがない音調を有するどらを備えなければならない。汽笛、号鐘及びどらは、附属書IIIに定める基準に適合するものでなければならない。号鐘又はどらは、それぞれ号鐘又はどらと同様の音響特性を有する他の設備に代えることができるものとし、この場合において、当該他の設備は、この規則に定める信号を常に手動で行うことができるものでなければならない。
(b)長さ12メートル未満の船舶は、(a)の音響信号設備を備えることを要しない。もつとも、当該船舶は、その音響信号設備を備えない場合には、有効な音響による信号を行うことができる他の手段を備えなければならない。
(操船信号及び警告信号)
第34条  
(a)船舶が互いに他の船舶の視野の内にある場合において、航行中の動力船がこの規則の規定により認められ又は必要とされる操縦を行つているときは、当該動力船は、汽笛を用いて次の信号を行わなければならない。
針路を右に転じているときは、短音1回
針路を左に転じているときは、短音2回
推進機関を後進にかけているときは、短音3回
(b)動力船は、(a)の操縦を行つている場合には、次の(i)から(iii)までの規定による発光信号を必要に応じ反復して行うことにより、(a)に定める汽笛信号を補うことができる。
(i)発光信号の種類は、次のとおりとする。
針路を右に転じているときは、せん光1回
針路を左に転じているときは、せん光2回
推進機関を後進にかけているときは、せん光3回
(ii)せん光の継続時間及びせん光とせん光との間隔は、約1秒とする。信号を反復して行う場合の信号間の間隔は、10秒以上とする。
(iii)信号に使用する燈火は、少なくとも5海里の視認距離を有する白色の全周燈であつて附属書Iの規定に適合するものでなければならない。
(c)狭い水道又は航路筋において船舶が互いに他の船舶の視野の内にある場合には、
(i)他の船舶を追い越そうとする船舶は、第9条(e)(i)の規定に従い、汽笛を用いて次の信号を行うことによりその意図を示さなければならない。
他の船舶の右げん側を追い越そうとするときは、長音2回に引き続く短音1回
他の船舶の左げん側を追い越そうとするときは、長音2回に引き続く短音2回
(ii)追い越される船舶は、第9条(e)(i)の規定に従い、汽笛を用いて次の信号を行うことにより追い越されることに対する同意を示さなければならない。
順次に長音1回、短音1回、長音1回及び短音1回
(d)互いに他の船舶の視野の内にある船舶が互いに接近する場合において、何らかの事由によりいずれか一の船舶が他の船舶の意図若しくは動作を理解することができないとき又は他の船舶が衝突を避けるために十分な動作をとつているかどうか疑わしいときは、当該一の船舶は、汽笛を用いて少なくとも5回の短音を急速に鳴らすことにより、その疑問を直ちに示さなければならない。この信号は、少なくとも5回のせん光を急速に発する発光信号によつて補うことができる。
(e)水道又は航路筋において、障害物のために他の船舶を見ることができないわん曲部その他の水域に接近する船舶は、長音1回を鳴らさなければならない。当該船舶に接近するいかなる船舶も、この信号をわん曲部の付近又は障害物の背後において聞いた場合には、長音1回を鳴らして応答しなければならない。
(f)船舶は、その一の汽笛が他の汽笛から100メートルを超える距離に設置されている場合において操船信号又は警告信号を行うときは、これらの汽笛のうちいずれか一の汽笛のほか使用してはならない。
(視界が制限されている状態における音響信号)
第35条 この条に定める信号は、視界が制限されている状態にある水域又はその付近において、昼間であるか夜間であるかを問わず、次のとおり行わなければならない。
(a)航行中の動力船は、対水速力を有する場合には、2分を超えない間隔で長音1回を鳴らさなければならない。
(b)航行中の動力船は、対水速力を有しない場合には、約2秒の間隔の2回の長音を2分を超えない間隔で鳴らさなければならない。
(c)運転が自由でない状態にある船舶、操縦性能が制限されている船舶、喫水による制約を受けている船舶、帆船、漁ろうに従事している船舶又は他の船舶を引き若しくは押している船舶は、(a)又は(b)に定める信号に代えて、2分を超えない間隔で、長音1回に引き続く短音2回を鳴らさなければならない。
(d)引かれている船舶(二隻以上ある場合には、最後部の船舶)は、乗組員がいる場合には、2分を超えない間隔で、長音1回に引き続く短音3回を鳴らさなければならない。この信号は、実行可能な場合には、引いている船舶が行う信号の直後に行わなければならない。
(e)押している船舶と船首方向に押されている船舶とが結合して一体となつている場合には、当該二隻の船舶は、一隻の動力船とみなし、(a)又は(b)に定める信号を行わなければならない。
(f)びよう泊している船舶は、1分を超えない間隔で、号鐘を約5秒間急速に鳴らさなければならない。当該船舶は、その長さが100メートル以上である場合には、この信号を前部において行い、かつ、その直後に後部においてどらを約5秒間急速に鳴らさなければならない。当該船舶は、更に、接近してくる他の船舶に対し自船の位置及び衝突の可能性を警告するため、順次に、短音1回、長音1回及び短音1回を鳴らすことができる。
(g)乗り揚げている船舶は、(f)の規定に従つて、号鐘による信号及び必要な場合にはどらによる信号を行い、更に、号鐘によるその信号の直前及び直後に、号鐘を明確に3回点打しなければならない。当該船舶は、更に、適当な汽笛信号を行うことができる。
(h)長さ12メートル未満の船舶は、(a)から(g)までに定める信号を行うことを要しない。もつとも、当該船舶は、これらの信号を行わない場合には、2分を超えない間隔で、他の有効な音響による信号を行わなければならない。
(i)水先業務に従事している水先船は、(a)、(b)又は(f)に定める信号のほか、短音4回の識別信号を行うことができる。
(注意喚起信号)
第36条 船舶は、他の船舶の注意を喚起するため必要と認める場合には、この規則に定める信号と誤認されることのない発光信号又は音響信号を行うことができるものとし、他の船舶を眩惑させない方法により危険が存する方向に探照燈を照射することができる。
(遭難信号)
第37条 船舶は、遭難して救助を求める場合には、附属書IVに定める信号を使用し又は表示しなければならない。
E部 免除
(免除)
第38条 船舶は、この規則の効力発生前に、キールが据え付けられている場合又はこれに相当する建造段階にある場合には、1960年の海上における衝突の予防のための国際規則の規定に従うことを条件として、次のとおりこの規則の規定の適用が免除される。
(a)第22条に定める視認距離を有する燈火の設置については、この規則の効力発生の日以後4年間
(b)附属書I7に定める色の基準に適合する燈火の設置については、この規則の効力発生の日以後4年間
(c)フィート単位からメートル単位への変更及び数字の端数整理による燈火の位置の変更については、永久
(d) 
(i)長さ150メートル未満の船舶が附属書I3(a)の規定に従つて行うマスト燈の位置の変更については、永久
(ii)長さ150メートル以上の船舶が附属書I3(a)の規定に従つて行うマスト燈の位置の変更については、この規則の効力発生の日以後9年間
(e)附属書I2(b)の規定に従つて行うマスト燈の位置の変更については、この規則の効力発生の日以後9年間
(f)附属書I2(g)及び3(b)の規定に従つて行うげん燈の位置の変更については、この規則の効力発生の日以後9年間
(g)附属書IIIに定める音響信号装置に関する規定の適用については、この規則の効力発生の日以後9年間
附属書I 燈火及び形象物の位置及び技術基準

1 定義
「船体上の高さ」とは、最上層の全通甲板からの高さをいう。
2 燈火の垂直位置及び垂直間隔
(a)長さ20メートル以上の動力船は、
(i)前部のマスト燈(マスト燈を1個のみ設置する場合には、このマスト燈)を船体上6メートル以上(船舶の幅が6メートルを超える場合には、その幅の長さ以上)の高さの位置に設置しなければならない。ただし、船体上12メートルを超える高さの位置に設置することを要しない。
(ii)マスト燈を2個設置する場合には、後部のマスト燈を前部のマスト燈よりも少なくとも4.5メートル上方の位置に設置しなければならない。
(b)動力船のマスト燈の垂直間隔は、すべての通常のトリムの状態において船首から1,000メートル離れた海面から見た場合には、後部のマスト燈が前部のマスト燈の上方にかつこれと分離して見えるようなものでなければならない。
(c)長さ12メートル以上20メートル未満の動力船は、マスト燈をげん縁上2.5メートル以上の高さの位置に設置しなければならない。
(d)長さ12メートル未満の動力船は、最も上方の燈火をげん縁上2.5メートル未満の高さの位置に設置することができる。ただし、げん燈及び船尾燈のほかにマスト燈を設置する場合には、そのマスト燈をげん燈よりも少なくとも1メートル上方の位置に設置しなければならない。
(e)他の船舶を引き又は押している動力船について定められた2個又は3個のマスト燈のうちいずれか1個は、動力船の前部のマスト燈の位置と同一の位置に設置しなければならない。
(f)マスト燈は、あらゆる場合において、他のすべての燈火及び障害物の上方にかつこれらによつて妨げられないような位置に設置しなければならない。
(g)動力船は、げん燈を前部のマスト燈の船体上の高さの4分の3以下の船体上の高さの位置に設置しなければならず、甲板燈によつて妨げられるような低い位置に設置してはならない。
(h)長さ20メートル未満の動力船は、げん燈を結合して一の燈火として設置する場合には、当該燈火をマスト燈よりも1メートル以上下方の位置に設置しなければならない。
(i)規則が2個又は3個の燈火を垂直線上に表示することを定めている場合には、
(i)長さ20メートル以上の船舶は、これらの燈火を2メートル以上隔てて設置しなければならず、また、最も下方の燈火(引き船燈が要求されている場合におけるその下方の燈火を除く。)を船体上4メートル以上の高さの位置に設置しなければならない。
(ii)長さ20メートル未満の船舶は、これらの燈火を1メートル以上隔てて設置しなければならず、また、最も下方の燈火(引き船燈が要求されている場合におけるその下方の燈火を除く。)をげん縁上2メートル以上の高さの位置に設置しなければならない。
(iii)3個の燈火の間隔は、等しくなければならない。
(j)漁ろうに従事している船舶について定められた垂直線上の2個の全周燈のうち下方のものは、げん燈よりも上方に当該2個の全周燈の間隔の2倍以上の高さの位置に設置しなければならない。
(k)船舶は、びよう泊燈2個を設置する場合には、前部のびよう泊燈を後部のびよう泊燈よりも4.5メートル以上上方の位置に設置しなければならない。長さ50メートル以上の船舶は、前部のびよう泊燈を船体上6メートル以上の高さの位置に設置しなければならない。
3 燈火の水平位置及び水平間隔
(a)動力船が2個のマスト燈を設置する場合には、これらのマスト燈の間の水平距離は、当該動力船の長さの2分の1以上でなければならないが、100メートルを超えることを要しない。前部の燈火は、船首から船舶の長さの4分の1以内の位置に設置しなければならない。
(b)長さ20メートル以上の船舶は、げん燈を前部のマスト燈の前方に設置してはならず、げん側又はその付近に設置しなければならない。
4 漁船、しゆんせつ船及び水中作業に従事している船舶の方向指示燈の位置
(a)漁ろうに従事している船舶から船外に出している漁具の方向を示す燈火(規則第26条(c)(ii)に定めるもの)は、紅色の全周燈及び白色の全周燈から水平距離2メートル以上6メートル以下の位置に設置しなければならず、また、規則第26条(c)(i)に定める白色の全周燈よりも高くなく、かつ、げん燈よりも低くない位置に設置しなければならない。
(b)しゆんせつ又は水中作業に従事している船舶の燈火又は形象物であつて、障害物がある側のげん又は安全に通航することができる側のげんを示すもの(規則第27条(d)(i)及び(ii)に定める燈火又は形象物)は、規則第27条(b)(i)又は(ii)に定める燈火又は形象物から実行可能な最大限度まで水平距離を長くして設置しなければならず、いかなる場合においても、その距離は、2メートル未満であつてはならない。同条(d)(i)及び(ii)に定める燈火又は形象物のうち上方のものは、いかなる場合においても、同条(b)(i)又は(ii)に定める3個の燈火又は形象物のうち最も下方のものよりも高い位置に設置してはならない。
5 げん燈の隔板
 げん燈は、つや消し黒色の塗装を施した内側隔板を取り付けなければならず、また、9に定める要件に適合するものでなければならない。ただし、結合して一の燈火としたげん燈は、単一の垂直フィラメントを使用しており、かつ、その緑色の部分と紅色の部分との間に非常に狭い仕切りがある場合には、その外部に隔板を取り付けることを要しない。
6 形象物
(a)形象物は、黒色のものでなければならず、また、
(i)球形のものである場合には、直径が0.6メートル以上のものでなければならない。
(ii)円すい形のものである場合には、底の直径が0.6メートル以上であり、かつ、高さがその直径に等しいものでなければならない。
(iii)円筒形のものである場合には、直径が0.6メートル以上であり、かつ、高さが直径の2倍のものでなければならない。
(iv)ひし形のものである場合には、(ii)に定める円すい形の形象物2個を互いにその底で上下に結合したものでなければならない。
(b)形象物の間の垂直距離は、1.5メートル以上でなければならない。
(c)長さ20メートル未満の船舶は、(a)に定める形象物よりも小さいが当該船舶の大きさに適した形象物を用いることができるものとし、また、それに応じて、これらの形象物の間の垂直距離を(b)に定める垂直距離よりも減ずることができる。
7 燈火の色の基準
 すべての航海燈の色度は、間際照明委員会(CIE)の色度図のそれぞれの色に対応する領域内になければならない。それぞれの色に対応する領域の境界は、次の直角座標によつて示される。
(i)白色
0.5250.5250.4520.310
0.3820.4400.4400.348
0.3100.443  
0.2830.382  

(ii)緑色
0.0280.0090.3000.203
0.3850.7230.5110.356

(iii)紅色
0.6800.6600.7350.721
0.3200.3200.2650.259

(iv)黄色
0.6120.6180.5750.575
0.3820.3820.4250.406

8 燈火の光度
(a)燈火の最小限度の光度は,次の公式を用いて計算しなければならない。
I=3.43×10×T×D×K−D
Iは、通常使用する状態における光度とし、カンデラで表す。
Tは、閾値とし、2×10-7ルックスとする。
Dは、燈火の視認距離(光達距離)とし、海里で表す。
Kは、大気の透過率とし、気象学的視程約13海里に相当する0.8とする。
(b)公式から求められた数値は、次の表に掲げるとおりである。
燈火の視認距離(光達距離)D(海里)燈火の光度(Kを0.8とした場合)I(カンデラ)
0.9
4.3
12
27
52
94
注 航海燈の最大限度の光度は、過度にまぶしくならないように制限しなければならない。
9 水平射光範囲
(a) 
(i)船舶に設置したげん燈は、前方方向において、必要な最小限度の光度を示さなければならない。げん燈の光度は、定められた射光範囲の外側1度から3度までの間において実際上その光がしや断されるように減じなければならない。
(ii)船尾燈、マスト燈及び正横後22.5度の方向におけるげん燈は、必要な最小限度の光度を規則第21条に定める射光範囲の内側5度に至るまでの水平の弧にわたつて維持しなければならない。これらの燈火の光度は、その射光範囲の内側5度からその射光範囲の境界に至るまでの間においては、50パーセントまで減ずることができるものとし、また、その射光範囲の外側5度以内において実際上これらの光がしや断されるように確実に減じなければならない。
(b)全周燈は、6度を超える角度の射光範囲がマスト、トップマスト又は構造物によつて妨げられないような位置に設置しなければならない。ただし、びよう泊燈は、実行に適さない船体上の高さの位置に設置することを要しない。
10 垂直射光範囲
(a)電気式燈火(帆船の燈火を除く。)は、
(i)必要な最小限度の光度を水平面に対して上下にそれぞれ5度の間において維持しなければならない。
(ii)必要な最小限度の光度の少なくとも60パーセントを水平面に対して上下にそれぞれ7.5度の間において維持しなければならない。
(b)帆船の電気式燈火は、
(i)必要な最小限度の光度を水平面に対して上下にそれぞれ5度の間において維持しなければならない。
(ii)必要な最小限度の光度の少なくとも50パーセントを水平面に対して上下にそれぞれ25度の間において維持しなければならない。
(c)電気式燈火以外の燈火は、(a)又は(b)に定める基準にできる限り適合するものでなければならない。
11 電気式燈火以外の燈火の光度
 電気式燈火以外の燈火は、8の表に掲げる最小限度の光度を実行可能な限り遵守しなければならない。
12 操船信号燈
 2(f)の規定にかかわらず、規則第34条(b)に定める操船信号燈は、マスト燈と同一の船首尾垂直面に設置しなければならず、また、実行可能な限り前部のマスト燈よりも上方に垂直距離2メートル以上の高さの位置に設置しなければならないが、この場合において、後部のマスト燈よりも上方又は下方に垂直距離2メートル未満の高さの位置に設置してはならない。マスト燈を1個のみ設置する船舶は、操船信号燈を設置する場合には、マスト燈から垂直距離2メートル以上離れた最も見えやすい高さの位置に設置しなければならない。
13 承認
 燈火及び形象物の構造並びに船舶への燈火の設置については、当該船舶が登録されている国の権限のある当局が十分であると認めるものでなければならない。
附属書II 著しく近接して漁ろうに従事している船舶の追加の信号

1 総則
 この附属書IIに定める燈火は、規則第26条(d)の規定に基づいて表示する場合には、最も見えやすい場所に設置しなければならない。これらの燈火は、相互に0.9メートル以上隔てて、同条(b)(i)又は(c)(i)に定める燈火よりも低い位置に設置しなければならず、また、少なくとも1海里離れた周囲から視認することができるものであつて、かつ、その視認距離が漁ろうに従事している船舶について定められた燈火の視認距離よりも短いものでなければならない。
2 トロール漁船の信号
(a)トロールにより漁ろうに従事している船舶は、深海用の漁具を使用しているか遠洋用の漁具を使用しているかを問わず、次の燈火を表示することができる。
(i)投網を行つている場合には、垂直線上に白色の燈火2個
(ii)揚網を行つている場合には、垂直線上に、白色の燈火1個及びその下方に紅色の燈火1個
(iii)網が障害物に絡み付いている場合には、垂直線上に紅色の燈火2個
(b)二そうびきのトロールにより漁ろうに従事している船舶は、それぞれ、
(i)夜間においては、対をなしている他方の船舶の進行方向を示すように探照燈を照射することができる。
(ii)投網若しくは揚網を行つている場合又は網が障害物に絡み付いている場合には、(a)に定める燈火を表示することができる。
3 きんちやく網漁船の信号
 きんちやく網を用いて漁ろうに従事している船舶は、垂直線上に黄色の燈火2個を表示することができる。これらの燈火は、1秒ごとに交互にせん光を発するものであつて、かつ、それぞれの明間と暗間とが等しいものでなければならない。これらの燈火は、船舶が漁具により操縦性能を制限されている場合以外の場合には、表示してはならない。
附属書III 音響信号装置の技術基準

1 汽笛
(a)周波数及び可聴距離
 信号音の基本周波数は、70ヘルツから700ヘルツまでの範囲内とする。信号音の汽笛からの可聴距離は、180ヘルツから700ヘルツまで(正負1パーセント)の周波数(基本周波数又はその倍音を含む。)であつて、(c)に定める音圧を与えるものによつて決定しなければならない。
(b)基本周波数の範囲
 汽笛音の特性の多様性を確保するため、汽笛音の基本周波数は、次の範囲内のものでなければならない。
(i)長さ200メートル以上の船舶の場合には、70ヘルツから200ヘルツまで
(ii)長さ75メートル以上200メートル未満の船舶の場合には、130ヘルツから350ヘルツまで
(iii)長さ75メートル未満の船舶の場合には、250ヘルツから700ヘルツまで
(c)音響信号の音の強さ及び可聴距離
 船舶に設置される汽笛は、180ヘルツから700ヘルツまで(正負1パーセント)の範囲内に中心周波数を有する3分の1オクターブバンドのうちのいずれか一により測定した場合に、信号音の最も強い方向に、かつ、汽笛からの距離が1メートルの位置において、少なくとも次の表に掲げる値の音圧を有しなければならない。
T1
船舶の長さ(メートル)距離1メートルにおいて3分の1オクターブバンドにより測定した音圧(デシベル(2×10-5N/mを基準とする。))可聴距離(海里)
200以上143
75以上200未満1381.5
20以上75未満130
20未満1200.5
B
 この表に掲げる可聴距離は、参考のためのものである。この可聴距離は、汽笛の前方において、かつ、平均的な暗騒音(250ヘルツを中心周波数とするオクターブバンドの場合には68デシベル及び500ヘルツを中心周波数とするオクターブバンドの場合には63デシベル)を有する他の船舶の聴取場所において、無風状態で90パーセントの確率で聞くことができる距離におおむね相当する。
 汽笛音の聞こえる距離は、実際上、非常に変化しやすく、かつ、気象状況に強く影響される。この表に掲げる可聴距離の値は、標準値であるが、聴取場所が強風下にあり又はその周囲の騒音が激しい場合には、可聴距離が著しく短くなることがある。
(d)指向特性
 指向性を有する汽笛の音の音圧は、軸を含む水平面におけるその軸から左右45度以内のあらゆる方向において、軸方向の音圧よりも4デシベルを超えて減少してはならず、また、軸を含む水平面における他のあらゆる方向において、その汽笛音の可聴距離が軸方向の2分の1未満とならないように軸方向の音圧よりも10デシペルを超えて減少してはならない。その音圧は、可聴距離を決定する3分の1オクターブバンドによつて測定しなければならない。
(e)汽笛の位置
 指向性を有する汽笛は、船舶において唯一の汽笛として用いられる場合には、正船首方向の音圧が最も強くなるように設置しなければならない。
 汽笛は、発せられた音が障害物によつて妨害されないように、また、乗組員の聴覚の障害のおそれがないように実行可能な限り高く設置しなければならない。自船の信号音の音圧は、その聴取場所において、110デシベル(A)を超えてはならず、また、実行可能な限り100デシベル(A)を超えないようにしなければならない。
(f)二以上の汽笛の設置
 一の汽笛が他の汽笛から100メートルを超える距離に設置されている場合には、これらが同時に吹鳴を発しないようにしておかなければならない。
(g)複合汽笛装置
 障書物の存在のため、一の汽笛又は(f)に規定する汽笛のうちいずれか一の汽笛の音の音圧が大幅に減少する区域が生ずるおそれのある場合には、音圧の減少を避けるために複合汽笛装置を設置することが勧奨される。規則の適用上、複合汽笛装置は、単一の汽笛とみなす。複合汽笛装置の汽笛は、これらの汽笛の間の距離を100メートル以下として、かつ、同時に音響を発するように設置しなければならない。複合汽笛装置の一の汽笛の音の周波数と他の汽笛の音の周波数との差は、10ヘルツ以上でなければならない。
2 号鐘又はどら
(a)信号音の強さ
 号鐘若しくはどら又はこれらと同様の音響特性を有するその他の設備は、1メートル離れた位置で測定した場合において、110デシベル以上の音圧の音を発するものでなければならない。
(b)構造
 号鐘及びどらは、耐食性の材料を用い、かつ、澄んだ音色を発するように設計されたものでなければならない。号鐘の呼び径は、長さ20メートルを超える船舶の場合には、300ミリメートル以上でなければならず、長さ12メートル以上20メートル以下の船舶の場合には、200ミリメートル以上でなければならない。動力式の号鐘の打子は、実行可能な場合には、一定の力で打つことができるものであることが勧奨されるが、手動操作が可能なものでなければならない。号鐘の打子の質量は、号鐘の質量の3パーセント以上でなければならない。
3 承認
 音響信号装直の構造、性能及び船舶への設置については、当該船舶が登録されている国の権限のある当局が十分であると認めるものでなければならない。
附属書IV 遭難信号

1 次の信号は、同時に又は個別に使用し又は表示することにより、遭難して救助を必要とすることを示すものとする。
(a)約1分の間隔で行う1回の発砲その他の爆発による信号
(b)霧中信号器による連続音響の信号
(c)短時間の間隔で発射され、赤色の星火を発するロケット又はりゆう弾による信号
(d)無線電信その他の信号方法によるモールス符号の「   −−−   」(SOS)の信号
(e)無線電話による「メーデー」という語の信号
(f)国際信号書に規定する「N」旗及び「C」旗によつて示される遭難信号
(g)方形旗であつて、その上方又は下方に球又はこれに類似するものが1個付いたものの信号
(h)船舶上の火炎(タールおけ、油たる等の燃焼によるもの)による信号
(i)落下さんの付いた赤色の炎火ロケット又は赤色の手持炎火による信号
(j)オレンジ色の煙を発する発煙信号
(k)左右に伸ばした腕を繰り返しゆつくり上下させる信号
(l)無線電信による警急信号
(m)無線電話による警急信号
(n)非常用の位置指示無線標識による信号
2 遭難して救助を必要とすることを示す目的以外の目的に1の信号を使用し又は表示すること及びこの信号と混同されることがある他の信号を使用することは、禁止される。
3 国際信号書の関連事項、船舶捜索救助便覧及び次の信号に注意が払われるものとする。
(a)空からの識別のために、黒色の方形及び円又は他の適当な表象のいずれかを施したオレンジ色の帆布
(b)染料標識

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