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1967年7月14日にストックホルムで署名された世界知的所有権機関を設立する条約

【目次】
  昭和50・3・6・条約  1号  
改正昭和60     外務省告示181号  


締約国は、
 各国の主権及び平等の尊重を基礎として、相互の利益のため、諸国間のよりよき理解及び協力に貢献することを希望し、
 創作活動を助長するため、全世界にわたつて知的所有権の保護を促進することを希望し、
 工業所有権の保護並びに文学的及び美術的著作物の保護の分野において設立された各同盟の独立性を十分に尊重しつつ、これらの同盟の管理を近代化しかつ一層効果的なものとすることを希望して、
 次のとおり協定する。
 
第1条 機関の設立
 この条約により世界知的所有権機関を設立する。
 
第2条 定義
この条約の適用上、
i.「機関」とは、世界知的所有権機関(WIPO)をいう。
ii.「国際事務局」とは、知的所有権国際事務局をいう。
iii.「パリ条約」とは、1883年3月20日に署名された工業所有権の保護に関する条約及びその改正条約をいう。
iv.「ベルヌ条約」とは、1886年9月9日に署名された文学的及び実術的著作物の保護に関する条約及びその改正条約をいう。
v.「パリ同盟」とは、パリ条約によつて設立された国際同盟をいう。
vi.「ベルヌ同盟」とは、ベルヌ条約によつて設立された国際同盟をいう。
vii.「同盟」とは、パリ同盟、パリ同盟に関連して作られた特別の同盟及び協定、ベルヌ同盟並びに知的所有権の保護の促進を目的とする他の国際協定であつて機関が第4条(iii)の規定に基づきその管理を引き受けるものをいう。
viii.「知的所有権」とは、
文芸、美術及び学術の著作物
実演家の実演、レコード及び放送
人間の活動のすべての分野における発明科学的発見
意匠
商標、サービス・マーク及び商号その他の商業上の表示、不正競争に対する保護
に関する権利並びに産業、学術、文芸又は美術の分野における知的活動から生ずる他のすべての権利をいう。
 
第3条 機関の目的
機関の目的は、次のとおりとする。
i.諸国間の協力により、及び適当な場合には他の国際機関との協力により、全世界にわたつて知的所有権の保護を促進すること。
ii.管理に関する同盟間の協力を確保すること。
 
第4条 任務
前条に定める目的を達成するため、機関は、その適当な内部機関を通じて、各同盟の権限を侵すことなく、
i.全世界にわたつて知的所有権の保護を改善すること及びこの分野における各国の国内法令を調和させることを目的とする措置の採用を促進する。
ii.パリ同盟、パリ同盟に関連して設立された特別の同盟及びベルヌ同盟の管理業務を行う。
iii.知的所有権の保護を促進することを目的とする他の国際協定の管理を引き受けること又はその管理に参加することに同意することができる。
iv.知的所有権の保護を促進することを目的とする国際協定の締結を奨励する。
v.知的所有権の分野において法律に関する技術援助を要請する国に協力する。
vi.知的所有権の保護に関して情報を収集し及び広報活動を行い、この分野における研究を行い及び促進し、並びにその研究の成果を公表する。
vii.知的所有権の国際的保護を容易にするための役務を提供し、また、適当な場合には、この分野における登録業務を行い及びその登録に係る事項を公表する。
viii.その他すべての適当な措置をとる。
 
第5条 加盟国の地位
(1)機関の加盟国の地位は、第2条(vii)に定義する同盟のいずれかに属する国に対して開放される。
(2)機関の加盟国の地位は、いずれの同盟にも属しない国に対しても、次のいずれかのことを条件として開放される。
i.その国が、国際連合、国際連合と連携関係を有する専門機関若しくは国際原子力機関の加盟国であること又は国際司法裁判所規程の当事国であること。
ii.その国が、一般総会によりこの条約の締約国となるよう招請された国であること。
 
第6条 一般総会
(1)
a.いずれかの同盟に属するこの条約の締約国で構成する一般総会を設置する。
b.各国の政府は、一人の代表によつて代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
c.各代表団の費用は、その代表団を任命した政府が負担する。
(2)一般総会は、次のことを行う。
i.調整委員会の指名に基づいて事務局長を任命すること。
ii.事務局長の機関に関する報告を検討し及び承認し、並びに事務局長に対しすべての必要な指示を与えること。
iii.調整委員会の報告及び活動を検討し及び承認し、並びに調整委員会に対し指示を与えること。
iv.同盟共通経費の2年予算を採択すること。
v.第4条(iii)に規定する国際協定の管理に関して事務局長が提案する措置を承認すること。
vi.機関の財政規則を採択すること。
vii.国際連合の慣行を考慮して事務局の業務用語を決定すること。
viii.前条(2)(ii)の国に対しこの条約の締約国となるよう招請すること。
ix.機関の加盟国でない国並びに政府間機関及び国際的な非政府機関で一般総会の会合にオブザーバーとして出席することを認められるものを決定すること。
x.その他この条約に基づく必要な任務を遂行すること。
(3)
a.各国は、一の同盟に属するか2以上の同盟に属するかを問わず、一般総会において一の票を有する。
b.一般総会の構成国の2分の1をもつて定足数とする。
c.一般総会は、(b)の規定にかかわらず、いずれの会期においても、代表を出した国の数が一般総会の構成国の2分の1に満たないが3分の1以上である場合には、決定を行うことができる。ただし、その決定は、一般総会の手続に関する決定を除くほか、次の条件が満たされた場合にのみ効力を生ずる。すなわち、国際事務局は、代表を出さなかつた一般総会の構成国に対し、その決定を通知し、その通知の日から3箇月の期間内に賛否又は棄権を書面によつて表明するよう要請する。その期間の満了の時に、賛否又は棄権を表明した国の数が当該会期の定足数の不足を満たすこととなり、かつ、必要とされる多数の賛成がなお存在する場合には、その決定は、効力を生ずる。
d.(e)及び(f)の規定が適用される場合を除くほか、一般総会は、投じられた票の3分の2以上の多数による議決で決定を行う。
e.第4条(iii)に規定する国際協定の管理に関する措置の承認には、投じられた票の4分の3以上の多数による議決を必要とする。
f.国際連合憲章第57条及び第63条の規定に基づく国際連合との協定の承認には、投じられた票の10分の9以上の多数による議決を必要とする。
g.事務局長の任命((2)(i))、国際協定の管理に関して事務局長が提案する措置の承認((2)(v))及び本部の移転(第10条)については、一般総会においてのみでなくパリ同盟の総会及びベルヌ同盟の総会においても、それぞれ必要とされる多数の賛成が得られなければならない。
h.棄権は、投票とみなさない。
i.代表は、一の国のみを代表し、その国の名においてのみ投票することができる。
(4)
a.一般総会は、事務局長の招集により、2年ごとに1回、通常会期として会合する。
b.一般総会は、調整委員会の要請又は一般総会の構成国の4分の1以上の要請があつたときは、事務局長の招集により、臨時会期として会合する。
c.会合は、機関の本部において開催する。
(5)いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国は、一般総会の会合にオブザーバーとして出席することを認められる。
(6)一般総会は、その手続規則を採択する。
 
第7条 締約国会議
(1)
a.この条約の締約国(いずれかの同盟に属するかどうかを問わない。)で構成する締約国会議を設置する。
b.各国の政府は、一人の代表によつて代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
c.各代表団の費用は、その代表団を任命した政府が負担する。
(2)締約国会議は、次のことを行う。
i.同盟の権限及び自主性を尊重しつつ、知的所有権の分野における一般的な事項について討議し及びそのような事項に関して勧告を採択すること。
ii.締約国会議の2年予算を採択すること。
iii.締約国会議の予算の範囲内で、法律に関する技術援助の2年計画を定めること。
iv.第17条に定めるところに従い、この条約の改正を採択すること。
v.機関の加盟国でない国並びに政府間機関及び国際的な非政府機関で締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することを認められるものを決定すること。
vi.その他この条約に基づく必要な任務を遂行すること。
(3)
a.各加盟国は、締約国会議において一の票を有する。
b.加盟国の3分の1をもつて定足数とする。
c.第17条の規定が適用される場合を除くほか、締約国会議は、投じられた票の3分の2以上の多数による議決で決定を行う。
d.いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の分担金の総額は、投票によつて決定するものとし、その投票には、それらの国の代表のみが参加する権利を有する。
e.棄権は、投票とみなさない。
f.代表は、一の国のみを代表し、その国の名においてのみ投票することができる。
(4)
a.締約国会議は、事務局長の招集により、一般総会と同一期間中に同一の場所において、通常会期として会合する。
b.締約国会議は、加盟国の過半数の要請があつたときは、事務局長の招集により、臨時会期として会合する。
(5)締約国会議は、その手続規則を採択する。
 
第8条 調整委員会
(1)
a.この条約の締約国であつて、パリ同盟の執行委員会若しくはベルヌ同盟の執行委員会の構成国であるもの又は双方の執行委員会の構成国であるものから成る調整委員会を設置する。ただし、いずれの執行委員会も、その構成国の数がその執行委員会を選出した総会の構成国の数の4分の1を超える場合には、その執行委員会の構成国の中から、調整委員会の構成国となる国を指定するものとし、その数は、前記の4分の1を超えてはならない。この場合において、その領域内に機関の本部が所在する国は、その4分の1の計算に含めない。
b.調整委員会の各構成国の政府は、一人の代表によつて代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
c.調整委員会が、締約国会議の事業計画、予算若しくは議事日程に直接の関係がある事項又はいずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の権利若しくは義務に影響を及ぼすようなこの条約の改正の提案を審議する場合には、いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の4分の1が、調整委員会の構成国と同一の権利をもつて調整委員会の会合に参加する。会合に参加すべき国は、締約国会議が各通常会期において指定する。
d.各代表団の費用は、その代表団を任命した政府が負担する。
(2)機関が管理業務を行つている他の同盟がその同盟として調整委員会において代表されることを希望する場合には、その代表者は、調整委員会の構成国の中から任命しなければならない。
(3)調整委員会は、次のことを行う。
i.2以上の同盟に又は1若しくは2以上の同盟と機関とに共通の利害関係のあるすべての管理上及び財政上の事項その他の事項について、特に同盟共通経費の予算について、同盟の内部機関、一般総会、締約国会議及び事務局長に助言を与えること。
ii.一般総会の議事日程案を作成すること。
iii.締約国会譲の議事日程案、事業計画案及び予算案を作成すること。
iv.削除
v.事務局長の任期が満了する際に又は事務局長が欠けた場合に、一般総会による事務局長の任命のため、候補者を指名すること。一般総会がその候補者を任命しなかつた場合には、調整委員会は、別の候補者を指名する。この手続は、一般総会が指名された候補者を任命するまで繰り返す。
vi.一般総会の会期から会期までの間に事務局長が欠けた場合に、新事務局長が就任するまでの間について事務局長臨時代理を任命すること。
vii.その他この条約に基づいて調整委員会に与えられる任務を遂行すること。
(4)
a.調整委員会は、事務局長の招集により、毎年1回、通常会期として会合する。調整委員会は、通常、機関の本部において会合する。
b.調整委員会は、事務局長の発意により又は調整委員会の議長若しくはその構成国の4分の1以上の要請に基づき、事務局長の招集により、臨時会期として会合する。
(5)
a.各国は、(1)(a)に規定する執行委員会のいずれか一方の構成国であるか双方の構成国であるかを問わず、調整委員会において一の票を有する。
b.調整委員会の構成国の2分の1をもつて定足数とする。
c.代表は、一の国のみを代表し、その国の名においてのみ投票することができる。
(6)
a.調整委員会は、投じられた票の単純多数による議決で、意見を表明し及び決定を行う。棄権は、投票とみなさない。
b.単純多数の賛成が得られた場合にも、調整委員会の構成国は、投票後直ちに、その投票について次のような方法で特別再計算を行うよう要請することができる。すなわち、2の別個の名簿を作成し、その一方にはパリ同盟の執行委員会の構成国の国名を、他方にはベルヌ同盟の執行委員会の構成国の国名を記載する。各国の票は、その国名を記載した名簿ごとに、その国名に対応して記載する。この特別再計算の結果、それぞれの名簿において単純多数の賛成が得られたことが示されない場合には、その投票に係る提案は、採択されたものとされない。
(7)調整委員会の構成国でない機関の加盟国は、調整委員会の会合にオプザーバーを出席させることができる。オプザーバーは、討議に参加する権利を有するが、投票する権利を有しない。
(8)調整委員会は、その手続規則を採択する。
 
第9条 国際事務局
(1)国際事務局を機関の事務局とする。
(2)国際事務局は、事務局長が指揮するものとし、事務局長は、2人以上の事務局次長の補佐を受ける。
(3)事務局長は、一定の任期をもつて任命されるものとし、その任期は、6年以上とする。事務局長は、一定の任期をもつて引き続き任命されることができる。当初の任期及びその後の任期並びに任命に関するその他のすべての条件は、一般総会が定める。
(4)
a.事務局長は、機関の首席行政官とする。
b.事務局長は、機関を代表する。
c.事務局長は、機関の内部の及び対外的な問題に関し、一般総会に報告を行い、その指示に従う。
(5)事務局長は、事業計画案、予算案及び活動に関する定期報告を作成する。事務局長は、それらを関係国政府並びに同盟及び機関の権限のある内部機関に送付する。
(6)事務局長及びその指名する職員は、一般総会、締約国会議、調整委員会その他委員会又は作業部会のすべての会合に投票権なしで参加する。事務局長又はその指名する職員は、当然にこれらの内部機関の事務局の職務を行う。
(7)事務局長は、国際事務局の任務の効果的な遂行に必要な職員を任命する。事務局長は、調整委員会の承認を得て事務局次長を任命する。雇用条件は、事務局長の提案に基づいて調整委員会が承認する職員規則で定める。職員の採用及び勤務条件の決定に当たつては、最高水準の能率、能力及び誠実を確保することに最大の考慮を払う。できる限り広い地理的基礎に基づいて職員を採用することが重要であることについても、十分な考慮を払う。
(8)事務局長及び職員の責任の性質は、専ら国際的なものである。事務局長及び職員は、その任務の遂行に当たつて、いかなる政府又は機関外のいかなる当局にも指示を求めてはならず、また、その指示を受けてはならない。事務局長及び職員は、国際公務員としての立場を損なうおそれのあるいかなる行動をも差し控えるものとする。各加盟国は、事務局長及び職員の責任の専ら国際的な性質を尊重すること並びにこれらの者に対してその任務の遂行について影響を及ぼそうとしないことを約束する。
 
第10条 本部
(1)機関の本部をジユネーヴに置く。
(2)本部の移転は、第6条(3)(d)及び(g)に定めるところに従つて決定することができる。
 
第11条 財政
(1)機関は、同盟共通経費の予算及び締約国会議の予算の2の別個の予算を有する。
(2)
a.同盟共通経費の予算には、2以上の同盟に関係する経費を計上する。
b.(a)の予算は、次のものを財源とする。
i.同盟の分担金。各同盟の分担金の額は、その同盟の総会が、共通経費からのその同盟の受益の程度を考慮して、決定する。
ii.国際事務局がいずれの同盟とも直接の関係なく提供する役務について支払われる料金(国際事務局が法律に関する技術援助の分野において提供する役務について受領するものを除く。)
iii.国際事務局の刊行物でいずれの同盟とも直接の関係がないものの販売代金及びこれらの刊行物に係る権利の使用料
iv.機関に与えられる贈与、遺贈及び補助金((3)(b)(iv)に規定するものを除く。)
v.機関が受領する賃貸料、利子その他の雑収入
(3)
a.締約国会議の予算には、締約国会議の会期の経費及び法律に関する技術援助計画の費用を計上する。
b.(a)の予算は、次のものを財源とする。
i.いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の分担金
ii.(a)の予算に対する同盟の拠出金。各同盟の拠出金の額は、その同盟の総会が決定するものとし、各同盟は、(a)の予算への拠出を義務づけられない。
iii.国際事務局が法律に関する技術援助の分野において提供する役務について受領する料金
iv.(a)の目的のために機関に与えられる贈与、遺贈及び補助金
(4)
a.いずれの同盟にも属しないこの条約の各締約国は、締約国会議の予算に対する自国の分担額の決定上、次のいずれかの等級に属するものとし、次に定める単位数に基づいて年次分担金を支払う。
等級A 10
等級B 3
等級C 1
b.(a)に規定する各国は、第14条(1)の手続を行う際に、自国が属することを欲する等級を指定する。いずれの国も、その等級を変更することができる。一層低い等級を選択する国は、その旨を締約国会議に対しその通常会期において表明しなければならない。その変更は、その会期の年の翌年の初めに効力を生ずる。
c.(a)に規定する各国の年次分担金の額は、その額とそれらのすべての団の締約国会議の予算への分担金の総額との比率が、その国の属する等級の単位数とそれらのすべての国の単位数の総数との比率に等しくなるような額とする。
d.分担金は、毎年1月1日に支払の義務が生ずる。
e.予算が新会計年度の開始前に採択されなかつた場合には、財政規則の定めるところにより、前年度の予算をもつて予算とする。
(5)いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国であつてこの条の規定に基づく分担金の支払が延滞しているもの及びいずれかの同盟に属するこの条約の締約国であつて当該同盟への分担金の支払が延滞しているものは、その未払の額が当該年度に先立つ2年度においてその国について支払の義務の生じた分担金の額以上のものとなつたときは、機関の内部機関で自国が構成国であるものにおいて、投票権を行使することができない。ただし、その内部機関は、支払の延滞が例外的なかつ避けることのできない事情によるものであると認める限り、その国がその内部機関において引き続き投票権を行使することを許すことができる。
(6)国際事務局が法律に関する技術援助の分野において提供する役務について支払われる料金の額は、事務局長が定めるものとし、事務局長は、それを調整委員会に報告する。
(7)機関は、調整委員会の承認を経て、政府、公私の組織、団体又は個人から直接に贈与、遺贈及び補助金を受けることができる。
(8)
a.機関は、同盟及びいずれの同盟にも属しないこの条約の各締約国の一回限りの支払金から成る運転資金を有する。運転資金は、十分でなくなつた場合には、増額される。
b.各同盟の一回限りの支払金の額及び運転資金の増額の部分に対する各同盟の分担額は、その同盟の総会が決定する。
c.いずれの同盟にも属しないこの条約の各締約国の1回限りの支払金の額及び運転資金の増額の部分に対するその国の分担額は、運転資金が設けられ又はその増額が決定された年のその国の分担金に比例する。その比率及び支払の条件は、締約国会議が、事務局長の提案に基づきかつ調整委員会の助言を受けた上で定める。
(9)
a.その領域内に機関の本部が所在する国との間で締結される本部協定には、運転資金が十分でない場合にその国が立替えをすることを定める。立替えの額及び条件は、その国と機関との間の別個の取極によつてその都度定める。その国は、立替えの義務を有する限り、当然に調整委員会に議席を有する。
b.(a)の国及び機関は、それぞれ、書面による通告により立替えをする約束を廃棄する権利を有する。廃棄は、通告が行われた年の終わりから3年を経過した時に効力を生ずる。
(10)会計検査は、財政規則の定めるところにより、1若しくは2以上の加盟国又は外部の会計検査専門家が行う。これらの加盟国又は会計検査専門家は、一般総会がこれらの加盟国又は会計検査専門家の同意を得て指定する。
 
第12条 法律上の能力並びに特権及び免除
(1)機関は、各加盟国の領域において、その国の法令に従い、機関の目的の達成及びその任務の遂行に必要な法律上の能力を享有する。
(2)機関は、スイス連邦(後に本部が他の国に置かれた場合には、その国)との間で本部協定を締結する。
(3)機関は、機関、その職員及びすべての加盟国の代表者が機関の目的の達成及びその任務の遂行に必要な特権及び免除を享有することができるように、(2)の国以外の加盟国との間で2者間協定又は多数者間協定を締結することができる。
(4)事務局長は、(2)及び(3)に規定する協定を交渉することができるものとし、また、調整委員会の承認を得た上で機関のためにそれらの協定を締結し、署名する。
 
第13条 他の機関との関係
(1)機関は、適当な場合には、他の政府間機関との間に業務上の連携を設定し、これと協力する。このためにそれらの機関との間で締結される一般協定は、事務局長が調整委員会の承認を得た上で締結する。
(2)機関は、その権限内の事項に関し、国際的な非政府機関と、及び関係政府の同意を得て国内の政府機関又は民間団体と協議し及び協力するため、適当な取決めを行うことができる。そのような取決めは、事務局長が調整委員会の承認を得た上で行う。
 
第14条 この条約の締約国となるための手続
(1)第5条に規定する国は、次のいずれかの手続により、この条約の締約国となり、機関の加盟国となることができる。
i.批准を条件としないで署名すること。
ii.批准を条件として署名し、その後に批准書を寄託すること。
iii.加入書を寄託すること。
(2)パリ条約、ベルヌ条約又はその双方の条約の締約国は、この条約の他のいかなる規定にもかかわらず、同時に次のいずれかの条約を批准し若しくはそれに加入する場合又はそれを批准し若しくはそれに加入した後においてのみ、この条約の締約国となることができる。
 パリ条約のストックホルム改正条約(その全体又はその第20条(1)(b)(i)に定める制限のみを付したもの)  ベルヌ条約のストックホルム改正条約(その全体又はその第28条(1)(b)(i)に定める制限のみを付したもの)
(3)批准書又は加入書は、事務局長に寄託する。
 
第15条 この条約の効力発生
(1)この条約は、パリ同盟の10の同盟国及びベルヌ同盟の7の同盟国が前条(1)の手続を行つた後3箇月で効力を生ずる。いずれかの国が双方の同盟に属している場合には、その国は、双方の同盟国数に数えられるものとする。これらの2の同盟のいずれにも属しない国であつて、この条約の効力発生の日の3箇月前までに前条(1)の手続を行つたものについても、この条約は、同じ日に効力を生ずる。
(2)この条約は、その他の国については、その国が前条(1)の手続を行つた日の後3箇月で効力を生ずる。
 
第16条 留保
 この条約に対するいかなる留保も、認められない。
 
第17条 改正
(1)この条約の改正の提案は、加盟国、調整委員会又は事務局長が行うことができる。その提案は、遅くとも締約国会議による審議の6箇月前までに、事務局長が加盟国に送付する。
(2)改正は、締約国会議が採択する。改正がいずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の権利及び義務に影響を及ぼすものである場合には、それらの国も、投票権を有する。他のすべての改正案については、いずれかの同盟に属するこの条約の締約国のみが投票権を有する。改正は、投じられた票の単純多数による議決で採択される。ただし、締約国会議は、パリ同盟の総会及びベルヌ同盟の総会がそれぞれの条約の管理規定の修正の採択について適用される各自の規則に従つてあらかじめ採択した改正の提案についてのみ投票を行う。
(3)改正は、締約国会議がその改正を採択した時に(2)の規定に基づき改正の提案について投票権を有していた機関の加盟国の4分の3から、それぞれの憲法上の手続に征つて行われた受諾についての書面による通告を事務局長が受領した後1箇月で効力を生ずる。このようにして受諾された改正は、その改正が効力を生ずる時に機関の加盟国であるすべての国及びその後に機関の加盟国となるすべての国を拘束する。ただし、加盟国の財政上の義務を増大する改正は、その改正の受諾を通告した国のみを拘束する。
 
第18条 廃棄
(1)いずれの加盟国も、事務局長にあてた通告により、この条約を廃棄することができる。
(2)廃棄は、事務局長がその通告を受領した日の後6箇月で効力を生ずる。
 
第19条 通告
事務局長は、すべての加盟国政府に対し次の事項を通告する。
i.この条約の効力発生の日
ii.署名及び批准書又は加入書の寄託
iii.この条約の改正の受諾及びその改正が効力を生ずる日
iv.この条約の廃棄
 
第20条 最終規定
(1)
a.この条約は、ひとしく正文である英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語による本書一通について署名するものとし、スウェーデン政府に寄託する。
b.この条約は、1968年1月13日まで、ストックホルムにおいて署名のために開放しておく。
(2)事務局長は、関係政府と協議の上、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語及び締約国会議が指定する他の言語による公定訳文を作成する。
(3)事務局長は、パリ同盟又はベルヌ同盟の同盟国政府に対し、他の国がこの条約に加入する際にその国の政府に対し、及び要請があつたときはその他の国の政府に対し、この条約及び締約国会議が採択した改正の認証謄本2通を送付する。これらの政府に送付されるこの条約の署名本書の謄本は、スウェーデン政府が認証する。
(4)事務局長は、この条約を国際連合事務局に登録する。
 
第21条 経過規定
(1)最初の事務局長が就任するまでは、この条約において国際事務局又は事務局長というときは、それぞれ、工業的、文学的及び美術的所有権の保護のための合同国際事務局(知的所有権保護合同国際事務局(BIRPI)とも称する。)又はその事務局長をいうものとする。
(2)
a.いずれかの同盟に属する国であつてこの条約の締約国となつていないものは、希望するときは、この条約の効力発生の日から5年間、この条約の締約国となつた場合と同一の権利を行使することができる。それらの権利を行使することを希望する国は、その旨の書面による通告を事務局長に寄託するものとし、その通告は、その受領の日に効力を生ずる。それらの国は、その5年の期間が満了するまで、一般総会及び締約国会議の構成国とみなされる。
b.それらの国は、(a)の5年の期間が満了したときは、一般総会、締約国会議及び調整委員会において投票権を有しない。
c.それらの国は、この条約の締約国となつたときは、再び投票権を有する。
(3)
a.パリ同盟及びベルヌ同盟のすべての同盟国がこの条約の締約国とならない限り、国際事務局及び事務局長は、それぞれ、工業的、文学的及び美術的所有権の保護のための合同国際事務局及びその事務局長としての任務をも行う。
b.この条約の効力発生の日に(a)にいう合同国際事務局に雇用されている職員は、(a)の経過期間中、国際事務局にも雇用されているものとみなす。
(4)
a.パリ同盟のすべての同盟国が機関の加盟国となつたときは、パリ同盟事務局の権利、義務及び財産は、機関の国際事務局が承継する。
b.ベルヌ同盟のすべての同盟国が機関の加盟国となつたときは、ベルヌ同盟事務局の権利、義務及び財産は、機関の国際事務局が承継する。


以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けて、この条約に署名した。
1967年7月14日にストックホルムで作成した。

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