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所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約

【目次】
  昭和47・12・12・条約 10号  
発効昭和47・12・30・外務省告示258号  
改正平成3・12・11・条約  7号(未)(施行=平3年12月28日)
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約をここに公布する。
日本国及びフィンランド共和国は、
所得に対する租税に関し、二重課税を回避し及び脱税を防止するための条約を締結することを希望して、
次のとおり協定した。
第1条 この条約は、一方又は双方の締約国の居住者である者に適用する。
第2条  
1 この条約の対象である租税は、次のものとする。
(a)日本国においては、
(i)所得税
(ii)法人税
(iii)住民税
(以下「日本国の租税」という。)
(b)フィンランドにおいては、
(i)国税である所得税
(ii)地方税である所得税
(iii)教会税
(iv)船員税
(以下「フィンランドの租税」という。)
2 この条約は、1に掲げる租税に加えて又はこれに代わつてその後に課される租税であつて1に掲げる租税と同一の又はこれと実質的に類似するものについても、また、適用する。両締約国の権限のある当局は、それぞれの国の税法について行なわれた改正を、その改正後の妥当な期間内に、相互に通知する。
3 この条約は、第8条2の規定に関する場合に限り、同条2の租税についても、また、適用する。
第3条  
1 この条約において、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、
(a)「日本国」とは、地理的意味で用いる場合には、日本国の租税に関する法令が施行されているすべての領域をいう。
(b)「フィンランド」とは、フィンランド共和国をいう。
(c)「一方の締約国」及び「他方の締約国」とは、文脈により、日本国又はフィンランドをいう。
(d)「租税」とは、文脈により、日本国の租税又はフィンランドの租税をいう。
(e)「者」とは、個人、法人及び法人以外の団体をいう。
(f)「法人」とは、法人格を有する団体又は租税に関し法人格を有する団体として取り扱われる団体をいう。
(g)「一方の締約国の企業」及び「他方の締約国の企業」とは、それぞれ一方の締約国の居住者が営む企業及び他方の締約国の居住者が営む企業をいう。
(h)「国民」とは、
(i)日本国については、日本国の国籍を有するすべての個人並びに日本国の法令に基づいて設立され又は組織されたすべての法人及び法人格を有しないが日本国の租税に関し日本国の法令に基づいて設立され又は組織された法人として取り扱われるすべての団体をいう。
(ii)フィンランドについては、フィンランドの国籍を有するすべての個人並びにフィンランドにおいて施行されている法令によつてその地位を与えられたすべての法人、組合及び団体をいう。
(i)「権限のある当局」とは、日本国については、大蔵大臣又は権限を与えられたその代理者をいい、フィンランドについては、大蔵省又は権限を与えられたその代理者をいう。
2 一方の締約国におけるこの条約の適用上、この条約において特に定義されていない用語は、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、この条約の対象である租税に関する当該一方の締約国の法令上有する意義を有するものとする。
第4条  
1 この条約の適用上、「一方の締約国の居住者」とは、当該一方の締約国の法令の下において、住所、居所、本店又は主たる事務所の所在地、管理の場所その他これらに類する基準により当該一方の締約国において課税を受けるべきものとされる者をいう。
2 1の規定によつて双方の締約国の居住者となる個人については、権限のある当局は、合意により、この条約の適用上その個人が居住者であるとみなされる締約国を決定する。
3 1の規定によつて双方の締約国の居住者となる者で個人以外のものは、その者の本店又は主たる事務所が存在する締約国の居住者とみなす。
第5条  
1 この条約の適用上、「恒久的施設」とは、事業を行なう一定の場所であつて企業がその事業の全部又は一部を行なつているものをいう。
2 「恒久的施設」には、特に、次のものを含む。
(a)管理所
(b)支店
(c)事務所
(d)工場
(e)作業場
(f)鉱山、採石場その他天然資源を採取する場所
(g)建築工事現場又は建設若しくは組立ての工事で、12箇月をこえる期間存続するもの
3 「恒久的施設」については、次のことは、含まれないものとする。
(a)企業に属する物品又は商品の保管、展示又は引渡しのためにのみ施設を使用すること。
(b)企業に属する物品又は商品の在庫を保管、展示又は引渡しのためにのみ保有すること。
(c)企業に属する物品又は商品の在庫を他の企業による加工のためにのみ保有すること。
(d)企業のために物品若しくは商品を購入し又は情報を収集することのみを目的として、事業を行なう一定の場所を保有すること。
(e)企業のために広告、情報の提供、科学的調査その他これらに類する準備的又は補助的な性質の活動を行なうことのみを目的として、事業を行なう一定の場所を保有すること。
4 一方の締約国内で他方の締約国の企業に代わつて行動する者(5の規定が適用される独立の地位を有する代理人を除く。)であつて、当該一方の締約国内で、当該企業の名において契約を締結する権限を有し、かつ、これを常習的に行使するものは、当該一方の締約国内の恒久的施設とされる。ただし、その者の行動が当該企業のために物品又は商品を購入することに限られる場合は、この限りでない。
5 一方の締約国の企業は、仲立人、問屋その他の独立の地位を有する代理人でこれらの者としての業務を通常の方法で行なうものを通じて他方の締約国内で事業活動を行なつているという理由のみでは、当該他方の締約国内に恒久的施設を有するものとされることはない。
6 一方の締約国の居住者である法人が、他方の締約国の居住者である法人若しくは他方の締約国内で恒久的施設を通じ若しくは通じないで事業を行なう法人を支配し、又はこれらに支配されているという事実のみによつては、いずれの一方の法人も、他方の法人の恒久的施設であることとはならない。
第6条  
1 不動産から生ずる所得に対しては、当該不動産が存在する締約国において租税を課することができる。
2 
(a)「不動産」の定義は、(b)及び(c)の規定に従うことを条件として、当該財産が存在する締約国の法令によるものとする。
(b)「不動産」には、いかなる場合にも、不動産に附属する財産、農業又は林業に用いられている家畜類及び設備、不動産に関する一般法の規定の適用がある権利、不動産用益権並びに鉱石、水その他の天然資源の採取又は採取の権利の対価として料金(その金額が確定しているかどうかを問わない。)を受け取る権利を含む。
(c)船舶及び航空機は、不動産とはみなさない。
3 不動産の所有を目的としかつ不動産を主たる資産とする法人又は協同組合の株式又は持分(当該法人又は協同組合の株式又は持分のすべてが当該法人又は協同組合の所有する不動産又はその一部を占有する権利を法律上与えるものである場合に限る。)から生ずる所得(第10条の規定が適用されるものを除く。)に対しては、当該不動産が存在する締約国において租税を課することができる。
4 1の規定は、不動産の直接使用、賃貸その他のすべての形式による使用から生ずる所得について適用する。
5 1及び4の規定は、企業の不動産から生ずる所得及び自由職業を行なうために使用される不動産から生ずる所得についても適用する。
第7条  
1 一方の締約国の企業の利得に対しては、その企業が他方の締約国内にある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内で事業を行なわない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。一方の締約国の企業が他方の締約国内にある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内で事業を行なう場合には、その企業の利得のうち当該恒久的施設に帰せられる部分に対してのみ、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 一方の締約国の企業が他方の締約国内にある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内で事業を行なう場合には、当該恒久的施設が同一又は類似の条件で同一又は類似の活動を行ない、かつ、当該恒久的施設を有する企業と、全く独立の立場で、取引を行なう別個のかつ分離した企業であるとしたならば、当該恒久的施設が取得したとみられる利得が、各締約国において当該恒久的施設に帰せられるものとする。
3 恒久的施設の利得を決定するにあたつては、経営費及び一般管理費を含む費用でその恒久的施設のために生じたものは、その恒久的施設が存在する締約国内で生じたか他の場所において生じたかを問わず、損金に算入することを認められる。
4 2の規定は、恒久的施設に帰せられるべき利得を企業の利得の総額の当該企業の各構成部分への配分によつて決定する慣行が一方の締約国において行なわれている場合には、その締約国が租税を課されるべき利得をその慣行とされている配分の方法によつて決定することを妨げるものではない。ただし、用いられる配分の方法は、その方法によつて得た結果がこの条に定める原則に適合するようなものでなければならない。
5 恒久的施設が企業のために行なつた物品又は商品の単なる購入を理由としては、いかなる利得も、その恒久的施設に帰せられることはない。
6 1から5までの規定の適用上、恒久的施設に帰せられる利得は、毎年同一の方法によつて決定する。ただし、別の方法を用いることについて正当な理由がある場合は、この限りでない。
7 他の条で別個に取り扱われている種類の所得が企業の利得に含まれる場合には、当該他の条の規定は、この条の規定によつて影響されることはない。
第8条  
1 一方の締約国の企業が船舶又は航空機を国際運輸に運用することによつて取得する利得に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
2 フィンランドの居住者である企業は、船舶又は航空機を国際運輸に運用することについて、日本国において事業税を免除されるものとし、日本国の居住者である企業は、船舶又は航空機を国際運輸に運用することについて、フィンランドにおいて資本税を免除される。
3 1及び2の規定は、船舶又は航空機を国際運輸に運用する企業がいかなる種類の共同計算、共同経営又は国際経営共同体に参加している場合についても、同様に適用する。
第9条  
(a)一方の締約国の企業が他方の締約国の企業の経営、支配若しくは資本に直接若しくは間接に参加している場合又は
(b)同一の者が一方の締約国の企業及び他方の締約国の企業の経営、支配若しくは資本に直接若しくは間接に参加している場合
であつて、そのいずれの場合においても、双方の企業の間に、その商業上又は資金上の関係において独立の企業の間に設けられる条件と異なる条件が設けられ又は課されているときは、その条件がないとしたならば一方の企業の利得となつたとみられる利得であつてその条件のために当該一方の企業の利得とならなかつたものに対しては、これを当該一方の企業の利得に算入して租税を課することができる。
第10条  
1 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 1の配当に対しては、これを支払う法人が居住者である締約国において、その締約国の法令に従つて租税を課することができる。その租税の額は、次のものをこえないものとする。
(a)当該配当の受領者が、利得の分配に係る事業年度の終了に先だつ6箇月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の議決権のある株式の少なくとも25パーセントを所有する法人である場合には、当該配当の金額の10パーセント
(b)その他のすべての場合には、当該配当の金額の15パーセント
 この2の規定は、配当に充てられる利得についての当該法人に対する課税に影響を及ぼすものではない。
3 この条において、「配当」とは、株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く。)から生ずる所得及びその他の持分から生ずる所得であつて分配を行なう法人が居住者である締約国の税法上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるものをいう。
4 1及び2の規定は、一方の締約国の居住者である配当の受領者が、その配当を支払う法人が居住者である他方の締約国内にその配当の支払の基因となつた株式その他の持分と実質的に関連する恒久的施設を有する場合には、適用しない。この場合には、第7条の規定を適用する。
5 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国から利得又は所得を取得する場合には、当該他方の締約国は、その法人が当該他方の締約国の居住者でない者に支払う配当及びその法人の留保所得については、これらの配当及び留保所得の全部又は一部が当該他方の締約国内で生じた利得又は所得から成るときも、当該配当に対していかなる租税をも課することができず、また、当該留保所得に対して留保所得税を課することができない。
第11条  
1 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる利子に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 1の利子に対しては、当該利子が生じた締約国において、その締約国の法令に従つて租税を課することができる。その租税の額は、当該利子の金額の10パーセントをこえないものとする。
3 この条において、「利子」とは、公債、債券又は社債(担保の有無及び利得の分配を受ける権利の有無を問わない。)その他のすべての種類の信用に係る債権から生じた所得及びその他の所得でそれが生じた締約国の税法上貸付金から生ずる所得と同様に取り扱われるものをいう。
4 1及び2の規定は、一方の締約国の居住者である利子の受領者が、その利子の生じた他方の締約国内にその利子を生じた債権と実質的に関連する恒久的施設を有する場合には、適用しない。この場合には、第7条の規定を適用する。
5 利子は、その支払者が一方の締約国又はその公の機関、地方公共団体若しくは居住者である場合には、その締約国内で生じたものとされる。ただし、利子の支払者(一方の締約国の居住者であるかどうかを問わない。)が一方の締約国内に恒久的施設を有する場合において、その利子の支払の基因となつた債務が当該恒久的施設について生じ、かつ、その利子を当該恒久的施設が負担するときは、その利子は、当該恒久的施設が存在する当該一方の締約国内で生じたものとされる。
6 支払者と受領者との間又はその双方と第三者との間の特別の関係により、支払われた利子の金額が、その支払の基因となつた債権を考慮する場合において、その関係がないとしたならば支払者及び受領者が合意したとみられる金額をこえるときは、この条の規定は、その合意したとみられる金額についてのみ適用する。この場合には、支払われた金額のうち超過分に対し、この条約の他の規定に妥当な考慮を払つたうえ、各締約国の法令に従つて租税を課することができる。
第12条  
1 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる使用料に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 1の使用料に対しては、当該使用料が生じた締約国において、その締約国の法令に従つて租税を課することができる。その租税の額は、当該使用料の金額の10パーセントをこえないものとする。
3 この条において、「使用料」とは、文学上、美術上若しくは学術上の著作物(映画フィルムを含む。)の著作権、特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式若しくは秘密工程の使用若しくは使用の権利の対価として、産業上、商業上若しくは学術上の設備の使用若しくは使用の権利の対価として、又は産業上、商業上若しくは学術上の経験に関する情報の対価として受け取るすべての種類の支払金をいう。
4 1及び2の規定は、一方の締約国の居住者である使用料の受領者が、その使用料が生じた他方の締約国内にその使用料を生じた権利又は財産と実質的に関連する恒久的施設を有する場合には、適用しない。この場合には、第7条の規定を適用する。
5 使用料は、その支払者が一方の締約国又はその公の機関、地方公共団体若しくは居住者である場合には、その締約国内で生じたものとされる。ただし、使用料の支払者(一方の締約国の居住者であるかどうかを問わない。)が一方の締約国内に恒久的施設を有する場合において、その使用料を支払う債務が当該恒久的施設について生じ、かつ、その使用料を当該恒久的施設が負担するときは、その使用料は、当該恒久的施設が存在する当該一方の締約国内で生じたものとされる。
6 1、2及び5の規定は、文学上、美術上若しくは学術上の著作物(映画フィルムを含む。)の著作権、特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式又は秘密工程の譲渡から生ずる収入についても、同様に適用する。ただし、その収入に係る収益について次条2の規定が適用される場合は、この限りでない。
7 支払者と受領者との間又はその双方と第三者との間の特別の関係により、支払われた使用料の金額が、その支払の基因となつた使用、権利又は情報を考慮する場合において、その関係がないとしたならば支払者及び受領者が合意したとみられる金額をこえるときは、この条の規定は、その合意したとみられる金額についてのみ適用する。この場合には、支払われた金額のうち超過分に対し、この条約の他の規定に妥当な考慮を払つたうえ、各締約国の法令に従つて租税を課することができる。
第13条  
1 第6条2(a)及び(b)に定義する不動産の譲渡から生ずる収益に対しては、当該不動産が存在する締約国において租税を課することができる。
2 一方の締約国の企業が他方の締約国内に有する恒久的施設の事業用資産の一部をなす財産(不動産を除く。)又は一方の締約国の居住者が自由職業を行なうため他方の締約国において使用することができる固定的施設に係る財産(不動産を除く。)の譲渡から生ずる収益(単独に若しくは企業全体とともに行なわれる当該恒久的施設の譲渡又は当該固定的施設の譲渡から生ずる収益を含む。)に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。ただし、一方の締約国の居住者が国際運輸に運用する船舶又は航空機及びこれらの船舶又は航空機の運用に係る財産(不動産を除く。)の譲渡によつて取得する収益については、他方の締約国の租税を免除する。
3 一方の締約国の居住者が前条6並びにこの条の1及び2に規定する財産以外の財産の譲渡によつて取得する収益については、他方の締約国の租税を免除する。
第14条  
1 一方の締約国の居住者が自由職業その他これに類する独立の活動に関して取得する所得に対しては、その者が自己の活動を遂行するために通常使用することができる固定的施設を他方の締約国内に有しない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。その者がそのような固定的施設を有する場合には、当該所得のうち当該固定的施設に帰せられる部分に対してのみ、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 「自由職業」には、特に、学術上、文学上、美術上及び教育上の独立の活動並びに医師、弁護士、技術士、建築士、歯科医師及び公認会計士の独立の活動を含む。
第15条  
1 次条及び第18条から第21条までの規定が適用される場合を除くほか、一方の締約国の居住者が勤務について取得する給料、賃金その他これらに類する報酬に対しては、その勤務が他方の締約国内で行なわれない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。勤務が他方の締約国内で行なわれる場合には、その勤務から生ずる報酬に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 1の規定にかかわらず、一方の締約国の居住者が他方の締約国内で行なう勤務について取得する報酬に対しては、次の(a)から(c)までのことを条件として、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
(a)その報酬の受領者が当該年を通じて合計183日をこえない期間当該他方の締約国内に滞在すること。
(b)その報酬が当該他方の締約国の居住者でない雇用者又はこれに代わる者から支払われること。
(c)その報酬が当該他方の締約国内に雇用者の有する恒久的施設又は固定的施設によつて負担されないこと。
3 1及び2の規定にかかわらず、一方の締約国の企業が国際運輸に運用する船舶又は航空機において行なわれる勤務に係る報酬に対しては、当該一方の締約国において租税を課することができる。
第16条 一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で取得する報酬に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
第17条  
1 第14条及び第15条の規定にかかわらず、演劇、映画、ラジオ又はテレビジョンの俳優、音楽家その他の芸能人及び運動家がこれらの者としての個人的活動によつて取得する所得に対しては、その活動が行なわれた締約国において租税を課することができる。
2 この条約のいかなる規定にもかかわらず、1の芸能人又は運動家の役務が一方の締約国内で他方の締約国の企業によつて提供される場合には、当該企業が当該役務の提供によつて取得する利得に対しては、当該一方の締約国において租税を課することができる。
第18条 次条1の規定が適用される場合を除くほか、過去の勤務につき一方の締約国の居住者に支払われる退職年金その他これに類する報酬に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
第19条  
1 政府の職務の遂行として一方の締約国又はその地方公共団体に提供される役務につき、個人に対し、当該一方の締約国若しくはその地方公共団体によつて支払われ、又は当該一方の締約国若しくはその地方公共団体が拠出した基金から支払われる報酬(退職年金を含む。)に対しては、当該一方の締約国において租税を課することができる。そのような報酬の受領者が当該一方の締約国の国民である場合には、その報酬に対し、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
2 一方の締約国又はその地方公共団体が利得を得る目的で行なう事業に関連して提供される役務につき支払われる報酬又は退職年金については、第15条から前条までの規定を適用する。
3 この条の規定の適用上、「締約国」とは、次のものをもいう。
(a)日本国については、日本国政府が資本の全部を所有する機関及び日本銀行
(b)フィンランドについては、政府関係機関、フィンランド銀行及び国民年金機関
4 この条の規定の適用は、第1条の規定によつて制限されることはない。
第20条  
1 大学、学校その他の教育機関において教育又は研究を行なうため一方の締約国を訪れ、2年をこえない期間一時的に滞在する教授又は教員であつて、現に他方の締約国の居住者であり、又は訪れる直前に他方の締約国の居住者であつたものに対しては、その教育又は研究に係る報酬につき、当該他方の締約国においてのみ租税を課することができる。
2 1の規定は、主として特定の者の私的利益のために行なわれる研究から生ずる所得については、適用しない。
第21条 もつぱら教育又は訓練を受けるため一方の締約国内に滞在する学生又は事業修習者であつて、現に他方の締約国の居住者であり、又はその滞在の直前に他方の締約国の居住者であつたものがその生計、教育又は訓練のために受け取る給付又は所得については、当該一方の締約国の租税を免除する。ただし、給付については、それが当該一方の締約国外から支払われるものである場合に限るものとし、所得については、それが当該一方の締約国内で提供される人的役務について受け取るものであつて、年間2000アメリカ合衆国ドル又は日本円若しくはフィンランド・マルカによるその相当額をこえないものである場合に限る。
第22条 一方の締約国の居住者の所得で前諸条に明文の規定がないものに対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
第23条  
1 フィンランド内で生ずる所得について納付されるフィンランドの租税は、日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令に従い、その所得について納付される日本国の租税から控除する。その控除を行なうにあたり、その所得が、フィンランドの居住者である法人がその議決権のある株式又はその発行した全株式の少なくとも25パーセントを所有する日本国の居住者である法人に対して支払う配当である場合には、フィンランドの居住者である当該法人がその所得について納付するフィンランドの租税を考慮に入れる。
2 フィンランドの居住者がこの条約の規定に従つて日本国において租税を課される所得を取得するときは、フィンランドは、3の規定が適用される場合を除くほか、所得に対する租税のうち日本国内で生ずる所得に対応する部分を所得に対する租税から控除する。
3 フィンランドの居住者が第10条から第12条までの規定に従つて日本国において租税を課される所得を取得する場合には、フィンランドは、日本国において納付される租税の額と等しい額をその者の所得に対する租税から控除する。ただし、その控除の額は、その控除が行なわれる前に算定された租税の額のうち日本国内で生ずる所得に対応する部分をこえないものとする。
4 3の規定にかかわらず、日本国の居住者である法人がフィンランドの居住者である法人に支払う配当は、支払者及び受領者の双方がフィンランドの居住者であるとしたならばフィンランドの税法上免除されたとみられる範囲内でフィンランドの租税を免除される。
第24条  
1 一方の締約国の国民は、他方の締約国において、同様の状況にある当該他方の締約国の国民が課されており又は課されることがある租税又はこれに関連する要件以外の又はこれらよりも重い租税又はこれに関連する要件を課されることはない。
2 一方の締約国の企業が他方の締約国内に有する恒久的施設に対する租税は、当該他方の締約国において、同様の活動を行なう当該他方の締約国の企業に対して課される租税よりも不利に課されることはない。
 この規定は、一方の締約国に対し、家族の状況又は家族を扶養するための負担を理由として自国の居住者に認める租税上の人的控除、救済及び軽減を他方の締約国の居住者に認めることを義務づけるものと解してはならない。
3 一方の締約国の企業であつてその資本の全部又は一部が他方の締約国の一又は二以上の居住者により直接又は間接に所有され又は支配されているものは、当該一方の締約国において、当該一方の締約国の類似の他の企業が課されており又は課されることがある租税又はこれに関連する要件以外の又はこれらよりも重い租税又はこれに関連する要件を課されることはない。
4 この条において、「租税」とは、すべての種類の税をいう。
5 この条の規定の適用は、第1条の規定によつて制限されることはない。
第25条  
1 一方の締約国の居住者は、いずれか一方の又は双方の締約国の措置によりこの条約に適合しない課税を受け又は受けるに至ると認める場合には、それらの締約国の法令で定める救済手段とは別に、自己が居住者である締約国の権限のある当局に対しその事案について申立てをすることができる。
2 権限のある当局は、1の申立てを正当と認めるが、適当な解決を与えることができない場合には、この条約に適合しない課税を回避するため、他方の締約国の権限のある当局との合意によつてその事案を解決するように努める。
3 両締約国の権限のある当局は、この条約の解釈又は適用に関して生ずる困難又は疑義を合意によつて解決するように努める。両締約国の権限のある当局は、また、この条約に定めのない場合における二重課税を除去するため、相互に協議することができる。
4 両締約国の権限のある当局は、2及び3の合意に達するため、直接相互に通信することができる。
第26条  
1 両締約国の権限のある当局は、この条約及びこの条約が適用される租税に関する両締約国の国内法令(当該国内法令に基づく課税がこの条約に適合する場合に限る。)を実施するために必要な情報を交換する。このようにして交換された情報は、秘密として取り扱うものとし、この条約の対象である租税の賦課及び徴収に関与する者(当局を含む。)以外のいかなる者(当局を含む。)にも開示してはならない。
2 1の規定は、いかなる場合にも、一方の締約国に対し、次のことを行なう義務を課するものと解してはならない。
(a)当該一方の締約国又は他方の締約国の法令又は行政上の慣行に抵触する行政上の措置をとること。
(b)当該一方の締約国又は他方の締約国の法令の下において又は行政の通常の運営において入手することができない資料を提供すること。
(c)営業上、事業上、産業上、商業上若しくは職業上の秘密若しくは取引の過程を明らかにするような情報又は公開することが公の秩序に反するような情報を提供すること。
第27条  
1 各締約国は、この条約に基づいて他方の締約国の認める租税の免除又は税率の軽減が、このような特典を受ける権利を有しない者によつて享受されることのないようにするため、当該他方の締約国が課する租税を徴収するように努める。その徴収を行なう締約国は、このようにして徴収された金額につき他方の締約国に対して責任を負う。
2 1の規定は、いかなる場合にも、いずれの締約国に対しても、租税の徴収に努める締約国の規則及び慣行に抵触し又はその締約国の公の秩序に反するような行政上の措置をとる義務を課するものと解してはならない。
第28条 この条約のいかなる規定も、国際法の一般原則又は特別の協定に基づく外交官又は領事官の租税上の特権に影響を及ぼすものではない。
第29条  
1 この条約は、批准されなければならない。批准書は、できる限りすみやかに東京で交換されるものとする。
2 この条約は、批准書の交換の日の後30日目の日に効力を生ずるものとし、双方の締約国において、この条約が効力を生ずる年の1月1日以後に開始する各課税年度の所得について適用する。
第30条 この条約は、無期限に効力を有する。ただし、いずれの一方の締約国も、この条約の効力発生の日から5年の期間が満了した後に開始する各年の6月30日以前に、外交上の経路を通じて他方の締約国に対し書面による終了の通告を行なうことができる。この場合には、この条約は、双方の締約国において、その通告が行なわれた年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の所得について効力を失う。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けて、この条約に署名した。
1972年2月29日にヘルシンキで、英語により本書二通を作成した。