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南東大西洋の生物資源の保存に関する条約

【目次】
  昭和46・11・1・条約 21号  
発効昭和46・10・24・外務省告示212号  
南東大西洋の生物資源の保存に関する条約をここに公布する。
前文
この条約の締約国政府は、南東大西洋の生物資源に関する共通の利益を考慮し、また、この資源の保存及び合理的な利用について協力することを希望して、次のとおり協定した。
第1条  
1 この条約が適用される区域(以下「条約区域」という。)は、次の線によつて囲まれた全水域とする。
南緯6度4分36秒東経12度19分48秒の点から北西の方向に航程線に沿つて東経12度の子午線と南緯6度の緯度線との交点まで、そこから真西にこの緯度線に沿つて西経20度の子午線まで、そこから真南にこの子午線に沿つて南緯50度の緯度線まで、そこから真東にこの緯度線に沿つて東経40度の子午線まで、そこから真北にこの子午線に沿つてアフリカ大陸の海岸まで、そこから西の方向にこの海岸に沿つて出発点までの線
2 東経40度の子午線による東側の境界線は、これに直接接続する水域について適用される海洋の生物資源の保存に関する条約が締結された場合には、再検討する。
第2条 この条約のいかなる規定も、領海の範囲又は国際法に基づいて漁業管轄権が及ぶ範囲に関する締約国の権利、主張又は見解に影響を与えるものとみなしてはならない。
第3条 この条約は、条約区域におけるすべての魚類その他の生物資源について適用する。ただし、委員会が第11条1の規定に従つて締結する取決め又は協定により除外される生物資源については、この限りでない。
第4条 締約国は、南東大西洋漁業国際委員会と称する委員会(以下「委員会」という。)を設置し及び維持することを合意する。委員会は、この条約に定める任務を遂行する。
第5条  
1 委員会は、少なくとも2年に1回通常会議を開催する。特別会議は、一の締約国の要請によつて随時召集される。ただし、その要請が少なくとも他の三の締約国によつて支持されることを条件とする。
2 各締約国は、委員会において3人以下の委員により代表される。これらの委員は、専門家及び顧問を同伴することができる。
3 各締約国は、委員会において一の票を有する。委員会の決定は、この条約に別段の定めがない限り、出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で行なう。定足数は、締約国の総数の3分の2とする。
4 委員会は、各通常会議において委員のうちから議長1人、第一副議長1人及び第二副議長1人を選出する。これらの役員は、その後任者が次回の通常会議において選出される時まで在任するものとし、また、同じ地位に三期統けて在任することはできない。委員は、議長として行動する場合には、投票権を有しない。
5 委員会の常用語は、英語、フランス語及びスペイン語とする。
6 委員会は、その任務の遂行に必要な手続規則その他の運営上の内部規則を採択する。委員会が第7条の規定に基づいて設置する下部機関は、その手続規則を採択することができるものとし、その手続規則は、委員会の承認によつて効力を生ずる。
第6条  
1 委員会は、この条約に定める目的を達成するため、条約区域におけるすべての魚類その他の生物資源の研究について責任を有する。この研究には、これらの生物資源の豊度及び生活史の調査、生物測定学的及び生態学的調査並びに環境の研究を含む。委員会は、これらの事項の研究を行なうにあたり、あらゆる適当な方法によつて、これらの生物資源に関する統計上の情報、生物学的情報その他の科学的情報を収集し、分析し、刊行し及び普及する。
2 委員会は、その責任を遂行するにあたり、締約国の官公署の技術的及び科学的な役務及び情報をできる限り利用する。委員会は、必要に応じ、これら以外の役務及び情報を利用することができるものとし、また、その特別予算の範囲内において、いずれかの国の政府若しくは団体又は他の国際的機関によつて行なわれている調査を補足するため、独自の調査を行なうことができる。
3 締約国は、委員会の要請により、委員会がこの条約の実施のために必要とする統計上の資料その他の資料及び情報で入手可能なものを提供する。
第7条  
1 委員会は、生態学的基礎に基づいて条約区域を区分した各小区域につき小区域別小委員会を、また条約区域において見い出される魚種につき魚種別小委員会を設置することができる。委員会は、また、科学諮問理事会(以下「理事会」という。)を設置することができる。委員会は、その任務の遂行に必要な他の下部機関を設置することができるものとし、それぞれについてその構成及び付託事項を定める。
2 小区域別小委員会は、この条に定める任務を有するが、魚種別小委員会が権限を有する魚種については、この限りでない。
3 小区域別小委員会又は魚種別小委員会は、それが対象とする小区域又は魚種について適用される措置に関し、科学的調査の結果に基づいて提案を発議し、また、委員会が付託する提案を審議する。
4 小区域別小委員会又は魚種別小委員会は、委員会が審議するための勧告案を作成することができる。委員会は、第8条の規定に従い、その勧告案を、望ましいと認める修正を加えて採択することができる。
5 委員会は、小区域別小委員会又は魚種別小委員会に代表を出すことができる締約国を指定する。もつとも、小区域別小委員会又は魚種別小委員会が設置される場合において、当該小区域において漁獲を行なつている締約国、当該魚種の漁獲を行なつている締約国又は当該小区域若しくは当該魚種が見い出される水域に接する海岸線を有する締約国は、当然に当該小委員会に代表を出す権利を有する。いずれかの魚種を小区域別小委員会又は魚種別小委員会が管轄する水域の外で漁獲している締約国は、委員会の決定により、当該小委員会に代表を出すことができる。
6 理事会は、委員会、小区域別小委員会及び魚種別小委員会の任務の科学的側面に関し、それらに助言を与え及びそれらを補佐することを任務とする。
7 各締約国は、その希望する数の専門家から成る科学者代表団を理事会に送ることができる。理事会は、下部機関を設置し及びその構成を定めることができる。
8 理事会は、委員会の同意を得て、その他の科学者又は専門家に対し顧問の資格でその審議に参加するよう招請することができる。
9 理事会は、通常会議を開催するものとし、その開催の時期は、委員会がその通常会議との関連において決定する。理事会は、委員会の承認を得て特別会議を開催することができる。
第8条  
1 委員会は、その発議又は小区域別小委員会若しくは魚種別小委員会の提案により、科学的調査の結果に基づいて、この条約の目的に関連する勧告を行なうことができる。この勧告は、第9条に定める条件に従い締約国に対して拘束力を生ずる。
2 委員会は、次の事項について勧告を行なうことができる。
(a)漁網の網目制限
(b)漁船内に保持し、陸揚げし、又は販売のために陳列し若しくは提供することができる魚貝の制限体長の設定
(c)解禁期及び禁漁期の設定
(d)解禁区域及び禁漁区域の設定
(e)網目制限以外の漁具の規制
(f)人工増殖、生物の移植及び馴化、稚魚貝の移植、食害動物の抑制その他の手段による生物資源の改良及び増加、
(g)種類別若しくは種類群別又は適当な場合には水域別による総漁獲量の規制
(h)その他の措置で、条約区域におけるすべての魚類その他の生物資源の保存に直接関連するもの
3 
(a)委員会は、2(g)の規定に基づいて勧告を行なう場合には、委員会が定める関係締約国に対し、総漁獲量の配分に関する取極を作成するよう勧誘することができる。取極の作成にあたつては、すべての関係国の漁業上の利害を考慮するものとし、また、総漁獲量に関する委員会の勧告及び合意された配分がすべての関係国によつて遵守されることをできる限り確保する。
(b)関係締約国は、できる限りすみやかに(a)の取極の内容を委員会に報告する。この場合において、委員会は、その取極の主題に関し1の規定に従つて勧告を行なうことができる。もつとも、この勧告は、その取極が当事国に対して有する拘束力を害するものではない。
4 委員会は、その採択した勧告をすべての締約国に通告する。
第9条  
1 締約国は、この条の規定に従う場合を除くほか、委員会が第8条の規定に従つて採択した勧告を実施する。
2 締約国は、勧告を通告された時から90日以内にその勧告に対する異議を委員会に申し立てることができる。この場合において、その申立てをした締約国は、当該勧告を実施する義務を負わない。
3 2に規定する90日の期間内に異議が申し立てられた場合には、他のいずれの締約国も、追加の60日の期間内に、また、その他の締約国がその追加の60日の期間内に異議を申し立てたときは、この異議が通告された時から30日以内に、いつでも異議を申し立てることができる。
4 少なくとも三の締約国が勧告に対する異議を申し立てた場合には、他のすべての締約国は、その勧告を実施する義務を直ちに免除される。ただし、当該他の締約国の一部又は全部は、その勧告を実施することを相互間で合意することができる。
5 勧告に対する異議を申し立てた締約国は、いつでもその異議を撤回することができるものとし、これを撤回した場合には、当該締約国は、4の規定が適用される場合を除くほか、90日以内にその勧告を実施する。
6 委員会は、異議又はその撤回の通告を受領したときは、直ちに、それぞれその旨をすべての締約国に通告する。
第10条  
1 締約国は、国際法に基づき漁業管轄権を行使する権利を有する水域における国家の権利を害されることなく、自国の領域及びそのような水域においてはすべての者及び船舶につき、またそのような水域以遠の水域においては自国の国民及び船舶につき、この条約及び自国を拘束するようになつた委員会の勧告の実施を確保し並びにその勧告に対する違反を処罰するため、適当な措置をとる。
2 締約国は、この条約の実施及びこの条約の目的の達成を確保するための有効な措置をとることを目的として相互に協力することを約束する。
3 締約国は、さらに、委員会によつて特に選定される諸勧告を実施するための国際的取締制度を委員会の勧告に基づいて設けることを目的として相互に協力することを約束する。ただし、その国際的取締制度は、いずれかの国家が国際法に基づき漁業管轄権を行使する権利を有する水域については適用されないものとし、その創設に関する勧告の採択及び実施は、第8条及び第9条の規定に従う。
4 締約国は、2年ごとに又は委員会が要求する時期に、この条の規定に従つてとつた措置の報告書を委員会に送付する。
第11条  
1 委員会は、関連する目的を有する他の国際機関、特に国際連合食糧農業機関と協定を締結し及び業務上の取決めを維持することに努めるものとし、これにより、それらの機関の業務に関して、有効な協力及び協調を確保し、また重複を避ける。
2 委員会は、適当な国際機関及び第17条の規定によつてこの条約の締約国となることができる国で委員会の構成国でないものの政府に対し、オブザーバーの資格で委員会又はその下部機関の会議に代表を出すよう招請することができる。
第12条  
1 委員会は、その定める条件に従つて事務局長を任命する。
2 委員会の職員は、委員会が定める規則及び条件に従つて事務局長が任命する。
3 事務局長は、次の任務のほか委員会が定める任務を遂行する。
(a)委員会の公用通信を発受すること。
(b)委員会がその通常会議において検討するための予算見積書を作成すること。
(c)委員会の通常会議に提出するため委員会の活動及び事業計画に関する報告書を作成すること並びにこの報告書及び委員会の議事録をその後刊行するための措置をとること。
(d)この条約の目的の達成に必要な統計その他の資料の収集及び分析のための措置をとること。
(e)委員会に提出するため及び場合によりその後刊行するため、統計的事項、生物学的事項その他の事項に関する報告書を作成すること。
(f)委員会の予算に基づいて資金の支出を許可すること。
(g)委員会の資金の経理を行なうこと。
(h)第11条に規定する国際機関との協力について取りきめること。
第13条  
1 委員会は、各通常会議において、次の会計期間の予算及びこの会計期間に続く会計期間の予算の見積りを採択する。会計期間は、2年とする。もつとも、委員会は、一会計期間中に2回以上通常会議を開催する場合には、必要に応じて当該会計期間の予算を修正することができる。委員会は、すべての締約国の同意を得ることを条件として、いずれの会議においても特別予算を採択することができる。
2 各締約国が負担すべき予算(特別予算を含む。)に係る分担金は、委員会が定める一又は二以上の通貨により、委員会が定める時期に支払われる。
3 分担金の延滞額が当該会計期間に先だつ会計期間中に支払うべき分担金の総額以上となる締約国は、委員会が別段の決定をしない限り、その投票権を停止される。
4 委員会は、また、その任務を遂行するため、公私の財源から寄付を受けることができる。このような寄付は、委員会が採択する規則に従つて利用し及び管理する。
5 委員会は、その会計について毎年独立の検査が行なわれるための措置をとるものとし、その検査報告書は、審査及び承認を受けるため委員会に提出される。
6 委員会は、年次分担金を受領する前にその運営費をまかなうため、及びその定める他の目的のために運営基金を設置する。委員会は、運営基金の額を決定し、その設置に必要な借入金の額を査定するとともに、その使用を律する規則を採択する。
第14条 委員会は、締約国が予算(特別予算を含む。)のために拠出する分担金の額を次の方式に従つて計算する。
(a)予算(特別予算を含む。)の総額の3分の1については、締約国がそれぞれ等額を拠出する。
(b)各締約国は、自国が構成国となつている各小区域別小委員会又は各魚種別小委員会につき、(a)の規定に基づいて拠出する額の3分の1に相当する額を拠出する。この割合は、締約国がこの(b)の規定に基づいて拠出する額の合計が予算(特別予算を含む。)の総額の3分の1をこえることとならないように、必要に応じて引き下げられる。
(c)予算(特別予算を含む。)の残余の部分については、各締約国が、条約区域における自国の名目漁獲量が同区域におけるすべての締約国の名目漁獲量の合計のうちに占める割合で拠出する。委員会は、この名目漁獲量を計算するにあたり、第3条の規定に従つてこの条約の適用から除外される種類のものを除くほか、すべての魚類及び甲殻類、軟体動物その他の海産無せきつい動物を考慮に入れる。漁獲量は、国際連合食糧農業機関が統計を刊行している最近の2暦年の平均漁獲量を基礎として決定する。
第15条  
1 委員会は、その所在地を定める。
2 委員会は、法人格を有する。委員会は、特に、契約し並びに動産及び不動産を取得し及び処分する能力を有する。
第16条 この条約は、船舶が締約国の許可を受けて科学的調査のためにのみ行なう漁獲操業及びこのような漁獲操業において漁獲された漁類については、適用しない。ただし、このようにして漁獲された魚類は、委員会の勧告に違反して、販売し又は販売のために陳列し若しくは提供してはならない。
第17条  
1 この条約は、これを採択した会議に代表を出した国の政府又は国際連合若しくはその専門機関の加盟国であるその他の国の政府による署名のため、開放される。
2 この条約の署名は、批准、受諾又は承認を条件とする。
3 この条約が効力を生じたときは、1に規定する国でこの条約に署名しなかつたもの及び委員会がこの条約の締約国となるよう全会一致で招請したその他の国は、この条約に加入することができる。
4 批准書、受諾書、承認書又は加入書は、国際連合食糧農業機関の事務局長(以下「寄託者」という。)に寄託する。
5 批准、受諾、承認又は加入に際しては、いかなる留保をも付することができない。
第18条  
1 この条約は、少なくとも四の批准書、受諾書又は承認書が寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。ただし、これらの文書を寄託した国による条約区域における名目漁獲量の総重量が、国際連合食糧農業機関の刊行した1968年度の統計上少なくとも70万メートル・トンに達することを条件とする。
2 この条約は、1の規定に従つて効力を生じた後は、批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する政府の国につき、寄託者が当該文書を受領した日の後30日目の日に効力を生ずる。
第19条  
1 締約国は、この条約の改正を提案することができる。改正は、通常会議又は特別会議において承認を得るため委員会に付託する。改正の提案は、寄託者に通報するものとし、寄託者は、これを締約国に通報する。改正は、締約国の4分の3による受諾の後90日目の日に、その改正を受諾した各締約国について効力を生じ、その後は、他の締約国につき、寄託者が当該他の締約国による受諾の通告を受領した日に効力を生ずる。
2 この条約の改正につきこの条の規定に基づく受諾のための提案が行なわれた後に締約国となる国は、その改正が効力を生じた時から、その改正された条約によつて拘束される。
第20条 締約国は、この条約の効力発生の日から10年の後はいつでも、書面による脱退の通告を行なうことによつてこの条約から脱退することができる。脱退は、その通告が寄託者に通報された年の翌年の12月31日に効力を生ずる。
第21条  
1 寄託者は、第17条1及び3に規定する国の政府に対して次の事項を通報する。
(a)第17条の規定に従つて行なわれるこの条約の署名及び批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託
(b)この条約が第18条1の規定に従つて効力を生ずる日
2 寄託者は、すべての締約国に対して次の事項を通報する。
(a)第19条の規定に従つて行なわれるこの条約の改正のための提案、改正の受諾の通告及び改正の効力発生
(b)第20条の規定に従つて行なわれる脱退の通告
3 この条約の原本は、寄託者に寄託するものとし、寄託者は、第17条の規定によつてこの条約の締約国となることができる国の政府に対しこの条約の認証謄本を送付する。
1969年10月23日にローマで、ひとしく正文である英語、フランス語及びスペイン語により本書一通を作成した。