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最低賃金決定制度の創設に関する条約(第26号)

  昭和46・5・14・条約  3号  
発効昭和47・4・29・外務省告示 84号  
最低賃金決定制度の創設に関する条約(第26号)をここに公布する。
国際労働機関の総会は、
理事会によりジュネーヴに招集されて、1928年5月30日にその第11回会期として会合し、
その会期の議事日程の第一議題である最低賃金決定制度に関する提案の採択を決定し、
その提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定して、
国際労働機関憲章の規定に従い、国際労働機関の加盟国によつて批准されるため、次の条約(引用に際しては、「1928年の最低賃金決定制度条約」と称することがでる。)を1928年6月16日に採択する。
第1条  
1 この条約を比准する国際労働機関の各加盟国は、労働協約その他の方法により賃金を有効に規制する制度が存在していない若干の産業又は産業の部分(特に家内労働の産業)であつて賃金が例外的に低いものにおいて佐用される労働者のため最低賃金率を決定することができる制度を創設し又は維持することを約束する。
2 この条約の適用上、「産業」とは、製造業、商業等をいう。
第2条 この条約を批准する各加盟国は、関係のある産業又は産業の部分に労働者団体及び使用者団体が存在する場合にはそれらの団体と協議したうえ、いずれの産業又は産業の部分について、特にいずれの家内労働の産業又は家内労働の産業の部分について前条の最低賃金決定制度を適用するかを決定する自由を有する。
第3条  
1 この条約を批准する各加盟国は、最低賃金決定制度の性質及び形態並びにその運用方法を決定する自由を有する。
2 もつとも、次のことを条件とする。
(1)産業又はその部分について最低賃金決定制度を適用するに先だち、関係のある使用者及び労働者の代表者(使用者団体及び労働者団体が存在する場合には、それらの団体の代表者を含む。)並びに職業上又は職務上特に適任であるその他の者で権限のある機関が協議することを適当と認めるものは、協議を受ける。
(2)関係のある使用者及び労働者は、国内法令で定める方法により、国内法令で定める程度において最低賃金決定制度の運用に参与する。もつとも、その使用者と労働者とは、いかなる場合にも、等しい人数で、かつ、平等の条件によつて参与するものとする。
(3)決定された最低賃金率は、関係のある使用者及び労働者を拘束するものとし、個人的契約により、又は権限のある機関の一般的若しくは個別的許可を受ける場合を除くほか労働協約により、引き下げることができない。
第4条  
1 この条約を批准する各加盟国は、関係のある使用者及び労働者が現行の最低賃金率を知らされること並びにその最低賃金率が適用される場合にこれよりも低い率で賃金が支払われないことを確保するため、監督及び制裁の制度によつて必要な措置をとる。
2 最低賃金率の適用を受ける労働者でその率よりも低い率で賃金の支払を受けたものは、国内法令で定める期間、裁判上その他の法定の手続によつて当該不足額の支払を受ける権利を有する。
第5条 この条約を批准する各加盟国は、最低賃金決定制度が適用されている産業又は産業の部分の表を含み、かつ、同制度の適用の方法及び結果を記載した一般的説明書を毎年国際労働事務局に送付する。この説明書には、また、同制度の適用を受ける労働者の概数、決定された最低賃金率及び最低賃金率に関連して定められた比較的重要なその他の条件が存在する場合にはその条件につき、その概要を記載する。
第6条 国際労働機関憲章に定める条件によるこの条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。
第7条  
1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が国際労働事務局に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後12箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後12箇月で効力を生ずる。
第8条 国際労働事務局長は、国際労働機関の二の加盟国の批准が国際労働事務局に登録されたときは、その旨を直ちにすべての加盟国に通告する。事務局長は、また、他の加盟国からその後通知を受けた批准の登録をすべての加盟国に通告する。
第9条  
1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から10年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、国際労働事務局に登録された日の後1年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した各加盟国で、1に定める10年の期間が満了した後1年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、さらに5年間拘束を受けるものとし、その後は、5年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。
第10条 国際労働機関の理事会は、少なくとも10年に1回、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の改正又は修正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を審議する。
第11条 この条約のフランス語及び英語による本文は、ともに正文とする。
以上は、1946年の最終条項改正条約によつて修正された1928年の最低賃金決定制度条約の真正な本文である。
この条約の原本は、総会議長カルロス・サヴェドラ・ラマス及び国際労働事務局長アルベール・トーマの署名により1928年6月22日に認証された。
この条約は、1930年6月14日に最初に効力を生じた。
以上の証拠として、私は、1946年の最終条項改正条約第6条の規定に従い、修正されたこの条約の原本二通を署名により1948年4月30日に認証した。