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大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約

  昭和44・4・28・条約  1号  
発効昭和44・3・21・外務省告示 76号  
改正平成17・3・4・条約  7号(未)(施行=平17年3月10日)
大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約をここに公布する。
前文
正当な委任を受けた自己の代表者がこの条約に署名した政府は、大西洋におけるまぐろ類の資源に関する共通の関心を考慮するので、また、食用その他の目的のための最大の持続的漁獲を可能にする水準にこれらの魚類の資源を維持することについて協力することを希望するので、大西洋のまぐろ類の資源の保存のための条約を締結することを決意して、このため、次のとおり協定した。
第1条 この条約が適用される区域(以下「条約区域」という。)は、大西洋の全水域とし、接続する諸海を含むものとする。
第2条 この条約のいかなる規定も、領水の範囲又は国際法に基づいて漁業管轄権が及ぶ範囲に関する締約国の権利、主張又は見解に影響を与えるものとみなしてはならない。
第3条  
1 締約国は、大西洋まぐろ類保存国際委員会と称する委員会(以下「委員会」という。)を設置し、及び維持することに合意する。委員会は、この条約に定める目的を遂行するものとする。
2 各締約国は、委員会に3人以下の代表を出すものとする。これらの代表は、専門家及び顧問の補佐を受けることができる。
3 委員会の決定は、この条約に別段の定めがない限り、締約国の過半数により行なうものとし、各締約国は、1個の投票権を有する。定足数は、締約国の3分の2をもつて構成する。
4 委員会は、2年に1回通常会議を開催する。特別会議は、締約国の過半数の要請又は第5条の規定に基づいて設置される理事会の決定により、随時招集することができる。
5 委員会は、その第1回会議において、及びその後は各通常会議において、構成員のうちから議長1人、第一副議長1人及び第二副議長1人を選出する。これらの者は、引き続いて2回以上再選されないものとする。
6 委員会及びその補助機関の会議は、委員会が別段の決定をしない限り、公開とする。
7 委員会の公用語は、英語、フランス語及びスペイン語とする。
8 委員会は、その任務の遂行に必要な手続規則及び会計規則を採択する権限を有する。
9 委員会は、その業務及び調査結果に関する報告書を2年ごとに締約国に提出し、また、この条約の目的に関係のある事項について、いずれかの締約国の要請があつたときは、その締約国に情報を提供する。
第4条  
1 委員会は、この条約の目的を遂行するため、条約区域におけるまぐろ類(たちうお科(トリキゥリディ)、すみやき科(ゲンピリディ)及びさば属(スコンバー)を除くさば型魚類(スコンブリフォーミス)をいう。)の資源及び他の国際漁業機関によつて調査されていないその他の魚種で条約区域のまぐろ漁業に際して利用されるものの研究について責任を有する。この研究は、これらの魚類の豊度、生物測定及び生態に関する調査、その環境に関する海洋学上の調査並びにその豊度に及ぼす自然的及び人的要素の影響に関する調査を含む。委員会は、これらの責任を遂行するにあたり、締約国の官公署及びその行政区画の技術的及び科学的役務並びに情報をできる限り利用するものとし、かつ、望ましにときは、公私の団体若しくは機関又は個人から得ることができる役務及び情報を利用することができる。委員会は、また、委員会の予算の範囲内において、いずれかの国の政府若しくは団体又は他の国際機関により行なわれている調査を補足するため、独自の調査を行なうことができる。
2 1の規定の実施は、次のことを含む。
(a)条約区域のまぐろ漁業資源の現在における状態及び傾向に関する統計上の情報を収集し、及び分析すること。
(b)条約区域のまぐろ類の資源を最大の持続的漁獲が可能であり、かつ、この漁獲に合致するようなこれらの魚類の効果的な利用を確保する水準に維持するための方法に関する情報を研究し、及び評価すること。
(c)研究及び調査を締約国に勧告すること。
(d)委員会の調査結果の報告及び条約区域のまぐろ漁業に関する統計上、生物学上その他の科学的情報を刊行し、及びその他の方法により普及すること。
第5条  
1 委員会の内部に、その議長及び副議長並びに4人から8人までの締約国の代表で構成する理事会を設置する。理事会に代表を出す締約国は、委員会の各通常会議において選出される。もつとも、締約国数が40をこえたときは、委員会は、理事会に代表を出す追加の二締約国を選出することができる。議長又は副議長がその国民である締約国は、理事会に選出されないものとする。委員会は、理事会の構成員の選出にあたつては、締約国の地理的利益、そのまぐろ漁業及びまぐろ加工業の利益並びに理事会に代表を出すことについての締約国の平等の権利に十分な考慮を払うものとする。
2 理事会は、この条約が定める任務又は委員会が委任する任務を遂行する。理事会は、委員会の通常会議と次の通常会議との間において少なくとも1回会合する。委員会の会議と次の会議との間において、理事会は、職員が遂行すべき任務について必要な決定を行ない、また、事務局長に対し必要な指示を与える。理事会の決定は、委員会が定める規則に従つて行なう。
第6条 委員会は、この条約の目的を遂行するため、魚種別若しくは魚種群別又は地域別に小委員会を設置することができる。この場合において、各小委員会は、
(a)その担当する魚種若しくは魚種群又は地域の状況を常に検討すること及びこれに関係のある科学的情報その他の情報を収集することについて責任を有する。
(b)科学的調査を基礎として、締約国が執るべき共同措置に関する勧告を委員会に提案することができる。
(c)当該魚種若しくは魚種群又は地域に関係のある情報を得るために必要な研究及び調査並びに締約国の調査計画の調整を委員会に勧告することができる。
第7条 事務局長は、委員会が任命し、その任期は、委員会が定める。事務局長は、委員会が定める規則及び手続に従うことを条件として、委員会の職員の選任及び管理に関する権限を有する。事務局長は、また、特に、次の任務のうち委員会が与えるものを遂行する。
(a)締約国が行なう調査計画を調整すること。
(b)委員会の検討を受けるために予算見積書を作成すること。
(c)委員会の予算に従つて資金の支出を許可すること。
(d)委員会の資金の会計を行なうこと。
(e)第11条に定める機関との協力について取り決めること。
(f)この条約の目的を遂行するために必要な資料、特にまぐろ資源の現在の漁獲及び最大の持続的漁獲に関する資料の収集及び分析の準備を行なうこと。
(g)委員会の承認を得るため、委員会及びその補助機関の学術上、管理上その他の報告を作成すること。
第8条  
1 
(a)委員会は、科学的な証拠に基づいて、条約区域内で漁獲されるまぐろ類の資源を最大の持続的漁獲が可能である水準に維持することを目的とする勧告を行なうことができる。これらの勧告は、2及び3に定める条件に従つて締約国に適用される。
(b)前記の勧告は、次のとおり行なわれる。
(ⅰ)適当な小委員会が設置されていないとき、又は適当な小委員会が設置されている場合においてもすべての締約国の少なくとも3分の2の承認があるときは、委員会の発議による。
(ⅱ)適当な小委員会が設置されているときは、その小委員会の提案による。
(ⅲ)当該勧告が二以上の地域又は魚種若しくは魚種群に関連するときは、これらの適当な小委員会の提案による。
2 1の規定に基づいて行なわれた勧告は、3に規定する場合を除き、その勧告を締約国に伝達する委員会の通告の日の後6箇月ですべての締約国について効力を生ずる。
3 
(a)1(b)(ⅰ)の規定に基づいて行なわれた勧告の場合にはいずれかの締約国が、1(b)(ⅱ)又は(ⅲ)の規定に基づいて行なわれた勧告の場合には当該小委員会の構成員たるいずれかの締約国が、2に定める6箇月の期間内にその勧告に対し委員会に異議を申し立てたときは、その勧告は、追加の60日間効力を生じない。
(b)その場合、他のいずれの締約国も、追加の60日の期間が満了する日又は他の締約国がその追加の60日の期間内に行なつた異議の通告の日の後45日が満了する日のいずれかおそい方の日までに、異議を申し立てることができる。
(c)その勧告は、異議申立てのための延長された期間の終りに、異議を申し立てた締約国を除く他のすべての締約国について効力を生ずる。
(d)もつとも、(a)及び(b)の規定に従いいずれかの勧告に対して異議を申し立てた国が一締約国又は全体の4分の1に満たない締約国であるときは、委員会は、異議を申し立てた一又は二以上の締約国に対し、その異議を無効とみなす旨を直ちに通告するものとする。
(e)(d)に定める場合には、当該一又は二以上の締約国は、当該通告の日の後60日以内にそれぞれの異議を再確認することができる。当該勧告は、この期間の満了した時に効力を生ずるが、定められた期間内に異議を申し立て、かつ、再確認をした締約国については、この限りでない。
(f)(a)及び(b)の規定に従いいずれかの勧告に対して異議を申し立てた締約国が全体の4分の1以上であるが過半数には満たないときは、その勧告は、これに対し異議を申し立てなかつた締約国について効力を生ずる。
(g)過半数の締約国が異議を申し立てたときは、勧告は、効力を生じない。
4 勧告に対して異議を申し立てた締約国は、いつでも、その異議を撤回することができる。その勧告は、それがすでに効力を生じているものである場合には直ちに、その他の場合にはそれがこの条の規定に基づいて効力を生ずる時に、その締約国について効力を生ずる。
5 委員会は、異議及び異議の撤回の通告を受領したとき並びに勧告の効力が発生したときは、直ちに、それぞれその旨を各締約国に通告するものとする。
第9条  
1 締約国は、この条約の実施を確保するために必要なすべての措置を執ることに同意する。各締約国は、2年ごとに又は委員会が要求する時期に、この目的のために自国が執つた措置についての報告を委員会に送付するものとする。
2 締約国は、次のことに同意する。
(a)委員会の要求があつたときは、委員会がこの条約のために必要とすることがある統計上、生物学上その他の科学的情報で入手可能なものを提供すること。
(b)締約国の官公署が前記の情報を得られず、かつ、それを提供することができないときは、委員会が、締約国を通じて、会社及び個個の漁業者が提供することに同意する情報を直接に入手することを認めること。
3 締約国は、この条約の規定の適用を確保するために適切かつ有効な措置を執る目的で相互に協力するものとし、特に、条約区域(領海及び、いずれかの国が国際法に基づいて漁業管轄権を行使する権利を有する他の水域がある場合には、その水域を除 く。)に適用する国際的取締りの制度を設けるものとする。
第10条  
1 委員会は、各通常会議に続く2年の期間の委員会の共同経費の予算を採択する。
2 締約国は、毎年、委員会の予算のために、次に定める金額に等しい金額を拠出する。
(a)委員会の構成員として、1,000ドル(一千アメリカ合衆国ドル)
(b)各小委員会の構成員として、1,000ドル(一千アメリカ合衆国ドル)
(c)いずれかの2年の期間の共同経費のために提案された予算が(a)及び(b)の規定に従つて締約国が拠出する分担金の総額をこえる場合には、その超過分の3分の1は、(a)及び(b)の規定に従つて拠出される分担金に比例して締約国が拠出する。残余の3分の2については、委員会は、最近の入手可能な情報を基礎として、
(ⅰ)各締約国について、大西洋のまぐろ類の漁獲量(未処理の形態における重量とする。)及びこれらの魚類のかん詰製品の純重量の合計量
(ⅱ)すべての締約国の(ⅰ)の合計量を決定する。
 各締約国は、残余の3分の2のうち、(ⅰ)による自国の合計量の(ⅱ)合計量に対する比率に従つて算出されるその割当額を拠出する。この(c)に規定する予算の部分に関する決定は、出席しかつ投票するすべての締約国の合意による。
3 理事会は、委員会の通常会議と次の通常会議との間に開かれる理事会の会議で、2年の期間の後半期の予算を再検討し、かつ、現在の状況及び予想される事態の進展に基づいて、委員会が承認した総予算の範囲内で、委員会の第2年度予算の再配分を行なうことかできる。
4 委員会の事務局長は、各締約国に各年のそれぞれの割当額を通告する。これらの分担金については、その年の1月1日にその支払の義務が生ずる。次の年の1月1日前に受領されなかつた分担金は、延滞金とみなされる。
5 2年の期間の予算のための分担金は、委員会が決定する通貨により支払うものとする。
6 委員会は、その第1回会議において、委員会が任務を開始した最初の年の残余の期間及びこれに続く2年の期間の予算を承認する。委員会は、直ちに、これらの予算書の写し及び第1回年次分担金のためのそれぞれの割当額の通告書を各締約国に送付する。
7 その後は、いずれかの2年の期間に先だつて開かれる委員会の通常会議の少なくとも60日以前に、事務局長は、その2年の期間の予算案及び割当額の明細表の案を各締約国に提出する。
8 委員会は、いずれかの締約国の分担金の延滞額が当該年度に先だつ2年間に支払うべき分担金の額以上になるときは、その締約国の投票権を停止することができる。
9 委員会は、年次分担金を受領する前において委員会の運営費をまかなうため及び委員会が定めるその他の目的のため、運転資本基金を設置する。委員会は、この基金の額を決定し、その設置に必要な前借金の額を査定し、及びその利用を規制する規則を採択する。
10 委員会は、委員会の会計について、毎年、独立の監査が行なわれるように取り計らう。この監査報告は、委員会によつて、又は委員会の通常会議が開かれない年には理事会によつて、審査され、かつ、承認されなければならない。
11 委員会は、その業務の遂行のため、2に規定する分担金のほか、寄附を受けることができる。
第11条  
1 締約国は、委員会と国際連合食糧農業機関との間には業務上の関係がなければならないことに同意する。このため、委員会は、国際連合食糧農業機関憲章第13条の規定に従つて国際連合食糧農業機関と協定を締結するための交渉を行なうものとする。この協定は、特に、国際連合食糧農業機関の事務局長が委員会及びその補助機関のすべての会議に投票権なしで参加する代表者1人を任命することを定めるものでなければならない。
2 締約国は、委員会と委員会の業務に寄与することができる他の国際漁業委員会及び科学的国際機関との間には協力が行なわれなければならないことに同意する。委員会は、そのような国際委員会及び国際機関と協定を締結することができる。
3 委員会は、適当な国際機関又は国際連合若しくは国際連合専門機関の加盟国の政府で委員会の構成員でないものに対し、委員会及びその補助機関の会議にオブザーバーを送るように招請することができる。
第12条  
1 この条約は、10年間効力を有し、その後も、締約国の過半数がこの条約を終了させることに同意するまで、効力を存続する。
2 この条約の効力発生の日から10年の後はいつでも、いずれの締約国も、10年目の年又はその後のいずれかの年の12月31日に、その前年の12月31日以前に国際連合食糧農業機関の事務局長にあてた書面による脱退の通告を行なうことによつて、この条約から脱退することができる。
3 その場合、いずれの他の締約国も、国際連合食糧農業機関の事務局長から脱退に関する情報を受領した日から1箇月以内に、かつ、おそくともその年の4月1日以前に国際連合食糧農業機関の事務局長にあてた書面による脱退の通告を行なうことによつて、その年の12月31日にこの条約から脱退することができる。
第13条  
1 いずれかの締約国又は委員会は、この条約に対する改正を提案することができる。国際連合食糧農業機関の事務局長は、改正案の認証謄本をすべての締約国に送付する。新たな義務を含まない改正は、締約国の4分の3による受諾の後30日目の日にすべての締約国について効力を生ずる。新たな義務を含む改正は、締約国の4分の3による受諾の後90日目の日に改正を受諾した締約国について効力を生じ、その後は、その他の締約国については、それぞれによる受諾の日に効力を生ずる。一又は二以上の締約国によつて新たな義務を含むものとされた改正は、新たな義務を含む改正とみなされ、その手続に従い効力を生ずる。この条約の改正がこの条の規定に従つて受諾のために開放された後に締約国となる政府は、その改正が効力を生じた時に改正後の条約の規定に拘束される。
2 改正案は、国際連合食糧農業機関の事務局長に寄託される。改正の受諾の通告は、国際連合食糧農業機関の事務局長に寄託される。
第14条  
1 この条約は、国際連合又はそのいずれかの専門機関の加盟国の政府による署名のために開放される。そのような政府でこの条約に署名しなかつたものも、いつでも、この条約に加入することができる。
2 この条約は、各署名国によりその憲法の規定に従い批准され、又は承認されなければならない。この条約の批准書、承認書又は加入書は、国際連合食糧農業機関の事務局長に寄託される。
3 この条約は、7の政府が批准書、承認書又は加入書を寄託した時に効力を生じ、その後に批准書、承認書又は加入書を寄託する政府については、それぞれの寄託の日に効力を生ずる。
第15条 国際連合食糧農業機関の事務局長は、批准書、承認書又は加入書の寄託、この条約の効力発生、改正のための提案、改正の受諾の通告、改正の効力発生及び脱退の通告を第14条1に定めるすべての政府に通告する。
第16条 この条約の原本は、国際連合食糧農業機関の事務局長に寄託するものとし、同事務局長は、第14条1に定める政府にその認証謄本を送付するものとする。
以上の証拠として、それぞれの政府から正当に委任を受けた代表者は、この条約に署名した。
1966年5月14日にリオ・デ・ジャネイロで、ひとしく正文である英語、フランス語及びスペイン語により本書一通を作成した。