houko.com 

船員の厚生用物品に関する通関条約

  昭和43・6・28・条約 12号  
発効昭和43・9・15・外務省告示152号  
船員の厚生用物品に関する通関条約をここに公布する。
前文
関税協力理事会が国際労働機関の発議に基づき、かつ、同機関の協力を得て作成したこの条約の締約国は、
国際海上交通に従事する船舶に乗り組んでいる船員の厚生を増進することを希望し、
厚生用物品の移動及び船員によるそれらの物品の利用を容易にするための統一的な通関規則を採用することがこの目的の達成に資することを確信して、
次のとおり協定した。

第1章 定義及び適用範囲

第1条 この条約の適用上、
(a)「厚生用物品」とは、船員の文化上、教育上、レクリエーシヨン上、宗教上又はスポーツ上の活動のための物品をいい、この条約の附属書の表(限定的なものではない。)に掲げる読書用物品、視聴覚用物品、スポーツ用物品、趣味娯楽用物品及び宗教用物品(法衣を含む。)を含むものとする。
(b)「船員」とは、船舶に乗り組み、その運航その他海上における船舶の役務の遂行を任務とする者をいう。
(c)「厚生用施設」とは、公の機関又は宗教団体その他の非営利的団体が船員のために運営するホステル、クラブ及びレクリエーション・センター並びに船員のために礼拝が常時行なわれる場所をいう。
(d)「輸入税」とは、関税及び物品の輸入について又はそれに関連して徴収される他のすべての租税、手数料その他の課徴金をいい、提供された役務の費用の概算額を限度とする額の手数料及び課徴金を含まない。
(e)「批准」とは、批准、受諾又は承認をいう。
(f)「理事会」とは、1950年12月15日にブラッセルで作成された関税協力理事会を設立する条約により設立された機関をいう。
第2条 この条約は、国際海上交通に従事する外国船舶に乗り組んでいる船員による使用のための厚生用物品の締約国の領域への輸入について適用する。

第2章 船内で使用される厚生用物品に与えられる便益

第3条  
1 締約国は、厚生用物品に対し、第4条に掲げる場合において、再輸出を条件として、次のものについての免除を与えることを約束する。
(a)輸入税
(b)公衆道徳、公安若しくは公衆衛生に関する規則又は動植物防疫上の考慮に基づいて行なわれる禁止及び制限以外のすべての禁止及び制限
2 締約国は、これらの便益をできる限り簡易かつ迅速な手続により与えなければならない。
3 公衆道徳の保護を目的として課される禁止及び制限に関する規定の適用は、第4条(a)、(b)及び(c)に掲げる場合における厚生用物品のすみやかな移動を妨げるものであつてはならない。
第4条 第3条に規定する便益は、次の場合に、厚生用物品に与えられるものとする。
(a)国際海上交通に従事する外国船舶で締約国の領域の港に停泊中のものに積み込まれ、かつ、その船内で使用されるため、当該締約国の領域に輸入される場合
(b)国際海上交通に従事する外国船舶で停泊中のものに積み替えられ、かつ、その船内で使用されるため、同一港又は同一領域内の他の港において他の船舶から荷卸しされる場合
(c)再輸出されるため、船舶から荷卸しされる場合
(d)修理に向けられる場合
(e)(a)、(b)又は(c)に規定する処理を待つている場合
(f)港における当該船舶の停泊期間をこえない期間その船舶の乗組員の陸上における一時的使用に供されるため、その船舶から陸揚げされる場合

第3章 厚生用施設における使用のための厚生用物品に与えられる便益

第5条 第3条に規定する便益は、厚生用施設における使用のために6箇月をこえない期間につき一時的に輸入される厚生用物品に対しても、管理上必要とされる最少限度の手続に従うことを条件として、与えられるものとする。

第4章 雑則

第6条 この条約の規定は、与えられるべき最少限度の便益を定めたものとする。この条約の規定は、いずれかの締約国が一方的に、又は二国間及び多数国間の協定に基づいて、現在与えており、又将来与えることがある一層広い範囲の便益の供与を妨げるものではない。
第7条 この条約の適用上、関税同盟又は経済同盟を構成する二以上の締約国の領域は、単一の領域とみなすことができる。
第8条 すり換え、虚偽の申告又はなんらかの行為により、いずれかの者又は物品がこの条約に定める便益を不当に受けることとなる場合には、当該行為が行なわれた国において、その国の法令の定めるところに従つて行為者を刑罰に処し、及び課すべき輸入税をその行為者から徴収することができる。
第9条 この条約の附属書は、この条約の不可分の一部とする。

第5章 最終規定

第10条  
1 締約国は、この条約の運用を検討するため、特に、この条約の解釈及び適用の統一を確保するための措置を検討するため、必要に応じ会合するものとする。
2 その会合は、いずれかの締約国の要請に基づいて理事会の事務総局長が招集する。その会合は、締約国が別段の決定を行なう場合を除くほか、理事会の本部で開催するものとする。
3 締約国は、会合に関する手続規則を定める。締約国の決定は、会合に出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数により行なわれる。
4 締約国は、過半数の締約国が出席しない限り、いかなる事項についても決定を行なうことができない。
第11条  
1 この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争は、できる限り当該締約国間の交渉により解決しなければならない。
2 交渉により解決されない紛争は、紛争当事国が、第10条の規定に従つて会合する締約国に付託するものとし、会合する締約国は、その紛争を審議し、かつ、解決のための勧告を行なうものとする。
3 紛争当事国は、あらかじめ、締約国の前記の勧告を拘束力を有するものとして受諾することを合意することができる。
第12条  
1 理事会の構成国並びに国際連合及びその専門機関の加盟国は、次のいずれかの方法により、この条約の締約国となることができる。
(a)批准につき留保を附さないで署名すること。
(b)批准を条件として署名し、その後に批准書を寄託すること。
(c)加入すること。
2 この条約は、ブラッセルにある理事会の本部で、1に規定する国の署名のため、1965年9月30日まで開放しておく。その後は、この条約は、それらの国の加入のため開放しておく。
3 1に掲げる期間の加盟国でない国で、締約国の要請により理事会の事務総局長がこの条約への加入を招請するものは、この条約の効力発生後にこの条約に加入することにより、この条約の締約国となることができる。
4 批准書又は加入書は、理事会の事務総局長に寄託するものとする。
第13条  
1 この条約は、第12条1に規定する国のうち五国が批准につき留保を附さないで署名し、又は批准書若しくは加入書を寄託した後3箇月で効力を生ずる。
2 五国が批准につき留保を附さないでこの条約に署名し又はその批准書若しくは加入書を寄託した後に、批准につき留保を附さないでこの条約に署名し、これを批准し、又はこれに加入する国については、この条約は、その国が批准につき留保を附さないで署名し、又は批准書若しくは加入書を寄託した後3箇月で効力を生ずる
第14条  
1 この条約は、無期限に効力を有する。ただし、いずれの締約国も、第13条の規定に基づくこの条約の効力発生の日の後はいつでも、この条約を廃棄することができる。
2 廃棄は、文書による通告を理事会の事務総局長に寄託することにより行なう。
3 廃棄は、理事会の事務総局長が廃棄の通告書を受領した後6箇月で効力を生ずる。
第15条  
1 締約国は、第10条の規定に従つて行なわれる会合において、この条約の改正を勧告することができる。
2 勧告されたこの条約の改正の本文は、理事会の事務総局長が、すべての締約国、他のすべての署名国、国際連合事務総長及び国際労働事務局長に送付する。
3 締約国は、勧告された改正が送付された日の後6箇月以内に次のことを理事会の事務総局長に通告することができる。
(a)勧告された改正に対し異議があること。
(b)勧告された改正を受諾する意思を有するが、その受諾に必要な条件が自国においてまだ満たされていないこと。
4 3(b)に定めるところに従い理事会の事務総局長に通告を行なつた締約国は、勧告された改正の受諾を事務総局長に通告していない限り、3に定める6箇月の期間の満了後9箇月の期間内にその改正に対し異議を申し立てることができる。
5 勧告された改正に対する異議が3又は4の規定に従つて申し立てられたときは、その改正は、受諾されなかつたものとされ、かつ、いかなる効力をも有しないものとする。
6 勧告された改正に対するいかなる異議も3又は4の規定に従つて申し立てられなかつたときは、その改正は、次に定める日から受諾されたものとされる。
(a)いずれの締約国も3(b)の規定に従つて通告を行なわなかつたときは、3に定める6箇月の期間の満了の日
(b)いずれかの締約国が3(b)の規定に従つて通告を行なつたときは、次の二の日のうちのいずれか早い日
(ⅰ)当該通告を行なつたすべての締約国が理事会の事務総局長に対し勧告された改正の受諾を通告した日。ただし、すべての受諾が3に定める6箇月の期間の満了前に通告された場合には、その6箇月の期間の満了の日とする。
(ⅱ)4に定める9箇月の期間の満了の日
7 受諾されたものとされた改正は、受諾されたものとされた日の後6箇月で効力を生ずる。
8 理事会の事務総局長は、すべての締約国及び他の署名国に対し、勧告された改正に対する3(a)の規定による異議の申立て及び3(b)の規定に従つて受領した通告をできる限りすみやかに通報するものとする。理事会の事務総局長は、その後、3(b)の規定による通告を行なつた締約国が勧告された改正に対し異議を申し立てたか又はこれを受諾したかをすべての締約国及び他の署名国に通報しなければならない。
9 この条約を批准し又はこれに加入する国は、批准書又は加入書の寄託の日に効力を生じていたこの条約のいずれの改正をも受諾したものとみなす。
第16条  
1 いずれの国も、批准につき留保を附さないでこの条約に署名し、若しくは批准書若しくは加入書を寄託する際に、又はその後いつでも、理事会の事務総局長にあてた通告により、自国が国際関係について責任を有する領域の全部又は一部にこの条約を適用する旨を宣言することができる。この通告は、理事会の事務総局長が受領した日の後3箇月で効力を生ずる。ただし、この条約は、それが当該国について効力を生ずる前は、前記の通告に掲げる領域に適用しない。
2 1の規定に基づき自国が国際関係について責任を有するいずれかの領域にこの条約を適用する旨を理事会の事務総局長に通告した国は、第14条の規定に従つて、その領域へのこの条約の適用を終止する旨を理事会の事務総局長に通告することができる。
第17条  
1 いずれの国も、この条約の署名、批准又は加入の際に、自国が第5条の規定の拘束を受けない旨を宣言することができ、また、この条約の締約国となつた後は、理事会の事務総局長にその旨を通告することができる。この通告は、事務総局長が受領した日の後3箇月で効力を生ずる。
2 1に定めるところに従つて留保を行なつた締約国は、理事会の事務総局長に通告することにより、いつでもその留保を撤回することができる。
3 この条約に対しては、その他のいかなる留保も許されない。
第18条 理事会の事務総局長は、すべての締約国、他の署名国、国際連合事務総長及び国際労働事務局長に対し、次の事項を通告する。
(a)第12条の規定に基づく署名、批准及び加入
(b)第13条の規定に基づくこの条約の効力発生の日
(c)第14条の規定に基づく廃棄
(d)第15条の規定に従つて受諾されたものとされた改正及びその効力発生の日
(e)第16条の規定に従つて受領された通告
(f)第17条の規定に従つて行なわれた宣言及び通告並びに留保又はその撤回が効力を生じた日
第19条 この条約は、国際連合憲章第102条の規定に従い、理事会の事務総局長の要請により国際連合事務局に登録される。
以上の証拠として、下名は、このために正当に委任を受け、この条約に署名した。
1964年12月1日にブラッセルで、ひとしく正文である英語及びフランス語により原本一通を作成した。その原本は、理事会の事務総局長に寄託するものとし、事務総局長は、その認証謄本を第12条1に規定するすべての国に送付するものとする。
(署名欄略)