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1960年の海上における人命の安全のための国際条約

  昭和40・1・20・条約  1号  
発効昭和40・5・26・外務省告示 14号  
1960年の海上における人命の安全のための国際条約をここに公布する。
アルゼンティン共和国、オーストラリア連邦、ベルギー王国、ブラジル合衆国、ブルガリア人民共和国、カメルーン、カナダ、中華民国、キューバ共和国、チェッコスロヴァキア共和国、デンマーク王国、ドミニカ共和国、フィンランド共和国、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、ギリシャ王国、ハンガリー人民共和国、アイスランド共和国、インド共和国、アイルランド、イスラエル国、イタリア共和国、日本国、大韓民国、クウェイト、リベリア共和国、メキシコ合衆国、オランダ王国、ニュー・ジーランド、ノールウェー王国、パキスタン、パナマ共和国、ペルー共和国、フィリピン共和国、ポーランド人民共和国、ポルトガル共和国、スペイン国、スウェーデン王国、スイス連邦、ソヴィエト社会主義共和国連邦、アラブ連合共和国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、アメリカ合衆国、ヴェネズエラ共和国及びユーゴースラヴィア人民連邦共和国の政府は、合意により画一的な原則及び規則を設定することによつて、海上における人命の安全を増進することを希望し、
この目的が1948年の海上における人命の安全のための国際条約に代わる条約の締結により最も良く達成することができることを考慮し、
次のとおりその全権委員を任命した。
アルゼンティン共和国
ロンドン所在アルゼンティン大使館付海軍武官、海軍大佐 カルロス・A・サンチェス・サニュード
アルゼンティン共和国海事局検査長官 マルコス・H・C・カルゾラリ
アルゼンティン商船隊次長 ニコラス・G・パラシオス
オーストラリア連邦
海運運輸省海運担当次官補 トーマス・ノリス
ベルギー王国
ロンドン駐在ベルギー特命全権大使 R・L・ファン・メールベッケ
通信省海運局長 R・E・ファンクレネスト
ブラジル合衆国
ブラジル海軍参謀次長、ブラジル海運委員会代表、海軍少将 ルイス・クロヴィス・デ・オリヴェイラ
ブルガリア人民共和国
ロンドン駐在ブルガリア特命全権公使 ゲオルギ・ペトロフ・ゼングイレコフ
運輸省海運局技師長、技師 ペトコ・ドコフ・ドイノフ
カメルーン
海運局首席管理官(二等) シャルロ・サゲス
カナダ
連合王国駐在カナダ高等弁務官 ジョージ・A・ドルー
運輸省海運局長 アラン・カミン
中華民国
イラン駐在中華民国大使 呉南如
キューバ共和国
チェッコスロヴァキア共和国
ロンドン駐在チェッコスロヴァキア特命全権大使 ミロスラフ・ガルーシュカ
デンマーク王国
王室貿易省海運局長 ヨルゲン・ウォルム
王室貿易省課長代理 アンデルス・バック
ドミニカ共和国
ロンドン駐在ドミニカ特命全権大使、ドクトル エクトル・ガルシア=ゴドイ
フィンランド共和国
航行庁首席船舶検査官 ヴォルマリ・セルッケ
フランス共和国
海運局長 ギルベール・グランヴァル
ドイツ連邦共和国
ロンドン駐在ドイツ連邦共和国特命全権大使 ハンス・ヘルヴァルツ・フォン・ビッテンフェルト
連邦運輸省海運局長、ドクトル カルル・シューバート
ギリシャ王国
海運省局長、船長 パナイヨティス・S・パゴニス
ハンガリー人民共和国
ロンドン駐在ハンガリー人民共和国公使 ベーラ・シラージ
アイスランド共和国
海運局長 ハルマール・R・バルダルソン
海運局次長 ポール・ラグナルソン
インド共和国
運輸通信省次官 R・L・グプター
アイルランド
ロンドン所在アイルランド大使館参事官 ヴァレンティン・イレモンガー
イスラエル国
運輸通信省法律顧問、ヘブライ大学(エルサレム)講師 アイゼック・ヨセフ・ミンツ
ロンドン所在イスラエル大使館一等書記官 モシュ・オフェル
イタリア共和国
海運省局長、ドクトル フェルナンド・ギリア
日本国
ロンドン所在日本国大使館特命全権公使 中川融
運輸省船舶局長 水品政雄
大韓民国
ロンドン所在韓国大使館参事官 朴東鎮
クウェイト
クウェイト港事務局長 モハマッド・クワバザード
リベリア共和国
ロンドン駐在リベリア特命全権大使 ジョージ・T・ブリューワー(ジュニア)
法務次官補 エドワード・R・ムーア
ロイド船級協会次席船舶検査員 ジョージ・ブッカナン
造船技師、造機技師、検査員 E・B・マッククロハン(ジュニア)
メキシコ合衆国
 
オランダ王国
海運検査長官、王室海軍大佐(退役) C・ムーレンブルホ
海運検査長官技術顧問、造船技師 E・スミット・FZN
ニュー・ジーランド
海事大臣 ウィリァム・アーサー・フォックス
海事省首席船舶検査官 ヴィクター・ジョージ・ボイヴィン
ノールウェー王国
王室通商海運省海運航行検査長官、船長 K・J・ヌーベルト・ウイー
王室通商海運省部長 モドルフ・ハレイド
パキスタン
連合王国駐在高等弁務官、陸軍中将 モハメッド・ユスフ
パナマ共和国
パナマ共和国海運局長 ホエル・メディナ
ペルー共和国
ロンドン駐在特命全権大使、ドクトル リカルド・リベラ・シュレイベル
フィリピン共和国
関税長官 エルーテリオ・カパパス
関税局船体ボイラ検査部長、技師 アガスティン・マタイ
関税局首席法律顧問、弁護士 カシミロ・カルワグ
ポーランド人民共和国
海運省行政委員 ルドヴィク・シマンスキ
ポーランド船舶登録局長 ウラジスラフ・ミレフスキ
ポルトガル共和国
ロンドン駐在ポルトガル特命全権大使、陸軍大将 アドルフォ・アブランシェス・ピント
海運検査長官、漁業委員会造船技師、海軍中佐 ジョアキン・カルロス・エステヴェス・カルドーゾ
首席電気無線検査官、電気技師、海軍少佐 アントニオ・J・ベロ・デ・カルヴァーリョ
首席航行安全検査官、水路技師、海軍少佐 マヌエル・アントゥネス・ダ・モタ
スペイン王国
 
スウェーデン王国
海運航行庁長官、ドクトル カール・ヨスタ・ウィーデル
スイス連邦
ロンドン駐在スイス特命全権大使 アルミン・デニカー
ソヴィエト社会主義共和国連邦
ロンドン駐在ソヴィエト社会主義共和国連邦特命全権大使 アレクサンドル・A・ソルダートフ
ソヴィエト社会主義共和国連邦海運省参与、船長 アレクサンドル・A・サヴェリエフ
アラブ連合共和国
港務燈台局次長、海軍中佐(退役) アドナン・ロースタン
グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国
サー・ギルモア・ジェンキンス
運輸省次官補 パーシー・フォークナー
運輸省局長 デニス・C・ヘイゼルグローヴ
アメリカ合衆国
合衆国沿岸警備隊長官、海軍大将 アルフレッド・C・リッチモンド
国務省海運局長 ロバート・T・メリル
ヴェネズエラ共和国
ロンドン駐在ヴェネズエラ特命全権大使、ドクトル イグナシオ・イリパレン・ボルヘス
通信省海運技術検査部長、海軍大佐 アントニオ・ピカルディ
ロンドン所在ヴェネズエラ大使館付海軍武官、海軍大佐 アルマンド・デ・ペドラサ・ペレイラ
ユーゴースラヴィア人民連邦共和国
連邦執行評議会交通通信部次官 リュビサ・ヴェセリノヴィチ

これらの全権委員は、その全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次のとおり協定した。
第1条 
(a)締約政府は、この条約及びこの条約に附属してその不可分の1部をなすと認められる規則の規定を実施することを約束する。この条約の引用は、同時にこれらの規則の引用をも含むものとする。
(b)締約政府は、船舶が、人命の安全の見地から、その目的とする用途に適合することを確保するように、この条約を十分かつ完全に実施するために必要なすべての法律、政令、命令及び規則を制定し並びにその他のすべての措置を執ることを約束する。
第2条 この条約の適用を受ける船舶は、政府が締約政府である国で登録される船舶及び第13条の規定に基づいてこの条約の適用を受ける地域で登録される船舶である。
第3条 法律、規則
 締約政府は、次のものを政府間海事協議機関(以下「機関」という。)に送付し、かつ、寄託することを約束する。
(a)海上における人命の安全のための措置を当該政府に代わつて執る権限を与えられた非政府機関の名簿で、締約政府にその職員への情報として回章するためのもの
(b)この条約の範囲内の諸種の事項について制定される法律、政令、命令及び規則の本文
(c)この条約の規定に基づいて発行される証書の十分な数の見本で、締約政府にその職員への情報として回章するためのもの
第4条 不可抗力の場合
(a)発航の時にこの条約の規定の適用を受けない船舶は、荒天その他の不可抗力により予定の航海を変更したためにこの条約の規定の適用を受けることとなることはない。
(b)不可抗力によつて又は難船者その他の者を輸送すべき船長の義務の結果として乗船している者は、船舶に対するこの条約の規定の適用の確認に当たつては計算に入れない。
第5条 非常の際の人員の輸送
(a)締約政府は、人命の安全に対する脅威を避けるために一地域から人員を移動することを目的とする場合においては、他の場合にこの条約に基づいて許される数をこえる人員を自国の船舶で輸送することを許可することができる。
(b)この許可は、他の締約政府がその港に入つたこのような船舶をこの条約に基づいて監督する権利を奪うものではない。
(c)この許可を与える締約政府は、その許可の通告を、事情の説明を添えて、機関に送らなければならない。
第6条 戦争の場合における停止
(a)戦争その他の敵対行為の場合には、交戦国としてであると中立国としてであるとを問わず、これにより影響を受けると考える締約政府は、この条約に附属する規則の全部又は一部の適用を停止することができる。停止を行なう政府は、直ちにこの停止を機関に通告しなければならない。
(b)この停止は、停止を行なう政府の船舶が他の締約政府の港内にあるときに当該他の締約政府がこの条約に基づいてその船舶を監督する権利を奪うものではない。
(c)停止を行なう政府は、いつでもこの停止を終了させることができる。その政府は、直ちにこの終了を機関に通告しなければならない。
(d)機関は、この条の規定に基づく停止又は停止の終了をすべての締約政府に通告しなければならない。
第7条 従前の条約
(a)この条約は、締約政府間において、1948年6月10日にロンドンで署名された海上における人命の安全のための国際条約に代わり、かつ、これを廃止する。
(b)海上における人命の安全又はこれに関連する事項に関する他のすべての条約及び取極で、この条約の当事者たる政府の間に現に効力を有するものは、その有効期間中、次のものについて引き続き十分かつ完全な効力を有する。
(i)この条約が適用されない船舶
(ii)この条約が適用される船舶についてこの条約に明文の規定がない事項
(c)もつとも、このような条約又は取極がこの条約の規定に抵触する限りにおいて、この条約の規定が優先する。
(d)この条約に明文の規定がないすべての事項は、締約政府の法令の規律に従う。
第8条 合意によつて作成された特別規則
 この条約に従い、締約政府の全部又は一部の間の合意によつて特別規則が作成されたときは、その規則は、すべての締約政府に回章するため機関に送付しなければならない。
第9条 改正
(a)(i)この条約は、締約政府間の全員一致の合意によつて改正することができる。
(ii)機関は、いずれかの締約政府の要請があつたときは、改正案を、審議及び(a)の規定に基づく受諾のため、すべての締約政府に送付する。
(b)(i)いずれの締約政府も、この条約の改正を、いつでも、機関に提案することができる。機関は、機関の海上安全委員会(以下「海上安全委員会」という。)が3分の2の多数によつて採択した勧告に基づいて機関の総会(以下「総会」という。)が3分の2の多数によつてこの提案を採択したときは、これを、受諾のため、すべての締約政府に送付する。
(ii)機関は、総会による審議の少なくとも六箇月前に、海上安全委員会のこの勧告を、審議のため、すべての締約政府に送付する。
(c)(i)機関は、締約政府の3分の1の要請があつたときは、いつでも、いずれかの締約政府が提案したこの条約の改正を審議する政府会議を招集する。
(ii)機関は、この会議が締約政府の3分の2の多数によつて採択した改正を、受諾のため、すべての締約政府に送付する。
(d)(b)又は(c)の規定に基づいて受諾のため締約政府に送付される改正は、海上安全委員会に代表者を出している政府の3分の2を含めて締約政府の3分の2が受諾した日の後十二箇月で、すべての締約政府に対して効力を生ずる。ただし、改正を受諾しない旨の宣言を改正の効力発生前に行なつた政府については、この限りでない。
(e)改正が重要な性質のものであるときは、その採択の際に、総会にあつては海上安全委員会に代表者を出している政府の3分の2を含む3分の2の多数により、かつ、この条約の締約政府の3分の2の同意を条件として、また、(c)の規定に基づいて招集される会議にあつては3分の2の多数によつて、(d)の規定に基づく宣言を行なつた締約政府で改正の効力発生後十二箇月の期間内に改正を受諾しないものはこの期間の満了の時にこの条約の当事国でなくなることを決定することができる。
(f)この条の規定に基づいて行なわれるこの条約の改正で船舶の構造に関するものは、その改正が効力を生じた日の後にキールを据え付けた船舶にのみ適用する。
(g)機関は、この条の規定に基づいて効力を生ずる改正をそれが効力を生ずる日とともにすべての締約政府に通報する。
(h)この条の規定に基づく受諾又は宣言は、機関に対する通告書により行なう。機関は、受諾又は宣言の受領をすべての締約政府に通告する。
第10条 署名及び受諾
(a)この条約は、本日から一箇月間署名のため開放され、その後は、受諾のため開放される。国の政府は、次のいずれかの方法によりこの条約の当事者となることができる。
(i)受諾につき留保を附さないで署名すること。
(ii)受諾を条件として署名し、後に受諾すること。
(iii)受諾すること。
(b)受諾は、機関に文書を寄託することにより行なう。機関は、受領した受諾及びその受領の日をすでにこの条約を受諾したすべての政府に通報する。
第11条 効力発生
(a)この条約は、それぞれ100万総トン以上の船腹を有する七の国を含めて十五以上の国の受諾が第10条の規定に従つて寄託された日の後十二箇月で効力を生ずる。機関は、この条約に署名し、又はこれを受諾したすべての政府に、この条約の効力発生の日を通報する。
(b)この条約の効力発生の日の後に寄託された受諾は、寄託の日の後三箇月で効力を生ずる。
第12条 廃棄
(a)締約政府は、その政府についてこの条約が効力を生じた日から五年を経過した後は、いつでもこれを廃棄することができる。
(b)廃棄は、機関にあてた通告書により行なう。機関は、受領した廃棄及びその受領の日を他のすべての締約政府に通告する。
(c)廃棄は、機関による通告書の受領の後一年で、又は通告書に明記するこれより長い期間の後効力を生ずる。
第13条 地域
(a)(i)いずれかの地域の施政権者である場合の国際連合又はいずれかの地域の国際関係について責任を有する締約政府は、この条約をその地域に適用するため、できる限りすみやかにその地域と協議しなければならず、また、機関に対する通告書により、この条約をその地域に適用することをいつでも宣言することができる。
(ii)この条約は、通告書の受領の日又は通告書に明記する他の日から、通告書に掲げる地域に適用する。
(b)(i)(a)の規定に基づいて宣言を行なつた国際連合又は締約政府は、この条約がいずれかの地域に適用された日から五年の期間が経過した後は、いつでも、機関に対する通告書により、この条約がその通告書に掲げる地域に適用されなくなることを宣言することができる。
(ii)この条約は、機関が通告書を受領した日の後一年で、又は通告書に明記するこれより長い期間の後、その通告書に掲げる地域に適用されなくなる。
(c)機関は、(a)の規定の基づくこの条約のいずれかの地域への適用及び(b)の規定に基づくその適用の終了を、この条約が適用された日又は適用されなくなる日をそれぞれの場合に明示して、すべての締約政府に通報する。
第14条 登録 
(a)この条約は、機関の記録に寄託する。機関の事務局長は、その認証謄本をすべての署名政府及びこの条約を受諾する他のすべての政府に送付する。
(b)この条約が効力を生じたときは、、機関は、直ちにこれを国際連合事務総長に登録する。以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
1960年6月17日にロンドンで、ひとしく正文である英語及びフランス語により本書一通を作成した。
原本は、ロシア語及びスペイン語の訳文とともに政府間海事協議機関に寄託する。
(署名欄・略)
(規則)

第1章 一般規定

A部 適用、定義等

第1規則 適用
(a)この規則は、別段の明文の規定がない限り、国際航海に従事する船舶についてのみ適用する。
(b)各章の規定の適用を受ける船舶の種類は、各章で一層明確に定め、かつ、これらの規定の適用範囲は、各章で示す。
第2規則 定義
 別段の明文の規定がない限り、この規則の適用上、
(a)「規則」とは、この条約の第1条(a)にいう規則をいう。
(b)「主管庁」とは、船舶が登録された国の政府をいう。
(c)「承認」とは、主管庁の承認をいう。
(d)「国際航海」とは、この条約が適用される一国から国外の港に至る航海又はその逆の航海をいう。この場合において、締約政府が国際関係について責任を有する地域又は国際連合が施政権者である地域は、別個の国とみなす。
(e)「旅客」とは、次に掲げる者以外の者をいう。
(i)船長及び船員並びに、資格のいかんを問わず、乗船して船舶の業務に雇用され又は従事するその他の者
(ii)一歳未満の乳児
(f)「旅客船」とは、十二人をこえる旅客を輸送する船舶をいう。
(g)「貨物船」とは、旅客船でない船舶をいう。
(h)「タンカー」とは、引火性の液体貨物のばら積み輸送のために建造し又は改造した貨物船をいう。
(i)「漁船」とは、魚類、鯨類、あざらし、せいうちその他の海洋生物資源を採捕するために使用する船舶をいう。
(j)「原子力船」とは、原子力施設を備えた船舶をいう。
(k)「新船」とは、この条約の効力発生の日以後にキールを据え付ける船舶をいう。
(l)「現存船」とは、新船でない船舶をいう。
(m)1海里は、6080フィート又は1852メートルとする。
第3規則 適用除外
(a)この規則は、別段の明文の規定がない限り、次のものには適用しない。
(i)軍艦および軍隊輸送船
(ii)総トン数500トン未満の貨物船
(iii)機械で推進されない船舶
(iv)ダウ、ジャンク等の原始的構造の木船
(v)運送業に従事しない遊覧ヨット
(vi)漁船
(b)この規則は、第5章に明文で規定する場合を除くほか、もつぱら北アメリカの大湖及びセント・ローレンス河の水域であつて、ロージャー岬とアンティコスティ島のウエスト・ポイントとを結ぶ直線(アンティコスティ島の北側については西経63度の線)を東端とするものを航行する船舶には、適用しない。
第4規則 免除
 主管庁は、通常は国際航海に従事しない船舶で例外的状況において単一の国際航海を行なう必要が生じたものについては、この規則のいずれの要件も免除することができる。ただし、この船舶が行なうべき航海に適当であると主管庁が認める安全要件に従うことを要する。
第5規則 同等物
(a)特定の若しくは特定の型式の取付物、材料、器具若しくは装置を船舶に取り付け若しくは備え付けること又は特定の設備を施すことをこの規則が要求している場合において、他の若しくは他の型式の取付物、材料、器具若しくは装置又は他の設備がこの規則の要求するものと少なくとも同一の実効性を有することが試験その他の方法によつて認められるときは、主管庁は、船舶にこのような他の若しくは他の型式の取付物、材料、器具若しくは装置を取り付け若しくは備え付けること又は他の設備を施すことを認めることができる。
(b)このように代わりの若しくは代わりの型式の取付物、材料、器具若しくは装置又は代わりの設備を認める主管庁は、その細目を試験報告とともに機関に送付するものとし、機関は、これらの細目を他の締約政府にその職員への情報として回章するものとする。

B部 検査及び証書

第6規則 検査
 船舶の検査は、この規則の規定の実施及びその規定からの免除の許与に関する限り、船舶が登録された国の職員が行なわなければならない。ただし、各国政府は、検査をそのために指名する検査員又は政府の認定する団体に委託することができる。すべての場合に、当該政府は、検査の完全性及び実効性を完全に保証する。
第7規則 旅客船の最初の検査及びその後の検査
(a)旅客船は、次に定める検査を受けなければならない。
(i)船舶の就航前の検査
(ii)十二箇月ごとに一回の定期的検査
(iii)臨時の追加検査
(b)前記の検査は、次のように行なわなければならない。
(i)船舶の就航前の検査は、船底の外部及びボイラの内外部を含む船体、機関及び設備の完全な検査を含む。この検査は、船体、ボイラその他の圧力容器及びそれらの附属品、主機関及び補助機関並びに電気設備、無線設備、発動機付救命艇の無線電信設備、救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置、救命設備、火災探知装置、消火設備、水先人用はしごその他の設備の配置、材料及び寸法がこの条約の要件並びにこの条約に基づいて主管庁が制定する法律、政令、命令及び規則の要件でその船舶の目的とする用途の船舶に適用されるものに完全に適合することを確保するものでなければならない。また、この検査は、船舶のすべての部分及び設備の工作がすべての点で満足なものであること並びに船舶がこの条約の規定及び国際海上衝突予防規則の規定の要求する燈並びに音響信号及び遭難信号の装置を備えることを確保するものでなければならない。
(ii)定期的検査は、船底の外部を含む船体、ボイラその他の圧力容器、機関及び設備の検査を含む。この検査は、船舶が、船体、ボイラその他の圧力容器及びそれらの附属品、主機関及び補助機関並びに電気設備、無線設備、発動機付救命艇の無線電信設備、救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置、救命設備、火災探知装置、消火設備、水先人用はしごその他の設備について満足な状態にあり、かつ、その目的とする用途に適すること並びにこの条約の要件並びにこの条約に基づいて主管庁が制定する法律、政令、命令及び規則の要件に適合することを確保するものでなければならない。船舶に備える燈並びに音響信号及び遭難信号の装置も、また、この条約の要件及び国際海上衝突予防規則の要件に適合することを確保するため、前記の検査を受けるものとする。
(iii)船舶の安全若しくは船舶の救命設備その他の設備の実効性若しくは完全性に影響を及ぼす事故の発生若しくは欠陥の発見があつたとき、又は重大な修繕若しくは取替えが行なわれたときはいつでも、状況に応じ、全般又は部分の検査を行なわなければならない。この検査は、必要な修繕又は取替えが実効的に行なわれたこと、その修繕又は取替えの材料及び工作がすべての点で満足なものであること並びに船舶がすべての点でこの条約の規定及び国際海上衝突予防規則の規定並びにこれらに基づいて主管庁が制定する法律、政令、命令及び規則の規定に適合することを確保するものでなければならない。
(c)(i)(b)の法律、政令、命令及び規則は、人命の安全の見地から船舶がその目的とする用途に適合することを、すべての点で確保するものでなければならない。
(ii)これらの法律、政令、命令及び規則は、特に、主ボイラ、補助ボイラ、接続物、蒸気管、高圧容器及び内燃機関の燃料タンクについて行なう最初の及びその後の水圧試験又はそれに代わる適当な試験に関して適用される要件(従うべき試験方法及び相次ぐ二試験の間隔を含む。)を定めなければならない。
第8規則 貨物船の救命設備その他の設備の検査
 第2章及び第3章の規定の適用を受ける貨物船の救命設備(発動機付救命艇の無線電信設備又は救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置を除く。)及び消火設備は、この章の第7規則で旅客船に関して定めるところに準じて最初の検査及びその後の検査を受けなければならない。この場合には、(a)(ii)の十二箇月は、二十四箇月とする。新船の火災制御図並びに新船及び現存船に備える水先人用はしご、燈及び音響信号の装置は、この条約の要件及び国際海上衝突予防規則(適用がある場合)の要件に完全に適合することを確保するため、これらの検査に含まれる。
第9規則 貨物船の無線設備の検査
 第4章の規定の適用を受ける貨物船の無線設備並びに第3章の要件に従つて備える発動機付救命艇の無線電信設備並びに救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置は、この章の第7規則で旅客船に関して定めるところに準じて最初の検査及びその後の検査を受けなければならない。
第10規則 貨物船の船体、機関及び設備の検査
 貨物船の船体、機関及び設備(貨物船安全設備証書、貨物船安全無線電信証書又は貨物船安全無線電話証書が発行される設備を除く。)は、それらの状態がすべての点で満足なものであることを確保するために必要であると主管庁が認める方法及び間隔で、完成の際に及びその後に検査を受けなければならない。この検査は、船体、ボイラその他の圧力容器及びそれらの附属品、主機関及び補助機関並びに電気設備その他の設備の配置、材料及び寸法が船舶の目的とする用途にすべての点で満足なものであることを確保するものでなければならない。
第11規則 検査後における状態の維持
 第7規則、第8規則、第9規則又は第10規則の規定に基づく船舶の検査の完了後は、主管庁の許可を受けなければ、検査の範囲に属する構造配置、機関、設備等を変更してはならない。
第12規則 証書の発行
(a)(i)第2章、第3章及び第4章の要件その他この規則の関係要件に適合する旅客船に対しては、検査の後に、旅客船安全証書という証書を発行する。
(ii)この章の第10規則に規定する貨物船に対する検査の要件を満たし、かつ、消火設備及び火災制御図に関する要件を除く第2章の要件に適合する貨物船に対しては、検査の後に、貨物船安全構造証書という証書を発行する。
(iii)第2章及び第3章の関係要件その他この規則の関係要件に適合する貨物船に対しては、検査の後に、貨物船安全設備証書という証書を発行する。
(iv)無線電信設備を備える貨物船で第4章の要件その他この規則の関係要件に適合するものに対しては、検査の後に、貨物船安全無線電話証書という証書を発行する。
(v)無線電話設備を備える貨物船で第4章の要件その他この規則の関係要件に適合するものに対しては、検査の後に、貨物船安全無線電話証書という証書を発行する。
(vi)この規則の規定に基づいてかつこれに従つて船舶に免除を与える場合には、(a)に定める証書のほかに、免除証書という証書を発行する。
(vii)旅客船安全証書、貨物船安全構造証書、貨物船安全設備証書、貨物船安全無線電信証書、貨物船安全無線電話証書及び免除証書は、主管庁又は主管庁が正当に権限を与える人若しくは団体が発行する。あらゆる場合に、主管庁は、証書について全責任を負う。
(b)この条約の他の規定にかかわらず、1948年の海上における人命の安全のための国際条約の規定に基づき、かつ、これに従つて発行された証書で、この条約がその証書を発行した主管庁について効力を生じた時に有効なものは、1948年の条約の第1章第13規則の条項に基づいて期間が満了するまで有効とする。
(c)締約政府は、その政府によるこの条約の受諾が効力を生じた日の後は、1948年又は1929年の海上における人命の安全のための国際条約の規定に基づき、かつ、これに従つて証書を発行してはならない。
第13規則 他の政府による証書の発行
 締約政府は、主管庁の要請があつたときは、船舶に検査を受けさせることができ、また、この規則の要件が満たされていると認めるときは、この規則に従つて船舶に証書を発行しなければならない。こうして発行する証書には、当該証書が船舶の登録された国又は登録される予定の国の政府の要請に基づいて発行された旨を記載しなければならない。この証書は、この章の第12規則の規定に基づいて発行する証書と同一の効力を有し、かつ、同一のものと認められる。
第14規則 証書の有効期間
(a)貨物船安全構造証書、貨物船安全設備証書及び免除証書を除くほか、証書は、十二箇月をこえない期間について発行しなければならない。貨物船安全設備証書は、二十四箇月をこえない期間について発行しなければならない。免除証書は、その免除証書が関係する証書の有効期間をこえる期間について効力を有することはない。
(b)総トン数300トン以上500トン未満の貨物船について最初に発行した貨物船安全無線電信証書又は貨物船安全無線電話証書の期間満了前二箇月以内に検査を行なう場合には、その証書を回収して、前記の期間満了後十二箇月で期間が満了する新証書を発行することができる。
(c)証書の期間満了の時に船舶がその登録された国の港にない場合には、主管庁は、証書の有効期間を延長することができる。ただし、その延長は、船舶が登録された国又は船舶が検査される予定の国への航海を完了させるためにのみ、かつ、これが適当かつ合理的であると認められる場合にのみ許与される。
(d)証書は、五箇月をこえる期間については、こうして延長することができない。延長を許与された船舶は、その登録された国又は検査される予定の港に到着したときは、新証書を受けない限り、この延長によつてその国又は港を離れることはできない。
(e)(c)及び(d)の規定に基づいて延長されていない証書については、主管庁は、記載された期間満了の日から一箇月以内の猶予期間を認めることができる。
第15規則 証書の様式
(a)すべての証書は、証書を発行する国の公用語で作成しなければならない。
(b)証書の様式は、この規則の附録に掲げるひな形によらなければならない。証書のひな形の印刷部分の配置は、発行する証書又はその認証謄本に正確に再現しなければならず、発行する証書又はその認証謄本の記入事項は、ローマ字及びアラビア数字によらなければならない。
第16規則 証書の掲示
 この規則に基づいて発行するすべての証書又はその認証謄本は、船内の目につきやすくかつ近づきうる場所に掲示しなければならない。
第17規則 証書の容認
 締約政府の権限に基づいて発行する証書は、他の締約政府によつて、この条約で定めるすべての目的のために容認されるものとする。証書は、他の締約政府によつて、その政府が発行する証書と同一の効力を有するものと認められる。
第18規則 証書についての緩和
(a)特定の航海において船舶が旅客船安全証書に記載された総数よりも少ない人員を乗船させ、したがつて、この規則の規定により証書に記載された数よりも少ない数の救命艇その他の救命設備を積載することができる場合には、第12規則又は第13規則に規定する政府、人又は団体は、附属書を発行することができる。
(b)この附属書には、当該場合においてこの規則の規定に対する違反がない旨を記載しなければならない。附属書は、証書に添附するものとし、かつ、救命設備に関する限り証書に代わるものとする。附属書は、それが発行された特定の航海についてのみ効力を有する。
第19規則 監督
 第12規則又は第13規則の規定に基づいて発行された証書を有する各船舶は、他の締約政府の港において、その政府が正当に権限を与える職員の監督に、その監督が船内に有効な証書があることを確かめるためのものである限り、服さなければならない。船舶又は船舶の設備の状態が証書の記載事項に実質的に一致しないと認める明確な根拠がある場合を除くほか、証書は、容認されなければならない。このような根拠がある場合には、監督を行なう職員は、船舶が旅客又は船員に危険を及ぼすことなく航行することができない間は出港しないことを確保する措置を執らなければならない。なんらかの干渉を行なうこととなる監督の場合には、監督を行なう職員は、船舶が登録された国の領事に対し、干渉を必要と認めるすべての事情を直ちに書面で通知しなければならず、また、これらの事実は、機関に報告されなければならない。
第20規則 特権
 この条約の特権は、船舶が適正かつ有効な証書を備えていない限り、船舶のために主張することができない。

C部 海難

第21規則 海難
(a)各主管庁は、この規則のいかなる変更が望ましいかを決定することに役だつと判断する場合には、この条約の規定の適用を受ける自国の船舶に生じた海難について調査を行なうことを約束する。
(b)各締約政府は、この調査の結果に関する適切な情報を機関に提供することを約束する。この情報に基づく機関の報告又は勧告は、当該船舶がどれであるかを若しくはその国籍を表示してはならず、また、いかなる方法によつても、いずれかの船舶若しくは人に責任を帰し、若しくはそれらの責任を暗示するものであつてはならない。

第2章 構造

A部 総則

第1規則 適用
(a)(i)この章の規定は、別段の明文の規定がない限り、新船に適用する。
(ii)主管庁は、1948年の海上における人命の安全のための国際条約の効力発生の日以後にキールを据え付けた現存の旅客船又は貨物船については、同条約の第2章に定義する新船に対して同章の規定に基づいて適用される要件が満たされることを確保しなければならない。主管庁は、同条約の効力発生の日前にキールを据え付けた現存の旅客船又は貨物船については、同条約の第2章に定義する現存船に対して同章の規定に基づいて適用される要件が満たされることを確保しなければならない。主管庁は、この条約の第2章の要件で1948年の条約の第2章に含まれていないものに関しては、これらの要件のうちこの条約に定義する現存船に適用するものを決定しなければならない。
(b)この章の規定の適用上、
(i)「新旅客船」とは、この条約の効力発生の日以後にキールを据え付ける旅客船又は同日以後に旅客船に改造される貨物船をいい、その他のすべての旅客船は、「現存旅客船」という。
(ii)「新貨物船」とは、この条約の効力発生の日以後にキールを据え付ける貨物船をいう。
(c)主管庁は、航海の保護された性質および状況により、この章の特定の要件の適用が不合理又は不必要であると認めるときは、自国の個個の船舶又はある種類の船舶で航海中に最も近い陸地から20海里以内を航行するものに対し、これらの要件を免除することができる。
(d)救命艇の所定の収容能力をこえた数の乗船者を輸送することを第3章第27規則(c)の規定に基づいて許される旅客船は、この章の第5規則(e)で定める区画の特別標準及びこの章の第4規則(d)の浸水率に関する特別規定に従わなければならない。ただし、主管庁が航海の性質および状況を考慮してこの章の規則の他の規定の要件に適合すれば十分であると認める場合は、この限りでない。
(e)巡礼者運送のような特殊の運送において多数の無寝床旅客の輸送に使用される旅客船の場合において、この章の要件に適合させることを実行不可能と認めるときは、主管庁は、自国のそれらの船舶に対し、次のことを条件として、これらの要件を免除することができる。
(i)構造に関し、運送事情の許す範囲内でできる限りの措置を執ること。
(ii)これらの運送の特殊事情に適用される一般規則を制定するため措置を執ること。この一般規則は、このような旅客の輸送に直接に利害関係のある他の締約政府があるときは、その政府と協議して制定しなければならない。
 この条約の規定にかかわらず、1931年のシムラ規則は、(ii)の規定に基づいて制定する規則が効力を生ずるまで、当事国の間で引き続き効力を有する。
第2規則 定義
 別段の明文の規定がない限り、この章の規定の適用上、
(a)(i)「区画満載喫水線」とは、船舶の区画を決定するため用いる喫水線をいう。
(ii)「最高区画満載喫水線」とは、適用される区画の要件によつて許される最大喫水に対応する喫水線をいう。
(b)「船舶の長さ」とは、最高区画満載喫水線の両端における垂線の間の長さをいう。
(c)「船舶の幅」とは、最高区画満載喫水線又はその下方におけるフレームの外面からフレームの外面までの最大幅をいう。
(d)「喫水」とは、船舶の長さの中央における型基線からその区画満載喫水線までの垂直距離をいう。
(e)「隔壁甲板」とは、横置水密隔壁の達する最上層の甲板をいう。
(f)「限界線」とは、隔壁甲板の船側における上面から下方少なくとも3インチ(又は76ミリメートル)に引いた線をいう。
(g)ある場所の「浸水率」とは、その場所において水が占めうる部分の百分率をいう。
 限界線の上方に及ぶ場所の容積は、限界線の高さまでを計算する。
(h)「機関区域」とは、型基線から限界線まで、並びに主推進機関、補助推進機関、推進の用に供するボイラ及びすべての常設石炭庫を含む場所を区切つている両端の主横置水密隔壁の間にひろがつている場所をいう。通例と異なる配置の場合には、主管庁は、機関区域の限界を定めることができる。
(i)「旅客区域」とは、手荷物室、貯蔵品室、食料品室及び郵便物室を除くほか、旅客の居住及び使用に充てる場所をいう。
 この章の第4規則及び第5規則の規定の適用上、限界線の下方の船員の居住及び使用に充てる場所は、旅客区域とみなす。
(j)すべての場合に、容積及び面積は、モールデッド・ラインまでを計算する。

第2節 B部 区画及び復原性

(B部の規定は、第19規則の規定を貨物船にも適用するほかは、旅客船のみに適用する。)
第3規則 可浸長
(a)船舶の長さのある点における可浸長は、その船舶の形状、喫水その他の特性を考慮した計算方法で決定しなければならない。
(b)連続する隔壁甲板を有する船舶にあつては、ある点における可浸長は、その点を中心とする船舶の長さの部分であつて、この章の第4規則に定める一定の仮定の下に船舶が限界線をこえて沈下することなしに浸水しうる最大のものとする。
(c)(i) 連続する隔壁甲板を有しない船舶にあつては、ある点における可浸長は、関係隔壁及び外板が水密で達する甲板の(船側における)上面の下方少なくとも3インチ(又は76ミリメートル)の点を通る連続限界線を仮定して決定することができる。
(ii) 仮定された限界線の一部が隔壁の達する甲板のかなり下方にある場合には、主管庁は、限界線の上方にあつてそれより上層の甲板の直下にある隔壁の部分の水密について、ある程度の緩和を認めることができる。
第4規則 浸水率
(a)この章の第3規則にいう一定の仮定は、限界線の下方の場所の浸水率に関係するものである。
 可浸長の決定に当たつては、限界線の下方における船舶の次の各部分の全長にわたり、一様の平均浸水率を用いる。
(i) この章の第2規則に定義する機関区域
(ii) 機関区域の前方の部分
(iii) 機関区域の後方の部分
(b)(i) 機関区域の一様の平均浸水率は、次の式で算定する。
85+10α-c
ν
αは、この章の第2規則に定義する旅客区域であつて機関区域の限界内で限界線の下方にあるものの容積
cは、貨物、石炭又は貯蔵品のために充てられる甲板間の場所であつて機関区域の限界内で限界線の下方にあるものの容積
νは、限界線の下方にある機関区域の全容積
(ii) 精密な計算で決定する平均浸水率が前記の式で得たものより小さいことが明らかであると主管庁が認めるときは、精密に計算した値を用いることができる。精密な計算のためには、この章の第2規則に定義する旅客区域の浸水率は、95とし、貨物、石炭及び貯蔵品のために充てられるすべての場所の浸水率は、60とし、また、二重底及び燃料油タンクその他のタンクの浸水率は、各場合に承認される値とする。
(c)(d)に定める場合を除くほか、機関区域の前方(又は後方)の船舶の部分の1様の平均浸水率は、次の式で算定する。
63+35α
ν
αは、この章の第2規則に定義する旅客区域であつて機関区域の前方(又は後方)で限界線の下方にあるものの容積
νは、機関区域の前方(又は後方)で限界線の下方にある船舶の部分の全容積
(d)救命艇の所定の収容能力をこえた数の乗船者を輸送することを第3章第27規則(c)の規定に基づいて許され、かつ、特別規定に従うことをこの章の第1規則(d)の規定に基づいて要求される船舶の場合には、機関区域の前方(又は後方)の船舶の部分の1様の平均浸水率は、次の式で算定する。
95-35
ν
bは、機関区域の前方(又は後方)で限界線の下方にあり、かつ、それぞれフロア、内底又は船首尾タンクの上面の上方にある場所であつて、貨物区域、石炭庫、燃料油タンク、貯蔵品室、手荷物室、郵便物室、チェーン・ロッカー及び清水タンクに充てるものの容積
νは、機関区域の前方(又は後方)で限界線の下方にある船舶の部分の全容積
 通常は、貨物倉に相当な量の貨物を積載しない用途に用いる船舶の場合には、貨物区域の部分は、「b」の計算に含めない。
(e)通例と異なる配置の場合には、主管庁は、機関区域の前方又は後方の部分の平均浸水率の精密な計算を許容し、又は要求することができる。この計算のためには、この章の第2規則に定義する旅客区域の浸水率は、95とし、機関を含む場所の浸水率は、85とし、貨物、石炭及び貯蔵品のために充てられるすべての場所の浸水率は、60とし、また、二重底及び燃料油タンクその他のタンクの浸水率は、各場合に承認される値とする。
(f)二個の横置水密隔壁の間にある甲板間の区画室が旅客区域又は船員区域を含む場合には、常設鋼製隔壁で完全に囲まれかつ他の目的に充てられる場所を除いたその区画室の全部を旅客区域とみなす。ただし、この旅客区域又は船員区域が常設鋼製隔壁で完全に囲まれているときは、囲まれた場所のみを旅客区域とみなす。
第5規則 区画室の可許長
(a)船舶は、その目的とする用途の性質を考慮して、できる限り有効に区画しなければならない。区画の程度は、最高の区画の程度が主として旅客輸送に従事する最も長い船舶に対応することとなるように、船舶の長さ及び用途に応じて変化するものとする。
(b)区画係数 船舶の長さのある点を中心とする区画室の最大の可許長は、可浸長に区画係数という適当な係数を乗じて求める。
 区画係数は、船舶の長さに応ずるものとし、かつ、一定の長さに対しては、船舶の目的とする用途の性質に応じて変化するものとする。この係数は、
(i) 船舶の長さが増大するに従い、かつ、
(ii) 主として貨物輸送に従事する船舶に適用する係数Aから、主として旅客輸送に従事する船舶に適用する係数Bまで、
規則的かつ連続的に減少するものとする。
係数A及びBの変化は、次の式(I)及び(II)で示す。次の式Lは、この章の第2規則に定義する船舶の長さである。
Lがフィートである場合
A=190+0.18(L=430以上)
L-198
Lがメートルである場合
A=58.2+0.18(L=131以上)…………………………………(I)
L-60
Lがフィートである場合
B=100+0.18(L=260以上)
L-138
Lがメートルである場合
B=30.3+0.18(L=79以上)…………………………………………(II)
L-42
(c)用途の標準 ある長さの船舶については、適当な区画係数は、次の式(III)及び(IV)で求める用途の標準数(以下「標準数」という。)を用いて算定する。
sは、標準数
Lは、この章の第2規則で定義する船舶の長さ
Mは、この章の第2規則で定義する機関区域の容積。機関区域の前方又は後方で内底の上方に常設燃料油タンクがあるときは、その容積を加算する。
Pは、この章の第2規則で定義する旅客区域の限界線の下方の全容積
Vは、船舶の限界線の下方の全容積
=KN
Nは、船舶に認められる旅客数
Kは、次の値
Kの値
長さがフィート、容積が立方フィートである場合……0.6L
長さがメートル、容積が立方メートルである場合……0.056L
KNの値がPと限界線の上方の実際の旅客区域の全容積との和より大きいときは、Pとして用いる値は、この和又は(2)/(3)KNのうち、大きい方とする。
がPより大きい場合
s=72M+2P1……………………………(III)
V+P1-P
その他の場合
s=72M+2P………………………………(IV)
 連続する隔壁甲板を有しない船舶については、容積は、可浸長の決定に用いる実際の限界線までを計算する。
(d)(e)の規定の適用がある船舶以外の船舶の区画規則
(i)長さ430フィート(又は131メートル)以上の船舶の船首倉の後方の区画は、標準数が23以下であるときは式(I)で求める係数Aにより、標準数が123以上であるときは式(II)で求める係数Bにより、また、標準数が23をこえ123未満であるときは次の式を用いて係数Aと係数Bとの間の一次挿間法で求める係数Fにより定めるものとする。
F=A-(A-B)(Cs-23)……………………(V)
100
ただし、標準数が45以上であり、かつ、式(V)で求めた区画係数が0.50をこえ0.65以下であるときは、船首倉の後方の区画は、係数0.50により定めるものとする。
 係数Fが0.40未満であり、かつ、船舶の機関区画室について係数Fによることが実行不可能であることが明らかであると主管庁が認めるときは、この区画室の区画は、0.40をこえない範囲で係数Fより大きい係数により定めることができる。
(ii)長さ430フィート(又は131メートル)未満260フィート(又は79メートル)以上の船舶の船首倉の後方の区画は、標準数が次の式で求めるSに等しいときは係数1.00により定めるものとする。
S=9,382-20L(Lがフィートである場合)=(3,574-25L)(Lがメートルである場合)
3413
 前記の区画は、標準数が123以上であるときは式(II)で求める係数Bにより、また、標準数がSをこえ123未満であるときは次の式を用いて1.00と係数Bとの間の一次挿間法で求める係数Fにより定めるものとする。
F=1-(1-B)(Cs-S)………………………(IV)
123-S
(iii)長さ430フィート(又は131メートル)未満260フィート(又は79メートル)以上で標準数がS未満である船舶及び長さ260フィート(又は79メートル)未満のすべての船舶の船首倉の後方の区画は、係数1.00により定める。ただし、そのいずれの場合においても、船舶のある部分についてこの係数によることが実行不可能であることが明らかであると主管庁が認めるときは、主管庁は、すべての事情を考慮して、正当と認める緩和を許容することができる。
(iv)(iii)の規定は、輸送を認められる旅客数が12をこえ次の数をこえないすべての長さの船舶にも適用する。
(L2)/7,000)(Lがフィートである場合)=(L2)/650)(Lがメートルである場合)又は50のうち小さい方
(e)救命艇の所定の収容能力をこえた数の乗船者を輸送することを第3章第27規則(c)の規定に基づいて許され、かつ、特別規定に従うことをこの章の第1規則(d)の規定に基づいて要求される船舶に対する区画の特別標準
(i)(1)主として旅客輸送に従事する船舶の場合には、船首倉の後方の区画は、係数0.50により、また、(c)及び(d)の規定に従って決定する係数が0.50未満のときはその値により定める。
(2)長さ300フィート(又は91.5メートル)未満のこのような船舶の場合に主管庁がこのような係数を区画室に適用することが実行不可能であると認めるときは、主管庁は、区画室の長さを、このような係数より大きい係数により定めることを認めることができる。ただし、その係数は、その事情において実行可能かつ合理的な最も小さい係数でなければならない。
(ii) 長さが300フィート(又は91.5メートル)未満であるかどうかを問わずすべての船舶について、かなりの量の貨物を輸送する必要から、船首倉の区画を0.50をこえない係数により定めることが実行不可能であるときは、適用する区画の標準は、次の(1)から(5)までの規定に従つて決定する。ただし、主管庁は、なんらかの点で厳格な適用を強制することが不合理であると認めるときは、正当と認められ、かつ、区画の一般的な効果を減じないような水密隔壁の他の配置を認めることができる。
(1)標準数に関しては、(c)の規定を適用する。ただし、寝床旅客に対するPの値を計算する場合には、Kは、(c)に定義する値又は125立方フィート(又は3.55立方メートル)のうち大きい方の値をとり、無寝床旅客に対するPの値を計算する場合には、Kは、125立方フィート(又は3.55立方メートル)の値をとるものとする。
(2)(b)の係数Bは、次の式で算定する係数BBと置き替える。
Lがフィートである場合
BB=57.6+0.20(L=180以上)
L-108
Lがメートルである場合
BB=17.6+0.20(L=55以上)
L-33
(3)長さ430フィート(又は131メートル)以上の船舶の船首倉の後方の区画は、標準数が23以下であるときは(b)の式(I)で求める係数Aにより、標準数が123以上であるときは(e)(ii)(2)の式で求める係数BBにより、また、標準数が23をこえ123未満であるときは次の式を用いて係数Aと係数BBとの間の一次挿間法で求める係数Fにより定めるものとする。
F=A-(A-BB)(Cs-23)
100
ただし、求めた係数Fが0.50未満である場合には、0.50又は(d)(i)の規定に従つて計算する係数のうち小さい方を係数としている。
(4)長さ430フィート(又は131メートル)未満180フィート(又は55メートル)以上の船舶の船首倉の後方の区画は、標準数が次の式で求めるSに等しいときは係数1.00により定めるものとする。
11,950-4L(Lがフィートである場合)
10
1(3,712-25L)(Lがメートルである場合)
19
 前記の区画は、標準数が123以上であるときは(e)(ii)(2)の式で求める係数BBにより、また、標準数がSをこえ123未満であるときは次の式を用いて1.00と係数BBとの間一次挿間法で求める係数Fにより定めるものとする。
F=1-(1-BB)(Cs-S1
123-S1
ただし、いずれの場合においても、求めた係数が0.50未満であるときは、区画は、0.50をこえない係数により定めることができる。
(5)長さ430フィート(又は131メートル)未満180フィート(又は55メートル)以上で標準数がS未満である船舶及び長さ180フィート(又は55メートル)未満のすべての船舶の船首倉の後方の区画は、係数1.00により定める。ただし、特別の区画室についてこの係数によることが実行不可能であることが明らかであると主管庁が認めるときは、主管庁は、すべての事情を考慮して、これらの区画室について正当と認める緩和を許容することができる。この場合には、最後部の区画室及びできる限り多くの前方の区画室(船首倉と機関区域の後端との間のもの)は、可浸長以内とすることを要する。
第6規則 区画に関する特別規則
(a)船舶のいずれかの部分において水密隔壁が他の部分におけるよりも上層の甲板に達しており、可浸長の計算において隔壁のこのような延長を利用することが希望される場合には、次のことを条件として、船舶のこの部分について別個の限界線を使用することができる。
(i) 船側が、船舶の全長にわたつて、上方の限界線に対応する甲板まで達すること及びこの甲板の下方の外板のすべての開口を、船舶の全長にわたつて、この章の第14規則の規定の適用上限界線の下方にあるものとして取り扱うこと。
(ii) 隔壁甲板の「階段部」に隣接する二区画室がそれぞれの限界線に対応する可許長以内であり、さらに、これらの合計長が下方の限界線に基づく可許長の2倍をこえないこと。
(b)(i) 区画室は、その区画室とこれに隣接するいずれの区画室との合計長も、可浸長と可許長の2倍とのうち小さい方をこえないときは、この章の第5規則の方式により決定する可許長をこえることができる。
(ii) 隣接する二区画室の一方が機関区域内にあり、他方が機関区域外にあつて、当該他方の区画室の存する船舶の部分の平均浸水率が機関区域の平均浸水率と異なるときは、二区画室の合計長は、区画室の存する船舶の二部分の平均浸水率の平均を基礎として調整しなければならない。
(iii) 隣接する二区画室の区画係数が異なるときは、二区画室の合計長は、比例的に決定しなければならない。
(c)長さ330フィート(又は100メートル)以上の船舶においては、船首倉の後方の主横置隔壁の一つは、船首垂線から可許長をこえない距離に取り付けなければならない。
(d)主横置隔壁は、屈折させることができる。ただし、屈折部のすべての部分は、外板から最高区画満載喫水線の水平面において中心線に直角に測りこの章の第2規則に定義する船舶の幅の5分の1に等しい距離にある船舶の両側における垂直面の内方にあることを要する。
 前記の範囲外にある屈折部のいずれの部分も、(e)の規定に従つて階段部として取り扱わなければならない。
(e)主横置隔壁には、次のいずれかの条件に適合する場合には、階段部を設けることができる。
(i)この隔壁で仕切られた二区画室の合計長が可浸長の90パーセント及び可許長の2倍をこえないこと。ただし、区画係数が0.9をこえる船舶においては、二区画室の合計長は、可許長をこえてはならない。
(ii)平面隔壁によつて確保される安全と同一程度の安全を保持するため、階段部がある箇所に追加の区画を設けること。
(iii)階段部が上にある区画室が階段部の下方3インチ(又は76ミリメートル)に引いた限界線に対応する可許長をこえないこと。
(f)主横置隔壁に屈折部又は階段部があるときは、区画の決定に当たり、同等の平面隔壁を用いなければならない。
(g)隣接する二主横置隔壁若しくはこれと同等の平面隔壁間の距離又は隔壁の最も近い階段部を通る横断面間の距離が十フィート(又は3.05メートル)に船舶の長さの3パーセントを加えたもの又は35フィート(又は10.67メートル)のうち小さい方に達しないときは、これらの隔壁の一のみをこの章の第5規則の規定による船舶の区画の部分を形成するものとみなす。
(h)主横置水密区画室が局部的の区画を有しており、10フィート(又は3.05メートル)に船舶の長さの3パーセントを加えたもの又は35フィート(又は10.67メートル)のうち小さい方の長さにわたる仮定の船側損傷を受けても主区画室の全容積が浸水しないことが明らかであると主管庁が認めるときは、そうでない場合にこの区画室に要求される可許長を、当該局部的区画の容積に応じて、増大することができる。この場合に損傷を受けない船側について仮定する有効浮力の容積は、損傷を受けた船側について仮定する容積をこえてはならない。
(i)要求される区画係数が0.50以下である場合には、隣接する二区画室の合計長は、可浸長をこえてはならない。
第7規則 損傷状態における船舶の復原性
(a)船舶は、可浸長以内にあることを要求されるいずれの主区画室の浸水の最終段階にも耐えるため、十分な非損傷時復原性をすべての使用状態において有しなければならない。
 隣接する二主区画室がこの章の第6規則(e)(i)の条件による階段部を有する隔壁で仕切られるときは、非損傷時復原性は、これらの隣接する二主区画室の浸水に耐えるため十分でなければならない。
 要求される区画係数が0.50以下であり0.33をこえるときは、非損傷時復原性は、隣接する二主区画室の浸水に耐えるため十分でなければならない。
 要求される区画係数が0.33以下であるときは、非損傷時復原性は、隣接する三主区画室の浸水に耐えるため十分でなければならない。
(b)(i)(a)の要件は、(c)、(d)及び(f)の規定に従い、かつ、船舶の寸法比及び設計上の特性並びに損傷区画室の配置及び形状を考慮した計算によつて決定する。この計算に当たつては、船舶は、復原性について予想される最悪の使用状態にあるものと仮定する。
(ii)水の流入を厳重に制限するため十分な水密性を有する甲板、内側外板又は縦通隔壁を設けようとする場合には、主管庁は、計算に当たりこのような制限について適用な考慮が払われていること確かめなければならない。
(iii)主管庁は、損傷状態の復原性の範囲が疑わしいと考える場合には、それについての調査を要求することができる。
(c)損傷時復原性の計算上、容積浸水率及び表面浸水率は、一般に次のものとする。
場所                          浸水率
貨物、石炭又は貯蔵品のために充てられる場所…………………………60
居住設備が占めている場所…………………………………………………95
機関が占めている場所………………………………………………………85
液体用の場所…………………………………………………………0又は95(注)
(注) いずれか厳格な要件を生ずる方とする。
 損傷時の水面の近傍において実質的に居住設備又は機関を含んでいない場所及び通常は相当な量の貨物又は貯蔵品によつて占められていない場所については、さらに大きい面積浸水率を仮定しなければならない。
(d)仮定する損傷の範囲は、次のとおりとする。
(i)縦方向範囲 10フィート(又は3.05メートル)に船舶の長さの3パーセントを加えたもの又は35フィート(又は10.67メートル)のうち小さい方。要求される区画係数が0.33以下である場合には、仮定する縦方向の損傷範囲は、隣接する二主横置水密隔壁を含むように、必要に応じて増さなければならない。
(ii)横方向範囲(最高区画満載喫水線の水平面で中心線に直角に船側から内方に測る。)この章の第2規則に定義する船舶の幅の5分の1の距離
(iii)垂直方向範囲 限度なしに、基線から上
(iv)(i)、(ii)及び(iii)に示す範囲より小さい範囲の損傷が、横傾斜に関し又はメタセンタ高さの減少に関し、一層重大な状態を生ずるときは、計算には、この損傷を仮定する。
(e)非対称浸水は、効果的な配置により、最小限度に保つことを要する。大角度の横傾斜を修正する必要があるときは、採用される手段は、実行可能な限り、自動的に作動するものでなければならない。クロス・フラッディング設備に対する制御装置が設けられる場合には、その制御装置は、隔壁甲板の上方から操作されるものでなければならない。制御装置を含むこれらの設備及び平衡前の最大傾斜角は、主管庁が容認するものでなければならない。クロス・フラッディング設備が必要な場合には、平衡のための時間は、15分をこえてはならない。クロス・フラッディング設備の使用に関する適当な情報は、船長に提供しなければならない。
(f)損傷の後及び、非対称浸水の場合に、平衡措置を執つた後における船舶の最終状態は、次のとおりでなければならない。
(i)対称浸水の場合には、浮力喪失法による計算において、少なくとも2インチ(又は0.05メートル)の正の残存メタセンタ高さがなければならない。
(ii)非対称浸水の場合には、横傾斜は、7度をこえてはならない。ただし、特別の場合には、主管庁は、非対称モーメントによる横傾斜の増加を容認することができるが、最終の横傾斜は、いかなる場合にも15度をこえてはならない。
(iii)限界線は、いかなる場合にも、浸水の最終段階において水に没してはならない。主管庁は、浸水の中間段階において限界線が水に没するかもしれないと認めるときは、船舶の安全のために必要と認める調査及び措置を要求することができる。
(g)船長には、船舶が危険な損傷に耐えるために十分な非損傷時復原性を使用状態において維持するため必要な資料を提供しなければならない。クロス・フラッディングを必要とする船舶の場合には、船長に対して、横傾斜の計算の基礎とした復原性の条件について通報し、かつ、一層悪い条件の下で船舶が損傷を受けると過度の横傾斜が起こることがあることを警告しなければならない。
(h)(i)主管庁は、いずれかの使用状態において損傷時復原性に関する要件を満たすため必要な非損傷時メタセンタ高さが目的とする用途のためには過大であることが証明されない限り、これらの要件の緩和を考慮してはならない。
(ii)損傷時復原性に対する要件の緩和は、当該状況の下で実際にかつ合理的に採用することができる船舶の寸法比、配置その他の特性が損傷後の復原性に最も有利であると主管庁が認めることを条件として、例外的な場合においてのみ、許されるものとする。
第8規則 バラスト
 バラストに水を使用することが必要であるときは、水バラストは、一般には燃料油用のタンクに積載してはならない。燃料油タンクへの注水を避けることが実行不可能である船舶においては、主管庁が満足する油分離器を設け、又はこれに替えて油によごれた水バラストを廃棄するための主管庁が承認する他の措置を執らなければならない。
第9規則 船首尾隔壁、機関区域隔壁、軸路等
(a)(i)船舶には、隔壁甲板まで水密な船首隔壁すなわち衝突隔壁を備えなければならない。この隔壁は、船首垂線からの距離が船舶の長さの5パーセント以上で10フィート(又は3.05メートル)と船舶の長さの5パーセントとの和以下となるように取り付けなければならない。
(ii)船舶が長い前部船楼を有する場合には、船首隔壁は、隔壁甲板の直上の甲板まで風雨密として延長しなければならない。延長部は、船首垂線から船舶の長さの少なくとも5パーセントの距離にあり、かつ、階段部を形成する隔壁甲板の部分が有効に風雨密である限り、下方の隔壁の直上に取り付ける必要はない。
(b)船尾隔壁並びにこの章の第2規則に定義する機関区域とその前後の貨物区域及び旅客区域とを仕切る隔壁を取り付け、かつ、隔壁甲板まで水密としなければならない。ただし、船尾隔壁は、区画に関する船舶の安全度を減少しない限り、隔壁甲板の下方にとどめることができる。
(c)いかなる場合にも、船尾管は、適当な容積の水密な場所に置かなければならない。船尾管グランドは、船尾管区画室から仕切られた水密な軸路又は他の水密な場所で、船尾管グランドからの漏水のために浸水しても限界線が水に没しない程度の容積のものの中に置かなければならない。
第10規則 二重底
(a)二重底は、実行可能な限り、かつ、船舶の設計及び固有の用途に適合する限り、船首隔壁から船尾隔壁まで取り付けなければならない。
(i)長さ165フィート(又は50メートル)以上200フィート(又は61メートル)未満の船舶においては、少なくとも機関区域から船首隔壁まで又は実行可能な限りその近くまで二重底を取り付けなければならない。
(ii)長さ200フィート(又は61メートル)以上249フィート(又は76メートル)未満の船舶においては、少なくとも機関区域外に二重底を取り付け、かつ、これを船首尾隔壁まで又は実行可能な限りその近くまで達せしめなければならない。
(iii)長さ249フィート(又は76メートル)以上の船舶においては、中央に二重底を取り付け、かつ、これを船首尾隔壁まで又は実行可能な限りその近くまで達せしめなければならない。
(b)二重底を取り付けることを要する場合には、その深さは、主管庁が十分と認めるものでなければならず、内底は、わん曲部まで船底を保護するように、船側まで達していなければならない。この保護は、縁板の外縁とわん曲部外板との交線が、いずれの部分においても、基線に対して25度傾斜しかつ中心線から船舶の型幅の2分の1の点で基線を切る横斜線と船舶の中央のフレーム・ラインとの交点を通る水平面の下方にない場合には、十分と認められる。
(c)船倉等の排水装置に連結して二重底に設ける小さいウェルの底は、必要以上に下方にあつてはならない。ウェルの深さは、いかなる場合にも、中心線における二重底の深さから18インチ(又は457ミリメートル)引いたものより深くてはならず、また、(b)にいう水平面の下方に達してはならない。ただし、スクリュー船の軸路の後端においては、外底まで達するウェルが許される。その他のウェル(たとえば主機関下の潤滑油用のもの)は、配置がこの第10規則の規定に適合する二重底の与える保護と同程度の保護を与えるものと主管庁が認めるときは、許すことができる。
(d)船底又は船側に損傷を受けた場合に船舶の安全を害しないと主管庁が認めるときは、二重底は、液体の輸送のみに用いる適当な大きさの水密区画室がある箇所には取り付けることを要しない。
(e)この章の第1規則(d)の規定が適用される船舶で第3章第2規則に定義する短国際航海の範囲内で定期業務に従事するものの場合において、主管庁が0.50をこえない係数で区画された船舶の部分に二重底を取り付けることが船舶の設計及び固有の用途に適合しないと認めるときは、その部分の2重底の省略を許すことができる。
第11規則 区画満載喫水線の指定、標示及び記載
(a)必要な区画の程度を維持するために、承認された区画喫水に対応する満載喫水線が指定され、かつ、船側に標示されなければならない。特に旅客の居住又は貨物の輸送に交互的に充てる場所を有する船舶は、船舶所有者が希望するときは、それぞれの使用状態について主管庁が承認する区画喫水に対応するように指定されかつ標示される一又は二以上の追加の満載喫水線を有することができる。
(b)指定されかつ標示される区画満載喫水線は、旅客船安全証書に記載し、かつ、主な旅客積載状態についてはC.1の記号によつて、他の積載状態についてはC.2、C.3等の記号によつて区別しなければならない。
(c)これらの満載喫水線のおのおのに対応するフリーボードは、現行の国際満載喫水線条約に従つて決定するフリーボードと同一の位置でかつ同一の甲板線から測らなければならない。
(d)承認された各区画満載喫水線に対応するフリーボード及びその区画満載喫水線が承認される場合における使用状態は、旅客船安全証書に明白に記載しなければならない。
(e)いかなる場合にも、区画満載喫水線の標示は、船舶の強度により又は現行の国際満載喫水線条約により決定される海水における最高満載喫水線の上方にあつてはならない。
(f)いかなる場合にも、船舶には、区画満載喫水線の標示の位置にかかわらず、現行の国際満載喫水線条約に従つて決定される季節及び場所に適応する満載喫水線の標示が没水することとなるように積載してはならない。
(g)いかなる場合にも、船舶には、海水においては、特定の航海及び使用状態に適応する区画満載喫水線の標示が没水することとなるように積載してはならない。
第12規則 水密隔壁等の構造及び最初の試験
(a)横置又は縦通の各水密区画隔壁は、船舶に損傷を生じた場合に隔壁が受けることがある最大の水高による圧力及び少なくとも、限界線までの水高による圧力に対して、適当な余裕をもつて耐えうるように造らなければならない。これらの隔壁の構造は、主管庁が十分と認めるものでなければならない。
(b)(i)隔壁の階段部及び屈折部は、水密とし、その存する箇所における隔壁と同一の強さのものでなければならない。
(ii)フレーム又はビームが水密の甲板又は隔壁を貫通するときは、その甲板又は隔壁は、木材又はセメントの使用に頼らず、構造的に水密であるものとしなければならない。
(c)主区画室の水張り試験は、強制されない。水張り試験が行なわれないときは、ホース・テストが強制されるものとし、この試験は、船舶の艤装工事の最も進んだ段階で行なう。いかなる場合にも、水密隔壁の完全な検査を行なうものとする。
(d)船首倉、二重底(ダクト・キールを含む。)及び内側外板は、(a)の要件に対応する水高で試験しなければならない。
(e)液体を入れることを目的とするタンクで船舶の区画の一部をなしているものは、最高区画満載喫水線までの高さ又はタンクの箇所におけるキールの上面から限界線までの深さの3分の2に相当する高さのうち大きい方の水高で、水密性について試験しなければならない。ただし、いかなる場合にも、試験水高は、タンクの頂板上3フィート(又は0.92メートル)未満であつてはならない。
(f)(d)及び(e)にいう試験は、区画構造配置が水密であることを確保することを目的とするものであつて、燃料油の貯蔵その他の特殊目的のための区画室でタンク又はその連結管において液体が達する高さにより、さらに高い程度の試験を行なうことを要するものの適性の試験とみなされてはならない。
第13規則 水密隔壁における開口
(a)水密隔壁における開口の数は、船舶の設計及び固有の用途に適合する限り、最小にしなければならない。これらの開口を閉じるための十分な措置を執らなければならない。
(b)(i)管、排水管、電線等が水密区画隔壁を貫通する場合には、隔壁の水密の完全性を確保するため、措置を執らなければならない。
(ii)管系の一部をなさない弁及びコックは、水密区画隔壁に設けることを許さない。
(iii)鉛その他の熱に弱い材料は、水密区画隔壁を貫通する装置で、火災に際しその損壊が隔壁の水密性を害するおそれがあるものに用いてはならない。
(c)(i)戸、マンホール又は出入口は、次の隔壁に設けることを許さない。
(1)限界線の下方の衝突隔壁
(2)この第13規則(1)に定める場合を除くほか、貨物区域とこれに隣接する貨物区域、常設石炭庫又は予備石炭庫とを仕切る横置水密隔壁
(ii)(iii)に定める場合を除くほか、衝突隔壁は、限界線の下方においては、船首タンクの液体を処理するための一個の管のみが貫通することができる。ただし、管には、隔壁甲板の上方から操作することができるねじ下げ弁を取り付けるものとし、弁室は、船首倉内で衝突隔壁に取り付けるものとする。
(iii)船首倉が二種類の液体を入れるように仕切られているときは、主管庁は、限界線の下方において(ii)の要件に適合する二個の管が衝突隔壁を貫通することを許容することができる。ただし、主管庁が第二の管を取り付けることが実際上やむを得ないこと及び、船首倉における区画の増設を考慮すれば、船舶の安全が維持されていることを認める場合に限る。
(d)(i)常設石炭庫と予備石炭庫との間の隔壁に取り付けた水密戸は、いつでも近づくことができなければならない。ただし、甲板間の石炭庫の戸について(k)(ii)に定める場合は、この限りでない。
(ii)石炭が石炭庫の水密戸の閉鎖を妨げることがないように、障板その他の方法によつて、十分な措置を執らなければならない。
(e)主推進機関及び補助推進機関(推進の用に供するボイラ及びすべての常設石炭庫を含む。)のある場所では、石炭庫及び軸路に通ずる戸を別として、各主横置隔壁に一個の戸のみを取り付けることができる。二以上の軸がある場合には、軸路は、相互間の通路で連結しなければならない。機関区域と軸路区域との間の戸は、二の軸があるときは一個に、二をこえる軸があるときは二個に限らなければならない。これらの戸は、すべり戸型とし、実行可能な限りしきいを高くしなければならない。隔壁甲板の上方からこれらの戸を操作する手動装置は、必要な伝動装置の十分な配置と両立する限り、機関のある場所の外部に置かなければならない。
(f)(i)水密戸は、すべり戸若しくはヒンジ戸又はこれらと同等の型の戸でなければならない。ボルトのみで取り付ける板戸及び落下により又は落下重量物の作用により閉じられる戸は、許されない。
(ii)すべり戸は、次のいずれかのものとすることができる。
手のみで操作されるもの
手及び動力のいずれによつても操作されるもの
(iii)したがつて、認められる水密戸は、次の三の級に分類される。
第一級 ヒンジ戸
第二級 手で操作されるすべり戸
第三級 手及び動力のいずれによつても操作されるすべり戸
(iv)動力で操作されるかどうかを問わず、いかなる水密戸の操作の装置も、船舶がいずれの側に15度横傾斜しても戸を閉じることができなければならない。
(v)すべての級の水密戸について、戸が開いているか閉じているかを戸が見えないすべての操作場で示す指示器を設けなければならない。いかなる級の水密戸にも、それが中央操作場から閉じられるように取り付けられていないときは、あらかじめ与えられた命令によりその戸を閉じる責任のある人に当直士官が即時に連絡することができるような機械式、電気式、電話式その他の適当な直接通信装置を設けなければならない。
(g)ヒンジ戸(第一級)には、隔壁の両側から操作することができる取手その他の急速閉鎖装置を取り付けなければならない。
(h)手動すべり戸(第二級)は、水平又は垂直に動くものとすることができる。手動すべり戸は、戸自体の両側から、及び隔壁甲板の上方の近づきうる位置から、連続回転クランク運動又はこれと同等の安全性を保証する承認された型式の他の動作により、その機構を操作することができなければならない。場所の配置上、隔壁の両側から操作することができないときは、この要件に従わないことが許される。船舶が直立している場合に手動装置を操作して完全に戸を閉じるため必要な時間は、90秒をこえてはならない。
(i)動力すべり戸(第三級)は、水平又は垂直に動くものとすることができる。戸が中央操作場から動力で操作されることを要求されるときは、伝動装置は、戸自体の両側からも動力で操作することができるように配置しなければならない。配置は、戸を中央操作場から閉じた後に局部操作により開いた場合に自動的に閉じるようにしなければならず、また、戸を局部配置により閉じ、上方の操作場から開き得ないようにしておくことができるようにしなければならない。動力装置に連結する局部操作用ハンドルは、隔壁の両側に備え、かつ、戸口を通る者が、誤つて閉鎖装置を作動させることなく、両側のハンドルを開いた位置で持つことができるように配置しなければならない。動力すべり戸には、戸自体の両側から、及び隔壁甲板の上方の近づきうる位置から、連続回転クランク運動又はこれと同等の安全性を保証する承認された型式の他の動作により、操作しうる手動装置を備えなければならない。戸の閉鎖が始まつたこと及びその戸が完全に閉ざされるまで動き続けることを音響信号で警報する装置を設けなければならない。戸は、安全性を確保するために十分な時間を閉鎖に要するものでなければならない。
(ii)制御下にあるすべての戸を開閉することができる少なくとも二個の独立の動力源を設けなければならず、そのいずれの動力源も、すべての戸を同時に操作することができなければならない。二個の動力源は、要求される機能をそれらが十分に果しうることを点検するため必要なすべての指示器を備えた船橋の中央操作場から制御しなければならない。
(iii)水力操作の場合においては、各動力源には、60秒以内にすべての戸を閉じることができるポンプを備えなければならない。さらに、すべての装置に対して、すべての戸を少なくとも三回、たとえば、閉-開-閉と操作するため十分な容量の水力だめを設けなければならない。使用する液体は、航海中船舶が遭遇することがあるいかなる温度においても凍結しないものでなければならない。
(j)(i)旅客区域、船員区域及び作業区域における水密ヒンジ戸(第一級)は、船側における最低点において下面が最高区画満載喫水線の上方少なくとも7フィート(又は2.13メートル)の箇所にある甲板の上方においてのみ許される。
(ii)最高満載喫水線の上方で、かつ、(j)(i)に規定する線の下方である位置にしきいがある水密戸は、すべり戸でなければならないが、手で操作されるもの(第二級)とすることができる。ただし、短国際航海に従事し、かつ、区画係数が0.50以下であることを要求された船舶においては、このような戸は、すべて動力操作のものでなければならない。冷凍貨物に連絡するトランク路及び自然通風管又は強制通風管が二以上の主水密区画隔壁を貫く場合には、その開口における戸は、動力操作のものでなければならない。
(k)(i)海上においてしばしば開くことがある水密戸でしきいの高さが最高区画満載喫水線の下方にあるものは、すべり戸でなければならず、この場合には、次の規則が適用される。
(1)これらの戸(軸路の入口の戸を除く。)の数が五個をこえるときは、これらのすべての戸及び軸路、自然通風管又は強制通風管の入口の戸は、動力操作のもの(第三級)でなければならず、船橋にある中央操作場から同時に閉じることができなければならない。
(2)これらの戸(軸路の入口の戸を除く。)の数が二個以上であり五個をこえない場合には、
(a)隔壁甲板の下方に旅客区域がないときは、前記のすべての戸は、手で操作されるもの(第二級)とすることができる。
(b)隔壁甲板の下方に旅客区域があるときは、前記のすべての戸は、動力操作のもの(第三級)でなければならず、船橋にある中央操作場から同時に閉じることができなければならない。
(3)二個のみのこのような水密戸を有し、かつ、それが機関のある場所への入口又はその内部にある船舶においては、主管庁は、これらの二個の戸を手のみで操作されるもの(第二級)とすることを許容することができる。
(ii)石炭繰りのために海上においてしばしば開くことを要する水密戸を隔壁甲板の下方にある甲板間の石炭庫の間に取り付けるときは、これらの戸は、動力操作のものでなければならない。これらの戸の開閉は、主管庁が定める航海日誌に記録しなければならない。
(l)(i)甲板間の貨物区域を仕切る水密隔壁に戸を設けることが不可欠であると主管庁が認めるときは、満足すべき構造の水密戸をその水密隔壁に取り付けることができる。このような戸は、ヒンジ戸、ロール戸又はすべり戸とすることができるが、遠隔操作のものであつてはならない。これらの戸は、最も高い位置に、かつ、実行可能な限り外板から遠い箇所に取り付けなければならない。いかなる場合にも、これらの戸の外側の縦縁は、外板から最高区画満載喫水線の水平面において中心線に直角に測りこの章の第2規則に定義する船舶の幅の5分の1以上の距離になければならない。
(ii)これらの戸は、出港前に閉じ、かつ、航行中は閉じておかなければならない。また、これらの戸を港内において開いた時刻及び出港前に閉じた時刻は、航海日誌に記入しなければならない。いずれかの戸が航海中に近づくことができるときは、その戸には、許可を受けないで開くことを防止する装置を取り付けなければならない。このような戸を取り付けようとする場合には、主管庁は、その数及び配置について特別の配慮を払わなければならない。
(m)隔壁の取りはずしうる板戸は、機関区域以外においては、許されない。この板戸は、常に船舶の出港前に取り付けなければならず、航行中は、緊急の必要がある場合を除くほか、取りはずしてはならない。この板戸を再び取り付けるに当たつては、接合部が水密であることを確保するため必要な注意を払わなければならない。
(n)すべての水密戸は、船舶の作業上開く必要がある場合を除くほか、航行中は閉じておかなければならず、また、常に直ちに閉じうるようにしておかなければならない。
(o)(i)船員の居住に充てる場所からストークホールドへの通行のため、配管のため又はその他の目的のためのトランク路又はトンネルが主横置水密隔壁を貫くときは、トランク路及びトンネルは、水密とし、この章の第16規則の要件に適合しなければならない。このトンネル又はトランク路を海上において通路として使用するときは、このトンネル又はトランク路の少なくとも一端への通行は、限界線の上方へ通行しうるため十分な高さまで水密で達するトランクによらなければならない。このトランク路又はトンネルの他端への通行は、船舶におけるその箇所について要求される型の水密戸によることができる。このトランク路又はトンネルは、衝突隔壁の後方の最初の区画隔壁を貫いてはならない。
(ii)強制通風のため主横置水密隔壁を貫くトンネル又はトランク路を設けようとする場合には、主管庁は、これらについて特別の考慮を払わなければならない。
第14規則 限界線の下方の外板における開口
(a)外板における開口の数は、船舶の設計及び固有の用途に適合する限り、最小にしなければならない。
(b)外板における開口の閉鎖装置の配置及び実効性は、その意図する目的及び取付位置に適合し、かつ、一般に主管庁が十分と認めるものでなければならない。
(c)(i)甲板間において、いずれかの舷窓の下縁が、船側における隔壁甲板に平行に引いた線でその最低点が船舶の幅の2.5パーセントだけ最高区画満載喫水線の上方にあるものの下方にあるときは、この甲板間におけるすべての舷窓は、開くことができない型のものでなければならない。
(ii)(i)の規定により開くことができない型であることを要求される舷窓を除くほか、下縁が限界線の下方にあるすべての舷窓は、船長の同意を得ないで開くことを有効に防止するような構造のものでなければならない。
(iii)(1)甲板間において、(ii)に掲げるいずれかの舷窓の下縁が、船側における隔壁甲板に平行に引いた線でその最低点が船舶の出港の際の水面から上方へ4.5フィート(又は1.37メートル)に船舶の幅の2.5パーセントを加えた距離にあるものの下方にあるときは、この甲板間におけるすべての舷窓は、船舶の出港前に水密に閉じて錠をおろさなければならず、次の港に着く前に開いてはならない。(iii)の規定の適用上、可能な場合には、淡水に対する適当なしんしやくをすることができる。
(2)港内においてこの舷窓を開いた時刻及び船舶の出港前に舷窓を閉じて錠をおろした時刻は、主管庁が定める航海日誌に記入しなければならない。
(3)最高区画満載喫水線で浮いているときに(iii)(1)の要件が適用されることとなるような位置に一又は二以上の舷窓を有する船舶に対しては、主管庁は、限界平均喫水を指示することができる。これにより、これらの舷窓の下縁が、船側における隔壁甲板に平行に引いた線でその最低点が限界平均喫水に対応する喫水線から上方へ4.5フィート(又は1.37メートル)に船舶の幅の2.5パーセントを加えた距離にあるものの上方にあることになり、したがつて、船舶は、舷窓を閉じて錠をおろすことなく出港し、次の港までの航海中に船長の責任で海上において舷窓を開くことを許される。現行の国際満載喫水線条約で定める熱帯においては、この限界喫水は、1フィート(又は0.305メートル)だけ増加することができる。
(d)すべての舷窓には、容易にかつ有効に閉じて水密に定着させることができるように配置した効果的なヒンジ内ぶたを取り付けなければならない。ただし、船首垂線から船舶の長さ8分の1の距離にある箇所の後方において、かつ、船側における隔壁甲板に平行に引いた線でその最低点が最高区画満載喫水線から上方へ12フィート(又は3.66メートル)に船舶の幅の2.5パーセントを加えた距離にあるものの上方においては、普通旅客以外の旅客の居住に充てる場所内の内ぶたは、現行の国際満載喫水線条約により内ぶたを定位置に恒久的に取り付けることが要求される場合を除くほか、取りはずしうるものとすることができる。この取りはずしうる内ぶたは、それが使用される舷窓の近くに備えておかなければならない。
(e)航行中に近づくことができない舷窓及びその内ぶたは、船舶の出港前に閉じて定着させなければならない。
(f)(i)もつぱら貨物又は石炭の輸送に交互的に充てる場所には、舷窓を取り付けてはならない。
(ii)もつとも、貨物又は旅客の輸送に交互的に充てる場所には、舷窓を取り付けることができるが、この舷窓は、船長の同意を得ないで舷窓又はその内ぶたを開くことを有効に防止するような構造のものでなければならない。
(iii)これらの場所で貨物を輸送するときは、舷窓及びその内ぶたは、貨物を積載する前に水密に閉じて錠をおろさなければならず、この閉鎖及び施錠は、主管庁が定める航海日誌に記録しなければならない。
(g)自動通風用舷窓は、主管庁の特別の許可がなければ、限界線の下方の外板に取り付けてはならない。
(h)外板における排水口、衛生排出口その他の類似の開口の数は、各排出口をできる限り多数の衛生管その他の管の用に供することにより、又はその他の満足すべき方法により、最小にしなければならない。
(i)(i)外板におけるすべての吸入口及び排出口には、船内への不慮の浸水を防止するための効果的なかつ近づきうる装置を取り付けなければならない。鉛その他の熱に弱い材料は、吸入口又は排出口の外板付弁の外方に取り付ける管又は火災の場合に損壊により浸水の危険を生ずるおそれがある他の管に用いてはならない。
(ii)(1)(iii)に定める場合を除くほか、限界線の下方の場所から外板を貫通して導かれる各排出管には、隔壁甲板の上方から閉じるための積極装置を有する一個の自動不還弁を、又は、それに替えて、このような装置を有しない二個の自動不還弁で、上部の弁が船舶の使用状態において検査のために常に近づきうるように最高区画満載喫水線の上方にあり、かつ、通常は閉鎖している型のものを取り付けなければならない。
(2)閉じるための積極装置を有する弁を取り付ける場合には、隔壁甲板の上方の操作位置は、常に容易に近づきうるものでなければならず、また、弁が開いているか閉じているかを示すための装置を備えなければならない。
(iii)機関と連結する主及び補助の海水吸入管及び排出管には、管と外板との間又は管と外板に取り付ける海水吸入箱との間に、容易に近づきうるコック又は弁を取り付けなければならない。
(j)(i)限界線の下方に取り付ける舷門、載貨門及び載炭門は、十分な強さのものでなければならない。これらは、船舶の出港前に有効に閉じて水密に定着させ、かつ、航行中は閉じておかなければならない。
(ii)これらの開口は、いかなる場合にも、最低点が最高区画満載喫水線の下方にあるように設けてはならない。
(k)(i) 灰捨筒、ごみ捨筒等の船内の開口には、効果的なふたを取り付けなければならない。
(ii)これらの船内の開口が限界線の下方にあるときは、ふたを水密とし、さらに、最高区画満載喫水線の上方の容易に近づきうる位置において筒に自動不還弁を取り付けなければならない。筒を使用しないときは、ふた及び弁は、閉じて定着させておかなければならない。
第15規則 水密戸、舷窓等の構造及び最初の試験
(a)(i)この章の規則に規定するすべての水密戸、舷窓、舷門、載貨門、載炭門、弁、管、灰捨筒及びごみ捨筒の設計、材料及び構造は、主管庁が十分と認めるものでなければならない。
(ii)垂直動の水密戸のわくは、ちりが積つて戸を正しく閉鎖することを妨げるようなみぞを底部に有してはならない。
(iii)隔壁甲板の下方の海水吸入管及び排出管に用いるすべてのコック及び弁並びにそのコック及び弁の外側の取付物は、鋼、青銅その他の承認された延性材料のものでなければならない。普通の鋳鉄又は類似の材料は、使用してはならない。
(b)各水密戸は、隔壁甲板までの水高の圧力で試験しなければならない。この試験は、船舶の就航に先だつて、戸の取付け前又は取付け後に行なう。
第16規則 水密甲板、トランク等の構造及び最初の試験
(a)水密甲板、トランク、トンネル、ダクト・キール及び通風筒は、対応する高さにおける水密隔壁と同一の強さのものでなければならない。これらを水密にするために用いる方法及びこれらにおける開口を閉じるために採用する配置は、主管庁が十分と認めるものでなければならない。水密な通風筒及びトランクは、少なくとも隔壁甲板まで達していなければならない。
(b)完成後、水密甲板に対してはホース・テスト又は水張り試験を行ない、水密なトランク、トンネル及び通風筒に対してはホース・テストを行なわなければならない。
第17規則 限界線の上方の水密性
(a)主管庁は、隔壁甲板の上方に水が浸入し、及びひろがることを制限するために、すべての合理的かつ実行可能な措置を執ることを要求することができる。その措置は、部分隔壁又はウェッブとすることができる。部分水密隔壁又はウェッブは、隔壁甲板上において主区画隔壁の上方又はすぐ近くに取り付けられるときは、船舶が損傷を受けて横傾斜した状態にあるときに甲板に沿つて水が流れることを防ぐように、外板及び隔壁甲板と水密に接合しなければならない。部分水密隔壁がその下方の隔壁と同一線上にないときは、その間の隔壁甲板は、有効に水密にしなければならない。
(b)隔壁甲板又はその上方の甲板は、通常の海面状態で下方に向かつて浸水しないという意味で風雨密でなければならない。露出した露天甲板におけるすべての開口は、十分な高さ及び強さの縁材を有し、かつ、迅速に風雨密に閉じる効果的な装置を備えなければならない。放水口、オープン・レール及び(又は)排水口は、すべての天候状態において露天甲板から迅速に排水することができるように設けなければならない。
(c)限界線の上方にある舷窓、舷門、載貨門及び載炭門並びに外板の開口を閉鎖するその他の装置は、取り付ける場所及び最高区画満載喫水線に関連する位置を考慮して、効果的な設計及び構造のもので、かつ、十分な強さのものとしなければならない。
(d)隔壁甲板直上の甲板の下方にあるすべての舷窓には、容易にかつ有効に閉じて水密に定着させることができるように配置した効果的な内ぶたを備えなければならない。
第18規則 旅客船のビルジ排水装置
(a)船舶は、直立していると横傾斜しているとを問わず海難後に実際に起りうるすべての状態において、常設の水又は油の区画室を除くいずれの水密区画室からも吸水し、及び排水することができる効果的なビルジ排水施設を備えなければならない。このためには、一個の吸水管で十分な船首尾の狭い区画室のほかは、一般に側部吸水管を必要とする。普通の形状でない区画室では、吸水管の増加を要求することができる。配置は、区画室内の水が吸水管に達しうるようにしなければならない。特定の区画室に関して主管庁が排水設備を設けることが好ましくないと認める場合において、この章の第7規則(b)に定める条件に従つて行なわれた計算により、船舶の安全がそこなわれないことが証明されるときは、主管庁は、排水設備を省略することを許容することができる。防熱倉からの排水については、効果的な措置を執らなければならない。
(b)(i)船舶は、ビルジ主管に連結する少なくとも三個の動力ポンプを備えなければならない。そのうちの一個は、推進装置に直結させることができる。標準数が三十以上の場合には、追加の独立の動力ポンプ一個を備えなければならない。
(ii)これらの要件は、次の表に要約される。
標準数30未満30以上
主機直結ポンプ(独立ポンプ一個によつて代用することができる。)
独立ポンプ
(iii)衛生ポンプ、バラスト・ポンプ及び雑用ポンプは、ビルジ排水管系との必要な連結管を取り付けているときは、独立の動力ビルジ・ポンプとして容認することができる。
(c)実行可能なときは、動力ビルジ・ポンプは、同一の損傷によつて容易に浸水しないような配置又は位置の別個の水密区画室に設けなければならない。機関及びボイラが二以上の水密区画室にあるときは、ビルジ用に利用することができるポンプは、できる限りこれらの区画室に分散して配置しなければならない。
(d)長さ300フィート(又は91.5メートル)以上又は標準数30以上の船舶においては、配置は、船舶が海上において浸水することがあるすべての通常の状況において少なくとも一個の動力ポンプを利用することができるようにしなければならない。この要件は、次のいずれかの場合には、満たされたものとする。
(i)要求されるポンプの一個が、隔壁甲板の上方に動力源のある確実な潜水型の非常ポンプである場合
(ii)ポンプ及びその動力源が、船舶が耐えなければならない浸水状態の下で損傷を受けない区画室内の少なくとも一個のポンプを利用することができるように、船舶の全長を通じて配置されている場合
(e)船首尾区画室用としてのみ備える追加のポンプを除くほか、要求される各ビルジ・ポンプは、(a)の規定により排水することを要求されるいずれの場所からも排水するように配置しなければならない。
(f)(i)各動力ビルジ・ポンプは、要求されるビルジ主管を通る水に毎分400フィート(又は122メートル)以上の速さを与えることができなければならない。機関区域内にある独立の動力ビルジ・ポンプには、この区域の各場所からの直接吸水管を備えなければならない。ただし、いずれの場所においても、二個をこえる直接吸水管を必要としない。二個以上の直接吸水管を備えるときは、少なくとも、一個を左舷に、一個を右舷に備えなければならない。主管庁は、他の区域にある独立の動力ビルジ・ポンプに別個の直接吸水管を備えることを要求することができる。直接吸水管は、適当に配置しなければならず、また、機関区域内の直接吸水管は、ビルジ主管について要求される径より小さい径のものであつてはならない。
(ii)石炭を燃料とする船舶においては、この第18規則の規定により要求される他の吸水管のほかに、独立の動力ポンプの吸水側に連結することができる適当な径のかつ十分な長さの柔軟な吸水ホースをストークホールドに備えなければならない。
(g)(i)機関区域においては、(f)で要求される直接ビルジ吸水管のほかに、主循環ポンプから機関区域の排水水位まで達し、かつ、不還弁を取り付けた直接吸水管を設けなければならない。この直接吸水管の径は、蒸気船の場合には、主循環ポンプの入口の径の少なくとも3分の2でなければならず、内燃機船の場合には、主循環ポンプの入口の径と等しくなければならない。
(ii)主循環ポンプがこの目的には不適当であると主管庁が認めるときは、利用することができる最大の独立の動力ポンプから機関区域の排水水位まで達する非常直接吸水管を設けなければならない。この吸水管の径は、使用されるポンプの入口の径と等しくなければならない。このように連結されたポンプの能力は、要求されたビルジ・ポンプの能力より主管庁が認める量だけ大きくなければならない。
(iii)海水吸入弁及び直接吸水管の弁のスピンドルは、機関室の床から十分に上方に達しなければならない。
(iv)燃料が石炭である場合又は石炭であることがある場合において、機関とボイラとの間に水密隔壁がないときは、(g)(i)の規定に従つて使用されている循環ポンプには、船外への直接排水管を取り付け、又はこれに替えて、循環ポンプの排出管へのバイパスを取り付けなければならない。
(h)(i)貨物区域又は機関区域の排水のため必要なポンプからのすべての管は、水又は油を積載する場所を満たし、又はからにするために使用する管とは全く別のものでなければならない。
(ii)石炭庫若しくは燃料油タンクの内部若しくは下部又はボイラ室若しくは機関室(澄ましタンク又は燃料油ポンプ装置を備える場所を含む。)の内部に用いるすべてのビルジ管は、鋼又は他の承認された材料のものでなければならない。
(i)ビルジ主管の径は、次の式で計算される。ただし、ビルジ主管の実際の内径は、主管庁が容認する最も近い標準寸法とすることができる。
d=√(L(B+D))+1
2,500
dは、インチによるビルジ主管の内径
Lは、フィートによる船舶の長さ
Bは、フィートによる船舶の幅
Dは、フィートによる隔壁甲板までの船舶の型深さ
又は
d=1.68√(L(B+D)+25)
dは、ミリメートルによるビルジ主管の内径
Lは、メートルによる船舶の長さ
Bは、メートルによる船舶の幅
Dは、メートルによる隔壁甲板までの船舶の型深さ
 ビルジ支管の径は、主管庁が定める規則により決定しなければならない。
(j)ビルジ及びバラストの吸排水糸の配置は、水が海及びバラスト・タンクから貨物区域及び機関区域に又は一区画室から他の区画室に流入する可能性を防止するようにしなければならない。ビルジ用及びバラスト用の連結管を有するディープ・タンクについては、貨物を積載している場合には不用意に海水が流入することを、また、水バラストを積載している場合にはビルジ管を通して不用意に吸出されることを防止するための特別の設備を施さなければならない。
(k)ビルジ吸水管を備える区画室については、衡突又は乗揚げにより他の区画室内でその管が切断され、又は他の損傷を受けた場合に浸水することを防止するための設備を施さなければならない。このためには、管のいずれかの部分が船側から船舶の幅の5分の1の距離(最高区画満載喫水線の水平面において中心線に直角に測る。)より船側寄りにあるとき又はダクト・キール内にあるときは、開放端のある区画室内の管に不還弁を取り付けなければならない。
(l)ビルジ排水装置に連結するすべての分管箱、コック及び弁は、通常の状況において常に近づくことができる位置になければならない。これらは、浸水の場合に、一個のビルジ・ポンプがいずれの区画室に対しても作動することができるように配置しなければならない。さらに、ビルジ主管に連結するポンプ又はその管で船舶の幅の5分の1に引いた線より外側にあるものの破損の場合に、ビルジ管系が働かなくなるようなことのないようにしなければならない。すべてのポンプに共通な一の管系のみを備えるときは、ビルジ吸水管の制御に必要なコック又は弁は、隔壁甲板の上方から操作することができなければならない。主ビルジ排水系のほかに非常ビルジ排水系を備えるときは、この非常ビルジ排水系は、主ビルジ排水系から独立させなければならず、かつ、浸水状態にあるいずれの区画室に対してもポンプが作動することができるように配置しなければならない。この場合には、非常ビルジ排水系の操作に必要なコック及び弁のみが隔壁甲板の上方から操作することができるようになつていれば足りる。
(m)(1)に述べる隔壁甲板の上方から操作することができるすべてのコック及び弁の制御装置は、操作する場所に明りように標識を附し、かつ、開いているか閉じているかを示すための装置を備えなければならない。
第19規則 旅客船及び貨物船に対する復原性資料
(a)各旅客船及び貨物船は、その完成後に傾斜させて復原性の要素を決定しなければならない。船長には、各種の使用状態における船舶の復原性について正確な手引を迅速かつ簡単に得るために必要な信頼できる資料を提供し、かつ、その写しを主管庁に提出しなければならない。
(b)船長に提供された復原性資料に実質的に影響を及ぼすような変更が船舶に加えられた場合には、修正された復原性資料を作成しなければならない。必要があるときは、船舶は、再び傾斜試験を受けなければならない。
(c)主管庁は、個個の船舶について、復原性の基本的資料が姉妹船の傾斜試験から得られて、この基本的資料から当該個個の船舶の復原性に関する信頼しうる情報が得られることが明らかであると認めるときは、傾斜試験の省略を許容することができる。
(d)主管庁は、また、液体又は鉱石のばら積み輸送のために特に設計された個個の船舶又はある種類の船舶であつて、当該寸法比及び配置によればすべての予想される載貨状態において十分なメタセンタ高さを得ることとなることが、類似の船舶の既存の資料を参照して明らかであるものについては、傾斜試験の省略を許容することができる。
第20規則 損傷制御図
 担当士官の手引のために、水密区画室の境界、その開口並びに閉鎖装置及びその制御装置の位置並びに浸水による船舶の横傾斜を修正する装置を各甲板及び船倉について明示した図面を恒久的に掲示しなければならない。さらに、前記の資料を含む小冊子を船舶の士官の利用に供しなければならない。
第21規則 水密戸等の標示、定期的な操作及び検査
(a)この第21規則の規定は、新船及び現存船に適用する。
(b)水密戸、舷窓並びに排水口、灰捨筒及びごみ捨筒の弁及び閉鎖装置の操作の訓練を毎週行なわなければならない。航海が継続して一週間をこえる船舶では、出港前に完全な訓練を行ない、その後は航海中少なくとも週一回訓練を行なわなければならない。すべての船舶において、主横置隔壁におけるすべての水密な動力戸及びヒンジ戸で海上において使用するものは、毎日操作しなければならない。
(c)(i) 水密戸、これに連結するすべての装置及び指示器、区画室を水密にするために閉鎖を必要とするすべての弁並びに損傷制御用クロス連結管のために操作を必要とするすべての弁は、海上において少なくとも週一回定期的に検査しなければならない。
(ii) これらの弁、戸及び装置は、最大の安全性を与えるように正しく使用されることを確保するために適当に標示されなければならない。
第22規則 航海日誌の記入
(a)この第22規則の規定は、新船及び現存船に適用する。
(b)ヒンジ戸、取りはずしうる板戸、舷窓、舷門、載貨門、載炭門その他の開口でこの章の規定により航行中は閉じておくことが要求されるものは、船舶の出港前に閉じなければならない。閉じた時刻及び開いた時刻(この章の規定に基づいて許される場合)は、主管庁が定める航海日誌に記録しなければならない。
(c)この章の第21規則の規定により要求されるすべての訓練及び検査の記録は、発見した欠陥の明白な記録とともに航海日誌に記入しなければならない。

C部 機関及び電気設備

(C部の規定は、旅客船及び貨物船に適用する。)
第23規則 総則
(a)旅客船における電気設備は、次のものでなければならない。
(i) 安全のために必要な設備が各種の非常事態の下で維持されるもの
(ii) 電気的な危険に対して旅客、船員及び船舶の安全が確保されるもの
(b)貨物船は、この章の第26規則、第27規則、第28規則、第29規則、第30規則及び第33規則の規定に適合しなければならない。
第24規則 旅客船における主電源
(a)電力が船舶の推進及び安全のために不可欠な補助設備を維持する唯一の手段である各旅客船は、少なくとも二組の主発電装置を備えなければならない。これらの発電装置の電力は、一組の発電装置が停止した場合にも、この章の第23規則(b)(i)に規定する設備の機能を確保することができるものでなければならない。
(b)一のみの主発電室がある旅客船においては、主配電盤は、同一の主防火区域に配置しなければならない。二以上の主発電室がある場合において、主配電盤は、一個でもさしつかえない。
第25規則 旅客船における非常電源
(a)自己起電の非常電源を、隔壁甲板の上方で機関室囲壁の外部に備えなければならない。主電源に対する非常電源の位置は、この章の第2規則(h)に定義する機関区域の火災その他の災害が非常電力の給配を妨害しないものであると主管庁が認めるものでなければならない。非常電源は、衝突隔壁の前方にあつてはならない。
(b)利用しうる電力は、非常の際に旅客及び船員の安全のために必要であると主管庁が認めるすべての設備に給電するため十分でなければならない。この場合においては、同時に作動しなければならないことがある設備を考慮しなければならない。甲板及び舷外に おける 各端艇位置、すべての通路、階段及び出口、機関区域並びにこの章の第35規則(f)に定義する制御場所の非常照明、スプリンクラ・ポンプ、航行用の燈並びに主電源により作動する昼間信号燈に対し、特別の考慮を払わなければならない。電力は、36時間の給電に十分でなければならない。ただし、短期間の航海に定期的に従事する船舶については、主管庁は、同等の安全性が得られると認めるときは、給電時間の短縮を容認することができる。
(c)非常電源は、次のいずれかのものとすることができる。
(i)独立の給油装置及び承認された起動装置を有する適当な原動機により駆動する発電機。使用する燃料は、華氏110度(又は摂氏43度)以上の引火点のものでなければならない。
(ii)再充電又は過度の電圧降下なしに非常負荷に耐えることができる蓄電池
(d)(i)非常電源が発電機であるときは、次のことのために十分な容量の蓄電池による臨時の非常電源を備えなければならない。
(1)連続して半時間非常照明に給電すること。
(2)水密戸(電動の場合)を閉じること。ただし、すべての戸を同時に閉じることを要しない。
(3)動力水密戸が開いているか閉じているかを示す指示器(電動の場合)を操作すること。
(4)動力水密戸が閉じようとするのを知らせる音響信号(電動の場合)を操作すること。
 配置は、主給電の事故の場合に臨時の非常電源が自動的に作動するようにしなければならない。
(ii)非常電源が蓄電池であるときは、照明用主給電の事故の場合に非常照明が自動的に作動することを確保するための措置を執らなければならない。
(e)この第25規則の規定に従つて備える蓄電池が放電していることを示す指示器を、機関区域に、なるべく主配電盤に取り付けなければならない。
(f)(i)非常配電盤は、非常電源に実行可能な限り近接して設けなければならない。
(ii)非常電源が発電機であるときは、非常配電盤は、その操作が害されない限り、非常電源と同一の場所に設けなければならない。
(iii)この第25規則の規定に従つて備える蓄電池は、非常配電盤と同一の場所に設けてはならない。
(iv)主管庁は、通常の状態において、主配電盤から非常配電盤に給電することを許可することができる。
(g)配置は、船舶が22.5度横傾斜し、及び(又は)10度縦傾斜した場合にも全非常設備が作動するようにしなければならない。
(h)非常電源及び臨時の非常電源(もしあれば)の定期的試験のために、措置を執らなければならない。この試験は、自動装置の試験を含むものとする。
第26規則 貨物船における非常電源
(a)総トン数5000トン以上の貨物船
(i)総トン数5000トン以上の貨物船においては、自己起電の非常電源を、最上層の連続甲板の上方かつ機関室囲壁の外部であつて、火災その他の災害により主電気設備が故障した場合にも機能を確保するものであると主管庁が認める場所に備えなければならない。
(ii)利用しうる電力は、非常の際に船内のすべての者の安全のために必要であると主管庁が認めるすべての設備に給電するため十分でなければならない。この場合においては、同時に作動しなければならないことがある設備を考慮しなければならない。次のものに対しては、特別の考慮を払わなければならない。
(1)甲板及び舷外における各端艇位置、すべての通路、階段及び出口、主機関室及び主発電装置室、航海船橋並びに海図室の非常照明
(2)一般警報装置
(3)電気式のみの航行用の燈及び主電源により作動する昼間信号燈
 電力は、6時間の給電に十分でなければならない。
(iii)非常電源は、次のいずれかのものとすることができる。
(1)再充電又は過度の電圧降下なしに非常負荷に耐えることができる蓄電池
(2)独立の給油装置及び主管庁が十分と認める起動装置を有する適当な原動機により駆動する発電機。使用する燃料は、華氏110度(又は摂氏43度)以上の引火点のものでなければならない。
(iv)配置は、船舶が22.5度横傾斜し、及び(又は)10度縦傾斜した場合にも全非常設備が作動するようにしなければならない。
(v)全非常設備の定期的試験のために、措置を執らなければならない。
(b)総トン数5000トン未満の貨物船
(i)総トン数5000トン未満の貨物船においては、主管庁が認める場所に、第3章第19規則(a)(ii)、(b)(ii)及び(b)(iii)に規定する救命用の端艇及びいかだの進水場所及び積付場所の照明並びに主管庁が要求することがある他の設備に給電することができる自己起電の非常電源を備えなければならない。この場合においては、第3章第38規則の規定を考慮しなければならない。
(ii)利用しうる電力は、少なくとも3時間の給電に十分でなければならない。
(iii)これらの船舶は、また、(a)(iii)、(iv)及び(v)の規定に従わなければならない。
第27規則 電撃、火災その他の電気的な危険の予防手段
(a)旅客船及び貨物船
(i)(1)帯電しないようにされているが故障状態では帯電しやすくなる電気機器又は設備のすべての露出金属部は、接地させなければならない。また、すべての電気器具は、通常の取扱いにおいて傷害の危険がないように造り、かつ、据え付けなければならない。
(2)船舶の艤装品となつている移動電気燈、電気工具及び類似の器具で、定格電圧が主管庁の規定する安全電圧をこえるものの金属わくは、適当な導体で接地させなければならない。ただし、二重絶縁又は絶縁変圧器等によりこれと同等の設備を施す場合は、この限りでない。主管庁は、湿つた場所で使用する電燈、電気工具又は類似の器具に対してさらに特別の予防手段を要求することができる。
(ii)主配電盤及び非常配電盤は、取扱者が危険なしに前後面に容易に近づきうるように配置しなければならない。配電盤の側面、後面及び、必要なときは、前面は、適当に保護しなければならない。必要なときは、前部及び後部には、非電導体のマツト又はグレーティングを設けなければならない。大地に対する電圧が主管庁が規定する電圧をこえる露出通電部は、配電盤又は制御盤の表面に設けてはならない。
(iii)(1)配電に船体帰路方式を使用する場合には、主管庁が十分と認める特別の予防手段を講じなければならない。
(2)船体帰路方式は、タンカーに使用してはならない。
(iv)(1)ケーブルのすべての金属シース及び鎧装は、電気的に連続させ、かつ、接地させなければならない。
(2)ケーブルがシースも鎧装もされておらず、電気的故障の場合に火災の危険があるときは、主管庁は、予防手段を要求しなければならない。
(v)燈具類は、配線に有害な温度の上昇及び周囲の物の過熱を防止するように配置しなければならない。
(vi)配線は、擦傷その他の損傷を避けるように支持しなければならない。
(vii)各独立回路は、短絡に対して保護しなければならない。この章の第30規則の規定による場合又は主管庁が除外を認めた場合を除くほか、各独立回路は、過負荷に対しても、また、保護しなければならない。各回路の通電容量は、適当な過負荷保護装置の定格又は調整値とともに、恒久的に表示しなければならない。
(viii)蓄電池は、適当に格納しなければならない。また、主としてその収容のために使用される区画室は、適正に造り、かつ、有効に通風しなければならない。
(b)旅客船のみ
(i)配電系統は、主防火区域における火災が他の主防火区域における必要な設備の機能を妨害しないように配置しなければならない。この要件は、いずれの区域を通過する主給電線及び非常給電線も垂直方向及び水平方向に実行可能な限り間隔を広くしてある場合には、満たされたものとする。
(ii)ケーブルは、主管庁が十分と認める難燃性のものでなければならない。主管庁は、火災又は爆発を防ぐため、船舶の特定の場所におけるケーブルをさらに保護することを要求することができる。
(iii)引火性のガスがたまりやすい場所には、防爆型の機器のようにガスに点火しないような型式のものでない限り、電気設備を設けてはならない。
(iv)石炭庫又は船倉内の照明回路には、その場所の外側に絶縁用スイッチを設けなければならない。
(v)低電圧の通信回路の場合を除くほか、すべての導線の接続は、接続箱又は分岐箱内でのみ行なわなければならない。これらのすべての箱又は接続装置は、そこからの火災の拡大を防止するように造らなければならない。組継ぎを用いる場合には、ケーブルの本来の機械的及び電気的性質を維持する承認された方法のみによらなければならない。
(c)貨物船のみ
 アークを発生しやすい装置は、防爆型のものでない限り、主として蓄電池用に充てる区画室に設けてはならない。
第28規則 後進の手段
(a)旅客船及び貨物船
 船舶は、すべての通常の状況において船舶の適正な操縦を確保するため十分な後進力を有しなければならない。
(b)旅客船のみ
 通常の操縦状態において、すみやかにプロペラの推進方向を逆にして、最大前進航海速力にある船舶を停止させる機関の能力を、最初の検査の時に、試験しなければならない。
第29規則 操舵装置
(a)旅客船及び貨物船
(i)船舶は、主管庁が十分と認める主操舵装置及び補助操舵装置を備えなければならない。
(ii)主操舵装置は、十分な強さのものであり、かつ、最大航海速力において操舵するため十分なものでなければならない。主操舵装置及びラダー・ストックは、最大後進速力において破損しないように設計しなければならない。
(iii)補助操舵装置は、十分な強さのものであり、航行しうる速力において操舵するため十分なものであり、かつ、非常の際に迅速に作動させうるものでなければならない。
(iv)動力により操作するときは、かじの正確な位置は、主操舵場所に指示しなければならない。
(b)旅客船のみ
(i)主操舵装置は、船舶が最大航海速力で前進中かじを片舷35度から反対舷35度まで操作することができなければならない。かじは、最大航海速力でいずれの舷からも片舷35度から反対舷30度まで28秒以内で操作することができなければならない。
(ii)チラーの箇所のラダー・ストックの径が9インチ(又は22.86センチメートル)をこえることを主管庁が要求する場合には、補助操舵装置は、動力操作のものでなければならない。
(iii)主操舵装置の動力装置及びその連結装置が主管庁が十分と認めるように二重に装置されており、かつ、各装置によつて操舵装置が(b)(i)の要件を満たすときは、補助操舵装置を備える必要はない。
(iv)チラーの箇所のラダー・ストックの径が9インチ(又は22.86センチメートル)をこえることを主管庁が要求する場合には、主管庁が認める場所に副操舵場所を設けなければならない。主及び副操舵場所からの遠隔操舵制御系統は、いずれの一方の系統が故障しても他方の系統で操舵することができるものであると主管庁が認めるように配置しなければならない。
(v)船橋から副操舵場所に命令を伝達しうるように、主管庁が十分と認める装置を備えなければならない。
(c)貨物船のみ
(i)チラーの箇所のラダー・ストックの径が14インチ(又は35.56センチメートル)をこえることを主管庁が要求する場合には、補助操舵装置は、動力操作のものでなければならない。
(ii)動力操舵装置の動力装置及びその連結装置が主管庁が十分と認めるように二重に装置されており、かつ、各装置が(a)(iii)の規定に適合しているときは、補助操舵装置を備える必要はない。ただし、同時に働く動力装置及びその連結装置は、(a)(ii)の規定に適合しなければならない。
第30規則 電動操舵装置及び電動油圧操舵装置
(a)旅客船及び貨物船
 電動操舵装置及び電動油圧操舵装置の電動機の運転表示器を、主管庁が認める適当な場所に備えなければならない。
(b)すべての旅客船(トン数のいかんを問わない。)及び総トン数5000トン以上の貨物船
(i)電動操舵装置及び電動油圧操舵装置は、主配電盤から二組の回路で給電しなければならない。そのうちの一回路は、非常配電盤があるときはこれを経由することができる。各回路は、通常それに接続され、かつ、同時に作動するすべての電動機に給電するため十分な容量のものでなければならない。各回路がいずれの電動機又は電動機の組合せにも給電しうるように切換装置を操舵機室に設ける場合には、各回路の容量は、最大の負荷状態に対して十分でなければならない。これらの回路は、全長を通じて実行可能な限り間隔を広くしなければならない。
(ii)これらの回路及び電動機には、短絡のみに対する保護を設けなければならない。
(c)総トン数5000トン未満の貨物船
(i)電力が主操舵装置及び補助操舵装置の唯一の動力源である貨物船は、(b)(i)及び(ii)の規定に適合しなければならない。ただし、補助操舵装置が本来他の用途に使用する電動機で給電されるときは、主管庁が保護装置を十分と認めることを条件として、(b)(ii)の規定による措置を省略することができる。
(ii)電動主操舵装置又は電動油圧主操舵装置の電動機及び回路には、短絡のみに対する保護を設けなければならない。
第31規則 旅客船に使用する燃料油
 引火点が華氏110度(又は摂氏43度)以下の燃料を使用する内燃機関は、旅客船の固定設備として使用してはならない。
第32規則 旅客船の非常設備の場所
 非常電源、非常消火ポンプ、非常ビルジ・ポンプ、消火用の炭酸ガスボンベ群その他船舶の安全に必要な非常設備は、旅客船においては衝突隔壁の前方に設けてはならない。
第33規則 船橋と機関室との間の通信
 船舶には、船橋から機関室へ命令を伝達する二の装置を取り付けなければならない。そのうちの一は、エンジン・テレグラフでなければならない。

第4節 D部 防火

(D部においては、第34規則から第52規則までの規定は36人をこえる旅客を輸送する旅客船に、第35規則及び第53規則の規定は36人以下の旅客を輸送する旅客船に、第35規則及び第54規則の規定は総トン数4000トン以上の貨物船に適用する。)
第34規則 総則
(a)この部の規定の目的は、配置及び構造の詳細を規制することにより、火災からの実行可能な最大限の保護を要求することにある。これらの規制の根底となる基本的な三原則は、次のとおりである。
(i)居住区域を船舶のその他の場所から防熱上及び構造上の境界により隔離すること。
(ii)いかなる火災もその発生場所内で抑止し、消火し、又は探知すること。
(iii)脱出設備を保護すること。
(b)船体、船楼及び甲板室は、A級隔壁(この章の第35規則(c)に定める。)で主垂直区域に区分し、さらに、垂直通路を備える場所を保護する境界並びに居住区域を機関区域、貨物区域、業務区域その他の場所から隔離する境界を形成する同種の隔壁で区分しなければならない。さらに、この章のE部の規定により要求される巡視制度、警報装置及び消火装置のほかに、居住区域及び業務区域には、火災がその発生場所から拡大することを初期に防止する目的で、次のいずれかの保護方式又は主管庁が十分と認めるそれらの方式の組合せを採用しなければならない。
第一方式 一般には居住区域及び業務区域に探知装置又はスプリンクラ装置を設けないで、B級仕切(この章の第35規則(d)に定義する。)の内部仕切隔壁を設けること。
第二方式 火災の発生が予期されるすべての場所における火災の探知及び消火のための自動スプリンクラ及び火災警報装置を取り付けること。このように保護された場所の内部仕切隔壁の型式には、一般に制限を設けない。
第三方式 各主垂直区域内における各種の区画室を、その重要性、大きさ及び性質に従つてA級仕切及びB級仕切を用いて区画すること。この場合には、火災の発生が予期されるすべての場所に自動火災探知装置を設けるものとし、かつ、可燃性で高度に引火性の材料及び附属品の使用を制限されるが、一般にスプリンクラ装置を設けない。
この部の各規則の表題及び副表題は、当該規則がいずれの方式において適用されるかを示す。
第35規則 定義
 次に定義する字句は、この部に用いるときは、次の定義に従つて解釈する。
(a)「不燃性材料」とは、およそ華氏1382度(又は摂氏750度)に熱せられたときに、燃えず、かつ、検火炎で点火されるため十分な量の引火性の蒸気を発生しない材料をいう。その他の材料は、「可燃性材料」とする。
(b)「標準火災試験」とは、該当する隔壁又は甲板の標本であつて、約50平方フィート(又は4.65平方メートル)の表面積及び8フィート(又は2.44メートル)の高さを有し、当該構造にできる限り類似し、かつ、必要に応じて少なくとも一の継手を有するものを、およそ次に掲げる一連の時間温度関係で試験炉中にさらす試験をいう。
最初の5分後-華氏1000度(又は摂氏538度)
最初の10分後-華氏1300度(又は摂氏704度)
最初の30分後-華氏1550度(又は摂氏843度)
最初の60分後-華氏1700度(又は摂氏927度)
(c)「A級仕切又は耐火仕切」とは、次の要件に適合する隔壁及び甲板で形成する仕切をいう。
(i)鋼その他これと同等の材料で造らなければならない。
(ii)適当に補強しなければならない。
(iii)1時間の標準火災試験が終わるまで煙及び炎の通過を阻止しうるように造らなければならない。
(iv)主管庁が隣接する場所の性質を考慮して十分と認める防熱値を有しなければならない。一般に、この隔壁及び甲板が、隣接する木工品、木製内張りその他の可燃性材料を含む一場所と他の場所との間で耐火仕切を形成することを要する場合には、いずれの一方の面が1時間の標準火災試験にさらされても、さらされない面の平均温度が試験中いかなる時にも最初の温度から華氏250度(又は摂氏139度)をこえて上昇せず、かつ、そのさらされない面の継手を含むいかなる点の温度も最初の温度から華氏325度(又は摂氏180度)をこえて上昇しないように、防熱を施さなければならない。火災の危険が少ないと主管庁が認める場所においては、防熱を軽減し、又は省略することができる。主管庁は、保全性及び温度上昇についての前記の要件に適合することを確かめるため、隔壁又は甲板の組合せの標本について試験を要求することができる。
(d)「B級仕切又は準耐火仕切」とは、標準火災試験の最初の半時間の終りまで炎の通過を阻止しうるように造つた隔壁で形成する仕切をいう。さらに、この仕切は、主管庁が隣接する場所の性質を考慮して十分と認める防熱値を有しなければならない。一般に、この隔壁は、場所と場所との間で準耐火仕切を形成することを要する場合には、いずれの一方の面が標準火災試験に最初の半時間さらされても、さらされない面の平均温度が試験中いかなる時にも最初の温度から華氏250度(又は摂氏139度)をこえて上昇せず、かつ、そのさらされない面の継手を含むいかなる点の温度も最初の温度から華氏405度(又は摂氏225度)をこえて上昇しないような材料のものでなければならない。不燃性材料のパネルでは、標準火災試験の最初の15分間前記の温度上昇制限に適合すればよい。ただし、その試験は、パネルの保全性を試験するため、普通の方法で半時間の終りまで続行しなければならない。不燃性のB級仕切の構造及び組立てに用いるすべての材料は、それ自体が不燃性のものでなければならない。火災の危険が少ないと主管庁が認める場所においては、防熱を軽減し、又は省略することができる。主管庁は、保全性及び温度上昇についての前記の要件に適合することを確かめるため、隔壁の組合せの標本について試験を要求することができる。
(e)「主垂直区域」とは、A級仕切で船体、船楼及び甲板室が仕切られた区域であつて、いかなる一甲板上におけるその平均の長さも一般に131フィート(又は40メートル)をこえないものをいう。
(f)「制御場所」とは、無線装置、主航海装置、中央火災記録装置又は非常発電機のある場所をいう。
(g)「居住区域」とは、公室、通路、洗面所、キャビン、事務室、船員室、理髪室、独立の配ぜん室及びロッカー室並びに類似の場所に使用する場所をいう。
(h)「公室」とは、ホール、食堂、ロンジ及び類似の恒久的に囲まれた場所に使用する居住区域の部分をいう。
(i)「業務区域」とは、調理室、主配ぜん室、貯蔵品室(独立の配ぜん室及びロッカー室を除く。)郵便物室、金庫室及び類似の場所に使用する場所並びにこれらの場所に至るトランクをいう。
(j)「貨物区域」とは、貨物に使用するすべての場所(貨物油タンクを含む。)及びこれらの場所に至るトランクをいう。
(k)「機関区域」とは、推進機関、補助機関、冷凍機、ボイラ、ポンプ、工作室、発電機、通風機械、空気調和機械、給油場所及び類似の場所に使用するすべての場所並びにこれらの場所に至るトランクをいう。
(l)「鋼その他これと同等の材料」「鋼その他これと同等の材料」という語句を用いる場合には、「同等の材料」とは、それ自体で又は防熱を施すことによつて、適用すべき時間中火にさらされた後も鋼と同等の構造上及び保全性上の性質を有する材料(たとえば、適当な防熱を施したアルミニウム)をいう。
(m)「炎のひろがりがおそい」とは、関係場所内の火災の危険に関連して、このように記述されている面が炎のひろがりを十分に制限することをいい、このことは、適当に定めた試験方法により主管庁が十分と認めて決定する。
第36規則 構造物(第一方式、第二方式及び第三方式)
(a)第一方式
 船体、船楼、構造隔壁、甲板及び甲板室は、鋼その他これと同等の材料で造らなければならない。
(b)第二方式
(i)船体、船楼、構造隔壁、甲板及び甲板室は、鋼その他これと同等の材料で造らなければならない。
(ii)第二方式に従つた防火を行なう場合には、船楼は、次のことを条件として、たとえばアルミニウム合金で造ることができる。
(1)標準火災試験にさらされる際におけるA級仕切の金属心の温度上昇については、材料の機械的性質を考慮すること。
(2)この章の第59規則(g)の規定に適合する自動スプリンクラ装置を取り付けること。
(3)救命用の端艇及びいかだの積付け、進水及び乗込みのための配置が、火災の際に、船楼が鋼で造られている場合と同程度に有効であることを確保するため、十分な措置を執ること。
(4)ボイラ室及び機関室の頂部及び囲壁が十分な防熱を施した鋼構造のものであること並びに、これらに開口が設けられているときは、火災の拡大を防止するようにその開口が適当に配置されかつ保護されていること。
(c)第三方式
(i)船体、船楼、構造隔壁、甲板及び甲板室は、鋼その他これと同等の材料で造らなければならない。
(ii)第三方式に従つた防火を行なう場合には、船楼は、次のことを条件として、たとえばアルミニウム合金で造ることができる。
(1)標準火災試験にさらされる際におけるA級仕切の金属心の温度上昇については、材料の機械的性質を考慮すること。
(2)船舶の関係部分に使用される可燃性材料の量が適当に減らされていると主管庁が認めること。天井張り(すなわち、甲板下面の内張り)は、不燃性でなければならない。
(3)救命用の端艇及びいかだの積付け、進水及び乗込みのための配置が、火災の際に、船楼が鋼で造られている場合と同程度に有効であることを確保するため、十分な措置を執ること。
(4)ボイラ室及び機関室の頂部及び囲壁が十分な防熱を施した鋼構造のものであること並びに、これらに開口が設けられているときは、火災の拡大を防止するようにその開口が適当に配置されかつ保護されていること。
第37規則 主垂直区域(第一方式、第二方式及び第三方式)
(a)船体、船楼及び甲板室は、主垂直区域に区画しなければならない。階段部及び屈折部は、最小限にするものとし、これらが必要な場合には、A級仕切としなければならない。
(b)隔壁甲板の上方における主垂直区域の境界を形成する隔壁は、実行可能な限り、隔壁甲板直下の水密区画隔壁と同一線上になければならない。
(c)このような隔壁は、甲板から甲板まで達し、かつ、外板又は他の境界まで達しなければならない。
(d)自動車渡船又は鉄道車両渡船のような特別な目的のために設計された船舶において、このような隔壁を設けることが船舶の目的をそこなう場合には、火災の制限のための同等の方法を代用し、かつ、これについて特に主管庁の承認を受けなければならない。
第38規則 A級仕切における開口(第一方式、第二方式及び第三方式)
(a)電線、管、トランク、ダクト等を通すため又はガーダ、ビームその他の構造物のためにA級仕切に穴をあける場合には、耐火性が害されないことを確保するため措置を執らなければならない。
(b)主垂直区域隔壁を貫く通風用のトランク及びダクトには、ダンパーを取り付け、かつ、ダンパーには、隔壁の両側から操作しうる適当な局部制御装置を取り付けなければならない。操作位置は、容易に近づきうるものでなければならず、かつ、赤く標示しなければならない。ダンパーが開いているか閉じているかを示す指示器を取り付けなければならない。
(c)減トン開口並びに貨物区域、貯蔵品室及び手荷物室相互間のハッチ並びにこれらの場所と露天甲板との間のハッチを除くほか、すべての開口には、常設閉鎖装置を備えるものとし、その装置は、これを取り付ける仕切と少なくとも同等の耐火性のものでなければならない。A級仕切に減トン開口を設ける場合には、閉鎖装置に鋼板を用いなければならない。
(d)A級仕切におけるすべての戸及び戸のわくの構造並びに戸を閉じたときに定着させる装置は、火災並びに煙及び炎の通過を阻止することについて、戸を取り付ける隔壁と実行可能な限り同等のものでなければならない。水密戸は、防熱を施すことを要しない。
(e)戸は、隔壁のいずれの側からも一人で開くことができなければならない。主垂直区域隔壁の防火戸で水密戸以外のものは、開いた位置から簡単かつ容易に離脱させる装置を有する自己閉鎖型のものでなければならない。これらの戸は、承認された型式及び設計のものでなければならず、自己閉鎖の機構は、船舶が戸の閉鎖方向の反対側に3.5度傾斜した場合にも戸を閉じることができなければならない。
第39規則 主垂直区域内の隔壁(第一方式及び第三方式)
(a)第一方式
(i)居住区域内においては、A級仕切のものであることを要するもの以外のすべての囲壁隔壁は、不燃性材料のB級仕切で造らなければならない。ただし、このB級仕切は、この章の第48規則の規定に従つて可燃性材料で上張りすることができる。すべての戸口及び類似の開口には、これらが設けられている隔壁の型式に応じた閉鎖装置を備えなければならない。
(ii)すべての通路隔壁は、甲板から甲板まで達しなければならない。B級隔壁の戸には、なるべく下部に、通風用の開口を設けることが許される。その他のすべての囲壁隔壁は、火災に対する保全性を確保しうるような不燃性の天井張り又は内張りを取り付ける場合(この場合には、隔壁は、天井張り又は内張りまでとすることができる。)を除くほか、垂直方向には甲板から甲板まで、横方向には外板又は他の境界まで達しなければならない。
(b)第三方式
(i)居住区域内においては、A級仕切のものであることを要するもの以外の囲壁隔壁は、不燃性材料のB級仕切で造らなければならない。ただし、このB級仕切は、この章の第48規則の規定に従つて可燃性材料で上張りすることができる。これらの隔壁は、一区画室の面積が一般に1300平方フィート(又は120平方メートル)を、最大の場合でも1600フィート(又は150平方メートル)をこえることがない準耐火隔壁の連続網を形成しなければならない。これらの隔壁は、甲板から甲板まで達していなければならない。すべての戸口及び類似の開口には、これらが設けられている隔壁の型式に応じた閉鎖装置を備えなければならない。
(ii)1600平方フィート(又は150平方メートル)をこえる広さの各公室は、不燃性材料のB級仕切で囲まなければならない。
(iii)A級仕切及びB級仕切の防熱は、主垂直区域、制御場所、階段囲壁及び通路を隔離する仕切を除くほか、仕切が船舶の外側部を構成している場合又は隣接する区画室に火災の危険がない場合には、省略することができる。
(iv)すべての通路隔壁は、B級仕切のものとし、甲板から甲板まで達していなければならない。天井張りは、取り付けられているときは、不燃性材料のものでなければならない。戸には、なるべく下部に、通風用の開口を設けることが許される。その他のすべての仕切隔壁も、また、不燃性の天井張り又は内張りを取り付ける場合(この場合には、隔壁は、天井張り又は内張りまでとすることができる。)を除くほか、垂直方向には甲板から甲板まで、横方向には外板又は他の境界まで達していなければならない。
(v)B級仕切は、不燃性の型のものであることを要するものを除くほか、不燃性の心を有するもの又はアスベスト板若しくは類似の不燃性材料を内層にした組合せ型のものでなければならない。もつとも、主管庁は、同等の準耐火性が確保されるときは、不燃性の心を有しない他の材料を承認することができる。
第40規則 居住区域と機関区域、貨物区域及び業務区域との隔離(第一方式、第二方式及び第三方式)
 居住区域を機関区域、貨物区域及び業務区域から隔離する境界の隔壁及び甲板は、A級仕切で造らなければならず、かつ、主管庁が隣接する場所の性質を考慮して十分と認める防熱値を有しなければならない。
第41規則 甲板床張り(第一方式、第二方式及び第三方式)
 居住区域、制御場所、階段及び通路内の甲板の一次床張りは、容易に点火しない承認された材料のものでなければならない。
第42規則 居住区域及び業務区域内の階段の保護(第一方式、第二方式及び第三方式)
(a)第一方式及び第三方式
(i)すべての階段は、主管庁が他の同等の材料の使用を認める場合を除くほか、鋼製骨組構造のものでなければならず、また、次の場合を除くほか、A級仕切で形成する囲壁であつて、最下層の居住甲板から少なくとも開放甲板へ直接に出られる高さまでのすべての開口を閉鎖する積極装置を備えるものの内部になければならない。
(1)二層の甲板のみを連結する階段は、一甲板における適当な隔壁又は戸によつて甲板の保全性が維持されるときは、囲むことを要しない。
(2)公室内においては、階段は、その全部が公室内にあるときは、囲まないで取り付けることができる。
(ii)階段囲壁は、通路と直接の連絡があるものとし、かつ、非常の際に使用すると思われる人員数を考慮して、混雑を防ぐため十分な面積のものでなければならず、また、この囲壁内における居住区域その他の火災の発生のおそれのある囲まれた場所が実行可能な限り小さいものでなければならない。
(iii) 階段囲壁の隔壁は、主管庁が隣接する場所の性質を考慮して十分と認める防熱値を有しなければならない。階段囲壁の開口の閉鎖装置は、それを取り付ける隔壁と少なくとも同等の耐火性のものでなければならない。水密戸以外の戸は、主垂直区域隔壁に要求されるこの章の第38規則の規定に従つた自己閉鎖型のものでなければならない。
(b)第二方式
(i)主階段は、主管庁が、防火又は消火の配置を追加することにより鋼製骨組構造と同等であると認める他の適当な材料の使用を認める場合を除くほか、鋼製骨組構造のものでなければならず、また、次の場合を除くほか、A級仕切で形成する囲壁であつて、最下層の居住甲板から少なくとも開放甲板へ直接に出られる高さまでのすべての開口を閉鎖する積極装置を備えるものの内部になければならない。
(1)二層の甲板のみを連結する階段は、一甲板における適当な隔壁又は戸によつて甲板の保全性が維持されるときは、囲むことを要しない。
(2)公室内においては、階段は、その全部が公室内にあるときは、囲まないで取り付けることができる。
(ii)階段囲壁は、通路と直接の連絡があるものとし、かつ、非常の際に使用すると思われる人員数を考慮して、混雑を防ぐため十分な面積のものでなければならず、また、この囲壁内における居住区域その他の火災の発生のおそれのある囲まれた場所が実行可能な限り小さいものでなければならない。
(iii)階段囲壁の隔壁は、主管庁が隣接する場所の性質を考慮して十分と認める防熱値を有しなければならない。階段囲壁の開口の閉鎖装置は、それを取り付ける隔壁と少なくとも同等の耐火性のものでなければならない。水密戸以外の戸は、主垂直区域隔壁に要求されるこの章の第38規則の規定に従つた自己閉鎖型のものでなければならない。
(iv)補助階段、すなわち、この章の第68規則の規定により要求される脱出設備の一部を形成せず、かつ、二層の甲板のみを連結する階段は、主管庁が他の適当な材料の使用を認める特別の場合を除くほか、鋼製骨組構造のものでなければならない。補助階段は、その箇所にスプリンクラ装置を取り付けることによつて甲板の保全性が維持されるときは、囲壁内に置くことを要しない。
第43規則 居住区域及び業務区域内の昇降機(旅客用及び業務用)、採光用及び通風用の垂直トランク等の保護(第一方式、第二方式及び第三方式)
(a)旅客用及び業務用の昇降機トランク、旅客区域に対する採光用及び通風用の垂直トランク等は、A級仕切のものでなければならない。戸は、鋼その他これと同等の材料のものでなければならず、かつ、閉じたときに、戸を取り付けるトランクと少なくとも同等の耐火性を有しなければならない。
(b)昇降機トランクは、煙及び炎の一甲板間から他の甲板間への通過を阻止しうるように取り付け、かつ、通風及び煙を制御しうるように閉鎖装置を備えなければならない。階段囲壁内の昇降機トランクの防熱は、強制されない。
(c)採光用及び通風用のトランクが二以上の甲板間の場所と連絡する場合において、煙及び炎が一甲板間から他の甲板間へ通過するおそれがあると主管庁が認めるときは、火災の際に各場所を隔離しうるように適当に配置された防煙シャッターを取り付けなければならない。
(d)その他のトランク(たとえば電線用)は、一甲板間又は一区画室から他の甲板間又は区画室へ火が通過しないように造らなければならない。
第44規則 制御場所の保護(第一方式、第二方式及び第三方式)
 制御場所は、A級の隔壁及び甲板で、船舶のその他の部分と隔離しなければならない。
第45規則 貯蔵品室等の保護(第一方式、第二方式及び第三方式)
 手荷物室、郵便物室、貯蔵品室、塗料庫、燈具庫、調理室及び類似の場所の境界の隔壁は、A級仕切のものでなければならない。高度の引火性がある貯蔵品を入れる場所は、火災の際に旅客又は船員に対する危険を最小にする位置になければならない。
第46規則 窓及び舷窓(第一方式、第二方式及び第三方式)
(a)居住区域と露天部とを隔離する隔壁にあるすべての窓及び舷窓は、鋼その他の適当な材料のわくで造らなければならない。ガラスは、金属ビードで固定しなければならない。
(b)居住区域内の隔壁にあるすべての窓及び舷窓は、これらを取り付ける隔壁の型式の保全性の要件を保持しうるように造らなければならない。
(c)(1)主推進機関、(2)油だきボイラ又は(3)合計馬力が千馬力以上の補助内燃機関がある場合においては、次の措置を執らなければならない。
(i)天窓は、当該場所の外側から閉じうるものにすること。
(ii)ガラス板のある天窓には、鋼その他これと同等の材料の外ぶたを恒久的に取り付けること。
(iii)主管庁が当該場所のケーシングに取り付けることを許すいかなる壁も、開かない型のものとし、かつ、鋼その他これと同等の材料の外ぶたを恒久的に取り付けること。
(iv) (i)、(ii)及び(iii)に規定する窓及び天窓には、網入ガラスを使用すること。
第47規則 通風装置(第一方式、第二方式及び第三方式)
(a)すべての通風装置の主吸気口及び主排気口は、火災の際にその場所の外側から閉じることができなければならない。一般に、通風用の送風機は、各場所に通ずるダクトが同一主垂直区域内にあるように配置しなければならない。
(b)貨物区域及び機関区域の通風並びに(d)の規定により要求される他の装置を除くほか、すべての機械通風には、実行可能な限り互いに遠く離れた距離にある二の位置のいずれからもすべての送風機を停止しうるように、主制御器を取り付けなければならない。機関区域用の機械通風には、二の主制御器を取り付けなければならず、その一は、機関区域外の位置から操作することができなければならない。
(c)調理室のレンジからの排気ダクトが居住区域を通る場合には、そのダクトに効果的な防熱を施さなければならない。
(d)甲板の下方で機関区域の外部にある制御場所については、火災の際に、その場所にある機械及び設備を監視し、かつ、その機能を有効に持続させることができるように、通風、視界及び排煙の維持を確保するための実行可能な措置を執らなければならない。これらの制御場所には、二の完全に隔離された給気装置を備えなければならず、この二の給気装置の吸気口は、両方の吸気口から煙が同時に吸引される可能性を最小にとどめるように配置しなければならない。主管庁が認める場合には、これらの要件は、開放甲板上にありかつ開放甲板に開いている場所又は局部閉鎖装置が同等に有効である場所には、適用することを要しない。
第48規則 構造の細目(第一方式及び第三方式)
(a)第一方式
 貨物区域、郵便物室、手荷物室又は業務区域の冷凍区画室を除くほか、すべての内張り、根太、天井張り及び防熱材は、不燃性材料のものでなければならない。いかなる居住区域又は公室においても、可燃性の上張り、モールディング、装飾物及びベニヤ板の総容積は、壁及び天井の全表面に張つた10分の1インチ(又は2.54ミリメートル)のベニヤ板に相当する容積をこえてはならない。通路囲壁又は階段囲壁及び隠れた場所又は近づくことができない場所におけるすべての露出面は、炎のひろがりがおそい特性を有しなければならない。
(b)第三方式
 防火処理を施さない木材、ベニヤ板、天井張り、カーテン、カーペット等のすべての種類の可燃性材料の使用は、合理的かつ実行可能な限り少なくしなければならない。広い公室内では、内張り及び天井張りに対する根太及び支持物は、鋼その他これと同等の材料のものでなければならない。通路囲壁又は階段囲壁及び隠れた場所又は近づくことができない場所におけるすべての露出面は、炎のひろがりがおそい特性を有しなければならない。
第49規則 雑項目(第一方式、第二方式及び第三方式)
 船舶のすべての部分に適用する要件
(a)ニトロセルローズその他の高度の引火性がある基剤を用いたペイント、ワニス及び類似の調合品は、使用してはならない。
(b)A級仕切又はB級仕切を貫通する管は、主管庁がその仕切が耐えなければならない温度を考慮して承認した材料のものでなければならない。油用又は可燃性液体用の管は、主管庁が火災の危険を考慮して承認した材料のものでなければならない。熱によつて直ちに有効性がなくなる材料は、喫水線に近い船外排水管、衛生排出管その他の排出管で火災の際にその材料の損壊により浸水の危険を生ずるものに使用してはならない。
居住区域及び業務区域に適用する要件
(c)(i)天井張り、パネル張り又は内張りの裏の空間は、間隔が45フィート(又は13.73メートル)をこえない密着した通風止めにより適当に区分しなければならない。
(ii)垂直方向については、この空間は、階段、トランク等の内張りの裏の空間を含めて、各甲板のところで閉じられていなければならない。
(d)天井張り及び隔壁の構造は、火災の発生の危険がないと主管庁が認める場所を除くほか、隠れた場所及び近づくことができない場所に生じた煙を火災巡視員が防火の実効性を損じないで探知しうるものでなければならない。
(e)居住区域内におけるすべての隔壁、内張り、パネル張り、階段、木製根太等の隠れた面は、炎のひろがりがおそい特性を有しなければならない。
(f)電気放熱器は、これを備えるときは、固定しなければならず、また、火災の危険を最小にとどめるように造らなければならない。このような放熱器には、衣服、カーテンその他類似の材料を放熱線の熱でこがし、又は燃えさせるおそれがある状態で露出している放熱線を取り付けてはならない。
第50規則 映画フィルム(第一方式、第二方式及び第三方式)
 セルローズを基済とするフィルムは、船内の映写設備で使用してはならない。
第51規則 自動スプリンクラ、火災警報及び火災探知装置(第二方式)
 第二方式を採用する船舶には、承認された型式の自動スプリンクラ及び火災警報装置であつて、この章の第59規則の要件に適合するものを備えなければならず、また、これを、実質的に火災の危険がない場所を除くほか、旅客又は船員の使用又は業務に充てるすべての囲まれた場所を保護するように配置しなければならない。
第52規則 自動火災警報及び火災探知装置(第三方式)
 第三方式を採用する船舶には、承認された型式の火災探知装置を備えなければならず、また、これを、旅客又は船員の使用又は業務に充てるすべての囲まれた場所(実質的に火災の危険がない場所を除く。)における火災の存在を探知し、かつ、火災の存在又は徴候及びその位置を士官及び船員が最もすみやかに認めうる一又は二以上の場所に自動的に表示するように配置しなければならない。
第53規則 36人以下の旅客を輸送する旅客船
(a)36人以下の旅客を輸送する船舶は、この章の第35規則の規定のほか、この章の第36規則、第37規則、第38規則、第40規則、第41規則、第43規則(a)、第44規則、第45規則、第46規則、第49規則(a)、(b)及び(f)並びに第50規則の規定に従わなければならない。防熱を施したA級仕切がこれらの規則の規定に基づいて要求される場合には、主管庁は、この章の第35規則(c)(iv)で示されているものよりも防熱を軽減することを認めることができる。
(b)(a)に掲げる規則のほかに、次の規定が適用される。
(i)居住区域及び業務区域内におけるすべての階段及び脱出設備は、鋼その他の適当な材料のものでなければならない。
(ii)機関区域の機械通風は、機関区域外の容易に近づきうる位置から停止することができなければならない。
(iii)居住区域内におけるすべての囲壁隔壁がこの章の第39規則(a)及び第48規則(a)の要件に適合している場合を除くほか、これらの船舶は、この章の第52規則の規定に適合する自動火災探知装置を備えなければならず、かつ、居住区域内においては、通路隔壁は、鋼又はB級パネルで造らなければならない。
第54規則 総トン数4000トン以上の貨物船
(a)船体、船楼、構造隔壁、甲板及び甲板室は、主管庁が火災の危険を考慮して他の適当な材料の使用を認める特別の場合を除くほか、鋼で造らなければならない。
(b)居住区域内においては、通路隔壁は、鋼又はB級パネルで造らなければならない。
(c)機関区域及び貨物区域の頂部を形成する甲板の上にある居住区域内にあつては、甲板床張りは、容易に点火しない型式のものでなければならない。
(d)露天甲板の下方の内部階段は、鋼その他の適当な材料のものでなければならない。居住区域内の船員用の昇降機トランクは、鋼又はこれと同等の材料のものでなければならない。
(e)調理室、塗料庫、燈具庫、居住区域に隣接する甲板長倉庫及び、もしあれば、非常発電機室の隔壁は、鋼又はこれと同等の材料のものでなければならない。
(f)居住区域及び機関区域内においては、ニトロセルローズその他の高度の引火性がある基剤を用いたペイント、ワニス及び類似の調合品は、使用してはならない。
(g)油用又は可燃性液体用の管は、主管庁が火災の危険を考慮して承認した材料のものでなければならない。熱によつて直ちに有効性がなくなる材料は、喫水線に近い船外排水管、衛生排出管その他の排出管で、火災の際にその材料の損壊により浸水の危険を生ずるものに使用してはならない。
(h)電気放熱器は、これを備えるときは、固定しなければならず、また、火災の危険を最小にとどめるように造らなければならない。このような放熱器には、衣服、カーテンその他の類似の材料を放熱線の熱でこがし、又は燃えさせるおそれがある状態で露出している放熱線を取り付けてはならない。
(i)セルローズを基剤とするフィルムは、船内の映写設備で使用してはならない。
(j)機関区域の機械通風は、機関区域外の容易に近づきうる位置から停止することができなければならない。

E部 旅客船及び貨物船の火災探知及び消火

(E部の規定は、旅客船及び貨物船に適用する。ただし、第59規則及び第64規則の規定は旅客船のみに、第65規則の規定は貨物船のみに適用する。)
注 第56規則から第63規則までの規定は、第64規則及び第65規則に規定する設備について、それが適合することを要求される条件を定める。
第55規則 定義
 この部においては、別段の明文の規定がない限り、
(a)「船舶の長さ」とは、垂線間の長さをいう。
(b)「要求される」とは、この部の規定により要求されることをいう。
第56規則 ポンプ、送水管、消火栓及びホース
(a)消火ポンプの合計能力
(i)旅客船においては、要求される消火ポンプは、ビルジ・ポンプがビルジ排水に使用される場合に処理することを要求される量の3分の2以上の量の水を、以下に定める適当な圧力で、消火のために送ることができなければならない。
(ii)貨物船においては、要求される消火ポンプは、非常ポンプ(もしあれば)を除くほか、同一寸法の旅客船における独立の各ビルジ・ポンプがビルジ排水に使用される場合に処理することをこの章の第18規則の規定に基づいて要求される量の3分の4以上の量の水を、以下に定める適当な圧力で、消火のために送ることができなければならない。この章の第18規則(i)に掲げるL、B及びDの定義の代わりに、次の定義を用いるものとする。
Lは、垂線間の長さ
Bは、最大型幅
Dは、船舶の長さの中央における隔壁甲板までの深さ
 もつとも、いかなる貨物船においても、消火ポンプの要求される合計能力は、毎時180トンをこえることを要しない。
(b)消火ポンプ
(i)消火ポンプは、独立に駆動されなければならない。衛生ポンプ、バラスト・ポンプ、ビルジ・ポンプ又は雑用ポンプは、油の吸排に通常使用しないこと及び、臨時に燃料油の移送又は吸排のために使用されるものである場合には、適当な切換装置が取り付けられていることを条件として、消火ポンプとして容認することができる。
(ii)要求される各消火ポンプ(この章の第65規則の規定により要求される非常ポンプを除く。)は、要求される合計能力を要求される消火ポンプの個数で除したものの80パーセント以上の能力を有しなければならず、かつ、いかなる場合にも、要求される少なくとも二条の射水を送ることができなければならない。これらの消火ポンプは、要求される条件に従つて、消火主管の管系に水を供給することができなければならない。
 要求される個数以上の消火ポンプを備えている場合には、それらの能力は、主管庁が十分と認めるものでなければならない。
(iii)送水管、消火栓及びホースの計画圧力をこえる圧力を発生しうるすべての消火ポンプには、これと連結して安全弁を取り付けなければならない。これらの弁は、消火主管の管系のいずれの部分における過圧をも防ぐように配慮し、かつ、調整しなければならない。
(c)消火主管内の圧力
(i)消火主管及び送水管の径は、同時に作動中の二個の消火ポンプからの要求される最大送水量を有効に分配するため十分なものでなければならない。ただし、貨物船においては、径は、毎時140トンの送水のため十分なものであれば足りる。
(ii)二個のポンプが、同時に、(g)に定めるノズルを通じて(c)(i)に定める量の水を、隣接するいずれの消火栓を経て送つている場合にも、すべての消火栓において、次の最小圧力が維持されなければならない。
旅客船
総トン数4000トン以上 毎平方インチ45ポンド(又は毎平方センチメートル3.2キログラム)
総トン数1000トン以上4000トン未満 毎平方インチ40ポンド(又は毎平方センチメートル2.8キログラム)
総トン数1000トン未満 主管庁が十分と認めるもの
貨物船
総トン数6000トン以上 毎平方インチ40ポンド(又は毎平方センチメートル2.8キログラム)
総トン数1000トン以上6000トン未満 毎平方インチ37ポンド(又は毎平方センチメートル2.6キログラム)
総トン数1000トン未満 主管庁が十分と認めるもの
(d)消火栓の数及び位置
 消火栓の数及び位置は、それぞれ別個の消火栓から放出した少なくとも二条の射水(そのうち一条は、単一のホースによるものとする。)が、船舶の航行中旅客または船員が通常近づきうる船舶のいずれの部分にも達しうるものでなければならない。
(e)管及び消火栓
(i)十分に保護しない限り、消火主管には、熱によつて直ちに有効性がなくなる材料を使用してはならない。管及び消火栓は、消火ホースを容易にこれに連結しうるように配置しなければならない。甲板貨物を輸送することがある船舶においては、消火栓の位置は、常に容易に近づきうるものでなければならず、また、管は、これらの貨物による損傷の危険を実効可能な限り避けるように配置しなければならない。船内の消火栓ごとに一個のホース及びノズルを備えない限り、ホース継手及びノズルは、完全な互換性を有しなければならない。
(ii)コック又は弁は、消火ポンプの作動中にいずれの消火ホースをも取りはずしうるような位置で管に取り付けなければならない。
(f)消火ホース
 消火ホースは、主管庁が承認する材料のものでなければならず、かつ、使用の必要が生ずることがあるいかなる場所に対しても射水するため十分な長さのものでなければならない。その最大の長さは、主管庁が認めるものでなければならない。各ホースには、一個のノズル及び必要な継手を備えなければならない。この部において「消火ホース」と明記するホースは、必要な附属具及び道具とともに、消火栓又は送水連結栓の近くの目につきやすい位置に、直ちに使用しうるようにしておかなければならない。
(g)ノズル
(i)この部の規定の適用上、ノズルの標準寸法は、2分の1インチ(又は12ミリメートル)、8分の5インチ(又は16ミリメートル)及び4分の3インチ(又は20ミリメートル)又はできる限りこれらに近い寸法とする。これより大きい径のノズルは、(b)(ii)の規定に従うことを条件として許される。
(ii)居住区域及び業務区域に対しては、2分の1インチ(又は12ミリメートル)より大きい寸法のノズルを使用することを要しない。
(iii)機関区域及び露出した場所に対しては、ノズルの寸法は、最も小さいポンプから、(c)に定める圧力の二条の射水により、可能な最大の放水量が得られるようなものでなければならない。
(h)国際陸上施設連結具
 この章の第64規則(d)及び第65規則(d)の規定により船舶に備えることを要求される国際陸上施設連結具は、次の仕様及び附図に適合しなければならない。
外径 7インチ(又は178ミリメートル)
内径 2.5インチ(又は64ミリメートル)
ボルト円の径 5.25インチ(又は132ミリメートル)
穴 等間隔に配置され、フランジの外縁まで切られた径4分の3インチ(又は19ミリメートル)の四個の穴
フランジの厚さ 最小16分の9インチ(又は14.5ミリメートル)
ボルト 径8分の5インチ(又は16ミリメートル)、長さ2インチ(又は50ミリメートル)の四個のボルト
フランジの面 平面
材料 毎平方インチ150ポンド(又は毎平方センチメートル10.5キログラム)の使用圧力に対して適当であるもの
ガスケット 毎平方インチ150ポンド(又は毎平方センチメートル10.5キログラム)の使用圧力に対して適当であるもの
 連結具は、毎平方インチ150ポンド(又は毎平方センチメートル10.5キログラム)の使用圧力に対して適当である材料で造らなければならない。フランジは、その一面を平面とし、他の面には、船舶の消火栓及びホースに合う継手を恒久的に取り付けなければならない。連結具は、毎平方インチ150ポンド(又は毎平方センチメートル10.5キログラム)の使用圧力に対して適当である材料のガスケット、径8分の5インチ(又は16ミリメートル)長さ2インチ(又は50ミリメートル)の四個のボルト及び八個の座金とともに船内に備えておかなければならない。
国際陸上施設連結具(船舶用)(図略)
第57規則 消火器(持運び式及び非持運び式)
(a)すべての消火器は、承認された型式及び設計のものでなければならない。
(i)要求される持運び式液体消火器の容量は、3ガロン(又は13.5リットル)以下、2ガロン(又は9リットル)以上でなければならない。他の消火器は、3ガロン(又は13.5リットル)の液体消火器より持ち運びにくいものであつてはならず、かつ、2ガロン(又は9リットル)の液体消火器と少なくとも同等の消火効力を有しなければならない。
(ii)主管庁は、各種消火器の間の同等度を決定するものとする。
(b)予備装填物は、主管庁が定める要件に従つて備えなければならない。
(c)人体に有毒であるガスを、常時又は使用に際して、発生する消火剤を入れた消火器は、許されない。無線室及び配電盤に対しては、1クォート(又は1.136リットル)以下の四塩化炭素又は類似の消火剤を入れた消火器は、この部の規定により要求される消火器に追加されるものであることを条件として、主管庁が、その判断により、許可することができる。
(d)消火器は、定期的に点検するものとし、かつ、主管庁が要求することがある試験を受けなければならない。
(e)いずれの場所においても、その場所に使用するための持運び式消火器のうち一個は、その場所の入口の近くに備えなければならない。
第58規則 機関区域及び貨物区域に対する鎮火性ガス又は蒸気
(a)消火の目的で機関区域内又は貨物区域内にガス又は蒸気を噴射する設備を設ける場合には、ガス又は蒸気を送るため必要な管には、容易に近づきうるように、かつ、火災の発生によつて使用が容易に中断されないように配置された制御弁又は制御コックを備えなければならない。これらの制御弁又は制御コックには、その管が導かれる区画室を明白に示すような標示をしなければならない。いずれの区画室にもガス又は蒸気を不用意に侵入させないように、適当な措置を執らなければならない。鎮火装置を取り付けた貨物区域を旅客区域として使用する場合には、旅客区域として使用する間は、鎮火装置との連絡を遮断しておかなければならない。
(b)管は、鎮火性ガス又は蒸気を有効に分布するように配置しなければならない。大きい船倉内において蒸気を使用する場合には、その船倉には少なくとも二個の管がなければならず、そのうち一個は前部に、他の一個は後部に取り付けなければならない。これらの管は、できる限り外板から離して、その船倉内で十分に下方に導かなければならない。
(c)(i)炭酸ガスを貨物区域内において消火剤として使用する場合には、利用しうるガスの量は、船舶の密閉しうる最大の貨物区画室の総容積の少なくとも30パーセントに等しい量の遊離ガスを供給するため十分でなければならない。
(ii)炭酸ガスをボイラ又は内燃機関のある場所において消火剤として使用する場合には、積載するガスの量は、少なくとも次の量のうちいずれか大きい方に等しい量の遊離ガスを供給するため十分でなければならない。
(1)最大の場所の総容積の40パーセント。この容積には、ケーシングの水平面積が当該場所の水平面積の40パーセント以下となる高さまで、ケーシングを含む。
(2)ケーシングを含む最大の場所の容積全体の35パーセント
 ただし、前記の百分率は、総トン数2000トン未満の貨物船については、それぞれ35パーセント及び30パーセントまで減少することができる。また、ボイラ又は内燃機関を備えている二以上の場所が完全に隔離されていない場合には、それらの場所は、一区画室を形成するものとみなす。
(iii)炭酸ガスを貨物区域及びボイラ又は内燃機関のある場所の双方において消火剤として使用する場合には、ガスの量は、最大の貨物区画室又は機関区域に対して要求される量のうちいずれか大きい方をこえることを要しない。
(iv)(c)の規定の適用上、ガスの量は、1ポンドを9立方フィートとして(又は1キログラムを0.56立方メートルとして)計算するものとする。
(v)炭酸ガスをボイラ又は内燃機関のある場所において消火剤として使用する場合には、固定した管系は、ガスの85パーセントを2分以内にその場所に放出しうるものでなければならない。
(d)不活性ガスを製造する発生器を貨物区域に対する固定式鎮火装置の鎮火性ガスの供給のために使用する場合には、その発生器は、毎時この方式で保護される最大の区画室の総容積の少なくとも25パーセントに等しい量の遊離ガスを72時間にわたり発生することができなければならない。
(e)蒸気を貨物区域内において消火剤として使用する場合には、蒸気供給用のボイラは、船舶の最大の貨物区画室の総容積の12立方フィートごとに毎時少なくとも1ポンド(又は0.75立方メートルごとに1キログラム)の蒸発力を有しなければならない。さらに、蒸気を直ちに利用することができ、このためにボイラの点火を要しないこと、推進を含む船舶の通常の要求に必要な量のほかにこの要求される量の蒸気が航海の終りまで連続的に供給されること及びこの要件を満たすため必要な追加の給水について措置が執られていることについて、主管庁が十分と認めなければならない。
(f)いずれの作業区域への鎮火性ガスの放出をも知らせる可聴警報装置を備えなければならない。
第59規則 旅客船における自動スプリンクラ装置
(a)この章の第51規則の規定に従つて要求される防火のための自動スプリンクラ装置は、いつでも直ちに使用しうるように用意しておかなければならず、かつ、これを作動させるために船員の動作を必要とするものであつてはならない。この装置が取り付けられている場合には、その装置は、必要な圧力で水を満たしておかなければならず、かつ、水を連続して供給する設備を備えなければならない。
(b)この装置は、主管庁が決定する数の区域に区分しなければならず、かつ、火災の発生又は徴候及び位置を一又は二以上の適当な場所において示す自動警報装置を備えなければならない。
(c)スプリンクラ・ヘッドからの散水に用いる一又は二以上のポンプは、装置内の圧力低下により自動的に作動するように連結しなければならない。船舶の消火主管からの連結管を設けなければならず、これには、錠付ねじ下げ弁及び不還弁を取り付けるものとする。
(d)各ポンプは、主管庁が決定する数のスプリンクラ・ヘッドが作動する間、それらのスプリンクラ・ヘッドにおいて適当な圧力で十分な水の供給を維持することができなければならない。
(e)海水ポンプ、空気圧縮機及び自動警報装置のための動力供給源は、二以上なければならない。動力源は、電気である場合には、主発電機及び非常電源でなければならない。一の給電は、主配電盤から、この目的のためのみに備える別個の給電線によつて行なわなければならない。この給電線は、スプリンクラ・ユニットの近くにある切換スイッチまで導かなければならず、かつ、このスイッチは、通常は非常配電盤からの給電線に閉じておかなければならない。切換スイッチは、明白に標示しなければならず、かつ、これ以外のいかなるスイッチも、これらの給電線に使用することを許されない。
(f)スプリンクラ・ヘッドは、主管庁が決定する温度において作動し始めることを要求される。すべての自動装置の定期的試験のために、適当な措置を執らなければならない。
(g)船楼をアルミニウム合金で造る旅客船の防火について第二方式を採用する場合には、スプリンクラ・ポンプ、タンク及び空気圧縮機を含む全ユニットは、ボイラ室及び機関室から適度に離れた位置に、主管庁が十分と認めるように配置しなければならない。非常発電機からスプリンクラ・ユニットまでの給電線が火災の危険がある場所を通る場合には、ケーブルは、耐火型式のものでなければならない。
第60規則 固定式泡消火装置
(a)要求される固定式泡消火装置は、燃料油がひろがりうる最大面積を6インチ(又は15センチメートル)の厚さでおおうため十分な量の泡を放出することができなければならない。
(b)この装置は、保護される場所の外部の、容易に近づくことができ、かつ、火災の発生によつて容易に遮断されない一又は二以上の位置から、制御されなければならない。
第61規則 火災深知装置
(a)すべての要求される火災探知装置は、火災の存在又は徴候及び位置を自動的に表示することができなければならない。指示器は、船橋又は船橋との直接の連絡装置を備えている他の制御場所に集められていなければならない。主管庁は、指示器を数箇所に分散することを認めることができる。
(b)旅客船においては、要求される火災探知装置の操作に使用する電気設備は、二の別個の電源を備えなければならず、その一は、非常電源でなければならない。
(c)警報装置は、(a)にいう主制御場所において可聴信号及び可視信号を作動させなければならない。貨物区域に対する探知装置には、可聴警報装置を備えることを要しない。
第62規則 機関室及びボイラ室に対する固定式加圧水噴霧装置
(a)油だきボイラ室及び内燃機関のある機関室に対する固定式加圧水噴霧装置には、承認された型式の噴霧ノズルを備えなければならない。
(b)ノズルの数及び配置は、主管庁が十分と認めるものであり、かつ、保護される場所における水の有効な散布を確保するものでなければならない。ノズルは、ビルジ、タンク頂部及び燃料油がひろがりうるその他の場所の上方並びにボイラ室及び機関室内のその他の主要な火災危険物の上方に取り付けなければならない。
(c)この装置は、区分して使用しうるものとすることができる。その分配マニホールドは、保護される場所の外部の容易に近づくことができ、かつ、火災の発生よつて容易に遮断されない位置から操作されなければならない。
(d)この装置は、必要な圧力で水を満たしておかなければならず、かつ、この装置に水を供給するポンプは、装置内の圧力低下により自動的に作動しなければならない。
(e)ポンプは、保護されるいずれの一区画室においても、装置のすべての使用区分に同時に必要な圧力を加えることができなければならない。ポンプ及びその制御装置は、保護される一又は二以上の場所の小部に配置しなければならない。水噴霧装置によつて保護される一又は二以上の場所における火災のためこの装置が作動不能になることがあつてはならない。
(f)水中の不純物又は管、ノズル、弁及びポンプの腐食によつてノズルが詰まることがないように、特別の予防手段を講じなければならない。
第63規則 消防員装具
(a)消防員装具は、この第63規則に規定する呼吸具、命綱、安全燈及びおのからなる。
(b)呼吸具は、承認された型式のものでなければならず、次のいずれかのものとすることができる。
(i)防煙ヘルメット又は防煙マスク。これには、適当な空気ポンプとハッチ又は戸口から十分に離れた開放甲板から船倉又は機関区域のいずれの部分にも十分に達する長さの空気ホースとを備えなければならない。(i)の規定に適合するため長さ120フィート(又は36メートル)をこえる空気ホースを必要とする場合には、主管庁が決定するところに従い、自蔵式呼吸具を、代わりに又は追加して、備えなければならない。
(ii)主管庁が定める時間中機能を果たしうる自蔵式呼吸具
(c)各呼吸具には、そのベルト又は装着具に、十分な長さ及び強さの耐火性の命綱をスナップフックにより取り付けなければならない。
(d)安全燈(手さげ燈)は、承認された型式のものでなければならない。この安全燈は、電気式とし、かつ、少なくとも3時間の照明時間を有しなければならない。
(e)おのは、主管庁が十分と認めるものでなければならない。
第64規則 旅客船に対する要件
(a)巡視及び探知
(i)すべての旅客船においては、火災の発生をすみやかに探知するため効果的な巡視制度を維持しなければならない。火災巡視員が船橋又は火災制御場所に直ちに警報しうるように、旅客及び船員の居住に充てる場所の全域にわたり、手動火災警報装置を取り付けなければならない。
(ii)巡視制度によつて近づくことができないと主管庁が認める船内のいずれかの部分における火災の存在又は徴候及び位置を、士官及び船員が最もすみやかに認めうる一又は二以上の適当な場所に、自動的に表示する承認された火災警報又は火災探知装置を備えなければならない。ただし、船舶が短期間の航海に従事していてこの要件の適用が不合理であることが明らかであると主管庁が認めるときは、この限りでない。
(b)消火ポンプ及び送水管
 旅客船は、この章の第56規則の規定及び次の要件に適合する消火ポンプ、送水管、消火栓及びホースを備えなければならない。
(i)総トン数4000トン以上の旅客船は、少なくとも三個の独立に駆動される消火ポンプを備えなければならず、また、総トン数4000トン未満の旅客船は、少なくとも二個のこのような消火ポンプを備えなければならない。
(ii)総トン数1000トン以上の旅客船においては、海水連結管、ポンプ及びこれらを作動するための動力源の配置は、いずれの一区画室における火災によつてもすべての消火ポンプが作動不能とならないことを確保するようにしなければならない。
(iii)総トン数1000トン未満の旅客船においては、これらの配置は、主管庁が十分と認めるものでなければならない。
(c)消火栓、ホース及びノズル
(i)旅客船は、主管庁が十分と認める数の消火ホースを備えなければならない。この章の第56規則(d)の規定により要求される各消火栓に対しては、少なくとも一個の消火ホースを備えなければならず、かつ、これらのホースは、消火の目的又は消火訓練及び検査の際における消火装置の試験の目的にのみ使用しなければならない。
(ii)居住区域、業務区域及び機関区域内においては、消火栓の数及び位置は、すべての水密戸及び主垂直区域隔壁のすべての戸を閉じた場合にもこの章の第56規則(d)の要件に適合しうるものでなければならない。
(iii)旅客船においては、その配置は、少なくとも二条の射水が、からであれば、いずれの貨物区域のいずれの部分にも達しうるようにしなければならない。
(iv)油だきボイラ又は内燃機関を有する旅客船の機関区域内におけるすべての消火栓には、この章の第56規則(g)の規定により要求されるノズルのほかに油上に噴霧するための適当なノズル又はこれに代わる二重目的のノズルを有するホースを取り付けなければならない。
(d)国際陸上施設連結具
(i)総トン数1000トン以上の旅客船は、この章の第56規則の規定に適合する少なくとも一個の国際陸上施設連結具を備えなければならない。
(ii)この連結具を船舶のいずれの側においても使用しうるように、施設を設けなければならない。
(e)居住区域及び業務区域内における持運び式消火器
 旅客船は、居住区域及び業務区域内に、主管庁が適当かつ十分と認める承認された持運び式消火器を備えなければならない。
(f)貨物区域内における固定式鎮火装置
(i)総トン数1000トン以上の旅客船の貨物区域は、この章の第58規則の規定に適合する固定式鎮火性ガス装置で保護しなければならない。
(ii)旅客船が短期間の航海に従事していて(f)(i)の要件の適用が不合理であることが明らかであると主管庁が認める場合及び総トン数1000トン未満の旅客船の場合には、貨物区域内における装置は、主管庁が十分と認めるものでなければならない。
(g)ボイラ室等における消火設備
 旅客船は、主若しくは補助の油だきボイラを備えている場所又は燃料油装置若しくは澄ましタンクのある場所に、次の設備を備えなければならない。
(i)次の固定式消火装置のうちいずれか一を備えなければならない。
(1)この章の第62規則の規定に適合する加圧水噴霧装置
(2)この章の第58規則の規定に適合する鎮火性ガス装置
(3)この章の第60規則の規定に適合する固定式泡装置(主管庁は、床板の上方の火災を消火するため、加圧水又は泡をふきつける固定式又は移動式の装置を要求することができる。)
 機関室とボイラ室とが完全に隔離されていない場合又は燃料油がボイラ室から機関室のビルジに流れ込みうる場合には、その機関室とボイラ室とをあわせて一区画室とみなす。
(ii)各ボイラ室の各たき火場及び燃料油設備の一部がある各場所には泡その他油火の消火に適する承認された消火剤を放出する少なくとも二個の承認された持運び式消火器を備えなければならない。
 各ボイラ室には、容量が少なくとも30ガロン(又は136リットル)の承認された泡消火器又はこれと同等のものを少なくとも一個備えなければならない。これらの消火器には、ボイラ室及び燃料油設備の一部がある場所のいずれの部分にも達しうるホースをリールに巻いて添えなければならない。
(iii)各たき火場には、主管庁により要求される量の砂、ソーダをしみ込ませたおがくずその他の承認された乾燥物質を入れた容器を備えなければならない。これらの代わりに、承認された持運び式消火器を備えることができる。
(h)内燃機関がある場所における消火設備
 旅客船は、(1)主推進のため、又は(2)千制動馬力以上の合計馬力を要する補助目的のために内燃機関を使用する場合には、次の設備を備えなければならない。
(i)(g)(i)の規定により要求される固定式装置のうちの一を備えなければならない。
(ii)各機関室には、容量が10ガロン(又は45リットル)以上の承認された泡消火器又はこれと同等のものを一個備えなければならず、さらに、機関の千制動馬力又はその端数ごとに一個の承認された持運び式泡消火器を備えなければならない。ただし、この持運び式消火器の合計数は、二個以上でなければならず、六個をこえることを要しない。
(i)蒸気タービンがあり、かつ、固定式装置が要求されない場所における消火設備
 主管庁は、水密隔壁によつてボイラ室から隔離されている蒸気タービンのある場所に備える消火設備については、特別の考慮を払わなければならない。
(j)消防員装具
 旅客船は、この章の第63規則の要件に適合する少なくとも二組の消防員装具を積載しなければならない。総トン数が1万トンをこえる船舶の場合には、少なくとも三組の装具を積載しなければならず、総トン数が2万トンをこえる船舶の場合には、少なくとも四組の装具を積載しなければならない。これらの装具は、互いに遠く離れた場所に置き、かつ、直ちに使用しうるようにしておかなければならない。
第65規則 貨物船に対する要件
(a)適用
 最小総トン数の限度が設けられているため、その限度より小さい貨物船であつてこの規則が適用されるものに対して、特定の要件が適用されないときは、火災探知及び消火の設備は、主管庁が十分と認めるものでなければならない。
(b)消火ポンプ及び送水管
 貨物船は、この章の第56規則の規定及び次の要件に適合する消火ポンプ、送水管、消火栓及びホースを備えなければならない。
(i)総トン数1000トン以上の貨物船においては、二個の独立に駆動される動力ポンプを備えなければならない。
(ii)総トン数1000トン以上の貨物船においては、いずれかの一区画室における火災によりすべてのポンプが作動不能になりうる場合には、消火のために水を供給する代わりの装置を備えなければならない。総トン数2000トン以上の貨物船においては、この代わりの装置は、独立に駆動される固定式非常ポンプでなければならない。この非常ポンプは、主管庁が十分と認める二条の射水を供給することができなければならない。
(c)消火栓、ホース及びノズル
(i)総トン数1000トン以上の貨物船においては、備える消火ホース(それぞれ継手及びノズルを完備したもの)の数は、船舶の長さ100フィート(又は30メートル)ごとに一個及び予備のもの一個とし、いかなる場合にも、合計五個以上でなければならない。この数には、いずれの機関室又はボイラ室に対して要求されるホースも含まれない。主管庁は、船型及び船舶が従事する運送の性質を考慮して、常に十分な数のホースがあり、かつ、それに近づきうることを確保するために、要求されるホースの数を増加させることができる。
(ii)居住区域、業務区域及び機関区域内においては、消火栓の数及び位置は、この章の第56規則(d)の要件に適合するものでなければならない。
(iii)貨物船においては、その配置は、少なくとも二条の射水が、からであれば、いずれの貨物区域のいずれの部分にも達しうるようにしなければならない。
(iv)油だきボイラ又は内燃機関を有する貨物船の機関区域内におけるすべての消火栓には、この章の第56規則(g)の規定により要求されるノズルのほかに油上に噴霧するための適当なノズル又はこれに代わる二重目的のノズルを有するホースを取り付けなければならない。
(d)国際陸上施設連結具
(i)総トン数1000トン以上の貨物船は、この章の第56規則の規定に適合する少なくとも一個の国際陸上施設連結具を備えなければならない。
(ii)この連結具を船舶のいずれの側においても使用しうるように、施設を設けなければならない。
(e)居住区域及び業務区域内における持運び式消火器
 貨物船は、居住区域及び業務区域内に、主管庁が適当かつ十分と認める承認された持運び式消火器を備えなければならず、これらの消火器の数は、総トン数1000トン以上の船舶については、いかなる場合にも、五個以上でなければならない。
(f)貨物区域内における固定式鎮火装置
(i)総トン数2000トン以上の船舶の貨物区域は、この章の第58規則の規定に適合する固定式鎮火装置で保護しなければならない。主管庁は、装置がこの章の第58規則(e)の規定に適合する場合には、鎮火性ガスの代わりに蒸気の使用を許容することができる。
(ii)タンカーにおいては、タンクの内部又は外部に泡を放出する設備を、鎮火性ガス又は蒸気の適当な代用物として容認することができる。この設備の細目は、主管庁が十分と認めるものでなければならない。
(iii)主管庁は、次の場合には、船舶の貨物倉(タンカーのタンクを除く。)について、(i)及び(ii)の要件を免除することができる。
(1)貨物倉が鋼製ハッチ・カバー及び船倉に通ずるすべての通風筒その他の開口に有効な閉鎖装置を備える場合
(2)船舶が、鉱石、石炭又は穀類のような貨物を輸送するためにのみ造られ、かつ、その輸送のみを目的とする場合
(3)船舶が短期間の航海に従事していてこの要件の適用が不合理であることが明らかであると主管庁が認める場合
(iv)各貨物船は、この第65規則の要件に適合するほか、第7章第8規則の規定により旅客船で運搬することを認められないような性質又は量の火薬類を運搬するときは、次の要件に適合しなければならない。
(1)蒸気は、火薬類のあるいずれの区画室内においても、鎮火のために使用してはならない。(iv)の規定の適用上、「区画室」とは、二の隣接する常設隔壁間の場所をいい、下方の船倉及びその上方のすべての貨物区域を含む。開口が鋼製閉鎖板で閉鎖される鋼製隔壁で仕切られていない遮浪甲板区域は、(iv)の規定の適用上、その全体を一区画室とみなす。遮浪甲板における囲まれた場所は、鋼製閉鎖板で閉鎖される開口を有する隔壁が取り付けられている場合には、その下方にある一又は二以上の区画室の一部とみなすことができる。
(2)さらに、火薬類のある区画室及びこれに隣接する貨物区画室内には、それぞれ、煙又は火災の探知装置を備えなければならない。
(g)ボイラ室等における消火設備
 総トン数1000トン以上の貨物船は、主若しくは補助の油だきボイラを備えている場所又は燃料油装置若しくは澄ましタンクのある場所に、次の設備を備えなければならない。
(i)次の固定式消火装置のうちいずれか一を備えなければならない。
(1)この章の第62規則の規定に適合する加圧水噴霧装置
(2)この章の第58規則の規定に適合する鎮火性ガス装置
(3)この章の第60規則の規定に適合する固定式泡装置(主管庁は、床板の上方の火災を消火するため、加圧水又は泡をふきつける固定式又は移動式の装置を要求することができる。)
 機関室とボイラ室とが完全に隔離されていない場合又は燃料油がボイラ室から機関室のビルジに流れ込みうる場合には、その機関室とボイラ室とをあわせて一区画室とみなす。
(ii)各ボイラ室の各たき火場及び燃料油設備の一部がある各場所には、泡その他油火の消火に適する承認された消火剤を放出する少なくとも二個の承認された持運び式消火器を備えなければならない。さらに、バーナーごとに2ガロン(又は9リットル)の容量を有する同様の消火器を少なくとも一個備えなければならない。ただし、この追加の一又は二以上の消火器の合計容量は、一ボイラ室について10ガロン(又は45リットル)をこえることを要しない
(iii)各たき火場には、主管庁により要求される量の砂、ソーダをしみ込ませたおがくずその他の承認された乾燥物質を入れた容器を備えなければならない。これらの代わりに、承認された持運び式消火器を備えることができる。
(h)内燃機関がある場所における消火設備
 総トン数1000トン以上の貨物船は、(1)主推進のため、又は(2)千制動馬力以上の合計馬力を要する補助目的のために内燃機関を使用する場合には、次の設備を備えなければならない。
(i)(g)(i)の規定により要求される固定式装置のうちの一を備えなければならない。
(ii)各機関室には、容量が10ガロン(又は45リットル)以上の承認された泡消火器又はこれと同等のものを一個備えなければならず、さらに、機関の千制動馬力又はその端数ごとに一個の承認された持運び式泡消火器を備えなければならない。ただし、この持運び式消火器の合計数は、二個以上でなければならず、六個をこえることを要しない。
(i)蒸気タービンがあり、かつ、固定式装置が要求されない場所における消火設備
 主管庁は、水密隔壁によつてボイラ室から隔離されている蒸気タービンのある場所に備える消火設備については、特別の考慮を払わなければならない。
(j)消防員装具
 貨物船は、この章の第63規則の要件に適合する少なくとも一組の消防員装具を積載しなければならない。
第66規則 消火設備の迅速な利用
 新船及び現存船である旅客船及び貨物船の消火設備は、航海中のいかなる時にも良好な状態に保ち、かつ、直ちに使用しうるようにしておかなければならない。
第67規則 代用物の容認
 この部において器具、装置、消火剤又は配置について特別の型式が定められている場合には、器具等の他の型式は、主管庁が同等以上の実効性があると認める場合に許容される。

F部 一般的火災予防手段

(F部の規定は、旅客船及び貨物船に適用する。)
第68規則 脱出設備
(a)旅客船
(i)すべての旅客区域及び船員区域並びに船員が通常業務に従事する場所(機関区域を除く。)内に、並びにこれらの場所から、階段及びはしごを、乗艇甲板までの常設の脱出設備となるように、配置しなければならない。特に、次の規定に従わなければならない。
(1)隔壁甲板の下方においては、各水密区画室又はこれと類似の囲まれた一又は一群の場所に二の脱出設備を備えなければならず、少なくともその一は、水密戸とは別個のものでなければならない。主管庁は、当該場所の性質及び位置並びに通常この場所に居住し、又はこの場所で業務に従事する人員数を考慮して、これらの脱出設備の一の省略を認めることができる。
(2)隔壁甲板の上方においては、各主垂直区域又は類似の囲まれた一又は一群の場所からの少なくとも二の実際的な脱出設備を備えなければならず、少なくともその一は、垂直方向の脱出路を形成している階段に通じていなければならない。
(3)脱出設備のうちの少なくとも一は、容易に近づきうる囲まれた階段であつて、実行可能な限り、火災の発生した場所から乗艇甲板まで、火災に対する連続した掩護物となるものでなければならない。階段の幅、数及び連続性は、主管庁が十分と認めるものでなければならない。
(ii)機関区域内においては、各機関室、軸路及びボイラ室からの二の脱出設備を備えなければならず、その一は、水密戸とすることができる。機関区域内においては、水密戸を利用することができない場合には、脱出設備は、乗艇甲板に通ずるケーシングの戸で互いにできる限り離れたものに導かれる互いにできる限り離れた二組の鋼製はしごでなければならない。総トン数2000トン未満の船舶の場合には、主管庁は、ケーシングの幅及び配置を考慮して、この要件の省略を認めることができる。
(b)貨物船
(i)すべての船員区域及び旅客区域並びに船員が通常業務に従事する場所(機関区域を除く。)内に、並びにこれらの場所から、階段及びはしごを、乗艇甲板までの常設の脱出設備となるように、配置しなければならない。
(ii)機関区域内においては、(a)(ii)の要件を適用しなければならない。
第69規則 機械停止装置及び燃料油吸入管遮断装置
(a)機関区域及び貨物区域に使用する通風用送風機を停止するための装置並びにこれらの場所に通ずるすべての戸口、通風筒、煙突周囲の環状部その他の開口を閉鎖するための装置を備えなければならない。これらの装置は、火災の際にこれらの場所の外部から操作することができなければならない。
(b)押込み及び吸込み通風用の送風機並びに燃料油移送ポンプ、噴燃ポンプその他類似の燃料油ポンプを駆動する機械には、これらが設置されている場所における火災の発生の際にこれらを停止しうるように、遠隔制御装置を当該場所の外部に取り付けなければならない。
(c)二重底の上方に配置されている貯蔵タンク、澄ましタンク又は小出しタンクからの各燃料油吸入管には、これらのタンクが設置されている場所における火災の発生の際にその場所の外部から閉じることができるコック又は弁を取り付けなければならない。ディープ・タンクが軸路又は管通路の内部に設置されている特別の場合には、タンクに弁を取り付けなければならないが、火災の際における制御は、軸路又は管通路の外部の管系に追加した弁により行なうものとすることができる。
第70規則 火災制御図
 旅客船及び実行可能な限りにおいて貨物船には、船舶の士官の手引のために、一般配置図を恒久的に掲示しなければならない。この図面には、制御場所と、耐火隔壁で囲まれた各消火区域と、準耐火隔壁で囲まれた各区域(もしあれば)と、火災警報装置、火災探知装置、スプリンクラ装置(もしあれば)、消火設備及び各区画室、甲板等への出入設備についての詳細と、通風装置(主通風制御装置、ダンパーの位置及び各区域に使用する通風用送風機の識別番号の詳細を含む。)とを甲板ごとに明示するものとする。これらの明細は、主管庁が認める場合には、図面に明示する代わりに、小冊子で示すことができる。この写しは、各士官に支給しなければならず、かつ、その一は、船内で近づきうる場所においていつでも利用しうるようにしておかなければならない。図面及び小冊子は、現状に合わせておかなければならず、いかなる変更も、実行可能な限りすみやかに、これらに記録しなければならない。

第3章 救命設備等

第1規則 適用
(a)この章の規定は、別段の明文の規定がある場合を除くほか、国際航海に従事する新船について、次のとおり適用する。
A部 旅客船及び貨物船
B部 旅客船
C部 貨物船
(b)国際航海に従事する現存船で新船に関するこの章の規定にもはや適合しないものについては、主管庁は、実行可能かつ合理的である限り、また、できる限りすみやかに、この章の要件に実質的に適合させることを確保するため、それらの各船舶について執るべき措置を考慮しなければならない。もつとも、この章の第27規則(b)(i)ただし書の規定は、次の条件を満たす場合にのみ、現存船に適用することができる。
(i)この章の第4規則、第8規則、第14規則、第18規則、第19規則並びに第27規則(a)及び(b)の規定に適合し、
(ii)この章の第27規則(b)の規定に従つて積載される救命いかだがこの章の第15規則又は第16規則及び第17規則の要件に適合し、かつ、
(iii)総乗船者数を救命いかだの備付けにより増加しないこと。

A部 総則

(A部の規定は、旅客船及び貨物船に適用する。)
第2規則 定義
(a)この章の規定の適用上、「短国際航海」とは、国際航海であつて、その航海において、船舶が、旅客及び船員を安全な状態に置くことができる港又は場所から200海里以内にあり、かつ、航海を開始する国における最後の寄港地から最終の到着港までの距離が600海里をこえないものをいう。
(b)この章の規定の適用上、「救命いかだ」とは、この章の第15規則又は第16規則の規定に適合する救命いかだをいう。
(c)この章の規定の適用上、「承認された進水装置」とは、主管庁により承認された装置であつて、積載することを認められた数の人員および艤装品を満載した救命いかだを乗込み場所から進水させることができるものをいう。
(d)この章の規定の適用上、「資格のある救命艇手」とは、この章の第32規則の規定に基づいて発行される適任証書を有する船員をいう。
(e)この章の規定の適用上、「救命浮器」とは、水中にある一定数の人員をささえるように設計され、かつ、その形状及び性能を保つ構造を有する浮器(救命艇、救命いかだ、救命浮環及び救命胴衣を除く。)をいう。
第3規則 免除
(a)主管庁は、航海の保護された性質及び状況によりこの章のすべての要件の適用が不合理又は不必要であると認めるときは、その程度に応じて、個個の船舶又はある種類の船舶で最も近い陸地から20海里以内を航行するものに対し、この章の要件を免除することができる。
(b)巡礼者運送のような特殊な運送において多数の無寝床旅客の輸送に使用される国際航海に従事する旅客船の場合において、この章の要件に適合させることを実行不可能と認めるときは、主管庁は、次のことを条件として、これらの要件を免除することができる。
(i)救命艇その他の救命設備及び防火に関し、運送事情の許す範囲内でできる限りの措置を執ること。
(ii)これらのすべての救命艇その他の救命設備をこの章の第4規則の趣旨に従つて迅速に利用することができること。
(iii)各乗船者につき救命胴衣一個を備えること。
(iv)これらの運送の特殊事情に適用される一般規則を制定するため措置を執ること。この一般規則は、このような旅客の輸送に直接に利害関係のある他の締約政府があるときは、その政府と協議して制定しなければならない。
 この条約の規定にかかわらず、1931年のシムラ規則は、(iv)の規定に基づいて制定する規則が効力を生ずるまで、当事国の間で引き続き効力を有する。
第4規則 救命艇、救命いかだ及び救命浮器の迅速な利用
(a)この章の規定の適用を受ける船舶における救命艇、救命いかだ及び救命浮器の備付けを規律する一般原則は、非常の場合に救命艇、救命いかだ及び救命浮器を迅速に利用しうることである。
(b)救命艇、救命いかだ及び救命浮器は、迅速に利用しうるために、次の条件に適合しなければならない。
(i)救命艇、救命いかだ及び救命浮器を、船舶の縦傾斜及び15度の横傾斜という不利な状態においても、安全にかつ迅速に水上におろすことができること。
(ii)救命艇及び救命いかだに迅速にかつ秩序よく乗り込ませることができること。
(iii)各救命艇、救命いかだ及び救命浮器の配置が他の端艇、救命いかだ及び救命浮器の操作を妨げないものであること。
(c)すべての救命設備は、船舶の出港前に、及び航海中常に、良好な状態に保ち、かつ、直ちに使用しうるようにしておかなければならない。
第5規則 救命艇の構造
(a)すべての救命艇は、適正に造らなければならず、かつ、海上において十分な復原性並びに人員及び艤装品を満載した場合において十分なフリーボードを有する形状及び寸法比のものでなければならない。すべての救命艇は、海水に洗われ、かつ、人員及び艤装品を満載している場合に、正の復原力を有しなければならない。
(b)(i)すべての救命艇は、固定舷側及び内部浮体のみを有しなければならない。主管庁は、固定おおいを有する救命艇を承認することができる。ただし、その固定おおいは、救命艇の内外から容易に開くことができ、かつ、救命艇への迅速な乗降又はその進水及び取扱いを妨げないものでなければならない。
(ii)発動機付救命艇には、主管庁が認めるときは、船首からの水の浸入を防ぐ装置を取り付けることができる。
(iii)すべての救命艇の長さは、24フィート(又は7.3メートル)以上でなければならない。ただし、この長さの救命艇の積載が船舶の大きさその他の理由によつて不合理又は実行不可能であると主管庁が認める場合は、この限りでない。いかなる船舶においても、救命艇の長さは、16フィート(又は4.9メートル)未満であつてはならない。
(c)人員及び艤装品を満載した場合に重量が20トン(又は20,300キログラム)をこえる救命艇又はこの章の第7規則の規定に従つて計算される積載能力が150人をこえる救命艇は、承認してはならない。
(d)六十人をこえ百人をこえない人員の積載を認められるすべての救命艇は、この章の第9規則の要件に適合する発動機付救命艇又はこの章の第10規則の規定に適合する承認された機械推進装置を取り付けた救命艇でなければならない。百人をこえる人員の積載を認められるすべての救命艇は、この章の第9規則の要件に適合する発動機付救命艇でなければならない。
(e)すべての救命艇は、人員及び艤装品を満載したまま水上に安全におろすため十分な強さのものでなければならない。すべての救命艇は、25パーセントの過荷重を受けた場合に残留たわみを生じないような強さのものでなければならない。
(f)すべての救命艇は、少なくともその長さの4パーセントに等しい平均高の舷弧を有しなければならない。舷弧は、おおむね抛物線の形状でなければならない。
(g)百人以上の人員の積載を認められる救命艇においては、浮体の容積は、主管庁が十分と認める程度まで増加しなければならない。
(h)すべての救命艇は、固定浮体を有し、又は水密空気箱その他油若しくは油製品により影響を受けないこれと同等の耐食性浮力材料を備えなければならず、これらは、救命艇が浸水して、海水に洗われている場合に救命艇及びその艤装品を浮かすため十分なものでなければならない。救命艇の容積の少なくとも10分の1に等しい追加の水密空気箱その他油若しくは油製品により影響を受けないこれと同等の耐食性浮力材料を備えなければならない。主管庁は、油又は油製品により影響を受けない耐食性浮力材料を水密空気箱に充填することを許可することができる。
(i)救命艇のスオート及びサイド・シートは、実行可能な限り低く取り付けなければならない。
(j)木板製救命艇以外のすべての救命艇について、この章の第6規則の規定に従つて決定される容積の方形計数は、0.64以上でなければならない。
第6規則 救命艇の容積
(a)救命艇の容積は、スターリング法則(シンプソン法則)又はこれと同等の精度を得ることができるその他の方法で決定しなければならない。方形船尾の救命艇の容積は、その救命艇がとがつた船尾を有するものとして計算しなければならない。
(b)たとえば、スターリング法則によつて計算する救命艇の立方フィート(又は立方メートル)による容積は、次の式によつて得られるものと考えることができる。
容積=(4A+2B+4C)
12
Lは、船首材における外板の内面から船尾材の相当点までのフィート(又はメートル)による救命艇の長さとする。方形船尾の救命艇の場合には、長さは、船尾横板の内面まで測る。
A、B及びCは、それぞれ船首から長さの4分の1の箇所、長さの中央及び船尾から長さの4分の1の箇所における横断面で、Lを四等分して得た三点に対応するものの面積を表わす。(救命艇の両端に対応する面積は、無視しうるものとする。)
面積A、B及びCは、三個の横断面のおのおのに次の式を順次に適用して平方フィート(又は平方メートル)で得られるものとする。
面積=(a+4b+2c+4d+e)
12
hは、外板の内面においてキールから舷端まで、又はある場合には後に決定する一層低い高さまで、フィート(又はメートル)で測つた深さとする。
a,b,c,d及びeは、深さの最上点及び最下点並びにhを四等分して得た三点においてフィート(又はメートル)で測つた救命艇の水平の幅を表わす。(a及びeはhの両端における幅、cはhの中央における幅とする。)
(c)両端から救命艇の長さの4分の1にある二点で測つた舷端の舷弧の高さが救命艇の長さの1パーセントをこえるときは、横断面積A又はCの計算に用いる深さは、救命艇の長さの中央における深さに救命艇の長さの1パーセントを加えたものとする。
(d)長さの中央における救命艇の深さが幅の45パーセントをこえるときは、中央横断面積Bの計算に用いる深さは、幅の45パーセントに等しいものとし、また、長さの4分の1の箇所における横断面積A及びCの計算に用いる深さは、幅の45パーセントに救命艇の長さの1パーセントを加えて求める。ただし、いかなる場合にも、計算に用いる深さは、それらの箇所における実際の深さをこえてはならない。
(e)救命艇の深さが4フィート(又は122センチメートル)より大きいときは、この法則の適用によつて得た人員数は、その数の人員が救命胴衣を着用して乗艇した救命艇を浮かべる試験で満足な結果を得るまで、4フィート(又は122センチメートル)と救命艇の実際の深さとの比に応じて減少しなければならない。
(f)主管庁は、非常にやせた船首尾を有する救命艇及び非常に肥えた形状の救命艇に許容する人員数については、適当な方式によつて制限を加えなければならない。
(g)主管庁は、長さ、幅及び深さの相乗積に0.6を乗じたものに等しい容積を、それが前記の方法によつて得た容積より大きな容積とならないことが明らかであるときは、木板製救命艇の容積として指定することができる。この場合には、救命艇の寸法は、次の方法で測るものとする。
長さ 外板の外面と船首材との交点から船尾材の相当点まで又は方形船尾の救命艇の場合には船尾横板の後面まで測る。
幅 救命艇の幅が最大である箇所において外板の外面から測る。
深さ 長さの中央において外板の内面でキールから舷端まで測る。ただし、容積の計算に用いる深さは、いかなる場合にも幅の45パーセントをこえてはならない。
 すべての場合に、船舶所有者は、救命艇の容積を正確な計測により決定することを要請する権利を有する。
(h)発動機付救命艇又は他の推進装置を取り付けた救命艇の容積は、発動機及びその附属品又は他の推進装置の装置箱並びに、備え付けている場合には、無線電信設備、探照燈及びこれらの附属品の占める容積に等しい容積を総容積から控除して求めるものとする。
第7規則 救命艇の積載能力
救命艇に収容することを認められる人員数は、立方フィートによる容積を次に定める数で除して得た最大整数に等しいものとする。
長さ24フィート(又は7.3メートル)以上の救命艇の場合 10立方フィート(又は0.283立方メートル)
長さ16フィート(又は4.9メートル)の救命艇の場合 14立方フィート(又は0.396立方メートル)
長さ16フィート(又は4.9メートル)をこえ24フィート(又は7.3メートル)未満の救命艇の場合 14立方フィート(又は0.396立方メートル)及び10立方フィート(又は0.283立方メートル)の間の挿間法により求めた数
ただし、この人員数は、いかなる場合にも、オールの使用又は他の推進装置の操作を妨げることなく着席しうる救命胴衣を着用した成人の数をこえてはならない。
第8規則 積載すべき発動機付救命艇の数
(a)旅客船においては、この章の第9規則の要件に適合する発動機付救命艇を各舷に少なくとも一隻備えなければならない。
 もつとも、輸送を認められた人員及び船員の総数が三十人をこえない旅客船については、この発動機付救命艇一隻のみが要求される。
(b)総トン数1600トン以上の貨物船(タンカー、鯨工船として使用される船舶、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶を除く。)においては、この章の第9規則の要件に適合する少なくとも一隻の発動機付救命艇を備えなければならない。
(c)総トン数1600トン以上のタンカーにおいて、鯨工船として使用される船舶において、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶において、及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶においては、この章の第9規則の要件に適合する発動機付救命艇を各舷に少なくとも一隻備えなければならない。
第9規則 発動機付救命艇の仕様
(a)発動機付救命艇は、次の条件に適合しなければならない。
(i)圧縮点火機関を取り付け、いつでも使用しうるようにしておかなければならない。あらゆる状態で容易に発進することができなければならない。(iii)に定める速力における24時間の連続運転に十分な燃料を備えなければならない。
(ii)荒天状態における操作を確保するため機関及び附属品を適当に囲み、また、機関のケーシングを耐火性のものとしなければならない。後進のための装置を設けなければならない。
(iii)人員及び艤装品を満載した場合に、平水における前進速力が次のとおりでなければならない。
(1)旅客船、タンカー、鯨工船として使用される船舶、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶に積載することをこの章の第8規則の規定により要求される発動機付救命艇の場合には、少なくとも6ノット
(2)その他の発動機付救命艇の場合には、少なくとも4ノット
(b)発動機付救命艇の内部浮体の容積は、機関及びその附属品並びに、備え付けている場合には、探照燈、無線電信設備及びその附属品をささえるため必要な内部浮体の容積が、機関及びその附属品並びに、備え付けている場合には、探照燈、無線電信設備及びその附属品を取り去つた場合にその救命艇に収容することができる追加の人員をささえるため一人当たり1立方フィート(又は0.0283立方メートル)の割合で必要とされる内部浮体の容積をこえるときは、そのこえる量を、この章の第5規則の規定により要求される容積に加えたものでなければならない。
第10規則 発動機付救命艇以外の機械推進装置付救命艇の仕様
(a)推進装置は、承認された型式のものでなければならず、かつ、救命艇が水上におろされたときに船側から迅速に離れることができ、及び荒天状態において針路を保つことができるように、十分な力量を有しなければならない。装置は、人力で操作されるときは、使用に慣れない者でも操作することができ、かつ、救命艇の浸水の場合においても操作することができなければならない。
(b)推進装置には、その作動中いつでも舵手が救命艇を後進させることができる装置を取り付けなければならない。
(c)発動機付救命艇以外の機械推進装置付救命艇の内部浮体の容積は、推進装置の重量を補うために増加しなければならない。
第11規則 救命艇の艤装品
(a)各救命艇の標準艤装品は、次のものから成る。
(i)浮きうる単漕式オール一組、浮きうる予備オール二本、浮きうるかじ取りオール一本、索又は鎖で救命艇に取り付けたトール・ピン又はクラッチ一組半及びボート・フック一本
(ii)栓孔ごとに索又は鎖で救命艇に取り付けた栓二個(適当な自動弁を取り付けるときは、栓を要しない。)あかくみ一個及び承認された材料のバケツ二個
(iii)救命艇に取り付けたかじ一個及びチラー一個
(iv)救命艇の両端に、手おの各一個
(v)12時間分の油を有するランプ一個及び水密容器に入れた適当なマッチ二箱
(vi)めつきした鋼線支索及び帆(オレンジ色のもの)を備える一又は二以上のマスト
(vii)夜光の又は適当な照明装置を取り付けたビナクルに入れた効果的なコンパス一個
(viii)救命艇の外周に取り付けた救命索一筋
(ix)承認された大きさのシー・アンカー一個
(x)十分な長さのもやい綱二筋。一筋は、救命艇の前端に、環索及び留木で、解き放すことができるように取り付けておき、他の一筋は、救命艇の船首材に確実に取り付け、直ちに使用しうるようにしておかなければならない。
(xi)植物油、魚油又は動物油1ガロン(又は4.5リットル)を入れた容器一個。容器は、水面に油を容易に散布しうるように造り、かつ、シー・アンカーに取り付けることができるようにしておかなければならない。
(xii)救命艇に積載することを認められた各人のための食糧で主管庁が定めるもの。この食糧は、水密容器に格納された気密容器に入れておかなければならない。
(xiii)救命艇に積載することを認められた人員一人当たり6パイント(又は3リットル)の清水を入れた水密容器、又は一人当たり4パイント(又は2リットル)の清水を入れた水密容器及び一人当たり2パイント(又は1リットル)の飲料水を供給しうる承認された海水脱塩装置、索付きのさびないひしやく一個並びにさびない目盛付コップ一個
(xiv)高空で明るい赤色光を発する承認された型式の落下傘付信号四個及び明るい赤色光を発する承認された型式の手用信号炎六個
(xv)オレンジ色の煙を多量に発する承認された型式の発煙浮信号(昼間用)二個
(xvi)救命艇が転覆したとき人が救命艇にすがりつくことができる承認された装置で、ビルジ・キール若しくはキール・レールを形成するもの及びキールの下方を通して舷端から舷端に取り付けたつかみ綱又はその他の承認された設備
(xvii) 水密容器に入れた承認された応急医療具一式
(xviii)モールス符号の信号に適した水密電気燈一個並びに水密容器に入れた予備電池一組及び予備電球一個
(xix)承認された型式の日光信号鏡一個
(xx)索で救命艇に取り付けたかん切り付きのジャック・ナイフ一個
(xxi)軽い浮きうる投げ索二筋
(xxii)承認された型式の手動ポンプ一個
(xxiii)小さい艤装品を入れるための適当な箱一個
(xxiv)笛一個又は同等の音響信号器一個
(xxv)釣道具一式
(xxvi)暴露による傷害から乗艇者を保護することができる非常に見やすい色の承認されたカバー一枚
(xxvii)第5章第16規則に規定する救命信号の説明表一部
(b)主管庁が、(a)(vi)、(xii)、(xix)、(xx)及び(xxv)に定める品目を不必要と認める程度の期間の航海に従事する船舶の場合には、主管庁は、これらの省略を認めることができる。
(c)(a)の規定にかかわらず、発動機付救命艇その他の承認された機械推進装置付救命艇は、マスト若しくは帆又は定数の半分をこえるオールを備えることを要しないが、ボート・フック二本を備えなければならない。
(d)すべての救命艇には、水中の人が救命艇によじ登ることができるように、適当な装置を取り付けなければならない。
(e)各発動機付救命艇は、泡その他油火を消火する適当な物質を放出する承認された型式の持運び式消火器を備えなければならない。
第12規則 救命艇艤装品の定着
 すべての救命艇艤装品は、防舷に用いるため定着しないでおかなければならないボート・フックを除くほか、救命艇内に適当に定着しなければならない。縛りつけは、艤装品の定着を確保しつつ、しかも、つりかぎの機能を妨げたり、迅速な乗艇を妨げたりすることがないような方法で、行なわなければならない。すべての救命艇艤装品は、できる限り小さくかつ軽量なものでなければならず、適当なかさばらない形にまとめなければならない。
第13規則 救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置
(a)この章の第14規則及び第4章第12規則の規定に適合する無線電信設備を取り付けた発動機付救命艇を各舷に積載した船舶を除くほか、すべての船舶は、第4章第13規則に定める要件に適合する救命用の端艇及びいかだのための承認された持運び式無線装置を備えなければならない。この装置は、非常の際に救命艇のいづれか一隻に運ぶことができるように、海図室その他の適当な位置にまとめて保管しなければならない。ただし、救命艇を船舶の中央部及び船尾部に積載している総トン数3000トン以上のタンカーにおいては、船舶の主送信機から最も離れた救命艇の近くに保管しなければならない。
(b)主管庁が救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置が不必要であると認める程度の期間の航海に従事する船舶の場合には、主管庁は、その装置の省略を認めることができる。
第14規則 発動機付救命艇の無線設備及び探照燈
(a)(i)短国際航海以外の国際航海に従事する旅客船、鯨工船として使用される船舶、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶において総乗船者数が百九十九人をこえ千五百人未満であるときは、この第14規則及び第4章第12規則に定める要件に適合する無線電信設備を、この章の第8規則の規定によりその船舶に積載することを要求される発動機付救命艇の少なくとも一隻に、取り付けなければならない。
(ii)前記の船舶において総乗船者数が千五百人以上であるときは、このような無線電信設備は、この章の第8規則の規定によりその船舶に積載することを要求されるすべての発動機付救命艇に取り付けなければならない。
(b)無線設備は、設備及びその使用者の双方を収容するために十分な大きさのキャビンに備え付けなければならない。
(c)配置は、電池が充電中であるかどうかを問わず、送信機及び受信機の効果的な操作が作動中の機関によつて妨害されることがないようにしなければならない。
(d)無線用電池は、機関始動用電動機又は点火装置への電力の供給に使用してはならない。
(e)発動機付救命艇の機関は、無線用電池の再充電のため及びその他の用途に供するための発電機を備えなければならない。
(f)旅客船においてはこの章の第8規則(a)の規定により、鯨工船、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶においては同規則(c)の規定により積載することを要求される各発動機付救命艇には、探照燈を取り付けなければならない。
(g)探照燈は、少なくとも80ワットの燈、効果的な反射鏡及び電源を含まなければならない。電源は200ヤード(又は180メートル)の距離において約60フィート(又は18メートル)の幅の明るい色の物体を合計6時間有効に照明し、かつ、少なくとも3時間連続して使用することができなければならない。
第15規則 膨張式救命いかだの要件
(a)各膨張式救命いかだは、完全に膨張して天幕を上にして浮いている場合に海上において安定であるように造らなければならない。
(b)救命いかだは、60フィート(又は18メートル)の高さから水上に投下した場合に救命いかだ及びその艤装品が損傷しないように造らなければならない。
(c)救命いかだの構造は、救命いかだが膨張した場合に自動的に展張する天幕を含むものでなければならない。この天幕は、暴露による傷害から乗員を保護することができなければならず、かつ、雨水を集める装置を備えなければならない。天幕の頂部には、海水電池を電源とする燈を取り付け、かつ、救命いかだの内部にも、同様の燈を取り付けなければならない。救命いかだの天幕は、非常に見やすい色のものでなければならない。
(d)救命いかだには、もやい綱を取り付け、かつ、その外周に救命索を確実に取り付けなければならない。救命索は、救命いかだの内周にも取り付けなければならない。
(e)救命いかだは、上下をさかさにして膨張した場合に一人の力で容易に反転させることができるものでなければならない。
(f)救命いかだには、水中の人がよじ登ることができるように、効果的な装置を各入口に取り付けなければならない。
(g)救命いかだは、海上において遭遇する状態におけるはげしい摩損に耐えられるように造られた袋その他の容器に格納しなければならない。袋その他の容器内にある救命いかだは、そのままの状態で浮きうるものでなければならない。
(h)救命いかだの浮力は、偶数の独立した気室(その半数で救命いかだに収容することを認められた人員を水面上にささえることができなければならない。)に区画することにより、又は他の同等に効果的な方法により、いかだが損傷し、又はその一部が膨張しない場合にも適度の浮力の余裕があることを確保するように配置しなければならない。
(i)救命いかだ、その袋その他の容器及び艤装品の総重量は、400ポンド(又は180キログラム)をこえてはならない。
(j)膨張式救命いかだに収容することを認められる人員数は、次の数のうちいずれか小さい方に等しいものとする。
(i)膨張した場合に主気室(この目的のためには、支柱又は取り付けられている場合には一又は二以上のスオートを含めてはならない。)の立方フィートで測つた容積を3.4(又は立方デシメートルで測つた容積を96)で除して得た最大整数
(ii)膨張した場合に床(この目的のためには、取り付けられている場合には一又は二以上のスオートを含む。)の平方フィートで測つた面積を4(又は平方センチメートルで測つた面積を3720)で除して得た最大整数
(k)救命いかだの床は、防水性でなければならず、かつ、冷たさに対して有効に絶縁されることができなければならない。
(l)救命いかだは、乗員に対して無害な気体で膨張されなければならず、膨張は、索を引くことその他同様に簡単かつ効果的な方法により、自動的に行なわれなければならない。この章の第17規則の規定により要求される充気ポンプ又はふいごを圧力の維持のために使用することができるように、装置を備えなければならない。
(m)救命いかだは、承認された材料及び構造のものでなければならず、あらゆる海面状態において水上で30日間の暴露に耐えられるように造らなければならない。
(n)(j)の規定に従つて計算された積載能力が六人より少ない救命いかだは、承認してはならない。(j)の規定に従つて計算される膨張式救命いかだに収容することを承認される最大人員数は、主管庁が定めるものとするが、いかなる場合にも二十五人をこえてはならない。
(o)救命いかだは、華氏150度から華氏零下22度まで(又は摂氏66度から摂氏零下30度まで)の範囲の温度を通じて使用することができなければならない。
(p)救命いかだは、非常の際に迅速に利用しうるように格納しなければならない。
(q)救命いかだには、これを容易に引くことができるようにする装置を取り付けなければならない。
第16規則 固型救命いかだの要件
(a)各固型救命いかだは、積付場所から水上に投下した場合に救命いかだ及びその艤装品が損傷しないように造らなければならない。
(b)救命いかだの甲板部は、救命いかだのうち乗員を保護するための部分の内部に配置しなければならない。甲板の面積は、救命いかだに積載することを認められた各人につき少なくとも4平方フィート(又は3720平方センチメートル)とする。甲板の性質は、実行可能な限り浸水を防ぐようなものでなければならず、かつ、乗員を水面上に有効にささえるものでなければならない。
(c)救命いかだには、救命いかだがいずれの側を上にして浮いている場合にも暴露による傷害から乗員を保護しうる非常に見やすい色の天幕又は同等の装置を備えなければならない。
(d)救命いかだの艤装品は、救命いかだがいずれの側を上にして浮いている場合にも容易に利用しうるように、格納しなければならない。
(e)旅客船に積載される救命いかだ及びその艤装品の総重量は、400ポンド(又は180キログラム)をこえてはならない。貨物船に積載される救命いかだは、それらを船舶の両舷から進水させることができるとき、又は機械的に水上に投下する装置が設けられているときは、400ポンド(又は180キログラム)をこえることができる。
(f)救命いかだは、いずれの側を上にして浮いている場合にも、常時有効かつ安定でなければならない。
(g)救命いかだは、積載することを認められた各人につき少なくとも3.4立方フィート(又は96立方デシメートル)の空気箱又は同等の浮体を有しなければならず、それらは、できる限りいかだの外側に近く配置しなければならない。
(h)救命いかだには、もやい綱を取り付け、かつ、その外周に救命索を確実に取り付けなければならない。救命索は、いかだの内周にも取り付けなければならない。
(i)救命いかだには、水中の人がよじ登ることができるように、効果的な装置を各入口に取り付けなければならない。
(j)救命いかだは、油又は油製品により影響を受けないように造らなければならない。
(k)救命いかだは、浮きうる電池式燈を索で取り付けなければならない。
(l)救命いかだには、これを容易に引くことができるようにする装置を取り付けなければならない。
(m)救命いかだは、船舶の沈没に際して自然に浮くように格納しなければならない。
第17規則 膨張式救命いかだ及び固型救命いかだの艤装品
(a)各救命いかだの標準艤装品は、次のものから成る。
(i)少なくとも100フィート(又は30メートル)の浮きうる索に結び付けられた浮輪一個
(ii)十二人以下の人員を収容することを認められた救命いかだには、ナイフ一個及びあかくみ一個、十三人以上の人員を収容することを認められた救命いかだには、ナイフ二個及びあかくみ二個
(iii)スポンジ二個
(iv)シー・アンカー二個。うち一個は、恒久的に救命いかだに取り付けたもの、他の一個は予備のものとする。
(v)かい二本
(vi)気室の破損を修理するための修理用具一式
(vii)この章の第16規則の規定に適合する救命いかだの場合を除くほか、充気ポンプ又はふいご一個
(viii)かん切り三個
(ix)水密容器に入れた承認された応急医療具一式
(x)さびない目盛付コップ一個
(xi)モールス符号の信号に適した水密電気燈一個並びに水密容器に入れた予備電池一組及び予備電球一個
(xii)日光信号鏡一個及び信号笛一個
(xiii)高空で明るい赤色光を発する承認された型式の落下傘付信号二個
(xiv)明るい赤色光を発する承認された型式の手用信号炎六個
(xv)釣道具一式
(xvi)救命いかだに収容することを認められた各人のための食糧で主管庁が定めるもの
(xvii)救命いかだに収容することを認められた人員一人当たり3パイント(又は1.5リットル)の清水をいれた水密容器。このうち一人当たり1パイント(又は0.5リットル)の清水は、同量の清水を供給しうる適当な海水脱塩装置をもつて替えることができる。
(xviii)救命いかだに収容することを認められた各人につき六錠の船酔い薬
(xix)救命いかだ内で生存する方法を示した指導書
(xx)第5章第16規則に規定する救命信号の説明表一部
(b)主管庁が(a)に定めるすべての品目を備えることが不必要であると認める程度の期間の短国際航海に従事する旅客船の場合には、主管庁は、その船舶に積載される救命いかだの数の6分の1より少なくない一又は二以上の救命いかだには、(a)(i)から(vii)まで、(xi)及び(xix)に定める艤装品と(a)(xiii)及び(xiv)に定める艤装品の半数とを備え、残りの救命いかだには、(a)(i)から(vii)まで及び(xix)に定める艤装品を備えることを認めることができる。
第18規則 救命いかだの使用についての訓練
 主管庁は、実行可能かつ合理的である限り、救命いかだを積載している船舶の船員が救命いかだの進水及び使用について訓練されていることを確保するために措置を執らなければならない。
第19規則 救命艇及び救命いかだへの乗込み
(a)救命艇への乗艇のため、次のものを含む適当な装置を備えなければならない。
(i)水上にある救命艇に乗り込むことができるようにダビット一組ごとにはしご一個。ただし、旅客船、鯨工船として使用される船舶、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶においては、主管庁は、各舷に少なくとも一個のはしごを備えることを条件として、承認された装置をもつて前記のはしごに替えることを許可することができる。
(ii)進水準備中の及び進水過程にある救命艇並びに進水装置を照明し、かつ、救命艇が進水する水面を進水過程が完了するまで照明する装置
(iii)船舶がまさに放棄されようとしていることを旅客及び船員に警報する装置
(iv)排水が救命艇に入ることを防ぐ装置
(b)救命いかだへの乗込みのため、次のものを含む適当な装置を備えなければならない。
(i)水上にある救命いかだへの乗込みを容易にするため十分な数のはしご。ただし、旅客船、鯨工船として使用される船舶、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶においては、主管庁は、承認された装置をもつて前記のはしごの一部又は全部に替えることを許可することができる。
(ii)承認された進水装置が設けられている救命いかだを積載している場合には、進水準備中の及び進水過程にある救命いかだ並びに進水装置を照明し、かつ、救命いかだが進水する水面を進水過程が完了するまで照明する装置
(iii)承認された進水装置が設けられていない救命いかだの場合には、その積付場所を照明する装置
(iv)船舶がまさに放棄されようとしていることを旅客及び船員に警報する装置
(v)定められた進水場所にある救命いかだ(承認された進水装置につり下げられた救命いかだを含む。)に排水が入ることを防ぐ装置
第20規則 救命艇、救命いかだ及び救命浮器の標示
(a)救命艇には、その寸法及び積載することを認められた人員数を明白なかつ消えない文字で標示しなければならない。救命艇が属する船舶の船名及び船籍港を、船首の両側に書き入れなければならない。
(b)救命浮器には、同様の方法で人員数を標示しなければならない。
(c)膨張式救命いかだ及び膨張式救命いかだを格納する袋又は容器には、同様の方法で人員数を標示しなければならない。各膨張式救命いかだには、その所有者を確認することができるように、製造番号及び製造者名を標示しなければならない。
(d)各固型救命いかだには、それを積載する船舶の船名及び船籍港並びに積載することを認められた人員数を標示しなければならない。
(e)いかなる救命艇、救命いかだ又は救命浮器にも、この章に定める方法で得た数をこえる人員数を標示してはならない。
第21規則 救命浮環の仕様
(a)救命浮環は、次の要件を満たさなければならない。
(i)固形コルクその他の同等の材料のものでなければならない。
(ii)少なくとも32ポンド(又は14.5キログラム)の鉄片を淡水中で24時間ささえることができなければならない。
(iii)油又は油製品により影響を受けてはならない。
(iv)非常に見やすい色のものでなければならない。
(v)積載する船舶の船名及び船籍港をブロック字体で標示しなければならない。
(b)燈心草、コルクくず若しくは粒状コルク若しくはその他の散粒状物質を詰めた救命浮環又は膨張させることを要する気室によつて浮力を得る救命浮環は、禁止する。
(c)プラスチックその他の合成材料で作られた救命浮環は、海水若しくは油製品に接して、又は外洋航海において常に遭遇する温度若しくは天候の変化の下で、その浮揚性及び耐久性を保つことができなければならない。
(d)救命浮環には、つかみ綱を確実に取り付けなければならない。船舶の各舷の少なくとも一個の救命浮環には、長さが少なくとも15ひろ(又は27.5メートル)の浮きうる救命索を取り付けなければならない。
(e)旅客船の場合には、総数の2分の1以上の救命浮環に、かつ、いかなる場合にも六個以上の救命浮環に、貨物船の場合には、総数の少なくとも2分の1の救命浮環に、効果的な自己点火燈を備えなければならない。
(f)(e)の規定により要求される自己点火燈は、水で消えないものでなければならない。自己点火燈は、45分以上の間燃え、かつ、3.5ルーメン以上の照度を有しなければならない。自己点火燈は、それが属する救命浮環の近くに必要な附属品とともに保管しなければならない。タンカーに使用される自己点火燈は、承認された電池式のものでなければならない。
(g)すべての救命浮環は、乗船者が容易に近づきうるように配置しなければならない。(e)の規定に従つて自己点火燈を備える救命浮環のうち少なくとも二個は、非常に見やすい色の煙を少なくとも15分間発する能力を有する効果的な自己発煙信号を備えなければならず、かつ、航海船橋から迅速に取りはずすことができなければならない。
(h)救命浮環は、いつでもすみやかに取りはずすことができるようにしておかなければならず、いかなる方法によるかを問わず恒久的に定着してはならない。
第22規則 救命胴衣
(a)船舶は、承認された型式の救命胴衣を各乗船者につき一個積載しなければならない。さらに、これらの救命胴衣が小児の使用に適しないときは、十分な数の小児用救命胴衣を積載しなければならない。
(b)旅客船には、(a)の規定により要求される救命胴衣のほかに、総乗船者数の5パーセントに対する救命胴衣を積載しなければならない。これらの救命胴衣は、甲板上の目につきやすい場所に格納しておかなければならない。
(c)救命胴衣は、次の要件を満たさない限り、承認してはならない。
(i)適正な工作法及び材料で造らなければならない。
(ii)16.5ポンド(又は7.5キログラム)の鉄片を淡水中で24時間ささえることができなければならない。
(iii)誤つた方法で着用するすべての危険をできる限り除くように造らなければならない。ただし、裏返しに着用することができるものの場合は、この限りでない。
(iv)無意識状態にある者の体が垂直よりも後方に傾き、その顔が水面上にあるように、頭をささえなければならない。
(v)水中に入つた際に体が垂直よりも後方に傾き、安全な浮遊姿勢となるようになっていなければならない。
(vi)油又は油製品により影響を受けてはならない。
(vii)非常に見やすい色のものでなければならない。
(viii)承認された笛をひもで確実に取り付けなければならない。
(d)膨張により浮力が得られる救命胴衣は、旅客船及びタンカー以外のすべての船舶の船員の使用に充てるために、次のことを条件として許可することができる。
(i)二個の独立した気室を有し、その両気室により33ポンド(又は15キログラム)の鉄片を淡水中で24時間ささえることができ、かつ、各気室により16.5ポンド(又は7.5キログラム)の鉄片を同様にささえることができること。
(ii)機械及び口のいずれによつても膨張させることができること。
(iii)一個の気室が膨張しない場合にも、(c)(i)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)及び(viii)の要件に適合すること。
(c)救命胴衣は、容易に近づきうるように配置しなければならず、かつ、その位置を明示しなければならない。
第23規則 救命索発射器
(a)船舶は、承認された型式の救命索発射器を積載しなければならない。
(b)この発射器は、索を合理的な正確さで250ヤード(又は230メートル)以上運ぶことができなければならず、かつ、四個以上の発射体及び四本以上の索を含まなければならない。
第24規則 船舶の遭難信号
 船舶は、主管庁が十分と認める昼間用及び夜間用の有効な遭難信号(高空で明るい赤色光を発する少なくとも十二個の落下傘付信号を含む。)の装置を備えなければならない。
第25規則 非常配置表及び非常措置
(a)非常の際に受け持つべき特別任務は、各船員に割り当てなければならない。
(b)非常配置表には、すべての特別任務を掲げ、かつ、特に各船員がつくべき部署及び遂行すべき任務を示さなければならない。
(c)非常配置表は、船舶の発航前に作成しなければならない。その写しは、船内の数箇所に、とくに船員室に掲示しなければならない。
(d)非常配置表には、次の事項につき、それぞれの船員に割り当てられた任務を掲げなければならない。
(i)水密戸、弁並びに排水管、灰捨て筒及び防火戸の閉鎖装置の閉鎖
(ii)救命艇(救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置を含む。)その他の救命設備の艤装
(iii)救命艇の進水
(iv)他の救命設備の一般準備
(v)旅客の招集
(vi)消火
(e)非常配置表には、非常の際に旅客に関して事務部員に割り当てられる各種の任務を掲げなければならない。この任務は、次の事項を含むものとする。
(i)旅客に対する警報
(ii)旅客が適当に着衣し、かつ、救命胴衣を正しく着用したことの確認
(iii)招集場所における旅客の整理
(iv)通路及び階段における秩序の維持並びに一般の旅客の行動の統制
(v)毛布が救命艇に持ち込まれることの確保
(f)非常配置表は、すべての船員をその端艇、救命いかだ及び消火部署に招集するための明白な信号を指定し、かつ、これらの信号の完全な詳細を明示しなければならない。これらの信号は、汽笛又はサイレンにより行なわなければならず、短国際航海に従事する旅客船及び長さ150フィート(又は45.7メートル)未満の貨物船の場合を除くほか、電気式の他の信号によつて補足しなければならない。これらのすべての信号は、船橋から操作することができなければならない。
第26規則 招集及び訓練
(a)(i)旅客船においては、実行可能なときは、端艇訓練及び消火訓練のための船員の招集を一週間ごとに行なわなければならず、短国際航海以外の国際航海において最後の発航港を出るときは、この招集を行なわなければならない。
(ii)貨物船においては、端艇訓練及び消火訓練のための船員の招集を一箇月こえない間隔で行なわなければならない。ただし、いずれかの港において25パーセントをこえる数の船員が交代したときは、端艇訓練及び消火訓練のための船員の招集は、その港を出港した後24時間以内に行なわなければならない。
(iii)貨物船において一箇月ごとの招集を行なう場合には、端艇の艤装品が完全であることを確保するため点検を行なわなければならない。
(iv)招集を行なつた日は、主管庁が定める航海日誌に記録しなければならない。また、いずれかの週(旅客船の場合)又はいずれかの月(貨物船の場合)に招集の全部又は一部が行なわれなかつたときは、事情及び行なつた招集の程度を記入しなければならない。貨物船における端艇の艤装品の点検報告は、航海日誌に記入しなければならず、さらに、救命艇を(c)の規定に従つて振り出し、及びおろした場合には、その旨を記録しなければならない。
(b)旅客船においては、短国際航海に従事するものの場合を除くほか、旅客の招集を出港後24時間以内に行なわなければならない。
(c)逐次の端艇訓練においては、異なる組の救命艇を順番に使用しなければならず、各救命艇は、少なくとも四箇月ごとに、振り出し、実行可能かつ合理的であるときはおろさなければならない。招集及び検査は、船員が遂行すべき任務(救命いかだが積載される場合にはその取扱い及び操作に関する指導を含む。)を十分に理解し、かつ、習熟するように取り計らわなければならない。
(d)旅客を招集場所に集めるための非常信号は、汽笛又はサイレンの連続する短音七回以上及びこれに続く長音一回とする。この信号は、旅客船においては、短国際航海に従事するものの場合を除くほか、船橋から操作しうる電気式の他の信号によつて船内の全域にわたり補足しなければならない。旅客に関係のあるすべての信号の意味は、非常の際にすべきことの明確な指示とともに、キャビン及び他の旅客室の目につきやすい場所に掲げる掲示札に、適当な言語で明記しなければならない。

第2節 B部 旅客船

第27規則 救命艇、救命いかだ及び救命浮器
(a)旅客船は、非常の際に用いるため、ダビットに取り付けた二隻の端艇(各舷に一隻ずつとする。)を積載しなければならない。これらの端艇は、承認された型式のものでなければならず、長さが28フィート(又は8.5メートル)以下でなければならない。これらの端艇は、この章の救命艇の要件に完全に適合するときは、(b)及び(c)の規定の適用上計算に入れることができ、また、さらに第9規則及び適当な場合には第14規則の要件に完全に適合するときは、第8規則の規定の適用上計算に入れることができる。これらの端艇は、船舶が海上にある間、直ちに使用しうるようにしておかなければならない。救命艇の舷側に取り付けた装置によつて第29規則(h)の要件が満たされている船舶においては、その装置は、この第27規則の要件を満たすため備える二隻の端艇には取り付けることを要しない。
(b)短国際航海以外の国際航海に従事する旅客船は、次のものを積載しなければならない。
(i)各舷に、総乗船者数の半数を収容する合計能力の救命艇
 ただし、主管庁は、総乗船者数の37.5パーセントを収容するため十分な救命艇を各舷に備えることを条件として、救命艇の代わりに、それと同じ合計能力の救命いかだを積載することを許可することができる。
(ii)総乗船者数の25パーセントを収容するため十分な合計能力の救命いかだ及び総乗船者数の3パーセントに対する救命浮器
 ただし、区画係数が0.33以下の船舶は、総乗船者数の25パーセントに対する救命いかだ及び総乗船者数の3パーセントに対する救命浮器の代わりに、総乗船者数の25パーセントに対する救命浮器を積載することを許可されるものとする。
(c)(i)短国際航海に従事する旅客船は、長さに応じて、この章の第28規則の表のA欄に定める組数のダビットを備えなければならない。各組のダビットには、一隻の救命艇を取り付けなければならず、これらの救命艇は、少なくとも、C欄で要求される最小容積又は総乗船者を収容するため必要な容積がこれより小さいときはその容積を有しなければならない。
 もつとも、主管庁は、短国際航海に従事する旅客船に第28規則の表のA欄で要求される組数のダビットを備えることが実行不可能又は不合理であると認める場合には、例外的な状況において、一層少ない組数のダビットを備えることを認めることができる。ただし、この組数は、表のB欄に定める最小数より少なくてはならず、かつ、当該船舶の救命艇の合計容積は、少なくとも、C欄で要求される最小容積又は総乗船者を収容するため必要な容積がこれより小さいときはその容積に等しいものとする。
(ii)このように備えた救命艇が総乗船者を収容するため十分でないときは、救命艇及び救命いかだが総乗船者を収容するため十分となるように、ダビットに取り付けた追加の救命艇又は救命いかだを備えなければならない。
(iii)(ii)の規定にかかわらず、短国際航海に従事する船舶においては、輸送人員数は、(i)及び(ii)の規定に従つて備えられる救命艇の合計能力をこえてはならない。ただし、主管庁が交通量により必要と認める場合において、当該船舶が第2章第1規則(d)の規定に適合しているときは、この限りでない。
(iv)主管庁は、(iii)の規定に基づき救命艇の収容能力をこえる数の人員の輸送を許可し、かつ、(ii)の規定に従つて積載する救命いかだを積み付けることを実行不可能と認める場合には、救命艇の数を減ずることを許可することができる。ただし、
(1)救命艇の数は、長さ190フィート(又は58メートル)以上の船舶の場合には、四隻より少なくてはならず(各舷にその二隻ずつを積載するものとする。)、長さ190フィート(又は58メートル)未満の船舶の場合には、二隻より少なくてはならず(各舷にその一隻ずつを積載するものとする。)、また、
(2)救命艇及び救命いかだの数は、常に総乗船者数を収容するため十分でなければならない。
(v)短国際航海に従事する各旅客船は、(c)の規定により要求される救命艇及び救命いかだのほかに、その船舶に積載される救命艇に収容される人員総数の10パーセントを収容するため十分な救命いかだを備えなければならない。
(vi)短国際航海に従事する各旅客船は、また、総乗船者数の少なくとも5パーセントに対する救命浮器を積載しなければならない。
(vii)主管庁は、短国際航海の証書を有する個個の船舶又はある種類の船舶が第2章第1規則(d)の規定に適合している場合において、乗船者数の75パーセントを収容する救命艇を積載し、その他(c)の規定に適合しているときは、それらの船舶に対し、600海里をこえ1200海里をこえない航海を行なうことを許可することができる。
第28規則 短国際航海に従事する船舶のダビット及び救命艇の容積に関する表
 次の表は、船舶の長さに従つて次の事項を定める
(A)この章の第27規則の規定に従つてそれぞれ一隻の救命艇を取り付けなければならない短国際航海に従事する船舶に備えるダビットの最小組数
(B)短国際航海に従事する船舶に対しこの章の第27規則の規定に基づいて例外的に認められるダビットの一層少ない組数
(C)短国際航海に従事する船舶に対して要求される救命艇の最小容積
船舶の登録された長さ(A)ダビットの最小組数(B)例外的に認められるダビットの一層少ない数(C)救命艇の最小容積
フィートメートル立方フィート立方メートル
100以上120未満31以上37未満40011
120〃140〃37〃43〃65018
140〃160〃43〃49〃90026
160〃175〃49〃53〃1,15033
175〃190〃53〃58〃1,35038
190〃205〃58〃63〃1,55044
205〃220〃63〃67〃1,75050
220〃230〃67〃70〃1,85052
230〃245〃70〃75〃2,15061
245〃255〃75〃78〃2,40068
255〃270〃78〃82〃2,70076
270〃285〃82〃87〃3,00085
285〃300〃87〃91〃3,30094
300〃315〃91〃96〃3,600102
315〃330〃96〃101〃3,900110
330〃350〃101〃107〃4,300122
350〃370〃107〃113〃4,750135
370〃390〃113〃119〃105,150146
390〃410〃119〃125〃105,550157
410〃435〃125〃133〃126,050171
435〃460〃133〃140〃126,550185
460〃490〃140〃149〃14107,150202
490〃520〃149〃159〃14107,800221
520〃550〃159〃168〃16128,400238
(c)の注 船舶の長さが100フィート(又は31メートル)未満であり、又は550フィート(又は168メートル)をこえるときは、ダビットの最小組数及び救命艇の容積は、主管庁が決定しなければならない。
第29規則 救命艇、救命いかだ及び救命浮器の積付け及び取扱い
(a)救命艇及び救命いかだは、次のことを確保するような方法で、主管庁が十分と認めるように積み付けなければならない。
(i)すべての救命艇及び救命いかだをできる限りの最短時間で、かつ、30分をこえない時間で進水させることができること。
(ii)救命艇及び救命いかだが他の救命艇、救命いかだ若しくは救命浮器の迅速な取扱い、進水場所における乗船者の整理又はその乗込みをなんら妨害しないこと。
(iii)救命艇及び承認された進水装置を設けることを要求される救命いかだを、船舶の縦傾斜及びいずれの側への15度の横傾斜という不利な状態においても、人員及び艤装品を満載したまま水上におろすことができること。
(iv)承認された進水装置を設けることを要求されない救命いかだ及び救命浮器を、船舶の縦傾斜及びいずれの側への15度の横傾斜という不利な状態においても、水上におろすことができること。
(b)各救命艇は、それぞれ一組のダビットに取り付けなければならない。
(c)救命艇は、下層の甲板における救命艇が上層の甲板に積み付けられた救命艇によつて妨害されないようにするために適当な措置を執る場合にのみ、二層以上の甲板に積み付けることができる。
(d)救命艇及び承認された進水装置を設けることを要求される救命いかだは、船舶の船首部に置いてはならない。これらの救命艇及び救命いかだは、プロペラからの距離及び船尾の著しい突出部を特に考慮して、安全な進水が確保されるような位置に積み付けなければならない。
(e)ダビットは、承認された設計のものでなければならず、主管庁が十分と認めるように適当に設置しなければならない。ダビットは、それに取り付けられた救命艇を他のダビットの操作によつて妨害されることなく安全におろすことができるように、一又は二以上の甲板に配置しなければならない。
(f)ダビットは、次のものでなければならない。
(i)振出し状態において2.25トン(又は2300キログラム)をこえない重さの救命艇の操作のためには、ラッフィング型又は重力型のもの
(ii)振出し状態において2.25トン(又は2300キログラム)をこえる重さの救命艇の操作のためには、重力型のもの
(g)ダビット、つり索、滑車その他のすべての装置は、船舶のいずれの側への15度の横傾斜及び10度の縦傾斜の場合にも、救命艇を進水要員を配置して振り出し、人員及び艤装品を満載して安全におろすことができる強さのものでなければならない。
(h)15度の横傾斜に対して救命艇の進水を容易にするため、スケートその他の適当な装置を備えなければならない。
(i)救命艇を船側に引き寄せ、かつ、人員が安全に乗艇することができるようにこれを保持するための装置を備えなければならない。
(j)救命艇及びこの章の第27規則の規定により要求される非常端艇は、ワイヤ・ロープのつり索及び承認された型式のウインチによつて取り扱わなければならず、これらのウインチは、非常端艇の場合には、これらの端艇を迅速に揚収することができなければならない。例外的に、主管庁は、マニラ・ロープのつり索又は他の承認された材料のつり索で十分であると認める場合には、ウインチのある又はウインチのない(ただし、非常端艇は、これらの端艇を迅速に揚収しうるウインチにより取り扱うことを要求される。)マニラ・ロープのつり索又は他の承認された材料のつり索を許容することができる。
(k)ダビット・スパンには、少なくとも二筋の救命索を取り付けなければならず、つり索及び救命索は、船舶が最小航海喫水においていずれの側に15度横傾斜した場合にも水面に達するため十分な長さのものでなければならない。つり索の下部滑車には、承認された型式の離脱装置を備えない限り、つりかぎに取り付けるための適当な環又は長環を取り付けなければならない。
(l)救命艇の揚収のため動力機械装置を取り付ける場合には、効果的な手動装置をも備えなければならない。ダビットが動力によるつり索の作用により揚収される場合には、ワイヤ・ロープのつり索又はダビットの過応力を避けるため、ダビットが停止位置に達する前に自動的に動力をとめる安全装置を取り付けなければならない。
(m)ダビットに取り付けた救命艇には、使用することができるようにしたつり索を備えなければならず、また、つり索から救命艇を、同時にである必要はないがすみやかに、取りはずすための措置を執らなければならない。救命艇をつり索に取り付ける位置は、救命艇をおろしている時に安定性を確保するような舷端より上の高さになければならない。
(n)(i)短国際航海以外の国際航海に従事する旅客船でこの章の第27規則(b)(i)の規定に従つて救命艇及び救命いかだを積載するものにあつては、救命艇との合計能力が総乗船者数を収容するに足りるものであることを同規定に従つて要求される救命いかだのために、承認された進水装置を備えなければならず、その進水装置の数は、これらの救命いかだに認められた数の人員を積載したまま、これらを、静穏な状態において30分以内に、水上におろすため十分であると主管庁が認めるものでなければならない。この承認された進水装置は、実行可能な限り船舶の各舷に同数配置しなければならず、各舷に一個より少なくてはならない。もつとも、この装置は、この章の第27規則(b)(ii)の規定により総乗船者数の25パーセントのために積載することを要求される追加の救命いかだに対しては備えることを要しないが、同規定に従つて積載する各救命いかだは、船舶に承認された進水装置が備えられている場合には、その装置で進水させることができる型式のものでなければならない。
(ii)短国際航海に従事する旅客船においては、備えるべき承認された進水装置の数は、主管庁が決定するものとする。積載されるこれらの各装置に割り当てられる救命いかだの数は、収容することを認められた数の人員を積載したまま当該装置により静穏な状態において30分以内に水上におろすことができると主管庁が認める数をこえてはならない。
第30規則 甲板、救命艇、救命いかだ等の照明
(a)旅客船の各部分、特に救命艇及び救命いかだを積み付ける甲板における安全のためのすべての要件を満たすため十分な電気照明装置又は同等の照明装置を備えなければならない。第2章第25規則の規定により要求される自己起電の非常電源は、必要な場合には、この照明装置並びにこの章の第19規則(a)(ii)。(b)(ii)及び(b)(iii)の規定により要求される照明装置に給電することができなければならない。
(b)旅客又は船員が使用する各主区画室の出口は、非常燈により継続的に照明しなければならない。この非常燈用の電力は、主発電装置に故障を生じた場合に、(a)に掲げる非常電源から給電するようにしておかなければならない。
第31規則 救命艇及び救命いかだの配員
(a)各救命艇について、甲板部士官又は資格のある救命艇手一人をその担当者と定め、かつ、一人の副担当者を指名しなければならない。担当者は、救命艇の乗組員の名簿を所持し、かつ、部下の者が各自の任務を熟知しているようにしておかなければならない。
(b)発動機を操作することができる者一人を、各発動機付救命艇に、割り当てなければならない。
(c)無線設備及び探照燈設備を操作することができる者一人を、これらの設備を有する各救命艇に割り当てなければならない。
(d)救命いかだの取扱い及び操作に習熟した者一人を、積載する各救命いかだに、割り当てなければならない。ただし、短国際航海に従事する船舶において、このことが実行可能でないと主管庁が認める場合は、この限りでない。
第32規則 資格のある救命艇手
(a)旅客船には、この章の規定に適合するため積載する各救命艇について、少なくとも次の表に掲げる数に等しい数の救命艇手を乗り組ませなければならない。
救命艇の定員資格のある救命艇手の最小数
41人未満
41人以上61人以下
62人以上85人以下
85人をこえるとき
(b)資格のある救命艇手の各救命艇に対する割当ては、船長の裁量に属する。
(c)適任証書は、主管庁の権限において発給される。この証書を受けるためには、申請者は、救命艇その他の救命設備の進水に関するすべての作業並びにオール及び推進装置の使用の訓練を受けていること、救命艇その他の救命設備の実際の取扱いを熟知していること並びにすべての種類の救命設備に関する命令を理解し、かつ、これに応ずることができることを証明しなければならない。
第33規則 救命浮器
(a)いかなる型式の救命浮器も、次の条件を満たさない限り、承認してはならない。
(i)積み付けた場所から損傷を与えないで水上に投下することができるような大きさ及び強さのものであること。
(ii)重さが400ポンド(又は180キログラム)をこえないこと。ただし、手で持ち上げることなく進水させることができる適当な装置で主管庁が十分と認めるものが設けられている場合は、この限りでない。
(iii)承認された材料及び構造のものであること。
(iv)いずれの側を上にして浮いている場合にも有効かつ安定であること。
(v)空気箱又は同等の浮体を、できる限り救命浮器の外側に近く、配置すること。この浮体は、膨脹に依存するものであつてはならない。
(vi)もやい綱を取り付け、かつ、外周に救命索を確実に取り付けること。
(b)救命浮器について認められる人員数は、次の数のうちいずれか小さい方とする。
(i)救命浮器が淡水中でささえることができる鉄片の重量をポンドで表わした数を32(又はキログラムで表わした数を14.5)で除して得た数
(ii)周囲の長さをフィート(30.5センチメートルに相当する。)で表わした数に等しい数
第34規則 備えるべき救命浮環の数
 旅客船に備える救命浮環の最小数は、次の表によつて定めるものとする。
船舶の長さ浮環の最小数
フィートメートル
200未満61未満
200以上400未満61以上122未満12
400以上600未満122以上183未満18
600以上800未満183以上244未満24
800以上244以上30

C部 貨物船

第35規則 救命艇及び救命いかだの数及び収容能力
(a)(i)各貨物船(総トン数1600トン以上のタンカー、鯨工船として使用される船舶、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶を除く。)は、総乗船者を収容する合計能力の救命艇を各舷に積載しなければならず、さらに、総乗船者数の半数を収容するため十分な救命いかだを積載しなければならない。
 もつとも、主管庁は、近隣の国の間の国際航海に従事する貨物船の場合において、その航海の状況により救命いかだの強制的積載が不合理かつ不必要であると認めるときは、その程度に応じて、個個の船舶又はある種類の船舶に対し、この要件を免除することができる。
(ii)総トン数1600トン以上の各タンカーは、総乗船者を収容する合計能力の救命艇を各舷に積載しなければならない。
(b)(i)鯨工船として使用される各船舶、魚類加工船又はかん詰工船として使用される各船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する各船舶は、次のものを積載しなければならない。
(1)各舷に、総乗船者数の半数を収容する合計能力の救命艇
 ただし、主管庁は、総乗船者数の37.5パーセントを収容するため十分な救命艇を各舷に備えることを条件として、救命艇の代わりに、それと同じ合計能力の救命いかだを積載することを許可することができる。
(2)総乗船者数の半数を収容するため十分な合計能力の救命いかだ
 ただし、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶において、この章の要件に完全に適合する救命艇を積載することが実行不可能であるときは、主管庁は、その代わりに、この第35規則の規定により要求される収容能力より少なくなく、かつ、少なくとも救命艇についてこの章の規定により要求される浮力及び艤装品を有する他の端艇を積載することを許可することができる。
(ii)鯨工船として使用される各船舶、魚類加工船又はかん詰加工船として使用される各船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する各船舶は、非常の際に用いるため、二隻の端艇(各舷に一隻ずつすとる。)を積載しなければならない。これらの端艇は、承認された型式のものでなければならず、長さが28フィート(又は8.5メートル)以下でなければならない。これらの端艇は、この章の救命艇の要件に完全に適合するときは、(b)の規定の適用上計算に入れることができ、また、さらに第9規則及び適当な場合には第14規則の要件に適合するときは、第8規則の規定の適用上計算に入れることができる。これらの端艇は、船舶が海上にある間、直ちに使用しうるようにしておかなければならない。救命艇の舷側に取り付けた装置によつて第36規則(g)の要件が満たされている船舶においては、その装置は、この第35規則の要件を満たすため備える二隻の端艇に取り付けることを要しない。
(c)総トン数3000トン以上の各タンカーは、四隻以上の救命艇を積載しなければならない。二隻の救命艇は船尾部に、他の二隻は、中央部に積載しなければならず、中央部に船楼のないタンカーにおいては、すべての救命艇は、船尾部に積載しなければならない。
 もつとも、中央部に船楼のないタンカーの場合において四隻の救命艇を船尾部に積載することが実行不可能であるときは、主管庁は、その代わりに、各舷に一隻の救命艇を船尾部に績載することを許可することができる。この場合には、
(i)これらの各救命艇は、長さが26フィート(又は8メートル)をこえてはならず、
(ii)これらの各救命艇は、実行可能な限り前方に、少なくとも救命艇の後端が救命艇の長さの1.5倍プロペラの前方にあるように積み付けなければならず、
(iii)各救命艇は、安全かつ実行可能な限り海面に近く積み付けなければならず、また、
(iv)これらの救命艇のほかに、少なくとも総乗船者数の2分の1を収容するため十分な救命いかだを積載しなければならない。
第36規則 ダビット及び進水装置
(a)貨物船においては、救命艇及び救命いかだは、主管庁が十分と認めるように積み付けなければならない。
(b)各救命艇は、それぞれ一組のダビットに取り付けなければならない。
(c)救命艇及び承認された進水装置を設けることを要求される救命いかだは、船舶の船首部に置いてはならない。これらの救命艇及び救命いかだは、船舶の垂直な舷側を進水しうることを実行可能な限り確保するため、プロペラからの距離及び船尾の著しい突出部を特に考慮して、安全な進水が確保されるような位置に積み付けなければならない。
(d)ダビットは、承認された設計のものでなければならず、主管庁が十分と認めるように適当に配置しなければならない。
(e)総トン数1600トン以上のタンカー、鯨工船として使用される船舶、魚類加工又はかん詰工船として使用される船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶においては、すべてのダビットは、重力型のものでなければならない。その他の船舶においては、ダビットは、次のものでなければならない。
(i)振出し状態において2.25トン(又は2300キログラム)をこえない重さの救命艇の操作のためには、ラッフィング型又は重力型のもの
(ii)振出し状態において2.25トン(又は2300キログラム)をこえる重さの救命艇の操作のためには、重力型のもの
(f)ダビット、つり索、滑車その他のすべての装置は、船舶のいずれの側への15度の横傾斜及び10度の縦傾斜の場合にも、救命艇を進水要員を配置して振り出し、人員及び艤装品を満載して安全におろすことができる強さのものでなければならない。
(g)15度の横傾斜に対して救命艇の進水を容易にするため、スケートその他の適当な装置を備えなければならない。
(h)救命艇を船側に引き寄せ、かつ、人員が安全に乗艇することができるようにこれを保持するための装置を備えなければならない。
(i)救命艇及びこの章の第35規則(b)(ii)の規定により要求される非常端艇は、ワイヤ・ロープのつり索及び承認された型式のウインチによつて取り扱わなければならず、これらのウインチは、非常端艇の場合には、これらの端艇を迅速に揚収することができなければならない。例外的に、主管庁は、マニラ・ロープのつり索又は他の承認された材料のつり索で十分であると認める場合には、ウインチのある又はウインチのない(ただし、非常端艇は、これらの端艇を迅速に揚収しうるウインチにより取り扱うことを要求される。)マニラ・ロープのつり索又は他の承認された材料のつり索を許容することができる。
(j)ダビット・スパンには、少なくとも二筋の救命索を取り付けなければならず、つり索及び救命索は、船舶が最小航海喫水においていずれの側に15度横傾斜した場合にも水面に達するため十分な長さのものでなければならない。つり索の下部滑車には、承認された型式の離脱装置を備えない限り、つりかぎに取り付けるための適当な環又は長環を取り付けなければならない。
(k)救命艇の揚収のため動力機械装置を取り付ける場合には、効果的な手動装置をも備えなければならない。ダビットが動力によるつり索の作用により揚収される場合には、ワイヤ・ロープのつり索又はダビットの過応力を避けるため、ダビットが停止位置に達する前に自動的に動力をとめる安全装置を取り付けなければならない。
(l)救命艇には、使用することができるようにしたつり索を備えなければならず、また、つり索から救命艇を、同時にである必要はないがすみやかに、取りはずすための措置を執らなければならない。救命艇をつり索に取り付ける位置は、救命艇をおろしている時に安定性を確保するような舷端より上の高さになければならない。
(m)鯨工船として使用される船舶、魚類加工船又はかん詰工船として使用される船舶及び捕鯨、魚類加工又はかん詰加工に従事する人員を輸送する船舶で救命艇及びこの章の第35規則(b)(i)(2)の規定に従つて救命いかだを積載するものにあつては、これらの救命いかだのためには承認された進水装置を備えることを要しないが、この章の第35規則(b)(i)(1)の規定に従つて積載する救命いかだのためには承認された進水装置を備えなければならず、その進水装置の数は、これらの救命いかだに認められた数の人員を積載したまま、これらを、静穏な状態において30分以内に、水上におろすため十分であると主管庁が認めるものでなければならない。この承認された進水装置は、実行可能な限り船舶の各舷に同数配置しなければならない。承認された進水装置を備えることを要求される船舶に積載する各救命いかだは、その装置で進水させることができる型式のものでなければならない。
第37規則 備えるべき救命浮環の数
 この章の第21規則の要件を満たす型式の救命浮環を少なくとも八個備えなければならない。
第38規則 非常照明
 この章の第19規則(a)(ii)、(b)(ii)及び(b)(iii)の規定により要求される照明装置は、第2章第26規則により要求される非常電源により少なくとも3時間給電されることができなければならない。総トン数1600トン以上の貨物船においては、主管庁は、通路、階段及び出口の照明が、すべての乗船者が救命艇及び救命いかだの進水場所及び積付場所に近づくことを妨げないものであることを確保しなければならない。

第4章 無線電信及び無線電話

A部 適用及び定義

第1規則 適用
(a)この章の規定は、別段の明文の規定がない限り、この規則が適用されるすべての船舶に適用する。
(b)この章の規定は、船舶が北アメリカの大湖並びにそれらに接続し及び附属する水域(カナダのケベック州モントリオールのセント・ランバート・ロックの下流側出口を東端とする。)を航行する間は、それらの船舶が他の水域においてはこの規則の適用を受けるものであつても、これに適用しない。(注)
(注) このような船舶は、安全の目的のための電波に関する特別要件に従う。この要件は、「電波による大湖における安全の増進」という名称の1952年のアメリカ・カナダ協定に含まれている。
(c)この章の規定は、遭難した船舶又は救命用の端艇及びいかだが、注意を喚起し、位置を知らせ、及び救助を得るために利用することのできるいかなる手段を使用することをも妨げるものではない。
第2規則 用語及び定義
 この章の規定の適用上、次の用語は、以下に定義する意味を有するものとする。この章において使用され、かつ、無線通信規則において定義されている他のすべての用語は、無線通信規則で定義された意味と同一の意味を有するものとする。
(a)「無線通信規則」とは、その時に有効である最近の国際電気通信条約に附属し、又は附属するとみなされる無線通信規則をいう。
(b)「無線電信自動警急機」とは、無線電信警急信号に応ずる承認された自動警急受信装置をいう。
(c)「無線通信士」とは、無線通信規則の規定に適合する少なくとも第一級又は第二級の無線電信通信士証明書を有し、かつ、この章の第3規則又は第4規則の規定に従つて無線電信局を備える船舶の無線電信局に勤務する者をいう。
(d)「無線電話通信士」とは、無線通信規則の規定に適合する適正な証明書を有する者をいう。
(e)「現存設備」とは、次のものをいう。
(i)各主管庁によるこの条約の受諾が有効となる日のいかんを問わず、この条約が効力を生ずる日前に全部が船内に取り付けられた設備
(ii)一部分は、この条約の効力発生の日前に取り付けられ、残りの部分は同一の部品に替えて取り付けられた部品又はこの章の要件に適合する部品で構成されている設備
(f)「新設備」とは、現存設備でない設備をいう。
第3規則 無線電信局
 すべての大きさの旅客船及び総トン数1600トン以上の貨物船は、この章の第5規則の規定に基づいて免除されない限り、この章の第8規則及び第9規則の規定に適合する無線電信局を備えなければならない。
第4規則 無線電話局
 総トン数300トン以上1600トン未満の貨物船は、この章の第8規則及び第9規則の規定に適合する無線電信局を備えないときは、この章の第5規則の規定に基づいて免除されない限り、この章の第14規則及び第15規則の規定に適合する無線電話局を備えなければならない。
第5規則 第3規則及び第4規則の免除
(a)締約政府は、この章の第3規則及び第4規則の規定の適用から逸脱しないことを非常に望ましいことと認めるが、主管庁は、個個の旅客船又は貨物船に対して、この章の第3規則又は第4規則の要件の部分的の若しくは条件付きの免除又は完全な免除を与えることができる。
(b)(a)の規定に基づいて認められる免除は、海岸から船舶までの最大距離、航海の長さ、一般的な航行上の危険の欠如及び安全に影響するその他の条件により、この章の第3規則又は第4規則の完全な適用が不合理又は不必要であるような航海に従事する船舶にのみ、与えるものとする。個個の船舶に免除を与えるかどうかを決定するに当たつては、主管庁は、その免除がすべての船舶の安全のための遭難救助業務の一般的効果に与える結果について考慮しなければならない。主管庁は、この章の第3規則の要件を免除された船舶に対し、免除の条件として、この章の第14規則及び第15規則の規定に適合する無線電話局の備付けを要求することが望ましいことに留意しなければならない。
(c)各主管庁は、(a)及び(b)の規定に基づいて前暦年中に与えたすべての免除及びその免除を与えた理由を示す報告書を、毎年1月1日の後できる限りすみやかに機関に、提出しなければならない。

B部 聴守

第6規則 聴守-無線電信
(a)この章の第3規則又は第4規則の規定に従つて無線電信局を備える各船舶は、海上にある間、少なくとも一人の無線通信士を乗り組ませなければならず、かつ、無線電信自動警急機を備えないときは、(d)の規定に従うことを条件として、頭掛受話器又は拡声器を使用する無線通信士を用いて、無線電信遭難周波数で無休聴守をしなければならない。
(b)この章の第3規則の規定に従つて無線電信局を備える各旅客船は、無線電信自動警急機を備えるときは、(d)の規定に従うことを条件として、海上にある間、頭掛受話器又は拡声器を使用する無線通信士を用いて、無線電信遭難周波数で次の聴守をしなければならない。
(i)二百五十人以下の旅客を輸送し、又は輸送することを認められる場合には、一日に少なくとも合計8時間の聴守
(ii)250人をこえる旅客を輸送し、又は輸送することを認められ、かつ、相次ぐ二港間における16時間をこえる航海に従事する場合には、一日に少なくとも合計16時間の聴守。この場合には、船舶は、少なくとも二人の無線通信士を乗り組ませなければならない。
(iii)二百五十人をこえる旅客を輸送し、又は輸送することを認められ、かつ、相次ぐ二港間における16時間未満の航海に従事する場合には、一日に少なくとも合計8時間の聴守
(c)(i)この章の第三規則の規定に従つて無線電信局を備える各貨物船は、無線電信自動警急機を備えるときは、(d)の規定に従うことを条件として、海上にある間、頭掛受話器又は拡声器を使用する無線通信士を用いて、無線電信遭難周波数で一日に少なくとも合計8時間の聴守をしなければならない。もつとも、主管庁は、総トン数1600トン以上3500トン未満の貨物船については、この条約の効力発生の日から三年間、一日に合計2時間以上に限定された聴守時間を認めることができる。
(ii)この章の第4規則の規定に基づいて無線電信局を備える総トン数300トン以上1600トン未満の各貨物船は、無線電信自動警急機を備えるときは、(d)の規定に従うことを条件として、海上にある間、頭掛受話器又は拡声器を使用する無線通信士を用いて、無線電信遭難周波数で主管庁が定める時間の聴守をしなければならない。もつとも、主管庁は、一日に少なくとも合計8時間の聴守を実行可能なときはいつでも要求することが望ましいことを考慮しなければならない。
(d)無線通信士は、この第6規則の規定によつて無線電信遭難周波数で聴守することを要求される時間中においては、スプリット頭掛受話器又は拡声器により聴守することが実行不可能である場合にのみ、他の周波数で通信を行なつている間又は他の重要な無線通信業務を行なつている間、聴守を中断することができる。聴守は、無線通信規則で定める沈黙時間中常に、頭掛受話器又は拡声器を使用する無線通信によつて、維持されなければならない。
(e)無線電信自動警急機を備えるすべての船舶においては、この無線電信自動警急機は、船舶が海上にある間、(b)、(c)又は(d)の規定に基づく聴守をしていないときはいつでも、及び方向探知業務を行なつている間実行可能なときはいつでも、作動させておかなければならない。
(f)この第6規則の規定により聴守時間(主管庁が決定するものを含む。)は、なるべく、無線通信規則で定める無線電信業務のための時間中に維持されなければならない。
第7規則 聴守-無線電話
(a)この章の第4規則の規定に従つて無線電話局を備える各船舶は、安全の目的のために少なくとも一人の無線電話通信士(無線電話に関する証明書のみを有する船長、士官又は船員でもよい。)を乗り組ませなければならず、かつ、海上にある間、(b)の規定に従うことを条件として、通常操船する場所で、拡声器その他の適当な方法を用いて、無線電話遭難周波数で無休聴守をしなければならない。
(b)聴守は、次のいずれかの場合には、中断することができる。
(i)受信装置が他の周波数の通信に使用されており、かつ、別の受信機を利用することができない場合
(ii)聴守を維持することによつて船舶の安全な航行が妨害されるような状態にあると船長が認める場合
 もつとも、聴守は、無線通信規則で定める沈黙時間中は、できる限り維持されなければならない。

C部 技術的要件

第8規則 無線電信局
(a)無線電信局は、無線信号の適正な受信に対して外部の機械的雑音その他の雑音による有害な妨害が生じないような位置になければならない。局は、可能な最高度の安全を確保することがきるように、船舶における実行可能な限り高い位置になければならない。
(b)無線電信室は、主無線電信設備及び補助無線電信設備を有効に操作するため十分な大きさのもので、かつ、適当に通風されるものでなければならず、無線電信局の運用を妨害するようないかなる目的にも使用してはならない。
(c)少なくとも一人の無線通信士の睡眠場所は、実行可能な限り無線電信室に近接して置かなければならない。新船においては、この睡眠場所は、無線電信室内にあつてはならない。
(d)無線電信室と船橋及び、もしあれば、操船する他の一の場所との間には、効果的な相互式の呼出し及び通話の装置で、船内の主通信系統から独立したものを備えなければならない。
(e)無線電信設備は、水又は極端な温度の有害な影響から保護されるような位置に設けなければならない。無線電信設備は、遭難の際の即時使用のため又は修理のため容易に近づくことができなければならない。
(f)径5インチ(又は12.5センチメートル)以上の文字板及び同心の秒針を有し、かつ、無線電信業務について無線通信規則で定める沈黙時間を示す確実な時計を備えなければならない。この時計は、無線通信士が無線電信の操作位置及び無線電信自動警急機の試験位置から容易にかつ正確に文字板全体を見ることができるような無線電信室内の位置に、確実に取り付けなければならない。
(g)無線電信室内には、主無線電信設備及び補助無線電信設備の操作装置並びに(f)の規定により要求される時計を十分に照明するように、恒久的に取り付けた電燈からなる確実な非常燈を備えなければならない。新設備においては、この燈は、この章の第9規則(a)(iii)の規定により要求される補助電源から給電されるときは、無線電信室の配置上不当でない限り、無線電信室の主入口の近くに、及び無線電信操作位置に置いた双方で操作しうるスイッチにより操作しなければならない。これらのスイッチは、その目的を示すため明白に標示しなければならない。
(h)この章の第9規則(a)(iii)の規定により要求される補助電源から給電され、かつ、適当な長さの柔軟な導線を取り付けた電気検査燈又は懐中電燈のいずれかを無線電信室内に備え付けなければならない。
(i)無線電信局は、海上にある間無線電信設備を効果的な使用状態に維持するための予備品、工具及び試験器具を備えなければならない。この試験器具は、交流電圧、直流電圧及び抵抗を測定するための器具を含むものとする。
(j)別個の非常用の無線電信室があるときは、(d)、(e)、(f)、(g)及び(h)の要件は、これに適用する。
第9規則 無線電信設備
(a)この第9規則に別段の明文の規定がある場合を除くほか、
(i)無線電信局は、電気的に分離しかつ相互に電気的に独立した主設備及び補助設備を含まなければならない。
(ii)主設備は、主送信機、主受信機及び主電源を含まなければならない。
(iii)補助設備は、補助送信機、補助受信機及び補助電源を含まなければならない。
(iv)主空中線及び補助空中線を備え、かつ、取り付けなければならない。ただし、主管庁は、補助空中線の備付けが実行不可能又は不合理であると認めるときは、船舶に対してこの補助空中線の備付けの省略を認めることができるが、この場合には、直ちに取り替えることができるように完全に組み立てた適当な予備の空中線を備えなければならない。さらに、すべての場合に、適当な空中線を張ることができるように、十分な空中線の線条及び絶縁物を備えなければならない。
 主空中線は、振動するおそれのある支持物の間に張られるときは、破断しないように適当に保護しなければならない。
(b)貨物船の設備(1952年11月19日以後に取り付けられた総トン数1600トン以上の貨物船の設備を除く。)においては、主送信機が補助送信機に関するすべての要件に適合するときは、補助送信機は、義務的でない。
(c)(i)主送信機及び補助送信機は、主空中線及び備えているときは補助空中線とすみやかに接続することができ、かつ、これと同調することができなければならない。
(ii)主受信機及び補助受信機は、使用を要求されるいずれの空中線ともすみやかに接続することができなければならない。
(d)補助設備のすべての部分は、可能な最高度の安全を確保しうるように、船舶における実行可能な限り高い位置になければならない。
(e)主送信機及び補助送信機は、無線電信遭難周波数のために無線通信規則で割り当てられた発射の種別を使用してその周波数で送信することができなければならない。さらに、主送信機は、無線通信規則に従つて405Kc/Sと535Kc/Sとの間の周波数帯において安全通報の送信のために使用しうる少なくとも二の周波数で送信することができ、かつ、このように使用しうる発射の種別を使用することができなければならない。補助送信機は、無線通信規則で定義され、かつ、使用を制限された船舶非常送信機で構成することができる。
(f)主送信機及び補助送信機は、無線通信規則で変調発射を定めているときは、70パーセント以上の変調の深さを有し、かつ、毎秒450サイクルと毎秒1350サイクルとの間の変調周波数を有しなければならない。
(g)主送信機及び補助送信機は、主空中線と接続したとき、次に定める最小の通常通達距離を有しなければならない。すなわち、昼間に通常の状態及び通常の事情の下で、指定された通達距離にわたつて、船舶から船舶に明白に認識しうる信号を送信することができなければならない。(注)(明白に認識しうる信号は、受信機における電界強度の実効値が少なくとも毎メートル50マイクロボルトであるとき、通常は受信することができるものである。)
 海里で示す最小の通常通達距離
主送信機補助送信機
すべての旅客船及び総トン数1600トン以上の貨物船150100
総トン数1600トン未満の貨物船10075
(注) 電界強度を直接に測定しないときは、次の資料は、通常通達距離を近似的に決定する手引として用いることができる。
海里で示す通常通達距離メートル-アンペア(注一)全空中線電力(ワット)(注二)
200128200
175102125
1507671
1255841
1004525
753414
(注一) この数値は、最高満載喫水線からのメートルで示す空中線の最大高さとアンペアで示す空中線電流(実効値)との積を表わす。
表の第二欄の数値は、次の比の平均値に対応する。
有効空中線高さ=0.47
最大空中線高さ
 この比は、空中線の局部的状態とともに変化し、おおよそ0.3と0.7との間で変化する。
(注二) 表の第三欄の数値は、次の比の平均値に対応する。
輻射空中線電力=0.08
全空中線電力
 この比は、有効空中線高さ及び空中線抵抗に従つてかなり変化する。
(h)(i)主受信機及び補助受信機は、無線電信遭難周波数及びこの周波数のために無線通信規則で割り当てられた発射の種別に対して受信をすることができなければならない。
(ii)さらに、主受信機は、報時信号、気象通報及び主管庁が航行の安全に関して必要と認めるその他の通信の送信に使用する周波数及び発射の種別に対して受信をすることができなければならない。
(iii)この条約の効力発生の日から五年をこえない期間は、無線電信自動警急機は、この目的のために接続した頭掛受話器又は拡声器に有効に信号を起こすことができるときは、補助受信機として使用することができる。無線電信自動警急機は、そのように使用するときは、補助電源に接続しなければならない。
(i)主受信機は、受信機入力が50マイクロボルト程度に低いときに頭掛受話器に信号を起こし又は拡声器によつて信号を起こすため十分な感度を有しなければならない。補助受信機は、無線電信自動警急機がこの目的に使用される場合を除くほか、受信機入力が100マイクロボルト程度に低いときに前記の信号を起こすため十分な感度を有しなければならない。
(j)船舶が海上にある間は、(g)の規定により要求される通常通達距離に対して主設備を操作するため、及び無線電話局の一部を形成する電池に充電するため十分の電力が常に供給されていなければならない。主設備に対する供給電圧は、新船の場合には、定格電圧の正負10パーセントの範囲内に維持しなければならない。現存船の場合には、供給電圧は、できる限り定格電圧に近く、かつ、実行可能なときは正負10パーセントの範囲内に維持しなければならない。
(k)補助設備は、船舶の推進動力及び船舶の電気系統から独立した電源を備えなければならない。主管庁は、補助電源を備える要件の適用をこの条約の効力発生の日の前に除外された総トン数500トン以上1600トン未満の貨物船の現存設備については、この条約の効力発生の日から三年をこえない期間、補助電源に関する要件の適用を延期することができる。
(l)補助電源は、なるべく船舶の電気系統から充電することができる蓄電池で構成しなければならず、また、すべての状況においてすみやかに給電を開始することができ、かつ、補助送信機及び補助受信機を通常の使用状態において連続して少なくとも6時間操作することができるほか、(m)及び(n)に掲げるいずれの追加の負荷に対しても給電することができなければならない。
(注) 補助電源が供給する電気的負荷を決定するため、次の式を手引として推奨する。
キーダウン(マーク)の送信機電流消費量の(1/2)+キーアップ(スペース)の送信機電流消費量の(1/2)+補助電源に接続する受信機及び追加回路の電流消費量
(m)補助電源は、補助設備及び電動であるときは(r)に定める警急自動電鍵装置に給電するため使用するものとする。補助電源は、また、次のものに給電するために使用することができる。
(i)無線電信自動警急機
(ii)この章の第8規則(g)に規定する非常燈
(iii)方向探知機
(iv)送信から受信に及びその反対に切り替えるための無線通信規則で定めるすべての装置
(n)の規定を留保して、補助電源は、この(m)に定める目的以外の目的に使用してはならない。
(n)(m)の規定にかかわらず、主管庁は、貨物船においては、端艇甲板上の非常照明のような全く船舶の上部に限られている少数の低電力の非常回路に補助電源を使用することを、必要なときは容易に接続を断つことができること及び電源が追加の負荷に対して給電するため十分な容量を有することを条件として、認めることができる。
(o)補助電源及びその配電盤は、船舶における実行可能な限り高い位置になければならず、かつ、無線通信士が容易に近づくことができなければならない。配電盤は、できる限り無線室内に置かなければならない。無線室内にないときは、配電盤は、照明されることができるものでなければならない。
(p)船舶が海上にある間、蓄電池は、主設備の一部であると補助設備の一部であるとを問わず、毎日通常の完全充電の状態にしなければならない。
(q)船内の電気機器その他の機器からの無線妨害の原因をできる限り除去し、及びこれらの無線妨害を抑制するためのすべての措置を執らなければならない。必要なときは、放送受信機に接続する空中線が無線電信設備の効果的かつ正確な作動に妨害とならないことを確保するため措置を執らなければならない。新船の設計においては、この要件について特別の注意を払わなければならない。
(r)無線電信警急信号を手送する装置のほかに、無線電信警急信号を送信するために主設備及び補助設備を電鍵操作することができる警急自動無線電信電鍵装置を備えなければならない。この装置は、送信機を直ちに手動で操作することができるように、いつでも電鍵操作を停止させることができなければならない。この電鍵装置は、電動であるときは、補助電源により操作することができなければならない。
(s)海上において、補助送信機は、通信に使用しないときは、適当な擬似空中線を使用して毎日試験し、また、補助空中線を備えているときはこれを使用して各航海中に少なくとも一回試験しなければならない。補助電源も、また、毎日試験しなければならない。
(t)無線電信設備の一部を構成するすべての装置は、確実なものでなければならず、かつ、維持のため容易に近づきうるように造らなければならない。
(u)この章の第4規則の規定にかかわらず、主管庁は、総トン数1600トン未満の貨物船の場合には、この章の第8規則及び第9規則のすべての要件の適用を緩和することができる。ただし、いかなる場合にも、無線電信局の標準は、これに無線電話局についてこの章の第14規則及び第15規則に定める標準を用いうる限り、これと同等の標準より低いものであつてはならない。特に、総トン数300トン以上500トン未満の貨物船の場合には、主管庁は、次のものを要求することを要しない。
(i)補助受信機
(ii)現存設備における補助電源
(iii)振動による破断を防ぐための主空中線の保護
(iv)主通信系統から独立して無線電信局と船橋との間にある通信装置
(v)75海里をこえる送信機の通達距離
第10規則 無線電信自動警急機
(a)この条約の効力発生の日の後に備えるいかなる無線電信自動警急機も、次の最小要件に適合しなければならない。
(i)いかなる種類の妨害もない場合には、無線通信規則に従つて操作する海岸局送信機、船舶非常送信機又は救命用の端艇及びいかだの送信機により無線電信遭難周波数で送信されるいかなる無線電信警急信号によつても、手動調整によらず作動することができなければならない。ただし、受信機入力における信号の強さが100マイクロボルトをこえ1ボルト未満であることを条件とする。
(ii)いかなる種類の妨害もない場合には、線の長さが3.5秒以上できる限り、6秒近くまで変化し、かつ、間隔の長さが1.5秒と、10ミリ秒以下の、実行可能な最低値との間にある場合における三個又は四個の連続する線で作動することができなければならない。
(iii)空電により又は無線電信警急信号以外の信号により作動してはならない。ただし、これらの受信される信号が事実上(ii)に示す許容限界内にある信号でないことを条件とする。
(iv)無線電信自動警急機の選択度は、無線電信遭難周波数の各側で4kc/S以上8kc/S未満にわたる周波数帯において実質的に一様な感度を有し、かつ、この周波数外において、最良の技術的手段に従つてできる限りすみやかに減少する感度を有しなければならない。
(v)実行可能なときは、無線電信自動警急機は、空電又は妨害信号がある場合に、無線電信警急信号を容易に識別しうる状態に合理的な短時間内に近づくように、自動的にそれ自体を調整しなければならない。
(vi)無線電信自動警急機は、無線電信警急信号で作動するとき、又は装置の故障のときは、無線電信室、無線通信士の睡眠場所及び船橋において、連続可聴警報を発しなければならない。実行可能なときは、警報は、全警急受信系統のいずれの部分の故障の場合にも発しなければならない。警報を停止するためのスイッチは、一個に限るものとし、これを無線電信室内に置かなければならない。
(vii)無線電信自動警急機を定期的に試験するために、無線電信遭難周波数にあらかじめ同調させた発振器及び(i)に示す最小の強さの無線電信警急信号を発生させる電鍵装置を備えなければならない。また、無線電信自動警急機で受信した信号を聞く目的で頭掛受話器を取り付けるため、装置を設けなければならない。
(viii)無線電信自動警急機は、海上において船内で経験する悪条件に等しい振動、湿気及び温度変化に耐え、かつ、そのような条件において連続して作動することができなければならない。
(b)主管庁は、新型式の無線電信自動警急機を承認する前に、実際上の運用状態に等しい運用状態の下で行なわれる実地試験により、その装置が(a)の規定に適合することを確かめなければならない。
(c)無線電信自動警急機を備える船舶においては、無線通信士は、海上にある間、少なくとも24時間に一回その機能を試験しなければならない。無線電信自動警急機が可動状態にないときは、無線通信士は、その事実を船長又は船橋の当直士官に報告しなければならない。
(d)無線通信士は、無線電信自動警急機がその通常の空中線と接続した状態で正しく機能を果たすかどうかを、信号の聴守及びこの信号と主設備により無線電信遭難周波数で受信した類似の信号との比較により、定期的に点検しなければならない。
(e)無線電信自動警急機は、実行可能な限り、空中線に接続したときに方向探知機の精度に影響を与えてはならない
(f)(a)の要件に適合しない無線電信自動警急機は、この条約の効力発生の日から四年以内に、この要件に適合する無線電信自動警急機と取り替えなければならない。
第11規則 方向探知機
(a)第5章第12規則の規定により要求される方向探知機は、効果的でなければならず、また、最小限の受信機雑音で信号を受信することができ、かつ、真方位及び方向を決定しうるような方位を測定することができなければならない。
(b)方向探知機は、無線通信規則で割り当てられた遭難及び方向探知のための無線電信周波数並びに海上ラジオ・ビーコン用の無線電信周波数で信号を受信することができなければならない。
(c)妨害がない場合には、方向探知機は、毎メートル50マイクロボルト程度の低い電界強度の信号で正確な方位を測定するため十分な感度を有しなければならない。
(d)方向探知機は、実行可能な限り、方位の効果的な決定に対して機械的雑音その他の雑音により生ずる妨害をできる限り少なくするような位置に置かなければならない。
(e)方向探知空中線系は、実行可能な限り、他の空中線、デリック、鋼索その他の大きな金属体がきわめて近接していることにより、方位の効果的な決定に対して生ずる妨害をできる限り少なくするように、設けなければならない。
(f)方向探知機と船橋との間には、効果的な相互式の呼出し及び通話の装置を備えなければならない。
(g)すべての方向探知機は、最初に設置される時に、主管庁が十分と認めるように較正しなければならない。方向探知機の精度に感知しうる程度に影響する空中線又は甲板上の構造物の位置の変化があつたときはいつでも、較正は、方位の照合又は追加の較正により確かめられなければならない。較正の詳細は、一年ごとに又はなるべくそれに近い間隔で点検しなければならない。較正及びその精度について行なう点検は、記録しておかなければならない。
第12規則 発動機付救命艇に取り付ける無線電信設備
(a)第3章第14規則の規定により要求される無線電信設備は、送信機、受信機及び電源を含まなければならない。この無線電信設備は、非常の際に未熟練者でも使用することができるように設計しなければならない。
(b)送信機は、無線電信遭難周波数のために無線通信規則で割り当てられた発射の種別を使用してその周波数で送信することができなければならない。送信機は、また、4000kc/Sと27,500kc/Sとの間の周波数帯において救命用の端艇及びいかだによる使用のために無線通信規則で割り当てられた周波数で送信することができ、かつ、このように割り当てられた発射の種別を使用することができなければならない。
(c)送信機は、無線通信規則で変調発射を定めているときは、70パーセント以上の変調の深さを有し、かつ、毎秒450サイクルと毎秒1350サイクルとの間の変調周波数を有しなければならない。
(d)送信機は、手送用電鍵のほかに、無線電信警急信号及び無線電信遭難信号の送信のための自動電鍵装置を備えなければならない。
(e)送信機は、無線電信遭難周波数において、固定した空中線を使用して25海里の最小の通常通達距離(この章の第9規則(g)に明記するもの)を有しなければならない。(注)
(注) 電界強度を測定しないときは、喫水線上の空中線の高さと空中線電流(実効値)との積が10メートル--アンペアである場合にこの通達距離が得られるとみなすことができる。
(f)受信機は、無線電信遭難周波数及びこの周波数のために無線通信規則で割り当てられた発射の種別に対して受信をすることができなければならない。
(g)電源は、通常の使用状態において連続して4時間送信機に給電するため十分な容量の蓄電池で、構成しなければならない。電池が充電を必要とする型式のものであるときは、船舶の電源から充電するための装置を設けなければならない。さらに、救命艇の進水後に電池に充電するための装置を設けなければならない。
(h)第3章第14規則の規定により要求される無線電信設備及び探照燈の電力を同一の電池から供給するときは、その電池は、探照燈の追加の負荷に対して給電するため十分な容量を有しなければならない。
(i)固定型空中線を、実行可能な最も高い位置にこれを支持するための装置とともに、備えなければならない。さらに、実行可能なときは、たこ又は気球で支持する空中線を備えなければならない。
(j)海上において、無線通信士は、適当な擬似空中線を使用して、一週間ごとに送信機を試験しなければならず、かつ、電池が充電を必要とする型式のものであるときは、これを完全充電にしなければならない。
第13規則 救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置
(a)第3章第13規則の規定により要求される装置は、送信機、受信機、空中線及び電源を含まなければならない。この装置は、非常の際に未熟練者でも使用することができるように設計しなければならない。
(b)装置は、容易に持ち運ぶことができ、水密であり、海水に浮くことができ、かつ、損傷を与えないで海上に投下することができるものでなければならない。新装置は、実行可能な限り軽量かつ小型のものでなければならず、また、なるべく、救命艇及び救命いかだの両方に使用することができなければならない。
(c)送信機は、無線電信遭難周波数のために無線通信規則で割り当てられた発射の種別を使用してその周波数で送信することができなければならず、また、4000kc/Sと27,500kc/Sとの間の周波数帯において救命用の端艇及びいかだのために無線通信規則で割り当てられた無線電信周波数で送信することができ、かつ、このように割り当てられた発射の種別を使用することができなければならない。もつとも、主管庁は、送信機が4000kc/Sと27,500kc/Sとの間の周波数帯において救命用の端艇及びいかだのために無線通信規則で割り当てられた無線電信周波数による送信に代わるものとして又はこれに加えて、無線電話遭難周波数で送信し、かつ、この周波数のために無線通信規則で割り当てられた発射の種別を使用しうるものであることを許すことができる。
(d)送信機は、無線通信規則で変調発射を定めているときは、70パーセント以上の変調の深さを有し、かつ、毎秒450サイクルと毎秒1350サイクルとの間の変調周波数を有しなければならない。
(e)送信機は、手送用電鍵のほかに、無線電信警急信号及び無線電信遭難信号の送信のための自動電鍵装置を備えなければならない。送信機が無線電話遭難周波数で送信することができるときは、送信機には、無線電話警急信号を送信するため、この章の第15規則(e)の要件に適合する自動装置を取り付けなければならない。
(f)受信機は、無線電信遭難周波数及びこの周波数のために無線通信規則で割り当てられた発射の種別に対して受信をすることができなければならない。送信機が無線電話遭難周波数で送信することができるときは、受信機は、また、この周波数及び無線通信規則でこの周波数のために割り当てられた発射の種別に対して受信をすることができなければならない。
(g)空中線は、自立する空中線又は救命艇のマストによつて実行可能な最も高い位置に支持しうる空中線でなければならない。さらに、実行可能なときは、たこ又は気球で支持する空中線を備えることが望ましい。
(h)送信機は、(a)の規定により要求される空中線に十分な無線周波数出力(注)を供給しなければならず、なるべく、手動発電機から給電されなければならない。電池から給電されるときは、電池は、耐久型のものでかつ十分な容量のものであることを確保するため主管庁が定める条件に適合しなければならない。
(注) 次の性能は、この第13規則の目的に適合するものとみなすことができる。
 最終段の陽極に少なくとも10ワットの入力又は15オームの有効な抵抗と100×10-12ファラッドの容量とを直列にした擬似空中線において500kc/Sで少なくとも2.0ワット(A二発射)の無線周波数出力。変調の深さは、少なくとも70パーセントでなければならない。
(i)海上において、無線通信士又は無線電話通信士は、適当な擬似空中線を使用して一週間ごとに送信機を試験しなければならず、かつ、電池が充電を必要とする型式のものであるときは、これを完全充電にしなければならない。
(j)この第13規則の規定の適用上、「新装置」とは、この条約の効力発生の日の後に船舶に備える装置をいう。
第14規則 無線電話局
(a)無線電話局は船舶の上部になければならず、かつ、通報及び信号の正確な受信を妨げるおそれがある雑音からできる限り保護されている位置になければならない。
(b)無線電話局と船橋との間には、効果的な通信装置がなければならない。
(c)確実な時計を、無線電話の操作位置から容易に文字板全体を見ることができるような位置に、確実に取り付けなければならない。
(d)無線電話設備の通常の照明に給電する系統から独立した確実な非常燈を備え、無線電話設備の操作装置、(c)の規定により要求される時計及び(f)の規定により要求される指示表を十分に照明するように、これを恒久的に配置しなければならない。
(e)電源が電池で構成されるときは、無線電話局は、充電状態を計測する装置を備えなければならない。
(f)無線電話遭難手続を明確にまとめた指示表を、無線電話操作位置から完全に見ることができるように掲げなければならない。
第15規則 無線電話設備
(a)無線電話設備は、送信機、受信機及び電源を含まなければならない。
(b)送信機は、無線電話遭難周波数及び1605kc/Sと2850kc/Sとの間の周波数帯における他の少なくとも一の周波数で、これらの周波数のために無線通信規則で割り当てられた発射の種別を使用して、送信することができなければならない。送信機は、通常の操作において、尖頭の強さで少なくとも70パーセントの変調の深さを有しなければならない。
(c)(i)総トン数500トン以上1600トン未満の貨物船の場合には、送信機は、150海里の最小の通常通達距離を有しなければならない。すなわち、昼間に通常の状態及び通常の事情の下で、この通達距離にわたつて、船舶から船舶に明白に認識しうる信号を送信することができなければならない。(注)(明白に認識しうる信号は、変調しない搬送波により受信機において生ずる電界強度の実効値が少なくとも毎メートル25マイクロボルトであるとき、通常は受信することができるものである。
(注) 電界強度を測定しないときは、空中線能率27パーセントで空中線電力15ワット(変調しない搬送波)である場合にこの通達距離が得られるとみなすことができる。
(ii)総トン数300トン以上500トン未満の貨物船の場合には、送信機は、現存設備については、少なくとも75海里の最小の通常通達距離を有しなければならず、新設備については、少なくとも15ワット(変調しない搬送波)の空中線電力を発生しなければならない。
(d)送信機には、自動的な方法により無線電話警急信号を発生する装置を取り付けなければならない。この装置は、遭難通報を直ちに送信しうるように、いつでも操作を停止させることができなければならない。主管庁は、現存設備の場合には、この条約の効力発生の日から三年をこえない期間、この装置に関する要件の適用を延期することができる。
(e)(d)の規定により要求される装置は、次の要件に適合しなければならない。
(i)各信号音の周波数の許容差は、正負1.5パーセントとする。
(ii)各信号音の長さの許容差は、正負50ミリ秒とする。
(iii)連続する信号音の間隔は、50ミリ秒をこえてはならない。
(iv)強信号音の振幅と弱信号音の振幅との比は、1から1.2までの範囲内でなければならない。
(f)(a)の規定により要求される受信機は、無線電話遭難周波数及び1605Kc/Sと2850Kc/Sとの間の周波数帯における海上無線電話局が利用しうる他の少なくとも一の周波数であつて、これらの周波数のために無線通信規則で割り当てられた発射の種別を使用するものに対して受信をすることができなければならない。さらに、受信機は、気象通報及び主管庁が航行の安全に関して必要と認めるその他の通信の無線電話による送信に使用するその他の周波数であつて、無線通信規則で割り当てられた発射の種別を使用するものに対して受信をすることができなければならない。受信機は、受信機入力が50マイクロボルト程度に低いときに拡声器によつて信号を起こすため十分な感度を有しなければならない。
(g)無線電話遭難周波数で聴守を維持するために使用する受信機は、この周波数にあらかじめ同調させておかなければならず、又はその周波数への同調が迅速かつ正確に行なわれ、かつ、この周波数に同調させた場合に受信機の同調が容易に誤つてずれないようにしなければならない。主管庁は、現存設備については、この条約の効力発生の日から三年をこえない期間、この(g)の要件の適用を延期することができる。
(h)手動切替えを使用する場合に送信から受信に迅速に切り替えうるように、切替装置の操作部は、実行可能な限りマイクロホン又は送受話器に取り付けなければならない。
(i)船舶が海上にある間は、(c)の規定により要求される通常通達距離にわたつて設備を操作するため十分な主電源を常に利用することができなければならない。電池を備えるときは、電池は、送信機及び受信機を通常の使用状態において連続して少なくとも6時間操作するため十分な容量をすべての状況において有しなければならない。(注) 1952年11月19日以後に取り付けられた総トン数500トン以上1600トン未満の貨物船の設備においては、主電源が船舶の上部にない限り、補助電源を船舶の上部に備えなければならない。
(注) 6時間の保有容量を要求される電池により給電する電気的負荷を決定するため、次の式を参考として推奨する。
 言語送信に必要な電流消費量の(1)/(2)+受信機の電流消費量+遭難又は非常の際にその電池が給電することがあるすべての追加の負荷の電流消費量
(j)補助電源を備えているときは、次のものに給電するためにのみ使用することができる。
(i)無線電話設備
(ii)この章の第14規則(d)の規定により要求される非常燈
(iii)無線電話警急信号を発生するため(d)の規定により要求される装置
(k)補助電源を備えているときは、(j)の規定にかかわらず、主管庁は、もしあれば、方向探知機に、及び端艇甲板上の非常照明のような全く船舶の上部に限られている少数の低電力の非常回路に補助電源を使用することを、追加の負荷を容易に断ちうること及び電源が追加の負荷に対して給電するため十分な容量を有することを条件として、認めることができる。
(l)海上にある間、備えているいかなる電池も、(i)の要件に適合するように充電しておかなければならない。
(m)空中線を備え、かつ、取り付けなければならず、また、空中線が振動するおそれのある支持物の間に張られるときは、総トン数500トン以上1600トン未満の船舶の場合には、破断しないように保護しなければならない。さらに、直ちに取り替えることができるように完全に組み立てた予備の空中線を備えなければならず、これが実行可能でないときは、予備の空中線を張ることができるように、十分な空中線の線条及び絶縁物を備えなければならない。空中線を張るため必要な工具も、また、備えなければならない。

D部 無線日誌

第16規則 無線日誌
(a)この章の第3規則又は第4規則の規定に従つて無線電信局を備える船舶に対し無線通信規則が要求する無線日誌(無線業務日誌)は、航海中無線電信室に備えておかなければならない。各無線通信士は、氏名、自己が聴守を開始し及び終了した時刻並びに聴守中に生じた無線業務に関連する事件で、海上における人命の安全にとつて重要であると思われるものを日誌に記入しなければならない。さらに、次の事項も、日誌に記入しなければならない。
(i)無線通信規則により要求される記入事項
(ii)充電の記録を含む電池の維持の詳細(主管庁が定める形式で記入する。)
(iii)この章の第9規則(p)の要件が満たされたことに関する毎日の記録
(iv)この章の第9規則(s)の規定に基づいて行なわれた補助送信機及び補助電源の試験の詳細
(v)無線電信自動警急機を備える船舶においては、この章の第10規則(c)の規定に基づいて行なわれた試験の詳細
(vi)電池の維持の詳細(この章の第12規則(j)の規定により要求される充電が行なわれるときはその記録を含む。)及び発動機付救命艇に備える送信機に関して同規定により要求される試験の詳細
(vii)電池の維持の詳細(この章の第13規則(i)の規定により要求される充電が行なわれるときはその記録を含む。)並びに救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置に関して同規定により要求される試験の詳細
(b)この章の第4規則の規定に従つて無線電話局を備える船舶に対し無線通信規則が要求する無線日誌(無線業務日誌)は、聴守を維持する場所に備えておかなければならない。資格のある通信士及びこの章の第7規則の規定に従つて聴守を行なう船長、士官又は船員は、それぞれ、氏名及び聴守中に生じた無線業務に関連する事件で、海上における人命の安全にとつて重要であると思われるものの詳細を日誌に記入しなければならない。さらに、次の事項も日誌に記入しなければならない。
(i)無線通信規則により要求される詳細
(ii)船舶の出港時における聴守の開始時刻及び船舶の入港時における聴守の終了時刻
(iii)なんらかの理由により聴守を中断するときは、その時刻及び理由並びに聴守の再開時刻
(iv)電池を備えているときはその維持の詳細(この章の第15規則(i)の規定により要求される充電の記録を含む。)
(v)電池の維持の詳細(この章の第13規則(i)の規定により要求される充電が行なわれるときはその記録を含む。)並びに救命用の端艇及びいかだのための持運び式無線装置に関して同規定により要求される試験の詳細
(c)無線日誌は、検閲する権限を主管庁によつて与えられた職員が検閲することができるようにしておかなければならない。

第5章 航行の安全

第1規則 適用
 この章の規定は、別段の明文の規定がない限り、軍艦並びにもつぱら北アメリカの大湖並びにそれらに接続し及び附属する水域(カナダのケベック州モントリオールのセントランバート・ロックの下流側出口を東端とする。)を航行する船舶を除くほか、あらゆる航海に従事するすべての船舶に適用する。
第2規則 危険通報
(a)危険な氷、危険な遺棄物その他の航行に対する直接の危険若しくは熱帯性暴風雨に遭遇し、又は強風を伴つて上部構造物にはげしい着氷をもたらす氷結気温若しくは暴風雨警報を受けていないビューフォート風力階級十以上の風に遭遇した各船舶の船長は、利用することができるすべての手段により、附近にある船舶に対し、及び通信が可能である最初の海岸の地点にある権限のある当局に対し、情報を送らなければならない。情報を送る形式は、任意である。情報は、普通語(英語が望ましい。)又は国際通信書のいずれかにより送信することができる。情報は、附近にあるすべての船舶に放送し、かつ、適当な当局に転送することの要請とともに、通信が可能である最初の海岸の地点に向けて送らなければならない。
(b)各締約政府は、(a)に明記されたいずれかの危険に関する情報を受けた場合に直ちにこれを関係者に知らせ、かつ、他の関係政府に通報することを確保するため、必要なすべての措置を執るものとする。
(c)明記された危険に関する通報の送信は、関係船舶については無料とする。
(d)(a)の規定に基づいて発せられるすべての無線通報には第4章第2規則に定義する無線通信規則で定める手続により、安全信号を先行させなければならない。
第3規則 危険通報に必要な情報
 危険通報には、次の情報が要求される。
(a)氷、遺棄物その他の航行に対する直接の危険
(i)観測した氷、遺棄物又は危険の種類
(ii)最後に観測した時の氷、遺棄物又は危険の位置
(iii)危険を最後に観測した日時(グリニッジ平時)
(b)熱帯性暴風雨(西インド諸島におけるハリケーン、支那海におけるタイフーン、インド洋におけるサイクローン及び他の区域における類似の性質の暴風雨)
(i)熱帯性暴風雨に遭遇した旨の通報。この義務は、広く解釈するものとし、船長が附近に熱帯性暴風雨が発達しつつあり、又は存在すると信ずるための十分な理由があるときはいつでも、情報を送信しなければならない。
(ii)観測を行なつた日時(グリニッジ平時)及びその時の船舶の位置
(iii)次の情報を、実行可能な限り多く、通報に含めなければならない。
 なるべく更正された気圧(ミリバール、インチ又はミリメートルのいずれによつているか及び更正したかどうかを示すこと。)
気圧傾向(前3時間中の気圧の変化)
真風向
風力(ビューフォート風力階級)
海面の状態(なめらかであること、かなり波があること、高い波があること又は荒れていること。)
うねり(低いうねり、やや高いうねり又は高いうねり)及びその真方向。うねりの周期又は波長(短いこと、普通であること又は長いこと。)も有用である。
船舶の真針路及び速力
(c)その後の観測。船長が熱帯性暴風雨その他の危険な暴風雨を報告したときは、船舶が暴風雨の影響の下にある限り、実行可能なときは1時間ごとに、いかなる場合にも3時間をこえない間隔で、その後も観測を実施し、かつ、これを送信することは、義務的ではないが、望ましいものとする。
(d)暴風雨警報を受けていないビューフォート風力階級十以上の風
 これは、(b)に規定する熱帯性暴風雨以外の暴風雨を対象とする。このような暴風雨に遭遇したときは、通報には、海面及びうねりに関する詳細を除くほか、(b)に掲げる情報と類似の情報を含めなければならない。
(e)強風を伴つて上部構造物にはげしい着氷をもたらす氷結気温
(i)日時(グリニッジ平時)
(ii)気温
(iii)海水温度(実行可能なとき)
(iv)風力及び風向
 TTT 氷。大きい氷山を見た。4605N、4410W、5月15日0800GMT。
遺棄物
 TTT 遺棄物。ほとんど沈んだ遺棄物を見た。4006N、1243W、4月21日1630GMT。
航行に対する危険
 TTT 航行。某燈船は、正常の位置にない。1月3日1800GMT。
熱帯性暴風雨
 TTT 暴風雨。8月18日0030GMT。2204N、11354E、気圧計更正994ミリバール、傾向6ミリバール下降。北西の風、風力9、強いスコール。東の高いうねり。針路067、5ノット。
 TTT 暴風雨。ハリケーンの接近の兆候がある。9月14日1300GMT。2200N、7236W。気圧計更正29.64インチ、傾向0.015インチ下降。北東の風、風力8、ひんぱんな雨を伴うスコール。針路035、9ノット。
 TTT 暴風雨。強いサイクローンが発生した模様である。5月4日0200GMT。1620N、9203E。気圧計無更正753ミリメートル、傾向5ミリメートル下降。南微西の風、風力5。針路300、8ノット。
 TTT 暴風雨。南東にタイフーン。6月12日0300GMT。1812N、12605E。気圧計が急速に下降しつつある。北の風が強まりつつある。
 TTT 暴風雨。風力11、暴風雨警報通信を受けていない。5月4日0300GMT。4830N、30W。気圧計更正983ミリバール、傾向4ミリバール下降。南西の風、風力11、順転。針路260、6ノット。
氷結
 TTT はげしく着氷しつつある。3月2日1400GMT。69N、10W。気温18。海水温度29。北東の風、風力8。
第4規則 気象業務
(a)締約政府は、海上における船舶による気象資料の収集を奨励し、かつ、航行を援助するために最も適当な方法によつてこれらの資料の解析、通報及び交換を行なうことを約束する。主管庁は、高い精度の測器の使用を奨励し、かつ、要請があつたときに、これらの測器の検査が容易に行なわれるようにしなければならない。
(b)特に、締約政府は、実行可能な限り次の気象に関する措置を執るために協力することを約束する。
(i)強風、暴風雨及び熱帯性暴風雨について、無線通報の発信及び沿岸の各地点における適当な信号の表示により、船舶に警告すること。
(ii)航海に適当な天気告示(現在の天候、波及び氷の資料、予報並びに実行可能なときは簡単な天気図を海上において作成するため十分な附加的情報を含む。)を毎日無線通信によつて発表すること、及び適当な天気図模写送信を奨励すること。
(iii)海上における気象業務の効果的な実施のため必要な出版物を作成しかつ発行すること、及び、実行可能なときは、出港する船舶に対する情報として毎日の天気図を刊行しかつこれを利用に供するための措置を執ること。
(iv)特定の船舶に、気象業務に使用するために検定を受けた測器(たとえば、気圧計、自記気圧計、湿度計及び海水温度を測定する適当な装置)を備えさせ、及び地上シノプチック観測の主標準時に(状況が許すときはいつでも少なくとも日に四回)気象観測を行なわせる措置を執り、並びに、その他の船舶に対し、特に航海が希薄な区域にあるときは、簡略な形式で観測を行なうことを奨励し、また、これらの船舶に、各種の公の気象業務のために無線通信によつて観測の結果を通報させるとともに附近の船舶のためにその情報を繰り返えさせること。船舶に対し、熱帯性暴風雨又はそれと推測されるものの附近にあるときは、実行可能なときはいつでも一層ひんぱんに観測を行ない、かつ、その結果を通報すること(ただし、船舶士官の暴風雨中における航行上優先する職務に留意するものとする。)を奨励しなければならない。
(v)海岸無線局が気象通報について船舶からの受信及び船舶への送信を行なう措置を執ること。海岸と直接に通信することができない船舶に対しては、その気象通報を海洋気象観測船又は海岸と連絡があるその他の船舶を中継して送信することを奨励しなければならない。
(vi)すべての船長に対し、50ノット(ビューフォート風力階級十)以上の風に遭遇したときはいつでも、附近の船舶及び海岸局に通報するよう奨励すること。
(vii)すでに明記した国際的な気象業務について画一的な手続を採用し、かつ、実行可能な限り世界気象機関の技術規則及び同機関が行なう勧告に従うように努力すること。締約政府は、この条約の実施に際して生ずる気象上の問題を研究及び助言のために同機関に付託することができる。
(c)この第4規則に規定する情報は、無線通信規則で定める送信の形式で提供し、かつ、同規則で定める優先順位で送信しなければならず、また、気象情報、予報及び警報を「すべての局あて」に送信している間は、すべての船舶局は、無線通信規則の規定に従わなければならない。
(d)船舶のための予報、警報、実況報その他の気象報は、関係締約政府が行なつた相互間取極に従つて、各種の帯域及び区域を担当するため最も適した位置にある国家機関が発表し、かつ、通報しなければならない。
第5規則 氷の監視の業務
(a)締約政府は、北大西洋における氷の監視並びに氷の状態の調査及び観測の業務を継続することを約束する。ニューファウンドランドのグランド・バンクス附近の氷山区域の南東、南及び南西の境界は、この危険区域の範囲を通過船舶に通報し、氷の全般的状態を調査し、並びに監視船の作業区域内において援助を必要としている船舶及び船員に援助を与えるために、氷の季節の全期間中、監視されなければならない。その他の季節中は、氷の状態の調査及び観測は、必要に応じて維持するものとする。
(b)管理政府は、氷の監視の業務並びに氷の状態の調査及び観測に使用される船舶及び航空機に対して、それらの本来の目的を妨げず、又はこの業務の経費を増加しないことを条件として、他の任務を割り当てることができる。
第6規則 氷の監視並びに管理及び経費
(a)アメリカ合衆国政府は、氷の監視の業務の管理並びに氷の状態の調査及び観測(これらから得た情報の通報を含む。)を継続することに同意する。これらの業務に特別に利害関係を有する締約政府は、これらの業務の維持及び遂行の経費を分担することを約束する。各分担は、氷の監視機関が監視する氷山区域を通過する各分担政府の船舶の合計総トン数を基準とするものとする。特別に利害関係を有する各締約政府は、特に、これらの業務の維持及び遂行の経費として、氷の監視機関が監視する氷山区域を氷の季節中に通過するその締約政府の船舶の合計総トン数が氷の監視機関が監視する氷山区域を氷の季節中に通過するすべての分担政府の船舶の総合計総トン数中に占める比率により決定される額を、毎年、分担することを約束する。特別に利害関係を有する非締約政府は、同一の基準により、これらの業務の維持及び遂行の経費を分担することができる。管理政府は、毎年、各分担政府に対し、氷の監視の維持及び遂行の総経費並びに各分担政府の比例分担額の明細書を提供する。
(b)各分担政府は、その分担を変更し、又は中止する権利を有し、また、他の関係政府は、経費の分担を引き受けることができる。この権利を行使する分担政府は、その分担を変更し、又は中止する意思を通告した日の後の最初の9月1日まで、引き続きその時の分担を引き受ける義務を負う。この権利を行使するためには、その分担政府は、前記の9月1日より少なくとも六箇月前に、管理政府に対して通告をしなければならない。
(c)いずれかの時に、合衆国政府がこれらの業務を中止することを希望するとき、又はいずれかの分担政府が分担金に対する責任を免れ、若しくはその分担を変更することついて希望を表明するとき、若しくは他の締約政府が経費の分担を引き受けることを希望するときは、分担政府は、相互の利益に従つてこの問題を解決するものとする。
(d)分担政府は、合意によつて、この第6規則及びこの章の第5規則の規定につき、望ましいと思われる変更を随時加える権利を有する。
(e)この第6規則において、分担政府間の合意の後に措置を執ることができることが規定されている場合には、その措置を執るためにいずれかの締約政府が行なう提案は、管理政府に通報するものとし、管理政府は、他の分担政府に対し、この提案を受諾するかどうかを確かめるため照会しなければならず、その照会の結果は、他の分担政府及び提案を行なつた締約政府に送付しなければならない。特に、業務の経費の分担に関する措置は、三年をこえない間隔において、分担政府が検討しなければならない。管理政府は、このため必要な措置の進行の任にあたるものとする。
第7規則 氷の附近における速力
 各船舶の船長は、針路又はその附近に氷があるという報告を受けたときは、夜間においては、適度の速力で進行し、又は危険区域を十分に避けるように針路を変更しなければならない。
第8規則 北大西洋航路
(a)北大西洋を両方向に横断する認められた航路及び特に北大西洋の両岸の船舶が集中する区域における認められた航路に従うことの慣行は、船舶相互間の衝突及び氷山との衝突の防止に貢献しており、この慣行は、すべての関係船舶に対し推奨されなければならない。
(b)航路を選定すること及び航路に関する措置を執ること並びに船舶が集中する区域の範囲を画定することは、関係海運会社に任される。締約政府は、海運会社の要請があつたときは、航路に関して当該政府が有する情報を提供することによつて、その海運会社を援助する。
(c)締約政府は、海運会社に対して、その船舶を就航させようとする常用の航路及びその変更について公告する義務を課することを約束する。締約政府は、また、すべての大西洋横断旅客船の所有者が認められた航路に従うように指導し、及び、事情の許す限り、船舶が集中する区域においてすべての船舶がそのような航路を守ることを確保するためあらゆる努力を払う。締約政府は、また、ニューファウンドランドのグランド・バンクス附近を経て合衆国若しくはカナダの港に入り、又はこれらの港から出るすべての大西洋横断船舶の所有者が、実行可能な限り、漁業季節中に北緯43度以北のニューファウンドランド漁場を避け、かつ、氷の危険があると知られ、又は信じられている区域外を航行するように勧奨するものとする。
(d)氷の監視の業務を管理する政府は、常用の、認められた若しくは公告された航路によつていないと認められる旅客船、漁業季節中に前記の漁場を横断する船舶又は、合衆国若しくはカナダの港に入り、若しくはこれらの港から出るについて、氷の危険があると知られ、若しくは信じられている区域内を航行する船舶に関して、関係主管庁に報告することを要請される。
第9規則 遭難信号の濫用
 船舶又は航空機が遭難していることを示す目的以外の目的に国際遭難信号を使用すること及び国際遭難信号と混同されることがある信号を使用することは、すべての船舶又は航空機に対し、禁じられる。
第10規則 遭難通報-義務及び措置
(a)海上における船舶の船長は、船舶、航空機又はそれらの救命用の端艇及びいかだが遭難しているという信号をいずれの発信源から受けたときも、全速力で遭難者の救助におもむかなければならず、可能なときは、その旨を遭難者に通報するものとする。救助におもむくことが不可能であるとき、又は特殊の事情によりそれが不合理若しくは不必要であると認めるときは、船長は、遭難者の救助におもむかなかつた理由を航海日誌に記入しなければならない。
(b)遭難船舶の船長は、救助の要求に答えた船舶の船長と、できる限り、協議を行なつた後、それらの船舶のうち救助を与えるのに最も適当と認める一又は二以上の船舶を招集する権利を有し、招集された船舶の船長は、遭難者の救助のために全速力で航行を継続して招集に応ずる義務を負う。
(c)船舶の船長は、自船以外の一又は二以上の船舶が招集を受け、かつ、その招集に応じつつあることを知つたときは、(a)の規定によつて課せられる義務を解除される。
(d)遭難者から又は遭難者の所在に到達した他の船舶の船長から救助の必要がなくなつた旨の通報を受けた船舶の船長は、(a)の規定によつて課せられる義務を解除され、また、その船舶が招集を受けたものであるときは、(b)の規定によつて課せられる義務を解除される。
(e)この第10規則の規定は、1910年9月23日にブラッセルで署名された海上における救援及び救助についての規定の統一に関する国際条約、特に同条約の第11条の規定によつて課せられる救助義務に影響を及ぼさない。
第11規則 信号燈
 総トン数150トンをこえるすべての船舶は、国際航海に従事するときは、効果的な昼間信号燈を備えなければならず、この信号燈は、船舶の主電源のみに依存してはならない。
第12規則 無線方向探知機
(a)総トン数1600トン以上のすべての船舶は、国際航海に従事するときは、第4章第11規則の規定に適合する無線方向探知機を備えなければならない。
(b)主管庁は、この装置の備付けを不合理又は不必要と認める区域においては、総トン数5000トン未満の船舶に対してこの要件を免除することができる。ただし、無線方向探知機が、航海用具としても、また、船舶、航空機又は救命用の端艇及びいかだの位置を探知する手段としても、有用である事実を適当に考慮しなければならない。
第13規則 配員
 締約政府は、自国の船舶について、すべての船舶が海上における人命の安全の見地から十分かつ有効に配員されることを確保するための措置を維持し、又は、必要に応じ、採用することを約束する。
第14規則 航行援助施設
 締約政府は、交通量にてらして十分であり、かつ、危険の程度が必要とすると認める航行援助施設(ラジオ・ビーコン及び電子援助施設を含む。)を設置し及び維持する措置並びにこれらの援助施設に関する情報をすべての関係者の利用に供するための措置を執ることを約束する。
第15規則 捜索及び救助
(a)各締約政府は、沿岸の監視及び沿岸水域における遭難者の救助のため必要な措置が執られることを確保することを約束する。これらの措置は、海上交通の密度及び航行上の危険を考慮して実行可能かつ必要と認められる海上安全施設の設置、運営及び維持を含まなければならず、また、できる限り遭難者の位置の探知及び救助のため十分な手段を提供しなければならない。
(b)各締約政府は、現存の救助施設及び、もしあれば、その変更の計画に関する情報を利用に供することを約束する。
第16規則 救命信号
 次の信号は、救命施設及び海上救助隊が遭難船舶又は遭難者と通信するとき、並びに遭難船舶又は遭難者が救命施設及び海上救助隊と通信するときに、使用するものとする。捜索及び救助業務に従事している航空機が船舶を誘導するために使用する信号は、(d)に示す。次に掲げる信号を記載する説明表は、この章の規定が適用される各船舶の当直士官が直ちに利用することができなければならない。
(a)船舶又は人が発した遭難信号に対する救命施設又は海上救助隊の応答
信号意味
昼間 オレンジ色発煙信号又は約一分の間隔で発射される三個の単信号で構成する光と音響の組合せ信号(サンダーライト)
夜間 約一分の間隔で発射される三個の単信号で構成する白色星火ロケット
「認めた。至急救助する。」(この信号の繰返しは、同じ意味を表わす。)
必要なときは、昼間信号を夜間に、夜間信号を昼間に使用することができる。
(b)遭難船員又は遭難者を乗せた小艇を誘導するための上陸地信号
信号意味
昼間 白旗若しくは両腕の上下運動、緑色星火信号の発射又は発光若しくは音響信号装置による信号符字「K」(-・-)の信号
夜間 白色の灯火若しくは炎火の上下運動、緑色星火信号の発射又は発光若しくは音響信号装置による信号符字「K」(-・-)の信号。見通し(方向指示)は、安定した白色の灯火又は炎火を低く、かつ、観察者と直線上にあるように置くことによつて示すことができる。
「ここが上陸に最適の地点である。」
昼間 白旗若しくは水平に伸ばした両腕の水平運動、赤色星火信号の発射又は発光若しくは音響信号装置による信号符字「S」(・・・)の信号
夜間 白色の灯火若しくは炎火の水平運動、赤色星火信号の発射又は発光若しくは音響信号による信号符字「S」(・・・)の信号
「ここに上陸するのは、非常に危険である。」
昼間 白旗を水平に動かし、次にその白旗を地上に置き、示すべき方向に他の白旗を持つて行くこと、赤色星火信号を垂直に発射し、続いて上陸好適地の方向に白色星火信号を発射すること、又は信号符字「S」(・・・)を信号し、続いて、遭難舟艇のための上陸好適地が接近の方向よりさらに右側にある場合には信号符字「R」(・-・)を、また、遭難舟艇のための上陸好適地が接近の方向よりさらに左側にある場合には信号符字「L」(・-・・)を信号すること。
夜間 白色の灯火若しくは炎火を水平に動かし、次にその白色の灯火若しくは炎火を地上に置き、示すべき方向に他の白色の灯火若しくは炎火を持つて行くこと、赤色星火信号を垂直に発射し、続いて上陸好適地の方向に白色星火信号を発射すること、又は信号符字「S」(・・・)を信号し、続いて、遭難舟艇のための上陸好適地が接近の方向よりさらに右側にある場合には信号符字「R」(・-・)を、また、遭難舟艇のための上陸好適地が接近の方向よりさらに左側にある場合には信号符字「L」(・-・・)を信号すること。
「ここに上陸するのは、非常に危険である。上陸にさらに好適な地点は、示す方向にある。」
(c)沿岸の救命設備の使用に関連して用いる信号
信号意味
昼間 白旗若しくは両腕の上下運動又は緑色星火信号の発射
夜間 白色の灯火若しくは炎火の上下運動又は緑色星火信号の発射
一般に「よろしい。」
特に「ロケット索をとつた。」
「テール・ブロックをしつかり縛つた。」
「索をしつかり縛つた。」
「救命袋に人を入れた。」
「引け。」 
昼間 白旗若しくは水平に伸ばした両腕の水平運動又は赤色星火信号の発射
夜間 白色の灯火若しくは炎火の水平運動又は赤色星火信号の発射
一般に「いけない。」
特に「ゆるめよ。」
「引くのをやめよ。」 
(d)捜索及び救助業務に従事している航空機が遭難航空機、遭難船舶又は遭難者の方へ船舶を誘導するために使用する信号((注)の説明参照)。
(i)航空機が順次行なう次の動作は、遭難航空機又は遭難船舶の方へ船舶を誘導していることを意味する。
(1)船舶の上空を少なくとも一回旋回すること。
(2)船舶のすぐ前方でその針路を低空で横切り、スロットルを開閉するか又はプロペラ・ピッチを変化させること。
(3)船舶を誘導する方向に機首を向けること。
 このような動作の繰返しは、同じ意味を表わす。
(ii)航空機が行なう次の動作は、信号が送られる船舶による救助の必要がなくなつたことを意味する。
 船舶のすぐ後方でその航跡を低空で横切り、スロットルを開閉するか又はプロペラ・ピッチを変化させること。
(注) これらの信号の変更の予告は、必要に応じて機関が行なう。
第17規則 水先人用はしご
 水先人を使用することがある航海に従事する船舶は、水先人用はしごについて、次の要件に適合しなければならない。
(a)はしごは、良好な状態に整備しておき、かつ、船舶の入港又は出港の際に当局の職員その他の者のためにのみ使用し、また、水先人の乗下船のために使用しなければならない。
(b)はしごは、各踏段が船側に確実に接し、かつ、水先人が5フィート(又は1.5メートル)以上30フィート(又は9メートル)以下の高さまで登つた後に安全にかつ容易に船舶の乗り込むことができるような位置に取り付けなければならない。船舶のすべての通常のトリムの状態において海面に到達する単一の長さのはしごを使用しなければならない。海面から船舶への出入のための位置までの距離が30フィート(又は9メートル)をこえるときは、水先人用はしごから船舶への出入は、舷側はしご又はこれと同等に安全かつ容易な他の方法によらなければならない。
(c)はしごの踏板は、長さが19インチ(又は48センチメートル)以上幅が4.5インチ(又は11.4センチメートル)以上及び厚さが1インチ(又は2.5センチメートル)以上でなければならない。踏段は、踏板を水平な位置に、かつ、12インチ(又は30.5センチメートル)以上15インチ(又は38センチメートル)以下の間隔に保ち、十分な強さのはしごとするような方法で取り付けなければならない。
(d)適正に取り付けた一本のマン・ロープ及び安全索を、必要に応じ直ちに使用しうるように用意しなければならない。
(e)次のとおり措置しなければならない。
(i)はしごの装着及び水先人の乗下船については、船舶の責任のある士官が監督すること。
(ii)水先人がはしごの頂部から船内又は甲板上に安全にかつ容易に移ることを助けるためのハンドホールドを備えること。
(f)必要に応じ、はしごのねじれを防ぐことができるような間隔で横木を備えなければならない。
(g)夜間は、船側を照明する燈を利用することができなければならず、かつ、これを使用しなければならない。また、水先人が乗船する位置の甲板は、十分に照明されなければならない。
(h)防舷帯を有する船舶その他はしごは各踏段が船側に確実に接するような場所に取り付けなければならないという規定に完全に適合することが構造上不可能な船舶は、この規定に、できる限り、適合しなければならない。

第6章 穀類の運搬

第1規則 適用
 この章の規定は、別段の明文の規定がない限り、この規則が適用されるすべての船舶における穀類の運搬に適用する。
第2規則 定義
 「穀類」には、小麦、とうもろこし、えん麦、ライ麦、大麦、米、豆及び種子を含む。
第3規則 荷繰り
 穀類を船舶に積載するときは、穀類の移動を防止するためすべての必要かつ合理的な予防手段を講じなければならない。ばら積み穀類を船倉又は区画室に満載する場合には、穀類は、ビーム間並びに両翼部及び両端部のすべての空間を満たすように荷繰りしなければならない。
第4規則 満載の船倉及び区画室に対する積付け
 ばら積み穀類をいずれかの船倉又は区画室に満載する場合には、この章の第6規則の規定を留保して、その船倉又は区画室は、船舶の中心線上若しくは船舶の中心線から船舶の型幅の5パーセント以内の位置にある一の縦通隔壁若しくは荷止板により、又は船舶の中心線から離れた二以上の縦通隔壁若しくは荷止板であつて、相互の間隔が船舶の型幅の60パーセント以下であるものにより仕切らなければならず、後者の場合には、両翼部に、縦方向に25フィート(又は7.62メートル)以下の間隔で、適当な寸法の数個のトリミング・ハッチを設けなければならず、その両端のトリミング・ハッチは、横置隔壁から12フィート(又は3.66メートル)以下の位置に配置しなければならない。いずれの場合にも、縦通隔壁又は荷止板は、適正に造らなければならず、かつ、ビーム間に適当な充填材を用いて穀類が漏れないように取り付けなければならない。船倉内では、この縦通隔壁又は荷止板は、甲板の下面から下方に船倉の深さの少なくとも3分の1又は8フィート(又は2.44メートル)のうち大きい方の距離まで達していなければならない。甲板間及び船楼内の区画室内では、縦通隔壁又は荷止板は、甲板から甲板まで達していなければならない。いずれの場合にも、縦通隔壁又は荷止板は、これを備えている船倉又は区画室に対するフィーダーの頂部まで達していなければならない。
 もつとも、亜麻種子以外のばら積み穀類を積載している船舶においては、全航海を通じてメタセンタ高さ(タンク内の液体の自由表面の影響を修正したもの)が一層甲板船又は二層甲板船では12インチ(又は0.31メートル)以上、その他の船舶では14インチ(又は0.36メートル)以上に維持される場合には、縦通隔壁又は荷止板は、次に掲げる場所に設けることを要しない。
(a)一のフィーダー又は一区画室に同時に補給するすべてのフィーダーの容量がこれらのフィーダーにより補給される区画室に積載される穀類の量の5パーセント以上であるときは、フィーダー(ハッチの部分にあるものに限る。)の直下及びそのフィーダーから7フィート(又は2.13メートル)以内の箇所
(b)(a)の要件に適合するフィーダーであつて、これらにより補給される区画室の容積の2パーセントの穀類の沈下及び水平面に対し12度の角度の穀類の自由表面の移動を許容した後における穀類の自由表面が全航海を通じてこれらのフィーダー内にとどまるような寸法のものの内部。この場合には、フィーダー内の穀類の自由表面の前記の移動により生ずることがある影響は、前記のメタセンタ高さの計算に当たつて考慮しなければならない。
(c)ハッチの部分であつて、このハッチの直下のばら積み穀類が、ハッチをこえて甲板下面まで一ぱいに皿の形になるように荷繰りされており、かつ、この皿の中心でばら積み穀類の頂部の上方6フィート(又は1.83メートル)以上の高さ(甲板線から下方を測る。)の袋入り穀類その他の適当な袋入り貨物で押えられているところ。この袋入り穀類その他の適当な袋入り貨物は、ハッチ及びその直下の皿を満たさなければならず、かつ、甲板下面、縦通隔壁、ハッチ・ビーム並びにハッチの側縁材及び端縁材まで密に積み付けなければならない。
第5規則 部分積載の船倉及び区画室に対する積付け
ばら積み穀類をいずれかの船倉又は区画室に部分的に積載する場合には、この章の第6規則の規定を留保して、
(a)船倉又は区画室は、船舶の中心線上若しくは船舶の中心線から船舶の型幅の5パーセント以内の位置にある一の縦通隔壁若しくは荷止板により、又は船舶の中心線から離れた二以上の縦通隔壁若しくは荷止板であつて、相互の間隔が船舶の型幅の60パーセント以下であるものにより仕切らなければならない。いずれの場合にも、縦通隔壁又は荷止板は、適正に造らなければならず、かつ、場合に応じ船倉の底部又は甲板からばら積み穀類の表面の上方2フィート(又は0.61メートル)以上の高さまで達していなければならない。
 もつとも、ばら積み亜麻種子を部分的に積載している船倉を除くほか、全航海を通じてメタセンタ高さ(タンク内の液体の自由表面の影響を修正したもの)が一層甲板船又は二層甲板船では12インチ(又は0.31メートル)以上、その他の船舶では14インチ(又は0.36メートル)以上に維持される場合には、縦通隔壁又は荷止板は、ハッチの部分に設けることを要しない。
(b)ばら積み穀類は、平らにならさなければならず、かつ、縦通隔壁又は荷止板で仕切られている場所ではばら積み穀類の頂部の上方4フィート(又は1.22メートル)以上、そのように仕切られていない場所では5フィート(又は1.52メートル)以上の高さまで達する密に積み付けた袋入り穀類その他の適当な貨物で押えなければならない。この袋入り穀類その他の適当な貨物は、ばら積み穀類の全表面にわたり敷かれている適当な敷台の上にささえなければならない。この敷台は、4フィート(又は1.22メートル)以下の間隔に配置した受け材とその上に4インチ(又は0.10メートル)以下の間隔に配置した1インチ(又は25ミリメートル)の板で構成し、又は十分に重ね合わせた強い仕切用の布で構成しなければならない。
第6規則 縦通隔壁の要件の適用除外
 この章の第4規則及び第5規則の規定に適合する縦通隔壁又は荷止板は、次の場所には設けることを要求されない。
(a)下部船倉(一層甲板船における船倉の下部を含む。)内にあるばら積み穀類が、その船倉の容積の3分の1を、下部船倉が軸路で仕切られているときはその下部船倉の容積の2分の1をこえない場合には、その下部船倉の内部
(b)甲板間又は船楼内のいずれかの場所であつて、両翼部にそれぞれ当該場所における船舶の幅の20パーセント以上にわたり袋入り穀類その他の適当な貨物を密に積み付けたもの
(c)甲板下面の最大幅が船舶の型幅の2分の1をこえない場所
第7規則 フィーダー
(a)(i)ばら積み穀類を満載するいずれの船倉又は区画室も、この章の第4規則(c)、第8規則及び第12規則に別段の定めがある場合を除くほか、その船倉又は区画室のすべての部分へのフィーダーからの穀類の自由な流動を確保するため、適当に配置されかつ適正に造られたフィーダーによつて補給しなければならない。
(ii)各フィーダーの容量は、これにより補給される船倉又は区画室の部分に積載される穀類の量の2パーセント以上でなければならない。ただし、この章の第4規則(a)に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(b)本来液体の積載のために造られたディープ・タンクであつて、この章の第6規則(c)の規定が適用されるもの又は穀類が漏れないように取り付けた一若しくは二以上の常設鋼製縦通仕切で仕切られているものにばら積み穀類を積載する場合において、タンク及びタンクのハッチが完全に満たされており、かつ、ハッチ・カバーが確実に閉じられているときは、このタンクには、フィーダーを省略することができる。
第8規則 共通積載
 この章の第4規則及び第7規則の規定の適用上、下部船倉及びその上方の甲板間の場所には、次の条件の下に、一区画室として積載することができる。
(a)二層の甲板を有する船舶の甲板間では、縦通隔壁又は荷止板は、甲板から甲板まで取り付けなければならない。その他のすべての場合には、縦通隔壁又は荷止板は、共通場所の上部で合計深さの3分の1に当たる部分に対して取り付けなければならない。
(b)穀類の十分な流動を確保するため、すべての場所は、この章の第9規則の要件に適合しなければならず、かつ、最上層甲板直下の甲板の両翼部でハッチ端の前方及び後方に、ハッチと組み合わせることにより、最大補給距離が船首尾方向に測つて8フィート(又は2.44メートル)となるように必要な開口を設けなければならない。
第9規則 端部の荷繰り及び袋押え
 船倉又は区画室のいずれかの部分から最も近いフィーダーまでの距離が船首尾方向に測つて25フィート(又は7.62メートル)をこえる場合には、最も近いフィーダーから25フィート(又は7.62メートル)をこえる端部にあるばら積み穀類は、甲板から下方少なくとも6フィート(又は1.83メートル)の深さのところで平らにならさなければならず、かつ、この端部は、この章の第5規則(b)で要求する適当な敷台の上に積み重ねた袋入り穀類で満たさなければならない。
第10規則 甲板間及び船楼内のばら積み穀類
 ばら積み穀類は、甲板上、二層甲板船の甲板間又は二層をこえる数の甲板を有する船舶の最上甲板間に積載してはならない。ただし、次の条件に従う場合は、この限りでない。
(a)ばら積み穀類その他の貨物は、最大の復原性を確保するように積み付けなければならない。すべての場合において、全航海を通じてメタセンタ高さ(タンク内の液体の自由表面の影響を修正したもの)が一層甲板若しくは二層甲板船では12インチ(又は0.31メートル)以上、その他の船舶では14インチ(又は0.36メートル)以上に維持され、又は、これに替えて、船舶が全航海を通じて十分な復原性を有すると船長が認める場合には、甲板上、二層甲板船の甲板間若しくは二層をこえる数の甲板を有する船舶の最上甲板間に積載するばら積み穀類その他の貨物の合計重量がこれらの甲板間の下方の貨物の合計重量の28パーセントをこえないようにしなければならない。この28パーセントの限度は、甲板上又は最上甲板間に積載する穀類がえん麦、大麦又は綿種子である場合には、適用しない。
(b)この第10規則にいう場所のうち、ばら積み穀類を入れ、かつ、部分的にのみ満たされているいかなる部分の甲板面積も、1000平方フィート(又は93平方メートル)をこえてはならない。
(c)この第10規則にいうばら積み穀類を積み付けるすべての場所は、100フィート(又は30.50メートル)以下の間隔で横置隔壁により仕切らなければならない。この距離をこえる場合には、その超過の部分の場所は、袋入り穀類その他の適当な貨物で完全に満たさなければならない。
第11規則 部分積載の船倉及び区画室の数の制限
 全航海を通じてメタセンタ高さ(タンク内の液体の自由表面の影響を修正したもの)が一層甲板船又は二層甲板船では12インチ(又は0.31メートル)以上、その他の船舶では14インチ(又は0.36メートル)以上に維持される場合を除くほか、ばら積み穀類を部分的に積載する船倉又は区画室の数は、二以下でなければならない。ただし、その他の船倉又は区画室は、甲板下面まで袋入り穀類その他の適当な貨物で満たすときは、ばら積み穀類を部分的に積載することができる。この第11規則の規定の適用上、
(a)二以上の甲板間は、別個の区画室とみなし、かつ、これらの下方にあるいかなる下部船倉とも別個のものとみなすものとする。
(b)フィーダー及びこの章の第10規則(b)にいう部分的に満たされている場所は、区画室とみなさない。
(c)穀類が漏れないような一又は二以上の縦通仕切を備える船倉又は区画室は、一の船倉又は区画室とみなすものとする。
第12規則 特別に適応させた船舶に対する積付け
(a)この章の第4規則から第11規則までの規定にかかわらず、穀類のいかなる横移動の影響をも制限するため適当に配置された二以上の穀類が漏れないような垂直の又は傾斜した縦通仕切を取り付けた船舶は、これらの規則に定める要件によらないで、次の条件でばら積み穀類を運搬することができる。
(i)できる限り多数の船倉及び区画室を十分に荷繰りして満載にすること。
(ii)指定されたいかなる積付配置についても、船舶が、次の場合に、航海のいかなる段階においても5度以上の角度に横傾斜しないこと。
(1)荷繰りして満載にした船倉又は区画室において、穀類表面が、船倉又は区画室の境界面で水平面と30度以上の傾斜を有しないすべてのものの下方において、最初の表面から容積で2パーセントだけ沈下し、かつ、その表面と12度の角度まで移動する場合
(2)部分積載の船倉又は区画室において、穀類の自由表面が、(1)にいうように沈下しかつ移動し、又は主管庁若しくは主管庁に代わる締約政府が必要と認める一層大きい角度まで移動する場合及びこの章の第5規則の規定に従つて上積みがなされているときは最初の平らにならされた表面と8度の角度まで移動する場合。(ii)の規定の適用上、荷止板は、取り付けられているときは、穀類表面の横移動を制限するものとみなす。
(iii)採用する積付配置に関する穀類積載図及び復原性に関する小冊子であつて、いずれも主管庁又は主管庁に代わる締約政府により承認され、かつ、(ii)の計算の基礎となる復原性の条件を示すものを船長に提供すること。
(b)主管庁又は主管庁に代わる締約政府は、(a)の規定に従つて設計され、かつ、(a)(ii)及び(iii)の要件を満たす船舶について、他のすべての積載状態において移動に対し講ずべき予防手段を定めなければならない。
(c)主管庁又は主管庁に代わる締約政府は、(a)(ii)及び(iii)の要件を満たす他のいかなる設計の船舶についても、移動に対し講ずべき予防手段を定めなければならない。
第13規則 水バラスト・タンク
 ばら積み穀類を積載する船舶において復原性の要件を満たすために使用される二重底タンクは、その長さの2分の1の箇所で測つたタンクの幅が船舶の型幅の60パーセント以下である場合を除くほか、十分な水密縦通仕切を有しなければならない。
第14規則 袋入り穀類
 袋入り穀類は、正常な袋に入れて積載しなければならず、袋は、十分に満たし、かつ、確実に閉じなければならない。
第15規則 穀類積載図
(a)主管庁又は主管庁に代わる締約政府が船舶に対して承認した穀類積載図は、その船舶が、この積載図に従つて積載する場合に、この章の要件又は第1章第5規則の規定により容認された同等の配置に適合している証拠として他の締約政府により容認されなければならない。
(b)この積載図は、この章の要件、出港及び入港時における各種の積載状況並びに船舶の復原性を考慮して承認されなければならない。この積載図は、貨物の移動を防止するため使用される取付物の主要要目を示さなければならない。
(c)この積載図は、一又は二以上の国語で記載しなければならず、これらの国語のうち一は、この条約の用語でなければならない。
(d)この積載図を一部船長に提供しなければならず、船長は、要求されたときは、積載を行なう港の当局による検閲のために、これを提示しなければならない。
(e)穀類積付用取付物の強さ及びハッチ縁材における補給孔の取付けに関する国際的規則が採用されるまでの間、主管庁又は主管庁に代わる締約政府が承認した穀類積載図を提示しない穀類積載船舶は、積載港のある締約国政府がこの章の規定を補足するため定めた詳細規則に従つて積載しなければならない。
第16規則 一定の航海に対する免除
 主管庁又は主管庁に代わる締約政府は、航海の保護された性質及び状況によりこの章の第3規則から第15規則までのいずれかの要件の適用が不合理又は不必要であると認めるときは、個個の船舶又はある種類の船舶に対し、これらの特定の要件を免除することができる。

第7章 危険物の運搬

第1規則 適用
(a)この章の規定は、別段の明文の規定がない限り、この規則が適用されるすべての船舶における危険物の運搬に適用する。
(b)この章の規定は、船舶の貯蔵品及び艤装品について又はタンカーのような船舶の全体が特定の貨物を運搬するため特に建造され若しくは改造された船舶に積載するそのような貨物については、適用しない。
(c)この章の規定に従う場合を除くほか、危険物の運搬は、禁止される。
(d)各締約政府は、この章の規定を補足するため、特定の危険物又はある種類の危険物の安全な包装及び積付けに関する詳細な指示(他の貨物と関連して必要な予防手段を含む。)を行ない、又は行なわせなければならない。
第2規則 分類
 危険物は、次のように分類する。
第一類 火薬類
第二類 ガス(圧縮ガス、液化ガス又は高圧溶解ガス)
第三類 引火性液体
第四類(a)可燃性固体
(b)自然発火しやすい可燃性の固体その他の物質
(c)水と作用して引火性のガスを発生する可燃性の固体その他の物質
第五類(a)酸化性物質
(b)有機過酸化物
第六類(a)毒物
(b)病毒をうつしやすい物質
第七類 放射性物質
第八類 腐食性物質
第九類 その他の危険物(経験により、この章の規定を適用しなければならないような危険性が判明しており又は判明することがある物質)
第3規則 包装
(a)危険物の包装は、(i)良好な造りで、かつ、良好な状態になければならず、(ii)内容物と接触するおそれがあるその内面が、運搬される物質により危険な影響を受けない性質のものでなければならず、かつ、(iii)取扱い及び海上における運搬において通常起こることがある危険に耐えることができなければならない。
(b)容器に入れた液体を包装する場合に吸収材又は緩衝材を使用することが通例であるときは、これらの吸収材又は緩衝材は、(i)その液体が引き起こす危険を最小にすることができなければならず、(ii)容器の移動を防ぎ、かつ、常に容器を取り巻いているように配置しなければならず、かつ、(iii)可能なときは、容器が破損しても液体を十分吸収することができるだけの量のものでなければならない。
(c) 危険な液体を充填する容器は、通常の運搬中における最高温度に対して十分な空間を、充填時において、有しなければならない。
(b)高圧ガス用のシリンダー又は容器は、適当に造られ、試験され、及び維持され、かつ、正しく充填されなければならない。
(e)危険物の運搬に使用されたからの容器は、それ自体を危険物として取り扱う。ただし、洗浄しかつ乾燥したもの又は、充填されていた内容物の性質上閉じることが安全である場合に、確実に閉じたものは、この限りでない。
第4規則 表示及び標識
危険物を入れた各容器には、正しい専門的名称(取引上の名称は、使用してはならない。)を用いてその内容を表示し、かつ、明確な標識を附してその危険性を明らかにしなければならない。少量の化学薬品を入れた容器並びに一口貨物としての積付け、取扱い及び識別が可能である大量の貨物の場合を除くほか、この標識を各容器に附さなければならない。
第5規則 書類
(a)危険物の海上における運搬に関するすべての書類においてその貨物の名称を示す場合には、正しい専門的名称(取引上の名称は、使用してはならない。)を使用し、この章の第2規則に定める分類に従い正しい記載をしなければならない。
(b)荷送人が作成した船積書類には、運搬の申込みのあつた貨物が適正に包装され、表示され、及び標識が附されており、かつ、運搬に適した状態にあることを示す証明書若しくは申告書を含め、又は添付しなければならない。
(c)危険物を運搬する各船舶は、船内にある危険物及びその位置をこの章の第2規則の規定に従つて掲げる特別の一覧表又は積荷目録を有しなければならない。船内にあるすべての危険物の分類を明らかにし、かつ、その位置を掲げる詳細な積付図は、この特別の一覧表又は積荷目録に替えて使用することができる。
第6規則 第4規則及び第5規則の規定の一時的な適用除外
 危険物の運搬に関する陸上及び海上の運送規則の画一的な制度を有するためこの章の第4規則及び第5規則の規定を直ちに適用することができない締約政府は、条約が効力を生ずる日から十二箇月をこえない期間、これらの規則の規定から逸脱することを認めることができる。ただし、この章の第2規則で分類する危険物は、その船積書類においてそのように分類し、かつ、それに応じて標識を附さなければならない。
第7規則 積付けの要件
(a)危険物は、その性質に応じ、安全かつ適切に積み付けなければならない。性質上相いれない貨物は、相互に隔離しなければならない。
(b)高度の危険性を有する火薬類(弾薬を除く。)は、火薬庫に積み付けなければならず、火薬庫は、海上にある間確実に閉鎖しておかなければならない。このような火薬類は、雷管と隔離しなければならない。火薬類が積載されている区画室内の電気器具及びケーブルは、火災又は爆発の危険を最小とするように設計し、かつ、使用しなければならない。
(c)危険な蒸気を発生する危険物は、通風良好な場所又は甲板上に積み付けなければならない。
(d)引火性の液体又はガスを運搬している船舶においては、火災又は爆発に対し、必要に応じ、特別な予防手段を講じなければならない。
(e)自然発熱又は自然発火しやすい物質は、火災の発生を防止するため十分な予防手段を講じない限り、運搬してはならない。
第8規則 旅客船における火薬類
(a)旅客船は、次の火薬類に限り運搬することができる。
(i)安全薬筒及び安全導火線
(ii)正味総重量20ポンド(又は9キログラム)をこえない少量の火薬類
(iii)船舶又は航空機が使用する遭難信号で総重量2240ポンド(又は1016キログラム)をこえないもの
(iv)激しい爆発を起こす可能性が少ない火工品(無寝床旅客を輸送する船舶の場合を除く。)
(b)(a)の規定にかかわらず、主管庁により承認された特別の安全措置を執る旅客船においては、追加の量及び種類の火薬類を運搬することができる。

第8章 原子力船

第1規則 適用
 この章の規定は、軍艦以外のすべての原子力船に適用する。
第2規則 他の章の規定の適用
 この条約の他の章の規則の規定は、この章の規定により必要な修正を加えて、原子力船に適用する。
第3規則 免除
 原子力船は、いかなる場合にも、この条約のいずれの規則についても、それに適合することを免除されない。
第4規則 原子炉装置の承認
 原子炉装置の設計及び構造並びに検査及び組立ての基準は、主管庁が満足し及び承認するものでなければならず、また、放射線の存在により検査が制約を受けることを考慮したものでなければならない。
第5規則 原子炉装置の船内での使用に対する適合性
 原子炉装置は、通常の及び例外的な航行の状況において船内で使用されるという特殊な条件を考慮して設計しなければならない。
第6規則 放射線に対する安全
 主管庁は、海上又は港内において、船員、旅客、公衆、水路、食物又は水の資源に対し、不当な放射線その他の原子核による危険が生じないことを確保するための措置を執らなければならない。
第7規則 安全説明書
(a)海上又は港内において船員、旅客、公衆、水路、食物又は水の資源に対し不当な放射線その他の危険が生じないことを確保するため原子力施設及び船舶の安全性を評価することができるように、安全説明書を作成しなければならない。主管庁は、十分であると認めるときは、このような安全説明書を承認しなければならず、安全説明書は、常に現状に合わせておかなければならない。
(b)安全説明書は、原子力船が訪れようとする国の締約政府に対し、これらの政府が船舶の安全性を評価することができるように、十分な余裕をもつて事前に提供しなければならない。
第8規則 操作手引書
 原子力施設の操作に関するすべての事項及び安全に重要な関連を有するすべての事項についての操作員の職務上の知識及び手引きのため、詳細に記述された操作手引書を作成しなければならない。主管庁は、十分であると認めるときは、このような操作手引書を承認しなければならず、また、その一部は、船内に備えておかなければならない。操作手引書は、常に現状に合わせておかなければならない。
第9規則 検査
 原子力船の検査は、放射線の存在により制約される場合を除くほか、第1章第7規則又は第1章第8規則、第9規則及び第10規則の要件で適用があるものを満たさなければならない。さらに、検査は、安全説明書のいかなる特別要件をも満たさなければならない。検査は、第1章第8規則及び第10規則の規定にかかわらず、いかなる場合には、少なくとも一年に一回行なわなければならない。
第10規則 証書
(a)第1章第12規則(a)及び第1章第14規則の規定は、原子力船には適用しない。
(b)第2章、第3章、第4章及び第8章の要件その他この規則の関係要件に適合する原子力旅客船に対しては、検査の後に、原子力旅客船安全証書という証書を発行する。
(c)第1章第10規則に規定する貨物船に対する検査の要件を満たし、かつ、第2章、第3章、第4章及び第8章の要件その他この規則の関係要件に適合する原子力貨物船に対しては、検査の後に、原子力貨物船安全証書という証書を発行する。
(d)原子力旅客船安全証書及び原子力貨物船安全証書には、「原子力船であるこの船舶がこの条約の第8章のすべての要件に適合し、かつ、この船舶について承認された安全説明書に合致していること」を記載しなければならない。
(e)原子力旅客船安全証書及び原子力貨物船安全証書は、十二箇月をこえない期間についてのみ、有効とする。
(f)原子力旅客船安全証書及び原子力貨物船安全証書は、主管庁又は主管庁が正当に権限を与える人若しくは団体が発行する。あらゆる場合に、主管庁は、証書について全責任を負う。
第11規則 特別な監督
 原子力船は、第1章第19規則に定める監督のほかに、締約政府の港に入る前及び港内において、船内に有効な原子力船安全証書があること並びに海上又は港内において船員、旅客、公衆、水路、食物又は水の資源に対し不当な放射線その他の危険が生じないことを確かめるための特別の監督に服さなければならない。
第12規則 海難
 周辺に危険を及ぼすおそれのある事故の場合には、原子力船の船長は、直ちに主管庁に通報しなければならない。船長は、また、損傷状態で船舶が位置する水域又は近接しようとする水域の属する国の権限のある政府機関に対しても、直ちに通報しなければならない。
附 録
(旅客船に対する安全証書の様式)(略)
(貨物船に対する安全構造証書の様式)(略)
(貨物船に対する安全設備証書の様式)(略)
(貨物船に対する安全無線電話証書の様式)(略)
(貨物船に対する安全無線電信証書の様式)(略)
(免除証書の様式)(略)
(原子力旅客船に対する安全証書の様式)(略)
(原子力貨物船に対する安全証書の様式)(略)