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1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約

【目次】
  平成7・10・20・条約 20号  
発効平成8・1・17・外務省告示607号  
1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約をここに公布する。
この条約の締約国は、
人間を取り巻く環境、特に海洋環境を保全する必要があることを認め、
船舶、沖合施設並びに海港及び油取扱施設に関係する油による汚染事件が海洋環境にとって重大な脅威となることを認識し、
油による汚染を回避するために予防措置及び防止措置をとることが重要であること、並びに海上における安全及び海洋汚染の防止に関する現行の国際的な文書、特に、1974年の海上における人命の安全のための国際条約(その改正を含む。)及び1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書(その改正を含む。)を厳格に適用し並びに油を運送する船舶及び沖合施設の設計、運用及び維持に関する基準を速やかに強化することが必要であることに留意し、
油による汚染事件が発生した際に当該事件から生ずるおそれのある損害を最小にするため、迅速かつ効果的な措置をとることが不可欠であることに留意し、
油による汚染事件に対応するための効果的な準備が重要であること並びにこの点に関して石油業界及び海運業界が重要な役割を果たすことを強調し、
特に、油による汚染事件に対応するための各国の能力に関する情報の交換、油による汚染に対する緊急時計画の作成、海洋環境又は各国の沿岸及び関係利益に影響を及ぼすおそれのある重大な事件に関する報告書の交換並びに油による海洋環境の汚染に対応する方法についての研究開発に関する相互援助並びに国際協力が重要であることを認識し、
環境に関する国際法の一般原則である「汚染者負担」の原則を考慮し、
油による汚染損害に係る責任並びに賠償及び補償に関する国際的な文書、特に、1969年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(以下「責任条約」という。)及び1971年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(以下「基金条約」という。)が重要であること並びに責任条約に関する1984年の議定書及び基金条約に関する1984年の議定書の早期の効力発生が強く求められていることを考慮し、
更に、地域的な条約及び取極を含む二国間及び多数国間の取極及び取決めが重要であることを考慮し、
海洋法に関する国際連合条約の関連規定(特に第12部の規定)に留意し、
開発途上国(特に島嶼国)の特別のニーズを考慮しつつ、国際協力を促進し並びに油による汚染に係る準備及び対応に関する国家、地域及び世界全体の既存の能力を向上させることが必要であることを認め、
これらの目的を達成するための最善の方法は、油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約を締結することであることを考慮して、次のとおり協定した。
(一般規定)
第1条 
(1) 締約国は、油による汚染事件について準備し及び対応するため、この条約及びその附属書の規定に従い、単独で又は共同してすべての適当な措置をとることを約束する。
(2) この条約の附属書は、この条約の不可分の一部を成すものとし、「この条約」というときは、附属書を含めていうものとする。
(3) この条約は、軍艦、軍の補助艦又は国が所有し若しくは運航する他の船舶で政府の非商業的業務にのみ使用しているものについては、適用しない。ただし、締約国は、自国が所有し又は運航するこれらの船舶の運航又は運航能力を阻害しないような適当な措置をとることにより、これらの船舶が合理的かつ実行可能である限りこの条約に即して行動することを確保する。
(定義)
第2条 この条約の適用上、
(1)「油」とは、原油、重油、スラッジ、廃油、精製油その他のあらゆる形態の石油をいう。
(2)「油による汚染事件」とは、油の排出を伴い又は伴うおそれのある一の出来事又は同一の原因による一連の出来事であって、海洋環境又は一若しくは二以上の国の沿岸若しくは関係利益を脅かし又は脅かすおそれがあり、かつ、緊急措置その他の速やかな対応を必要とするものをいう。
(3)「船舶」とは、海洋環境において運航するすべての型式の船舟類をいい、水中翼船、エアクッション船、潜水船及びすべての型式の浮遊機器を含む。
(4)「沖合施設」とは、固定され又は浮いている沖合の施設又は構築物であって、ガス若しくは油の探査、開発若しくは生産に関する活動又は油の積込み若しくは積卸しに使用されるものをいう。
(5)「海港及び油取扱施設」とは、油による汚染事件を生じさせ得る施設をいい、特に、海港、石油ターミナル、パイプラインその他の油取扱施設を含む。
(6)「機関」とは、国際海事機関をいう。
(7)「事務局長」とは、機関の事務局長をいう。
(油汚染緊急計画)
第3条 
(1) 
(a) 締約国は、自国を旗国とする船舶に対し、機関が採択した規則に定めるところにより、油汚染船内緊急計画を当該船舶内に備えることを要求する。
(b) (a)の規定により油汚染船内緊急計画を備えることが要求されている船舶は、締約国の管轄の下にある港又は沖合の係留施設にある間、現行の国際協定又は当該締約国の国内法令の下における慣行に従い、当該締約国から正当に権限を与えられた職員による検査に服する。
(2) 締約国は、自国の管轄の下にある沖合施設の管理者に対し、第6条の規定に従って確立する国家的な体制に適合するように調整された油汚染緊急計画であって、自国の権限のある当局が定める手続に従って承認されたものを備えることを要求する。
(3) 締約国は、自国の管轄の下にある適当と認める海港及び油取扱施設に責任を有する当局又は管理者に対し、第6条の規定に従って確立する国家的な体制に適合するように調整された油汚染緊急計画又はこれに類似する規程であって、自国の権限のある当局が定める手続に従って承認されたものを備えることを要求する。
(油による汚染に係る通報に関する手続)
第4条 
(1) 締約国は、次のことを行う。
(a) 自国を旗国とする船舶の船長又は当該船舶に責任を有する船長以外の者及び自国の管轄の下にある沖合施設の管理者に対し、当該船舶又は当該沖合施設において油の排出を伴い又は伴うおそれのある出来事が生じた場合には、その旨を次に掲げる沿岸国に遅滞なく通報するよう要求すること。
(i) 船舶の場合には、最寄りの沿岸国
(ii) 沖合施設の場合には、当該施設について管轄権を有する沿岸国
(b) 自国を旗国とする船舶の船長又は当該船舶に責任を有する船長以外の者及び自国の管轄の下にある沖合施設の管理者に対し、油の排出を伴う出来事又は油の存在を海上で発見した場合には、その旨を次に掲げる沿岸国に遅滞なく通報するよう要求すること。
(i) 船舶の場合には、最寄りの沿岸国
(ii) 沖合施設の場合には、当該施設について管轄権を有する沿岸国
(c) 自国の管轄の下にある海港及び油取扱施設の管理者に対し、油の排出を伴い若しくは伴うおそれのある出来事が生じた場合又は油の存在を発見した場合には、その旨を自国の権限のある当局に遅滞なく通報するよう要求すること。
(d) 海洋巡視のための自国の船舶又は航空機及び他の適当な施設又は職員に対し、海上又は海港若しくは油取扱施設において油の排出を伴う出来事又は油の存在を発見した場合には、その旨を自国の権限のある当局又は、場合に応じ、最寄りの沿岸国に遅滞なく通報するよう指導すること。
(e) 民間航空機の操縦者に対し、油の排出を伴う出来事又は油の存在を海上で発見した場合には、その旨を最寄りの沿岸国に遅滞なく通報するよう要請すること。
(2) (1)(a)(i)の規定による通報については、機関が定めた規則並びに機関が採択した指針及び一般原則に従って行う。(1)の(a)(ii)及び(b)から(d)までの規定による通報については、適用可能な限り、機関が採択した指針及び一般原則に従って行う。
(油による汚染に係る通報を受けた場合にとる措置)
第5条 
(1) 締約国は、前条に規定する通報を受け又は他の情報源から汚染に関する情報の提供を受けた場合には、次のことを行う。
(a) 関係する出来事が油による汚染事件に該当するかしないかを決定するため、当該出来事を評価すること。
(b) 油による汚染事件の性質、程度及び生じ得る影響を評価すること。
(c) その後、油による汚染事件によってその利益が影響を受け又は受けるおそれのあるすべての国に対し、当該事件について遅滞なく通報すること。その通報には次の事項を含めるものとし、当該通報は、当該事件に対応するためにとる措置が終了し又は関係国が共同でとる措置を決定するまでの間行う。
(i) 当該事件に対する自国の詳細な評価及び当該事件に対応するために自国がとった又はとろうとしている措置
(ii) 適当な追加の情報
(2) 締約国は、油による汚染事件が重大なものである場合には、直接に又は、適当なときは、関係地域機関若しくは関係地域取決めを通じ、(1)の(b)及び(c)に規定する情報を機関に提供すべきである。
(3) (2)の締約国以外の国であって油による汚染事件によって影響を受けるものは、当該事件が重大なものである場合には、直接に又は、適当なときは、関係地域機関若しくは関係地域取決めを通じ、自国の利益に対する脅威の程度に関する自国の評価及び自国がとった又はとろうとしている措置について機関に通報するよう要請される。
(4) 締約国は、他の国及び機関との情報交換並びにこれらへの通報を行う場合には、実行可能な限り、機関が定めた油汚染通報制度を利用すべきである。
(準備及び対応のための国家的及び地域的な体制)
第6条 
(1) 締約国は、油による汚染事件に迅速かつ効果的に対応するための国家的な体制を確立する。この体制は、少なくとも次の要件を満たすものとする。
(a) 次に規定する組織を指定すること。
(i) 油による汚染に係る準備及び対応について責任を有する自国の権限のある当局
(ii) 第4条に規定する油による汚染に係る通報の受領及び伝達について責任を有する自国の業務上の窓口
(iii) 援助を要請し又は要請された援助の提供を決定することについて自国を代表する権限を有する一の当局
(b) 準備及び対応のための国家的な緊急時計画(機関が作成した指針を考慮に入れたもの)であって、関係を有する各種の団体(公的なものであるか私的なものであるかを問わない。)の相互の関係について定めるものを有すること。
(2) 締約国は、更に、可能な範囲内で、個々に又は二国間若しくは多数国間の協力を通じ、適当な場合には石油業界、海運業界、港湾当局その他の関係団体の協力を得て、次のことを行う。
(a) 油の流出に対応するために配置されるべき最低限必要な資材(関係する危険に応じたもの)の水準を定め、及び当該資材の使用に係る計画を作成すること。
(b) 油による汚染に対応する組織及び関係する人員の訓練に関する計画を作成すること。
(c) 油による汚染事件への対応に関する詳細な計画を作成し、及び当該対応に係る通信手段を確立すること。この通信手段は、常に利用可能なものとすべきである。
(d) 油による汚染事件への対応を調整する仕組み又は取決めであって、適当な場合には、必要な資源を調達することができるものを確立すること。
(3) 締約国は、直接に又は関係地域機関若しくは関係地域取決めを通じ、次の事項に関する最新の情報が機関に提供されることを確保する。
(a) (1)(a)に規定する組織の所在地及びその電気通信に関する情報並びに、場合により、当該組織が責任を有する区域
(b) 汚染に対応するための資材並びに油による汚染への対応及び海上における救助に関する分野の専門的知識であって、他の国の要請に応じて提供することができるもの
(c) 自国の国家的な緊急時計画
(汚染への対応に関する国際協力)
第7条 
(1) 締約国は、油による汚染事件が重大なものである場合には、影響を受け又は受けるおそれのある締約国の要請に応じ、自国の能力及び関係する資源の利用可能性の範囲内で、当該事件に対応するために協力し、助言を与え、並びに技術上の支援及び資材を提供することに同意する。これらの援助に関する費用の負担については、この条約の附属書に定めるところによる。
(2) 援助を要請した締約国は、(1)の費用の暫定的な調達先を特定するに当たって機関に援助を要請することができる。
(3) 締約国は、適用のある国際協定に従い、次のことを容易にするために必要な立法上又は行政上の措置をとる。
(a) 油による汚染事件に対応し又はその対応に必要な人員、貨物、物資及び資材を輸送するために使用される船舶、航空機その他の輸送手段の自国の領域への到着、自国の領域における使用及び自国の領域からの出国
(b) (a)に規定する人員、貨物、物資及び資材の自国の領域への迅速な入国、自国の領域の迅速な通過及び自国の領域からの迅速な出国
(研究開発)
第8条 
(1) 締約国は、油による汚染に係る準備及び対応に関する最新の技術(特に、監視、包囲、回収、拡散、浄化その他油による汚染の影響を最小のものにとどめ又は緩和する方法に関する技術及び原状回復に関する技術)の向上に関する研究開発計画の成果の交換を促進するため、直接に又は、適当な場合には、機関、関係地域機関若しくは関係地域取決めを通じて協力することに同意する。
(2) このため、締約国は、直接に又は、適当な場合には、機関、関係地域機関若しくは関係地域取決めを通じて締約国の研究機関の間の必要な連携を確立することを約束する。
(3) 締約国は、直接に又は機関、関係地域機関若しくは関係地域取決めを通じ、適当な場合には、関係事項(特に、油による汚染に対応するための技術及び資材の改良)についての国際的なシンポジウムの定期的な開催を促進するため、協力することに同意する。
(4) 締約国は、機関その他の能力を有する国際機関を通じ、油による汚染に対応するための技術及び資材を相互に利用可能なものとするための基準の作成を奨励することに同意する。
(技術協力)
第9条 
(1) 締約国は、直接に又は機関その他の国際的な組織を通じ、油による汚染に係る準備及び対応に関し、適当な場合には、次のことに関する技術援助を要請する締約国に対して支援を行うことを約束する。
(a) 人員を訓練すること。
(b) 関係する技術、資材及び施設を利用することができるよう確保すること。
(c) 油による汚染事件に係る準備及び対応のためのその他の措置の採用を促進すること。
(d) 共同の研究開発計画を開始すること。
(2) 締約国は、油による汚染に係る準備及び対応に関する技術の移転につき、自国の法令及び政策に従って積極的に協力することを約束する。
(準備及び対応に関する二国間及び多数国間の協力の促進)
第10条 締約国は、油による汚染に係る準備及び対応に関する二国間又は多数国間の協定を締結するよう努める。これらの協定の写しは、機関に送付される。機関は、締約国の要請に応じて当該写しを提供すべきである。
(他の条約及び国際協定との関係)
第11条 この条約のいかなる規定も、他の条約又は国際協定に基づく締約国の権利又は義務を変更するものと解してはならない。
(制度上の措置)
第12条 
(1) 締約国は、機関に対し、次のことを行う任務を与える。ただし、機関が同意し、かつ、その活動を維持するために十分な資源が利用可能である場合に限る。
(a) 情報に関する役務
(i) 締約国が提供する情報及び他の情報源が提供する関連情報を受領し、取りまとめ、及び要請に応じて公表すること(例えば、第5条の(2)及び(3)、第6条(3)並びに第10条の規定参照)。
(ii) 費用の暫定的な調達先を特定するに当たって援助を提供すること(例えば、第7条(2)の規定参照)。
(b) 教育及び訓練
(i) 油による汚染に係る準備及び対応に関する分野における訓練を促進すること(例えば、第9条の規定参照)。
(ii) 国際的なシンポジウムの開催を促進すること(例えば、第8条(3)の規定参照)。
(c) 技術上の役務
(i) 研究開発に関する協力を促進すること(例えば、第8条の(1)、(2)及び(4)並びに第9条(1)(b)規定参照)。
(ii) 油による汚染事件への対応に関する国家的又は地域的な能力を確立しようとしている国に助言を与えること。
(iii) 締約国が提供する情報及び他の情報源が提供する関連情報を分析し(例えば、第5条の(2)及び(3)、第6条(3)並びに第8条(1)の規定参照)、並びに各国に助言を与え又は情報を提供すること。
(d) 技術援助
(i) 油による汚染事件への対応に関する国家的又は地域的な能力を確立しようとしている国に対する技術援助の提供を促進すること。
(ii) 油による重大な汚染事件に直面している国の要請に基づく技術援助及び助言の提供を促進すること。
(2) 機関は、この条に規定する活動を行うに当たり、単独で又は地域取決めを通じ、油による汚染事件に係る準備及び対応に関する各国の能力を強化するよう努める。この場合において、機関は、各国の経験、地域的な協定及び産業上の制度を利用し、並びに開発途上国のニーズに特別の考慮を払う。
(3) この条の規定は、機関が作成し及び常時検討する計画に従って実施する。
(条約の評価)
第13条 締約国は、機関において、この条約の有効性を、その目的に照らし、特に協力及び援助の基礎となる原則を考慮して評価する。
(改正)
第14条 
(1) この条約は、次の(2)又は(3)のいずれかの手続に従って改正することができる。
(2) 機関における審議の後の改正
(a) 締約国の提案する改正案は、機関に提出するものとし、事務局長は、審議の少なくとも6箇月前に、当該改正案を機関のすべての加盟国及びすべての締約国に送付する。
(b) (a)の規定により提案されかつ送付された改正案は、審議のため機関の海洋環境保護委員 会に付託される。
(c) 締約国は、機関の加盟国であるかないかを問わず、海洋環境保護委員会の審議に参加する権利を有する。
(d) 改正案は、出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択される。
(e) (d)の規定に従って採択された改正は、受諾のため、事務局長によりすべての締約国に送付される。
(f) 
(i) この条約のいずれかの条又は附属書の改正は、締約国の3分の2により受諾された日に受諾されたものとみなされる。
(ii) 付録の改正は、海洋環境保護委員会が当該改正を採択する際に決定する期間(10箇月以上とする。)を経過した日に受諾されたものとみなされる。ただし、当該期間内に3分の1以上の締約国が事務局長に対し異議を通告した場合は、この限りでない。
(g) 
(i) (f)(i)の規定により受諾されたこの条約のいずれかの条又は附属書の改正は、事務局長に対し受諾の通告を行った締約国について、当該改正が受諾されたものとみなされる日の後6箇月で効力を生ずる。
(ii) (f)(ii)の規定により受諾された付録の改正は、すべての締約国について、当該改正が受諾されたものとみなされる日の後6箇月で効力を生ずる。ただし、同日前に異議を通告した締約国については、この限りでない。締約国は、事務局長に対して通告を行うことにより、先に通告した異議をいつでも撤回することができる。
(3) 会議による改正
(a) 事務局長は、いずれかの締約国が締約国の3分の1以上の同意を得て要請する場合には、この条約の改正について審議するため、締約国会議を招集する。
(b) 事務局長は、締約国会議において出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択された改正を、受諾のため、すべての締約国に送付する。
(c) 改正は、締約国会議において別段の決定が行われない限り、(2)の(f)及び(g)に定めるところにより、受諾されたものとみなされ、かつ、効力を生ずる。
(4) 附属書又は付録を追加するための改正は、附属書の改正に適用される手続に従って採択され及び効力を生ずる。
(5) (2)(f)(i)の規定によるいずれかの条若しくは附属書の改正若しくは(4)の規定による附属書若しくは付録を追加するための改正を受諾しなかった締約国又は(2)(f)(ii)の規定による付録の改正に異議を通告した締約国は、これらの改正の適用上、締約国でない国として取り扱われる。この取扱いは、(2)(f)(i)の規定による受諾の通告又は(2)(g)(ii)の規定による異議の撤回が行われた際に終了する。
(6) 事務局長は、この条の規定に基づいて効力を生ずる改正及びその効力発生の日をすべての締約国に通報する。
(7) この条の規定に基づく改正に係る受諾、異議又は異議の撤回は、事務局長への書面による通告によって行われ、事務局長は、当該通告及びその受領の日を締約国に通報する。
(8) 付録には、技術的な性質を有する規定のみを定める。
(署名、批准、受諾、承認及び加入)
第15条 
(1) この条約は、機関の本部において、1990年11月30日から1991年11月29日までは署名のため、その後は加入のため、開放しておく。いずれの国も、次のいずれかの方法によって締約国となることができる。
(a) 批准、受諾又は承認を条件とすることなく署名すること。
(b) 批准、受諾又は承認を条件として署名した後、批准し、受諾し又は承認すること。
(c) 加入すること。
(2) 批准、受諾、承認又は加入は、これらのための文書を事務局長に寄託することによって行う。
(効力発生)
第16条 
(1) この条約は、15以上の国が前条に定めるところにより批准、受諾若しくは承認を条件とすることなく署名し又は批准書、受諾書、承認書若しくは加入書を寄託した日の後12箇月で効力を生ずる。
(2) この条約の効力発生のための要件が満たされた日からこの条約の効力発生の日までの間にこの条約の批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託した国については、その批准、受諾、承認又は加入は、この条約の効力発生の日又は当該文章の寄託の日の後3箇月を経過した日のいずれか遅い日に効力を生ずる。
(3) この条約の効力発生の日の後にこの条約の批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託した国については、この条約は、当該文書の寄託の日の後3箇月で効力を生ずる。
(4) この条約の改正が第14条の規定に従って受諾されたものとみなされる日の後に寄託される批准書、受諾書、承認書又は加入書は、改正された条約に係るものとする。
(廃棄)
第17条 
(1) 締約国は、自国についてこの条約の効力が生じた日から5年を経過した後は、いつでもこの条約を廃棄することができる。
(2) 廃棄は、事務局長への廃棄書の送付によって行われる。
(3) 廃棄は、事務局長が廃棄書を受領した後12箇月で、又は廃棄書に明記されたこれよりも長い期間の後に、効力を生ずる。
(寄託者)
第18条 
(1) この条約は、事務局長に寄託する。
(2) 事務局長は、次のことを行う。
(a) すべての署名国又は加入国に対して次の事項を通報すること。
(i) 新たに行われた署名又は批准書、受諾書、承認書若しくは加入書の寄託及びその署名又は寄託の日
(ii) この条約の効力発生の日
(iii) この条約の廃棄書の寄託、その受領の日及びその廃棄が効力を生ずる日
(b) すべての署名国又は加入国の政府に対し、この条約の認証謄本を送付すること。
(3) 寄託者は、この条約が効力を生じたときは直ちに、国際連合憲章第102条の規定に従い、この条約の認証謄本を登録及び公表のため国際連合事務総長に送付する。
(言語)
第19条 この条約は、ひとしく正文であるアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語により原本一通を作成する。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。
1990年11月30日にロンドンで作成した。
附属書 援助に係る費用の償還
(1) 
(a) 油による汚染事件の発生に先立ち、油による汚染事件に対応するための締約国の措置に係る費用の負担について定める協定が二国間又は多数国間で締結されていない場合には、締約国は、次の(i)又は(ii)の規定により、汚染に対応するためにとられた措置に係る費用を負担する。
(i) 締約国が他の締約国の明示の要請に応じて措置をとった場合には、援助を要請した締約国(以下「要請国」という。)は、援助を提供した締約国(以下「提供国」という。)に対し、当該措置に係る費用を償還する。要請国は、その要請をいつでも撤回することができる。この場合には、提供国が既に負担した又は負担することとなる費用については、要請国が負担する。
(ii) 締約国が自己の発意で措置をとった場合には、当該措置に係る費用については、当該締約国が負担する。
(b) (a)に定める原則は、関係する締約国が個々の事案において別段の合意をする場合には、適用されない。
(2) 提供国が要請国の要請に応じてとった措置に係る費用は、別段の合意がある場合を除くほか、そのような費用の償還に関する提供国の法令及びその時の慣行に従って公正に計算される。
(3) 要請国及び提供国は、適当な場合には、賠償及び補償の請求に関する手続を終了させることについて協力する。このため、要請国及び提供国は、既に存在する法制度に十分な考慮を払う。このようにして終了した手続の結果として援助の実施に関する活動に要した費用の全額について賠償又は補償が行われない場合には、要請国は、提供国に対し、賠償若しくは補償が行われた額を超える費用の償還の請求を放棄し又は(2)の規定に従って計算された費用の額を減額するよう要請することができる。要請国は、また、当該費用の償還の延期を要請することができる。提供国は、これらの要請を検討するに当たり、開発途上国のニーズに十分な考慮を払う。
(4) この条約の規定は、いかなる意味においても、汚染又はその脅威に対応するための措置に係る費用を締約国が第三者から回収する権利であって国内法及び国際法の他の関係する規定及び規則に基づくものを害するものと解してはならない。責任条約及び基金条約又はこれらの条約の改正については、特別の考慮が払われる。