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みなみまぐろの保存のための条約

【目次】
  平成6・5・19・条約  3号  
改正平成6・5・20・外務省告示303号  


みなみまぐろの保存のための条約をここに公布する。
この条約の締約国は、
みなみまぐろに関する共通の利益を考慮し、
オーストラリア、日本国及びニュー・ジーランドが、みなみまぐろの保存及び管理のための措置を既に講じてきたことを想起し、
関連する国際法の諸原則に基づく締約国の権利及び義務に十分な考慮を払い、
海洋法に関する国際連合条約が1982年に採択されたことに留意し、
諸国が排他的経済水域又は漁業水域を設定し、かつ、これらの水域内において生物資源の探査、開発、保存及び管理のための主権的権利又は管轄権を国際法に従って行使していることに留意し、
みなみまぐろがこれらの水域を通過して回遊する高度回遊性の種であることを認め、
みなみまぐろが自国の排他的経済水域又は漁業水域を通過して回遊する沿岸国が、これらの水域内においてみなみまぐろを含む生物資源の探査、開発、保存及び管理のための主権的権利を行使していることに留意し、
みなみまぐろの保存及び管理のための科学的調査の重要性並びにみなみまぐろ及び生態学上これに関連する種に関する科学的情報の収集の重要性を認め、
みなみまぐろの保存及び最適利用を確保するため、協力することが不可欠であることを認めて、
次のとおり協定した。
 
第1条 この条約は、みなみまぐろ(トゥヌス・マコイイ)について適用する。
 
第2条 この条約の適用上、
(a) 「生態学上関連する種」とは、みなみまぐろと関連を有する海産生物の種(みなみまぐろを捕食する生物及びみなみまぐろのえさとなる生物の双方を含むが、これらに限られない。)をいう。
(b) 「漁獲」とは、次の(i)及び(ii)をいう。
(i) 魚類を採捕すること又は魚類を採捕する結果になると合理的に予想し得るその他の活動
(ii) (i)に掲げる活動を準備し又は直接に補助するための海上における作業
 
第3条 この条約の目的は、みなみまぐろの保存及び最適利用を適当な管理を通じて確保することにある。
 
第4条 この条約のいかなる規定も、又はこの条約の規定に基づいて採択されるいかなる措置も、この条約の締約国が締約国となっている条約その他の国際的な合意に基づく権利及び義務に関する当該締約国の立場又は見解並びに海洋法に関する当該締約国の立場又は見解を害するものとみなしてはならない。
 
第5条 
1 各締約国は、この条約の実施及び第8条7の規定により拘束力を有することとなる措置の遵守を確保するため、すべての必要な行動をとる。
2 締約国は、みなみまぐろ保存委員会に対し、みなみまぐろ及び適当な場合には生態学上関連する種の保存に関係のある科学的情報、漁獲量及び漁獲努力に係る統計その他の資料を速やかに提供する。
3 締約国は、適当な場合には、みなみまぐろ及び生態学上関連する種の科学的調査に関係のある漁業資料、生物学標本その他の情報の収集及び直接交換について協力する。
4 締約国は、この条約の締約国でない国又は団体の国民、住民又は船舶によるみなみまぐろの漁獲に関する情報の交換について協力する。
 
第6条 
1 締約国は、この条約によりみなみまぐろ保存委員会(以下「委員会」という。)を設置する。締約国は、委員会を維持することに合意する。
2 各締約国は、委員会において3人以下の代表により代表されるものとする。これらの代表は、専門家及び顧問を同伴することができる。
3 委員会は、毎年8月1日の前に又は委員会が決定する他の時期に年次会合を開催する。
4 委員会は、各年次会合において、代表のうちから議長及び副議長を選出する。議長及び副議長は、異なる締約国から選出されるものとし、後任者がその次の年次会合において選出されるまでの間在任する。代表は、議長として行動する場合には、投票権を有しない。
5 委員会の特別会合は、いずれかの締約国の要請により、かつ、その要請が少なくとも他の二の締約国の支持を得た場合に、議長が招集する。
6 特別会合は、この条約に関連するすべての事項を審議することができる。
7 委員会の会合の定足数は、締約国の総数の3分の2とする。
8 委員会は、その第1回会合において委員会の任務の遂行に必要な手続規則その他の運営上の内部規則を決定する。委員会は、必要な場合には、これらの規則を改正することができる。
9 委員会は、法人格を有するものとし、他の国際機関との関係において及び締約国の領域において、その任務の遂行及びその目的の達成のために必要な法律上の能力を有する。締約国の領域における委員会及びその職員の特権及び免除は、委員会と関係締約国との間で合意するところによる。
10 委員会は、第10条1の規定に基づき事務局を設置する時に委員会の本部の所在地を決定する。
11 委員会の公用語は、日本語及び英語とする。提案及び資料は、いずれの国語によっても委員会に提出することができる。
 
第7条 各締約国は、委員会において一の票を有する。委員会の決定は、委員会の会合に出席する締約国の全会一致の投票によって行う。
 
第8条 
1 委員会は、次に掲げる情報を収集し、及び蓄積する。
(a) みなみまぐろ及び生態学上関連する種に関する科学的情報、統計資料その他の情報
(b) みなみまぐろ漁業に係る法令及び行政措置に関する情報
(c) みなみまぐろに関するその他の情報
2 委員会は、次に掲げる事項について審議する。
(a) この条約及びこの条約の規定に基づいて採択する措置の解釈及び実施
(b) みなみまぐろの保存、管理及び最適利用のための規制措置
(c) 次条に定める科学委員会によって報告される事項
(d) 次条に定める科学委員会に委託する事項
(e) 第10条に定める事務局に委託する事項
(f) この条約の規定を実施するために必要なその他の活動
3 みなみまぐろの保存、管理及び最適利用のため、
(a) 委員会は、次条2(c)及び(d)に規定する科学委員会の報告及び勧告に基づき他の適当な措置を決定しない限り、総漁獲可能量及び締約国に対する割当量を決定する。
(b) 委員会は、必要な場合には、その他の追加的な措置を決定することができる。
4 委員会は、3の規定に基づき締約国に対する割当量を決定する際に、次の事項を考慮する。
(a) 関連する科学的な証拠
(b) みなみまぐろ漁業の秩序ある持続的発展の必要性
(c) みなみまぐろが自国の排他的経済水域又は漁業水域を通過して回遊する締約国の利益
(d) みなみまぐろの漁獲に従事する船舶の所属する締約国(歴史的に当該漁獲に従事してきた締約国及び自国のみなみまぐろ漁業が開発途上にある締約国を含む。)の利益
(e) みなみまぐろの保存、増殖及び科学的調査に対する各締約国の寄与
(f) 委員会が適当と認めるその他の事項
5 委員会は、この条約の目的の達成を促進するため、締約国に対する勧告を決定することができる。
6 委員会は、3の規定に基づく措置及び5の規定に基づく勧告を決定する際に、次条2(c)及び(d)に基づく科学委員会の報告及び勧告を十分に考慮する。
7 3の規定に基づいて決定されるすべての措置は、締約国を拘束する。
8 委員会は、その決定する措置及び勧告をすべての締約国に速やかに通告する。
9 委員会は、みなみまぐろの保存及び管理に必要な科学的知識を増進するため並びにこの条約及びこの条約の規定に基づいて採択する措置の効果的な実施を達成するため、できる限り早期にかつ国際法に反することなく、みなみまぐろに関連するすべての漁獲の活動の状況を把握する制度を開発する。
10 委員会は、その任務の遂行上望ましいと認める補助機関を設置することができる。
 
第9条 
1 締約国は、この条約により委員会の諮問機関として科学委員会を設置する。
2 科学委員会は、次のことを行う。
(a) みなみまぐろの個体群の状態及び傾向を評価し及び分析すること。
(b) みなみまぐろに関する調査及び研究を調整すること。
(c) みなみまぐろ資源の状態及び適当な場合には生態学上関連する種の状態についての所見又は結論(科学委員会における一致した意見、多数の意見及び少数の意見を含む。)を委員会に報告すること。
(d) 適当な場合には、みなみまぐろの保存、管理及び最適利用に関する事項について、意見の一致により委員会に勧告すること。
(e) 委員会によって付託された事項を審議すること。
3 科学委員会の会合は、委員会の年次会合に先立って開催される。科学委員会の特別会合は、いずれかの締約国の要請によって随時招集される。ただし、その要請が少なくとも他の二の締約国によって支持されることを条件とする。
4 科学委員会は、その手続規則を採択し、及び心要に応じて改正する。手続規則及びその改正は、委員会により承認されなければならない。
5 
(a) 各締約国は、科学委員会の構成国となるものとし、適当な科学上の資格を有する代表を任命する。代表は、代表代理、専門家及び顧問を同伴することができる。
(b) 科学委員会は、議長及び副議長を選出する。議長及び副議長は、異なる締約国から選出されるものとする。
 
第10条 
1 委員会は、その決定する条件に基づき、委員会が任命する事務局長及び適当な職員から成る事務局を設置することができる。職員は、事務局長が任命する。
2 事務局が設置されるまでの間、委員会の議長は、その所属する政府の中から委員会の書記として行動する職員を指名する。書記は、3に規定する事務局の任務を1年の任期で遂行するものとする。委員会の議長は、委員会の各年次会合において、書記の氏名及び連絡先を締約国に通告する。
3 事務局の任務は、委員会が定めるものとし、次のことを含む。
(a) 委員会の公用通信を発受すること。
(b) この条約の目的の達成に必要な資料の収集を容易にすること。
(c) 委員会及び科学委員会のために管理関係の報告その他の報告を作成すること。
 
第11条 
1 委員会は、年次予算を決定する。
2 年次予算に係る各締約国の分担金は、次の方式により算定する。
(a) 予算の30パーセントの額は、すべての締約国の間に均等に割り当てる。
(b) 予算の70パーセントの額は、みなみまぐろの漁獲量に比例してすべての締約国の間に割り当てる。
3 第7条の規定にかかわらず、連続した2年の間分担金を支払わない締約国は、委員会が別段の決定をしない限り、その義務を履行するまでの間委員会における決定の手続に参加する権利を有しない。
4 委員会は、その運営及びその任務の遂行に関する会計規則を決定し、及び必要に応じて改正する。
5 各締約国は、委員会及び科学委員会の会合への出席に係る自国の経費を負担する。
 
第12条 委員会は、この条約の目的の達成を促進するため、特に、科学的情報を含む入手可能な最善の情報を取得することにつき、関連する目的を有する他の政府間機関と協力するものとし、また、これらの政府間機関の業務との重複を避けるよう努める。委員会は、このため、これらの政府間機関と取決めを行うことができる。
 
第13条 締約国は、委員会が望ましいと認める場合には、この条約の目的の達成を促進するため、いずれかの国のこの条約への加入を奨励することにつき、相互に協力する。
 
第14条 
1 委員会は、この条約の締約国でない国又は団体であってその国民、住民又は漁船がみなみまぐろを採捕しているもの及びみなみまぐろが自国の排他的経済水域又は漁業水域を通過して回遊する沿岸国に対し、委員会及び科学委員会の会合にオブザーバーを出席させるよう招請することができる。
2 委員会は、政府間機関又は要請がある場合には非政府機関であってみなみまぐろに関し特別の能力を有するものに対して、委員会の会合にオブザーバーを出席させるよう招請することができる。
 
第15条 
1 締約国は、この条約の締約国でない国又は団体の国民、住民又は船舶による漁獲の活動に関する事項であってこの条約の目的の達成に影響を与える可能性があるものについて、当該国又は団体の注意を喚起することに同意する。
2 各締約国は、自国民がこの条約の締約国でない国又は団体によるみなみまぐろ漁業に関与することがこの条約の目的の達成に不利な影響を与える可能性がある場合には、自国民に対しそのようなみなみまぐろ漁業に関与しないよう奨励する。
3 各締約国は、自国の法令の下で登録された船舶がこの条約の規定又はこの条約の規定に基づいて採択される措置の遵守を回避する目的で登録を移転することを防止するため、適切な手段をとる。
4 締約国は、この条約の締約国でない国又は団体の国民、住民又は船舶によるみなみまぐろの漁獲の活動がこの条約の目的の達成に不利な影響を与える可能性がある場合には、そのような活動を抑止するため、国際法及びそれぞれの国内法に合致する適切な手段をとることについて協力する。
 
第16条 
1 この条約の解釈又は実施に関して二以上の締約国間に紛争が生じたときは、これらの締約国は、交渉、審査、仲介、調停、仲裁、司法的解決又はこれらの締約国が選択するその他の平和的手段により紛争を解決するため、これらの締約国間で協議する。
2 1に規定する紛争で1の規定によって解決されなかったものは、それぞれの場合にすべての紛争当事国の同意を得て、解決のため国際司法裁判所又は仲裁に付託する。もっとも、紛争当事国は、国際司法裁判所又は仲裁に付託することについて合意に達することができなかった場合においても、1に規定する各種の平和的手段のいずれかにより紛争を解決するため引き続き努力する責任を免れない。
3 紛争が仲裁に付託される場合には、仲裁裁判所は、この条約の附属書の定めるところにより構成する。附属書は、この条約の不可分の一部を成す。
 
第17条 
1 この条約は、オーストラリア、日本国及びニュー・ジーランドによる署名のために開放しておく。
2 この条約は、前記の三箇国により各自の国内法上の手続に従い批准され、受諾され又は承認されなければならず、3番目の批准書、受諾書又は承認書が寄託された日に効力を生ずる。
 
第18条 この条約の効力発生後、自国の船舶がみなみまぐろの漁獲に従事する他の国又はみなみまぐろが自国の排他的経済水域若しくは漁業水域を通過して回遊する他の沿岸国は、この条約に加入することができる。この条約は、当該他の国又は当該他の沿岸国に対しては、その国の加入書の寄託の日に効力を生ずる。
 
第19条 留保は、この条約のいかなる規定についても付することができない。
 
第20条 いずれの締約国も、この条約から脱退する意図を寄託政府に公式に通告した日の後12箇月でこの条約から脱退することができる。
 
第21条 
1 いずれの締約国も、この条約の改正をいつでも提案することができる。
2 3分の1以上の締約国が提案された改正につき協議するための会合を要請する場合には、寄託政府は、会合を招集する。
3 改正は、寄託政府がすべての締約国から改正の批准書、受諾書又は承認書を受領した時に、効力を生ずる。
 
第22条 
1 この条約の原本は、寄託政府であるオーストラリア政府に寄託する。寄託政府は、その認証謄本を他のすべての署名国及び加入国に送付する。
2 この条約は、寄託政府が国際連合憲章第102条の規定により登録する。

以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。
1993年5月10日にキャンベラで、ひとしく正文である英語及び日本語により原本一通を作成した。
仲裁裁判所に関する附属書

1 第16条3にいう仲裁裁判所は、次のとおり任命される3人の仲裁人により構成する。
(a) 仲裁手続を開始する紛争当事国は、他の紛争当事国に仲裁人の氏名を通報するものとし、他の紛争当事国は、その通報を受けた後40日以内に第二の仲裁人の氏名を通報する。紛争当事国は、第二の仲裁人が任命された後60日以内に、いずれの紛争当事国の国民でもなく、かつ、最初の2人の仲裁人の有している国籍のいずれをも有していない第三の仲裁人を任命する。第三の仲裁人が、仲裁裁判所を主宰する。
(b) 第二の仲裁人が所定の期間内に任命されなかった場合又は第三の仲裁人の任命について紛争当事国が所定の期間内に合意に達しなかった場合には、当該第二又は第三の仲裁人は、いずれかの紛争当事国の要請により、この条約の締約国である国の国籍を有していない国際的に名声のある者のうちから常設仲裁裁判所事務総長が任命する。
2 仲裁裁判所は、その本部の場所を決定するものとし、また、その手続規則を採択する。
3 仲裁裁判所の判断は、その構成員の多数決により行われるものとし、構成員は、投票に際し棄権することができない。
4 紛争当事国でないいずれの締約国も、仲裁裁判所の同意を得て仲裁手続に参加することができる。
5 仲裁裁判所の判断は、最終的なものとし、すべての紛争当事国及び仲裁手続に参加するいずれの国も拘束する。これらの国は、直ちにその判断に従うものとする。仲裁裁判所は、一の紛争当事国又は仲裁手続に参加するいずれかの国の要請により、判断について解釈を行う。
6 特別な事情のある紛争であることを理由として仲裁裁判所が別段の決定を行う場合を除くほか、仲裁裁判所の経費(その構成員の報酬を含む。)は、紛争当事国が均等に負担する。

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