常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関するアメリカ合衆国政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府及びカナダ政府の間の協定をここに公布する。
アメリカ合衆国政府(以下「合衆国政府」又は「合衆国」という。)、
欧州宇宙機関の加盟国の政府であるべルギー王国、デンマーク王国、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国、オランダ王国、ノールウェー王国、スペイン王国及びグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国の政府(以下「欧州諸国政府」又は「欧州参加主体」と総称する。)、
日本国政府(以下「日本国」ともいう。)並びにカナダ政府(以下「カナダ」ともいう。)は、1984年1月25日の合衆国大統領の一般教書演説において、合衆国大統領が、平和、繁栄及び自由を促進するため、航空宇宙局(NASA)に対して常時有人の宇宙基地を10年以内に開発し及び軌道に乗せるよう指示するとともに合衆国の友好国及び同盟国に対して同基地の開発及び利用に参加し、当該開発及び利用の利益を共有するよう招請したことを想起し、並びに宇宙基地計画における国際協力についての合衆国の関心を再確認するNASA長官の書簡を想起し、
1985年1月31日に欧州宇宙機関(ESA)の閣僚理事会の会合において採択された決議の規定及び合衆国政府に対する同規定の伝達を想起し、並びにESAの枠組みの範囲内で、かつ、ESAを設立する条約第2条に定めるESAの目的に従って、コロンバス計画により常時有人の民生用宇宙基地の要素の開発が実施されてきたこと及び実施されていくであろうことを想起し、
1985年3月のケべックにおける合衆国大統領との首脳会談においてカナダ首相が前記の招請を受諾したこと及び1986年3月のワシントンにおける首脳会談において両首脳が協力についての関心を相互に確認したことを想起し、
1984年及び1985年におけるNASA長官の日本国訪問において明らかにされた日本国の宇宙基地計画についての関心を想起し、
1985年6月3日に効力を生じた常時有人の宇宙基地の開発、運用及び利用における一層の協力に向けての詳細定義及び予備設計の並行研究(B段階)の実施のためのNASAとESAとの間の了解覚書及び1985年4月16日に効力を生じた常時有人の宇宙基地の詳細定義及び予備設計(B段階)に関する協力計画のためのNASAとカナダ科学技術省(MOSST)との間の了解覚書を考慮し、
1980年5月1日に効力を生じた科学技術における研究開発のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の下で締結され、1985年5月9日に効力を生じた常時有人の宇宙基地の詳細定義及び予備設計の活動に関する協力計画のためのNASAと科学技術庁(STA)との間の了解覚書を考慮し、
更に、これらの了解覚書が、詳細定義及び予備設計の活動の遂行におけるNASAとESAとの間、NASAとSTAとの間及びNASAとMOSSTとの間の協力を通じて成功裡に実施されてきたことに留意し、
1967年10月10日に効力を生じた月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(以下「宇宙条約」という。)を想起し、
1968年12月3日に効力を生じた宇宙飛行士の救助及び返還並びに宇宙空間に打ち上げられた物体の返還に関する協定(以下「救助協定」という。)を想起し、
1972年9月1日に効力を生じた宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約(以下「責任条約」という。)を想起し、
1976年9月15日に効力を生じた宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約(以下「登録条約」という。)を想起し、
宇宙空間の探査及び平和的利用に関する長期間の実りある相互協力が、広範な宇宙科学及び応用の分野における協力活動の成功裡の実施を通じて行われてきたことを想起し、
ESA及びカナダが、欧州による最初の有人宇宙実験室(スペースラブ)の開発及びカナダによる遠隔マニピュレーター・システムの開発を通じて合衆国宇宙輸送システムに参加してきたことを想起し、
第一次材料実験を通じての日本国による合衆国の宇宙計画への参加を想起し、
宇宙基地が、低重力の環境、宇宙のほぼ完全な真空状態並びにその位置の地球及び宇宙の他の部分の観測における利点の利用を可能にすることにより、宇宙科学技術における国際協力のための独特の機会を提供することを確信し、
常時有人の民生用宇宙基地に関して共同して活動することにより、長期間の相互に有益な関係の確立を通ずる協力が更に拡大され並びに宇宙空間の探査及び平和的利用における協力が更に促進されることを確信し、
この協定の政府間交渉に関連してNASAとESAとの間、NASAと日本国政府との間及びNASAとMOSSTとの間で常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関する了解覚書が準備されたこと並びにこれらの了解覚書にこの協定の実施に関する詳細が規定されることを認識し、
前記に照らして、合衆国政府、欧州諸国政府、日本国政府及びカナダ政府の間で宇宙基地の設計、開発、運用及び利用のための枠組みを確立することが望ましいことを認識して、
次のとおり協定した。
第6条
1 この協定に別段の定めがある場合を除くほか、合衆国、欧州参加主体及びカナダは、それぞれの協力機関を通じ、また、日本国については第25条2の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の時に日本国が指定する機関が、附属書に掲げる要素であって自己が提供するものを所有する。参加主体は、自己の協力機関を通じ、宇宙基地上の装置の所有権に関して相互に通知する。
2 欧州参加主体は、自己が提供する要素についての所有権並びに宇宙基地又はその運用若しくは利用に対する貢献としてESAの計画の下で開発され及び資金を負担されたその他の装置についての所有権を、当該参加主体の名において、かつ、当該参加主体のために行動するESAに対し、委託する。
3 附属書に掲げる要素又は宇宙基地上の装置の所有権の移転は、この協定、了解覚書及び実施取決めに基づく参加主体の権利及び義務に影響を及ぼすものではない。
4 参加主体は、他の参加主体の事前の同意なしに、宇宙基地上の装置を参加主体以外の国又はその管轄下にある民間主体に所有させてはならず、また、附属書に掲げる要素の所有権をこれらの者に移転してはならない。附属書に掲げる要素の所有権のいかなる移転も、他の参加主体に対する事前の通知を必要とする。
5 利用者が提供する装置又は物質の所有権は、当該装置又は物質が単に宇宙基地上にあることによっては影響を受けない。
6 要素の所有権若しくは登録又は装置の所有権は、それ自体では、宇宙基地上で活動が行われた結果生ずる物質又はデータの所有権を示すものではない。
7 要素及び装置の所有権の行使は、この協定、了解覚書及び実施取決めの関連規定(これらの文書に定める関連の手続上の仕組みを含む。)に従う。
第7条
1 NASAを通じて行動する合衆国は、了解覚書及び実施取決めに従い、自国の計画を運営し及びこれに関する指示を行う責任を有する。NASAを通じて行動する合衆国は、また、この条及び了解覚書に別段の定めがある場合を除くほか、宇宙基地計画に関する全体的な調整及び指示を行う責任を有する。更に、NASAを通じて行動する合衆国は、了解覚書及び実施取決めに従い、全体的なシステム・エンジニアリング及びシステム統合を行う責任並びに全体的な安全要求及び安全計画を設定する責任を有する。NASAを通じて行動する合衆国は、また、了解覚書及び実施取決めに従い、有人本体及び合衆国の極軌道プラットフォームの日常の運用に関する指示及び全体的な計画立案を行う責任を有する。更に、NASAを通じて行動する合衆国は、了解覚書及び実施取決めに従い、自国による宇宙基地の利用活動を運営する責任を有する。
2 協力機関を通じて行動する他の参加主体は、1に規定するNASAの全体的な責任と両立する範囲内で、了解覚書及び実施取決めに従い、自己の計画を運営し及びこれに関する指示を行う責任、自己が提供する要素のシステム・エンジニアリング及びシステム統合を行う責任、自己が提供する要素に関する詳細な安全要求及び安全計画を作成し及び実施する責任並びにNASAが有人本体の日常の運用に関する指示及び全体的な計画立案を行うことを支援する責任を有する。協力機関を通じて行動する他の参加主体は、了解覚書及び実施取決めに従い、自己による宇宙基地の利用活動を運営する責任を有する。
3 設計上及び開発上の問題が、欧州参加主体、日本国又はカナダが提供する有人本体の要素のみに関係し、かつ、了解覚書に規定する合意された共同計画文書に定められていない場合には、その限度において、協力機関を通じて行動する参加主体は、自己の要素に関する決定を行うことができる。
4 ESAを通じて行動する欧州参加主体は、NASAとESAとの間の了解覚書及び実施取決めに従い、自己が提供する極軌道プラットフォーム及び有人支援型フリー・フライヤー(以下「MIFF」という。)を設計し及び開発する責任並びにその日常の運用に関する指示及び計画立案を行う責任を有する。ただし、これらの活動がNASAの宇宙輸送システム又は有人本体に対して当該極軌道プラットフォーム及びMTFFのための役務の提供に関連する影響を与えない場合に限る。
5 自己が提供する要素について参加主体及びその協力機関が有する意思決定の責任は、この協定及び了解覚書に規定する。協力機関を通じて行動する参加主体は、この協定及び了解覚書に定めるところに従い、宇宙基地の設計及び開発並びにその安全で効率的かつ効果的な運用及び利用に影響を及ぼす活動を計画し及び調整する運営組織を設立し、これらに参加する。運営組織においては、意見の一致による意思決定を目標とする。協力機関が意見の一致に達することができない場合における運営組織内の意思決定(有人本体に関するNASAの意思決定及び有人本体から分離している要素に関するNASA又は他の協力機関の意思決定を含む。)の仕組みは、了解覚書で定める。
第9条
1 合衆国は、1及び5に別段の定めがある場合を除くほか、自国が提供する有人本体の利用要素の利用権を保持する。合衆国は、有人本体を運用し及び利用するために自国が提供する宇宙基地の基盤施設から得られる資源を、他の参加主体に提供する。合衆国が欧州参加主体及び日本国に対して当該資源を提供することと引換えに、欧州参加主体及び日本国は、それぞれ、取付型与圧棟(以下「APM」という。)及び日本実験棟(以下「JEM」という。)の利用権の一定割合を合衆国に提供する。
2 欧州参加主体は、1及び5に別段の定めがある場合を除くほか、自己が提供するMTFF及びAPMの利用権を保持する。
3 合衆国及び欧州参加主体は、均衡のとれた相互主義に基づき、相互の極軌道プラットフォームの利用権の一部を有する。
4 日本国は、1及び5に別段の定めがある場合を除くほか、自国が提供するJEMの利用権を保持する。
5 カナダは、有人本体を運用し及び利用するために自国が提供する宇宙基地の基盤施設から得られる資源を、他の参加主体に提供する。カナダが宇宙基地の基盤施設の不可欠な一部を提供することと引換えに、すべての他の参加主体は、有人本体のすベての利用要素及び極軌道プラットフォームの利用権の一定割合をカナダに提供する。
6 1から5までの規定は、宇宙基地の利用要素の利用権及び宇宙基地の基盤施設から得られる資源の参加主体間における配分について定める。参加主体間における具体的な配分は、了解覚書及び実施取決めで定める。MTFFに役務を提供するための有人本体の資源は、NASAとESAとの間の了解覚書及び実施取決めに定めるところに従って使用することができる。
7 参加主体は、自己の配分のいかなる部分についても、交換又は売却を行う権利を有する。合衆国は、NASAとESAとの間の了解覚書に定めるところに従い、MTFFの利用権の一定割合について講入又は交換を行う選択権を有する。交換又は売却の条件は、取引の当事者が案件ごとに決定する。
8 各参加主体は、この協定の目的並びに了解覚書及び実施取決めの規定に合致するいかなる目的のためにも、自己の配分を利用し及びその利用者を選択することができる。ただし、次のことを条件とする。
(a) 参加主体以外の国又はその管轄下にある民間主体に利用要素を利用させる場合には、すベての参加主体に対しその協力機関を通じて事前の通知を行い、かつ、当該要素を提供している参加主体の同意及び、当該要素が有人本体の要素又は有人本体に合体している要素である場合には、合衆国の同意を得ることを必要とする。
(b) 要素の企図されている利用が平和的目的のためのものであるかないかについては、当該要素を提供している参加主体が決定する。もっとも、この(b)の規定は、宇宙基地の基盤施設から得られる資源のいずれかの参加主体による利用を妨げるために援用されてはならない。
9 各参加主体は、その協力機関を通じ、宇宙基地を利用するに当たり、他の参加主体による宇宙基地の利用に重大な悪影響を及ぼすことを避けるよう、了解覚書に定める仕組みを通じて努力する。
10 各参加主体は、宇宙基地の自己の要素について、他の参加主体のそれぞれの配分に応じて、当該他の参加主体による利用及びその可能性を確保する。
11 この条の規定の適用上、合衆国によるこの協定への署名の時にESAの加盟国であったESAの加盟国は、「参加主体以外の国」としない。
第14条
1 参加主体は、宇宙基地が能力の追加を通じて発展することを意図し、また、その発展がすベての参加主体からの貢献を通じて実現される可能性を最大にするよう努力する。このため、各参加主体は、適当な場合には、能力の追加に関する自己の提案に協力する機会を他の参加主体に対して与えるよう努力する。能力が追加された宇宙基地は、引き続き民生用の基地とし、また、その運用及び利用は、国際法に従って平和的目的のために行われる。
2 この協定は、附属書に掲げる要素のみに関する権利及び義務を定める。ただし、この条及び第16条の規定は、いかなる能力の追加にも適用する。この協定は、いずれの参加国に対しても能力の追加に参加することを義務付けず、また、いずれの参加主体に対しても能力の追加に伴う権利を付与しない。
3 発展に関する参加主体のそれぞれの研究の調整及び能力の追加に関する具体的な提案の検討のための手続は、了解覚書で定める。
4 能力の追加についての分担に関する参加主体間の協力には、3に定める調整及び検討の後、この協定の改正又は別の取極を必要とする。この別の取極は、追加が有人本体に対して行われる揚合又は追加が有人本体若しくはNASA宇宙輸送システムに対して技術上若しくは運用上の影響を与える場合には、当該追加が第7条に定める合衆国の全体的な計画責任と両立することを確保するため、合衆国をその当事者の一とする。
5 3に定める調整及び検討の後、一の参加主体が能力の追加を行う場合には、他の参加主体に対する事前の通告を必要とする。当該追加が有人本体に対して行われる場合又は当該追加が有人本体若しくはNASA宇宙輸送システムに対して技術上若しくは運用上の影響を与える場合には、当該追加が第7条に定める合衆国の全体的な計画責任と両立することを確保するため、合衆国との間の取極を必要とする。
6 4又は5に定める能力の追加によって影響を受けることのある参加主体は、第23条の規定により他の参加主体との協議を要請することができる。
7 能力の追加は、影響を受ける参加国が別段の合意をしない限り、いかなる場合にも、附属書に掲げる要素に関するこの協定又は了解覚書上のいずれの参加国の権利又は義務も修正するものではない。
第19条
1 この1に別段の定めがある場合を除くほか、協力機関を通じて行動する各参加主体は、関連の了解覚書及び実施取決めに基づく自己の協力機関の責任を果たすために(移転に係る双方の当事者によって)必要と認められるすべての技術データ及び物品を移転する。各参加主体は、宇宙基地協力のために他の参加主体の協力機関が行う技術データ又は物品についての要請を迅速に処理することを約束する。この1の規定は、参加国に対し、自国の国内法令に反して技術データ及び物品を移転することを要求するものではない。
2 参加主体は、参加主体及びその協力機関以外の者による技術データ及び物品の移転(例えば、将来増加が見込まれる企業間の技術データ及び物品の交換)に係る許可の要請を迅速に処理するよう最善の努力を払うものとし、また、この協定に基づく宇宙基地協力に関連して行われるそのような移転を奨励し、及び容易にする。当該移転には、この2の規定を除くほか、この条の規定を適用しない。当該移転には、国内法令を適用する。
3 参加主体は、この協定の下での技術データ及び物品の移転がこの3に規定する制限に従うことに合意する。この3に規定する制限の対象とならない技術データ又は物品は、国内法令によって別段の制限を受ける場合を除くほか、制限を受けることなく移転される。
(a) 提供側の協力機関は、輸出管理上保護されるベき技術データ又は物品については、表示を行うことその他の方法による特別の指定を行う。このような表示等による指定においては、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者が当該技術データ及び物品を利用するに当たっての具体的な条件を示すものとする。その条件には、次のことを含む。
(1) 当該技術データ又は物品が、この協定及び関連の了解覚書に基づく受領側の協力機関の責任を果たす目的のためにのみ利用されること。
(2) 当該技術データ及び物品が、協力機関を通じて行動する提供側の参加国による事前の書面による許可なしに、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者以外の者によって利用されてはならず、また、(1)の目的以外のいかなる目的のためにも利用されてはならないこと。
(b) 提供側の協力機関は、所有権的権利上保護されるべき技術データについては、表示を行う。この表示においては、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者が当該技術データを利用するに当たっての具体的な条件を示すものとする。その条件には、次のことを含む。
(1) 当該技術データが、この協定及び関連の了解覚書に基づく受領側の協力機関の責任を果たす目的のためにのみ利用され、複写され又は開示されること。
(2) 当該技術データが、協力機関を通じて行動する提供側の参加国による事前の書面による許可なしに、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者以外の者によって利用されてはならず、また、(1)の目的以外のいかなる目的のためにも利用されてはならないこと。
(c) この協定の下で移転されるいずれかの技術データ又は物品が秘密の指定を受けている場合には、提供側の協力機関は、当該技術データ又は物品について表示を行うことその他の方法による特別の指定を行う。要請される側の参加国は、秘密の指定を受けている技術データ又は物品の移転及び保護に係る条件について定める情報保護のための取極又は取決めに基づいて、当該技術データ又は物品の移転が行われることを要求することができる。受領側の参加国が、国家安全保障上の目的のために秘密の指定を受け又は他の方法により秘密に保持されている情報を含む特許出願の秘密に対し保護を与えていない場合には、移転を行うことを必要としない。双方の当事者が移転に合意しない限り、秘密の指定を受けているいかなる技術データ又は物品も、この協定の下で移転されてはならない。
4 参加国は、3の(a)から(c)までの規定の下で自国が受領する技術データ又は物品が、受領側の参加国、その協力機関及び当該技術データ又は物品の二次的な移転を受ける他の者(契約者及び下請契約者を含む。)により、表示等による指定において示されている条件に従って取り扱われることを確保するため、すべての必要な措置をとる。参加国及び協力機関は、当該技術データ又は物品の認められていない利用、開示又は再移転を防ぐため及び当該技術データ又は物品に対する認められていない接近を防ぐため、合理的に判断して必要と認められるすベての措置(自己の契約及び下請契約において適当な契約条件を確保する措置を含む。)をとる。3(c)の規定の下で受領する技術データ又は物品については、受領側の参加国又は協力機関は、当該技術データ又は物品に対して提供側の参加国又は協力機関が与える保護の水準と少なくとも同等の水準の保護を与える。
5 参加主体は、受領者に対し、受領した技術データ又は物品をこの条の規定の下で課される条件に従って利用し、開示し及び再移転する権利を超えるいかなる権利もこの協定又は関連の了解覚書を通じて与えることを意図しない。
6 第27条の規定による脱退の取極で別段の合意がされる場合を除くほか、参加国によるこの協定からの脱退は、当該脱退に先立ってこの協定の下で移転された技術データ及び物品の保護に関する権利又は義務に影響を及ぼすものではない。
7 この条の規定の適用上、協力機関からESAへの技術データ及び物品の移転は、当該移転の時に特段の条件が付されない限り、ESA及びすベての欧州参加国並びに宇宙基地に関連してESAが指定する契約者及び下請契約者に対して行われるものとみなす。
第21条
1 この協定の適用上、「知的所有権」とは、1967年7月14日にストックホルムにおいて作成された世界知的所有権機関を設立する条約第2条に規定する意味を有するものと了解する。
2 この条の規定に従うことを条件として、知的所有権に係る法律の適用上、宇宙基地の飛行要素上において行われる活動は、当該要素の登録を行った参加国の領域においてのみ行われたものとみなす。ただし、ESAが登録した要素については、いかなる欧州参加国も、当該活動が自国の領域内で行われたものとみなすことができる。参加国又はその協力機関若しくは関係者による他の参加主体の宇宙基地の飛行要素上における活動への参加は、それ自体では、この2に規定する当該活動に対する管轄権を変更し又はこれに影響を及ぼさないことが確認される。
3 参加国は、宇宙基地の飛行要素上において自国の国民及び居住者以外の者が行った発明について、他の参加国であって国家安全保障上の目的のために秘密の指定を受け又は他の方法により保護されている情報を含む特許出願の秘密に対し保護を与えている国における特許出願を(例えば、延期を強制し又は事前の許可の取得を要求することにより)妨げるために、発明の秘密に関する自国の法律を適用してはならない。この規定は、(a)特許出願が最初に行われた参加国が当該特許出願の秘密を管理し若しくは当該特許出願のその後の出願を制限する権利又は(b)出願がその後に行われた他の参加国が国際的な義務に基づいて出願の開示を制限する権利を害するものではない。
4 二以上の欧州参加国で保護されている知的所有権を有する者は、ESAの登録要素上において行われた当該知的所有権に係る同一の権利に対する同一の侵害行為については、当該欧州参加国のいずれか一の国においてのみ救済を受けることができる。二以上の欧州参加国がESAの登録要素上における同一の侵害行為を自国の領域において行われたものとみなした結果当該侵害行為について知的所有権の二以上の異なる所有者による訴訟が提起された場合には、裁判所は、先に提起された訴訟における結果が出るまで、後に提起された訴訟の手続を一時的に中止することができる。二以上の訴訟が提起された場合において、いずれか一の訴訟において損害について下された判決の内容が実現されたときは、同一の侵害行為に基づく侵害に関する係争中の又は将来の訴訟によって更に損害を回復することはできない。
5 ESAの登録要素上において行われる活動については、いずれの欧州参加国も、知的所有権の実施のための許諾がいずれかの欧州参加国の法律に基づきその有効性を認められている場合には、当該許諾の有効性を認めなければならず、また、当該許諾の条件が遵守されている限り、いずれの欧州参加国においても侵害の救済を受けることができない。
6 地球上の地点と参加国又はESAによって登録される宇宙基地の飛行要素との間を移動中の物品(飛行要素の構成物を含む。)の他の参加国の領域における一時的な存在は、それ自体では、当該他の参加国における特許侵害についての手続の基礎とはならない。
第27条
1 参加国は、寄託者に対して少なくとも1年前に書面による通告を行うことにより、いつでもこの協定から脱退することができる。いずれかの欧州参加国の脱退は、この協定に基づく欧州参加主体の権利又は義務に影響を及ぼすものではない。
2 参加主体は、いずれかの参加主体がこの協定からの脱退の通告を行う場合には、全体的な計画の継続を確保するため、脱退の効力発生の日前に当該参加主体の脱退の条件について合意に達するよう、努力する。
3 カナダは、その貢献が宇宙基地の基盤施設の不可欠な一部であるので、脱退に際し、附属書に掲げるカナダの要素が合衆国によって効果的に使用され及び運用されるよう確保する。このため、カナダは、図面、文書、ソフトウェア、予備品、工具、特殊試験装置その他必要な物品を迅速に提供する。
4 合衆国及びカナダは、2及び3の規定に加え、いずれかの理由によるカナダの脱退の通告に際し、脱退の取極について迅速に交渉を行う。当該取極が附属書に掲げるカナダの要素の合衆国への移転について規定する場合には、当該取極は、合衆国がこの移転のための適正な補償をカナダに与えることについても規定する。
5 いずれかの参加主体がこの協定からの脱退の通告を行う場合には、その協力機関は、この協定からの当該参加主体の脱退の日と同一の日にNASAとの了解覚書から脱退したものとみなす。
6 いずれかの参加国の脱退は、2又は4の規定による脱退の取極に別段の合意がある場合を除くほか、第16条、第17条及び第19条の規定に基づく当該参加国の権利又は義務の存続に影響を及ぼすものではない。
参加主体が提供する宇宙基地の要素の概要は、次のとおりであり、その詳細は、了解覚書で定める。
1 合衆国政府は、NASAを通じて次のものを提供する。
居住棟を含む宇宙基地の基盤要素
利用要素として、有人本体の実験棟(基本的な機能装備品を含む。)、有人本体の取付型搭載物の装着設備及び極軌道プラットフォーム
これらの飛行要素に加えて、宇宙基地専用の地上要素
2 欧州諸国政府は、ESAを通じて次のものを提供する。
利用要素として、有人本体の取付型与圧棟(基本的な機能装備品を含む。)有人本体において役務の提供を受ける有人支援型フリー・フライヤー及び極軌道プラットフォーム
これらの飛行要素に加えて、宇宙基地専用の地上要素
3 日本国政府は、次のものを提供する。
利用要素として、有人本体の日本実験棟(基本的な機能装備品並びに曝露部及び補給部を含む。)
これらの飛行要素に加えて、宇宙基地専用の地上要素
4 カナダ政府は、MOSSTを通じて次のものを提供する。
宇宙基地の基盤要素として、移動型サービス施設(MSC)、MSC保守設備及び特殊目的精密マニピュレーター
これらの飛行要素に加えて、宇宙基地専用の地上要素