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常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関するアメリカ合衆国政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府及びカナダ政府の間の協定

【目次】
  平成4・4・15・条約  1号  
発効平成4・1・30・外務省告示171号  

常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関するアメリカ合衆国政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府及びカナダ政府の間の協定をここに公布する。
アメリカ合衆国政府(以下「合衆国政府」又は「合衆国」という。)、
欧州宇宙機関の加盟国の政府であるべルギー王国、デンマーク王国、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国、オランダ王国、ノールウェー王国、スペイン王国及びグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国の政府(以下「欧州諸国政府」又は「欧州参加主体」と総称する。)、
日本国政府(以下「日本国」ともいう。)並びにカナダ政府(以下「カナダ」ともいう。)は、1984年1月25日の合衆国大統領の一般教書演説において、合衆国大統領が、平和、繁栄及び自由を促進するため、航空宇宙局(NASA)に対して常時有人の宇宙基地を10年以内に開発し及び軌道に乗せるよう指示するとともに合衆国の友好国及び同盟国に対して同基地の開発及び利用に参加し、当該開発及び利用の利益を共有するよう招請したことを想起し、並びに宇宙基地計画における国際協力についての合衆国の関心を再確認するNASA長官の書簡を想起し、
1985年1月31日に欧州宇宙機関(ESA)の閣僚理事会の会合において採択された決議の規定及び合衆国政府に対する同規定の伝達を想起し、並びにESAの枠組みの範囲内で、かつ、ESAを設立する条約第2条に定めるESAの目的に従って、コロンバス計画により常時有人の民生用宇宙基地の要素の開発が実施されてきたこと及び実施されていくであろうことを想起し、
1985年3月のケべックにおける合衆国大統領との首脳会談においてカナダ首相が前記の招請を受諾したこと及び1986年3月のワシントンにおける首脳会談において両首脳が協力についての関心を相互に確認したことを想起し、
1984年及び1985年におけるNASA長官の日本国訪問において明らかにされた日本国の宇宙基地計画についての関心を想起し、
1985年6月3日に効力を生じた常時有人の宇宙基地の開発、運用及び利用における一層の協力に向けての詳細定義及び予備設計の並行研究(B段階)の実施のためのNASAとESAとの間の了解覚書及び1985年4月16日に効力を生じた常時有人の宇宙基地の詳細定義及び予備設計(B段階)に関する協力計画のためのNASAとカナダ科学技術省(MOSST)との間の了解覚書を考慮し、
1980年5月1日に効力を生じた科学技術における研究開発のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の下で締結され、1985年5月9日に効力を生じた常時有人の宇宙基地の詳細定義及び予備設計の活動に関する協力計画のためのNASAと科学技術庁(STA)との間の了解覚書を考慮し、
更に、これらの了解覚書が、詳細定義及び予備設計の活動の遂行におけるNASAとESAとの間、NASAとSTAとの間及びNASAとMOSSTとの間の協力を通じて成功裡に実施されてきたことに留意し、
1967年10月10日に効力を生じた月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(以下「宇宙条約」という。)を想起し、
1968年12月3日に効力を生じた宇宙飛行士の救助及び返還並びに宇宙空間に打ち上げられた物体の返還に関する協定(以下「救助協定」という。)を想起し、
1972年9月1日に効力を生じた宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約(以下「責任条約」という。)を想起し、
1976年9月15日に効力を生じた宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約(以下「登録条約」という。)を想起し、
宇宙空間の探査及び平和的利用に関する長期間の実りある相互協力が、広範な宇宙科学及び応用の分野における協力活動の成功裡の実施を通じて行われてきたことを想起し、
ESA及びカナダが、欧州による最初の有人宇宙実験室(スペースラブ)の開発及びカナダによる遠隔マニピュレーター・システムの開発を通じて合衆国宇宙輸送システムに参加してきたことを想起し、
第一次材料実験を通じての日本国による合衆国の宇宙計画への参加を想起し、
宇宙基地が、低重力の環境、宇宙のほぼ完全な真空状態並びにその位置の地球及び宇宙の他の部分の観測における利点の利用を可能にすることにより、宇宙科学技術における国際協力のための独特の機会を提供することを確信し、
常時有人の民生用宇宙基地に関して共同して活動することにより、長期間の相互に有益な関係の確立を通ずる協力が更に拡大され並びに宇宙空間の探査及び平和的利用における協力が更に促進されることを確信し、
この協定の政府間交渉に関連してNASAとESAとの間、NASAと日本国政府との間及びNASAとMOSSTとの間で常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関する了解覚書が準備されたこと並びにこれらの了解覚書にこの協定の実施に関する詳細が規定されることを認識し、
前記に照らして、合衆国政府、欧州諸国政府、日本国政府及びカナダ政府の間で宇宙基地の設計、開発、運用及び利用のための枠組みを確立することが望ましいことを認識して、
次のとおり協定した。
(目的及び範囲)
第1条 
1 この協定は、国際法に従って平和的目的のために常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用を行うことに関する参加主体間の長期的な国際協力の枠組みを、真の協力関係を基礎として、確立することを目的とする。この常時有人の民生用宇宙基地は、宇宙空間の科学的、技術的及び商業的利用を促進する。この協定は、この協力関係の性格(この国際協力における参加主体の権利及び義務を含む。)について規定する。この協定は、更に、この協定の目的が実現されることを確保するための仕組み及び措置について定める。
2 合衆国政府は、中核的な合衆国宇宙基地の実現のための宇宙基地計画を有する。欧州宇宙機関の加盟国政府である欧州諸国政府、日本国政府及びカナダ政府は、国際宇宙基地複合体の重要な要素の実現のための宇宙計画を有する。これらの要素は、中核的な合衆国宇宙基地とともに、一層大きな能力を有する国際宇宙基地複合体を形成する。この国際宇宙基地複合体は、すべての参加国及び人類のために宇宙の利用を促進する。カナダの貢献は、国際宇宙基地複合体の基盤施設の不可欠な一部を成す。国際宇宙基地複合体を形成するために参加主体が提供する要素は、この協定の附属書に掲げる。
3 常時有人の民生用国際宇宙基地複合体(以下「宇宙基地」という。)は、低軌道上の多目的施設であり、有人及び無人の要素から成る。宇宙基地は、すべての参加主体が提供する要素から成る常時有人の本体、極軌道に近い軌道上の無人のプラットフォーム、当該有人本体において役務の提供を受ける有人支援型自由飛行実験室及び宇宙基地専用の地上要素によって構成される。
4 宇宙基地は、発展性を有する。発展に関する参加国の権利及び義務は、第14条に定めるところに従い、特別の規定に服する。
(国際的な権利及び義務)
第2条 
1 宇宙基地は、国際法(宇宙条約、救助協定、責任条約及び登録条約を含む。)に従って開発し、運用し、及び利用する。
2 この協定のいかなる規定も、次のことを意味するものと解してはならない。
(a) 第16条に別段の定めがある場合を除くほか、1の条約又は協定に定める参加国の権利又は義務(他の参加国に対するものであるか参加国でない国に対するものであるかを問わない。)を修正すること。
(b) 宇宙基地と関係のない活動において宇宙空間の探査又は利用を行う場合(一の国のみが行う場合であるか他の国と協力して行う場合であるかを問わない。)の参加国の権利又は義務に影響を及ぼすこと。
(c) 宇宙空間又は宇宙空間のいずれかの部分に対する国家による取得の主張を行うための基礎を成すこと。
(定義)
第3条 この協定の適用上、
(a) 「この協定」とは、この協定(附属書を含む。)をいう。
(b) 「参加主体」(又は、適当な場合には、「各参加主体」)とは、合衆国政府、この協定の前文に掲げる欧州諸国政府及び第25条3の規定に従ってこの協定に加入することのある欧州のその他の政府であって一の参加主体として集団的に行動するもの、日本国政府並びにカナダ政府をいう。
(c) 「参加国」とは、第25条の規定に従ってこの協定が効力を生じた締約国をいう。
(協力機関)
第4条 
1 参加主体は、合衆国政府については航空宇宙局(以下「NASA」という。)を、欧州諸国政府については欧州宇宙機関(以下「ESA」という。)を、また、カナダ政府については科学技術省(以下「MOSST」という。)を、宇宙基地協力の実施について責任を有する協力機関とすることに合意する。宇宙基地協力の実施のための日本国政府の協力機関の指定は、2のNASAと日本国政府との間の了解覚書において行う。
2 協力機関は、この協定の関連規定、宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用に関するNASAとESAとの間、NASAとMOSSTとの間又はNASAと日本国政府との間の了解覚書(以下「了解覚書」という。)並びに了解覚書を実施するためのNASAと他の協力機関との間の二者間又は多数者間の取決め(以下「実施取決め」という。)に従って、宇宙基地協力を実施する。了解覚書はこの協定に従い、また、実施取決めは了解覚書に従う。
3 了解覚書のいずれかの規定が、当該了解覚書の当事者でない協力機関(日本国については、日本国政府)によって受け入れられた権利又は義務を規定している場合には、当該規定は、当該協力機関(日本国については、日本国政府)の書面による同意なしに改正することができない。
(登録、管轄権及び管理の権限)
第5条 
1 各参加主体は、登録条約第2条の規定に従い、附属書に掲げる飛行要素であって自己が提供するものを宇宙物体として登録する。欧州参加主体は、当該参加主体の名において、かつ、当該参加主体のために行動するESAに対し、登録の責任を委任している。
2 各参加主体は、宇宙条約第8条及び登録条約第2条の規定に従って、1の規定により自己が登録する要素及び自国民である宇宙基地上の人員に対し、管轄権及び管理の権限を保持する。当該管轄権及び管理の権限の行使は、この協定、了解覚書及び実施取決めの関連規定(これらの文書に定める関連の手続上の仕組みを含む。)に従う。
(要素及び装置の所有権)
第6条 
1 この協定に別段の定めがある場合を除くほか、合衆国、欧州参加主体及びカナダは、それぞれの協力機関を通じ、また、日本国については第25条2の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の時に日本国が指定する機関が、附属書に掲げる要素であって自己が提供するものを所有する。参加主体は、自己の協力機関を通じ、宇宙基地上の装置の所有権に関して相互に通知する。
2 欧州参加主体は、自己が提供する要素についての所有権並びに宇宙基地又はその運用若しくは利用に対する貢献としてESAの計画の下で開発され及び資金を負担されたその他の装置についての所有権を、当該参加主体の名において、かつ、当該参加主体のために行動するESAに対し、委託する。
3 附属書に掲げる要素又は宇宙基地上の装置の所有権の移転は、この協定、了解覚書及び実施取決めに基づく参加主体の権利及び義務に影響を及ぼすものではない。
4 参加主体は、他の参加主体の事前の同意なしに、宇宙基地上の装置を参加主体以外の国又はその管轄下にある民間主体に所有させてはならず、また、附属書に掲げる要素の所有権をこれらの者に移転してはならない。附属書に掲げる要素の所有権のいかなる移転も、他の参加主体に対する事前の通知を必要とする。
5 利用者が提供する装置又は物質の所有権は、当該装置又は物質が単に宇宙基地上にあることによっては影響を受けない。
6 要素の所有権若しくは登録又は装置の所有権は、それ自体では、宇宙基地上で活動が行われた結果生ずる物質又はデータの所有権を示すものではない。
7 要素及び装置の所有権の行使は、この協定、了解覚書及び実施取決めの関連規定(これらの文書に定める関連の手続上の仕組みを含む。)に従う。
(運営)
第7条 
1 NASAを通じて行動する合衆国は、了解覚書及び実施取決めに従い、自国の計画を運営し及びこれに関する指示を行う責任を有する。NASAを通じて行動する合衆国は、また、この条及び了解覚書に別段の定めがある場合を除くほか、宇宙基地計画に関する全体的な調整及び指示を行う責任を有する。更に、NASAを通じて行動する合衆国は、了解覚書及び実施取決めに従い、全体的なシステム・エンジニアリング及びシステム統合を行う責任並びに全体的な安全要求及び安全計画を設定する責任を有する。NASAを通じて行動する合衆国は、また、了解覚書及び実施取決めに従い、有人本体及び合衆国の極軌道プラットフォームの日常の運用に関する指示及び全体的な計画立案を行う責任を有する。更に、NASAを通じて行動する合衆国は、了解覚書及び実施取決めに従い、自国による宇宙基地の利用活動を運営する責任を有する。
2 協力機関を通じて行動する他の参加主体は、1に規定するNASAの全体的な責任と両立する範囲内で、了解覚書及び実施取決めに従い、自己の計画を運営し及びこれに関する指示を行う責任、自己が提供する要素のシステム・エンジニアリング及びシステム統合を行う責任、自己が提供する要素に関する詳細な安全要求及び安全計画を作成し及び実施する責任並びにNASAが有人本体の日常の運用に関する指示及び全体的な計画立案を行うことを支援する責任を有する。協力機関を通じて行動する他の参加主体は、了解覚書及び実施取決めに従い、自己による宇宙基地の利用活動を運営する責任を有する。
3 設計上及び開発上の問題が、欧州参加主体、日本国又はカナダが提供する有人本体の要素のみに関係し、かつ、了解覚書に規定する合意された共同計画文書に定められていない場合には、その限度において、協力機関を通じて行動する参加主体は、自己の要素に関する決定を行うことができる。
4 ESAを通じて行動する欧州参加主体は、NASAとESAとの間の了解覚書及び実施取決めに従い、自己が提供する極軌道プラットフォーム及び有人支援型フリー・フライヤー(以下「MIFF」という。)を設計し及び開発する責任並びにその日常の運用に関する指示及び計画立案を行う責任を有する。ただし、これらの活動がNASAの宇宙輸送システム又は有人本体に対して当該極軌道プラットフォーム及びMTFFのための役務の提供に関連する影響を与えない場合に限る。
5 自己が提供する要素について参加主体及びその協力機関が有する意思決定の責任は、この協定及び了解覚書に規定する。協力機関を通じて行動する参加主体は、この協定及び了解覚書に定めるところに従い、宇宙基地の設計及び開発並びにその安全で効率的かつ効果的な運用及び利用に影響を及ぼす活動を計画し及び調整する運営組織を設立し、これらに参加する。運営組織においては、意見の一致による意思決定を目標とする。協力機関が意見の一致に達することができない場合における運営組織内の意思決定(有人本体に関するNASAの意思決定及び有人本体から分離している要素に関するNASA又は他の協力機関の意思決定を含む。)の仕組みは、了解覚書で定める。
(詳細設計及び開発)
第8条 協力機関を通じて行動する各参加主体は、前条の規定及びこの協定の他の関連規定並びに了解覚書及び実施取決めに従い、自己が提供する要素(飛行要素の継続的な運用及び十分な国際的利用を支援するために適切な宇宙基地専用の地上要素を含む。)を設計し、及び開発する。
(利用)
第9条 
1 合衆国は、1及び5に別段の定めがある場合を除くほか、自国が提供する有人本体の利用要素の利用権を保持する。合衆国は、有人本体を運用し及び利用するために自国が提供する宇宙基地の基盤施設から得られる資源を、他の参加主体に提供する。合衆国が欧州参加主体及び日本国に対して当該資源を提供することと引換えに、欧州参加主体及び日本国は、それぞれ、取付型与圧棟(以下「APM」という。)及び日本実験棟(以下「JEM」という。)の利用権の一定割合を合衆国に提供する。
2 欧州参加主体は、1及び5に別段の定めがある場合を除くほか、自己が提供するMTFF及びAPMの利用権を保持する。
3 合衆国及び欧州参加主体は、均衡のとれた相互主義に基づき、相互の極軌道プラットフォームの利用権の一部を有する。
4 日本国は、1及び5に別段の定めがある場合を除くほか、自国が提供するJEMの利用権を保持する。
5 カナダは、有人本体を運用し及び利用するために自国が提供する宇宙基地の基盤施設から得られる資源を、他の参加主体に提供する。カナダが宇宙基地の基盤施設の不可欠な一部を提供することと引換えに、すべての他の参加主体は、有人本体のすベての利用要素及び極軌道プラットフォームの利用権の一定割合をカナダに提供する。
6 1から5までの規定は、宇宙基地の利用要素の利用権及び宇宙基地の基盤施設から得られる資源の参加主体間における配分について定める。参加主体間における具体的な配分は、了解覚書及び実施取決めで定める。MTFFに役務を提供するための有人本体の資源は、NASAとESAとの間の了解覚書及び実施取決めに定めるところに従って使用することができる。
7 参加主体は、自己の配分のいかなる部分についても、交換又は売却を行う権利を有する。合衆国は、NASAとESAとの間の了解覚書に定めるところに従い、MTFFの利用権の一定割合について講入又は交換を行う選択権を有する。交換又は売却の条件は、取引の当事者が案件ごとに決定する。
8 各参加主体は、この協定の目的並びに了解覚書及び実施取決めの規定に合致するいかなる目的のためにも、自己の配分を利用し及びその利用者を選択することができる。ただし、次のことを条件とする。
(a) 参加主体以外の国又はその管轄下にある民間主体に利用要素を利用させる場合には、すベての参加主体に対しその協力機関を通じて事前の通知を行い、かつ、当該要素を提供している参加主体の同意及び、当該要素が有人本体の要素又は有人本体に合体している要素である場合には、合衆国の同意を得ることを必要とする。
(b) 要素の企図されている利用が平和的目的のためのものであるかないかについては、当該要素を提供している参加主体が決定する。もっとも、この(b)の規定は、宇宙基地の基盤施設から得られる資源のいずれかの参加主体による利用を妨げるために援用されてはならない。
9 各参加主体は、その協力機関を通じ、宇宙基地を利用するに当たり、他の参加主体による宇宙基地の利用に重大な悪影響を及ぼすことを避けるよう、了解覚書に定める仕組みを通じて努力する。
10 各参加主体は、宇宙基地の自己の要素について、他の参加主体のそれぞれの配分に応じて、当該他の参加主体による利用及びその可能性を確保する。
11 この条の規定の適用上、合衆国によるこの協定への署名の時にESAの加盟国であったESAの加盟国は、「参加主体以外の国」としない。
(運用)
第10条 協力機関を通じて行動する参加主体は、第7条の規定及びこの協定の他の関連規定並びに了解覚書及び実施取決めに従い、自己が提供する要素を運用する責任を有する。協力機関を通じて行動する参加主体は、了解覚書及び実施取決めに従い、宇宙基地の利用者及び運用者にとって安全で効率的かつ効果的な方法で宇宙基地を運用するための手続を作成し、及び実施する。更に、協力機関を通じて行動する各参加主体は、自己が提供する要素の機能上の性能を維持する責任を有する。
(搭乗員)
第11条 
1 各参加主体は、衡平な分配に基づき宇宙基地搭乗員として従事する有資格者を提供する権利を有する。選抜は、了解覚書及び実施取決めに定める手続きに従って行う。参加主体の搭乗員の飛行割当てに関する決定は、協力機関を通じて行動する当該参加主体との十分な協議の上行われる。
2 宇宙基地搭乗員についての行動規範は、了解覚書に従い、すベての参加主体が作成する。参加主体は、その内部手続上政府による行動規範の受諾を必要とする場合には、宇宙基地搭乗員を提供する前に行動規範を受諾する。各参加主体は、搭乗員を提供する権利の行使に当たり、当該搭乗員が行動規範を遵守することを確保する。
(輸送)
第12条 
1 宇宙基地の要素及び搭載物の設計上、NASAの宇宙輸送システムは、宇宙基地の有人本体及び合衆国の極軌道プラットフォームのための打上げ及び回収の基本的な輸送システムであり、また、ESAの宇宙輸送システムは、欧州参加主体が提供するMTFF及び極軌道プラットフォームのための打上げの基本的な輸送システムである。参加主体の政府又は民間部門の他の輸送システムは、当該輸送システムが宇宙基地に適合する場合には、宇宙基地に関連して利用することができる。特に、欧州参加主体及び日本国は、それぞれ、ESA宇宙輸送システム(アリアン及びエルメスを含む。)及び日本宇宙輸送システム(H−II打上げシステムを含む。)を利用して宇宙基地に発着する権利を有する。当該発着は、関連の了解覚書及び実施取決めの規定に従って行われる。
2 NASAは、関連の了解覚書及び実施取決めに定める条件に従い、他の協力機関及び他の協力機関にとっての利用者に対し、実費弁償の原則により打上げ及び回収の業務を提供する。協力機関は、経費の条件に関し、他の協力機関及び他の協力機関にとっての利用者に対し、同等の者に通常課する価格で打上げ及び回収の業務を提供する。協力機関は、他の協力機関から申込みのあった要求及び飛行計画に応ずるよう最善の努力を払う。
3 各参加主体は、自己の宇宙輸送システムによって輸送されるデータ及び物品であって適切な表示がされているものについての所有権的権利及び秘密を尊重する。
(通信)
第13条 
1 NASAの追跡・データ中継衛星システム(TDRSS)の宇宙網は、宇宙基地の有人本体及び合衆国の極軌道プラットフォーム並びにその搭載物のための基本的な通信システムである。ESAのデータ中継衛星システム(DRS)は、欧州参加主体が提供する極軌道プラットフォーム及びMTFF並びにその搭載物のための基本的な通信システムである。他の通信システムは、当該通信システムが有人本体に適合し、かつ、有人本体によるTDRSSの利用と両立する場合には、参加主体が有人本体において利用することができる。当該利用及び宇宙基地データの地上間における転送は、関連の了解覚書及び実施取決めの規定に従って行う。
2 協力機関は、関連の了解覚書及び実施取決めに定める条件に従い、それぞれの通信システムについて、実費弁償の原則により、他の協力機関の宇宙基地関連の具体的な要求に応ずるよう最善の努力を払う。
3 宇宙基地情報システム及び宇宙基地に関連して利用されている他の通信システムを通過中の利用データの秘密を確保するための措置は、了解覚書に定めるところに従い、実施することができる。各参加主体は、他の参加主体に対して通信業務を提供する場合には、自己の通信システム(自己の地上網及び自己の契約者の通信システムを含む。)を通過中の利用データの所有権的権利及び秘密を尊重する。
(発展)
第14条 
1 参加主体は、宇宙基地が能力の追加を通じて発展することを意図し、また、その発展がすベての参加主体からの貢献を通じて実現される可能性を最大にするよう努力する。このため、各参加主体は、適当な場合には、能力の追加に関する自己の提案に協力する機会を他の参加主体に対して与えるよう努力する。能力が追加された宇宙基地は、引き続き民生用の基地とし、また、その運用及び利用は、国際法に従って平和的目的のために行われる。
2 この協定は、附属書に掲げる要素のみに関する権利及び義務を定める。ただし、この条及び第16条の規定は、いかなる能力の追加にも適用する。この協定は、いずれの参加国に対しても能力の追加に参加することを義務付けず、また、いずれの参加主体に対しても能力の追加に伴う権利を付与しない。
3 発展に関する参加主体のそれぞれの研究の調整及び能力の追加に関する具体的な提案の検討のための手続は、了解覚書で定める。
4 能力の追加についての分担に関する参加主体間の協力には、3に定める調整及び検討の後、この協定の改正又は別の取極を必要とする。この別の取極は、追加が有人本体に対して行われる揚合又は追加が有人本体若しくはNASA宇宙輸送システムに対して技術上若しくは運用上の影響を与える場合には、当該追加が第7条に定める合衆国の全体的な計画責任と両立することを確保するため、合衆国をその当事者の一とする。
5 3に定める調整及び検討の後、一の参加主体が能力の追加を行う場合には、他の参加主体に対する事前の通告を必要とする。当該追加が有人本体に対して行われる場合又は当該追加が有人本体若しくはNASA宇宙輸送システムに対して技術上若しくは運用上の影響を与える場合には、当該追加が第7条に定める合衆国の全体的な計画責任と両立することを確保するため、合衆国との間の取極を必要とする。
6 4又は5に定める能力の追加によって影響を受けることのある参加主体は、第23条の規定により他の参加主体との協議を要請することができる。
7 能力の追加は、影響を受ける参加国が別段の合意をしない限り、いかなる場合にも、附属書に掲げる要素に関するこの協定又は了解覚書上のいずれの参加国の権利又は義務も修正するものではない。
(資金)
第15条 
1 各参加主体は、了解覚書及び実施取決めに定めるところに従い、宇宙基地の運用に係る合意された共通の経費を衡平に分担することを含め、この協定に基づくそれぞれの責任を果たすための経費を負担する。
2 この協定に基づく各参加主体の資金上の義務は、自己の予算手続及び利用可能な予算に従う。各参加主体は、宇宙基地協力の重要性を認識し、それぞれの予算手続に従い、資金上の義務を履行するために必要な資金について承認を得るよう最善の努力を払うことを約束する。
3 いずれかの参加主体について、宇宙基地協力におけるその責任を果たすための能力に影響を及ぼす可能性のある予算上の問題が生じた場合には、協力機関を通じて行動する当該参加主体は、他の協力機関に通知し及びこれと協議する。参加主体も、必要に応じ、相互に協議することができる。
4 参加主体は、宇宙基地協力の実施に当たり、例えば、関係の参加主体が合意する場合には交換を利用することにより、資金の授受を最小限にとどめるよう努力する。
(責任に関する相互放棄)
第16条 
1 この条の目的は、宇宙基地を通じての宇宙空間の探査、開発及び利用への参加を助長するため、損害賠償責任に関する請求の参加国及び関係者による相互放棄を確立することにある。この目的を達成するため、当該相互放棄は、広く解釈するものとする。
2 この条の規定の適用上、
(a) 「参加国」には、その協力機関を含む。「参加国」には、また、NASAと日本国政府との間の了解覚書において当該了解覚書の実施について日本国政府の協力機関を援助するものと規定される機関を含む。
(b) 「関係者」とは、次の者をいう。
(1) 参加国との契約者又はその下請契約者(あらゆる段階の下請契約者を含む。)
(2) 参加国にとっての利用者又は顧客(あらゆる段階の利用者又は顧客を含む。)
(3) 参加国にとっての利用者若しくは顧客(あらゆる段階の利用者又は顧客を含む。)との契約者又はその下請契約者(あらゆる段階の下請契約者を含む。)
「契約者」及び「下請契約者」には、あらゆる種類の供給者を含む。
(c) 「損害」とは、次のものをいう。
(1) 人の身体の傷害その他の健康の障害又は死亡
(2) 財産の損傷若しくは滅失又はその利用価値の喪失
(3) 収入又は収益の喪失
(4) 他の直接的、間接的又は二次的な損害
(d) 「打上げ機」とは、搭載物若しくは人を運ぶ物体(若しくはその一部)であって、打ち上げられるためのもの、地球から打ち上げられたもの又は地球に帰還しつつあるものをいう。
(e) 「搭載物」とは、打上げ機に搭載され又は打上げ機で使用されるすベての財産及び宇宙基地上に搭載され又は宇宙基地上で使用されるすベての財産をいう。
(f) 「保護される宇宙作業」とは、この協定、了解覚書及び実施取決めの実施として地球上若しくは宇宙空間で行い又は地球と宇宙空間との間を移動中に行う打上げ機、宇宙基地及び搭載物に係るすベての活動をいう。「保護される宇宙作業」には、少なくとも次の活動を含む。
(1) 打上げ機、移動機(例えば、軌道上作業機)、宇宙基地、搭載物又は関連の支援のための装置、設備若しくは役務の研究、設計、開発、試験、製造、組立て、統合、運用又は利用
(2) 地上支援、試験、訓練、模擬実験、誘導・制御装置又は関連の設備若しくは役務に係るすベての活動
「保護される宇宙作業」には、また、第14条に定めるところに従い、宇宙基地の発展に係るすベての活動を含む。「保護される宇宙作業」には、搭載物を宇宙基地から回収した後に地上で行う活動であって、この協定の実施としての宇宙基地関連活動以外の活動における使用を目的として当該搭載物の生産物又は当該搭載物内の作業方法を更に開発するために行うものを含まない。
3 
(a) 参加国は、責任に関する相互放棄に合意し、これによって、保護される宇宙作業から生ずる損害についての請求であって、次の(1)から(3)までに掲げる者に対するものをすベて放棄する。この相互放棄は、損害を引き起こした者又は財産が保護される宇宙作業に関係しており、かつ、損害を受けた者又は財産が保護される宇宙作業に関係していたために当該損害を受けた場合に限り適用する。この相互放棄は、次に掲げる者に対する損害賠償請求に適用し、当該請求の法的基礎が不法行為(あらゆる程度及び種類の過失を含む。)、契約その他いかなるものであるかを問わない。
(1) 他の参加国
(2) 他の参加国の関係者
(3) (1)又は(2)の被雇用者
(b) 更に、参加国は、自己の関係者に対し、契約その他の方法により(a)の(1)から(3)までに掲げる者に対するすべての請求の放棄に同意するよう要求することにより、(a)に規定する責任に関する相互放棄を自己の関係者に及ぼす。
(c) この相互放棄には、損害を引き起こした者又は財産が保護される宇宙作業に関係しており、かつ、損害を受けた者又は財産が保護される宇宙作業に関係していたために当該損害を受けた場合に責任条約から生ずる責任に関する相互放棄を含むことが確認される。
(d) この条の他の規定にかかわらず、この相互放棄は、次の請求には適用しない。
(1) 参加国と当該参加国の関係者との間又は同一の参加国の関係者の間の請求
(2) 自然人の傷害又は死亡について当該自然人又はその遺産管理人、遣族若しくは代位権者によって行われる請求
(3) 悪意によって引き起こされた損害についての請求
(4) 知的所有権に係る請求
(e) この条のいかなる規定も、請求又は訴えの基礎を創設するものと解してはならない。
(責任条約)
第17条 
1 前条に別段の定めがある場合を除くほか、参加国及びESAは、責任条約に従って引き続き責任を負う。
2 責任条約に基づく請求が行われた場合には、参加主体(及び、適当な場合には、ESA)は、負うことのある責任、当該責任の分担及び当該請求に対する防御について速やかに協議する。
3 第12条2に定める打上げ及び回収の業務の提供に関し、関係の参加主体(及び、適当な場合には、ESA)は、責任条約に基づいて負うことのある連帯責任の分担について別の取極を締結することができる。
(関税及び出入国)
第18条 
1 参加国は、自国の法令に従うことを条件として、人及び物品の自国の領域への又は自国の領域からの移動であって、この協定の実施のために必要なものを容易にする。
2 参加国は、自国の法令に従うことを条件として、この協定の実施のために必要な任務を遂行する目的で自国の領域に出入し又は滞在する他の参加国の国民及びその家族に対し入国及び滞在に関する所要の文書が発給されることを容易にする。
3 参加国は、この協定の実施のために必要な物品が自国に輸入される揚合には、当該物品に対する関税その他これに類似する課徴金を免除するよう努める。
(データ及び物品の交換)
第19条 
1 この1に別段の定めがある場合を除くほか、協力機関を通じて行動する各参加主体は、関連の了解覚書及び実施取決めに基づく自己の協力機関の責任を果たすために(移転に係る双方の当事者によって)必要と認められるすべての技術データ及び物品を移転する。各参加主体は、宇宙基地協力のために他の参加主体の協力機関が行う技術データ又は物品についての要請を迅速に処理することを約束する。この1の規定は、参加国に対し、自国の国内法令に反して技術データ及び物品を移転することを要求するものではない。
2 参加主体は、参加主体及びその協力機関以外の者による技術データ及び物品の移転(例えば、将来増加が見込まれる企業間の技術データ及び物品の交換)に係る許可の要請を迅速に処理するよう最善の努力を払うものとし、また、この協定に基づく宇宙基地協力に関連して行われるそのような移転を奨励し、及び容易にする。当該移転には、この2の規定を除くほか、この条の規定を適用しない。当該移転には、国内法令を適用する。
3 参加主体は、この協定の下での技術データ及び物品の移転がこの3に規定する制限に従うことに合意する。この3に規定する制限の対象とならない技術データ又は物品は、国内法令によって別段の制限を受ける場合を除くほか、制限を受けることなく移転される。
(a) 提供側の協力機関は、輸出管理上保護されるベき技術データ又は物品については、表示を行うことその他の方法による特別の指定を行う。このような表示等による指定においては、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者が当該技術データ及び物品を利用するに当たっての具体的な条件を示すものとする。その条件には、次のことを含む。
(1) 当該技術データ又は物品が、この協定及び関連の了解覚書に基づく受領側の協力機関の責任を果たす目的のためにのみ利用されること。
(2) 当該技術データ及び物品が、協力機関を通じて行動する提供側の参加国による事前の書面による許可なしに、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者以外の者によって利用されてはならず、また、(1)の目的以外のいかなる目的のためにも利用されてはならないこと。
(b) 提供側の協力機関は、所有権的権利上保護されるべき技術データについては、表示を行う。この表示においては、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者が当該技術データを利用するに当たっての具体的な条件を示すものとする。その条件には、次のことを含む。
(1) 当該技術データが、この協定及び関連の了解覚書に基づく受領側の協力機関の責任を果たす目的のためにのみ利用され、複写され又は開示されること。
(2) 当該技術データが、協力機関を通じて行動する提供側の参加国による事前の書面による許可なしに、受領側の協力機関並びにその契約者及び下請契約者以外の者によって利用されてはならず、また、(1)の目的以外のいかなる目的のためにも利用されてはならないこと。
(c) この協定の下で移転されるいずれかの技術データ又は物品が秘密の指定を受けている場合には、提供側の協力機関は、当該技術データ又は物品について表示を行うことその他の方法による特別の指定を行う。要請される側の参加国は、秘密の指定を受けている技術データ又は物品の移転及び保護に係る条件について定める情報保護のための取極又は取決めに基づいて、当該技術データ又は物品の移転が行われることを要求することができる。受領側の参加国が、国家安全保障上の目的のために秘密の指定を受け又は他の方法により秘密に保持されている情報を含む特許出願の秘密に対し保護を与えていない場合には、移転を行うことを必要としない。双方の当事者が移転に合意しない限り、秘密の指定を受けているいかなる技術データ又は物品も、この協定の下で移転されてはならない。
4 参加国は、3の(a)から(c)までの規定の下で自国が受領する技術データ又は物品が、受領側の参加国、その協力機関及び当該技術データ又は物品の二次的な移転を受ける他の者(契約者及び下請契約者を含む。)により、表示等による指定において示されている条件に従って取り扱われることを確保するため、すべての必要な措置をとる。参加国及び協力機関は、当該技術データ又は物品の認められていない利用、開示又は再移転を防ぐため及び当該技術データ又は物品に対する認められていない接近を防ぐため、合理的に判断して必要と認められるすベての措置(自己の契約及び下請契約において適当な契約条件を確保する措置を含む。)をとる。3(c)の規定の下で受領する技術データ又は物品については、受領側の参加国又は協力機関は、当該技術データ又は物品に対して提供側の参加国又は協力機関が与える保護の水準と少なくとも同等の水準の保護を与える。
5 参加主体は、受領者に対し、受領した技術データ又は物品をこの条の規定の下で課される条件に従って利用し、開示し及び再移転する権利を超えるいかなる権利もこの協定又は関連の了解覚書を通じて与えることを意図しない。
6 第27条の規定による脱退の取極で別段の合意がされる場合を除くほか、参加国によるこの協定からの脱退は、当該脱退に先立ってこの協定の下で移転された技術データ及び物品の保護に関する権利又は義務に影響を及ぼすものではない。
7 この条の規定の適用上、協力機関からESAへの技術データ及び物品の移転は、当該移転の時に特段の条件が付されない限り、ESA及びすベての欧州参加国並びに宇宙基地に関連してESAが指定する契約者及び下請契約者に対して行われるものとみなす。
(移動中のデータ及び物品の取扱い)
第20条 宇宙基地の継続的な運用及び十分な国際的利用の重要性を認識し、参加国は、自国の関係法令の範囲内で、他の参加主体並びにその協力機関及び利用者のデータ及び物品の迅速な移動を認める。この条の規定は、データ及び物品の宇宙基地への又は宇宙基地からの移動(少なくとも自国の国境と自国の領域内の打上げ地又は着陸地との間の移動及び打上げ地又は着陸地と宇宙基地との間の移動を含む。)にのみ適用する。
(知的所有権)
第21条 
1 この協定の適用上、「知的所有権」とは、1967年7月14日にストックホルムにおいて作成された世界知的所有権機関を設立する条約第2条に規定する意味を有するものと了解する。
2 この条の規定に従うことを条件として、知的所有権に係る法律の適用上、宇宙基地の飛行要素上において行われる活動は、当該要素の登録を行った参加国の領域においてのみ行われたものとみなす。ただし、ESAが登録した要素については、いかなる欧州参加国も、当該活動が自国の領域内で行われたものとみなすことができる。参加国又はその協力機関若しくは関係者による他の参加主体の宇宙基地の飛行要素上における活動への参加は、それ自体では、この2に規定する当該活動に対する管轄権を変更し又はこれに影響を及ぼさないことが確認される。
3 参加国は、宇宙基地の飛行要素上において自国の国民及び居住者以外の者が行った発明について、他の参加国であって国家安全保障上の目的のために秘密の指定を受け又は他の方法により保護されている情報を含む特許出願の秘密に対し保護を与えている国における特許出願を(例えば、延期を強制し又は事前の許可の取得を要求することにより)妨げるために、発明の秘密に関する自国の法律を適用してはならない。この規定は、(a)特許出願が最初に行われた参加国が当該特許出願の秘密を管理し若しくは当該特許出願のその後の出願を制限する権利又は(b)出願がその後に行われた他の参加国が国際的な義務に基づいて出願の開示を制限する権利を害するものではない。
4 二以上の欧州参加国で保護されている知的所有権を有する者は、ESAの登録要素上において行われた当該知的所有権に係る同一の権利に対する同一の侵害行為については、当該欧州参加国のいずれか一の国においてのみ救済を受けることができる。二以上の欧州参加国がESAの登録要素上における同一の侵害行為を自国の領域において行われたものとみなした結果当該侵害行為について知的所有権の二以上の異なる所有者による訴訟が提起された場合には、裁判所は、先に提起された訴訟における結果が出るまで、後に提起された訴訟の手続を一時的に中止することができる。二以上の訴訟が提起された場合において、いずれか一の訴訟において損害について下された判決の内容が実現されたときは、同一の侵害行為に基づく侵害に関する係争中の又は将来の訴訟によって更に損害を回復することはできない。
5 ESAの登録要素上において行われる活動については、いずれの欧州参加国も、知的所有権の実施のための許諾がいずれかの欧州参加国の法律に基づきその有効性を認められている場合には、当該許諾の有効性を認めなければならず、また、当該許諾の条件が遵守されている限り、いずれの欧州参加国においても侵害の救済を受けることができない。
6 地球上の地点と参加国又はESAによって登録される宇宙基地の飛行要素との間を移動中の物品(飛行要素の構成物を含む。)の他の参加国の領域における一時的な存在は、それ自体では、当該他の参加国における特許侵害についての手続の基礎とはならない。
(刑事裁判権)
第22条 宇宙におけるこの国際協力の独特の及び先例のない性格を考慮し、
1 合衆国、欧州参加国、日本国及びカナダは、第5条2の規定に従い、自国が提供する飛行要素について及びいずれかの飛行要素上の人員であって自国民である者について刑事裁判権を行使することができる。
2 合衆国は、更に、有人本体の要素又は有人本体に取り付けられた要素で合衆国以外の参加主体が提供するものの上で行われる合衆国以外の国の国民による違法な行為であって、有人本体又はその搭乗員の安全を損なうものについて刑事裁判権を行使することができる。ただし、合衆国は、そのような訴追についての公判に進む前に、
(a) 容疑者が自国民である参加国と訴追に対して双方の国が有する関心について協議しなければならず、かつ、
(b) 
(1) 訴追の継続について当該参加国の同意を得ているか、又は、
(2) (1)の同意が得られない場合には、合衆国による訴追の犯罪事実に相当する犯罪事実であって証拠に基づいたものによる当該自国民の訴追を意図するとの保証を当該参加国から得ることに失敗していなければならない。
(協議)
第23条 
1 自己の協力機関を通じて行動する参加主体は、宇宙基地協力から生ずるいかなる問題についても相互に協議することができる。参加主体は、了解覚書に定める手続に従い、協力機関の間の協議を通じて問題を解決するため、最善の努力を払う。
2 参加主体は、宇宙基地協力から生ずるいかなる問題についても、他の参加主体との政府間協議の開催を要請することができる。要請を受けた参加主体は、これに速やかに応じる。要請を行う参加主体が、当該協議の対象がすベての参加主体による検討に適していることを合衆国に通告する場合には、合衆国は、実行可能な最も早い時に多数国間の協議を招集し、これにすべての参加主体を招請する。
3 協議を通じて解決することができなかった問題がなお解決を必要とする場合には、関係の参加主体は、合意された紛争解決手続、例えば、調停、仲介又は仲裁に当該問題を付することができる。
(宇宙基地協力の検討)
第24条 この協定の下での協力が、長期間の複雑かつ発展的な性格のものであることを考慮し、参加主体は、この協力に影響を及ぼすことのある事態の進展について随時相互に通報する。1989年及びその後3年ごとに、参加主体は、その協力に係る問題を取り扱うために並びに宇宙基地協力について検討し及びこれを促進するために会合する。
(効力発生)
第25条 
1 この協定は、前文に掲げる国による署名のために開放しておく。
2 この協定は、批准され、受詰され、承認され又は加入されなければならない。批准、受諾、承認又は加入は、それぞれの国が自国の憲法上の手続に従って行う。批准書、受諾書、承認書又は加入書は、ここに寄託者として指定される合衆国政府に寄託する。
3 
(a) この協定は、合衆国が批准書、受諾書又は承認書を寄託し、かつ、(b)に規定する欧州参加主体についての効力発生の要件が満たされ又は他の一の参加主体がその批准書、受諾書又は承認書を寄託した日に効力を生ずる。寄託者は、この協定の効力発生をすベての署名国に通報する。この協定は、その効力発生の後、この協定が欧州参加主体について効力を生じていない場合には当該参加主体について(b)の規定に従って効力を生じ、他の参加主体についてはその批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日に効力を生ずる。
(b) この協定は、欧州参加主体について効力を生ずるまでは、欧州参加国について効力を生じない。この協定は、欧州宇宙機関コロンバス開発計画に対する寄与の合計の80パーセント以上の寄与を行う少なくとも四の欧州の署名国又は加入国から批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託者が受領した後にのみ欧州参加主体について効力を生ずる。
(c) この協定が欧州参加主体について効力を生じた後は、この協定の前文に掲げる欧州の国であって(b)の規定の適用上算入されなかったもの及び他のESAの加盟国であって合衆国がこの協定に署名する時にESAの加盟国であったものは、寄託者への加入書の寄託によりこの協定に加入することができる。その他のESAの加盟国は、合衆国の同意を得てこの協定に加入することができる。
4 合衆国は、この協定がいずれかの参加主体について1992年12月31日までに効力を生じていない場合には、このような状況に対処するためにいかなる措置(この協定の修正を含む。)が必要であるかを検討するため、この協定の署名国の会議を招集する。
(改正)
第26条 この協定は、この協定が効力を生じている参加国の書面による合意によって改正することができる。改正は、これらの国により、それぞれ自国の憲法上の手続に従って批准され、受諾され、承認され又は加入されなければならない。
(脱退)
第27条 
1 参加国は、寄託者に対して少なくとも1年前に書面による通告を行うことにより、いつでもこの協定から脱退することができる。いずれかの欧州参加国の脱退は、この協定に基づく欧州参加主体の権利又は義務に影響を及ぼすものではない。
2 参加主体は、いずれかの参加主体がこの協定からの脱退の通告を行う場合には、全体的な計画の継続を確保するため、脱退の効力発生の日前に当該参加主体の脱退の条件について合意に達するよう、努力する。
3 カナダは、その貢献が宇宙基地の基盤施設の不可欠な一部であるので、脱退に際し、附属書に掲げるカナダの要素が合衆国によって効果的に使用され及び運用されるよう確保する。このため、カナダは、図面、文書、ソフトウェア、予備品、工具、特殊試験装置その他必要な物品を迅速に提供する。
4 合衆国及びカナダは、2及び3の規定に加え、いずれかの理由によるカナダの脱退の通告に際し、脱退の取極について迅速に交渉を行う。当該取極が附属書に掲げるカナダの要素の合衆国への移転について規定する場合には、当該取極は、合衆国がこの移転のための適正な補償をカナダに与えることについても規定する。
5 いずれかの参加主体がこの協定からの脱退の通告を行う場合には、その協力機関は、この協定からの当該参加主体の脱退の日と同一の日にNASAとの了解覚書から脱退したものとみなす。
6 いずれかの参加国の脱退は、2又は4の規定による脱退の取極に別段の合意がある場合を除くほか、第16条、第17条及び第19条の規定に基づく当該参加国の権利又は義務の存続に影響を及ぼすものではない。


以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。
1988年9月29日にワシントンで作成した。この協定は、イタリア語、英語、ドイツ語、日本語及びフランス語をひとしく正文とする。それぞれの言語による原本は、合衆国政府に寄託するものとし、
合衆国政府は、その認証謄本をすベての署名国に送付する。この協定が効力を生じたときは、寄託者は、国際連合憲章第102条の規定により、この協定を国際連合事務局に登録する。
附属書 参加主体が提供する宇宙基地の要素

参加主体が提供する宇宙基地の要素の概要は、次のとおりであり、その詳細は、了解覚書で定める。
1 合衆国政府は、NASAを通じて次のものを提供する。
 居住棟を含む宇宙基地の基盤要素
 利用要素として、有人本体の実験棟(基本的な機能装備品を含む。)、有人本体の取付型搭載物の装着設備及び極軌道プラットフォーム
 これらの飛行要素に加えて、宇宙基地専用の地上要素
2 欧州諸国政府は、ESAを通じて次のものを提供する。
 利用要素として、有人本体の取付型与圧棟(基本的な機能装備品を含む。)有人本体において役務の提供を受ける有人支援型フリー・フライヤー及び極軌道プラットフォーム
 これらの飛行要素に加えて、宇宙基地専用の地上要素
3 日本国政府は、次のものを提供する。
 利用要素として、有人本体の日本実験棟(基本的な機能装備品並びに曝露部及び補給部を含む。)
 これらの飛行要素に加えて、宇宙基地専用の地上要素
4 カナダ政府は、MOSSTを通じて次のものを提供する。
 宇宙基地の基盤要素として、移動型サービス施設(MSC)、MSC保守設備及び特殊目的精密マニピュレーター
 これらの飛行要素に加えて、宇宙基地専用の地上要素

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