土地収用法
昭和26・6・9・法律219号
改正昭和63・5・17・法律 44号−−
改正昭和63・12・13・法律 91号−−
改正平成元・12・19・法律 83号−−
改正平成元・12・22・法律 91号−−
改正平成3・4・26・法律 45号−−
改正平成4・4・2・法律 28号−−
改正平成4・6・3・法律 67号−−
改正平成4・6・26・法律 82号−−
改正平成5・11・12・法律 89号−−
改正平成6・7・1・法律 84号−−
改正平成7・4・21・法律 75号−−
改正平成7・5・8・法律 87号−−
改正平成8・3・31・法律 23号−−
改正平成8・5・15・法律 39号−−
改正平成8・5・29・法律 52号−−
改正平成8・6・14・法律 82号−−
改正平成9・5・9・法律 45号−−
改正平成10・5・20・法律 62号−−
改正平成11・5・21・法律 50号−−
改正平成11・6・11・法律 70号−−
改正平成11・6・16・法律 76号−−
改正平成11・7・16・法律 87号−−
改正平成11・7・22・法律107号−−
改正平成11・12・8・法律151号−−
改正平成11・12・22・法律160号−−
改正平成12・3・31・法律 16号−−
改正平成12・5・19・法律 73号−−
改正平成12・6・7・法律111号−−
改正平成13・6・29・法律 92号−−
改正平成13・7・11・法律103号−−
改正平成14・5・29・法律 45号−−
改正平成14・7・31・法律 98号−−
改正平成14・7・31・法律100号−−
改正平成14・12・4・法律130号−−
改正平成14・12・11・法律145号−−
改正平成14・12・13・法律161号−−
改正平成14・12・18・法律180号−−
改正平成14・12・18・法律182号−−
改正平成14・12・20・法律191号−−
改正平成15・5・30・法律 55号−−
改正平成15・6・13・法律 81号−−
改正平成15・6・18・法律 92号−−
改正平成15・6・20・法律100号−−
改正平成15・7・24・法律125号−−
改正平成15・8・1・法律138号−−
改正平成16・6・9・法律 84号−−
改正平成16・6・9・法律102号−−
改正平成16・6・18・法律124号−−
改正平成16・12・3・法律155号−−
改正平成17・7・26・法律 87号−−
改正平成17・10・21・法律102号−−(施行=平19年10月1日)
改正平成18・5・19・法律 40号−−
改正平成18・6・7・法律 53号−−(施行=平19年4月1日)
改正平成20・3・31・法律 8号−−(施行=平20年4月1日)
第1条 この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。
第2条 公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを収用し、又は使用することができる。
第3条 土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、次の各号のいずれかに該当するものに関する事業でなければならない。
1.道路法(昭和27年法律第180号)による道路、道路運送法(昭和26年法律第183号)による一般自動車道若しくは専用自動車道(同法による一般旅客自動車運送事業又は貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)による一般貨物自動車運送事業の用に供するものに限る。)又は駐車場法(昭和32年法律第106号)による路外駐車場
2.河川法(昭和39年法律第167号)が適用され、若しくは準用される河川その他公共の利害に関係のある河川又はこれらの河川に治水若しくは利水の目的をもつて設置する堤防、護岸、ダム、水路、貯水池その他の施設
3.砂防法(明治30年法律第29号)による砂防設備又は同法が準用される砂防のための施設
3の2.国又は都道府県が設置する地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)による地すべり防止施設又はぼた山崩壊防止施設
3の3.都道府県が設置する急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)による急傾斜地崩壊防止施設
4.運河法(大正2年法律第16号)による運河の用に供する施設
5.国、地方公共団体、土地改良区(土地改良区連合を含む。以下同じ。)又は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が設置する農業用道路、用水路、排水路、海岸堤防、かんがい用若しくは農作物の災害防止用のため池又は防風林その他これに準ずる施設
6.国、都道府県又は土地改良区が土地改良法(昭和24年法律第195号)によつて行う客土事業又は土地改良事業の施行に伴い設置する用排水機若しくは地下水源の利用に関する設備
7.鉄道事業法(昭和61年法律第92号)による鉄道事業者又は索道事業者がその鉄道事業又は索道事業で一般の需要に応ずるものの用に供する施設
7の2.独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が設置する鉄道又は軌道の用に供する施設
8.軌道法(大正10年法律第76号)による軌道又は同法が準用される無軌条電車の用に供する施設
8の2.石油パイプライン事業法(昭和47年法律第105号)による石油パイプライン事業の用に供する施設
9.道路運送法による一般乗合旅客自動車運送事業(路線を定めて定期に運行する自動車により乗合旅客の運送を行うものに限る。)又は貨物自動車運送事業法による一般貨物自動車運送事業(特別積合せ貨物運送をするものに限る。)の用に供する施設
9の2.自動車ターミナル法(昭和34年法律第136号)
第3条の許可を受けて経営する自動車ターミナル事業の用に供する施設
10.港湾法(昭和25年法律第218号)による港湾施設又は漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)による漁港施設
10の2.海岸法(昭和31年法律第101号)による海岸保全施設
11.航路標識法(昭和24年法律第99号)による航路標識又は水路業務法(昭和25年法律第102号)による水路測量標
12.航空法(昭和27年法律第231号)による飛行場又は航空保安施設で公共の用に供するもの
13.気象、海象、地象又は洪水その他これに類する現象の観測又は通報の用に供する施設
13の2.郵便事業株式会社が設置する郵便事業株式会社法(平成17年法律第99号)第3条第1項第1号に掲げる業務の用に供する施設
14.国が電波監視のために設置する無線方位又は電波の質の測定装置
15.国又は地方公共団体が設置する電気通信設備
15の2.電気通信事業法(昭和59年法律第86号)
第120条第1項に規定する認定電気通信事業者が同項に規定する認定電気通信事業の用に供する施設(同法の規定により土地等を使用することができるものを除く。)
16.放送法(昭和25年法律第132号)による放送事業の用に供する放送設備
17.電気事業法(昭和39年法律第170号)による一般電気事業、卸電気事業又は特定電気事業の用に供する電気工作物
17の2.ガス事業法(昭和29年法律第51号)によるガス工作物
18.水道法(昭和32年法律第177号)による水道事業若しくは水道用水供給事業、工業用水道事業法(昭和33年法律第84号)による工業用水道事業又は下水道法(昭和33年法律第79号)による公共下水道、流域下水道若しくは都市下水路の用に供する施設
19.市町村が消防法(昭和23年法律第186号)によつて設置する消防の用に供する施設
20.都道府県又は水防法(昭和24年法律第193号)による水防管理団体が水防の用に供する施設
21.学校教育法(昭和22年法律第26号)
第1条に規定する学校又はこれに準ずるその他の教育若しくは学術研究のための施設
22.社会教育法(昭和24年法律第207号)による公民館(同法
第42条に規定する公民館類似施設を除く。)若しくは博物館又は図書館法(昭和25年法律第118号)による図書館(同法
第29条に規定する図書館同種施設を除く。)
23.社会福祉法(昭和26年法律第45号)による社会福祉事業若しくは更生保護事業法(平成7年法律第86号)による更生保護事業の用に供する施設又は職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)による公共職業能力開発施設若しくは職業能力開発総合大学校
24.国、地方公共団体、独立行政法人国立病院機構、健康保険組合若しくは健康保険組合連合会、国民健康保険組合若しくは国民健康保険団体連合会、国家公務員共済組合若しくは国家公務員共済組合連合会若しくは地方公務員共済組合若しくは全国市町村職員共済組合連合会が設置する病院、事業所、診療所若しくは助産所、地域保健法(昭和22年法律第101号)による保健所若しくは医療法(昭和23年法律第205号)による公的医療機関又は検疫所
25.墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号による火葬場
26.と畜場法(昭和28年法律第114号)によると畜場又は化製場等に関する法律(昭和23年法律第140号)による化製場若しくは死亡獣畜取扱場
27.地方公共団体又は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
第15条の5第1項に規定する廃棄物処理センターが設置する同法による一般廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設その他の廃棄物の処理施設(廃棄物の処分(再生を含。)に係るものに限る。)及び地方公共団体が設置する公衆便所
28.卸売市場法(昭和46年法律第35号)による中央卸売市場及び地方卸売市場
29.自然公園法(昭和32年法律第161号)による公園事業
29の2.自然環境保全法(昭和47年法律第85号)による原生自然環境保全地域に関する保全事業及び自然環境保全地域に関する保全事業
30.国、地方公共団体、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が都市計画法(昭和43年法律第100号)
第4条第2項に規定する都市計画区域について同法第2章の規定により定められた第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域又は準住居地域内において、自ら居住するため住宅を必要とする者に対し賃貸し、又は譲渡する目的で行う50戸以上の一団地の住宅経営
31.国又は地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所、試験所その他直接その事務又は事業の用に供する施設
32.国又は地方公共団体が設置する公園、緑地、広場、運動場、墓地、市場その他公共の用に供する施設
33.独立行政法人日本原子力研究開発機構が独立行政法人日本原子力研究開発機構法(平成16年法律第155号)第17条第1項第1号から第3号までに掲げる業務の用に供する施設
34.独立行政法人水資源機構が設置する独立行政法人水資源機構法(平成14年法律第182号)による水資源開発施設及び愛知豊川用水施設
34の2.独立行政法人宇宙航空研究開発機構が独立行政法人宇宙航空研究開発機構法(平成14年法律第161号)第18条第1項第1号から第4号までに掲げる業務の用に供する施設
35.前各号の一に掲げるものに関する事業のために欠くことができない通路、橋、鉄道、軌道、索道、電線路、水路、池井、土石の捨場、材料の置場、職務上常駐を必要とする職員の詰所又は宿舎その他の施設
第4条 この法律又は他の法律によつて、土地等を収用し、又は使用することができる事業の用に供している土地等は、特別の必要がなければ、収用し、又は使用することができない。
第5条 土地を
第3条各号の一に規定する事業の用に供するため、その土地にある左の各号に掲げる権利を消滅させ、又は制限することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの権利を収用し、又は使用することができる。
1.地上権、永小作権、地役権、採石権、質権、抵当権、使用貸借又は賃貸借による権利その他土地に関する所有権以外の権利
2.鉱業権
3.温泉を利用する権利
2 土地の上にある立木、建物その他土地に定着する物件をその土地とともに
第3条各号の一に規定する事業の用に供するため、これらの物件に関する所有権以外の権利を消滅させ、又は制限することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの権利を収用し、又は使用することができる。
3 土地、河川の敷地、海底又は流水、海水その他の水を
第3条各号の一に規定する事業の用に供するため、これらのもの(当該土地が埋立て又は干拓により造成されるものであるときは、当該埋立て又は干拓に係る河川の敷地又は海底)に関係のある漁業権、入漁権その他河川の敷地、海底又は流水、海水その他の水を利用する権利を消滅させ、又は制限することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの権利を収用し、又は使用することができる。
第6条 土地の上にある立木、建物その他土地に定着する物件をその土地とともに、
第3条各号の一に規定する事業の用に供することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの物を収用し、又は使用することができる。
第7条 土地に属する土石砂れきを
第3条各号の一に規定する事業の用に供することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの物を収用することができる。
第8条 この法律において「起業者」とは、土地、
第5条に掲げる権利若しくは
第6条に掲げる立木、建物その他土地に定着する物件を収用し、若しくは使用し、又は前条に規定する土石砂れきを収用することを必要とする
第3条各号の一に規定する事業を行う者をいう。
2 この法律において「土地所有者」とは、収用又は使用に係る土地の所有者をいう。
3 この法律において「関係人」とは、
第2条の規定によつて土地を収用し、又は使用する場合においては当該土地に関して地上権、永小作権、地役権、採石権、質権、抵当権、使用賃借若しくは賃貸借による権利その他所有権以外の権利を有する者及びその土地にある物件に関して所有権その他の権利を有する者を、
第5条の規定によつて同条に掲げる権利を収用し、又は使用する場合においては当該権利に関して質権、抵当権、使用貸借若しくは賃貸借による権利その他の権利を有する者を、
第6条の規定によつて同条に掲げる立木、建物その他土地に定着する物件を収用し、又は使用する場合においては当該物件に関して所有権以外の権利を有する者を、
第7条の規定によって土石砂れきを収用する場合においては当該土石砂れきの属する土地に関して所有権以外の権利を有する者及びその土地にある物件に関して所有権その他の権利を有する者をいう。ただし、
第26条第1項(
第138条第1項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた後において新たな権利を取得した有は、既存の権利を承継した者を除き、関係人に含まれないものとする。
4 この法律において、土地又は物件に関する所有権以外の権利を有する者には、当該土地若しくは物件又は当該土地若しくは物件に関する所有権以外の権利につき、仮登記上の権利又は既登記の買戻権を有する者、既登記の差押債権者及び既登記の仮差押債権者が含まれるものとする。
5 前項の規定は、鉱業権、漁業権又は入漁権に関する権利を有する者について準用する。この場合において、同項中「仮登記」とあるのは「仮登録」と、「既登記」とあるのは「既登録」と読み替えるものとする。
第9条 合併その他の事由に因り事業の承継があつた場合においては、この法律の規定によつて従前の起業者が有していた権利義務は、当該事業を承継した者に移転する。
第10条 起業者、土地所有者又は関係人の変更があつた場合においては、この法律又はこの法律に基く命令の規定によつて従前の起業者、土地所有者又は関係人がした手続その他の行為は、新たに起業者、土地所有者又は関係人となつた者に対しても、その効力を有する。
第10条の2 起業者は、
第26条第1項の規定によつて告示された事業の用に供するため取得した土地については、公共の利益に沿うように適正な管理を行なわなければならない。
2 起業者は、前項に規定する土地を、同項に規定する事業の用以外の他の用に供する工作物その他の施設の用に供するために利用し、又は利用させるときは、当該土地の周辺の環境を阻害しないよう配慮しなければならない。
第11条 第3条各号の一に掲げる事業の準備のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査をする必要がある場合においては、起業者は、事業の種類並びに立ち入ろうとする土地の区域及び期間を記載した申請書を当該区域を管轄する都道府県知事に提出して立入の許可を受けなければならない。但し、起業者が国又は地方公共団体であるときは、事業の種類並びに立ち入ろうとする土地の区域及び期間を都道府県知事にあらかじめ通知することをもつて足り、許可を受けることを要しない。
2 都道府県知事は、前項本文の規定によつて立入の許可の申請があつた事業が
第3条各号の一に掲げる事業に該当しない場合又は立ち入ろうとする土地の区域及び期間が当該事業の準備のために必要な範囲をこえる場合を除いては、立入を許可するものとする。
3 前項の規定によつて都道府県知事の許可を受けた起業者又は第1項但書の規定によつて都道府県知事に通知をした起業者は、土地に、自ら立ち入り、又は起業者が命じた者若しくは委任した者を立ち入らせることができる。
4 都道府県知事は、第2項の規定による許可をしたとき、又は第1項但書の規定による通知を受けたときは、直ちに、起業者の名称、事業の種類並びに起業者が立ち入ろうとする土地の区域及び期間をその土地の占有者に通知し、又はこれらの事項を公告しなければならない。
第12条 前条第3項の規定によつて他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の5日前までに、その日時及び場所を市町村長に通知しなければならない。
2 市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちに、その旨を土地の占有者に通知し、又は公告しなければならない。
3 前条第3項の規定によつて宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとする場合においては、その土地に立ち入ろうとする者は、立入の際あらかじめその旨を占有者に告げなければならない。
4 日出前又は日没後においては、宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入つてはならない。
第13条 土地の占有者は、正当な理由がない限り、
第11条第3項の規定による立入を拒み、又は妨げてはならない。
第14条 起業者又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、
第3条各号の一に掲げる事業の準備のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行うに当り、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくはかき、さく等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試堀若しくは試すい若しくはこれに伴う障害物の伐除(以下「試堀等」という。)を行おうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行うことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、都道府県知事が許可を与えようとするときは土地の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項の規定によつて障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行おうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行おうとする日の3日前までに、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3 障害物が山林、原野その他これらに類する土地にあつて、あらかじめ所有者及び占有者の同意を得ることが困難であり、且つ、障害物の現状を著しく損傷しない場合においては、起業者又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、前2項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、直ちに、障害物を伐除することができる。この場合においては、障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨を所有者及び占有者に通知しなければならない。
4 前項の規定は、第1項の規定による土地の試掘又は試すいに伴う障害物の伐除をする場合には適用しない。
第15条 第11条第3項の規定によつて他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証票及び都道府県知事の許可証(起業者が国又は地方公共団体である場合を除く。)を携帯しなければならない。
2 前条の規定によつて障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行おうとする者は、その身分を示す証票及び市町村長又は都道府県知事の許可証を携帯しなければならない。
3 前2項に規定する証票又は許可証は、土地又は障害物の所有者、占有者その他の利害関係人の請求があつたときは、示さなければならない。
4 第1項及び第2項に規定する証票及び許可証の様式は、国土交通省令で定める。
| 第1節 | あつせん | (第15条の2−第15条の6) |
| 第2節 | 仲 裁 | (第15条の7−第15条の13) |
第15条の2 第3条各号のいずれかに掲げる事業の用に供するための土地等の取得に関する関係当事者間の合意が成立するに至らなかつたときは、関係当事者の双方又は一方は、書面をもつて、当該紛争に係る土地等が所在する都道府県の知事に対して、当該紛争の解決をあつせん委員のあつせんに付することを申請することができる。ただし、当該土地等について、
第26条第1項(
第138条第1項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた後は、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項の規定による申請があつた場合においては、当該紛争があつせんを行うに適しないと認められるときを除き、あつせん委員のあつせんに付するものとする。
3 第1項の規定による申請で同一の事業に係るものが2以上の都道府県知事にされた場合において、それぞれの都道府県のあつせん委員のあつせんに付することが適当でないと認められるときは、関係都道府県知事は、協議により、いずれの都道府県のあつせん委員のあつせんに付するかを定めることができる。
第15条の3 あつせん委員は5人とし、事件ごとに、収用委員会がその委員の中から推薦する者一人及び学識経験を有する者で収用委員会が推薦するものについて、都道府県知事が任命する。
第15条の4 あつせん委員は、あつせん中の紛争に係る土地等について、
第26条第1項(
第138条第1項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた場合には、当該あつせんを打ち切るものとする。
第15条の5 あつせん委員は、あつせんが終つたとき、又は前条に規定する場合その他の事由によりあつせんを打ち切つたときには、遅滞なく、その経過及び結果を都道府県知事に報告しなければならない。
2 あつせん委員は、前項の規定による報告をしたときは、当然に退任するものとする。
第15条の6 この法律に規定する事項を除き、あつせんの申請の手続その他あつせんに関し必要な事項は、政令で定める。
第15条の7 第15条の2第1項本文に規定する場合において、当該紛争が土地等の取得に際しての対償のみに関するものであるときは、関係当事者の双方は、書面をもつて、当該紛争に係る土地等が所在する都道府県の知事に対して、仲裁委員による当該紛争の仲裁(以下単に「仲裁」という。)を申請することができる。ただし、当該土地等について、第26条第1項(第138条第1項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた後は、この限りでない。
2 第15条の2第3項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第3項中「あつせん委員」とあるのは「仲裁委員」とあつせん」とあるのは「仲裁」と読み替えるものとする。
3 第1項の規定により仲裁の申請がされた後仲裁判断が行われるまでの間、当該申請に係る土地若しくは物件の所有権その他の権利、第5条に掲げる権利又は第7条に規定する土石砂れきを採取する権利に関しては、起業者又はこれらの権利を有する者は、それぞれ、第39条第1項又は第2項(第138条第1項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による申請又は請求をすることができない。
第15条の8 仲裁委員は3人とし、事件ごとに、収用委員会がその委員の中から推薦する者について、都道府県知事が任命する。
第15条の9 仲裁委員は、仲裁を行う場合において必要があると認めるときは、当事者の申出により、相手方の所持する当該紛争に係る資料の提出を求めることができる。
第15条の10 仲裁委員は、仲裁を行う場合において必要があると認めるときは、当事者の申出により、相手方の占有する土地その他当該紛争に関係のある場所に立ち入り、当該紛争の原因たる事実関係につき検査をすることができる。
2 前項の規定により検査をする場合においては、仲裁委員の1人をして当該検査を行わせることができる。
第15条の11 仲裁委員は、仲裁判断を行つたときには、遅滞なく、その概要を都道府県知事に報告しなければならない。
2 仲裁委員は、前項の規定による報告をしたときは、当然に退任するものとする。
第15条の12 仲裁については、この法律に別段の定めがある場合を除いて、仲裁委員を仲裁人とみなして、仲裁法(平成15年法律第138号)の規定を準用する。
第15条の13 この法律に定めるもののほか、仲裁の申請の手続、仲裁の手続に要する費用その他仲裁に関し必要な事項は、政令で定める。
第15条の14 起業者は、次条の規定による事業の認定を受けようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定める説明会の開催その他の措置を講じて、事業の目的及び内容について、当該事業の認定について利害関係を有する者に説明しなければならない。
第16条 起業者は、当該事業又は当該事業の施行により必要を生じた
第3条各号の一に該当するものに関する事業(以下「関連事業」という。)のために土地を収用し、又は使用しようとするときは、この節の定めるところに従い、事業の認定を受けなければならない。
第17条 事業が次の各号のいずれかに掲げるものであるときは、国土交通大臣が事業の認定に関する処分を行う。
1.国又は都道府県が起業者である事業
2.事業を施行する土地(以下「起業地」という。)が2以上の都道府県の区域にわたる事業
3.一の都道府県の区域を超え、又は道の区域の全部にわたり利害の影響を及ぼす事業その他の事業で次に掲げるもの
イ 道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)第2条第4項に規定する会社が行う同法による高速道路に関する事業
ロ 鉄道事業法による鉄道事業者がその鉄道事業(当該事業に係る路線又はその路線及び当該鉄道事業者若しくは当該鉄道事業者がその路線に係る鉄道線路を譲渡し、若しくは使用させる鉄道事業者が運送を行う上でその路線と密接に関連する他の路線が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)の用に供する施設に関する事業
ハ 港湾法による港湾施設で重要港湾に係るものに関する事業
ニ 航空法による飛行場又は航空保安施設で公共の用に供するものに関する事業
ホ 電気通信事業法
第120条第1項に規定する認定電気通信事業者が同項に規定する認定電気通信事業(その業務区域が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)の用に供する施設に関する事業
ヘ 日本放送協会が放送事業の用に供する放送設備に関する事業
ト 電気事業法による一般電気事業(供給区域が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)、卸電気事業(供給の相手方たる一般電気事業者の供給区域が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)又は特定電気事業(供給地点が一の都府県の区域内にとどまるものを除く。)の用に供する電気工作物に関する事業
チ イからトまでに掲げる事業のために欠くことができない通路、橋、鉄道、軌道、索道、電線路、水路、池井、土石の捨場、材料の置場、職務上常駐を必要とする職員の詰所又は宿舎その他の施設に関する事業
4.前3号に掲げる事業に係る関連事業
2 事業が前項各号の一に掲げるもの以外のものであるときは、起業地を管轄する都道府県知事が事業の認定に関する処分を行う。
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、次条の規定による事業認定申請書を受理した日から3月以内に、事業の認定に関する処分を行なうように努めなければならない。
第18条 起業者は、
第16条の規定による事業の認定を受けようとするときは、国土交通省令で定める様式に従い、左に掲げる事項を記載した事業認定申請書を、前条第1項又は
第27条第1項の場合においては国土交通大臣に、前条第2項の場合においては都道府県知事に提出しなければならない。
1.起業者の名称
2.事業の種類
3.収用又は使用の別を明らかにした起業地
4.事業の認定を申請する理由
2 前項の申請書には、国土交通省令で定める様式に従い、次に掲げる書類を添付しなければならない。
1.事業計画書
2.起業地及び事業計画を表示する図面
3.事業が関連事業に係るものであるときは、起業者が当該関連事業を施行する必要を生じたことを証する書面
4.起業地内に
第4条に規定する土地があるときは、その土地に関する調書、図面及び当該土地の管理者の意見書
5.起業地内にある土地の利用について法令の規定による制限があるときは、当該法令の施行について権限を有する行政機関の意見書
6.事業の施行に関して行政機関の免許、許可又は認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたことを証明する書類又は当該行政機関の意見書
3 前項第4号から第6号までに掲げる意見書は、起業者が意見を求めた日から3週間を経過しても、これを得ることができなかつたときは、添附することを要しない。この場合においては、意見書を得ることができなかつた事情を疎明する書面を添附しなければならない。
4 第1項第3号及び第2項第2号に規定する起業地の表示は、土地所有者及び関係人が自己の権利に係る土地が起業地の範囲に含まれることを容易に判断できるものでなければならない。
第19条 前条の規定による事業認定申請書及びその添附書類が同条又は同条に基く国土交通省令に規定する方式を欠くときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、相当な期間を定めて、その欠陥を補正させなければならない。
第125条の規定による手数料を納めないときも、同様とする。
2 起業者が前項の規定により欠陥の補正を命ぜられたにかかわらず、その定められた期間内に欠陥の補正をしないときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、事業認定申請書を却下しなければならない。
第20条 国土交通大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは、事業の認定をすることができる。
1.事業が
第3条各号の一に掲げるものに関するものであること。
2.起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。
3.事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。
4.土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。
第21条 国土交通大臣又は都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行おうとする場合において、
第18条第3項の規定により意見書の添附がなかつたとき、その他必要があると認めるときは、起業地内にある
第4条に規定する土地の管理者又は当該事業の施行について関係のある行政機関若しくはその地方支分部局の長の意見を求めなければならない。ただし、土地の管理者については、その管理者を確知することができないとき、その他その意見を求めることができないときは、この限りでない。
2 事業の施行について関係のある行政機関又はその地方支分部局の長は、事業の認定に関する処分について、国土交通大臣又は都道府県知事に対して意見を述べることができる。
第22条 国土交通大臣又は都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行おうとする場合において必要があると認めるときは、申請に係る事業の事業計画について専門的学識又は経験を有する者の意見を求めることができる。
第23条 国土交通大臣又は都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行おうとする場合において、当該事業の認定について利害関係を有する者から次条第2項の縦覧期間内に国土交通省令で定めるところにより公聴会を開催すべき旨の請求があつたときその他必要があると認めるときは、公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない。
2 前項の規定による公聴会を開こうとするときは、起業者の名称、事業の種類及び起業地並びに公聴会の期日及び場所を一般に公告しなければならない。
3 公聴会の手続に関して必要な事項は、国土交通省令で定める。
第24条 国土交通大臣又は都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行おうとするときは、申請に係る事業が
第20条に規定する要件に該当しないことが明らかである場合を除き、起業地が所在する市町村の長に対して事業認定申請書及びその添附書類のうち当該市町村に関係のある部分の写を送付しなければならない。
2 市町村長が前項の書類を受け取つたときは、直ちに、起業者の名称、事業の種類及び起業地を公告し、公告の日から2週間その書類を公衆の縦覧に供しなければならない。
3 国土交通大臣は、第1項の規定による送付をしたときは、直ちに、起業地を管轄する都道府県知事にその旨を通知し、事業認定申請書及びその添附書類の写を送付しなければならない。
4 市町村長が第1項の書類を受け取つた日から2週間を経過しても、第2項の規定による手続を行なわないときは、起業地を管轄する都道府県知事は、起業者の申請により、当該市町村長に代わつてその手続を行なうことができる。
5 前項の規定により、都道府県知事が市町村長に代わつて手続を行なおうとするときは、あらかじめ、その旨を当該市町村長に通知しなければならない。
6 前項の規定による都道府県知事の通知を受けた後においては、市町村長は、当該事件につき、第2項の規定による手続を行なうことができない。
第25条 前条第2項の規定による公告があつたときは、事業の認定について利害関係を有する者は、同項の縦覧期間内に、都道府県知事に意見書を提出することができる。
2 都道府県知事は、国土交通大臣が認定に関する処分を行おうとする事業について、前項の規定による意見書を受け取つたときは、直ちに、これを国土交通大臣に送付し、前条第2項に規定する期間内に意見書の提出がなかつたときは、その旨を国土交通大臣に報告しなければならない。
第25条の2 国土交通大臣は、事業の認定に関する処分を行おうとするときは、あらかじめ社会資本整備審議会の意見を聴き、その意見を尊重しなければならない。ただし、第24条第2項の縦覧期間内に前条第1項の意見書(国土交通大臣が、事業の認定をしようとする場合にあつては事業の認定をすることについて異議がある旨の意見が記載されたものに限り、事業の認定を拒否しようとする場合にあつては事業の認定をすべき旨の意見が記載されたものに限る。)の提出がなかつた場合においては、この限りでない。
2 都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行おうとするときは、あらかじめ第34条の7第1項の審議会その他の合議制の機関の意見を聴き、その意見を尊重しなければならない。ただし、第24条第2項の縦覧期間内に前条第1項の意見書(都道府県知事が、事業の認定をしようとする場合にあつては事業の認定をすることについて異議がある旨の意見が記載されたものに限り、事業の認定を拒否しようとする場合にあつては事業の認定をすべき旨の意見が記載されたものに限る。)の提出がなかつた場合においては、この限りでない。
第26条 国土交通大臣又は都道府県知事は、
第20条の規定によつて事業の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知するとともに、起業者の名称、事業の種類、起業地、事業の認定をした理由及び次条の規定による図面の縦覧場所を国土交通大臣にあつては官報で、都道府県知事にあつては都道府県知事が定める方法で告示しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による告示をしたときは、直ちに、国土交通大臣にその旨を報告し、国土交通大臣の要求があつた場合においては、事業の認定に関する書類の写を送付しなければならない。
3 国土交通大臣は、第1項の規定による告示をしたときは、直ちに、関係都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
4 事業の認定は、第1項の規定による告示があつた日から、その効力を生ずる。
第26条の2 国土交通大臣又は都道府県知事は、
第20条の規定によつて事業の認定をしたときは、直ちに、起業地が所在する市町村の長にその旨を通知しなければならない。
2 市町村長は、前項の通知を受けたときは、直ちに、
第24条第1項の規定により送付を受けた起業地を表示する図面を、事業の認定が効力を失う日又は
第30条の2において準用する
第30条第2項若しくは第3項の規定による通知を受ける日よで公衆の縦覧に供しなければならない。
3 第24条第4項及び第5項の規定は、市町村長が第1項の通知を受けた日から2週間を経過しても前項の規定による手続を行なわない場合に準用する。
第27条 起業者は、左の各号の一に該当するときは、国土交通大臣に対して事業の認定を申請することができるこの場合においては、起業者は、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。
1.都道府県知事が事業の認定を拒否したとき
2.都道府県知事が
第18条の規定による事業認定申請書を受理した日から3月を経過しても事業の認定に関する処分を行わないとき。
2 国土交通大臣は、前項第1号の規定による申請を受けたときは、あらかじめ公害等調整委員会の意見を聞いた上で、自ら事業の認定に関する処分を行わなければならない。
3 国土交通大臣は、第1項第2号の規定による申請を受けたときは、あらかじめ都道府県知事の意見を聞いた上で、都道府県知事に対して、相当な期間を定めて、事業の認定に関する処分を行うことを指示することができる。
4 国土交通大臣は、都道府県知事が前項の規定によつて指示された期間内に処分を行わないとき、又は同項の規定によつて処分を行うことを指示することが適当でないと認めるときは、都道府県知事及び起業者にあらかじめ自ら事業の認定に関する処分を行うことを通知した上で、自ら事業の認定に関する処分を行うことができる。
5 前項の規定による国土交通大臣の通知を受けた後においては、都道府県知事は、当該事件につき事業の認定に関する処分を行うことができない。
6 都道府県知事は、第2項又は第4項の規定によつて国土交通大臣が自ら事業の認定に関する処分を行う場合において、既に開かれた公聴会の記録、既に提出された利害関係人の意見書等当該事業の認定に関する処分を行うために必要な書類があるときは、直ちに、これらの書類を国土交通大臣に送付しなければならない。
7 第2項又は第4項の規定によつて建設大日が自ら事業の認定に関する処分を行う場合においては、国土交通大臣は、事業の認定に関する処分を行うための手続その他の行為で都道府県知事が既に行つたものを省略することができる。
第28条 国土交通大臣又は都道府県知事は、事業の認定を拒否したときは、遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知しなければならない。
第28条の2 起業者は、
第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつたときは、直ちに、国土交通省令で定めるところにより、土地所有者及び関係人が受けることができる補償その他国土交通省令で定める事項について、土地所有者及び関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない。
第28条の3 第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた後においては、何人も、都道府県知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならない。
2 都道府県知事は、土地の形質の変更について起業者の同意がある場合又は土地の形質の変更が災害の防止その他正当な理由に基づき必要があると認められる場合に限り、前項の規定による許可をするものとする。
第29条 起業者が
第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた日から1年以内に
第39条第1項の規定による収用又は使用の裁決の申請をしないときは、事業の認定は、期間満了の日の翌日から将来に向つて、その効力を失う。
2 第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた日から4年以内に
第47条の2第3項の規定による明渡裁決の申立てがないときも、前項と同様とする。この場合において、既にされた裁決手続開始の決定及び権利取得裁決は、取り消されたものとみなす。
第30条 第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた後、起業者が事業の全部又は一部を廃止し、又は変更したために土地を収用し、又は使用する必要がなくなつたときは、起業者は、遅滞なく、起業地を管轄する都道府県知事にその旨を届け出なければならない。この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、その旨を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
2 都道府県知事は、前項前段の規定による届出を受け取つたときは、事業の全部又は一部の廃止又は変更があつたことを都道府県知事が定める方法で告示し、かつ、起業地が所在する市町村の長に通知するとともに、直ちに、その旨を国土交通大臣に報告しなければならない。
3 都道府県知事は、第1項前段の規定による届出がない場合においても、起業者が事業の全部又は一部を廃止し、又は変更したために土地を収用し、又は使用する必要がなくなつたことを知つたときは、前項の規定による告示、通知及び報告をしなければならない。
4 事業の認定は、前2項の規定による告示があつた日から将来に向つて、その効力を失う。
第30条の2 前条第1項前段、第2項及び第3項の規定は、起業者が起業地内のすべての土地について必要な権利を取得した場合に準用する。ただし、同条第2項及び第3項の規定による告示及び報告は、することを要しない。
第31条 起業者は、起業地の全部又は一部について、事業の認定後の収用又は使用の手続を保留することができる。
第32条 起業者は、前条の規定によつて収用又は使用の手続を保留しようとするときは、国土交通省令で定める様式に従い、事業の認定の申請と同時に、その旨及び手続を保留する起業地の範囲を記載した申立書を提出しなければならない。この場合においては、
第18条第2項第2号に掲げる起業地を表示する図面に手続を保留する起業他の範囲を表示しなければならない。
2 第18条第4項の規定は、前項の規定による超業地の範囲の表示について、
第19条第1項前段及び第2項の規定は、前項の規定による申立書の欠陥の補正について準用する。この場合において、同条第1項前段中「前条」とあるのは「第32条第1項」と、「事業認定申請書及びその添附書類」とあるのは「申立書及び図面」と、「同条」とあるのは「同項」と、同条第2項中「事業認定申請書」とあるのは「申立書」と読み替えるものとする。
第33条 国土交通大臣又は都道府県知事は、前条第1項の申立てがあつたときは、
第26条第1項の規定による事業の認定の告示の際、あわせて事業の認定後の収用又は使用の手続が保留される旨及び手続が保留される起業地の範囲を告示しなければならない。
第34条 起業者は、収用又は使用の手続を保留した土地について、その手続を開始しようとするときは、
第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた日から3年以内に、都道府県知事に、収用又は使用の手続を開始する旨を申し立てなければならない。
第34条の2 起業者は、前条の規定による申立てをしようとするときは、国土交通省令で定める様式に従い、
第26条第1項及び
第33条の規定によつて告示された事項並びに収用又は使用の手続を開始しようとする土地を記載した申立書に、当該土地を表示する図面を添附して、これを当該土地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
2 第18条第4項の規定は、前項の規定による土地の表示について、
第19条第1項前段及び第2項の規定は、前項の規定による申立書の欠陥の補正について準用する。この場合において、同条第1項前段中「前条」とあるのは「第34条の2第1項」と、「事業認定申請書」とあるのは「申立書」と、「同条」とあるのは「同項」と、「国土交通大臣又は都道府県知事」とあるのは「都道府県知事」と、同条第2項中「国土交通大臣又は都道府県知事は、事業認定申請書」とあるのは「都道府県知事は、申立書」と読み替えるものとする。
第34条の3 都道府県知事は、
第34条の規定による申立てがあつたときは、遅滞なく、収用又は使用の手続が開始される旨及び
第34条の4の規定による図面の縦覧場所を、都道府県知事が定める方法で告示しなければならない。
第34条の4 都道府県知事は、
第34条の規定による申立てがあつたときは、直ちに、当該土地が所在する市町村の長に対して、
第34条の2第1項の図面を送付しなければならない。
2 市町村長は、前項の図面を受け取つたときは、直ちに、これを
第26条の2第2項の図面とあわせて公衆の縦覧に供しなければならない。
3 第24条第4項及び第5項の規定は、市町村長が第1項の図面を受け取つた日から2週間を経過しても前項の規定による手続を行なわない場合に準用する。
第34条の6 起業者が、収用又は使用の手続を保留した土地について、
第34条の期間内に同条の規定による申立てをしないときは、事業の認定は、期間満了の日の翌日から将来に向つて、その効力を失う。
第34条の7 都道府県に、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するため、審議会その他の合議制の機関(次項において「審議会等」という。)を置く。
2 審議会等の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。
第35条 第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた後は、起業者又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、事業の準備のため又は次条第1項の土地調書及び物件調書の作成のために、その土地又はその土地にある工作物に立ち入つて、これを測量し、又はその土地及びその土地若しくは工作物にある物件を調査することができる。
2 前項の規定によつて土地又は工作物に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の3日前までに、その日時及び場所を当該土地又は工作物の占有者に通知しなければならない。
3 第12条第3項及び第4項、
第13条並びに
第19条第1項、第3項及び第4項の規定は、第1項の場合に準用する。この場合において、
第12条第3項中「前条第3項」とあり、又は
第13条及び
第15条第1項中「第11条第3項」とあるのは「第35条第1項」と、
第12条第3項及び第4項中「又はかき、さく等で囲まれた土地」とあるのは「若しくはかき、さく等で囲まれた土地又は工作物」と、同条第3項、
第13条及び
第15条第1項中「土地」とあり、又は同条第3項中「土地又は障害物」とあるのは「土地又は工作物」と、
第15条第1項中「証票及び都道府県知事の許可証(起業者が国又は地方公共団体である場合を除く。)」とあり、又は同条第3項中「証票又は許可証」と、若しくは第4項中「証票及び許可証」とあるのは「証票」と読み替えるものとする。
第36条 第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた後、起業者は、土地調書及び物件調書を作成しなければならない。
2 前項の規定により土地調書及び物件調書を作成する場合において、起業者は、自ら土地調書及び物件調書に署名押印し、土地所有者及び関係人(起業者が過失がなくて知ることができない者を除く。以下この節において同じ。)を立ち会わせた上、土地調書及び物件調書に署名押印させなければならない。
3 前項の場合において、土地所有者及び関係人のうち、土地調書及び物件調書の記載事項が真実でない旨の異議を有する者は、その内容を当該調書に附記して署名押印することができる。
4 第2項の場合において、土地所有者及び関係人のうちに、同項の規定による署名押印を拒んだ者、同項の規定による署名押印を求められたにもかかわらず相当の期間内にその責めに帰すべき事由によりこれをしない者又は同項の規定による署名押印をすることができない者があるときは、起業者は、市町村長の立会い及び署名押印を求めなければならない。この場合において、市町村長は、当該市町村の職員を立ち会わせ、署名押印させることができる。
5 前項の場合において、市町村長が署名押印を拒んだときは、都道府県知事は、起業者の申請により、当該都道府県の職員のうちから立会人を指名し、署名押印させなければならない。
6 前2項の規定による立会人は、起業者又は起業者に対し
第61条第1項第2号又は第3号の規定に該当する関係にある者であつてはならない。
第36条の2 起業者は、第1号に掲げる場合にあつては前条第1項の土地調書を、第2号に掲げる場合にあつては同項の物件調書を、それぞれ、同条第2項から第6項までに定める手続に代えて、次項から第7項までに定める手続により作成することができる。
1.収用し、又は使用しようとする一筆の土地の所有者及び当該土地に関して権利を有する関係人(これらの者のうち、起業者が過失がなくて知ることができない者を除き、1人当たりの補償金の見積額が最近3年間の権利取得裁決に係る1人当たりの補償金の平均額に照らして著しく低い額として政令で定める額以下である者に限る。)が、100人を超えると見込まれる場合
2.収用し、又は使用しようとする一筆の土地にある物件に関して権利を有する関係人(起業者が過失なくて知ることができない者を除き、1人当たりの補償金の見積額が最近3年間の明渡裁決に係る1人当たりの補償金の平均額に照らして著しく低い額として政令で定める額以下である者に限る。)が、100人を超えると見込まれる場合
2 前項の規定により土地調書又は物件調書を作成する場合において、起業者は、自ら土地調書又は物件調書に署名押印した上で、収用し、又は使用しようとする一筆の土地が所在する市町村の長に対し、国土交通省令で定めるところにより、土地調書又は物件調書の写しを添付した申出書を提出しなければならない。
3 市町村長は、前項の申出書を受け取つた場合は、直ちに、起業者の名称、事業の種類及び申出に係る土地又は物件の所在地を公告し、公告の日から一箇月間その書類を公衆の縦覧に供しなければならない。
4 第24条第4項から第6項までの規定は、前項の規定による公告及び縦覧について準用する。
5 起業者は、第3項の規定による公告があつたときは、当該公告に係る土地調書又は物件調書に氏名及び住所が記載されている土地所有者及び関係人に対し、同項の規定による公告があつた旨の通知をしなければならない。この場合において、当該通知は、同項の規定による公告の日から1週間以内に発しなければならない。
6 第3項の規定による公告に係る土地調書又は物件調書に記載されている土地所有者及び関係人は、当該土地調書又は物件調書の記載事項が真実でない旨の異議を有するときは、同項の縦覧期間内に、起業者に対し、国土交通省令で定めるところにより、その内容を記載した異議申出書を提出することができる。
7 起業者は、前項の異議申出書を受け取つたときは、第3項の規定による公告に係る土地調書又は物件調書に当該異議申出書を添付しなければならない。
第37条 第36条第1項の土地調書には、収用し、又は使用しようとする土地について、次に掲げる事項を記載し、実測平面図を添付しなければならない。
1.土地の所在、地番、地目及び地積並びに土地所有者の氏名及び住所
2.収用し、又は使用しようとする土地の面積
3.土地に関して権利を有する関係人の氏名及び住所並びにその権利の種類及び内容
4.調書を作成した年月日
5.その他必要な事項
2 第36条第1項の物件調書には、収用し、又は使用しようとする土地にある物件について、次に掲げる事項を記載しなければならない。
1.物件がある土地の所在、地番及び地目
2.物件の種類及び数量並びにその所有者の氏名及び住所
3.物件に関して権利を有する関係人の氏名及び住所並びにその権利の種類及び内容
4.調書を作成した年月日
5.その他必要な事項
3 物件が建物であるときは、前項に掲げる事項の外、建物の種類、構造、床面積等を記載し、実測平面図を添附しなければならない。
4 土地調書及び物件調書の様式は、国土交通省令で定める。
第37条の2 起業者は、土地所有者、関係人その他の者が正当な理由がないのに第36条第1項の土地調書又は物件調書の作成のための
第35条第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げたため、同項の規定により測量又は調査をすることが著しく困難であるときは、他の方法により知ることができる程度でこれらの調書を作成すれば足りるものとする。この場合においては、これらの調書にその旨を付記しなければならない。
第38条 起業者、土地所有者及び関係人は、
第36条第2項の規定によつて異議を付記した者及び第36条の2第6項の規定によつて異議申出書を提出した者がその内容を述べる場合を除き、第36条から前条までの規定によつて作成された土地調書及び物件調書の記載事項の真否について異議を述べることができない。ただし、その調書の記載事項が真実に反していることを立証するときは、この限りでない。
第39条 起業者は、
第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた日から1年以内に限り、収用し、又は使用しようとする土地が所在する都道府県の収用委員会に収用又は使用の裁決を申請することができる。
2 土地所有者又は土地に関して権利を有する関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者又は仮差押債権者である関係人を除く。)は、自己の権利に係る土地について、起業者に対し、前項の規定による申請をすべきことを請求することができる。ただし、一団の土地については、当該収用又は使用に因つて残地となるべき部分を除き、分割して請求することができない。
3 前項の規定による請求の手続に関して必要な事項は、国土交通省令で定める。
第40条 起業者は、前条の規定によつて収用委員会の裁決を申請しようとするときは、国土交通省令で定める様式に従い、裁決申請書に次に掲げる書類を添付して、これを収用委員会に提出しなければならない。
1.事業計画書並びに起業地及び事業計画を表示する図面
2.市町村別に左に掲げる事項を記載した書類
イ 収用し、又は使用しようとする土地の所有、地番及び地目
ロ 収用し、又は使用しようとする土地の面積(土地が分割されることになる場合においては、その全部の面積を含む。)
ハ 土地を使用しようとする場合においては、その方法及び期間
ニ 土地所有者及び土地に関して権利を有する関係人の氏名及び住所
ホ 土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損害補償の見積及びその内訳
ヘ 権利を取得し、又は消滅させる時期
2 前項第2号ニに掲げる事項に関して起業者が過失がなくて知ることができないものについては、同項の規定による申請書の添附書類に記載することを要しない。
第41条 第19条の規定は、前条の規定による裁決申請書及びその添附書類の欠陥の補正について準用する。この場合において、「前条」とあるのは「第40条」と、「事業認定申請書」とあるのは「裁決申請書」と、「国土交通大臣又は都道府県知事」とあるのは「収用委員会」と読み替えるものとする。
第42条 収用委員会は、
第40条第1項の規定による裁決申請書及びその添附書類を受理したときは、前条において準用する
第19条第2項の規定により裁決申請書を却下する場合を除くの外、市町村別に当該市町村に関係がある部分のぢを当該市町村長に送付するとともに、添附書類に記載されている土地所有者及び関係人に裁決の申請があつた旨の通知をしなければならない。
2 市町村長は、前項の書類を受け取つたときは、直ちに、裁決の申請があつた旨及び
第40条第1項第2号イに掲げる事項を公告し、公告の日から2週間その書類を公衆の縦覧に供しなければならない。
3 市町村長は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、公告の日を収用委員会に報告しなければならない。
4 第24条第4項から第6項までの規定は、市町村長が第1項の書類を受け取つた日から2週間を経過しても第2項の規定による手続を行なわない場合に準用する。この場合において、同条第4項中「起業地」とあるのは、「裁決の申請に係る土地」と読み替えるものとする。
5 都道府県知事は、収用委員会に対して前項の規定により第2項の規定による公衆の縦覧に供しなければならない書類の送付を求めることができる。
6 都道府県知事は、第4項の規定により第2項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、公告の日を収用委員会に通知しなければならない。
第43条 前条第2項の規定による公告があつたときは、土地所有者及び関係人は、同条の縦覧期間内に、収用委員会に意見書を提出することができる。但し、縦覧期間が経過した後において意見書が提出された場合においても、収用委員会は、相当の理由があると認めるときは、当該意見書を受理することができる。
2 前条第2項の規定による公告があつたときは、その公告があつた土地及びこれに関する権利について仮処分をした者その他損失の補償の決定によつて権利を害される虞のある者(以下「準関係人」と総称する。)は、収用委員会の審理が終るまでは、自己の権利が影響を受ける限度において、損失の補償に関して収用委員会に意見書を提出することができる。
3 土地所有者、関係人及び準関係人は、前2項の規定による意見書において、事業の認定に対する不服に関する事項その他の事項であつて、収用委員会の審理と関係がないものを記載することができない。
4 第1項又は第2項の規定による意見書に、前項に規定する収用委員会の審理と関係がない事項が記載されている場合における第63条第1項の規定の適用については、初めから当該事項の記載がなかつたものとみなす。
第44条 第36条第1項の土地調書の作成前に
第39条第2項の規定による請求があつたときは、
第40条第1項の規定にかかわらず、同項第2号の書類については、同号イ、ハ及びヘに掲げる事項並びに登記簿に現われた土地所有者及び関係人の氏名及び住所を記載すれば足りるものとし、同項第3号に掲げる書類は、添付することを要しない。
2 起業者は、前項の規定により添付書類の一部を省略して裁決を申請したときは、
第36条第1項の土地調書の作成後、速やかに、国土交通省令で定めるところにより、
第40条第1項の規定による添付書類中省略された部分を補充しなければならない。この場合においては、その補充があつたときに、同項の規定による裁決申請書及びその添付書類を収用委員会が受理したものとみなして、前2条の規定を適用する。
第45条 前条第1項の規定により添附書類の一部を省略して裁決の申請があつたときは、収用委員会は、
第41条において準用する
第19条第2項の規定により裁決申請書を却下する場合を除くの外、申請に係る土地が所在する市町村の長並びに添附書類に記載されている土地所有者及び関係人に裁決の申請があつた旨の通知をしなければならない。
2 市町村長は、前項の通知を受けたときは、直ちに、通知に係る土地について裁決の申請があつた旨を2週間公告しなければならない。
3 第42条第3項、第4項及び第6項の規定は、前項の規定による公告について準用する。この場合において、同条第4項中「書類を受け取つた」とあるのは、「通知を受けた」と読み替えるものとする。
第45条の2 収用委員会は、
第44条第1項の規定により添附書類の一部を省略して裁決の申請があつたときは、前条第2項に規定する公告期間を経過した後、これを省略しないで裁決の申請があつたときは、
第42条第2項に規定する縦覧期間を経過した後、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより裁決手続の開始を決定してその旨を公告し、かつ、申請に係る土地を管轄する登記所に、その土地及びその土地に関する権利について、収用又は使用の裁決手続の開始の登記(以下単に「裁決手続開始の登記」という。)を嘱託しなければならない。
第45条の3 裁決手続開始の登記があつた後において、当該登記に係る権利を承継し、当該登記に係る権利について仮登記若しくは買戻しの特約の登記をし、又は当該登記に係る権利について差押え、仮差押えの執行若しくは仮処分の執行をした者は、当該承継、仮登記上の権利若しくは買戻権又は当該処分を起業者に対抗することができない。ただし、相続人その他の一般承継人及び当該裁決手続開始の登記前に登記された買戻権の行使又は当該裁決手続開始の登記前にされた差押え若しくは仮差押えの執行に係る国税徴収法(昭和34年法律第147号)による滞納処分(その例による滞納処分を含むものとし、以下単に「滞納処分」という。)、強制執行若しくは担保権の実行としての競売(その例による競売を含むものとし、以下単に「競売」という。)により権利を取得した者の当該権利の承継については、この限りでない。
2 裁決手続開始の登記前においては、土地が収用され、又は使用されることによる損失の補償を請求する権利については、差押え、仮差押えの執行、譲渡又は質権の認定をすることができない。裁決手続開始の登記後においても、その登記に係る権利で、その登記前に差押え又は仮差押えの執行がされているもの(質権、抵当権その他の権利で、当該差押え又は仮差押えの執行に係る滞納処分、強制執行又は競売によつて消滅すべきものを含む。)に対する損失の補償を請求する権利につき、同様とする。
第46条 収用委員会は、
第42条第2項に規定する縦覧期間を経過した後、遅滞なく、審理を開始しなければならない。
2 収用委員会は、審理を開始する場合においては、起業者、
第40条第1項の規定による裁決申請書の漆附書類に記載されている土地所有者及び関係人並びに
第43条又は
第87条ただし書の規定によつて意見書を提出した者に、あらかじめ審理の期日及び場所を通知しなければならない。
3 収用委員会は、審理の促進を図り、裁決が遅延することのないように努めなければならない。
第46条の2 土地所有者又は土地に関して権利を有する関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者又は仮差押債権者である関係人を除く。)は、
第26条第1項の規定による事業の認定の告示があつた後は、
第48条第1項の規定による裁決前であつても、起業者に対し、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金(
第76条第3項の規定によるものを除く。)の支払を請求することができる。
第39条第2項ただし書及び第3項の規定は、この場合に準用する。
2 前項の規定による補償金の支払の請求は、
第39条第2項の規定による請求とあわせてしなければならない。ただし、既に、起業者が同条第1項の規定による収用若しくは使用の裁決の申請をし、又は他の土地所有者若しくは関係人が同条第2項の規定による請求をしているときは、この限りでない。
3 裁決手続開始の登記前から差押え又は仮差押えの執行がされている権利(当該差押え又は収差押えの執行に係る滞納処分、強制執行又は競売によつて消滅すべき権利を含む。)については、第1項の規定による補償金の支払の請求は、することができない。差押え又は仮差押えの執行前に同項の規定による補償金の支払の請求がされた権利について、差押え又は仮差押えの執行後に裁決手続開始の登記がされたときは、同項の規定による補償金の支払の請求は、その効力を失う。
第46条の3 第76条第1項又は
第81条第1項の規定による収用の請求を前提とする前条第1項の規定による補償金の支払の請求は、あらかじめ、
第87条の規定によりその収用の請求に必要な手続をした場合に限つてすることができる。
第46条の4 起業者は、
第46条の2第1項の規定による補償金の支払の請求を受けたときは、国土交通省令で定めるところにより、2月以内に自己の見積りによる補償金を支払わなければならない。ただし、裁決手続開始の登記がされていないときは、その登記がされた日から1週間以内に支払えば足りる。
2 第95条第2項(第3号を除く。)及び第4項後段、
第99条第1項及び第3項並びに
第104条の規定は、前項の規定によつて支払うべき補償金について準用する。この場合において、
第95条第2項中「権利取得の時期」とあるのは「第46条の4第1項の規定による支払期限」と、
第104条中「が収用され、又は使用された」とあるのは「について第46条の2第1項の規定による補償金の支払の請求がされた」と、「その目的物の収用又は使用に因つて」とあるのは「第46条の4第1項の規定によつて」と読み替えるものとする。
3 起業者は、前項において準用する
第104条の規定により権利を行なうことができる者に対して、第1項の規定による補償金の支払前にあらかじめ、その支払をする旨を通知しなければならない。
4 第1項の規定による支払期限前に権利取得裁決の裁決書の正本が起業者に送達されたときは、
第46条の2第1項の規定による補償金の支払の請求は、その効力を失う。
第47条 収用又は使用の裁決の申請が左の各号の一に該当するときその他この法律の規定に違反するときは、収用委員会は、裁決をもつて申請を却下しなければならない。
1.申請に係る事業が
第26条第1項の規定によつて告示された事業と異なるとき。
2.申請に係る事業計画が
第18条第2項第1号の規定によつて事業認定申請書に添附された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき。
第47条の2 収用委員会は、前条の規定によつて申請を却下する場合を除くの外、収用又は使用の裁決をしなければならない。
2 収用又は使用の裁決は、権利取得裁決及び明渡裁決とする。
3 明渡裁決は、起業者、土地所有者又は関係人の申立てをまつてするものとする。
4 明渡裁決は、権利取得裁決とあわせて、又は権利取得裁決のあつた後に行なう。ただし、明渡裁決のため必要な審理を権利取得裁決前に行なうことを妨げない。
第47条の3 起業者は、明渡裁決の申立てをしようとするとき、又は土地所有者若しくは関係人から明渡裁決の申立てがあつたときは、国土交通省令で定める様式に従い、次に掲げる書類を収用委員会に提出しなければならない。
1.市町村別に次に掲げる事項を記載した書類
イ 土地の所在、地番及び地目
ロ 土地にある物件の種類及び数量(物件が分割されることになる場合においては、その全部の物件の数量を含む。)
ハ 土地所有者及び関係人の氏名及び住所
ニ
第40条第1項第2号ホに掲げるものを除くその他の損失補償の見積り及びその内訳
ホ 土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転の期限
2 第40条第2項の規定は、前項第1号ハに掲げる事項の記載について準用する。
3 第37条の2に規定する場合においては、第1項第1号の書類に記載すべき事項のうちロに掲げる事項については、
第35条第1項の規定による方法以外の方法により知ることができる程度で記載すれば足りるものとする。この場合においては、その書類にその旨を附記しなければならない。
4 第1項第2号に掲げる書類については、既に作成したこれらの書類の内容が現況と著しく異なると認められるときは、新たにこれを作成して、従前の書類とともに提出しなければならない。
5 第19条第1項前段の規定は、第1項に規定する書類の欠陥の補正について準用する。この場合において、「前条」とあるのは「第47条の3第1項から第4項まで」と、「事業認定申請書及びその添附書類」とあるのは「書類」と、「同条」とあるのは「これらの規定」と、「国土交通大臣又は都道府県知事」とあるのは「収用委員会」と読み替えるものとする。
6 第1項から前項までに定めるものの外、明渡裁決の申立ての手続に関して必要な事項は、国土交通省令で定める。
第47条の4 収用委員会は、前条第1項の書類を受理したときは、市町村別に当該市町村に関係がある部分の写しを当該市町村長に送付するとともに、その書類に記載されている土地所有者及び関係人に明確裁決の申立てがあつた旨の通知をしなければならない。
2 第42条第2項から第6項まで及び
第43条の規定は、前項の規定により市町村長が送付を受けた書類の縦覧並びに土地所有者、関係人及び準関係人の意見書の提出について準用する。この場合において、
第42条第2項中「前項」とあるのは「第47条の3第1項」と、「第40条第1項第2号イ」とあるのは「同項第1号イ」と読み替えるものとする。
第48条 権利取得裁決においては、次に掲げる事項について裁決しなければならない。
1.収用する土地の区域又は使用する土地の区域並びに使用の方法及び期間
2.土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償
3.権利を取得し、又は消滅させる時期(以下「権利取得の時期」という。)
4.その他この法律に規定する事項
2 収用委員会は、前項第1号に掲げる事項については、
第40条第1項の規定による裁決申請書の添附書類によつて起業者が申し立てた範囲内で、且つ、事業に必要な限度において裁決しなければならない。但し、
第76条第1項又は
第81条第1項の規定による請求があつた場合においては、その請求の範囲内において裁決することができる。
3 収用委員会は、第1項第2号に掲げる事項については、
第40条第1項の規定による裁決申請書の添附書類並びに
第43条、
第63条第2項若しくは
第87条ただし書の規定による意見書又は
第65条第1項第1号の規定に基いて提出された意見書によつて起業者、土地所有者、関係人及び準関係人が申し立てた範囲をこえて裁決してはならない。
4 収用委員会は、第1項第2号に掲げる事項については、前項の規定によるのほか、当該補償金を受けるべき土地所有者及び関係人の氏名及び住所を明らかにして裁決しなければならない。ただし、土地所有者又は関係人の氏名又は住所を確知することができないときは、当該事項については、この限りでない。
5 収用委員会は、第1項第2号に掲げる事項については、前2項の規定によるのほか、土地に関する所有権以外の権利に関して争いがある場合において、裁決の時期までにその権利の存否が確定しないときは、当該権利が存するものとして裁決しなければならない。この場合においては、裁決の後に土地に関する所有権以外の権利が存しないことが確定した場合における土地所有者の受けるべき補償金をあわせて裁決しなければならない。
第49条 明渡裁決においては、次に掲げる事項について裁決しなければならない。
1.前条第1項第2号に掲げるものを除くその他の損失の補償
2.土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転の制限(以下「明渡しの期限」という。)
3.その他この法律に規定する事項
2 前条第3項から第5項までの規定は、前項第1号に掲げる事項について準用する。
第50条 収用委員会は、審理の途中において、何時でも、起業者、土地所有者及び関係人に和解を勧めることができる。
2 収用し、又は使用しようとする土地の全部又は一部について起業者と土地所有者及び関係人の全員との間に
第48条第1項各号又は前条第1項各号に掲げるすべての事項に関して和解がととのつた場合において、その和解の内容が
第7章の規定に適合するときは、収用委員会は、起業者、土地所有者及び関係人の申請により、和解調書を作成することができる。
3 前項の和解調書には、
第48条第1項各号又は前条第1項各号に掲げるすべての事項を記載し、収用委員会の会長及び和解調書の作成に加わつた委員並びに起業者、土地所有者及び関係人が、これに署名押印しなければならない。
4 和解調書の正本には、収用委員会の印章を押し、これを起業者、土地所有者及び関係人に送達しなければならない。
5 第3項の規定による和解調書が作成されたときは、この法律の適用については、権利取得裁決又は明渡裁決があつたものとみなす。この場合において、起業者、土地所有者及び関係人は、和解の成立及び内容を争うことができない。
第51条 この法律に基く権限を行うため、都道府県知事の所轄の下に、収用委員会を設置する。
第52条 収用委員会は、委員7人をもつて組織する。
2 収用委員会には、就任の順位を定めて、2人以上の予備委員を置かなければならない。
3 委員及び予備委員は、法律、経済又は行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、都道府県の議会の同意を得て、都道府県知事が任命する。
4 委員及び予備委員は、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員若しくは地方公務員法(昭和25年法律第261号)第28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員と兼ねることができない。
5 委員及び予備委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、都道府県の議会の閉会又は解散のためにその同意を得ることができないときは、都道府県知事は、第3項の規定にかかわらず、都道府県の議会の同意を得ないで委員及び予備委員を任命することができる。
6 前項の場合においては、任命後最初の議会でその承認を得なければならない。この場合において、議会の承認を得ることができないときは、都道府県知事は、その委員及び予備委員を罷免しなければならない。
7 委員及び予備委員は、非常勤とする。ただし、政令で定める都道府県の収用委員会の委員は、政令で定めるところにより、常勤とすることができる。
2 委員に欠員が生じたときは、予備委員のうち先順位者が、就任するものとする。
3 前項の規定による委員の任期は、前任者の残任期間とする。
第54条 次の各号のいずれかに該当する者は、委員及び予備委員となることができない。
1.破産者で復権を得ない者
2.禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
第55条 委員及び予備委員は、左の各号の一に該当する場合を除いては、在任中その意に反して罷免されることがない。
1.収用委員会の議決により心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。
2.収用委員会の議決により職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められたとき。
2 委員及び予備委員が前項各号の一に該当するときは、都道府県知事は、その委員及び予備委員を罷免しなければならない。
3 委員及び予備委員が前条各号の一に該当するに至つたときは、当然失職するものとする。
3 会長は、収用委員会を代表し、議事その他の会務を総理する。
4 会長に事故があるときは、委員のうちからあらかじめ互選された者が、その職務を代理する。
第57条 委員及び予備委員は、都道府県の条例で定めるところにより、給与を受ける。
第58条 収用委員会の事務を整理させるため、収用委員会に必要な職員を置く。
2 前項の職員は、都道府県知事が当該都道府県の職員のうちから会長の同意を得て任命する。
3 都道府県知事は、第1項の規定にかかわらず、その定める当該都道府県の内部組織において収用委員会の事務を整理させることができる。
第58条の2 収用委員会は、収用委員会の処分(行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)
第3条第2項に規定する処分をいう。以下この条において同じ。)又は
第64条の規定により会長若しくは
第60条の2第2項に規定する指名委員がする処分に係る同法
第11条第1項(同法
第38条第1項(同法
第43条第2項において準用する場合を含む。)又は同法
第43条第1項において準用する場合を含む。)の規定による都道府県を被告とする訴訟について、当該都道府県を代表する。
第59条 この法律又はこの法律に基く条例に規定する事項を除くの外、収用委員会の会議その他運営に必要な事項は、収用委員会が定める。
2 収用委員会は、会長及び3人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、又は議決をすることができない。
3 収用委員会の議事は、出席者の過半数をもつて決する。可否同数のときは、会長の決するところによる。
4 収用委員会が
第55条第1項各号の規定による議決をする場合においては、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。
第60条の2 収用委員会は、必要があると認めるときは、審理又は調査に関する事務(裁決及び決定を除く。)の一部を委員に委任することができる。
2 収用委員会又は前項の規定により委任を受けた委員(以下「指名委員」という。)は、必要があると認めるときは、
第65条第1項第3号に規定する事務を、収用委員会の事務を整理する職員に行なわせることができる。
第61条 次の各号のいずれかに該当する者は、委員として収用委員会の会議若しくは審理に加わり、又は議決をすることができない。
1.起業者、土地所有者及び関係人
2.起業者、土地所有者及び関係人の配偶者、四親等内の親族、同居の親族、代理人、保佐人及び補助人
3.株式会社、合名会社、合資会社、合同会社その他の法人が起業者、土地所有者及び関係人である場合において、当該株式会社の取締役、執行役及び監査役、当該合名会社の社員、当該合資会社の無限責任社員及び業務を執行する有限責任社員、当該合同会社の業務を執行する社員その他当該法人の理事、監事その他これらに準ずる職務権限を有する者
2 委員のうち1人以上が前項の規定に該当するため委員の数が減少して、会議を開き、審理を行い、又は議決をすることができないときは、予備委員が就任の順位に従つて、会長の指名により臨時に補充されるものとする。
第62条 収用委員会の審理は、公開しなければならない。但し、収用委員会は、審理の公正が害される虞があるときその他公益上必要があると認めるときは、公開しないことができる。