文化財保護法
昭和25・5・30・法律214号
改正平成5・11・12・法律 89号−−
改正平成6・6・29・法律 49号−−
改正平成6・11・11・法律 97号−−
改正平成8・6・12・法律 66号−−
改正平成11・7・16・法律 87号−−
改正平成11・7・16・法律102号−−
改正平成11・12・22・法律160号−−
改正平成11・12・22・法律178号−−
改正平成11・12・22・法律179号−−
改正平成12・5・19・法律 73号−−
改正平成14・2・8・法律 1号−−
改正平成14・7・3・法律 82号−−
改正平成16・5・28・法律 61号==
改正平成16・6・9・法律 84号−−
改正平成18・5・31・法律 46号−−
改正平成18・6・15・法律 73号−−(施行=平19年12月10日)
改正平成19・3・30・法律 7号−−(施行=平19年4月1日)
第1条 この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。
第2条 この法律で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
1.建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
2.演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所在で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
3.衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
4.貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
5.地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(以下「文化的景観」という。)
6.周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)
第3条 政府及び地方公共団体は、文化財がわが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない。
第4条 一般国民は、政府及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならない。
2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。
3 政府及び地方公共団体は、この法律の執行に当つて関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。
| 第1款 | 指 定 | (第27条〜第29条) |
| 第2款 | 管 理 | (第30条〜第34条) |
| 第3款 | 保 護 | (第34条の2〜第47条) |
| 第4款 | 公 開 | (第47条の2〜第53条) |
| 第5款 | 調 査 | (第54条〜第55条) |
| 第6款 | 雑 則 | (第56条) |
第27条 文部科学大臣は、有形文化財のうち重要なものを重要文化財に指定することができる。
2 文部科学大臣は、重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定することができる。
第28条 前条の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該国宝又は重要文化財の所有者に通知してする。
2 前条の規定による指定は、前項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。但し、当該国宝又は重要文化財の所有者に対しては、同項の規定による通知が当該所有者に到達した時からその効力を生ずる。
3 前条の規定による指定をしたときは、文部科学大臣は、当該国宝又は重要文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
4 指定書に記載すべき事項その他指定書に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。
5 第3項の規定により国宝の指定書の交付を受けたときは、所有者は、30日以内に国宝に指定された重要文化財の指定書を文部科学大臣に返付しなければならない。
第29条 国宝又は重要文化財が国宝又は重要文化財としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、文部科学大臣は、国宝又は重要文化財の指定を解除することができる。
2 前項の規定による指定の解除は、その旨を官報で告示するとともに、当該国宝又は重要文化財の所有者に通知してする。
3 第1項の規定による指定の解除には、
前条第2項の規定を準用する。
4 第2項の通知を受けたときは、所有者は、30日以内に指定書を文部科学大臣に返付しなければならない。
5 第1項の規定により国宝の指定を解除した場合において当該有形文化財につき重要文化財の指定を解除しないときは、文部科学大臣は、直ちに重要文化財の指定書を所有者に交付しなければならない。
第30条 文化庁長官は、重要文化財の所有者に対し、重要文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
第31条 重要文化財の所有者は、この法律並びにこれに基いて発する文部科学省令及び文化庁長官の指示に従い、重要文化財を管理しなければならない。
2 重要文化財の所有者は、特別の事情があるときは、適当な者をもつぱら自己に代り当該重要文化財の管理の責に任ずべき者(以下この節及び第12章において「管理責任者」という。)に選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、重要文化財の所有者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、当該管理責任者と連署の上20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。
4 管理責任者には、
前条及び第1項の規定を準用する。
第32条 重要文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、且つ、旧所有者に対し交付された指定書を添えて、20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
2 重要文化財の所有者は、管理責任者を変更したときは、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、新管理責任者と連署の上20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。この場合には、
前条第3項の規定は、適用しない。
3 重要文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。氏名若しくは名称又は住所の変更が重要文化財の所有者に係るときは、届出の際指定書を添えなければならない。
第32条の2 重要文化財につき、所有者が判明しない場合又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、文化庁長官は、適当な地方公共団体その他の法人を指定して、当該重要文化財の保有のため必要な管理(当該重要文化財の保有のため必要な施設、設備その他の物件で当該重要文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行わせることができる。
2 前項の規定による指定をするには、文化庁長官は、あらかじめ、当該重要文化財の所有者(所有者が判明しない場合を除く。)及び権原に基く占有者並びに指定しようとする地方公共団体その他の法人の同意を得なければならない。
3 第1項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、前項に規定する所有者、占有者及び地方公共団体その他の法人に通知してする。
4 第1項の規定による指定には、
第28条第2項の規定を準用する。
5 重要文化財の所有者又は占有者は、正当な理由がなくて、第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人(以下この節及び第12章において「管理団体」という。)が行う管理又はその管理のため必要な措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。
第32条の3 前条第1項に規定する事由が消滅した場合その他特殊の事由があるときは、文化庁長官は、管理団体の指定を解除することができる。
2 前項の規定による解除には、
前条第3項及び
第28条第2項の規定を準用する。
第32条の4 管理団体が行う管理に要する費用は、この法律に特別の定のある場合を除いて、管理団体の負担とする。
2 前項の規定は、管理団体と所有者との協議により、管理団体が行う管理により所有者の受ける利益の限度において、管理に要する費用の一部を所有者の負担とすることを妨げるものではない。
第33条 重要文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、その事実を知つた日から10日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
第34条 重要文化財の所在の場所を変更しようとするときは、重要文化財の所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、且つ、指定書を添えて、所在の場所を変更しようとする日の20日前までに文化庁長官に届け出なければならない。但し、文部科学省令の定める場合には、届出を要せず、若しくは届出の際指定書の添附を要せず、又は文部科学省令の定めるところにより所在の場所を変更した後届け出ることをもつて足りる。
第34条の2 重要文化財の修理は、所有者が行うものとする。但し、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
第34条の3 管理団体が修理を行う場合は、管理団体は、あらかじめ、その修理の方法及び時期について当該重要文化財の所有者(所有者が判明しない場合を除く。)及び権原に基く占有者の意見を聞かなければならない。
第35条 重要文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、重要文化財の所有者又は管理団体がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、政府は、その経費の一部に充てさせるため、重要文化財の所有者又は管理団体に対し補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、文化庁長官は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示することができる。
3 文化庁長官は、必要があると認めるときは、第1項の補助金を交付する重要文化財の管理又は修理について指揮監督することができる。
第36条 重要文化財を管理する者が不適任なため又は管理が適当でないため重要文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られる虞があると認めるときは、文化庁長官は、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、重要文化財の管理をする者の選任又は変更、管理方法の改善、防火施設その他の保存施設の設置その他管理に関し必要な指定を命じ、又は勧告することができる。
2 前項の規定による命令又は勧告に基いてする措置のために要する費用は、文部科学省令の定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
3 前項の規定により国庫が費用の全部又は一部を負担する場合には、
前条第3項の規定を準用する。
第37条 文化庁長官は、国宝がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、その修理について必要な命令又は勧告をすることができる。
2 文化庁長官は、国宝以外の重要文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。
3 前2項の規定による命令又は勧告に基いてする修理のために要する費用は、文部科学省令の定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
4 前項の規定により国庫が費用の全部又は一部を負担する場合には、
第35条第3項の規定を準用する。
第38条 文化庁長官は、左の各号の一に該当する場合においては、国宝につき自ら修理を行い、又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置をすることができる。
1.所有者、管理責任者又は管理団体が前2条の規定による命令に従わないとき。
2.国宝がき損している場合又は滅失し、き損し、若しくは盗み取られる虞がある場合において、所有者、管理責任者又は管理団体に修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置をさせることが適当でないと認められるとき。
2 前項の規定による修理又は措置をしようとするときは、文化庁長官は、あらかじめ、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、当該国宝の名称、修理又は措置の内容、着手の時期その他必要と認める事項を記載した令書を交付するとともに、権原に基く占有者にこれらの事項を通知しなければならない。
第39条 文化庁長官は、
前条第1項の規定による修理又は措置をするときは、文化庁の職員のうちから、当該修理又は措置の施行及び当該国宝の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
2 前項の規定により責に任ずべき者と定められた者は、当該修理又は措置の施行に当るときは、その身分を証明する証票を携帯し、関係名の請求があつたときは、これを示し、且つ、その正当な意見を十分に尊重しなければならない。
3 前条第1項の規定による修理又は措置の施行には、
第32条の2第5項の規定を準用する。
第40条 第38条第1項の規定による修理又は措置のために要する費用は、国庫の負担とする。
2 文化庁長官は、文部科学省令の定めるところにより、
第38条第1項の規定による修理又は措置のために要した費用の一部を所有者(管理団体がある場合は、その者)から徴収することができる。但し、同条第1項第2号の場合には、修理又は措置を要するに至つた事由が所有者、管理責任者若しくは管理団体の責に帰すべきとき、又は所有者若しくは管理団体がその費用の一部を負担する能力があるときに限る。
3 前項の規定による徴収については、行政代執行法(昭和23年法律第43号)
第5条及び
第6条の規定を準用する。
第41条 第38条第1項の規定による修理又は措置によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
3 前項の規定による補償額に不服のある者は、訴えをもつてその増額を請求することができる。ただし、前項の補償の決定の通知を受けた日から6箇月を経過したときは、この限りでない。
第42条 国が修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置(以下この条において、「修理等」という。)につき
第35条第1項の規定により補助金を交付し、又は
第36条第2項、
第37条第3項若しくは
第40条第1項の規定により費用を負担した重要文化財のその当時における所有者又はその相続人、受遺者若しくは受贈者(第2次以下の相続人、受遺者又は受贈者を含む。以下この条において同じ。)(以下この条において、「所有者等」という。)は、補助又は費用負担に係る修理等が行われた後当該重要文化財を有償で譲り渡した場合においては、当該補助金又は負担金の額(
第40条第1項の規定による負担金については、同条第2項の規定により所有者から徴収した部分を控除した額をいう。以下この条において同じ。)の合計額から当該修理等が行われた後重要文化財の修理等のため自己の費した金額を控除して得た金額(以下この条において、「納付金額」という。)を、文部科学省令の定めるところにより国庫に納付しなければならない。
2 前項に規定する「補助金又は負担金の額」とは、補助金又は負担金の額を、補助又は費用負担に係る修理等を施した重要文化財又はその部分につき文化庁長官が個別的に定める耐用年数で除して得た金額に、更に当該耐用年数から修理等を行つた時以後重要文化財の譲渡の時までの年数を控除した残余の年数(1年に満たない部分があるときは、これを切り捨てる。)を乗じて得た金額に相当する金額とする。
3 補助又は費用負担に係る修理等が行われた後、当該重要文化財が所有者等の責に帰することのできない事由により著しくその価値を減じた場合又は当該重要文化財を国に譲り渡した場合には、文化庁長官は、納付金額の全部又は一部の納付を免除することができる。
4 文化庁長官の指定する期限までに納付金額を完納しないときは、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる。この場合における徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
5 納付金額を納付する者が相続人、受遺者又は受贈者であるときは、第1号に定める相続税額又は贈与税額と第2号に定める額との差額に相当する金額を第3号に定める年数で除して得た金額に第4号に定める年数を乗じて得た金額をその者が納付すべき納付金額から控除するものとする。
1.当該重要文化財の取得につきその者が納付した、又は納付すべき相続税額又は贈与税額
2.前号の相続税額又は贈与税額の計算の基礎となつた課税価格に算入された当該重要文化財又はその部分につき当該相続、遺贈又は贈与の時までに行つた修理等に係る第1項の補助金又は負担金の額の合計額を当該課税価格から控除して得た金額を課税価格として計算した場合に当該重要文化財又はその部分につき納付すべきこととなる相続税額又は贈与税額に相当する額
3.第2項の規定により当該重要文化財又はその部分につき文化庁長官が定めた耐用年数から当該重要文化財又はその部分の修理等を行つた時以後当該重要文化財の相続、遺贈又は贈与の時までの年数を控除した残余の年数(1年に満たない部分があるときは、これを切り捨てる。)
4.第2項に規定する当該重要文化財又はその部分についての残余の耐用年数
6 前項第2号に掲げる第1項の補助金又は負担金の額については、第2項の規定を準用する。この場合において、同項中「譲渡の時」とあるのは、「相続、遺贈又は贈与の時」と読み替えるものとする。
7 第1項の規定により納付金額を納付する者の同項に規定する譲渡に係る所得税法(昭和40年法律第33号)
第33条第1項に規定する譲渡所得の金額の計算については、第1項の規定により納付する金額は、同条第3項に規定する資産の譲渡に要した費用とする。
第43条 重要文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 前項但書に規定する維持の措置の範囲は、文部科学省令で定める。
3 文化庁長官は、第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。
4 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかつたときは、文化庁長官は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。
5 第1項の許可を受けることができなかつたことにより、又は第3項の許可の条件を付せられたことによつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
6 前項の場合には、
第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
第43条の2 重要文化財を修理しようとするときは、所有者又は管理団体は、修理に着手しようとする日の30日前までに、文部科学省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。但し、
前条第1項の規定により許可を受けなければならない場合その他文部科学省令の定める場合は、この限りでない。
2 重要文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る重要文化財の修理に関し技術的な指導と助言を与えることができる。
第44条 重要文化財は、輸出してはならない。但し、文化庁長官が文化の国際的交流その他の事由により特に必要と認めて許可した場合は、この限りでない。
第45条 文化庁長官は、重要文化財の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができる。
2 前項の規定による処分によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
3 前項の場合には、
第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
第46条 重要文化財を有償で譲り渡そうとする者は、譲渡の相手方、予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積つた額。以下同じ。)その他文部科学省令で定める事項を記載した書面をもつて、まず文化庁長官に国に対する売渡しの申出をしなければならない。
2 前項の書面においては、当該相手方に対して譲り渡したい事情を記載することができる。
3 文化庁長官は、前項の規定により記載された事情を相当と認めるときは、当該申出のあつた後30日以内に当該重要文化財を買い取らない旨の通知をするものとする。
4 第1項の規定による売渡しの申出のあつた後30日以内に文化庁長官が当該重要文化財を国において買い取るべき旨の通知をしたときは、第1項の規定による申出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。
5 第1項に規定する者は、前項の期間(その期間内に文化庁長官が当該重要文化財を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該重要文化財を譲り渡してはならない。
第46条の2 国は、管理団体である地方公共団体その他の法人が、その管理に係る重要文化財(建造物その他の土地の定着物及びこれと一体のものとして当該重要文化財に指定された土地に限る。)で、その保存のため特に買い取る必要があると認められるものを買い取る場合には、その買取りに要する経費の一部を補助することができる。
第47条 重要文化財の所有者(管理団体がある場合は、その者)は、文化庁長官の定める条件により、文化庁長官に重要文化財の管理(管理団体がある場合を除く。)又は修理を委託することができる。
2 文化庁長官は、重要文化財の保存上必要があると認めるときは、所有者(管理団体がある場合は、その者)に対し、条件を示して、文化庁長官にその管理(管理団体がある場合を除く。)又は修理を委託するように勧告することができる。
3 前2項の規定により文化庁長官が管理又は修理の委託を受けた場合には、
第39条第1項及び第2項の規定を準用する。
4 重要文化財の所有者、管理責任者又は管理団体は、文部科学省令の定めるところにより、文化庁長官に重要文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができる。
第47条の2 重要文化財の公開は、所有者が行うものとする。但し、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
2 前項の規定は、所有者又は管理団体の出品に係る重要文化財を、所有者及び管理団体以外の者が、この法律の規定により行う公開の用に供することを妨げるものではない。
3 管理団体は、その管理する重要文化財を公開する場合には、当該重要文化財につき観覧料を徴収することができる。
第48条 文化庁長官は、重要文化財の所有者(管理団体がある場合は、その者)に対し、1年以内の期間を限つて、国立博物館(独立行政法人国立文化財機構が設置する博物館をいう。以下この条において同じ。)その他の施設において文化庁長官の行う公開の用に供するため重要文化財を出品することを勧告することができる。
2 文化庁長官は、国庫が管理又は修理につき、その費用の全部若しくは一部を負担し、又は補助金を交付した重要文化財の所有名(管理団体がある場合は、その者)に対し、1年以内の期間を限つて、国立博物館その他の施設において文化庁長官の行う公開の用に供するため当該重要文化財を出品することを命ずることができる。
3 文化庁長官は、前項の場合において必要があると認めるときは、1年以内の期間を限つて、出品の期間を更新することができる。但し、引き続き5年をこえてはならない。
4 第2項の命令又は前項の更新があつたときは、重要文化財の所有者又は管理団体は、その重要文化財を出品しなければならない。
5 前4項に規定する場合の外、文化庁長官は、重要文化財の所有者(管理団体がある場合は、その者)から国立博物館その他の施設において文化庁長官の行う公開の用に供するため重要文化財を出品したい旨の申出があつた場合において適当と認めるときは、その出品を承認することができる。
第49条 文化庁長官は、
前条の規定により重要文化財が出品されたときは、
第185条に規定する場合を除いて、文化庁の職員のうちから、その重要文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
第50条 第48条の規定による出品のために要する費用は、文部科学省令の定める基準により、国庫の負担とする。
2 政府は、
第48条の規定により出品した所有者又は管理団体に対し、文部科学省令の定める基準により、給与金を支給する。
第51条 文化庁長官は、重要文化財の所有者又は管理団体に対し、3箇月以内の期間を限つて、重要文化財の公開を勧告することができる。
2 文化庁長官は、国庫が管理、修理又は買取りにつき、その費用の全部若しくは一部を負担し、又は補助金を交付した重要文化財の所有者又は管理団体に対し、3箇月以内の期間を限つて、その公開を命ずることができる。
3 前項の場合には、
第48条第4項の規定を準用する。
4 文化庁長官は、重要文化財の所有者又は管理団体に対し、前3項の規定による公開及び当該公開に係る重要文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
5 重要文化財の所有者、管理責任者又は管理団体が前項の指示に従わない場合には、文化庁長官は、公開の停止又は中止を命ずることができる。
6 第2項及び第3項の規定による公開のために要する費用は、文部科学省令の定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
7 前項に規定する場合のほか、重要文化財の所有者又は管理団体がその所有又は管理に係る重要文化財を公開するために要する費用は、文部科学省令で定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
第51条の2 前条の規定による公開の場合を除き、重要文化財の所在の場所を変更してこれを公衆の観覧に供するため
第34条の規定による届出があつた場合には、
前条第4項及び第5項の規定を準用する。
第52条 第48条又は
第51条第1項、第2項若しくは第3項の規定により出品し、又は公開したことに起因して当該重要文化財が滅失し、又はき損したときは、国は、その重要文化財の所有者に対し、その通常生ずべき場失を補償する。ただし、重要文化財が所有者、管理責任者又は管理団体の責に帰すべき事由によつて滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。
2 前項の場合には、
第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
第53条 重要文化財の所有者及び管理団体以外の者がその主催する展覧会その他の催しにおいて重要文化財を公衆の観覧に供しようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。ただし、文化庁長官以外の国の機関若しくは地方公共団体があらかじめ文化庁長官の承認を受けた博物館その他の施設(以下この項において「公開承認施設」という。)において展覧会その他の催しを主催する場合又は公開承認施設の設置者が当該公開承認施設においてこれらを主催する場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の場合においては、同項に規定する催しを主催した者(文化庁長官を除く。)は、重要文化財を公衆の観覧に供した期間の最終日の翌日から起算して20日以内に、文部科学省令で定める事項を記載した書面をもつて、文化庁長官に届け出るものとする。
3 文化庁長官は、第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として、許可に係る公開及び当該公開に係る重要文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
4 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかつたときは、文化庁長官は、許可に係る公開の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。
第54条 文化庁長官は、必要があると認めるときは、重要文化財の所有者、管理責任者又は管理団体に対し、重要文化財の現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況につき報告を求めることができる。
第55条 文化庁長官は、次の各号の一に該当する場合において、
前条の報告によつてもなお重要文化財に関する状況を確認することができず、かつ、その確認のため他に方法がないと認めるときは、調査に当たる者を定め、その所在する場所に立ち入つてその現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況につき実地調査をさせることができる。
1.重要文化財に関し現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為につき許可の申請があつたとき。
2.重要文化財がき損しているとき又はその現状若しくは所在の場所につき変更があつたとき。
3.重要文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られる虞のあるとき。
4.特別の事情によりあらためて国宝又は重要文化財としての価値を鑑査する必要があるとき。
2 前項の規定により立ち入り、調査する場合においては、当該調査に当る者は、その身分を証明する証票を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを示し、且つ、その正当な意見を十分に尊重しなければならない。
3 第1項の規定による調査によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
4 前項の場合には、
第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
第56条 重要文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、当該重要文化財に関しこの法律に基いてする文化庁長官の命令、勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は、当該重要文化財の引渡と同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
3 管理団体が指定され、又はその指定が解除された場合には、第1項の規定を準用する。但し、管理団体が指定された場合には、もつぱら所有者に属すべき権利義務については、この限りでない。
第57条 文部科学大臣は、重要文化財以外の有形文化財(
第182条第2項に規定する指定を地方公共団体が行つているものを除く。)のうち、その文化財としての価値にかんがみ保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを文化財登録原簿に登録することができる。
2 文部科学大臣は、前項の規定による登録をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴くものとする。
3 文化財登録原簿に記載すべき事項その他文化財登録原簿に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。
第58条 前条第1項の規定による登録をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録をされた有形文化財(以下「登録有形文化財」という。)の所有者に通知する。
2 前条第1項の規定による登録は、前項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。ただし、当該登録有形文化財の所有者に対しては、同項の規定による通知が当該所有者に到達した時からその効力を生ずる。
3 前条第1項の規定による登録をしたときは、文部科学大臣は、当該登録有形文化財の所有者に登録証を交付しなければならない。
4 登録証に記載すべき事項その他登録証に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。
第59条 文部科学大臣は、登録有形文化財について、
第27条第1項の規定により重要文化財に指定したときは、その登録を抹消するものとする。
2 文部科学大臣は、登録有形文化財について、
第182条第2項に規定する指定を地方公共団体が行つたときは、その登録を抹消するものとする。ただし、当該登録有形文化財について、その保存及び活用のための措置を講ずる必要があり、かつ、その所有者の同意がある場合は、この限りでない。
3 文部科学大臣は、登録有形文化財についてその保存及び活用のための措置を講ずる必要がなくなつた場合その他特殊の事由があるときは、その登録を抹消することができる。
4 前3項の規定により登録の抹消をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録有形文化財の所有者に通知する。
5 第1項から第3項までの規定による登録の抹消には、前条第2項の規定を準用する。
6 第4項の通知を受けたときは、所有者は、30日以内に登録証を文部科学大臣に返付しなければならない。
第60条 登録有形文化財の所有者は、この法律及びこれに基づく文部科学省令に従い、登録有形文化財を管理しなければならない。
2 登録有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、適当な者を専ら自己に代わり当該登録有形文化財の管理の責めに任ずべき者(以下この節において「管理責任者」という。)に選任することができる。
3 文化庁長官は、登録有形文化財について、所有者が判明せず、又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であることが明らかである旨の関係地方公共団体の申出があつた場合には、関係地方公共団体の意見を聴いて、適当な地方公共団体その他の法人を、当該登録者形文化財の保有のため必要な管理(当該登録有形文化財の保存のため必要な施設、設備その他の物件で当該登録有形文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行う団体(以下この節において「管理団体」という。)に指定することができる。
5 登録有形文化財の管理責任者及び管理団体には、第1項の規定を準用する。
第61条 登録有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部科学省令で定める事項を記載した書面をもつて、その事実を知つた日から10日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
第62条 登録有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、登録有形文化財の所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、所在の場所を変更しようとする日の20日前までに、登録証を添えて、文化庁長官に届け出なければならない。ただし、文部科学省令で定める場合には、届出を要せず、若しくは届出の際登録証の添付を要せず、又は文部科学省令で定めるところにより所在の場所を変更した後届け出ることをもつて足りる。
第63条 登録有形文化財の修理は、所有者が行うものとする。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
第64条 登録有形文化財に関しその現状を変更しようとする者は、現状を変更しようとする日の30日前までに、文部科学省令で定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。ただし、維持の措置若しくは非常災害のために必要な応急措置又は他の法令の規定による現状の変更を内容とする命令に基づく措置を執る場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、文部科学省令で定める。
3 登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、第1項の届出に係る登録有形文化財の現状の変更に関し必要な指導、助言又は勧告をすることができる。
第65条 登録有形文化財を輸出しようとする者は、輸出しようとする日の30日前までに、文部科学省令で定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。
2 登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る登録有形文化財の輸出に関し必要な指導、助言又は勧告をすることができる。
第66条 登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体は、文部科学省令で定めるところにより、文化庁長官に登録有形文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができる。
第67条 登録有形文化財の公開は、所有者が行うものとする。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
2 前項の規定は、登録有形文化財の所有者及び管理団体以外の者が、所有者(管理団体がある場合は、その者)の同意を得て、登録有形文化財を公開の用に供することを妨げるものではない。
3 管理団体が行う登録有形文化財の公開には、
第47条の2第3項の規定を準用する。
4 登録有形文化財の活用上必要があると認めるときは、文化庁長官は、登録有形文化財の所有者又は管理団体に対し、登録有形文化財の公開及び当該公開に係る登録有形文化財の管理に関し、必要な指導又は助言をすることができる。
第68条 文化庁長官は、必要があると認めるときは、登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体に対し、登録有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
第69条 登録有形文化財の所有者が変更したときは、旧所有者は、当該登録有形文化財の引渡しと同時にその登録証を新所有者に引き渡さなければならない。
第70条 重要文化財及び登録有形文化財以外の有形文化財の所有者は、文部科学省令の定めるところにより、文化庁長官に有形文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができる。
第71条 文部科学大臣は、無形文化財のうち重要なものを重要無形文化財に指定することができる。
2 文部科学大臣は、前項の規定による指定をするに当たつては、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となつている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
3 第1項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあつては、その代表者)に通知してする。
4 文部科学大臣は、第1項の規定による指定をした後においても、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
5 前項の規定による追加認定には、第3項の規定を準用する。
第72条 重要無形文化財が重要無形文化財としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、文部科学大臣は、重要無形文化財の指定を解除することができる。
2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特殊の事由があるときは、文部科学大臣は、保持者又は保持団体の認定を解除することができる。
3 第1項の規定による指定の解除又は前項の規定による認定の解除は、その旨を官報で告示するとともに、当該重要無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に通知してする。
4 保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この条及び次条において同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、重要無形文化財の指定は解除されたものとする。この場合には、文部科学大臣は、その旨を官報で告示しなければならない。
第73条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、その他文部科学省令の定める事由があるときは、保持者又はその相続人は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、その事由の生じた日(保持者の死亡に係る場合は、相続人がその事実を知つた日)から20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあつては、代表者であつた者)について、同様とする。
第74条 文化庁長官は、重要無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、重要無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、国は、保持者、保持団体又は地方公共団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保有に要する経費の一部を補助することができる。
2 前項の規定により補助金を交付する場合には、
第35条第2項及び第3項の規定を準用する。
第75条 文化庁長官は、重要無形文化財の保持者又は保持団体に対し重要無形文化財の公開を、重要無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。
2 重要無形文化財の保持者又は保持団体が重要無形文化財を公開する場合には、
第51条第7項の規定を準用する。
3 主要無形文化財の記録の所有者がその記録を公開する場合には、国は、その公開に要する経費の一部を補助することができる。
第76条 文化庁長官は、重要無形文化財の保持者若しくは保持団体又は地方公共団体その他その保有に当たることを適当と認める者に対し、重要無形文化財の保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第77条 文化庁長官は、重要無形文化財以外の無形文化財のうち特に必要のあるものを選択して、自らその記録を作成し、保存し、又は公開することができるものとし、国は、適当な者に対し、当該無形文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開に要する経費の一部を補助することができる。
2 前項の規定により補助金を交付する場合には、
第39条第2項及び第3項の規定を準用する。
第78条 文部科学大臣は、有形の民俗文化財のうち特に重要なものを重要有形民俗文化財に、無形の民俗文化財のうち特に重要なものを重要無形民俗文化財に指定することができる。
2 前項の規定による重要有形民俗文化財の指定には、
第28条第1項から第4項までの規定を準用する。
3 第1項の規定による重要無形民俗文化財の指定は、その旨を官報に告示してする。
第79条 重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財が重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財としての価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、文部科学大臣は、重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財の指定を解除することができる。
2 前項の規定による重要有形民俗文化財の指定の解除には、
第29条第2項から第4項までの規定を準用する。
3 第1項の規定による重要無形民俗文化財の指定の解除は、その旨を官報に告示してする。
第80条 重要有形民俗文化財の管理には、
第30条から
第34条までの規定を準用する。
第81条 重要有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、現状を変更し、又は保有に影響を及ぼす行為をしようとする日の20日前までに、文部科学省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。ただし、文部科学省令の定める場合は、この限りでない。
2 重要有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る重要有形民俗文化財の現状変更又は保有に影響を及ぼす行為に関し必要な事項を指示することができる。
第82条 重要有形民俗文化財を輸出しようとする者は、文化庁長官の許可を受けなければならない。
第84条 重要有形民俗文化財の所有者及び管理団体(
第80条で準用する
第32条の2第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人をいつう。以下この章及び第12章において同じ。)以外の者がその主催する展覧会その他の催しにおいて重要有形民俗文化財を公衆の観覧に供しようとするときは、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、観覧に供しようとする最初の日の30日前までに、文化庁長官に届け出なければならない。ただし、文化庁長官以外の国の機関若しくは地方公共団体があらかじめ文化庁長官から事前の届出の免除を受けた博物館その他の施設(以下この項において「公開事前届出免除施設」という。)において展覧会その他の催しを主催する場合又は公開事前届出免除施設の設置者が当該公開事前届出免除施設においてこれらを主催する場合には、重要有形民俗文化財を公衆の観覧に供した期間の最終日の翌日から起算して20日以内に、文化庁長官に届け出ることをもつて足りる。
2 前項本文の届出に係る公開には、
第51条第4項及び第5項の規定を準用する。
第86条 重要有形民俗文化財の保存のための調査には、
第54条の規定を、重要有形民俗文化財の所有者が変更し、又は重要有形民俗文化財の管理団体が指定され、若しくはその指定が解除された場合には、
第56条の規定を準用する。
第87条 文化庁長官は、重要無形民俗文化財の保有のため必要があると認めるときは、重要無形民俗文化財について自ら記録の作成その他その保有のため適当な措置を執ることができるものとし、国は、地方公共団体その他その保有に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を補助することができる。
2 前項の規定により補助金を交付する場合には、
第35条第2項及び第3項の規定を準用する。
第88条 文化庁長官は、重要無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。
2 重要無形民俗文化財の記録の所有者がその記録を公開する場合には、
第75条第3項の規定を準用する。
第89条 文化庁長官は、地方公共団体その他重要無形民俗文化財の保有に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第90条 文部科学大臣は、重要有形民俗文化財以外の有形の民俗文化財(
第182条第2項に規定する指定を地方公共団体が行つているものを除く。)のうち、その文化財としての価値にかんがみ保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを文化財登録原簿に登録することができる。
2 前項の規定による登録には、
第57条第2項及び第3項の規定を準用する。
3 前2項の規定により登録された有形の民俗文化財(以下「登録有形民俗文化財」という。)については、第3章第2節(
第57条の規定を除く。)の規定を準用する。この場合において、
第64条第1項及び
第65条第1項中「30日前」とあるのは「20日前」と、
第64条第1項ただし書中「維持の措置若しくは非常災害のために必要な応急措置又は他の法令の規定による現状の変更を内容とする命令に基づく措置を執る場合」とあるのは「文部科学省令で定める場合」と読み替えるものとする。
第91条 重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財には、
第77条の規定を準用する。
第92条 土地に埋蔵されている文化財(以下「埋蔵文化財」という。)について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、発掘に着手しようとする日の30日前までに文化庁長官に届け出なければならない。ただし、文部科学省令の定める場合は、この限りでない。
2 埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る発掘に関し必要な事項及び報告書の提出を指示し、又はその発掘の禁止、停止若しくは中止を命ずることができる。
第93条 土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝づか、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)を発掘しようとする場合には、
前条第1項の規定を準用する。この場合において、同項中「30日前」とあるのは、「60日前」と読み替えるものとする。
2 埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項で準用する
前条第1項の届出に係る発掘に関し、当該発掘前における埋蔵文化財の記録の作成のための発掘調査の実施その他の必要な事項を指示することができる。
第94条 国の機関、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の設立に係る法人で政令の定めるもの(以下この条及び
第97条において「国の機関等」と総称する。)が、
前条第1項に規定する目的で周知の埋蔵文化財包蔵地を発掘しようとする場合においては、同条の規定を適用しないものとし、当該国の機関等は、当該発掘に係る事業計画の策定に当たつて、あらかじめ、文化庁長官にその旨を通知しなければならない。
2 文化庁長官は、前項の通知を受けた場合において、埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、当該国の機関等に対し、当該事業計画の策定及びその実施について協議を求めるべき旨の通知をすることができる。
3 前項の通知を受けた国の機関等は、当該事業計画の策定及びその実施について、文化庁長官に協議しなければならない。
4 文化庁長官は、前2項の場合を除き、第1項の通知があつた場合において、当該通知に係る事業計画の実施に関し、埋蔵文化財の保護上必要な勧告をすることができる。
5 前各項の場合において、当該国の機関等が各省各庁の長(国有財産法(昭和23年法律第73号)
第4条第2項に規定する各省各庁の長をいう。以下同じ。)であるときは、これらの規定に規定する通知、協議又は勧告は、文部科学大臣を通じて行うものとする。
第95条 国及び地方公共団体は、周知の埋蔵文化財包蔵地について、資料の整備その他その周知の徹底を図るために必要な措置の実施に努めなければならない。
2 国は、地方公共団体が行う前項の措置に関し、指導、助言その他の必要と認められる援助をすることができる。
第96条 土地の所有者又は占有者が出土品の出土等により貝づか、住居跡、古墳その他遺跡と認められるものを発見したときは、
第92条第1項の規定による調査に当たつて発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、その旨を文化庁長官に届け出なければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、その限度において、その現状を変更することを妨げない。
2 文化庁長官は、前項の届出があつた場合において、当該届出に係る遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、その土地の所有者又は占有者に対し、期間及び区域を定めて、その現状を変更することとなるような行為の停止又は禁止を命ずることができる。ただし、その期間は、3月を超えることができない。
3 文化庁長官は、前項の命令をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴かなければならない。
4 第2項の命令は、第1項の届出があつた日から起算して1月以内にしなければならない。
5 第2項の場合において、同項の期間内に調査が完了せず、引き続き調査を行う必要があるときは、文化庁長官は、1回に限り、当該命令に係る区域の全部又は一部について、その期間を延長することができる。ただし、当該命令の期間が、同項の期間と通算して6月を超えることとなつてはならない。
6 第2項及び前項の期間を計算する場合においては、第1項の届出があつた日から起算して第2項の命令を発した日までの期間が含まれるものとする。
7 文化庁長官は、第1項の届出がなされなかつた場合においても、第2項及び第5項に規定する措置を執ることができる。
8 文化庁長官は、第2項の措置を執つた場合を除き、第1項の届出がなされた場合には、当該遺跡の保護上必要な指示をすることができる。前項の規定により第2項の措置を執つた場合を除き、第1項の届出がなされなかつたときも、同様とする。
9 第2項の命令によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
10 前項の場合には、
第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
第97条 国の機関等が
前条第1項に規定する発見をしたときは、同条の規定を適用しないものとし、
第92条第1項又は
第99条第1項の規定による調査に当たつて発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、その旨を文化庁長官に通知しなければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、その限度において、その現状を変更することを妨げない。
2 文化庁長官は、前項の通知を受けた場合において、当該通知に係る遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、当該国の機関等に対し、その調査、保存等について協議を求めるべき旨の通知をすることができる。
3 前項の通知を受けた国の機関等は、文化庁長官に協議しなければならない。
4 文化庁長官は、前2項の場合を除き、第1項の通知があつた場合において、当該遺跡の保護上必要な勧告をすることができる。
5 前各項の場合には、
第94条第5項の規定を準用する。
第98条 文化庁長官は、歴史上又は学術上の価値が特に高く、かつ、その調査が技術的に困難なため国において調査する必要があると認められる埋蔵文化財については、その調査のため土地の発掘を施行することができる。
2 前項の規定により発掘を施行しようとするときは、文化庁長官は、あらかじめ、当該土地の所有者及び権原に基づく占有者に対し、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項を記載した令書を交付しなければならない。
第99条 地方公共団体は、文化庁長官が前条第1項の規定により発掘を施行するものを除き、埋蔵文化財について調査する必要があると認めるときは、埋蔵文化財を包蔵すると認められる土地の発掘を施行することができる。
2 前項の規定により発掘を施行しようとする場合において、その発掘を施行しようとする土地が国の所有に属し、又は国の機関の占有するものであるときは、教育委員会は、あらかじめ、発掘の目的、方法、着手の時期その他必要と認める事項につき、関係各省各庁の長その他の国の機関と協議しなければならない。
3 地方公共団体は、第1項の発掘に関し、事業者に対し協力を求めることができる。
4 文化庁長官は、地方公共団体に対し、第1項の発掘に関し必要な指導及び助言をすることができる。
5 国は、地方公共団体に対し、第1項の発掘に要する経費の一部を補助することができる。
第100条 第98条第1項の規定による発掘により文化財を発見した場合において、文化庁長官は、当該文化財の所有者が判明しているときはこれを所有者に返還し、所有者が判明しないときは、遺失物法(平成18年法律第73号)
第4条第1項の規定にかかわらず、警察署長にその旨を通知することをもつて足りる。
2 前項の規定は、前条第1項の規定による発掘により都道府県又は地方自治法(昭和22年法律第67号)
第252条の19第1項の指定都市若しくは同法
第252条の22第1項の中核市(以下「指定都市等」という。)の教育委員会が文化財を発見した場合における当該教育委員会について準用する。
3 第1項(前項において準用する場合を含む。)の通知を受けたときは、警察署長は、直ちに当該文化財につき遺失物法
第7条第1項の規定による公告をしなければならない。
第101条 遺失物法
第4条第1項の規定により、埋蔵物として提出された物件が文化財と認められるときは、警察署長は、直ちに当該物件を当該物件の発見された土地を管轄する都道府県の教育委員会(当該上地が指定都市等の区域内に存する場合にあつては、当該指定都市等の教育委員会。次条において同じ。)に提出しなければならない。ただし、所有者の判明している場合は、この限りでない。
第102条 前条の規定により物件が提出されたときは、都道府県の教育委員会は、当該物件が文化財であるかどうかを鑑査しなければならない。
2 都道府県の教育委員会は、前項の監査の結果当該物件を文化財と認めたときは、その旨を警察署長に通知し、文化財でないと認めたときは、当該物件を警察署長に差し戻さなければならない。
第103条 第100条第1項に規定する文化財又は同条第2項若しくは
前条第2項に規定する文化財の所有者から、警察署長に対し、その文化財の返還の請求があつたときは、文化庁長官又は都道府県若しくは指定都市等の教育委員会は、当該警察署長にこれを引き渡さなければならない。
第104条 第100条第1項又はに規定する文化財又は
第102条第2項に規定する文化財(国の機関又は独立行政法人国立文化財機構が埋蔵文化財の調査のための土地の発掘により発見したものに限る。)で、その所有者が判明しないものの所有権は、国庫に帰属する。この場合においては、文化庁長官は、当該文化財の発見された土地の所有者にその旨を通知し、かつ、その価格の2分の1に相当する額の報償金を支給する。
2 前項の場合には、
第41条第2項から第4項までの規定を準用する。
第105条 第100条第2項に規定する文化財又は
第102条第2項に規定する文化財(前条第1項に規定するものを除く。)で、その所有者が判明しないものの所有権は、当該文化財の発見された土地を管轄する都道府県に帰属する。この場合においては、当該都道府県の教育委員会は、当該文化財の発見者及びその発見された土地の所有者にその旨を通知し、かつ、その価格に相当する額の報償金を支給する。
2 前項に規定する発見者と土地所有者とが異なるときは、前項の報償金は、折半して支給する。
3 第1項の報償金の額は、当該都道府県の教育委員会が決定する。
4 前項の規定による報償金の額については、第41条第3項の規定を準用する。
5 前項において準用する第41条第3項の規定による訴えにおいては、都道府県を被告とする。
第106条 政府は、
第104条第1項の規定により国庫に帰属した文化財の保存のため又はその効用から見て国が保有する必要がある場合を除いて、当該文化財の発見された土地の所有者に、その者が同条の規定により受けるべき報償金の額に相当するものの範囲内でこれを譲与することができる。
2 前項の場合には、その譲与した文化財の価格に相当する金額は、
第104条に規定する報償金の額から控除するものとする。
3 政府は、
第63条第1項の規定により国庫に帰属した文化財の保存のため又はその効用から見て国が保有する必要がある場合を除いて、独立行政法人国立文化財機構又は当該文化財の発見された土地を管轄する地方公共団体に対し、その申請に基づき、当該文化財を譲与し、又は時価よりも低い対価で譲渡することができる。
第107条 都道府県の教育委員会は、第105条第1項の規定により当該都道府県に帰属した文化財の保存のため又はその効用から見て当該都道府県が保有する必要がある場合を除いて、当該文化財の発見者又はその発見された土地の所有者に、その者が同条の規定により受けるべき報償金の額に相当するものの範囲内でこれを譲与することができる。
2 前項の場合には、その譲与した文化財の価格に相当する金額は、
第105条に規定する報償金の額から控除するものとする。
第108条 埋蔵文化財に関しては、この法律に特別の定めのある場合のほか、遺失物法の適用があるものとする。
第109条 文部科学大臣は、記念物のうち重要なものを史跡、名勝又は天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
2 文部科学大臣は、前項の規定により指定された史跡名勝天然記念物のうち特に重要なものを特別史跡、特別名勝又は特別天然記念物(以下「特別史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
3 前2項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者及び権原に基づく占有者に通知してする。
4 前項の規定により通知すべき相手方が著しく多数で個別に通知し離い事情がある場合には、文部科学大臣は、同項の規定による通知に代えて、その通知すべき事項を当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所在地の市(特別区を含む。以下同じ。)町村の事務所又はこれに準ずる施設の掲示場に掲示することができる。この場合においては、その掲示を始めた日から2週間を経過した時に前項の規定による通知が相手方に到達したものとみなす。
5 第1項又は第2項の規定による指定は、第3項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。ただし、当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所有者又は権原に基づく占有者に対しては、第3項の規定による通知が到達した時又は前項の規定によりその通知が到達したものとみなされる時からその効力を生ずる。
6 文部科学大臣は、第1項の規定により名勝又は天然記念物の指定をしようとする場合において、その指定に係る記念物が自然環境の保護の見地から価値の高いものであるときは、環境大臣と協議しなければならない。
第110条 前条第1項の規定による指定前において緊急の必要があると認めるときは、都道府県の教育委員会は、史跡名勝天然記念物の仮指定を行うことができる。
2 前項の規定により仮指定を行つたときは、都道府県の教育委員会は、直ちにその旨を文部科学大臣に報告しなければならない。
3 第1項の規定による仮指定には、
前条第3項から第5項までの規定を準用する。
第111条 文部科学大臣又は都道府県の教育委員会は、
第109条第1項若しくは第2項の規定による指定又は
前条第1項の規定による仮指定を行うに当たつては、特に、関係者の所有権、鉱業権その他の財産権を尊重するとともに、国土の開発その他の公益との調整に留意しなければならない。
2 文部科学大臣又は文化庁長官は、名勝又は天然記念物に係る自然環境の保護及び整備に関し必要があると認めるときは、環境大臣に対し、意見を述べることができる。この場合において、文化庁長官が意見を述べるときは、文部科学大臣を通じて行うものとする。
3 環境大臣は、自然環境の保護の見地から価値の高い名勝又は天然記念物の保存及び活用に関し必要があると認めるときは、文部科学大臣に対し、又は文部科学大臣を通じ文化庁長官に対して意見を述べることができる。
第112条 特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物がその価値を失つた場合その他特殊の事由のあるときは、文部科学大臣又は都道府県の教育委員会は、その指定又は仮指定を解除することができる。
2 第110条第1項の規定により仮指定された史跡名勝天然記念物につき
第109条第1項の規定による指定があつたとき、又は仮指定があつた日から2年以内に同項の規定による指定がなかつたときは、仮指定は、その効力を失う。
3 第110条第1項の規定による仮指定が適当でないと認めるときは、文部科学大臣は、これを解除することができる。
4 第1項又は前項の規定による指定又は仮指定の解除には、
第109条第3項から第5項までの規定を準用する。
第113条 史跡名勝天然記念物につき、所有者がないか若しくは判明しない場合又は所有者若しくは
第119条第2項の規定により選任された管理の責めに任ずべき者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、文化庁長官は、適当な地方公共団体その他の法人を指定して、当該史跡名勝天然記念物の保存のため必要な管理及び復旧(当該史跡名勝天然記念物の保有のため必要な施設、設備その他の物件で当該史跡名勝天然記念物の所有者の所有又は管理に属するものの管理及び復旧を含む。)を行わせることができる。
2 前項の規定による指定をするには、文化庁長官は、あらかじめ、指定しようとする地方公共団体その他の法人の同意を得なければならない。
3 第1項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、当該史跡名勝天然記念物の所有者及び権原に基づく占有者並びに指定しようとする地方公共団体その他の法人に通知してする。
4 第1項の規定による指定には、
第109条第4項及び第5項の規定を準用する。
第114条 前条第1項に規定する事由が消滅した場合その他特殊の事由があるときは、文化庁長官は、管理団体の指定を解除することができる。
2 前項の規定による解除には、前条第3項並びに
第109条第4項及び第5項の規定を準用する。
第115条 第113条第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人(以下この章及び第12章において「管理団体」という。)は、文部科学省令の定める基準により、史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲いその他の施設を設置しなければならない。
2 史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があつたときは、管理団体は、文部科学省令の定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。
3 管理団体が復旧を行う場合は、管理団体は、あらかじめ、その復旧の方法及び時期について当該史跡名勝天然記念物の所有者(所有者が判明しない場合を除く。)及び権原に基づく占有者の意見を聞かなければならない。
4 史跡名勝天然記念物の所有者又は占有者は、正当な理由がなくて、管理団体が行う管理若しくは復旧又はその管理若しくは復旧のため必要な措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。
第116条 管理団体が行う管理及び復旧に要する費用は、この法律に特別の定めのある場合を除いて、管理団体の負担とする。
2 前項の規定は、管理団体と所有者との協議により、管理団体が行う管理又は復旧により所有者の受ける利益の限度において、管理又は復旧に要する費用の一部を所有者の負担とすることを妨げるものではない。
3 管理団体は、その管理する史跡名勝天然記念物につき観覧料を徴収することができる。
第117条 管理団体が行う管理又は復旧によつて損失を受けた者に対しては、当該管理団体は、その通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2 前項の補償の額は、管理団体(管理団体が地方公共団体であるときは、当該地方公共団体の教育委員会)が決定する。
3 前項の規定による補償額については、
第41条第3項の規定を準用する。
4 前項で準用する
第41条第3項の規定による訴えにおいては、管理団体を被告とする。
第119条 管理団体がある場合を除いて、史跡名勝天然記念物の所有者は、当該史跡名勝天然記念物の管理及び復旧に当たるものとする。
2 前項の規定により史跡名勝天然記念物の管理に当たる所有者は、特別の事情があるときは、適当な者を専ら自己に代わり当該史跡名勝天然記念物の管理の責めに任ずべき者(以下この章及び第12章において「管理責任者」という。)に選任することができる。この場合には、
第31条第3項の規定を準用する。
第121条 管理が適当でないため史跡名勝天然記念物が滅失し、き損し、衰亡し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、文化庁長官は、管理団体、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保有施設の設置その他管理に関し必要な措置を命じ、又は勧告することができる。
2 前項の場合には、
第36条第2項及び第3項の規定を準用する。
第122条 文化庁長官は、特別史跡名勝天然記念物がき損し、又は衰亡している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、管理団体又は所有者に対し、その復旧について必要な命令又は勧告をすることができる。
2 文化庁長官は、特別史跡名勝天然記念物以外の史跡名勝天然記念物が、き損し、又は衰亡している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、管理団体又は所有者に対し、その復旧について必要な勧告をすることができる。
3 前2項の場合には、
第37条第3項及び第4項の規定を準用する。
第123条 文化庁長官は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、特別史跡名勝天然記念物につき自ら復旧を行い、又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置をすることができる。
1.管理団体、所有者又は管理責任者が前2条の規定による命令に従わないとき。
2.特別史跡名勝天然記念物がき損し若しくは衰亡している場合又は滅失し、き損し、衰亡し、若しくは盗み取られるおそれのある場合において、管理団体、所有者又は管理責任者に復旧又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置をさせることが適当でないと認められるとき。