家事審判法
| 第1章 | 総 則 | (第1条〜第8条) |
| 第2章 | 審 判 | (第9条〜第16条) |
| 第3章 | 調 停 | (第17条〜第26条の4) |
| 第4章 | 罰 則 | (第27条〜第31条) |
昭和22・12・6・法律152号
改正昭和62・9・26・法律101号−−
改正平成元・12・22・法律 91号−−
改正平成8・6・26・法律110号−−
改正平成11・12・8・法律151号−−
改正平成11・12・8・法律152号−−
改正平成12・12・6・法律142号−−
改正平成15・7・16・法律109号−−
改正平成15・7・25・法律128号−−
改正平成15・7・25・法律128号−−
改正平成16・12・1・法律147号−−
改正平成16・12・3・法律152号−−
第1条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を基本として、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図ることを目的とする。
第2条 家庭裁判所において、この法律に定める事項を取り扱う裁判官は、これを家事審判官とする。
第3条 審判は、特別の定がある場合を除いては、家事審判官が、参与員を立ち合わせ、又はその意見を聴いて、これを行う。但し、家庭裁判所は、相当と認めるときは、家事審判官だけで審判を行うことができる。
2 調停は、家事審判官及び家事調停委員をもつて組織する調停委員会がこれを行う。前項ただし書の規定は、調停にこれを準用する。
3 家庭裁判所は、当事者の申立があるときは、前項後段の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。
第4条 裁判所職員の除斥及び忌避に関する民事訴訟法(平成8年法律第109号)の規定で、裁判官に関するものは、家事審判官及び参与員に、裁判所書記官に関するものは、家庭裁判所の裁判所書記官にこれを準用する。
第5条 家庭裁判所は、最高裁判所の定めるところにより、合議体の構成員に命じて終局審判以外の審判を行わせることができる。
2 前項の規定により合議体の構成員が行うこととされる審判は、判事補が単独ですることができる。
第7条 特別の定めがある場合を除いて、審判及び調停に関しては、その性質に反しない限り、非訟事件手続法(明治31年法律第14号)
第1編の規定を準用する。ただし、同法
第15条の規定は、この限りでない。
第8条 この法律に定めるものの外、審判又は調停に関し必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。
第9条 家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。
甲類
1.民法(明治29年法律第89号)
第7条及び
第10条の規定による後見開始の審判及びその取消し
2の3.民法
第19条の規定による後見開始、保佐開始又は補助開始の審判の取消し
6.民法
第791条第1項又は第3項の規定による子の氏の変更についての許可
7の2.民法
第811条第5項の規定による未成年後見人となるべき者の選任
8.民法
第811条第6項の規定による離縁をするについての許可
11.民法
第830条第2項から第4項まで(同法
第869条において準用する場合を含む。)の規定による財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分
13.民法
第837条の規定による親権又は管理権を辞し、又は回復するについての許可
21.民法
第863条(同法
第867条第2項、
第876条の5第2項及び
第876条の10第1項において準用する場合を含む。)の規定による後見、保佐又は補助の事務の報告、財産の目録の提出、当該事務又は財産の状況の調査、財産の管理その他の当該事務に関する処分
23.民法
第895条の規定による遺産の管理に関する処分
24.民法
第915条第1項ただし書の規定による相続の承認又は放棄の期間の伸長
25の2.民法
第919条第4項の規定による相続の限定承認又は放棄の取消しの申述の受理
26.民法
第924条の規定による相続の限定承認の申述の受理
28.民法
第936条第1項の規定による相続財産の管理人の選任
29.民法
第938条の規定による相続の放棄の申述の受理
31.民法
第943条(同法
第950条第2項において準用する場合を含む。)の規定による相続財産の管理に関する処分
36.民法
第1018条第1項の規定による遺言執行者に対する報酬の付与
37.民法
第1019条の規定による遺言執行者の解任及び遺言執行者の辞任についての許可
39.民法
第1043条第1項の規定による遺留分の放棄についての許可
乙類
1.民法
第752条の規定による夫婦の同居その他の夫婦間の協力扶助に関する処分
2.民法
第758条第2項及び第3項の規定による財産の管理者の変更及び共有財産の分割に関する処分
3.民法
760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担に関する処分
6の2.民法
第811条第4項の規定による親権者となるべき者の指定
7.民法
第819条第5項又は第6項(これらの規定を同法第749条において準用する場合を含む。)の規定による親権者の指定又は変更
10.民法
第907条第2項及び第3項の規定による遺産の分割に関する処分
2 家庭裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に家庭裁判所の権限に属させた事項についても、審判を行う権限を有する。
第10条 参与員の員数は、各事件について1人以上とする。
2 参与員は、家庭裁判所が毎年前もつて選任する者の中から、家庭裁判所が各事件についてこれを指定する。
3 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の選任に関し必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。
第10条の2 参与員には、最高裁判所の定める旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第11条 家庭裁判所は、何時でも、職権で
第9条第1項乙類に規定する審判事件を調停に付することができる。
第12条 家庭裁判所は、相当と認めるときは、審判の結果について利害関係を有する者を審判手続に参加させることができる。
第13条 審判は、これを受ける者に告知することによつてその効力を生ずる。但し、即時抗告をすることのできる審判は、確定しなければその効力を生じない。
第14条 審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、即時抗告のみをすることができる。その期間は、これを2週間とする。
第15条 金銭の支払、物の引渡、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力ある債務名義と同一の効力を有する。
第15条の2 第9条第1項甲類に掲げる事項についての審判(戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成11年法律第152号)に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所の定めるものに限る。以下この条において同じ。)が効力を生じた場合又は
次条第1項の規定による審判(同条第5項の裁判を含む。)が効力を生じ、若しくは効力を失つた場合には、裁判所書記官は、最高裁判所の定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律に定める登記を嘱託しなければならない。
第15条の3 第9条の審判の申立てがあつた場合においては、家庭裁判所は、最高裁判所の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずることができる。
2 前項の規定による審判(以下「審判前の保全処分」という。)が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
3 前2項の規定による審判は、疎明に基づいてする。
4 前項の審判は、これを受ける者に告知することによつてその効力を生ずる。
5 第9条に規定する審判事件が高等裁判所に係属する場合には、当該高等裁判所が、第3項の審判に代わる裁判を行う。
6 審判前の保全処分(前項の裁判を含む。次項において同じ。)の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第91号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。この場合において、同法
第45条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。
第15条の4 家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対して、遺産の全部又は一部について競売し、その他最高裁判所の定めるところにより換価することを命ずることができる。
2 前条第2項の規定は、前項の規定による審判について準用する。
3 前2項の規定は、民法
第958条の3第1項の規定による相続財産の処分の審判について準用する。この場合において、第1項中「相続人」とあるのは、「相続財産の管理人」と読み替えるものとする。
第15条の5 家庭裁判所は、権利者の申出があるときは、審判で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対して、その義務の履行を勧告することができる。
第15条の6 家庭裁判所は、審判で定められた金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠つた者がある場合において、相当と認めるときは、権利者の申立により、義務者に対し、相当の期限を定めてその義務の履行をなすべきことを命ずることができる。
第15条の7 家庭裁判所は、審判で定められた金銭の支払を目的とする義務の履行について、義務者の申出があるときは、最高裁判所の定めるところにより、権利者のために金銭の寄託を受けることができる。
| 第1節 | 通 則 | (第17条〜第26条) |
| 第2節 | 家事調停官 | (第26条の2〜第26条の4) |
第17条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し、
第9条第1項甲類に規定する審判事件については、この限りでない。
第18条 前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。
2 前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は、その事件を家庭裁判所の調停に付しなければならない。但し、裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。
第19条 第17条の規定により調停を行うことができる事件に係る訴訟が係属している場合には、裁判所は、何時でも、職権でその事件を家庭裁判所の調停に付することができる。
2 前項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し又は
第23条若しくは
第24条第1項の規定による審判が確定したときは、訴の取下があつたものとみなす。
第20条 第12条の規定は、調停手続にこれを準用する。
第21条 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。但し、
第9条第1項乙類に掲げる事項については、確定した審判と同一の効力を有する。
2 前項の規定は、
第23条に掲げる事件については、これを適用しない。
第21条の2 遺産の分割に関する事件の調停において、遠隔の地に居住する等の理由により出頭することが困難であると認められる当事者が、あらかじめ調停委員会又は家庭裁判所から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。
第22条 調停委員会の組織は、家事審判官1人及び家事調停委員2人以上とする。
2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。
第22条の2 家事調停委員は、調停委員会で行う調停に関与するほか、家庭裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、又は嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行う。
2 家事調停委員は、非常勤とし、その任免に関し必要な事項は、最高裁判所が定める。
第22条の3 家事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第23条 婚姻又は養子縁組の無効又は取消しに関する事件の調停委員会の調停において、当事者間に合意が成立し無効又は取消しの原因の有無について争いがない場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、正当と認めるときは、婚姻又は縁組の無効又は取消しに関し、当該合意に相当する審判をすることができる。
2 前項の規定は、協議上の離婚若しくは離縁の無効若しくは取消し、認知、認知の無効若しくは取消し、民法
第773条の規定により父を定めること、嫡出否認又は身分関係の存否の確定に関する事件の調停委員会の調停について準用する。
第24条 家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、当事者双方のため衝平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。この審判においては、金銭の支払その他財産上の給付を命ずることができる。
2 前項の規定は、
第9条第1項乙類に規定する審判事件の調停については、これを適用しない。
第25条 第23条又は
前条第1項の規定による審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、家庭裁判所に対し異議の申立をすることができる。その期間は、これを2週間とする。
2 前項の期間内に異議の申立があつたときは、同項の審判は、その効力を失う。
3 第1項の期間内に異議の申立がないときは、同項の審判は、確定判決と同一の効力を有する。
第25条の2 家庭裁判所は、調停又は
第24条第1項の規定による審判で定められた義務の履行について、
第15条の5から
第15条の7までの規定の例により、これらの規定に掲げる措置をすることができる。
第26条 第9条第1項乙類に規定する審判事件について調停が成立しない場合には、調停の申立の時に、審判の申立があつたものとみなす。
2 第17条の規定により調停を行うことができる事件について調停が成立せず、且つ、その事件について
第23条若しくは
第24条第1項の規定による審判をせず、又は
第25条第2項の規定により審判が効力を失つた場合において、当事者がその旨の通知を受けた日から2週間以内に訴を提起したときは、調停の申立の時に、その訴の提起があつたものとみなす。
第26条の2 家事調停官は、弁護士で5年以上その職に在つたもののうちから、最高裁判所が任命する。
2 家事調停官は、この法律の定めるところにより、調停事件の処理に必要な職務を行う。
3 家事調停官は、任期を2年とし、再任されることができる。
5 家事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。
1.弁護士法(昭和24年法律第205号)
第7条各号のいずれかに該当するに至つたとき。
2.心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。
3.職務上の義務違反その他家事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。
6 この法律に定めるもののほか、家事調停官の任免に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第26条の3 家事調停官は、家庭裁判所の指定を受けて、調停事件を取り扱う。
2 家事調停官は、その取り扱う調停事件の処理について、この法律の規定(
第7条において準用する非訟事件手続法の規定を含む。)において家事審判官が行うものとして規定されている調停に関する権限のほか、次に掲げる権限を行うことができる。
2.
第7条において準用する非訟事件手続法の規定において家庭裁判所が行うものとして規定されている権限であつて調停に関するもの
4 裁判所職員の除斥及び忌避に関する民事訴訟法の規定で裁判官に関するものは、家事調停官について準用する。
5 家事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び医師たる裁判所技官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。この場合において、裁判所法(昭和22年法律第59号)
第60条第5項の規定は、家事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。
第26条の4 家事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。
第27条 家庭裁判所又は調停委員会の呼出を受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、家庭裁判所は、これを5万円以下の過料に処する。
第28条 第15条の6又は
第25条の2の規定により義務の履行を命ぜられた当事者又は参加人か正当な事由がなくその命令に従わないときは、家庭裁判所は、これを10万円以下の過料に処する。
2 調停委員会又は家庭裁判所により調停前の措置として必要な事項を命ぜられた当事者又は参加人が正当な事由がなくその措置に従わないときも、前項と同様である。
第29条 前2条の過料の審判は、家事審判官の命令でこれを執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
2 過料の審判の執行は、民事執行法(昭和54年法律第4号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従つてこれをする。ただし、執行前に審判の送達をすることを要しない。
3 前2項に規定するもののほか、過料についての審判に関しては、非訟事件手続法第5編の規定を準用する。ただし、同法
第162条及び
第164条中検察官に関する規定は、この限りでない。
第30条 家事調停委員又は家事調停委員であつた者が正当な事由がなく評議の経過又は家事審判官、家事調停官若しくは家事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、30万円以下の罰金に処する。
2 参与員又は参与員であつた者が正当な事由がなく家事審判官又は参与員の意見を漏らしたときも、前項と同様である。
第31条 参与員、家事調停委員又はこれらの職に在つた者が正当な事由がなくその職務上取り扱つたことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
