海難審判法
昭和22・11・19・法律135号
改正平成5・11・12・法律 89号−−
改正平成10・5・27・法律 69号−−
改正平成11・7・16・法律102号−−
改正平成11・12・22・法律160号−−(施行=平13年1月6日)
改正平成14・6・7・法律 60号−−
改正平成18・3・31・法律 19号−−
改正平成20・5・2・法律 26号==(施行=平20年10月1日)
改正平成5・11・12・法律 89号−−
改正平成10・5・27・法律 69号−−
改正平成11・7・16・法律102号−−
改正平成11・12・22・法律160号−−(施行=平13年1月6日)
改正平成14・6・7・法律 60号−−
改正平成18・3・31・法律 19号−−
改正平成20・5・2・法律 26号==(施行=平20年10月1日)
【LINK】海難審判所
《分野》国交-交通-海上交通安全
第1章 総 則
第1条 この法律は、職務上の故意又は過失によつて海難を発生させた海技士若しくは小型船舶操縦士又は水先人に対する懲戒を行うため、国土交通省に設置する海難審判所における審判の手続等を定め、もつて海難の発生の防止に寄与することを目的とする。
第2条 この法律において「海難」とは、次に掲げるものをいう。
1.船舶の運用に関連した船舶又は船舶以外の施設の損傷
2.船舶の構造、設備又は運用に関連した人の死傷
3.船舶の安全又は運航の阻害
第3条 海難審判所は、海難が海技士(船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和26年法律第149号)第23条第1項の承認を受けた者を含む。第8条及び第28条第1項において同じ。)若しくは小型船舶操縦士又は水先人の職務上の故意又は過失によつて発生したものであるときは、裁決をもつてこれを懲戒しなければならない。
第4条 懲戒は、次の3種とし、その適用は、行為の軽重に従つてこれを定める。
2 業務の停止の期間は、1箇月以上3年以下とする。
第5条 海難審判所は、海難の性質若しくは状況又はその者の経歴その他の情状により、懲戒の必要がないと認めるときは、特にこれを免除することができる。
第6条 海難審判所は、本案につき既に確定裁決のあつた事件については、審判を行うことはできない。
第2章 海難審判所の組織及び管轄
第1節 組 織
第7条 国土交通省に、特別の機関として、海難審判所を置く。
第8条 海難審判所は、海技士若しくは小型船舶操縦士又は水先人に対する懲戒を行うための海難の調査及び審判を行うことを任務とする。
第9条 海難審判所は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
1.審判の請求に係る海難の調査を行うこと。
2.審判を行うこと。
3.裁決を執行すること。
4.海事補佐人の監督に関すること。
5.前各号に掲げるもののほか、海難の審判に関すること。
第10条 海難審判所の長は、海難審判所長とし、審判官をもつて充てる。
第11条 海難審判所の事務の一部を取り扱わせるため、所要の地に、地方海難審判所を置く。
2 地方海難審判所の名称、位置、管轄区域及び内部組織は、国土交通省令で定める。
第12条 海難審判所に審判官及び理事官を置く。
2 理事官は、審判の請求及びこれに係る海難の調査並びに裁決の執行に関することをつかさどる。
3 審判官及び理事官は、海難の調査及び審判を行うについて必要な法律及び海事に関する知識経験を有する者として政令で定める者の中から、国土交通大臣がこれを任命する。
4 審判官及び理事官の定数は、政令でこれを定める。
第13条 審判官は、独立してその職権を行う。
第14条 海難審判所は、3名の審判官で構成する合議体で審判を行う。ただし、地方海難審判所においては、1名の審判官で審判を行う。
2 地方海難審判所において、審判官は、事件が1名の審判官で審判を行うことが不適当であると認めるときは、前項の規定にかかわらず、3名の審判官で構成する合議体で審判を行う旨の決定をすることができる。
3 合議体で審判を行う場合においては、審判官のうち1人を審判長とする。
第15条 この節に定めるもののほか、海難審判所の位置及び内部組織は、国土交通省令で定める。
第2節 管 轄
第16条 審判に付すべき事件のうち、旅客の死亡を伴う海難その他の国土交通省令で定める重大な海難以外の海難に係るものは、当該海難の発生した地点を管轄する地方海難審判所(海難の発生した地点が明らかでない場合には、その海難に係る船舶の船籍港を管轄する地方海難審判所)が管轄する。
2 同一事件が2以上の地方海難審判所に係属するときは、最初に審判開始の申立てを受けた地方海難審判所においてこれを審判する。
3 国外で発生する事件の管轄については、国土交通省令の定めるところによる。
第17条 地方海難審判所は、事件がその管轄に属しないと認めるときは、決定をもつてこれを当該事件を管轄する地方海難審判所に移送しなければならない。
2 前項の規定により移送を受けた地方海難審判所は、更に事件を他の地方海難審判所に移送することはできない。
3 第1項の場合には、事件は、初めから移送を受けた地方海難審判所に係属したものとみなす。
第18条 理事官又は受審人は、国土交通省令の定めるところにより、海難審判所長に管轄の移転を請求することができる。
2 海難審判所長は、前項の規定による請求があつた場合において、審判上便益があると認めるときは、管轄を移転することができる。
第3章 補佐人
第19条 受審人は、国土交通省令の定めるところにより、補佐人を選任することができる。
第20条 補佐人は、この法律に定めるもののほか、国土交通省令の定める行為に限り、独立してこれをすることができる。
第21条 補佐人は、海難審判所に海事補佐人として登録した者の中からこれを選任しなければならない。ただし、海難審判所の許可を受けたときは、この限りでない。
2 海事補佐人の資格及び登録に関する事項は、国土交通省令でこれを定める。
第22条 海事補佐人は、誠実にその職務を行わなければならない。
2 海事補佐人は、職務上知り得た秘密を守らなければならない。
第23条 海事補佐人は、海難審判所長の監督を受ける。
第4章 審判前の手続
2 海上保安官、警察官及び市町村長は、海難が発生したことを知つたときは、直ちに管轄する海難審判所の理事官にその旨を通報しなければならない。
第25条 理事官は、この法律によつて審判を行わなければならない事実があつたことを認知したときは、直ちに、事実を調査し、かつ、証拠を集取しなければならない。
第26条 理事官は、事実の調査及び証拠の集取については、秘密を守り、関係人の名誉を傷つけないように注意しなければならない。
第27条 理事官は、その職務を行うため必要があるときは、次のの処分をすることができる。
1.海難関係人に出頭をさせ、又は質問をすること。
2.船舶その他の場所を検査すること。
3.海難関係人に報告をさせ、又は帳簿書類その他の物件の提出を命ずること。
4.国土交通大臣、運輸安全委員会、気象庁長官、海上保安庁長官その他の関係行政機関に対して報告又は資料の提出を求めること。
5.鑑定人、通訳人若しくは翻訳人に出頭をさせ、又は鑑定通訳若しくは翻訳をさせること。
2 理事官は、前項第2号の処分をするには、その身分を示す証票を携帯しなければならない。
第28条 理事官は、海難が海技士若しくは小型船舶操縦士又は水先人の職務上の故意又は過失によつて発生したものであると認めたときは、海難審判所に対して、その者を受審人とする審判開始の申立てをしなければならない。ただし、理事官は、事実発生の後5年を経過した海難については、審判開始の申立てをすることはできない。
2 前項の申立ては、海難の事実及び受審人に係る職務上の故意又は過失の内容を示して、書面でこれをしなければならない。
第29条 理事官は、国土交通省令の定めるところにより、審判開始の申立てをした旨を受審人に通告しなければならない。
第5章 審 判
第30条 海難審判所は、理事官の審判開始の申立てによつて、審判を開始する。
第31条 審判の対審及び裁決は、公開の審判廷でこれを行う。
第32条 審判長又は審判を開始した1名の審判官は、開廷中審判を指揮し、審判廷の秩序を維持する。
2 審判長又は審判を開始した1名の審判官は、審判を妨げる者に対し退廷を命じその他審判廷の秩序を維持するため必要な措置を執ることができる。
第33条 海難審判所は、審判期日に受審人を召喚し、これを尋問することができる。
第34条 裁決は、口頭弁論に基づいてこれをしなければならない。ただし、受審人が正当の理由なく審判期日に出頭しないときは、その陳述を聴かないで裁決をすることができる。
第35条 海難審判所は、申立てにより又は職権で、必要な証拠を取り調べることができる。
2 海難審判所は、第1回の審判期日前においては、次の方法以外の方法により、証拠を取り調べることができない。
1.船舶その他の場所を検査すること。
2.帳簿書類その他の物件の提出を命ずること。
3.国土交通大臣、運輸安全委員会、気象庁長官、海上保安庁長官その他の関係行政機関に対して報告又は資料の提出を求めること。
3 海難審判所は、勾引、押収、捜索その他人の身体、物若しくは場所についての強制の処分をし、若しくはさせ、又は過料の決定をすることができない。
第36条 海難審判所は、前条第1項の証拠の取調べとして証人に証言をさせ、鑑定人に鑑定をさせ、通訳人に通訳をさせ、又は翻訳人に翻訳をさせる場合には、これらの者に国土交通省令で定める方法により宣誓をさせなければならない。ただし、国土交通省令で定める者には、宣誓をさせないことができる。
第37条 事実の認定は、審判期日に取り調べた証拠によらなければならない。
第38条 証拠の証明力は、審判官の自由な判断にゆだねる。
第39条 海難審判所は、次の場合には、裁決をもつて審判開始の申立てを棄却しなければならない。
1.事件について審判権を有しないとき。
2.審判開始の申立てがその規定に違反してされたとき。
3.第6条又は第16条第2項の規定により審判を行うべきでないとき。
第40条 裁決には、理由を付さなければならない。
第41条 本案の裁決には、海難の事実及び受審人に係る職務上の故意又は過失の内容を明らかにし、かつ、証拠によつてこれらの事実を認めた理由を示さなければならない。ただし、海難の事実がなかつたと認めるときは、その旨を明らかにすれば足りる。
第42条 裁決の告知は、審判廷における言渡しによつてこれをする。
第43条 この法律に定めるもののほか、審判の手続に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。
第6章 裁決の取消しの訴え
第44条 裁決の取消しの訴えは、東京高等裁判所の管轄に専属する。
2 前項の訴えは、裁決の言渡しの日から30日以内に、これを提起しなければならない。
3 前項の期間は、これを不変期間とする。
第45条 前条第1項の訴えにおいては、海難審判所長を被告とする。
第46条 裁判所は、請求が理由があると認めるときは、裁決を取り消さなければならない。
2 前項の場合には、海難審判所は、更に審判を行わなければならない。
3 裁判所の裁判において裁決の取消しの理由とした判断は、その事件について海難審判所を拘束する。
第7章 裁決の執行
第47条 裁決は、確定の後これを執行する。
第48条 海難審判所の裁決は、理事官が、これを執行する。
第50条 業務の停止の裁決があつたときは、理事官は、海技免状若しくは小型船舶操縦免許証又は水先免状を取り上げ、期間満了の後これを本人に還付しなければならない。
第51条 免許の取消し又は業務の停止を言い渡された者が理事官に海技免状若しくは小型船舶操縦免許証又は水先免状を差し出さないときは、理事官は、その海技免状若しくは小型船舶操縦免許証又は水先免状の無効を宣し、これを官報に告示しなければならない。
第8章 雑 則
第52条 この法律の規定により出頭した証人、鑑定人、通訳人及び翻訳人には、国土交通省令の定めるところにより、旅費、日当及び宿泊料を支給する。
2 鑑定人、通訳人又は翻訳人は、それぞれ政令で定めるところにより鑑定料、通訳料又は翻訳料を請求することができる。
第54条 この法律に基づく処分については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による不服申立てをすることができない。
第55条 この法律に定めるもののほか、海難審判所の事務処理その他この法律の施行に関して必要な事項は、国土交通省令で定める。
第56条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の過料に処する。
1.海難審判所から受審人として再度の召喚を受け、正当の理由がないのに出頭しない者
2.海難審判所から証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人として召喚を受け、正当の理由がないのに出頭せず、又はその義務を尽さない者
3.海難審判所の検査を拒み、妨げ又は忌避した者
4.海難審判所から提出を命ぜられた帳簿書類その他の物件を提出せず、又は虚偽の記載をした帳簿書類を提出した者
第57条 第32条第2項の規定による審判長又は審判を開始した一名の審判官の命令に従わなかつた者は、これを10万円以下の過料に処する。