排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律
平成8・6・14・法律 76号==
改正平成10・12・18・法律149号−−
改正平成13・6・29・法律 91号−−
第1条 この法律は、海洋法に関する国際連合条約に定める権利を的確に行使することにより海洋生物資源の適切な保存及び管理を図るため、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等について必要な措置を定めるものとする。
第2条 この法律において「漁業」とは、水産動植物の採捕又は養殖の事業(漁業等付随行為を含む。)をいう。
2 この法律において「漁業等付随行為」とは、水産動植物の採捕又は養殖に付随する探索、集魚、漁獲物の保蔵又は加工、漁獲物又はその他製品の運搬、船舶への補給その他これらに準ずる行為で農林水産省令で定めるものをいう。
3 この法律において「探索」とは、水産動植物の採捕に資する水産動植物の生息状況の調査であって水産動植物の採捕を伴わないものをいい、「探査」とは、探索のうち漁業等付随行為に該当しないものをいう。
4 この法律において「外国人」とは、次に掲げるものをいう。
1.日本の国籍を有しない者。ただし、適法に我が国に在留する者で農林水産大臣の指定するものを除く。
2.外国、外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの又は外国法に基づいて設立された法人その他の団体
第3条 外国人が我が国の排他的経済水域(以下単に「排他的経済水域」という。)において行う漁業、水産動植物の採捕(漁業に該当するものを除き、漁業等付随行為を含む。以下同じ。)及び探査(以下この条において「排他的経済水域における外国人の漁業等」という。)に関しては、この法律の定めるところによる。
2 排他的経済水域における外国人の漁業等に関しては、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成8年法律第74号)
第3条第1項の規定にかかわらず、政令で定める法律(これに基づく命令を含む。)の規定は、適用しない。
3 排他的経済水域における外国人の漁業等に関する法令の適用に関する技術的読替えについては、政令で必要な規定を設けることができる。
第4条 外国人は、排他的経済水域のうち次に掲げる海域(その海底を含む。以下「禁止海域」という。)においては、漁業又は水産動植物の採捕を行ってはならない。ただし、その水産動植物の採捕が農林水産省令で定める軽易なものであるときは、この限りでない。
1.領海及び接続水域に関する法律(昭和52年法律第30号)附則第2項に規定する特定海域である海域(我が国の基線(同法
第2条第1項に規定する基線をいう。以下この号において同じ。)から、いずれの点をとっても我が国の基線上の最も近い点からの距離が12海里である線までの海域に限る。)
2.海洋生物資源の保護又は漁業調整のため必要な海域として農林水産大臣の定める海域
2 外国人は、禁止海域(前項第1号の海域に限る。)においては、政令で定める場合を除き、漁獲物又はその製品を転載し、又は積み込んではならない。
第5条 外国人は、排他的経済水域(禁止海域を除く次条第1項及び第2項、
第8条並びに
第9条において同じ。)においては、農林水産省令で定めるところにより、漁業又は水産動植物の採捕に係る船舶ごとに、農林水産大臣の許可を受けなければ、漁業又は水産動植物の採捕を行ってはならない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
1.その水産動植物の採捕が前条第1項ただし書の農林水産省令で定める軽易なものであるとき。
2.その水産動植物の採捕が
第8条の承認を受けて行われるものであるとき。
3.その漁業等付随行為が
第9条の承認を受けて行われるものであるとき。
2 農林水産大臣は、前項の許可をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、その外国人に許可証を交付する。
3 第1項の許可を受けた外国人は、農林水産省令で定めるところにより、その行う漁業又は水産動植物の採捕に係る船舶にその旨を見やすいように表示し、かつ、当該船舶に前項の許可証を備え付けておかなければならない。
第6条 農林水産大臣は、前条第1項の許可の申請があった場合において、その申請に係る漁業又は水産動植物の採捕が、国際約束その他の措置により的確に実施されること、外国人が排他的経済水域において行う漁業又は水産動植物の採捕につき農林水産省令で定める区分ごとに農林水産大臣の定める漁獲量の限度を超えないことその他政令で定める基準に適合すると認められるときでなければ、当該申請に係る許可をしてはならない。
2 前項の規定による漁獲量の限度の決定は、政令で定めるところにより、排他的経済水域における科学的根拠を有する海洋生物資源の動向及び我が国漁業者の漁獲の実情を基礎とし、排他的経済水域における外国人による漁業の状況、外国周辺水域における我が国漁業の状況等を総合的に考慮して行われなければならない。
3 海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(平成8年法律第77号)
第2条第2項に規定する漁獲可能量を定める同条第6項に規定する第1種特定海洋生物資源について第1項の規定による漁獲量の限度の決定を行う場合には、前項に定めるところによるほか、当該漁獲可能量を基礎としなければならない。
第7条 外国人は、
第5条第2項の規定により許可証の交付を受けるときに、政令で定める額の入漁料を国に納付しなければならない。
2 特別の事由がある場合には、政令で定めるところにより、前項の入漁料を減額し、又は免除することができる。
3 前2項に定めるもののほか、入漁料に関し必要な事項は、政令で定める。
第8条 外国人は、排他的経済水域において、試験研究その他の農林水産省令で定める目的のために水産動植物の採捕を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、水産動植物の採捕に係る船舶ごとに、農林水産大臣の承認を受けなければならない。ただし、その水産動植物の採捕が
第4条第1項ただし書の農林水産省令で定める軽易なものであるとき、又はその漁業等付随行為が次条の承認を受けて行われるものであるときは、この限りでない。
第9条 外国人は、排他的経済水域において、外国人以外の者が当該水域において行う漁業又は水産動植物の採捕に係る漁業等付随行為を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、漁業等付随行為に係る船舶ごとに、農林水産大臣の承認を受けなければならない。
第10条 外国人は、排他的経済水域において、探査を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、探査に係る船舶ごとに、農林水産大臣の承認を受けなければならない。
第11条 前3条の承認の申請をする外国人は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。
2 第5条第2項及び第3項の規定は前3条の承認について、
第7条第2項の規定は前項の手数料について準用する。
第12条 第5条第1項の許可又は
第8条から
第10条までの承認には、制限又は条件を付し、及びこれを変更することができる。
第13条 農林水産大臣は、
第5条第1項の許可又は
第9条の承認を受けた外国人が法令又は前条の制限若しくは条件に違反したときは、期間を定めて排他的経済水域における漁業又は水産動植物の採捕の停止を命じ、又は
第5条第1項の許可又は
第9条の承認を取り消すことができる。
2 農林水産大臣は、
第8条又は
第10条の承認を受けた外国人が法令又は前条の制限若しくは条件に違反したときは、
第8条又は
第10条の承認を取り消すことができる。
第14条 第3条から前条までの規定は、大陸棚(排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第2条に規定する区域をいう。)であって排他的経済水域でない区域の定着性種族(海洋法に関する国際連合条約第77条4に規定する定着性の種族に属する生物をいう。次項において同じ。)に係る漁業、水産動植物の採捕及び探査について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第15条 我が国は、排他的経済水域の外側の海域においても我が国の内水面において産卵する溯河性資源について、海洋法に関する国際連合条約第66条1の第一義的利益及び責任を有する。
第16条 この法律の規定による処分については、行政手続法(平成5年法律第88号)
第2章及び
第3章の規定は、適用しない。
第17条 この法律の規定に基づき政令又は農林水産省令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令又は農林水産省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
2 この法律に別段の定めがあるものを除くほか、
第24条から
第26条までの規定の実施に必要な手続その他これらの規定の施行に必要な事項については、主務省令で、その他この法律の実施に必要な手続その他その施行に必要な事項については、農林水産省令で定める。
第18条 次の各号の一に該当する者は、千万円以下の罰金に処する。
1.
第4条第1項(
第14条第1項において準用する場合を含む。)若しくは第2項、
第5条第1項(
第14条第1項において準用する場合を含む。次号において同じ。)又は
第10条(
第14条第1項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の規定に違反した者
2.
第12条(
第14条第1項において準用する場合を含む。以下この号及び次条において同じ。)の規定により
第5条第1項の許可に付された制限又は条件(
第12条の規定により変更されたものを含む。)に違反した者
3.
第13条第1項(
第14条第1項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
第19条 第12条の規定により
第8条(
第14条第1項において準用する場合を含む。)、
第9条(
第14条第1項において準用する場合を含む。)又は
第10条の承認に付された制限又は条件(
第12条の規定により変更されたものを含む。)に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。
第20条 前2条の場合においては、犯人が所有し、又は所持する漁獲物及びその製品、船舶又は漁具その他漁業、水産動植物の採捕若しくは探査の用に供される物は、役収することができる。ただし、犯人が所有していたこれらの物件の全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。
第21条 第5条第3項(
第14条第1項において準用する場合を含む。)又は
第11条第2項において準用する
第5条第3項(
第14条第1項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、20万円以下の罰金に処する。
第22条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、
第18条、
第19条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の刑を科する。
第23条 この法律の規定に違反した罪に係る訴訟の第一審の裁判権は、地方裁判所にも属する。
第24条 この法律の規定に違反した罪その他の政令で定める罪に当たる事件(以下「事件」という。)に関して拿捕(船舶を押収し、又は船長その他の乗組員を逮捕することをいう。以下同じ。)が行われた場合には、司法警察員である者であって政令で定めるもの(以下「取締官」という。)は、当該拿捕に係る船舶の船長(船長に代わってその職務を行う者を含む。)及び違反者に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を告知しなければならない。ただし、事件が政令で定める外国人が行う漁業、水産動植物の採捕又は探査に係るものであるときは、この限りでない。
1.担保金又はその提供を保証する書面が次条第1項の政令で定めるところにより主務大臣に対して提供されたときは、遅滞なく、違反者は釈放され、及び船舶その他の押収物(以下「押収物」という。)は返還されること。
2.提供すべき担保金の額
2 前項第2号の担保金の額は、事件の種別及び態様その他の情状に応じ、政令で定めるところにより、主務大臣の定める基準に従って、取締官が決定するものとする。
第25条 前条第1項の規定により告知した額の担保金又はその提供を保証する書面が政令で定めるところにより主務大臣に対して提供されたときは、主務大臣は、遅滞なく、その旨を取締官又は検察官に通知するものとする。
2 取締官は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、違反者を釈放し、及び押収物を返還しなければならない。
3 検察官は、第1項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、違反者の釈放及び押収物の返還に関し、必要な措置を講じなければならない。
2 担保金は、事件に関する手続において、違反者がその求められた期日及び場所に出頭せず、又は返還された押収物で提出を求められたものがその求められた期日及び場所に提出されなかったときは、当該期日の翌日から起算して1月を経過した日に、国庫に帰属する。ただし、当該期日の翌日から起算して1月を経過する日までに、当該期日の翌日から起算して3月を経過する日以前の特定の日に出頭し又は当該押収物を提出する旨の申出があったときは、この限りでない。
3 前項ただし書の場合において、当該申出に係る特定の日に違反者が出頭せず、又は当該押収物が提出されなかつたときは、担保金は、その日の翌日に、国庫に帰属する。
4 担保金は、事件に関する手続が終結した場合等その保管を必要としない事由が生じた場合には、返還する。
第27条 前3条における主務大臣及び
第17条第2項における主務省令は、政令で定める。
附 則
第1条 この法律は、海洋法に関する国際連合条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
第1条の2 第3条第1項の規定の適用については、当分の間、同項中「排他的経済水域(」とあるのは「排他的経済水域(排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成8年法律第74号)
第4条の条約の規定により我が国が漁業、水産動植物の採捕(漁業に該当するものを除き、漁業等付随行為を含む。以下同じ。)及び探査に関する主権的権利を行使する水域の範囲について調整が行われるときは、その調整後の水域とする。」と、「水産動植物の採捕(漁業に該当するものを除き、漁業等付随行為を含む。以下同じ。)」とあるのは「水産動植物の採捕」とする。
第1条の3 前条の規定により読み替えて適用される
第3条第1項に規定する調整が行われる場合における同項に規定する主権的権利に関する排他的経済水域及び大陸棚に関する法律
第3条の規定の適用については、同条第1項第1号中「排他的経済水域」とあるのは、「排他的経済水域(排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律(平成8年法律第76号)附則第1条の2の規定により読み替えて適用される同法第3条第1項の排他的経済水域をいう。以下この条において同じ。)」とする。
第2条 第4条から第13条まで(第14条第1項において準用する場合を含む。)及び第14条第2項の規定については、政令で、当該規定ごとに外国人及び海域を指定して適用しないこととすることができる。ただし、政令で期限を定めたときは、その期限までの間に限る。
第3条 漁業水域に関する暫定措置法(昭和52年法律第31号)は、廃止する。
第4条 この法律による廃止前の漁業水域に関する暫定措置法(以下「旧法」という。)又はこれに基づく命令の規定によってした許可、承認その他の処分又は申請その他の手続は、この附則に別段の定めがある場合を除き、この法律又はこれに基づく命令の相当規定によってした許可、承認その他の処分又は申請その他の手続とみなす。
第5条 この法律の施行の際現に旧法の規定により交付されている許可証又は承認証は、この法律の相当規定により交付された許可証又は承認証とみなす。
第6条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第7条 旧法の規定に違反した罪に係る訴訟の第一審の裁判権の特例に関する旧法の規定の適用については、なお従前の例による。
第8条 旧法第23条第1項に規定する事件に関する同条から旧法第26条までの規定の適用に関しては、なお従前の例による。
第9条 附則第4条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
第10条 外国人漁業の規制に関する法律(昭和42年法律第60号)の一部を次のように改正する。
第2条第2項中
「事業」の下に「(漁業等付随行為を含む。)」を加え、
同条中
第5項を第8項とし、
第4項を第7項とし、
第3項を第6項とし、
第2項の次に次の3項を加える。
3 この法律において「漁業等付随行為」とは、水産動植物の採捕又は養殖に付随する探索、集魚、漁獲物の保蔵又は加工、漁獲物又はその製品の運搬、船舶への補給その他これらに準ずる行為で農林水産省令で定めるものをいう。
4 この法律において「採捕準備行為」とは、漁具を格納しないで直ちに水産動植物の採捕を行うことができる状態にする行為をいう。
5 この法律において「探索」とは、水産動植物の採捕に資する水産動植物の生息状況の調査であつて水産動植物の採捕を伴わないものをいい、「探査」とは、探索のうち漁業等付随行為に該当しないものをいう。
第3条中
「又は水産動植物の採捕(漁業に該当するものを除く。以下同じ。)」を「、水産動植物の採捕(漁業に該当するものを除き、漁業等付随行為を含む。以下同じ。)、採捕準備行為又は探査」に改める。
第9条第2項中
「若しくは水産動植物の採捕」を「、水産動植物の採捕、採捕準備行為若しくは探査」に改める。
第11条 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)の一部を次のように改正する。
第55条第2項第7号中
「(水産動植物の開発又は採取に係る事業にあつては、漁業水域に関する暫定措置法(昭和52年法律第31号)第3条第3項に規定する漁業水域において行われるものを除く。)」を削る。
